(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】制御システム及び照明システム
(51)【国際特許分類】
A61M 21/02 20060101AFI20231215BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20231215BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20231215BHJP
【FI】
A61M21/02 B
A61B5/16 130
H05B47/105
(21)【出願番号】P 2020027392
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上野 早織
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 由布
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊靖
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170408(JP,A)
【文献】国際公開第2004/088616(WO,A1)
【文献】特開2009-266482(JP,A)
【文献】特開2007-103353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61B 5/16
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置が計測したユーザの身体に関するユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報に基づいて、ユーザの状態を判定する判定部と、
前記判定部が判定した判定結果に基づいて、ユーザの状態に応じた
、1日に必要な受光量に満たない分の受光量を補うための補光の条件を設定する設定部と、
前記設定部が設定する前記補光の条件に基づいて、
1日に必要な受光量に満たない分の受光量を補うように、照明装置が通常時に点灯するときに出射する光よりも照度を高めた光を出射するように照明装置を制御する制御部とを備え、
前記設定部は、前記補光の条件として、前記照明装置が出射する光として補光の点灯時間を7時間以上に設定する
制御システム。
【請求項2】
前記設定部は、前記補光の条件として、所定の照度基準に対して1.2倍以上の照度、又は、7時間以上の補光点灯時間に設定する
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記設定部は、前記補光の条件として、補光の点灯時間帯を17時以降の時間帯のうちの1時間以上含むように設定する
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記設定部は、夕方及び夜間におけるユーザの睡眠に関する睡眠関連情報を表示部に表示させる
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記設定部は、前記補光の条件として、補光の点灯時間帯を10時間以上に設定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記設定部は、補光の点灯時間帯を、10時から19時までの時間帯のうちの任意の7時間以上に設定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記設定部は、ユーザの睡眠に関する睡眠関連情報、前記照明装置の点灯時間に関する点灯関連情報、及び、前記照明装置の配置される室内においてユーザの存在に関する在室関連情報の少なくとも1つ以上を表示部に表示させる
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記判定結果を表示部に表示させる
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記設定部は、前記補光の条件に含まれる補光を行う期間を表示部に表示させる
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
ユーザの身体を計測することで、ユーザの身体に関する前記ユーザ情報を出力する計測装置を備え、
前記計測装置は、前記照明装置の配置される室内にユーザが存在する在室時間、及び、前記照明装置が点灯する点灯時間の少なくとも一方を計測し、
前記判定部は、設定した前記補光の条件の対象となる前記ユーザ情報、計測した在室時間及び点灯時間の少なくとも1つを表示部に表示させる
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記ユーザ情報は、ユーザの年齢を含む
請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記設定部は、計測する前記計測装置の形態を前記表示部に表示させる
請求項10又は11に記載の制御システム。
【請求項13】
前記判定部は、前記ユーザ情報として、ユーザの身体を示す身体情報、ユーザの精神を示す精神情報、及び、ユーザの行動を示す行動情報の少なくとも1以上の情報を表示部に表示させる
請求項1~12のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の制御システムと、
前記制御システムによって制御されることで、ユーザに対する補光として周囲を照明する照明装置とを備える
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの生活環境に応じた補光を行う制御システム及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
制御システムの従来技術として、ユーザの生体リズムを望ましい状態に調整するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、生体リズム曲線と調整目標と、受光量、気温及び活動量である環境情報に応じて刺激条件を決定する刺激条件決定手段と、生体に対して生体リズム曲線を変化させる刺激を与える刺激手段とを備える生体リズム調整装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の生体リズム調整装置としての制御システムでは、環境情報の変化に応じて生体リズムを整えることができても、ユーザの状態及び生活スタイルが変化すれば、生活リズムを整えることができなくなる恐れがある。そこで、ユーザの状態及び生活スタイルに応じて設定することができても、その設定には手間がかかる。
【0005】
そこで、本開示は、ユーザの状態及び生活スタイルに応じた補光の条件を簡易に設定することができる制御システム及び照明システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る制御システムは、計測装置が計測したユーザの身体に関するユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報に基づいて、ユーザの状態を判定する判定部と、前記判定部が判定した判定結果に基づいて、ユーザの状態に応じた、1日に必要な受光量に満たない分の受光量を補うための補光の条件を設定する設定部と、前記設定部が設定する前記補光の条件に基づいて、1日に必要な受光量に満たない分の受光量を補うように、照明装置が通常時に点灯するときに出射する光よりも照度を高めた光を出射するように照明装置を制御する制御部とを備え、前記設定部は、前記補光の条件として、前記照明装置が出射する光として補光の点灯時間を7時間以上に設定する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る照明システムは、制御システムと、前記制御システムによって制御されることで、ユーザに対する補光として周囲を照明する照明装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の制御システム及び照明システムでは、ユーザの状態及び生活スタイルに応じた補光の条件を簡易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1における照明システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における照明システムを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における照明システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、調光率及び点灯時刻と、色温度及び点灯時刻との関係を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、主睡眠における補光前の睡眠効率と、
図4Aの条件で補光による光を浴びせた後の主睡眠における睡眠効率とを示す図である。
【
図4C】
図4Cは、
図4Aとは別の調光率及び点灯時刻と、色温度及び点灯時刻との関係を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、主睡眠における補光前の睡眠効率と、
図4Cの条件で補光による光を浴びせた後の主睡眠における睡眠効率とを示す図である。
【
図5A】
図5Aは、調光率及び点灯時刻と、色温度及び点灯時刻との関係を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、主睡眠における補光前の睡眠効率と、
図5Aの条件で補光による光を浴びせた後の主睡眠における睡眠効率とを示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2における照明システムを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における制御システムの表示部に表示される睡眠情報を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2の変形例1における制御システムの表示部に表示される睡眠関連情報、在室関連情報、及び、点灯関連情報を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2の変形例2における制御システムの表示部に睡眠悪化の状態と睡眠良好の状態とを示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2の変形例2における制御システムが補光の条件で所定の点灯期間ごとに点灯した場合の、ユーザの状態の変化を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2の変形例3における制御システムの表示部に睡眠悪化の状態と睡眠良好の状態と光の点灯期間とを示す模式図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2の変形例3における制御システムが補光の条件に応じて所定の点灯期間ごとに点灯した場合の、ユーザの状態の変化を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2の変形例3における照明システムの動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態2の変形例4における照明システムの表示部に表示される点灯関連情報、在室関連情報、及び、使用該当者を示す模式図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2の変形例4における照明システムの表示部に表示される身体情報、精神情報、及び、行動情報を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明をするに至った知見)
近年、生体リズムは、浴光による受光量に同調することが知られている。例えば、生体リズムには、約1日を周期とするサーカディアンリズムがある。サーカディアンリズムには、体温変動、睡眠覚醒サイクル、ホルモン分泌量変動等がある。
【0011】
例えば、高齢者施設等で暮らすユーザは、屋外に出かける頻度が低いため、日中に自然光を浴びる機会が低下してしまい、1日に必要な受光量が不十分となりがちである。この場合、約1日を周期とするサーカディアンリズムが整わなくなり、夜間に良質な睡眠を得られなくなる可能性がある。
【0012】
良質な睡眠が得られなくなれば、認知症の羅漢率及び症状が悪化してしまうことが報告されている。そこで、このような高齢者施設等に照明装置を設置することにより、ユーザに光を浴びせてサーカディアンリズムを整えることは、ユーザの生活の質を高める上で非常に重要である。
【0013】
一般的に、通常照明よりも高照度の光を、ユーザに補光として浴びせることは、有用であるとされている。例えば、補光は、光の強さと時間とを乗算して得られた受光量を目安にして考えられるが、一般的な高齢者向けの補光は、10000lx・H以上となることが多い。しかし、これはあくまで目安であり、本来は、睡眠科及び精神科の専門家、又は、補光に関する正しい知識を有する専門家が、ユーザの生活環境に応じて理想の補光の条件を設定する必要がある。しかしながら、正しい知識を有する専門家は少なく、高齢者を介護する者は、介護そのものの負担が大きく、ユーザの状態に応じた補光の条件を検討することは難しい。また、ユーザに対して個別に補光を行う場合、居室等での利用が想定されるが、補光を行うことができる在室時間及び点灯時間は、各ユーザの生活スタイルに応じて異なる。ユーザの状態及び生活スタイルに応じて補光を行うように設定することもできるが、補光の設定には手間がかかる。
【0014】
そこで、本開示は、ユーザの状態及び生活スタイルに応じた補光の条件を簡易に設定することができる制御システム及び照明システムを提供する。
【0015】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0016】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0017】
以下、本開示の実施の形態に係る制御システム及び照明システムについて説明する。
【0018】
(実施の形態1)
<構成:照明システム10>
図1は、実施の形態1における照明システム10を示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、照明システム10では、補光が必要なユーザに対して、通常浴びる光に加えて補光として光を浴びせることで、ユーザが1日に必要な受光量を確保させる。ここで、補光とは、生体リズムの維持及び促進をするために、一般的な照度(JIS Z 9110:2011 照明基準総則等で推奨されている照度)に比べて1.2倍以上の照度の光をユーザに浴びせることである。
【0020】
例えば、補光は、1日に必要な受光量に満たない分の受光量を補うために、一般的な照度の1.2倍以上の照度となる光をユーザに浴びせる。具体的には、室内に設置されている照明装置30が通常の点灯をしている場合、制御システム20は、通常点灯時の照度値よりも1.2倍以上高い照度で、当該照明装置30を点灯させたり、別の照明装置30をさらに点灯させたりする。これにより、ユーザは、補光として光を浴びる。また、照明装置30が点灯していない場合、照明システム10は、照明装置30を点灯させることで、ユーザに補光として光を浴びせる。
【0021】
なお、高齢者は、ベッドに寝ている期間が長くなる傾向にある。このため、照明システム10を高齢者施設等に適用する場合、一般的な照度は水平面照度であるため、鉛直面照度に置き換える必要がある。例えば、医療施設における食堂の水平面照度が300lxであれば、鉛直面照度に置き換えると150lxとなる。また、病室の水平面照度が100lxであれば、鉛直面照度に置き換えると50lxとなる。このため、単純に水平照度を基準として、ユーザに補光として光を浴びせても、ユーザは、1日に必要な受光量に足りなくなる場合がある。このため、ユーザが高齢者である場合、鉛直面照度を基準に補光の条件を考える。
【0022】
図2は、実施の形態1における照明システム10を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、照明システム10は、制御システム20と、照明装置30とを備える。
【0024】
[制御システム20]
制御システム20は、ユーザに補光として光を浴びせるために、1以上の照明装置30の点灯態様を制御する。制御システム20は、計測装置21と、処理部22と、制御部23とを備える。本実施の形態では、制御システム20は、計測装置21を有するが、必須の構成要件ではなく、計測装置21を有していなくてもよい。計測装置21と、処理部22と、制御部23とはそれぞれ別体であってもよく、一体的な装置であってもよい。
【0025】
計測装置21は、第1計測部21aを有する。
【0026】
第1計測部21aは、例えば、脳波計、心拍計、血圧計、眼球運動計測装置、撮像装置等である。第1計測部21aは、ユーザの身体を計測する。ユーザの身体(つまりユーザ情報)は、ユーザの脳波、心拍数、血圧及び眼球運動等である。第1計測部21aは、判定部22aと有線又は無線通信可能である。第1計測部21aは、計測したユーザの身体に関するユーザ情報を判定部22aに出力する。
【0027】
処理部22は、判定部22aと、設定部22bとを有する1つのマイクロコントローラである。なお、判定部22aと、設定部22bとは、別々のマイクロコントローラによって実現してもよい。
【0028】
判定部22aは、計測装置21が計測したユーザの身体に関するユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいてユーザの状態を判定する。ユーザの状態とは、睡眠良好の状態、睡眠悪化の状態、及び、うつの状態等である。本実施の形態では、ユーザの状態として、主に、睡眠良好の状態、及び、睡眠悪化の状態を用いて説明する。判定部22aは、ユーザの状態を判定した判定結果を設定部22bに出力する。
【0029】
設定部22bは、判定部22aが判定した判定結果に基づいて、ユーザの状態に応じた補光の条件を設定する。
【0030】
具体的には、設定部22bは、判定部22aが判定した判定結果が、睡眠良好の状態である場合、睡眠良好の状態に適した補光の条件を設定する。例えば、設定部22bは、1日に必要な受光量に満たない場合、通常の点灯の1.2倍以上となるように照明装置30の照度を上げる。なお、1日に必要な受光量を満たす場合、照明装置30の照度を下げたり、照明装置30を消灯したりする。なお、設定部22bは、1日に必要な受光量を満たす場合、通常の照明を照明装置30に行わせるだけでもよい。
【0031】
また、設定部22bは、判定部22aが判定した判定結果が、睡眠悪化の状態である場合、睡眠悪化の状態に適した補光の条件を設定する。例えば、設定部22bは、1日に必要な受光量を満たすように補光の条件に応じて照明装置30の照度を上げる。ここで、補光の条件とは、照明装置30が出射する光として補光の点灯時間、点灯時刻、照度、調色又は波長の調節による光の色合い、及び、これらの組み合わせである。
【0032】
設定部22bは、補光の条件として、照明装置30による補光の点灯時間を、1日(又は24時間のうち)のうち7時間以上に設定する。「7時間以上」は、連続的な時間であってもよく、離散的な積算時間であってもよい。特に、設定部22bは、補光の点灯時間帯を10時間以上に設定することが好ましい。
【0033】
また、設定部22bは、補光の条件として、補光の点灯時間帯を17時以降の時間帯のうち1時間以上含むように設定する。具体的には、設定部22bは、補光の条件とする「7時間以上」のうち少なくとも1時間を、17時から24時までの間に設定する。
【0034】
また、設定部22bは、補光の条件として、補光による照度を120lx以上に設定することが好ましい。設定部22bは、補光の条件として、居室の一般照度100lxとした場合の所定の照度基準に対して1.2倍以上の照度、又は、7時間以上の補光点灯時間に設定することが好ましい。所定の照度基準は、一例として居室の一般照度100lxとしているが、例えば、JIS Z 9110:2011 照明基準総則等で推奨されている一般的な照度であってもよく、居室の一般照度100lxに限定されない。また、補光点灯時間は、補光の条件で点灯する時間であり、7時間以上を示す。例えば、補光点灯時間は、所定の照度基準に対して1.2倍以上の照度で7時間以上点灯することを意味する。設定部22bは、制御部23と有線又は無線通信可能である。設定部22bは、設定した補光の条件を制御部23に出力する。
【0035】
制御部23は、ユーザの状態に応じた補光の条件に基づいて、照明装置30が出射する光を制御する。つまり、制御部23は、設定部22bから補光の条件を取得すると、取得した補光の条件に応じた指示を照明装置30に出力することで、照明装置30を制御する。
【0036】
[照明装置30]
照明装置30は、周囲を照明することが可能であり、天井、壁等の造営材に設置される。照明装置30は、制御システム20と有線又は無線通信可能に接続され、制御部23から出力された指示に応じて発光することで周囲を照明しつつ、ユーザに補光として光を浴びせる。また、照明装置30は、通常の点灯により周囲を照明することも可能である。
【0037】
<処理>
次に、本実施の形態における制御システム20及び照明システム10の処理について説明する。
【0038】
図3は、実施の形態1における照明システム10の動作を示すフローチャートである。
【0039】
まず、第1計測部21aは、ユーザの身体を計測する(S11)。第1計測部21aは、計測したユーザの身体に関するユーザ情報を判定部22aに出力する。
【0040】
次に、判定部22aは、計測部が計測したユーザの身体に関するユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいて、ユーザの状態を判定する(S12)。判定部22aは、判定した判定結果を設定部22bに出力する。
【0041】
例えば、ユーザ情報が心拍数である場合、判定部22aは、取得した心拍数が所定期間において、所定量増加しているかどうかを判定したり、不規則性があるかどうかを判定したりする。所定期間内に心拍数が所定量増加している場合、及び、所定期間内に不規則性がある場合等、判定部22aは、ユーザの状態が睡眠悪化の状態であると判定する。また、所定期間内に心拍数が所定量増加していない場合、不規則性がない場合等、判定部22aは、ユーザの状態が睡眠良好の状態と判定する。
【0042】
設定部22bは、判定部22aが判定した判定結果に基づいて、ユーザの状態に応じた補光の条件を設定する(S13)。設定部22bは、補光の条件として、照明装置30による補光の点灯時間を、1日(又は24時間のうち)のうち7時間以上に設定する。さらに、設定部22bは、設定する7時間以上の時間のうち、17時から24時までの間で少なくとも1時間含ませるように、補光の条件を設定する。設定部22bは、設定した補光の条件を制御部23に出力する。制御部23は、設定部22bから取得した補光の条件に応じて、照明装置30を制御する。これにより、照明装置30は、ユーザに補光として光を浴びせる。そして、照明システム10は、処理を終了する。
【0043】
<実験結果>
図4Aは、調光率及び点灯時刻と、色温度及び点灯時刻との関係を示す図である。
図4Aでは、横軸が時刻を示し、左側縦軸が調光率を示し、右側縦軸が色温度を示す。また、
図4Bは、主睡眠における補光前の睡眠効率と、
図4Aの条件で補光による光を浴びせた後の主睡眠における睡眠効率とを示す図である。
【0044】
図4Aでは、6時から14時までの時間帯の調光率を他の時間帯の調光率に比べて4倍から10倍に高め、色温度を他の時間帯に比べて1.2倍以上高めた。この場合、
図4Bに示すように、主睡眠における睡眠効率は、補光前に比べて補光後の方が上昇することが判った。
【0045】
図4Cは、
図4Aとは別の調光率及び点灯時刻と、色温度及び点灯時刻との関係を示す図である。
図4Cでは、横軸が時刻を示し、左側縦軸が調光率を示し、右側縦軸が色温度を示す。また、
図4Dは、主睡眠における補光前の睡眠効率と、
図4Cの条件で補光による光を浴びせた後の主睡眠における睡眠効率とを示す図である。
【0046】
図4Cでは、6時から20時までの時間帯で、調光率を他の時間帯に比べて4倍から10倍に高め、色温度を他の時間帯に比べて1.2倍以上高めた。この場合でも、
図4Dに示すように、主睡眠における睡眠効率が補光前に比べて、補光後の方が上昇することが判った。
【0047】
これらのことから、補光の条件として、通常の点灯時の照度の1.2倍以上にし、照明装置30による補光の点灯時間を1日のうち7時間以上に設定し、好ましくは10時間以上に設定するとした。なお、補光の条件として、通常の点灯時の照度の2倍以上に設定してもよい。また、補光の条件として、補光の点灯時間帯を17時以降の時間帯のうち1時間以上含むように設定した。さらに、補光の条件として、補光による照度を120lx以上(例えば、居室の一般照度100lxの1.2倍)に設定し、7時間と120lxとの積である840lx・h以上となるように設定した。なお、補光の条件として、補光による照度を650lx以上に設定し、7時間と650lxとの積である4500lx・h以上となるように設定してもよい。
【0048】
<作用効果>
次に、本実施の形態における制御システム20の作用効果について説明する。
【0049】
以上のように、本実施の形態における制御システム20は、計測装置21が計測したユーザの身体に関するユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいて、ユーザの状態を判定する判定部22aと、判定部22aが判定した判定結果に基づいて、ユーザの状態に応じた補光の条件を設定する設定部22bと、補光の条件に基づいて、照明装置30が出射する光を制御する制御部23とを備える。そして、設定部22bは、補光の条件として、照明装置30が出射する光として補光の点灯時間を7時間以上に設定する。
【0050】
このように、ユーザの状態を判定することで、それぞれのユーザの状態に適した補光の条件を入力しなくても、自動的に補光の条件を設定することができる。これにより、制御システム20では、ユーザが浴びる通常の受光量に加えて、補光の条件に応じてユーザに光を浴びせることができる。
【0051】
したがって、制御システム20は、ユーザの状態及び生活スタイルに応じた補光の条件を簡易に設定することができる。この制御システム20では、1日に必要な受光量に満たないユーザが生活スタイルを変更しなくても、ユーザの生体リズムの機能を維持又は改善することができる。
【0052】
また、本実施の形態における照明システム10は、制御システム20と、制御システム20によって制御されることで、ユーザに対する補光として周囲を照明する照明装置30とを備える。
【0053】
この照明システム10においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0054】
また、本実施の形態における制御システム20において、設定部22bは、補光の条件として、所定の照度基準に対して1.2倍以上の照度、又は、7時間以上の補光点灯時間に設定する。
【0055】
これによれば、ユーザが生活スタイルを変更しなくても、よりユーザの生体リズム機能を維持又は改善することができる。
【0056】
また、本実施の形態における制御システム20において、設定部22bは、補光の条件として、補光の点灯時間帯を17時以降の時間帯のうち1時間以上含むように設定する。
【0057】
これによれば、
図4C及び
図4Dのように睡眠効率の向上を期待することができるため、より確実にユーザの生体リズム機能を維持又は改善することができる。
【0058】
また、本実施の形態における制御システム20において、設定部22bは、補光の点灯時間帯を10時間以上に設定する。
【0059】
これによれば、
図4C及び
図4Dのように睡眠効率の向上を期待することができるため、より確実にユーザの生体リズム機能を維持又は改善することができる。
【0060】
(実施の形態1の変形例)
本変形例の制御システム20について説明する。
【0061】
本変形例では、朝の10時以降に7時間以上補光する点で実施の形態1の制御システム20と相違する。
【0062】
本変形例の制御システム20の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0063】
本変形例では、設定部22bは、補光の点灯時間を朝の10時以降の時間帯のうちの7時間以上に設定する。つまり、設定部22bは、補光の点灯時間を10時から19時までの時間帯のうち任意の7時間以上に設定する。好ましくは、設定部22bは、補光の点灯時間を11時から19時までの時間帯のうち任意の7時間以上に設定する。
【0064】
図5Aは、調光率及び点灯時刻と、色温度及び点灯時刻との関係を示す図である。
図5Aでは、横軸が時刻を示し、左側縦軸が調光率を示し、右側縦軸が色温度を示す。また、
図5Bは、主睡眠における補光前の睡眠効率と、
図5Aの条件で補光による光を浴びせた後の主睡眠における睡眠効率とを示す図である。
【0065】
図5Aに示すように、5時半から19時までの時間帯では、他の時間帯に比べて色温度を1.2倍ほど高め、11時から19時までの時間帯では、他の時間帯に比べて調光率を4倍から10倍に高めた。この場合、
図5Bに示すように、主睡眠における睡眠効率は、補光前に比べて補光後の方が上昇することが判った。
【0066】
このような、本変形例における制御システム20において、設定部22bは、補光の点灯時間帯を、10時から19時までの時間帯のうちの任意の7時間以上に設定する。
【0067】
これによれば、1日当たりの受光量が足りないユーザに対して、夕方前後の時間帯に多くの光を浴びせることができる。このため、当該ユーザは、夕方に眠気が襲い難くなり、夜間に睡眠をとることができる。このため、夕方に仮眠することで夜間の睡眠状態が良好でないユーザに対して、生体リズム機能を改善する効果が期待できる。
【0068】
本変形例でも上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0069】
(実施の形態2)
本実施の形態の制御システム20について説明する。
【0070】
本実施の形態では、制御システム20が表示部26等を有する点で、実施の形態1の制御システム20と相違する。
【0071】
図6は、実施の形態2における照明システム10を示すブロック図である。
【0072】
本実施の形態の制御システム20の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0073】
図6に示すように、制御システム20は、計測装置121、処理部22、及び、制御部23の他に、記憶部25と、表示部26とを備える。
【0074】
計測装置121は、ユーザの1日当たりの睡眠時間を計測する。計測装置121は、計測した1日ごとのユーザの睡眠時間を示す情報を、判定部22a及び設定部22bを介して記憶部25に出力する。
【0075】
記憶部25は、半導体メモリ又はハードディスクドライブ等である。記憶部25は、計測装置121が出力したユーザの睡眠時間を示す情報を定期的に取得し、記憶する。
【0076】
処理部22は、記憶部25に記憶されたユーザの睡眠時間を示す情報を読み出し、睡眠時間を示す情報に基づいてユーザの睡眠に関する睡眠関連情報を表示部26に表示させる。睡眠関連情報は、例えば、所定期間におけるユーザの睡眠時間、睡眠効率等である。また、所定期間とは、例えば、夕方、夜間等である。
【0077】
例えば、処理部22は、睡眠関連情報に示される睡眠時間に基づいて、ユーザの睡眠効率を算出する。具体的には、処理部22は、直近の所定期間として、直近の1週間又は直近の2週間の睡眠効率を算出する。より具体的には、処理部22は、所定期間として、夕方及び夜間の睡眠効率を算出する。本実施の形態では、処理部22は、所定期間として、夜間の睡眠効率を算出する。処理部22は、算出した睡眠効率及び睡眠時間を表示部26に出力する。
【0078】
なお、夜間の睡眠効率の算出については、夜間帯における最も睡眠時間が長くなる主睡眠に基づいて算出されてもよく、予め設定した時間における睡眠時間であってもよく、ユーザの覚醒時間及び離床時間に基づいて算出されてもよい。
【0079】
表示部26は、例えば、液晶パネル、又は、有機ELパネル等のモニタである。表示部26は、処理部22から睡眠関連情報を取得すると、取得した睡眠関連情報を表示する。例えば、
図7に示すように、睡眠関連情報として、夜間における直近の1週間の睡眠効率及び2週間の睡眠効率と、夕方における直近の1週間の主睡眠の睡眠時間及び直近の2週間の主睡眠の睡眠時間とを表示する。
図7は、実施の形態2における制御システム20の表示部26に表示される睡眠関連情報を示す模式図である。
【0080】
<作用効果>
次に、本実施の形態における制御システム20の作用効果について説明する。
【0081】
以上のように、本実施の形態における制御システム20において、設定部22bは、夕方及び夜間におけるユーザの睡眠に関する睡眠関連情報を表示部26に表示させる。
【0082】
これによれば、睡眠関連情報として、例えばユーザは、自身の睡眠時間帯を認知することができるため、睡眠悪化の状態を認識できるようなる。補光の条件を設定する上で、睡眠関連情報を参考とすることで、ユーザの生体リズム機能を維持又は改善するために役立てることができる。
【0083】
本実施の形態でも上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0084】
(実施の形態2の変形例1)
本変形例の制御システム20について説明する。
【0085】
本変形例では、
図8に示すように、表示部26が睡眠関連情報、点灯関連情報、及び、在室関連情報の少なくとも1つ以上を表示する点で実施の形態2の制御システム20と相違する。
図8は、実施の形態2の変形例における制御システム20の表示部26に表示される睡眠関連情報、点灯関連情報、及び、在室関連情報を示す模式図である。
【0086】
本変形例の制御システム20の構成は、特に明記しない場合、実施の形態2等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0087】
本変形例では、設定部22bは、睡眠関連情報、点灯関連情報、及び、在室関連情報の少なくとも1つ以上を表示部26に表示させる。
【0088】
点灯関連情報は、照明装置30の点灯時間に関する情報である。つまり、点灯関連情報は、所定時間(例えば、日中、夕方及び夜間等)における点灯時間、ユーザに補光するために設定された補光の条件等を示す情報である。
【0089】
在室関連情報は、照明装置30の配置される室内において、ユーザの存在に関する情報である。つまり、在室関連情報は、ユーザが当該室内に滞在している時間又は時間帯、室内の滞在の有無等を示す情報である。
【0090】
このような、本変形例における制御システム20において、設定部22bは、ユーザの睡眠に関する睡眠関連情報、照明装置30の配置される室内においてユーザの存在に関する在室関連情報、及び、照明装置30の点灯時間に関する点灯関連情報の少なくとも1つ以上を表示部26に表示させる。
【0091】
これによれば、ユーザは、自身の状態として、表示部26に表示された睡眠関連情報、在室関連情報、及び、点灯関連情報を認識することができる。補光の条件を設定する上でこれら情報を参考とすることで、ユーザの生体リズム機能を維持又は改善するために役立てることができる。
【0092】
本変形例でも上述の実施の形態2等と同様の作用効果を奏する。
【0093】
(実施の形態2の変形例2)
本変形例の制御システム20について説明する。
【0094】
本変形例では、
図9に示すように、表示部26が判定結果を表示する点で実施の形態2の制御システム20と相違する。
【0095】
図9は、実施の形態2の変形例2における制御システム20の表示部26に睡眠悪化の状態と睡眠良好の状態とを示す模式図である。
【0096】
本変形例の制御システム20の構成は、特に明記しない場合、実施の形態2等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0097】
本変形例では、
図9に示すように、判定部22aは、判定結果を表示部26に表示させる。つまり、判定部22aは、ユーザ情報に基づいて、判定したユーザの状態を、設定部22bを介して表示部26に出力する。これにより、表示部26は、ユーザの状態を表示する。表示部26は、例えば、判定結果として、一日前の睡眠状態(斜線のハッチングで示す)と一日前の覚醒状態(ドットのハッチングで示す)との時間帯、直近の1週間又は直近の2週間における睡眠良好の状態の有無及び睡眠悪化の状態の有無である。
【0098】
睡眠悪化の状態から睡眠良好の状態に改善した場合について、
図10を用いて説明する。
【0099】
図10は、実施の形態2の変形例2における制御システム20が補光の条件で所定の点灯期間ごとに点灯した場合の、ユーザの状態の変化を示す図である。
図10では、所定の点灯期間として、補光を行うための点灯期間を2週間とし、その次の期間として、ユーザの状態を判定するための点灯期間を1週間とした。本実施の形態では、当該2週間と当該1週間とを繰り返し実行した。
【0100】
図10に示すように、最初の2週間では、ユーザが睡眠悪化の状態であったため、光の照射条件として睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を照射した。次の1週間では、睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を照射しつつ、ユーザの状態を判定した。
図10では、判定結果としてユーザが睡眠悪化の状態であったため、さらに2週間、睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を照射した。さらに、次の1週間では、睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を照射しつつ、ユーザの状態を判定した。
図10では、ユーザが睡眠悪化の状態から睡眠良好の状態に改善されたため、次の2週間では、光の照射条件として睡眠良好者向けの通常の光を照射した。通常の光は、照明装置30による単なる点灯であり、補光による光ではない。また、次の1週間では、睡眠良好者向けとして通常の光を照射しつつ、ユーザの状態を判定した。以下、同様な処理を繰り返す。なお、睡眠良好者であっても、補光としての光を照射してもよい。
【0101】
このような、本変形例における制御システム20において、判定部22aは、判定結果を表示部26に表示させる。
【0102】
これによれば、ユーザは、自身の睡眠状態を認識することができる。補光の条件を設定する上でこれら情報を参考とすることで、ユーザの生体リズム機能を維持又は改善するために役立てることができる。
【0103】
本変形例でも上述の実施の形態2等と同様の作用効果を奏する。
【0104】
(実施の形態2の変形例3)
本変形例の制御システム20について説明する。
【0105】
本変形例では、
図11に示すように、表示部26が補光を行う期間を表示する点で実施の形態2の制御システム20と相違する。
【0106】
図11は、実施の形態2の変形例3における制御システム20の表示部26に睡眠悪化の状態と睡眠良好の状態と光の点灯期間とを示す模式図である。
【0107】
本変形例の制御システム20の構成は、特に明記しない場合、実施の形態2等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0108】
本変形例では、設定部22bは、補光の条件に含まれる補光を行う期間を表示部26に表示させる。設定部22bは、補光の条件を設定すると、設定した補光の条件を表示部26に出力する。これにより、表示部26は、設定部22bで設定された補光の条件を表示する。
【0109】
表示部26は、設定部22bで設定された補光の条件として、補光を行う点灯期間を表示する。補光を行う点灯期間は、補光の条件に応じて予め設定される期間である。例えば、直近の1週間においてユーザが睡眠悪化の状態であれば、設定部22bは、通常型を設定し、表示部26が通常型を表示する。通常型では、第1の点灯期間(例えば1週間、2週間である)だけ補光する。
【0110】
また、例えば、直近の1週間でユーザが睡眠良好の状態から睡眠悪化の状態に変化した履歴が記憶部25に存在する場合、設定部22bは、通常型に加えて延長型を設定し、表示部26が補光の条件として延長型であることも表示する。延長型は、第1の点灯期間をさらに所定期間だけ延長することを意味する。
【0111】
また、設定部22bは、例えば直近の2週間で常に睡眠良好の状態であれば、補光の条件を設定しなくてもよい。また、直近の3週間前から直近の1週間前までの間で睡眠悪化の状態であったユーザが、直近の1週間の間で睡眠良好の状態となっても、設定部22bは、通常型の補光の条件を設定してもよい。また、直近の2週間で連続してユーザが睡眠悪化の状態であれば、設定部22bは、通常型よりも補光としての光量を増加させた悪化型を、補光の条件として設定してもよい。悪化型では、第1の点灯期間よりも長い第2の点灯期間だけ補光してもよい。
【0112】
睡眠悪化の状態から睡眠良好の状態に改善したユーザが、再び睡眠悪化の状態に遷移した場合について、
図12を用いて説明する。
【0113】
図12は、実施の形態2の変形例3における制御システム20が補光の条件に応じて所定の点灯期間ごとに点灯した場合の、ユーザの状態の変化を示す図である。
図12では、所定の点灯期間として、補光を行うための点灯期間(補光期間)を2週間とし、その次にユーザの状態を判定するための点灯期間(判定期間)を1週間とした。本実施の形態では、補光期間と判定期間とを繰り返し実行した。
【0114】
図12に示すように、最初の2週間では、ユーザが睡眠悪化の状態であったため、光の照射条件として睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を照射した。次の1週間では、睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を照射しつつ、ユーザの状態を判定した。
図12では、判定結果としてユーザが睡眠悪化の状態から睡眠良好の状態に改善されたため、次の2週間では、光の照射条件として睡眠良好者向けとして通常の光を照射した。また、次の1週間では、睡眠良好者向けとして通常の光を照射しつつ、ユーザの状態を判定した。判定結果としてユーザが睡眠良好の状態から睡眠悪化の状態に戻ったため、睡眠悪化者を補光の条件に応じた光を出射する点灯期間を延長する。延長することとなった睡眠悪化者を延長対象者とする。
図12では、次の点灯期間を2週間から6週間に延長して、この6週間では、光の照射条件として睡眠悪化者向けの補光の条件に応じた光を睡眠悪化者に照射した。以下、同様な処理を繰り返す。
【0115】
<処理>
次に、本変形例における制御システム20の処理について説明する。
【0116】
図13は、実施の形態2の変形例3における制御システム20の動作を示すフローチャートである。
【0117】
図13に示すように、第1計測部21aがユーザの身体を計測し(S11)、判定部22aがユーザの身体に関するユーザ情報に基づいてユーザの状態を判定する(S12)。
【0118】
判定部22aは、ユーザの状態が睡眠悪化の状態であるか否かを判定する(S31)。
【0119】
ユーザの状態が睡眠悪化の状態である場合(S31でYES)、設定部22bは、規定期間内において睡眠良好の状態から睡眠悪化の状態に変化した履歴が記憶部25に存在しているかどうかを判定する(S32)。ここでいう規定期間は、任意に設定変更することができる期間であり、例えば、数週間から数か月である。
【0120】
設定部22bは、睡眠良好の状態から睡眠悪化の状態に変化した履歴が存在している場合(S32でYES)、補光の条件に延長型を付加する(S33)。
【0121】
ユーザの状態が睡眠悪化の状態でない場合(S31でNO)、判定部22aは、処理を終了する。また、設定部22bは、睡眠良好の状態から睡眠悪化の状態に変化した履歴が存在していない場合(S32でNO)も、処理を終了する。
【0122】
このような、本変形例における制御システム20において、設定部22bは、補光の条件に含まれる補光を行う期間を表示部26に表示させる。
【0123】
これにより、例えば、補光の条件が変化することによってユーザの受光量が減少する場合、睡眠良好の状態から睡眠悪化の状態に変化したユーザについては、1日当たりに浴びるべき受光量が足りていないことを認識することができる。このため、ユーザが再度の補光を受けることで、ユーザの生体リズム機能の維持又は改善に役立てることができる。
【0124】
本変形例でも上述の実施の形態2等と同様の作用効果を奏する。
【0125】
(実施の形態2の変形例4)
本変形例の制御システム20について説明する。
【0126】
本変形例では、
図14に示すように、計測装置121がユーザの在室時間及び点灯時間の少なくとも一方を計測する点で実施の形態2等の制御システム20と相違する。
【0127】
図14は、実施の形態2の変形例4における照明システム10の表示部26に表示される点灯関連情報、在室関連情報、及び、使用該当者を示す模式図である。
【0128】
本変形例の制御システム20の構成は、特に明記しない場合、実施の形態2等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0129】
本変形例では、計測装置121は、照明装置30の配置される室内にユーザが存在する在室時間、及び、照明装置30が点灯する点灯時間の少なくとも一方を計測する。
【0130】
計測装置121は、第1計測部21aの他に、第2計測部21bを有する。
【0131】
第2計測部21bは、照明装置30の配置される室内にユーザが存在する在室時間、及び、照明装置30が点灯する点灯時間の少なくとも一方を計測する。本実施の形態では、第2計測部21bは、在室時間及び点灯時間を計測する。第2計測部21bは、例えば、人感センサ及びタイマセンサ等の計時部の少なくとも一方を有する。第2計測部21bは、判定部22aと有線又は無線通信可能である。
【0132】
例えば、人感センサは、照明装置30の配置される室内での、ユーザの存在の有無を検知する。また、人感センサは、当該室内に存在するユーザの滞在時間を計測する。人感センサは、タイマ等の計時部を有する。人感センサは、当該室内に存在するユーザの在室時間を計測すると、計測した結果である在室時間を示す情報を判定部22aに出力する。
【0133】
また、タイマセンサは、室内に配置される照明装置30の点灯の有無を検知する。また、タイマセンサは、照明装置30の点灯時間を計測する。タイマセンサは、室内の照明装置30の点灯時間を計測すると、計測した結果である点灯時間を示す情報を判定部22aに出力する。
【0134】
判定部22aは、設定した補光の条件の対象となるユーザのユーザ情報を表示部26に出力することで、表示部26に表示させる。ユーザ情報は、さらに、ユーザが該当者か非該当者かを示す情報、及び、ユーザの年齢を示す情報を含む。該当者は、当該室内に所定時間以上、在室しているユーザを示す。非該当者は、当該室内に在室している期間が所定時間に満たないユーザを示す。ユーザが該当者であれば、照明装置30が補光の条件に応じた点灯をすることで、ユーザの生体リズム機能の維持又は改善を期待できる。しかし、ユーザが非該当者であれば、照明装置30が通常の点灯をしても、補光の条件に応じた点灯をしないため、ユーザの生体リズム機能の維持又は改善を期待できない。
【0135】
なお、判定部22aは、ユーザ情報、計測した在室時間及び点灯時間の少なくとも1つを表示部26に表示させればよく、本実施の形態のように、表示部26にこれら全てを表示させなくてもよい。
【0136】
図15は、実施の形態2の変形例4における照明システム10の表示部26に表示される身体情報、精神情報、及び、行動情報を示す模式図である。
【0137】
図15では、判定部22aは、身体情報として、ユーザの心拍数に関する情報を表示部26に表示させる。例えば、判定部22aは、ユーザの直近の1週間の心拍数の変化の度合いに基づいて、閾値以上の増加があるか否かを判定する。判定部22aは、判定した結果として、直近1週間の心拍数の増減(心拍数に関する情報の一例)を表示する。また、例えば、判定部22aは、ユーザの直近の1週間の心拍数の変化の度合いに基づいて、不規則性があるかどうかを判定する。判定部22aは、判定した結果として直近1週間の心拍数の不規則性の有無(心拍数に関する情報の一例)を表示する。心拍数の不規則性は、単位時間当たりの最大値と最小値との差分値で示される。
【0138】
また、判定部22aは、精神情報として、ユーザのうつ状態の度合いを表示部26に表示させる。判定部22aは、例えば、うつ尺度に基づいて、ユーザのうつ状態の度合いを適宜判定する。
【0139】
また、判定部22aは、行動情報として、ユーザの服薬の有無と活動量とを、表示部26に表示させる。例えば、判定部22aは、ユーザが服薬する薬の種類数が閾値以上であるか否かを判定し、判定した結果を表示部26に表示させる。また、判定部22aは、ユーザの活動量が直近の1週間の活動量に基づいて、閾値以上の減少があるか否かを判定し、判定した結果を表示部26に表示させる。
【0140】
このような、本変形例における制御システム20は、ユーザの身体を計測することで、ユーザの身体に関するユーザ情報を出力する計測装置121を備える。また、計測装置121は、照明装置30の配置される室内にユーザが存在する在室時間、及び、照明装置30が点灯する点灯時間の少なくとも一方を計測する。そして、判定部22aは、設定した補光の条件の対象となるユーザ情報、計測した在室時間及び点灯時間の少なくとも1つを表示部26に表示させる。
【0141】
これにより、該当者については、補光の条件により、ユーザの生体リズム機能の維持又は改善を期待できることを認識できる。また、非該当者については、補光の条件により、ユーザの生体リズム機能の維持又は改善を期待できないことを認識できる。この場合、補光以外の手段によって、非該当者のユーザに補光以外の手段が必要であるかどうかの目安にすることができる。
【0142】
本変形例でも上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0143】
このような、本変形例における制御システム20において、ユーザ情報は、ユーザの年齢を含む。
【0144】
これによれば、年齢に応じて睡眠時間が変化し、さらに加齢により睡眠時間が減少する傾向にあることを考慮すると、ユーザの睡眠効率を精度よく判定することができる。
【0145】
このような、本変形例における制御システム20において、判定部22aは、ユーザ情報として、ユーザの身体を示す身体情報、ユーザの精神を示す精神情報、及び、ユーザの行動を示す行動情報の少なくとも1以上の情報を表示部26に表示させる。
【0146】
これによれば、ユーザの睡眠状態を計測する計器と連携しなくても、取得可能な身体情報、精神情報、及び、行動情報の少なくとも1以上に基づいて、ユーザの状態を容易に判定することができる。
【0147】
本変形例でも上述の実施の形態2等と同様の作用効果を奏する。
【0148】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4等に限定されるものではない。
【0149】
例えば、上記の実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4に係る制御システムにおいて、設定部は、計測する計測装置の形態を表示部に表示させてもよい。計測装置の形態は、使用している計測装置であり、例えば、腕時計型、電波センサ型、マット型等である。これによれば、計測装置の特徴を表示することができる。このため、例えば、種類の異なる計測装置を使用した場合でも、種類に応じてユーザの身体を精度よく計測することができる。
【0150】
例えば、上記の実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4に係る制御システムにおいて、上述の活動量は、活動量計で測定してもよいし、ユーザの滞在場所又は家電等の利用履歴から推測してもよい。
【0151】
また、上記実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4に係る制御システム及び照明システムは、コンピュータを用いたプログラムによって実現され、このようなプログラムは、記憶装置に記憶されてもよい。
【0152】
また、上記各実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4に係る制御システム及び照明システムに含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0153】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0154】
なお、上記各実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0155】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4は例示された数字に制限されない。
【0156】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0157】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0158】
その他、実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1、2、実施の形態1の変形例及び実施の形態2の変形例1~4における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
10 照明システム
20 制御システム
21、121 計測装置
22a 判定部
22b 設定部
23 制御部
26 表示部
30 照明装置