(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】窓用カメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20231215BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231215BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20231215BHJP
【FI】
H04N23/50
G03B17/02
G03B17/56 A
(21)【出願番号】P 2020000481
(22)【出願日】2020-01-06
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹重 亮汰
(72)【発明者】
【氏名】弘中 順平
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】野見山 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 隆嗣
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕揮
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-23571(JP,A)
【文献】米国特許第5904330(US,A)
【文献】特開2008-15217(JP,A)
【文献】特開2006-98847(JP,A)
【文献】特開平11-69211(JP,A)
【文献】米国特許第8860879(US,B1)
【文献】特開2008-17338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G03B 17/02
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の屋内面から屋外を撮像する撮像部と、
前記屋内面に平行に対向する矩形状の取付面を有し、前記取付面に前記撮像部を凹設するとともに、前記取付面における一対の対角線の交点に前記撮像部の光軸を一致させて配置する筐体と、
弾性材により形成され、前記取付面から前記屋内面に向かって突出して前記取付面の外形に沿う矩形枠状に形成され前記筐体からの押圧により弾性変形して前記屋内面と前記取付面との隙間を塞ぐ遮光部材と、を備える、
窓用カメラ。
【請求項2】
前記遮光部材は、前記屋内面に向かって突出する先端側を外側に開くテーパで形成される、
請求項1に記載の窓用カメラ。
【請求項3】
前記取付面は、前記撮像部における撮像領域と同一のアスペクト比で形成される、
請求項1または2に記載の窓用カメラ。
【請求項4】
前記アスペクト比は、長辺:短辺が16:9である、
請求項3に記載の窓用カメラ。
【請求項5】
前記筐体は、
前記取付面に備えられ、弾性材により形成された吸盤片と、
前記取付面上に備えられ、前記屋内面と前記取付面との隙間を塞ぐ吸着板と、
前記吸盤片を前記光軸方向と平行な方向に伸長させる可動板部と、
操作レバーの回転操作と連動して、前記可動板部を可動させて前記吸盤片を伸長させ、前記吸盤片と前記屋内面と前記吸着板と前記可動板部によって形成される空間を膨張させて前記空間を負圧にする吸盤吸着機構と、をさらに備える、
請求項1に記載の窓用カメラ。
【請求項6】
前記吸盤片は、前記吸着板の中央に配置され、
前記吸着板は、前記遮光部材の非変形時の突出長と同一の厚みで前記取付面から突出し、前記撮像部に隣接されて前記取付面における長手方向の略半分となる略矩形状の吸着面積を有して前記取付面に備えられる、
請求項5に記載の窓用カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓用カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓ガラス等の平面な透明部材に固定されるカメラユニットが知られている(特許文献1)。このカメラユニットは、交通流計測システムに用いられる。交通流計測システムは、撮影により画像データを取得するためのカメラユニットと、取得した画像データに基づいて道路の交通情報を取得するための交通流計測装置とを備える交通流計測システムであって、カメラユニットは、撮像部と、透明部材にカメラユニットを固着させるための固着部である吸盤と、撮像された撮像画像に透明部材からの反射光が映り込まないようにするための映り込み防止手段とを備え、道路の周辺の透明部材により仕切られた窓部を有する建築物の屋内に設置され、透明部材を介して、道路を撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のカメラユニットでは、透明部材からの反射光が映り込まないようにするために、撮像部と透明部材(例えば窓)との隙間を遮光用部材(例えば、黒紙、スポンジ等)で塞ぐ必要がある。しかし、ユーザが自宅の窓にカメラユニットを設置して屋外を撮像する場合には、遮光用部材を別途用意しなければならず、設置が煩雑となっていた。また近年、断熱性の向上を目的として、2枚以上のガラスで構成された複層ガラスを窓として使用する住宅が増えている。このような窓にカメラが設置された場合、カメラによって撮像された撮像映像には、屋内の照明等の屋内光が屋外側のガラスに反射して撮像映像に映り込み、撮像映像の画質を低下させていた。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、窓に設置可能であって、屋内光の窓ガラスでの反射による映り込みをより的確に抑制して撮像画像の画質を向上する窓用カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、窓の屋内面から屋外を撮像する撮像部と、前記屋内面に平行に対向する矩形状の取付面を有し、前記取付面に前記撮像部を凹設するとともに、前記取付面における一対の対角線の交点に前記撮像部の光軸を一致させて配置する筐体と、弾性材により形成され、前記取付面から前記屋内面に向かって突出して前記取付面の外形に沿う矩形枠状に形成され前記筐体からの押圧により弾性変形して前記屋内面と前記取付面との隙間を塞ぐ遮光部材と、を備える、窓用カメラを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、窓に設置可能であって、屋内光の窓ガラスでの反射による映り込みをより的確に抑制して撮像画像の画質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】窓用カメラにおけるレンズの光軸を含む面で切断した断面斜視図
【
図3】背面カバーが取り外された窓用カメラの斜視図
【
図11】吸盤片の吸着解除状態におけるB-B断面図
【
図13】取付面のアスペクト比に応じて撮像される撮像画像の比較例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る窓用カメラを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
図1は、実施の形態1に係る窓用カメラ11の外観斜視図である。実施の形態1に係る窓用カメラ11は、例えば1枚あるいは2枚以上のガラス(つまり複層ガラス)により構成された窓27のうち、ユーザにより屋内側ガラス99に吸着あるいは貼り付けて取り付けられ、窓27を介して屋外を撮像する。なお、複層ガラスは、2重ガラス(所謂ペアガラス)に限定されず、例えば3重ガラスあるいは4重ガラスであってもよい。2重ガラスは、一例として、それぞれのガラスの厚みが3mmであり、2枚のガラス間31の距離(
図6参照)は、例えば6.35mmである。複層ガラスは、ガラス間31に乾燥空気が封入されて密閉されることにより、単層ガラスの窓に比べ高い断熱性を有する。
【0011】
実施の形態1に係る窓用カメラ11は、撮像部13と、筐体15と、遮光用リップ17(遮光部材の一例)とを少なくとも含んで構成される。窓用カメラ11は、吸盤片43、あるいは吸盤片43と複数の両面テープ97のそれぞれを用いて屋内側ガラス99に取り付けられる。さらに、窓用カメラ11は、吸着板91と反対側の取付面47に、短辺に沿う方向に長い帯状の吸着片95を備える。吸着片95は、弾性材により形成され、窓27への吸着力をさらに向上できる。
【0012】
図2は、窓用カメラ11におけるレンズ19の光軸53を含む面で切断した断面斜視図である。
【0013】
撮像部13は、少なくともレンズ19とイメージセンサ23とを有して構成される。イメージセンサ23は、例えばCCD(Charged-coupled device)あるいはCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)などの固体撮像素子であり、レンズ19から取り込んだ撮像光21を撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。レンズ19は、レンズ保持部25により保持される。イメージセンサ23は、レンズ19の光軸53に垂直に配置される。撮像部13は、複層ガラスにより構成された窓27の屋内面29から屋外を撮像する。
【0014】
図3は、背面カバー33が取り外された窓用カメラ11の斜視図である。撮像部13の背部(言い換えると、屋内側)には、液晶表示装置35が設けられる。液晶表示装置35は、撮像部13によって撮像された撮像画像を表示する。これにより、窓用カメラ11は、液晶表示装置35に表示された撮像画像により、ユーザによる取付位置における撮像画像の視認を可能とする。また、窓用カメラ11は、背面カバー33が筐体15に取り付けられることにより覆われる。
【0015】
窓用カメラ11は、筐体15の内部に設定ボタン37およびリセットボタン39を有する操作パネル41を備える。撮像部13の一方の側方には、
図2に示した吸盤片43を動作させる吸盤吸着機構45が配置される。これらの操作パネル41および吸盤吸着機構45は、背面カバー33が筐体15に取り付けられると、背面カバー33により覆われる。
【0016】
図4は、窓用カメラ11の正面図である。
図4に示す窓用カメラ11は、取付面47側(つまり屋外)から見た図である。
【0017】
筐体15は、例えば合成樹脂により薄厚の矩形状に成形される。筐体15は、屋内面29に平行に対向する矩形状の取付面47を有して形成される。筐体15は、この取付面47に、撮像部13が備えるレンズ19が凹設される。撮像部13は、矩形状に形成された筐体15の一対の対角線49の交点51にレンズ19の光軸53(
図5参照)を一致させて配置される。
【0018】
図5は、
図4のA-A断面図である。
図5は、撮像部13におけるレンズ19の光軸53を含む断面線A-Aで切断した断面図である。
【0019】
窓用カメラ11における矩形状の取付面47は、撮像部13の撮像領域(つまり、イメージセンサ23におけるセンサ検知領域)と同一のアスペクト比で形成される。窓用カメラ11が備える撮像部13の撮像領域のアスペクト比は、長辺:短辺が16:9である。
【0020】
図6は、窓27による屋内光57の反射経路例を説明する図である。なお、上記のように、窓用カメラ11は、取付面47が撮像領域(センサ検知領域)と同一のアスペクト比16:9で形成される。
【0021】
筐体15は、取付面47の背面(屋内側)に、筐体15の矩形状の外形に沿って起立する周壁61(
図3参照)が形成される。この周壁61の内側には、撮像部13、操作パネル41、吸盤吸着機構45、制御基板63(
図10参照)および金属により形成された放熱部65(
図10参照)等が配置される。筐体15は、周壁61に、背面カバー33が嵌合して固定される。筐体15は、下辺側の周壁61に、複数のスリット67のそれぞれが平行に開口した通気孔69を左右に有する。また、筐体15は、下辺側の周壁61の中央部に、背面カバー33から露出する電源コネクタ70(
図5参照)を備える。
【0022】
電源コネクタ70は、AC(Alternating Current)アダプタが接続され、撮像部13あるいは制御基板63等に電源を供給する。
【0023】
遮光用リップ17は、弾性材により形成され、取付面47から窓27の屋内面29に向かって突出して設けられ、屋内光57を遮光する。遮光用リップ17は、取付面47の外形に沿う略矩形枠状に形成される。すなわち、遮光用リップ17は、
図2に示すように、一対の長辺方向のリップ71と、一対の短辺方向のリップ71とによって矩形枠状に構成される。遮光用リップ17は、取付面47の周囲に凹設された周溝73(
図2参照)に、断面四角形に形成されたリップ本体部75が嵌入されて備えられる。遮光用リップ17は、このリップ本体部75からヒレ状のリップ71が外側、つまり取付面47から屋内側ガラス99に向かって傾斜して突出される。この遮光用リップ17は、筐体15が窓27に設置された際に、吸盤片43が窓27に吸着する吸着力によりリップ71が弾性変形し、屋内面29と取付面47との間の隙間を遮光可能に塞ぐ。
【0024】
なお、遮光用リップ17は、一対の長辺方向のリップ71と、一対の短辺方向のリップ71とのそれぞれが、筐体15の四隅のそれぞれに対応する4箇所で切り離された4本のリップとして構成されてもよい。なお、実施の形態1に係る遮光用リップ17は、4辺のそれぞれが筐体15の四隅のそれぞれに対応する4箇所で切り離された4本の遮光用リップにより構成される。また、1本の遮光用リップを用いる場合には、遮光用リップは、筐体15の四隅のそれぞれに対応する4箇所に若干の切れ目77(
図2参照)が設けられてもよい。これにより、遮光用リップ17は、リップ71の捲れや折れを抑制することができる。また、切れ目77は、リップ71が弾性変形してつぶれた際に、この切れ目77同士がつぶれて、屋内面29と取付面47との間の隙間を遮光可能に塞ぐ。
【0025】
窓用カメラ11は、遮光用リップ17が、屋内面29に向かって突出する先端側を外側(筐体15から屋内側ガラス99に向かって)に開くテーパ状に形成される(
図5参照)。遮光用リップ17は、外側に開くテーパ状に形成されることにより、遮光用リップ17の先端が屋内面29に接触すると、筐体15の中心(交点51)から外側(筐体15の矩形状の四隅)向かう方向に拡開可能となる。これにより、遮光用リップ17は、窓用カメラ11を窓27に取り付ける際に、吸盤片43の吸着により屋内面29に押圧され、屋内面29に接触したままの状態を維持することができる。
【0026】
図7は、窓用カメラ11の背面図である。窓用カメラ11は、筐体15の背面が、背面カバー33により覆われる。背面カバー33は、後方(屋内側)に向かって背面カバー33の中央部が突出する凸曲面状に形成される。また、背面カバー33は、背面カバー33の長辺が中央に向かって徐々に接近する曲線を有して形成される。
【0027】
図8は、窓用カメラ11の平面図である。窓用カメラ11は、窓27に取り付けられていない状態で、取付面47から遮光用リップ17の先端が僅かに突出する。
【0028】
遮光用リップ17の先端は、筐体15が吸盤吸着機構45により屋内面29に吸着されることにより弾性変形してつぶれ、筐体15と屋内面29との間を閉塞し、平面視ではほぼ見えなくなる。遮光用リップ17は、上記のように外開きのテーパ状に形成されるため、吸着してつぶれることにより、先端が更に筐体15の中心(交点51)から外側(矩形状に形成された筐体15の四隅)向かう方向に拡開する。
【0029】
図9は、窓用カメラ11の側面図である。窓用カメラ11は、筐体15の両側部に、ユーザの手指を引っ掛ける凹部79を備える。凹部79は、背面カバー33を筐体15から取り外す際に、ユーザの手指の挿入部分となる。
【0030】
窓用カメラ11は、窓27に取り付けられていない状態の側面視において、上下に長辺方向のリップ71が見える。また、上下の長辺方向のリップ71の間には、短辺方向のリップ71が見える。
【0031】
図10は、吸盤片43の吸着状態におけるB-B断面図である。
図10において、操作レバー81は、筐体15側に押し上げられ、吸盤片43を屋内面29に吸着させた吸着状態にする。
【0032】
吸盤吸着機構45は、吸盤片43と、操作レバー81と、機構ハウジング83とを含んで構成される。吸盤吸着機構45は、操作レバー81の回転により吸盤片43を屋内の大気圧より負圧にすることで屋内面29に吸着させる。なお、吸着板91は、筐体15の長手方向において、撮像部13と隣り合って並んで配置される。また、吸着板91は、吸盤片43に接着されて一体に形成され、窓27に窓用カメラ11を吸着させる吸盤としての機能を実現する。
【0033】
機構ハウジング83には、操作レバー81が回転自在に支持される。操作レバー81は、ユーザにより操作され、筐体15が取付面47に接触した状態で筐体15へ向かって押し上げる押し上げ方向に操作される。
【0034】
窓用カメラ11は、ユーザにより筐体15における吸着板91が屋内面29に取り付けられる(つまり接触する)と、吸盤片43、屋内面29、可動板部87および吸着板91によって囲まれた空間V1が形成される。
【0035】
持杆85は、吸盤片43および吸着板91と一体に形成される。持杆85は、操作レバー81の回転操作と連動して撮像部13の光軸53方向と平行な方向に動く可動板部87を備える。可動板部87は、操作レバー81の回転操作と連動し、吸盤片43を屋内面29に離間する方向に伸長させて、空間V1を膨張させる。
【0036】
ここで、リリースばね89は、可動板部87によって屋内面29に接近する方向に付勢されて配置される。
【0037】
空間V1は、ユーザによる操作レバー81の操作に基づいて、吸盤片43が屋内面29に離間する方向に伸長することにより膨張されて負圧の状態となる。これにより、吸盤片43、持杆85および吸着板91からなる吸盤は、屋内側ガラス99に吸着し、吸着状態になる。
【0038】
また、窓用カメラ11は、制御基板63上にWi-Fi(登録商標)チップ(不図示)を備える。Wi-Fi(登録商標)チップは、例えばスマートフォン、タブレット、PC(Personal Computer)等の端末装置との間で、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)を介した無線通信を利用してデータの送受信を可能する。窓用カメラ11は、無線通信可能に接続された端末装置に撮像された撮像映像のデータを送信する。
【0039】
図11は、吸盤片43の吸着解除状態におけるB-B断面図である。
図11において、操作レバー81は、筐体15から遠ざかるように押し下げられ、吸盤片43を吸着解除状態にする。
【0040】
操作レバー81は、ユーザにより操作され、筐体15から離間する押し下げ方向に操作されると、リリースばね89の弾性力を受けて持杆85を介して可動板部87が屋内面29に接近する方向に移動する。これにより、吸盤片43は、伸縮されて元の形状に戻る。よって、吸盤片43、屋内面29、可動板部87および吸着板91によって形成された空間V1は、負圧の状態から屋内の大気圧と同じ気圧となって、吸着解除状態となる。以上により、窓用カメラ11は、屋内側ガラス99(屋内面29)から取り外し可能となる。
【0041】
図2に示すように、窓用カメラ11における吸盤片43は、弾性材により形成された吸着板91の中央に配置される。
図10に示すように、吸着板91は、遮光用リップ17の非変形時の突出長と同一の厚みで取付面47から突出する。また、吸着板91は、
図4に示すように、レンズ19を挟み取付面47における長手方向の略半分となる四角形の吸着面積を有し、取付面47に貼着される。吸着板91は、弾性材により形成され、例えばシリコンゴム等が好適となる。吸着板91は、弾性材により形成されることで粘着性を有し、窓用カメラ11が取り付けられた屋内側ガラス99上で粘着して滑り止めとなって、窓用カメラ11の取り付けを支援できる。
【0042】
また、窓用カメラ11は、取付面47のそれぞれの短辺に沿って窓用カメラ11を窓27へ取り付けるための両面テープ97が取り付けられる。これにより、窓用カメラ11は、筐体15を両面テープ97によって窓27に貼り付け、取り付け可能となる。よって、窓用カメラ11は、吸盤片43だけでなく、両面テープ97を用いて窓27により確実に貼り付けできる。また、先に両面テープ97を貼り付けることで、ユーザは、窓27に吸盤片43を吸着させる際に位置ズレすることなく、取り付けできる。なお、両面テープ97は、吸盤片43を使用せずに窓27に貼り付け可能である。
【0043】
図12は、窓27による屋内光57の反射経路例の要部拡大図である。
【0044】
窓用カメラ11は、撮像部13より遠い屋外側ガラス55によって反射する屋内光57を、筐体15の外形となる周縁59によって遮光する。すなわち、
図12の屋内光57よりもレンズ19の内側へ入射しようとする屋内光57は、筐体15の周縁59によって遮光される。これにより、窓用カメラ11は、屋内側ガラス99を通過して屋外側ガラス55の内面で反射してレンズ19に入る屋内光57を、筐体15の矩形状の周縁59によって遮光できる。なお、窓用カメラ11は、筐体15の長辺側においても屋内光57が筐体15の周縁59により同様に遮光される。
【0045】
また、筐体15を窓用カメラ11の屋内面29に取り付けた際に生じる屋内面29と取付面47との隙間は、遮光用リップ17が弾性変形して窓27の屋内面29に沿って密着する。よって、窓用カメラ11は、遮光用リップ17により屋内面29の僅かな凹凸によって生じる隙間を塞いで遮光できる。
【0046】
図13は、取付面47のアスペクト比に応じて撮像される撮像画像の比較例を示す図である。
【0047】
撮像画像101は、取付面47のアスペクト比が例えば4:3の場合に撮像された撮像画像である。取付面47が撮像部13の撮像領域と異なるアスペクト比により形成されている場合、屋外側ガラス55により反射された屋内光57が撮像部13の撮像領域に入射した撮像画像101が取得される。このような場合、遮光範囲の外側には、レンズ19の縁103が映り込む。このような映り込みは、屋内より屋外が暗いときにより顕著となる。
【0048】
以上により、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、窓27の屋内面29から屋外を撮像する撮像部13と、屋内面29に平行に対向する矩形状の取付面47を有し、取付面47に撮像部13のレンズ19を凹設するとともに、取付面における一対の対角線49の交点51にレンズ19の光軸53を一致させて配置する筐体15と、弾性材により形成され、取付面47から屋内面29に向かって突出して取付面47の外形に沿う矩形枠状に形成され筐体15からの押圧により弾性変形して屋内面29と取付面47との隙間を塞ぐ遮光用リップ17と、を備える。
【0049】
これにより、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、窓27に設置可能であって、屋内光が窓27での反射による映り込みをより的確に抑制して撮像画像の画質を向上できる。また、実施の形態1に係る窓用カメラ11における取付面47には、取付面47の外形(輪郭)に沿って矩形枠状の遮光用リップ17が設けられ、吸盤片43等により窓27の屋内面29に吸着される筐体15からの押圧力により、弾性変形して屋内面29と取付面47との隙間を塞ぐため、例えば2枚以上のガラスを備える窓27に取り付けられても、屋内光が窓27での反射による映り込みをより的確に抑制して撮像画像の画質を向上できる。
【0050】
さらに、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、窓用カメラ11が取り付けられた方の窓と反対側の窓が開けられた際に、複数の窓のそれぞれが複層ガラスとして機能した場合であっても、遮光用リップ17により屋内光による映り込みを抑制するとともに、撮像画像の画質を向上できる。
【0051】
また、実施の形態1に係る窓用カメラ11が備える遮光用リップ17は、屋内面29に向かって突出する先端側を外側に開くテーパ状に形成される。つまり、遮光用リップ17は、筐体15が窓27の屋内面29に取り付けられると、筐体15からの押圧力により、が弾性変形してテーパが更に外側へ開くように変形してつぶれる。よって、遮光用リップ17は、先端が屋内面29に密接したまま拡開することとなり、屋内面29に接触したままの状態を維持することができる。これにより、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、筐体15が吸盤片43等により屋内面29に押しつけられて固定される場合においても、遮光用リップ17が捲れたり、折れ曲がったりせず、取付面47と屋内面29の隙間からレンズ19へ侵入しようとする屋内光57をより遮ることができ、撮像画像の画質を向上できる。
【0052】
また、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、矩形状に形成された取付面47が、撮像部13の撮像領域(イメージセンサ23におけるセンサ検知領域)と同一のアスペクト比で形成される。つまり、矩形状の取付面47と撮像部13の撮像領域(イメージセンサ23におけるセンサ検知領域)とは、相似形状となる。つまり、窓用カメラ11は、筐体15の取付面47が、撮像領域と同一のアスペクト比で形成される。矩形状の取付面47は、短辺がセンサ検知領域の短辺と平行となり、長辺がセンサ検知領域の長辺と平行となる。つまり、取付面47と撮像部13の撮像領域とは、ほぼ相似形となる。これにより、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、このアスペクト比で形成されたセンサ検知領域以外に入射する不要な反射光を筐体15の外形における周縁59により効率的に遮光できる。
【0053】
また、実施の形態1に係る窓用カメラ11における取付面47のアスペクト比は、長辺:短辺が16:9となる。これにより、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、このアスペクト比で形成されたセンサ検知領域以外に入射する不要な反射光を筐体15の外形における周縁59により効率的に遮光できる。なお、取付面47が有するアスペクト比は、これに限定されず、撮像領域と相似形となればよい。
【0054】
また、実施の形態1に係る窓用カメラ11における筐体15は、取付面47に備えられ、弾性材により形成された吸盤片43と、取付面47上に備えられ、屋内面29と取付面47との隙間を塞ぐ吸着板91と、吸盤片43を撮像部13の光軸53方向と平行な方向に伸長させる可動板部87と、操作レバー81の回転操作と連動して、可動板部を可動させて吸盤片を伸長させ、吸盤片と屋内面と吸着板と可動板部によって形成される空間V1を膨張させて空間V1を負圧にする吸盤吸着機構45と、をさらに備える。これにより、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、吸盤吸着機構45における操作レバー81の回転操作により、筐体15を窓用カメラ11に吸着させて容易に取り付け可能となる。また、これにより、窓用カメラ11は、両面テープ97を用いて筐体15を直接窓に固定しなくてよい。よって、窓用カメラ11は、ユーザにより窓用カメラ11の取り付け位置を容易に変更可能となるとともに、取り外した後に両面粘着テープの粘着材の剥がれ残しが残らない。
【0055】
窓用カメラ11は、吸盤片43が、弾性材により形成された吸着板91の中央に配置され、吸着板91が、遮光用リップ17の非変形時の突出長と同一の厚みで取付面47から突出し、レンズ19を挟み取付面47における長手方向の略半分となる四角形の吸着面積を有して取付面47に貼着される。
【0056】
また、実施の形態1に係る窓用カメラ11における吸盤片43は、吸着板91の中央に配置される。吸着板91は、遮光用リップ17の非変形時の突出長と同一の厚みで取付面47から突出し、撮像部13に隣接されて取付面47における長手方向の略半分となる略矩形状の吸着面積を有して取付面47に備えられる。これにより、実施の形態1に係る窓用カメラ11は、大気圧よりも負圧の状態となる空間V1の気密性を保持可能となる。また、吸着板91は、弾性材により形成され、取付面47の略半分となる大きな吸着面積で屋内面29に接触する。よって、窓用カメラ11は、吸着板91が有する吸着性により、屋内面29と吸着することで屋内面29への固定力を向上できる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、窓に設置可能であって、屋内光の窓ガラスでの反射による映り込みをより的確に抑制して撮像画像の画質を向上する窓用カメラの提示として有用である。
【符号の説明】
【0059】
11 窓用カメラ
13 撮像部
15 筐体
17 遮光用リップ
19 レンズ
23 イメージセンサ
27 窓
29 屋内面
43 吸盤片
45 吸盤吸着機構
47 取付面
49 対角線
51 交点
53 光軸
81 操作レバー
87 可動板部
91 吸着板
99 屋内側ガラス
V1 空間