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特許7403074音声出力システム、環境制御システム、及び、音声出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】音声出力システム、環境制御システム、及び、音声出力方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20231215BHJP
   H04R 27/00 20060101ALI20231215BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20231215BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
G10K15/04 302M
G10K15/04 302F
H04R27/00 J
H04R3/00 310
A61M21/02 J
A61M21/02 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020077642
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173868
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】安食 香織
(72)【発明者】
【氏名】河村 亮
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-147823(JP,A)
【文献】特開2014-146857(JP,A)
【文献】特開2017-212008(JP,A)
【文献】特開平04-122279(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0115717(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
H04R 27/00
H04R 3/00
A61M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを備え、前記スピーカから人の笑い声を出力する音声出力システムであって、
前記スピーカは、前記人の笑い声として、
(I)声を出さない息使いの笑いを含む呼吸音と、
(II)漏れ出た笑い声と、
(III)前記(II)及び前記(II)につられて笑う笑い声とをこの順に出力し、
前記スピーカは、前記(III)の後に、さらに、
(IV)前記(III)より大きな笑いで複数人が爆笑する笑い声を出力し、
前記スピーカは、前記(IV)の後に、さらに、
(V)息も絶え絶え笑う笑い声を出力し、
前記スピーカは、前記(IV)及び前記(V)を合計して2分以上出力し、
さらに、
前記人の笑い声を聞くユーザの属性情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記ユーザの前記属性情報に応じて、複数パターンの前記人の笑い声の中から1つの人の笑い声を選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記人の笑い声を前記スピーカに出力させる制御部とを備える
音声出力システム。
【請求項2】
前記(I)は、浅い呼吸から深い呼吸に経時的に変化し、かつ、低周波成分が経時的に増幅する呼吸音である
請求項1に記載の音声出力システム。
【請求項3】
前記人の笑い声により前記ユーザが笑っている期間、前記ユーザが笑う前より酸素濃度が高い空気を供給する酸素供給部を備える
請求項1又は2に記載の音声出力システム。
【請求項4】
対象空間に前記人の笑い声を出力する請求項1~のいずれか1項に記載の音声出力システムと、
前記対象空間に存在するユーザを検知する検知部とを備え、
前記音声出力システムは、前記検知部が前記対象空間に存在する前記ユーザを検知すると、前記人の笑い声を出力する
環境制御システム。
【請求項5】
スピーカから人の笑い声を出力する音声出力方法であって、
(I)声を出さない笑いであって息使いの笑いである呼吸音と、
(II)漏れ出た笑い声と、
(III)前記(II)及び前記(II)につられて笑う笑い声とをこの順に出力し、
前記(III)の後に、さらに、
(IV)前記(III)より大きな笑いで複数人が爆笑する笑い声を出力し、
前記(IV)の後に、さらに、
(V)息も絶え絶え笑う笑い声を出力し、
前記(IV)及び前記(V)を合計して2分以上出力し、
さらに、
前記人の笑い声を聞くユーザの属性情報を取得し、
取得した前記ユーザの前記属性情報に応じて、複数パターンの前記人の笑い声の中から1つの人の笑い声を選択し、
選択した前記人の笑い声を前記スピーカに出力させる
音声出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力システム、環境制御システム、及び、音声出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストレスによる体調不調者が増加傾向にある。また、笑うことがストレスの緩和に効果があることが報告されている。そこで、特許文献1には、ユーザにとって好ましい情動を誘発させるために、聴覚刺激として笑い声を用いる刺激誘発装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-30657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユーザに笑いを効果的に誘発することができない。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザに笑いを効果的に誘発することができる音声出力システム、環境制御システム、及び、音声出力方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る音声出力システムは、スピーカを備え、前記スピーカから人の笑い声を出力する音声出力システムであって、前記スピーカは、前記人の笑い声として、(I)声を出さない息使いの笑いを含む呼吸音と、(II)漏れ出た笑い声と、(III)前記(II)及び前記(II)につられて笑う笑い声とをこの順に出力する。
【0007】
本発明の一態様に係る環境制御システムは、対象空間に前記人の笑い声を出力する請求項1~7のいずれか1項に記載の音声出力システムと、前記対象空間に存在するユーザを検知する検知部とを備え、前記音声出力システムは、前記検知部が前記対象空間に存在する前記ユーザを検知すると、前記人の笑い声を出力する。
【0008】
本発明の一態様に係る音声出力方法は、スピーカから人の笑い声を出力する音声出力方法であって、(I)声を出さない笑いであって息使いの笑いである呼吸音と、(II)漏れ出た笑い声と、(III)前記(II)及び前記(II)につられて笑う笑い声とをこの順に出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ユーザに笑いを効果的に誘発することができる音声出力システム、環境制御システム、及び、音声出力方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る環境制御システムの概要構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る環境制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図3A図3Aは、実施の形態1に係るユーザの性別と音源とが対応付けられた第1のテーブルの一例を示す図である。
図3B図3Bは、実施の形態1に係るユーザの年齢と音源とが対応付けられた第2のテーブルの一例を示す図である。
図3C図3Cは、実施の形態1に係るユーザの心理状態と音源とが対応付けられた第3のテーブルの一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態1に係る環境制御システムが出力する笑い声の時系列変化を模式的に示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る環境制御システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態1に係る環境制御システムの効果を説明するための図である。
図7図7は、実施の形態2に係る環境制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態2に係る環境制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明に至った経緯)
特許文献1に記載の刺激誘発装置には、ユーザにとって好ましい情動(例えば、楽しい)を誘発するために、笑い声を出力することが開示されているが、どのような笑い声が出力されるかは開示されていない。ストレスを緩和するにはユーザを笑わすことが効果的であるが、出力される笑い声によっては、ユーザを笑わすことができないことがある。例えば、笑い声としてユーザにいきなり爆笑する音声が出力された場合、ユーザはその笑い声が他人事のように聞こえてしまい、その笑い声に対して共感することができないことが多い。
【0012】
よって、ユーザにいきなり爆笑する音声が出力された場合、ユーザを効果的に笑わすことが難しい。なお、共感するとは、スピーカからの笑い声に示される楽しい気持ちを共有することであり、例えば、当該笑い声を聞いたユーザも楽しい気持ちになることである。
【0013】
そこで本願発明者らは、ユーザを効果的に笑わすことができる音声(笑い声)について鋭意検討を行い、以下に説明する音声出力システム、音声出力方法、及び、環境制御システムを創案した。
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0015】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0016】
また、本明細書において、大きいなどの要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0017】
(実施の形態1)
[1-1.環境制御システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る環境制御システム1の概要構成を示す図である。図2は、本実施の形態に係る環境制御システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、環境制御システム1は、例えば、建物内にありコミュニケーションなどを行うためのオープンスペースS(コミュニケーションスペース)に設けられ、オープンスペースSに存在するユーザUの笑いを誘発するシステムである。具体的には、環境制御システム1は、聴覚刺激として笑い声を出力することで、オープンスペースSにいるユーザUのつられ笑いを誘発するシステムである。オープンスペースSは、ユーザUが存在する対象空間の一例である。
【0019】
なお、対象空間は、オープンスペースSに限定されず、例えば、屋内の空間であればよい。対象空間は、パーソナルブース、仮眠ブース、オフィスのデスク周辺、病院等の待合室などの空間であってもよい。対象空間は、例えば、個室などの狭い空間であってもよい。また、対象空間に存在するユーザUの人数は、特に限定されず、1人であってもよいし、2人以上であってもよい。また、対象空間に存在するユーザは、立っていてもよいし、座っていてもよい。例えば、対象空間が個室などの狭い空間である場合、ユーザは当該空間に1人で座っていてもよい。図1では、ユーザUが2人、着座している場合を図示している。
【0020】
また、環境制御システム1は、例えば、建物内にある館内放送により笑い声を出力するシステムであってもよい。この場合、建物内の各フロアが対象空間であり、建物内にいるユーザU全員に対して一斉に笑い声が出力されてもよい。
【0021】
図1及び2に示すように、環境制御システム1は、カメラ10と、音声出力システム20とを備える。音声出力システム20は、制御装置30と、スピーカ40とを備える。なお、環境制御システム1が備えるカメラ10及びスピーカ40の数は特に限定されず、2以上であってもよい。
【0022】
カメラ10は、オープンスペースSを撮像することで、当該オープンスペースSに存在するユーザUを検知する。カメラ10は、例えば、撮像した画像の画像解析により、当該オープンスペースSに存在するユーザUを検知する。このように、カメラ10は、人感センサとして機能する。また、カメラ10は、音声出力システム20が笑い声を出力しているときに、オープンスペースSに存在するユーザUを撮像することで、当該ユーザUが笑っているか否かを検知する。カメラ10は、例えば、撮像した画像の画像解析により、ユーザUが笑っているか否かを検知する。このように、カメラ10は、ユーザUの笑いに対する状態を検知する状態センサとして機能する。ユーザUの笑いに対する状態は、例えば、ユーザUが笑っているか否かを含み、さらにどの程度笑っているかを含んでいてもよい。カメラ10は、検知部の一例である。
【0023】
カメラ10が設けられる位置は、人感センサ及び状態センサとして機能することができれば特に限定されず、例えば、ユーザUが音声出力システム20からの笑い声を聞く位置周辺に設けられる。図1の例では、カメラ10は、オープンスペースSを構成する壁、天井などの造営材に取り付けられる。カメラ10は、オープンスペースS内のユーザUを検知可能な態様で造営材に取り付けられる。また、カメラ10は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどが備えるカメラであってもよい。カメラ10は、固定されていてもよいし、携帯可能であってもよい。
【0024】
なお、人感センサは、カメラ10である例を説明したが、オープンスペースSに存在するユーザUを検知可能であれば、カメラ10に限定されない。人感センサは、例えば、赤外線センサなどであってもよい。また、人感センサは、椅子に設けられた感圧センサであってもよい。また、人感センサは、それらのセンサの組み合わせであってもよい。
【0025】
なお、状態センサは、カメラ10である例を説明したが、ユーザUの笑いに対する状態を検知可能であれば、カメラ10に限定されない。状態センサは、例えば、笑い声を取得するマイクロフォンなどであってもよい。また、状態センサは、それらのセンサの組み合わせであってもよい。
【0026】
音声出力システム20は、ユーザUに笑い声を出力するための情報処理システムである。音声出力システム20は、ユーザUが存在するオープンスペースSに笑い声を出力するための情報処理システムであるとも言える。本実施の形態では、音声出力システム20が出力する笑い声に特徴を有する。音声出力システムは、例えば、カメラ10がオープンスペースSに存在するユーザUを検知すると、当該笑い声を出力する。音声出力システム20は、制御装置30とスピーカ40とを備える。
【0027】
制御装置30は、スピーカ40に出力させる笑い声に関する制御を行う。制御装置30は、例えば、オープンスペースSに存在するユーザUの属性情報に基づいて、当該ユーザUに応じた笑い声をスピーカ40から出力させる。制御装置30は、例えば、サーバ装置により実現され、カメラ10及びスピーカ40と無線通信を行うが、これに限定されない。制御装置30は、取得部31と、選択部32と、制御部33と、記憶部34とを有する。
【0028】
取得部31は、笑い声を聞くユーザU(図1の場合は、オープンスペースSに存在するユーザU)の属性情報を取得する。属性情報は、例えば、ユーザUの性別、年齢、心理状態などの少なくとも1つを含む。心理状態は、例えば、リラックス状態、ストレス状態などである。心理状態は、オープンスペースSにいる時点における心理状態である。また、属性情報は、ユーザUの家族構成、職場環境などに関する情報を含んでいてもよい。
【0029】
取得部31は、例えば、カメラ10から取得した画像の画像解析により、オープンスペースSに存在するユーザUの属性情報を取得してもよい。取得部31は、例えば、ユーザUの表情から心理状態を推定してもよい。また、取得部31は、ユーザUから属性情報に関する入力を受け付ける受付部(図示しない)を介して、ユーザUの属性情報を取得してもよい。取得部31は、例えば、通信インターフェースを含んで構成される。
【0030】
選択部32は、取得部31が取得したユーザUの属性情報に応じて、記憶部34に記憶された複数パターンの笑い声の中から、ユーザUの属性情報に応じた1つの笑い声を選択する。選択部32は、例えば、属性情報と当該属性情報に応じた笑い声とが対応付けられたテーブルを用いて、ユーザUの属性情報に応じた1つの笑い声を選択する。
【0031】
選択部32は、ユーザUの家族構成に関する情報が属性情報に含まれる場合、ユーザUの家族構成に含まれる人に近い人の笑い声を含む笑い声を選択してもよい。選択部32は、例えば、ユーザUに子供がいる場合、子供の笑い声を少なくとも一部に含む笑い声を選択してもよい。これにより、ユーザUは、環境制御システム1から出力される笑い声をより身近に感じることができるので、当該笑い声により共感することが期待できる。例えば、環境制御システム1からの笑い声により、子供と過ごした時間(週末の時間など)を思い出すことで、ユーザUは当該笑い声をより共感することができる。
【0032】
なお、ユーザUの属性情報は、ユーザUの使用履歴に関する情報を含んでいてもよい。使用履歴に関する情報は、例えば、当該ユーザUが過去に環境制御システム1を利用したときに出力した笑い声と、そのときの当該ユーザUの笑いに対する状態とが対応付けられた情報であってもよい。また、使用履歴に関する情報は、当該笑い声と、当該笑い声に対するユーザUの入力(ストレスが緩和されたことを実感したか否かを示す入力など)とが対応付けられた情報であってもよい。選択部32は、ユーザUに過去に出力した笑い声と当該ユーザUの笑いに対する状態とが対応付けられた情報に基づいて、複数パターンの笑い声の中からユーザUの好みの笑い声を1つ選択してもよい。ユーザUの好みの笑い声とは、ユーザUが共感しやすい笑い声、つまりユーザUが身近に感じることができる親和性の高い笑い声なである。ユーザUの好みの笑い声は、例えば、子供の笑い声、老人の笑い声、男性の笑い声、女性の笑い声、共感しやすい声の大きさ又はリズムの笑い声などである。
【0033】
また、選択部32は、ユーザUの性別、年齢、心理状態などの少なくとも1つ、及び、ユーザUの使用履歴の両方に応じて、複数パターンの笑い声の中から1つの笑い声を選択してもよい。
【0034】
制御部33は、音声出力システム20の各構成部を制御する。制御部33は、選択部32が選択した笑い声をスピーカ40に出力させる制御を行う。具体的には、制御部33は、選択部32が選択した笑い声を示す出力することを示す制御情報をスピーカ40に出力する。
【0035】
制御部33は、スピーカ40が複数ある場合、選択的にスピーカ40から笑い声を出力させてもよい。制御部33は、例えば、ユーザUに最も近い位置に配置されたスピーカ40から笑い声を出力させてもよい。制御部33は、図1の場合、2つのスピーカ40のうち、ユーザUが座っているテーブルに配置されたスピーカ40のみから笑い声を出力させてもよい。
【0036】
記憶部34は、制御装置30の各構成部が実行する制御プログラム、及び、複数パターンの笑い声の音源(例えば、図3A図3Cを参照)を記憶する記憶装置である。記憶部34は、ユーザUの属性情報と、当該属性情報に対応する笑い声とを対応付けて記憶する。また、記憶部34は、ユーザUにおける環境制御システム1の使用履歴に関する情報を記憶してもよい。また、記憶部34は、ユーザUを特定するための情報を記憶していてもよい。例えば、記憶部34は、ユーザUの顔の画像、又は、ユーザUの顔の特徴量を記憶していてもよい。記憶部34は、半導体メモリなどによって実現される。
【0037】
なお、笑いの音源は制御装置30の記憶部34に記憶されていることに限定されず、スピーカ40の記憶部(図示しない)に記憶されていてもよい。
【0038】
ここで、記憶部34に記憶されている複数パターンの笑い声の音源について、図3A図3Cを参照しながら説明する。図3Aは、本実施の形態に係るユーザUの性別と音源とが対応付けられた第1のテーブルの一例を示す図である。図3Bは、本実施の形態に係るユーザUの年齢と音源とが対応付けられた第2のテーブルの一例を示す図である。図3Cは、本実施の形態に係るユーザUの心理状態と音源とが対応付けられた第3のテーブルの一例を示す図である。なお、図3A図3Cに示す音源は、笑い声の音源(笑い声のデータ)を意味する。また、図3A図3Cに示す音源は、予め録音され、記憶部34に記憶されている。
【0039】
図3Aに示すように、ユーザUの属性情報が性別を含む場合、例えば、男性、女性のそれぞれに互いに異なる音源が設定される。選択部32は、オープンスペースSに存在するユーザUが男性である場合、音源Aを選択し、女性である場合、音源Bを選択する。
【0040】
図3Bに示すように、ユーザUの属性情報が年齢を含む場合、例えば、年代のそれぞれに互いに異なる音源が設定される。選択部32は、オープンスペースSに存在するユーザUが10代である場合、音源Cを選択し、20代である場合、音源Dを選択し、30代である場合、音源Eを選択する。
【0041】
図3Cに示すように、ユーザUの属性情報が心理状態を含む場合、例えば、心理状態のそれぞれに互いに異なる音源が設定される。選択部32は、オープンスペースSに存在するユーザUがリラックス状態である場合、音源Fを選択し、ストレス状態である場合、音源Gを選択する。
【0042】
図3A図3Cに示す属性情報と音源との関係は、予め実験等により取得される。
【0043】
なお、図3A図3Cには、属性情報に対して1つの音源が設定されている例について説明したが、これに限定されない。1つの属性情報に対して、複数の音源が設定されていてもよい。選択部32は、例えば、オープンスペースSに存在するユーザUが男性である場合、音源Aを含む2以上の音源を選択し、さらに2以上の音源の中から、ユーザUの使用履歴に関する情報に基づいて、よりユーザUが好む笑い声の音源を1つ選択してもよい。
【0044】
ここで、笑い声の音源の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る環境制御システム1が出力する笑い声の構成を模式的に示す図である。図3A図3Cに示す笑い声の音源A~Gのそれぞれは、図4に示す笑い声の構成を有する。言い換えると、音源A~Gのそれぞれは、単調な笑い声ではなく、異なる種類(段階)の笑い声を複数含んで構成される。
【0045】
図4に示すように、笑い声の音源は、笑いを誘発する期間と、笑いを増幅する期間と、没入感を高める期間とを有する。3つの期間のそれぞれで、互いに異なる笑い声が出力される。また、音源は、笑いを誘発する期間と、笑いを増幅する期間と、没入感を高める期間とをこの順に、切れ間なく構成される。なお、音源は、少なくとも笑いを誘発する期間の笑い声を含んでいればよい。
【0046】
笑いを誘発する期間は、笑っていないユーザUを笑う状態とさせるための期間である。つまり、笑いを誘発する期間は、ユーザUに笑いを起こさせるための期間である。笑いを誘発する期間では、ユーザUが思わず笑ってしまうような笑い声が出力される。
【0047】
笑いを誘発する期間に出力される音声(笑い声)は、(Ia)鼻呼吸で笑う音声と、(Ib)肩で笑う音声と、(II)声を出して笑う音声と、(III)つられて笑う人の音声とをこの順に出力する期間である。(Ia)~(II)は、1人の人の笑い声であり、かつ、同一人物の笑い声である。なお、(III)つられて笑う音声は、例えば、(II)声を出して笑う音声の後に続く、当該(II)の笑い声を出している人とは異なる人の笑い声である。つまり、(III)は、(II)の後に起こる、他人の笑い声である。(III)の笑い(2人目以降の笑い)は、(II)の笑い(1人目の笑い)によってつられて生じる笑いであるとも言える。
【0048】
(Ia)鼻呼吸で笑う音声は、「むふふ」と息がこもるような、息づかいの笑いを含む呼吸音である。鼻呼吸で笑う音声は、弱いリズムの呼吸音である。鼻呼吸で笑う音声は、例えば、横隔膜の振動がリズムとして伝わるような呼吸音である。鼻呼吸で笑う音声は、笑いをこらえている、声を出さずに笑いをかみころしているときの息づかいであってもよい。(Ia)鼻呼吸で笑う音声は、笑い声を含まない。
【0049】
(Ib)肩で笑う音声は、(Ia)に比べて息づかいが深くなり、かつ、笑い声に低周波成分をより多く含む呼吸音である。(Ib)は、経時的に笑いが増幅されるので、息づかいが徐々に深くなり、かつ、笑い声に含まれる低周波成分が徐々に増える笑い声である。(Ib)は、例えば、浅い呼吸から深い呼吸に経時的に変化し、かつ、低周波成分が経時的に増幅する笑い声(呼吸音)である。(Ib)は、例えば、(Ia)より呼吸が深くなり、かつ、重低音が加わってくるような呼吸音である。なお、低周波成分とは、呼吸音に含まれる低周波の成分を意味し、例えば、100hz以下の成分であるが、これに限定されない。(Ib)肩で笑う音声は、笑い声を含まない。
【0050】
これにより、肩が揺れるほどこもって笑っている体のリズムを、呼吸音でユーザUに伝えることができる。なお、(Ib)肩で笑う音声は、必須ではない。
【0051】
(Ia)及び(Ib)は、(I)声(笑い声)を出さない笑いであって息使いの笑いを含む呼吸音の一例である。(Ia)及び(Ib)は、声を出さずに笑っているときの呼吸音であるとも言える。なお、(Ia)及び(Ib)は、呼吸音であるが、本明細書では、笑い声とも記載する。
【0052】
(II)声を出して笑う音声は、「フハハハ」というような笑いを我慢してきたが思わず笑い声が漏れ出たときの笑い声である。(II)は、漏れ出た笑い声又は吹き出してしまったときの笑い声であるとも言える。つまり、(II)声を出して笑う音声は、笑い声を含む。
【0053】
(III)つられて笑う人の音声は、(II)声を出して笑う音声に加えて、さらに他の人の笑い声を含む。例えば、(III)は、(II)声を出して笑う音声及び当該(II)声を出して笑う音声につられて笑う笑い声を含む。他の人の笑い声は、例えば、(II)の笑い声を出した人の笑い声につられて笑う人の笑い声である。つまり、(III)つられて笑う人の音声は、複数人の笑い声が含まれる。自分だけでなく、自分の周囲に存在する人も楽しくなっているような様子を連想させる笑い声であるとも言える。
【0054】
笑いを誘発する期間では、上記の(Ia)、(Ib)、(II)及び(III)の笑い声がこの順に連続して出力される。また、(Ia)、(Ib)、(II)及び(III)のそれぞれの間は、切れ間なく音声が出力される。
【0055】
笑いを誘発する期間の長さは、特に限定されないが、例えば、1分程度である。
【0056】
これにより、少なくとも3つ期間(3つのステップ)により、ユーザUにつられ笑いを誘発することができるので、単調な笑い声が出力される場合に比べて、効果的につられ笑いを誘発することができる。
【0057】
笑いを増幅する期間は、笑いを誘発する期間で起きたユーザUの笑いを増幅する期間である。笑いを増幅する期間は、(IV)爆笑の音声を出力する期間を含む。
【0058】
(IV)爆笑の音声は、(III)の後に出力され、(III)で笑っていた複数人の人の笑いがさらに大きくなった爆笑する笑い声である。(IV)爆笑の音声は、例えば、(III)の笑いが大きく(例えば、笑いの音量が大きく)なった笑い声である。(IV)爆笑の音声は、お腹を抱えて笑うような複数人の笑い声を含む。(IV)爆笑の音声は、複数人でしっかり笑う笑い声であるとも言える。
【0059】
これにより、笑いを増幅する期間で起きたユーザUの笑い(例えば、くすっ、ニヤリといった笑い)を増幅させることができる。
【0060】
没入感を高める期間は、出力される笑い声が現実の笑い声であるとユーザUに感じさせ、笑いへの没入感を高める期間である。没入感を高める期間は、(V)繰り返し笑う音声を出力する期間を含む。
【0061】
(V)繰り返し笑う音声は、(IV)の後に出力され、(IV)で複数人が爆笑している笑い声が息も絶え絶えする爆笑となる音声である。(V)繰り返し笑う音声は、笑い過ぎて息が続かないことを連想させる笑い声であり、例えば、息を吸う音声又は呼吸が苦しくなる音声を含む爆笑である。単調な爆笑が続くとその爆笑に共感することができなくなるので、ユーザUの笑いを継続させることが難しい。一方、息も絶え絶えする笑いを出力することでより現実に近い笑いを実現することができるので、ユーザUを笑いに没入させることができる。
【0062】
笑いを増幅する期間及び没入感を高める期間の長さは、特に限定されないが、例えば、合計で2分以上であるとよい。つまり、スピーカ40は、(IV)及び(V)を合計して2分以上出力するとよい。これにより、例えば、笑いを誘発する期間においてユーザUにつられ笑いを誘発することができなくても、笑いを増幅する期間及び没入感を高める期間でユーザUを笑わすことができる。これは、2分以上の間、爆笑音を聞くことで、ユーザUは自分が笑うことへの抵抗をあきらめてしまう傾向があるためである。なお、笑いを増幅する期間及び没入感を高める期間の長さは、2分より短くてもよい。また、笑いを増幅する期間及び没入感を高める期間の長さは、笑いを誘発する期間より長くてもよい。
【0063】
なお、音源は、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の一連の笑い声が予め録音された音声データである。そのため、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のそれぞれの音声が出力される期間は、予め設定されている。例えば(Ia)の音声が予め設定された期間出力されると、切れ間なく(Ib)の音声が出力される。言い換えると、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の一連の笑い声は、例えば、ユーザUからの入力を取得することなく、自動で順次切り替わる。
【0064】
なお、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)及び(V)は、この順に笑いが大きくなる音声であるとも言える。
【0065】
図1及び図2を再び参照して、スピーカ40は、制御部33の制御により、笑い声を出力する出音装置である。スピーカ40は、例えば、オープンスペースSに配置されていてもよいし、ユーザUが所有するパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどが備えるスピーカにより実現されてもよい。
【0066】
[1-2.環境制御システムの動作]
続いて、上記の環境制御システム1の動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る環境制御システム1の動作を示すフローチャートである。なお、図5に示すステップS102~S104及びS106は、音声出力システム20が行う動作である。
【0067】
図5に示すように、カメラ10(人感センサ)は、ユーザUを検知すると(S101でYes)、ユーザUを検知したことを示す検知結果を制御装置30に出力する。カメラ10は、検知結果とともに、ユーザUを検知したときの画像を制御装置30に出力してもよい。また、カメラ10は、ユーザUを検知しないと(S101でNo)、ステップS101に戻りユーザUを検知するまで待機する。
【0068】
なお、ユーザUを検知したか否かの判定は、制御装置30により行われてもよい。この場合、カメラ10は、撮像した画像を制御装置30に出力する。そして、制御装置30は、取得した画像に基づいて、ユーザUがオープンスペースSに存在する否かを判定してもよい。
【0069】
次に、取得部31は、検知結果を取得すると、検知されたユーザUの属性情報を取得する(S102)。取得部31は、ユーザUからの入力により属性情報を取得してもよいし、カメラ10から取得した画像の画像解析に基づいて属性情報を取得してもよい。また、取得部31は、ユーザUを特定するための情報が記憶部34に記憶されている場合、カメラ10から取得した画像の画像解析に基づいてユーザUを特定し、特定したユーザUの属性情報を記憶部34から取得してもよい。取得部31は、取得したユーザUの属性情報を選択部32に出力する。
【0070】
次に、選択部32は、ユーザUの属性情報に基づいて、複数パターンの笑い声(複数の笑い声の音源)から1つを選択する(S103)。選択部32は、例えば、ユーザUの属性情報と、属性情報及び音源が対応付けられたテーブル(例えば、図3A図3Cを参照)とに基づいて、1つの音源を選択する。選択部32は、選択した音源を示す情報を制御部33に出力する。
【0071】
なお、選択部32は、ユーザUが環境制御システム1を利用したことがある場合、ユーザUの属性情報として、ユーザUの使用履歴に関する情報を用いて笑い声を選択し、当該ユーザUが初めて環境制御システム1を利用する場合、ユーザUの属性情報として、ユーザUの入力又は画像に基づいて取得される性別、年齢、心理状態の少なくとも1つを用いて笑い声を選択してもよい。
【0072】
次に、制御部33は、選択部32が選択した笑い声をスピーカ40に出力させる(S104)。制御部33は、例えば、記憶部34から選択部32が選択した笑い声の音源を読み出し、読み出した音源を出力させるための制御情報を生成し、スピーカ40に出力する。制御部33は、予め録音されている笑い声の音源を、スピーカ40を介して再生するとも言える。これにより、スピーカ40から、少なくとも(Ia)、(II)及び(III)の音声を含む笑い声が出力される。
【0073】
なお、ステップS104において、笑い声の出力は、ヘッドフォンなどを介して行われてもよい。これにより、ユーザUは、周囲を気にすることなく、笑い声を聞いて、ストレス発散することができる。
【0074】
カメラ10は、例えば、スピーカ40が笑い声を出力している期間も、撮像を継続している。
【0075】
次に、カメラ10は、スピーカ40が笑い声を出力している期間のユーザUの状態(ユーザUの笑いに対する状態)を判定する(S105)。カメラ10は、例えば、撮像した画像に基づいて、ユーザUが笑っているか否かを判定する。カメラ10は、ユーザUが笑っているか否かの判定結果を制御装置30に出力する。なお、ステップS105の判定処理は、制御装置30により行われてもよい。
【0076】
制御部33は、カメラ10から取得したユーザUの状態を記憶部34に記憶する(S106)。具体的には、制御部33は、カメラ10から取得した判定結果を、現在出力している音源と対応付けて、当該ユーザUの履歴情報として記憶部34に記憶する。
【0077】
なお、ステップS105及びS106の動作が行われることは、必須ではない。
【0078】
なお、上記では、ステップS102以降の処理が行われるトリガは、ユーザUを検知したか否かである例について説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザUから笑い声の出力を開始することを示す入力を受け付けると、ステップS102以降の処理が行われてもよいし、所定のタイミング(例えば、所定の時刻)になると、ステップS102以降の処理が行われてもよい。
【0079】
[1-3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る音声出力システム20は、スピーカ40を備え、スピーカ40から人の笑い声を出力する音声出力システムである。スピーカ40は、記人の笑い声として、(I)声を出さない息使いの笑いを含む呼吸音と、(II)漏れ出た笑い声と、(III)漏れ出た笑い声及び当該漏れ出た笑い声につられて笑う笑い声とをこの順に出力する。
【0080】
これにより、音声出力システム20は、少なくとも3つの互いに異なる笑い声を出力するので、単調な笑い声が出力される場合に比べて、出力している笑い声に共感させることができる。よって、ユーザUに笑いを効果的に誘発することができる。
【0081】
図6は、本実施の形態に係る環境制御システム1の効果を説明するための図である。図6に示す縦軸は、こころの活力(ポジティブ)を示しており、縦軸が高いほどストレスが低いことを意味する。また、横軸は、時間を示しており、「入室」はユーザUがオープンスペースSに入室した時点を示し、「退室」はユーザUが当該オープンスペースSを退室した時点を示している。
【0082】
図6に示すように、音声出力システム20は、スピーカ40から出力される笑い声を聞かせてユーザUにつられ笑いを起こさせることで、ユーザUをリフレッシュさせて活力をチャージさせる。よって、音声出力システム20は、ユーザUのストレスを効果的に緩和させることができる。
【0083】
また、(I)は、浅い呼吸から深い呼吸に経時的に変化し、かつ、低周波成分が経時的に増幅する呼吸音である。
【0084】
これにより、笑いが増幅するように呼吸音が経時的に変化するので、ユーザUはより笑い声に共感しやすくなる。よって、ユーザUに笑いをより効果的に誘発することができる。
【0085】
また、スピーカ40は、(III)の後に、さらに、(IV)当該(III)より大きな笑いで複数人が爆笑する笑い声を出力する。
【0086】
これにより、(I)~(III)で生じたユーザUの笑いを効果的に増幅させることができる。
【0087】
また、スピーカ40は、(IV)の後に、さらに、(V)息も絶え絶え笑う笑い声を出力する。
【0088】
これにより、スピーカ40から出力される笑い声を本当の笑い声であるとユーザUに感じさせることができるので、笑うことの没入感を高めることができる。よって、ユーザUに笑いをさらに効果的に誘発することができる。なお、本当の笑い声とは、作り笑いではなく、自然な笑いを意味する。また、単調な爆笑が続くと、ユーザUは作り笑いと感じてしまい、冷めてしまうので、笑いを誘発することができない。
【0089】
また、スピーカ40は、(IV)及び(V)を合計して2分以上出力する。
【0090】
これにより、ユーザUが笑うことを我慢していた場合であっても(笑うことに抵抗していた場合であっても)、ユーザUが我慢することを諦めさせて笑わすことができる。よって、出力される笑い声によりユーザUが笑う確実性が増す。
【0091】
また、人の笑い声を聞くユーザUの属性情報を取得する取得部31と、取得部31が取得したユーザUの属性情報に応じて、複数パターンの人の笑い声の中から1つの人の笑い声を選択する選択部32と、選択部32が選択した人の笑い声をスピーカ40に出力させる制御部33とを備える。
【0092】
これにより、ユーザUの属性情報に応じた笑い声が出力されるので、ユーザUに笑いをより一層効果的に誘発することができる。
【0093】
また、以上のように、本実施の形態に係る環境制御システム1は、オープンスペースS(対象空間の一例)に人の笑い声を出力する音声出力システム20と、オープンスペースSに存在するユーザUを検知するカメラ10(検知部の一例)とを備える。そして、音声出力システム20は、カメラ10がオープンスペースSに存在するユーザUを検知すると、人の笑い声を出力する。
【0094】
これにより、環境制御システム1は、対象空間に存在するユーザUが笑いやすい環境を形成することができる。よって、対象空間にいるユーザUに笑いを効果的に誘発することができる。
【0095】
また、以上のように、本実施の形態に係る音声出力方法は、スピーカ40から人の笑い声を出力する音声出力方法であって、(I)声を出さない笑いであって息使いの笑いを含む呼吸音と、(II)漏れ出た笑い声と、(III)漏れ出た笑い声及び当該漏れ出た笑い声につられて笑う笑い声とをこの順に出力する。また、音声出力方法は、スピーカ40は、(III)の後に、さらに、(IV)当該(III)より大きな笑いで複数人が爆笑する笑い声を出力してもよい。
【0096】
これにより、上記音声出力システムと同様の効果を奏する。
【0097】
(実施の形態2)
[2-1.環境制御システムの構成]
図7は、本実施の形態に係る環境制御システム1aの機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る環境制御システム1aは、主に酸素供給装置50を備える点、及び、制御装置30が当該酸素供給装置50を制御する点において、実施の形態1に係る環境制御システム1と相違する。以降において、本実施の形態に係る環境制御システム1aについて、実施の形態1に係る環境制御システム1との相違点を中心に説明する。また、実施の形態1に係る環境制御システム1と同一又は類似の構成については、実施の形態1に係る環境制御システム1と同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0098】
図7に示すように、本実施の形態に係る環境制御システム1aは、実施の形態1に係る環境制御システム1に加えて、酸素供給装置50を備える。
【0099】
酸素供給装置50は、制御部33の制御に基づいて、ユーザUが存在するオープンスペースS(対象空間の一例)に酸素を供給する。酸素供給装置50は、例えば、制御部33の制御に基づいて、スピーカ40から出力される人の笑い声によりユーザUが笑っている期間、ユーザUが笑う前より酸素濃度が高い空気を供給する。酸素供給装置50は、ユーザUが笑っている期間のみ動作するように制御されてもよい。
【0100】
酸素供給装置50は特に限定されることはなく、酸素を供給することができれば公知のいかなる装置が用いられてもよい。酸素供給装置50は、例えば、通過する空気に酸素を供給する装置であってもよい。また、酸素供給装置50は、単独の装置であってもよいし、空気調和機などに備えられていてもよい。酸素供給装置50は、酸素供給部の一例である。
【0101】
酸素供給装置50は、例えば、オープンスペースS内に配置される。つまり、酸素供給装置50は、ユーザUが存在する場所周辺に配置される。
【0102】
制御部33は、実施の形態1の動作に加えて、酸素供給装置50の動作を制御する。以下では、制御部33は、酸素供給装置50の動作の開始及び停止を制御する例について説明するが、これに限定されず、酸素供給量などを制御してもよい。
【0103】
ユーザUは、笑うと腹式呼吸になり、通常の呼吸より多くの酸素を消費する。つまり、ユーザUは、笑うことにより呼吸が深くなり、酸素を取り込む量が増える。そのため、制御部33は、例えば、ユーザUが笑っているときに、効率よく酸素を体内に取り込むことができるように、酸素供給装置50を制御する。具体的には、制御部33は、例えば、ユーザUが笑っているときに、ユーザUの周囲の酸素濃度が笑う前より高くなるように酸素供給装置50を制御する。
【0104】
制御部33は、状態センサ(図7の例では、カメラ10)の検知結果に基づいて、酸素供給装置50を制御する。具体的には、制御部33は、検知結果が笑っていることを示す場合、酸素供給装置50を動作させ、検知結果が笑っていないことを示す場合、酸素供給装置50の動作を停止させる。制御部33は、スピーカ40が笑い声を出力しており、かつ、ユーザUが笑っている期間、酸素供給装置50を動作させる。
【0105】
[2-2.環境制御システムの動作]
続いて、上記の環境制御システム1aの動作について、図8を参照しながら説明する。図8は、本実施の形態に係る環境制御システム1aの動作を示すフローチャートである。なお、図8に示すステップS102~S104、S202、S204及びS205は、音声出力システム20が行う動作である。
【0106】
図8に示すように、制御部33が笑い声をスピーカ40に出力させる(S104)と、カメラ10は、スピーカ40が笑い声を出力している期間、ユーザUが笑ったか否かを判定する(S201)。カメラ10は、例えば、撮像した画像に基づいて、ユーザUが笑っているか否かを判定する。カメラ10は、ユーザUが笑っているか否かの判定結果を制御装置30に出力する。
【0107】
次に、制御部33は、カメラ10から取得した判定結果に基づいて、酸素供給装置50の動作を制御する。制御部33は、カメラ10からユーザUが笑っていることを示す判定結果を取得すると(S201でYes)、酸素供給装置50に酸素濃度の高い空気を供給させる(S202)。つまり、制御部33は、酸素供給装置50の動作を開始させる又は酸素供給装置50の動作を継続させる。
【0108】
制御部33は、酸素供給装置50の動作を開始させることで、ユーザUが笑う前よりユーザU周辺の空気の酸素濃度を高くする。なお、酸素供給装置50の動作を開始することは、ユーザUが笑う前より酸素濃度が高い空気を供給することの一例である。また、制御部33は、ステップS201でYesの場合、酸素供給装置50が供給する空気の酸素濃度をより高くするように酸素供給装置50を制御してもよい。
【0109】
また、制御部33は、カメラ10からユーザUが笑っていないことを示す判定結果を取得すると(S201でNo)、ステップS204に進む。
【0110】
次に、カメラ10は、スピーカ40が笑い声を出力しており、かつ、酸素供給装置50から酸素濃度の高い空気がオープンスペースSに供給されている期間に、ユーザUの笑いが止まったか否かを判定する(S203)。カメラ10は、例えば、撮像した画像に基づいて、ユーザUの笑いが止まったか否かを判定する。カメラ10は、ユーザUの笑いが止まったか否かの判定結果を制御装置30に出力する。
【0111】
次に、制御部33は、カメラ10から取得した判定結果に基づいて、酸素供給装置50の動作を制御する。制御部33は、カメラ10からユーザUが笑っていないことを示す判定結果を取得する(S201でNo)、又は、カメラ10からユーザUの笑いが止まったことを示す判定結果を取得すると(S203でYes)、酸素供給装置50に酸素濃度の高い空気の供給を停止させる(S204)。つまり、制御部33は、酸素供給装置50の動作を停止状態に切り替える、又は、酸素供給装置50の動作を停止状態に維持させる。また、制御部33は、カメラ10からユーザUの笑いが止まっていないことを示す判定結果を取得すると(S203でNo)、酸素供給装置50の動作を継続させ、ステップS205に進む。
【0112】
次に、制御部33は、スピーカ40による笑い声の出力が終了したか否かを判定する(S205)。制御部33は、選択部32が選択した音源に基づく笑い声の出力が終了したか否かを判定する。制御部33は、録音された笑い声の出力が終了すると、音源に基づく笑い声の出力が終了したと判定する。
【0113】
次に、制御部33は、笑い声の出力が終了すると(S205でYes)、ステップS106に進み、笑い声の出力が終了していないと(S205でNo)、ステップS201に戻り、ステップS201以降の処理を笑い声の出力が終了するまで継続する。
【0114】
このように、制御部33は、スピーカ40から出力される人の笑い声によりユーザUが笑っている期間、ユーザUが笑う前より酸素濃度が高い空気を供給するように酸素供給装置50を制御する。
【0115】
なお、ステップS201及びS203の判定処理は、制御装置30により行われてもよい。
【0116】
[2-3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る音声出力システム20は、人の笑い声によりユーザUが笑っている期間、ユーザUが笑う前より酸素濃度が高い空気を供給する酸素供給装置50を備える。
【0117】
これにより、ユーザUが笑うことで酸素を多く必要としているときに、例えば、空気中の酸素濃度を高めることができる。つまり、ユーザUは、効率よく酸素を体内に取り組むことができる。よって、ユーザUが笑っている状況を維持しやすくなる。例えば、ユーザUのストレスを効果的に発散させることができる。
【0118】
(他の実施の形態)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係る音声出力システム、音声出力方法、及び、環境制御システムについて、各実施の形態(以降において、実施の形態等とも記載する)に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
【0119】
例えば、上記実施の形態等では、(Ia)鼻呼吸で笑う音声、(Ib)肩で笑う音声、(II)声を出して笑う音声、(III)つられて笑う人の音声、(IV)爆笑の音声及び(V)繰り返し笑う音声の6つの音声を出力する例について説明したが、これに限定されない。(Ia)~(V)までがこの順に含まれていれば、他の笑い声が含まれていてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態等では、音源は、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のそれぞれの期間が予め設定されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザにより(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の少なくとも1つの音声を出力する期間が設定されてもよい。当該設定は、例えば、ユーザから予め取得されてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態等では、音源は笑い声だけを含む例について説明したが、少なくとも一部に面白いことを連想させる言葉が含まれていてもよい。
【0122】
また、上記実施の形態等では、環境制御システムは、状態センサを備える例について説明したが、これに限定されない。環境制御システムは、例えば、状態センサの代わりに、ユーザから笑っていることを示す操作を受け付ける受付部(図示しない)を備えていてもよい。受付部は、例えば、押しボタン又はタッチパネルなどにより実現される。
【0123】
また、上記実施の形態2では、制御部は、ユーザが笑ってから酸素供給装置の動作を開始させる例について説明したが、これに限定されない。制御部は、笑い声の出力と同期して酸素供給装置の動作を制御してもよい。例えば、制御部は、スピーカから笑い声が出力されている期間、酸素供給装置を動作させてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態等のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
【0125】
また、上記実施の形態等における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。また、上記実施の形態において2つの装置が通信を行う場合、2つの装置間には図示されない中継装置が介在してもよい。
【0126】
また、上記実施の形態等において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0127】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0128】
また、制御装置は、単一の装置として実現される例について説明したが、複数の装置によって実現されてもよい。制御装置が複数の装置によって実現される場合、制御装置が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、制御装置が備える機能部の少なくとも1つは、カメラ又はスピーカに備えられていてもよい。
【0129】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0130】
例えば、本発明は、制御装置などのコンピュータによって実行される音声出力方法及び環境制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、音声出力システム又は環境制御システムが汎用の携帯端末として実現される場合、本発明は、汎用の携帯端末を音声出力システム又は環境制御システムとして動作させるために当該携帯端末にインストールされるアプリケーションプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0131】
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
1、1a 環境制御システム
10 カメラ(検知部)
20 音声出力システム
31 取得部
32 選択部
33 制御部
40 スピーカ
50 酸素供給装置(酸素供給部)
S オープンスペース(対象空間)
U ユーザ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8