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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】換気装置及び換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20231215BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20231215BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/007 B
F24F7/06 101B
F24F13/20 205
F24F13/20 207
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019206579
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021081091
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚武
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0123603(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009355(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0088131(US,A1)
【文献】特開平09-229439(JP,A)
【文献】特開2000-297956(JP,A)
【文献】特開2000-304269(JP,A)
【文献】特開2006-336883(JP,A)
【文献】特開昭62-186161(JP,A)
【文献】特開平11-168286(JP,A)
【文献】特開2017-207261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口を有する金属製の本体ケースと、
前記本体ケース内に配置されているファンと、
アンテナを有し、所定波長の電波を媒体として無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部に接続されており、前記無線通信部において受信した信号に応じて前記ファンを制御する制御部と、を備え、
前記本体ケースは、
下面と、上面と、前記下面の前端縁と前記上面の前端縁とつないでいる前面と、を有し、前記吸気口を有する箱状の吸気部と、
前記吸気部の前記上面上に位置し前記排気口を有する排気部と、を含み、
前記吸気部は、
前記上面にあり、上下方向において前記無線通信部の少なくとも一部に重なる第1開口と、
前記前面にあり、前後方向において前記無線通信部の少なくとも一部に重なる第2開口と、を有し、
前記無線通信部は、プリント基板と前記アンテナとRFICとを含む無線通信モジュールを収納している樹脂製のモジュールケースを更に有する、
換気装置。
【請求項2】
前記本体ケースを上側から見たときに、前記前後方向において前記第1開口と前記第2開口とが重なっている、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記第1開口は、前記上下方向において前記アンテナと重なっている、
請求項1又は2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記第2開口は、前記前後方向において前記アンテナと重なっている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項5】
前記第1開口を覆っており、前記電波を透過する第1カバーと、
前記第2開口を覆っており、前記電波を透過する第2カバーと、を更に備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項6】
前記第1カバーの材料は、樹脂を含む、
請求項5に記載の換気装置。
【請求項7】
前記第2カバーの材料は、樹脂を含む、
請求項5又は6に記載の換気装置。
【請求項8】
前記上下方向と前記前後方向とに直交する方向における前記第1開口の最大開口幅が、前記所定波長の1/2よりも大きい、
請求項1~7のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項9】
前記上下方向と前記前後方向とに直交する方向における前記第2開口の最大開口幅が、前記所定波長の1/2よりも大きい、
請求項1~8のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項10】
前記第1開口の開口形状は矩形状である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項11】
前記第2開口の開口形状は矩形状である、
請求項1~10のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の換気装置と、
前記換気装置の前記無線通信部と無線通信を行う機器と、を備える、
換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置及び換気システムに関し、より詳細には、室内の換気に利用される換気装置、及びそれを備える換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱調理器の上方に設置されるレンジフード(換気装置)が記載されている。特許文献1に記載されたレンジフードは、ファンユニットと、フレームユニットと、整流板と、通信モジュールと、を備える。
【0003】
フレームユニットは、ファンユニットに接続されている。整流板は、フレームユニットの下方に設けられている。
【0004】
フレームユニットは、通信モジュールを搭載する金属製の搭載部を有する。搭載部は、箱形状であり、例えば、上面に開口を有する。
【0005】
通信モジュールは、送受信部ケースと、送受信部と、を有する。送受信部ケースは、ケース部と、カバー部と、を有する、ケース部は、送受信部を覆う。カバー部は、例えば樹脂又はガラスからなる。通信モジュールは、搭載部の開口から搭載部に挿入されている。通信モジュールでは、送受信部ケースのカバー部が、搭載部の開口を塞ぐように搭載部の上面に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-54282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
換気装置の分野においては、通信性能の向上が望まれることがあった。
【0008】
本開示の目的は、通信性能の向上を図ることが可能な換気装置及び換気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る換気装置は、本体ケースと、ファンと、無線通信部と、制御部と、を備える。前記本体ケースは、金属製である。前記本体ケースは、吸気口及び排気口を有する。前記ファンは、前記本体ケース内に配置されている。前記無線通信部は、アンテナを有し、所定波長の電波を媒体として無線通信を行う。前記制御部は、前記無線通信部に接続されている。前記制御部は、前記無線通信部において受信した信号に応じて前記ファンを制御する。前記本体ケースは、吸気部と、排気部と、を含む。前記吸気部は、下面と、上面と、前記下面の前端縁と前記上面の前端縁とつないでいる前面と、を有し、前記吸気口を有する箱状である。前記排気部は、前記吸気部の前記上面上に位置し前記排気口を有する。前記吸気部は、第1開口と、第2開口と、を更に有する。前記第1開口は、前記上面にあり、上下方向において前記無線通信部の少なくとも一部に重なる。前記第2開口は、前記前面にあり、前後方向において前記無線通信部の少なくとも一部に重なる。前記無線通信部は、プリント基板と前記アンテナとRFICとを含む無線通信モジュールを収納している樹脂製のモジュールケースを更に有する。
【0010】
本開示の一態様に係る換気システムは、前記換気装置と、機器と、を備える。前記機器は、前記換気装置の前記無線通信部と無線通信を行う。
【発明の効果】
【0011】
本開示の換気装置及び換気システムは、通信性能の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは、実施形態に係る換気装置の上側から見た斜視図である。図1Bは、同上の換気装置に無線通信部の透視斜視図である。
図2図2は、同上の換気装置の設置例を説明するための斜視図である。
図3図3は、同上の換気装置における無線通信部の斜視図である。
図4図4は、同上の換気装置のブロック図である。
図5図5は、同上の換気装置を備える換気システムの構成図である。
図6図6Aは、同上の換気装置における無線通信部のX-Y方向の特性図である。図6Bは、同上の換気装置における無線通信部のY-Z方向の特性図である。図6Cは、同上の換気装置における無線通信部のX-Z方向の特性図である。
図7図7Aは、比較例に係る換気装置の上側から見た斜視図である。図7Bは、同上の換気装置に無線通信部の透視斜視図である。
図8図8Aは、同上の換気装置における無線通信部のX-Y方向の特性図である。図8Bは、同上の換気装置における無線通信部のY-Z方向の特性図である。図8Cは、同上の換気装置における無線通信部のX-Z方向の特性図である。
図9図9Aは、実施形態の変形例1に係る換気装置の設置例を説明するための斜視図である。図9Bは、同上の換気装置の設置例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記の実施形態等において説明する図1A、1B、2、3、7A、7B、9A及び9Bは、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
(実施形態)
以下、実施形態に係る換気装置1及びそれを備える換気システム100について、図1A~5に基づいて説明する。
【0015】
(1)概要
実施形態に係る換気装置1は、例えば、図2に示すように、調理器210の上方に配置されるレンジフードである。図2では、換気装置1が住宅200のキッチン209の調理器210の上方に配置された例を示している。住宅200は、例えば、2階建ての戸建て住宅であるが、これに限らず、例えば、1階建て又は3階建ての戸建て住宅であってもよいし、集合住宅の住戸であってもよい。調理器210は、例えば、電磁調理器であるが、これに限らず、例えばガスコンロであってもよい。住宅200が2階建て又は3階建ての戸建て住宅の場合、調理器210は、例えば、住宅200の1階のキッチンに配置される。
【0016】
換気装置1は、建物(戸建て住宅、集合住宅、商業施設、店舗、工場、遊戯施設、テーマパーク、空港、鉄道駅、ドーム球場、ホテル等)に設けられる場合に限らず、例えば、電車、船舶等の移動体に設けられてもよい。換気装置1は、室内の空気を室外へ排気することで室内を換気する。
【0017】
図1A及び4に示すように、換気装置1は、本体ケース2と、ファン5と、無線通信部7と、制御部8と、を備える。本体ケース2は、金属製である。本体ケース2は、吸気口21(図2参照)及び排気口22を有する。ファン5(図4参照)は、本体ケース2内に配置されている。無線通信部7は、アンテナ71を有し、所定波長の電波を媒体として無線通信を行う。制御部8(図4参照)は、無線通信部7に接続されている。制御部8は、無線通信部7において受信した信号に応じてファン5を制御する。
【0018】
また、換気システム100は、図5に示すように、換気装置1と、機器である親機101と、を備える。親機101は、換気装置1の無線通信部7と無線通信を行う。換気システム100は、中継器102を更に備えてもよい。この場合、換気装置1は、中継器102とも無線通信を行う。また、換気システム100は、情報端末103を更に備えてもよい。この場合、情報端末103は、親機101と無線通信を行う。情報端末103は、例えば、換気装置1のユーザ等によって携帯される携帯端末であり、例えば、スマートフォンのような通信端末である。また、情報端末103は、スマートフォンに限定されず、例えば、タブレット型の携帯端末でもよいし、デスクトップ型のコンピュータでもよい。
【0019】
(2)詳細
上述のように、換気装置1は、図1A~4に示すように、本体ケース2と、ファン5と、無線通信部7と、制御部8と、を備える。また、換気装置1は、整流板10(図2参照)を更に備える。また、換気装置1は、ダクト接続部15を更に備える。また、換気装置1は、第1カバー11及び第2カバー12を更に備える。
【0020】
本体ケース2は、吸気部3と、排気部4と、を含む。本体ケース2では、別体として形成された金属(例えば、ステンレス)製の吸気部3と金属(例えば、ステンレス)製の排気部4とが結合されて一体化されているが、これに限らず、吸気部3と排気部4とが結合されることなく一体に形成されていてもよい。
【0021】
吸気部3は、下面30と、上面31と、下面30の前端縁301と上面31の前端縁311とつないでいる前面32と、を有し、吸気口21を有する箱状である。吸気部3では、上下方向D1の寸法が、前後方向D2の寸法、上下方向D1と前後方向D2とに直交する方向D3の寸法それぞれと比べて小さい。吸気部3は、偏平な矩形箱状である。
【0022】
吸気部3は、下面30に吸気口21を有している。吸気口21の開口形状は、例えば、矩形状である。換気装置1は、吸気部3において吸気口21の上側に配置されたフィルタ及びオイルキャッチを更に備える。フィルタは、例えば、バッフルフィルタであり、本体ケース2内に設けられる。オイルキャッチは、本体ケース2内に配置されフィルタからの油をキャッチする。
【0023】
換気装置1では、整流板10が本体ケース2の下方に配置されている。整流板10は、金属(例えば、ステンレス)製である。整流板10は、矩形板状であり、上下方向D1において吸気部3の下面30及び吸気口21から離れている。整流板10は、本体ケース2に支持されている。換気装置1の下側から見て、整流板10は、吸気部3よりも小さい。ここにおいて、整流板10は、吸気部3の外周縁よりも内側に位置し、かつ、吸気口21の全域に重なっている。換気装置1では、室内の空気が本体ケース2と整流板10との間の隙間を通って吸気口21に入る。換気装置1は、整流板10を備えることにより、空気を吸い込む速度を速くすることができ、空気に含まれている油等が逃げるのを抑制することができる。
【0024】
排気部4は、吸気部3の上面31上に位置し排気口22を有する。排気部4は、筒状(図示例では、角筒状)である。排気部4の内側空間は、吸気部3の内側空間とつながっている。これにより、本体ケース2では、吸気口21と排気口22との間に空気の流れる流路が形成されている。
【0025】
排気部4は、吸気部3の上面31で、前後方向D2において上面31の前端縁311から離れている。これにより、換気装置1では、吸気部3の上面31は、上面31の前端縁311と排気部4の前面42を含む平面との間に、排気部4のない矩形状の前側領域315を有する。実施形態に係る換気装置1では、前後方向D2において吸気部3の上面31の前端縁311と排気部4との距離が、吸気部3の上面31の後端縁312と排気部4との距離よりも長いが、これに限らない。
【0026】
ファン5は、本体ケース2の排気部4の内側空間に配置されている。ファン5は、本体ケース2の吸気口21を通して吸い込んだ空気を排気口22から吹き出す。ファン5は、モータを有する電動ファンである。
【0027】
ダクト接続部15は、排気部4の上端部に連結されている。ダクト接続部15は、筒状である。ダクト接続部15の内側空間は、排気部4の内側空間とつながっている。ダクト接続部15には、ダクト16が接続される。
【0028】
換気装置1では、ファン5の運転が開始されると、吸気部3の吸気口21から吸い込まれた空気が排気部4、ダクト接続部15及びダクト16等を通して屋外へ排出される。
【0029】
制御部8は、無線通信部7において受信した親機101からの信号の内容に応じて、ファン5の運転、停止及び風量の変更を行うことができる。換気装置1は、風量を複数段階(ここでは、2段階)で変更可能であり、相対的に風量が少ない通常運転モードと、相対的に風量が多い強運転モードと、で動作可能である。つまり、換気装置1の動作モードとしては、通常運転モードと強運転モードとがある。
【0030】
制御部8は、無線通信部7と電気的に接続されている。また、制御部8は、ファン5のモータと電気的に接続されている。制御部8は、無線通信部7において親機101から受信した信号に応じてファン5を制御する。換気装置1は、外部の電源に接続されて制御部8へ電圧を供給する電源回路を備えている。
【0031】
制御部8は、例えば、無線通信部7において受信した親機101からの信号が換気装置1の運転開始を指示する信号であれば、ファン5のモータを動作させる。換気装置1では、運転モードとして複数の運転モード(例えば、強運転モード、中運転モード、弱運転モード)での動作が可能な場合、制御部8は、無線通信部7において受信した親機101からの信号が換気装置1の動作状態の情報の送信要求を示す信号であれば、ファン5の動作状態の情報を無線通信により親機101へ送信する。また、制御部8は、無線通信部7において受信した親機101からの信号が換気装置1の運転停止を指示する信号であれば、ファン5のモータを停止させる。
【0032】
制御部8の動作は、例えば、ユーザが情報端末103を操作することによって、設定される。情報端末103の有する無線通信部は、中継器102、親機101及び無線通信部7を介して設定される。換気システム100では、情報端末103の無線通信部の通信方式がWi-Fi(登録商標)であり、中継器102がWi-Fi(登録商標)に対応したルータである。情報端末103と中継器102との間の通信方式は、Wi-Fi(登録商標)に限らず、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した通信方式でもよい。また、中継器102は、情報端末103との無線通信が可能であればよくWi-Fi(登録商標)に対応したルータに限定されない。中継器102と親機101との間の通信方式は、無線通信方式でもよいし、有線通信方式でもよい。
【0033】
制御部8は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、制御部8は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部8として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0034】
また、換気装置1は、吸気部3の前面32に設けられた入力部13を更に備える。入力部13は、例えば、ファン5の運転、停止及び風量の変更をユーザが手動で指示する際にユーザによって操作される。制御部8は、入力部13と電気的に接続されており、入力部13の出力に応じて、ファン5の運転、停止及び風量の変更を行うことができる。入力部13は、換気装置1の動作状態(ファン5の動作状態)を表示する表示部も含んでいる。
【0035】
換気装置1では、吸気部3は、第1開口38と、第2開口39と、を更に有する。第1開口38は、吸気部3の上面31にあり、上下方向D1において無線通信部7の少なくとも一部に重なる。ここにおいて、第1開口38は、吸気部3の上面31において、上面31の前端縁311と排気部4との間にある。第2開口39は、吸気部3の前面32にあり、前後方向D2において無線通信部7の少なくとも一部に重なる。無線通信部7は、上下方向D1において吸気部3の上面31の前側領域315に重なり、第1開口38は、前側領域315にある。ここにおいて、無線通信部7、第1開口38及び第2開口39は、吸気部3の上面31の前端縁311の近傍にある。無線通信部7は、上下方向D1において、第1開口38の下方に配置され、前後方向D2において第2開口39の後方に配置されている。無線通信部7は、換気装置1の製造時において、第1開口38から吸気部3内に挿入され吸気部3内に配置されている。
【0036】
無線通信部7は、プリント基板70と、アンテナ71と、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)72と、マッチング回路と、を備える。
【0037】
マッチング回路は、アンテナ71とRFIC72との間に設けられている。プリント基板70の厚さ方向から見てプリント基板70の外周形状は、長方形状である。プリント基板70は、プリント基板70の厚さ方向に交差する第1主面(表面)及び第2主面(裏面)を有する。アンテナ71は、例えば、プリント基板70の第1主面においてプリント基板70の長手方向の一端部に形成されたメアンダ状の放射導体(導体パターン)である。アンテナ71は、プリント基板70の外周縁から離れている。RFIC72は、プリント基板70の第1主面に実装されている。マッチング回路は、アンテナ71側のインピーダンスとRFIC72側のインピーダンスとをマッチング(整合)させるための回路である。
【0038】
無線通信部7は、プリント基板70の第2主面に配置されている外部接続用の第1コネクタを更に備える。また、無線通信部7は、プリント基板70とアンテナ71とRFIC72とを含む無線通信モジュールを収納しているモジュールケース75を更に備える。モジュールケース75の材料は、樹脂である。なお、図3では、プリント基板70上でアンテナ71を覆っているレジスト層の図示を省略してある。実施形態に係る換気装置1では、無線通信部7は、プリント基板70の第1主面が側面33側となるように配置されている。
【0039】
無線通信部7は、所定波長の電波を媒体として無線通信を行う。無線通信部7の通信方式は、例えば、無線通信規格のZigbee(登録商標)である。無線通信部7では、所定波長として、例えば、2.4GHz帯の周波数帯域の16のチャネルのうちいずれか1つのチャネルを利用する。したがって、無線通信部7において、例えば、16のチャネルのうち中心周波数の最も低い2.405GHzを利用する場合、所定波長は、約125mmであり、中心周波数の最も高い2.48GHzを利用する場合、所定波長は、約120mmである。無線通信部7の無線通信規格は、Zigbee(登録商標)に限らず、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy、特定小電力無線であってもよい。
【0040】
無線通信部7は、図1Bに示すように、上下方向D1においてRFIC72の下側にアンテナ71が位置するように吸気部3内に配置されている。また、無線通信部7は、吸気部3を前側から見たときに入力部13よりも右側に配置されている。図1Aでは、吸気部3において前面32に隣り合う2つの側面のうち無線通信部7に近い側面33が図示されている。
【0041】
第1開口38は、上下方向D1においてアンテナ71と重なっている。第1開口38の開口形状は、横長の長方形状である。つまり、第1開口38の開口形状は、上下方向D1と前後方向D2とに直交する方向D3(以下、左右方向D3ともいう)を長手方向とする長方形状である。第1開口38の開口形状は、一例として、長辺77.6mm、短辺52.4mmの長方形状である。左右方向D3における第1開口38の最大開口幅L1は、例えば、所定波長の1/2である60mmよりも大きい。一例として、最大開口幅L1は、77.6mmである。
【0042】
第2開口39は、前後方向D2においてアンテナ71と重なっている。第2開口39の開口形状は、横長の長方形状である。つまり、第2開口39の開口形状は、左右方向D3を長手方向とする長方形状である。第2開口39の開口形状は、一例として、長辺100mm、短辺40mm長方形状である。左右方向D3における第2開口39の最大開口幅L2は、例えば、所定波長の1/2である60mmよりも大きい。一例として、最大開口幅L2は、100mmである。
【0043】
換気装置1では、本体ケース2を上側から見たときに、前後方向D2において第1開口38と第2開口39とが重なっている。ここにおいて、左右方向D3における第2開口39の一部が左右方向における第1開口38の全長にわたって重なっている。
【0044】
換気装置1は、第1カバー11と、第2カバー12と、を更に備える。
【0045】
第1カバー11は、第1開口38を覆っており、所定波長の電波を透過する。これにより、第1カバー11が存在しても、無線通信部7は、親機101と通信することができる。第1カバー11の材料は、樹脂(例えば、ABS樹脂)を含む。第1カバー11は、第1開口38から無線通信部7が本体ケース2に挿入された後で本体ケース2に取り付けられる。第1カバー11は、例えば、ねじ17によって本体ケース2に取り付けられる。第1カバー11の材料は、樹脂に限らず、ガラスであってもよい。
【0046】
第2カバー12は、第2開口39を覆っており、所定波長の電波を透過する。これにより、第2カバー12が存在しても、無線通信部7は、親機101と通信することができる。第2カバー12の材料は、樹脂(例えば、ABS樹脂)を含む。第2カバー12の材料は、樹脂に限らず、ガラスであってもよい。第2カバー12は、本体ケース2の内側から本体ケース2に取り付けられているが、これに限らず、本体ケース2の外側から本体ケース2に取り付けられてもよい。
【0047】
(3)換気装置における無線通信部の通信性能
以下では実施形態に係る換気装置1の無線通信部7の通信性能を説明するために、一例として、無線通信部7のアンテナ71に関して、図1Aの左下に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する右手系の直交座標を規定する。直交座標の原点は、アンテナ71の先端である。図1Aでは、左右方向D3のうち側面33側とは反対側の方向をX軸のプラス方向とし、前後方向D2における前方向をY軸のプラス方向とし、上下方向D1における上方向をZ軸のプラス方向としている。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図1A中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、Z軸のプラス方向(+Z方向)は、換気装置1の設置時の上方向に対応し、Z軸のマイナス方向(-Z方向)は、換気装置1の設置時の下方向に対応する。X軸のプラス方向(+X方向)、X軸のマイナス方向(-X方向)、Y軸のプラス方向(+Y方向)及びY軸のマイナス方向(-Y方向)については、換気装置1の設置時の方向を限定する趣旨ではない。
【0048】
以下では、実施形態に係る換気装置1の無線通信部7の通信性能を図6A~6Cにより説明する前に、比較例に係る換気装置1rについて図7に基づいて説明する。比較例に係る換気装置1rに関し、実施形態に係る換気装置1と同様の構成要素については、同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0049】
比較例に係る換気装置1rは、実施形態に係る換気装置1の第2開口39及び第2カバー12を備えていない点で、実施形態に係る換気装置1と相違する。比較例に係る換気装置1rの無線通信部7の構成は、実施形態に係る換気装置1と同じである。比較例に係る換気装置1rの無線通信部7の通信性能を説明するために、図7Aの左下にも、図1Aの左下の直交座標と同じ直交座標を示してある。図8A~8Cは、比較例に係る換気装置1rの無線通信部7の通信性能を示す。
【0050】
図6A及び8Aの各々は、X軸とY軸とを含む平面における通信特性(指向性)を示す。また、図6B及び8Bの各々は、Y軸とZ軸とを含む平面における通信特性(指向性)を示す。図6C及び8Cの各々は、X軸とZ軸とを含む平面における通信特性(指向性)を示す。図6A~6C、8A~8Cの各々において、太い実線は、垂直偏波の特性を示し、破線は、水平偏波の特性を示す。
【0051】
下記表1は、図6A~6C、8A~8Cの各々における各方向のアンテナ利得及びそれぞれに対応する真値をまとめた結果である。下記表1において、比は、実施形態に係る換気装置1における無線通信部7のアンテナ利得に対応する真値を比較例に係る換気装置1における無線通信部7のアンテナ利得に対応する真値で除した値である。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から、実施形態に係る換気装置1の無線通信部7は、比較例に係る換気装置1rの無線通信部7と比べて、+X方向のアンテナ利得の真値が1.6倍となり、-X方向のアンテナ利得の真値が2.4倍となっており、+X方向及び-X方向それぞれの通信性能の向上を図れることが分かる。
【0054】
また、表1から、実施形態に係る換気装置1の無線通信部7は、比較例に係る換気装置1rの無線通信部7と比べて、+Y方向のアンテナ利得の真値が2.4倍となり、-Y方向のアンテナ利得の真値が1.1倍となっており、+Y方向及び-Y方向それぞれの通信性能の向上を図れることが分かる。
【0055】
また、表1から、実施形態に係る換気装置1の無線通信部7は、比較例に係る換気装置1rの無線通信部7と比べて、+Z方向のアンテナ利得の真値が2.2倍となり、-Z方向のアンテナ利得の真値が1.5倍となっており、+Z方向及び-Z方向それぞれの通信性能の向上を図れることが分かる。
【0056】
(4)利点
実施形態に係る換気装置1では、吸気部3が、第1開口38と、第2開口39と、を有する。第1開口38は、吸気部3の上面31にあり、上下方向D1において無線通信部7の少なくとも一部に重なる。第2開口39は、吸気部3の前面32にあり、前後方向D2において無線通信部7の少なくとも一部に重なる。よって、実施形態に係る換気装置1は、通信性能の向上を図ることが可能となる。
【0057】
ここにおいて、実施形態に係る換気装置1及びそれを備える換気システム100では、上下方向D1、前後方向D2及び左右方向D3のいずれの方向においてもアンテナ利得の向上による通信性能の向上を図れる。これにより、実施形態に係る換気装置1及びそれを備える換気システム100では、換気装置1及び親機101それぞれの配置の自由度が高くなり、かつ、使い勝手も良くなる。
【0058】
また、実施形態に係る換気装置1では、第1開口38が、上面31において、上面31の前端縁311と排気部4との間にあるので、無線通信部7の通信環境が排気部4の影響を受けにくくなり、通信性能の向上を図れる。
【0059】
(5)実施形態の変形例
図9A及び9Bは、実施形態の変形例に係る換気装置1aを示す。換気装置1aに関し、実施形態に係る換気装置1と同様の構成要素については、同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0060】
変形例に係る換気装置1aは、実施形態に係る換気装置1と比べて上下方向D1における排気部4の長さが短い点で、実施形態に係る換気装置1と相違する。
【0061】
変形例に係る換気装置1aでは、例えば、排気部4の一部が住宅200の収納ボックス205の内部空間に配置される。収納ボックス205は、前面に開口251を有している。収納ボックス205の開口251は、収納ボックス205に対して2つの蝶番208によって取り付けられた扉206により開閉可能である。扉206は、収納ボックス205の開口251を開放する第1位置と開口251を塞ぐ第2位置との間で移動可能である。
【0062】
変形例1に係る換気装置1aでは、実施形態に係る換気装置1と同様、吸気部3が第1開口38(図1A参照)と、第2開口39と、を有する。よって、変形例1に係る換気装置1aは、実施形態に係る換気装置1と同様、通信性能の向上を図ることが可能となる。
【0063】
(6)その他の変形例
実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、換気装置1は、住宅200の天井に吊り下げられた状態で配置されてもよい。
【0065】
換気装置1では、本体ケース2に適宜の表面処理が施されていてもよい。表面処理は、例えば、塗装、めっき、アルマイト処理、コーティングである。
【0066】
第1開口38は、上下方向D1において無線通信部7の少なくとも一部に重なっていればよいが、通信性能を更に向上させる観点では、全部に重なっているのが好ましい。第2開口39は、前後方向D2において無線通信部7の少なくとも一部に重なっていればよいが、通信性能を更に向上させる観点では、全部に重なっているのが好ましい。
【0067】
換気装置1では、制御部8が、センサの出力に基づいてファン5を制御してもよい。センサは、例えば、煙を検出する煙センサ、熱を検出する熱センサ、温度と湿度とCO濃度との少なくとも1つを検出する空気質センサ、調理器210の状態を検出するセンサである。センサは、換気装置1に備えられていてもよいし、換気装置1に備えられていなくてもよい。
【0068】
また、換気装置1では、ファン5は、排気部4の内側空間に配置されているが、これに限らず本体ケース2内に配置されていればよく、例えば、吸気部3の内側空間に配置されていてもよい。
【0069】
また、実施形態に係る換気システム100では、情報端末103は、換気システム100の構成要素ではないが、換気システム100の構成要素として換気システム100に含まれていてもよい。この場合、情報端末103が中継器102及び親機101を介さずに換気装置1の無線通信部7と無線通信を行うようにすれば、使い勝手が良くなる。
【0070】
また、実施形態に係る換気システム100では、中継器102は、換気システム100の構成要素ではないが、換気システム100の構成要素として換気システム100に含まれていてもよい。
【0071】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0072】
第1の態様に係る換気装置(1;1a)は、本体ケース(2)と、ファン(5)と、無線通信部(7)と、制御部(8)と、を備える。本体ケース(2)は、金属製である。本体ケース(2)は、吸気口(21)及び排気口(22)を有する。ファン(5)は、本体ケース(2)内に配置されている。無線通信部(7)は、アンテナ(71)を有し、所定波長の電波を媒体として無線通信を行う。制御部(8)は、無線通信部(7)に接続されている。制御部(8)は、無線通信部(7)において受信した信号に応じてファン(5)を制御する。本体ケース(2)は、吸気部(3)と、排気部(4)と、を含む。吸気部(3)は、下面(30)と、上面(31)と、下面(30)の前端縁(301)と上面(31)の前端縁(311)とつないでいる前面(32)と、を有し、下面(30)に吸気口(21)を有する箱状である。排気部(4)は、吸気部(3)の上面(31)上に位置し排気口(22)を有する。吸気部(3)は、第1開口(38)と、第2開口(39)と、を更に有する。第1開口(38)は、上面(31)にあり、上下方向(D1)において無線通信部(7)の少なくとも一部に重なる。第2開口(39)は、前面(32)にあり、前後方向(D2)において無線通信部(7)の少なくとも一部に重なる。
【0073】
第1の態様に係る換気装置(1;1a)では、通信性能の向上を図れる。
【0074】
第2の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1の態様において、本体ケース(2)を上側から見たときに、前後方向(D2)において第1開口(38)と第2開口(39)とが重なっている。
【0075】
第2の態様に係る換気装置(1;1a)では、通信性能の向上を図れる。
【0076】
第3の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1又は2の態様において、第1開口(38)は、上下方向(D1)においてアンテナ(71)と重なっている。
【0077】
第3の態様に係る換気装置(1;1a)では、通信性能の向上を図れる。
【0078】
第4の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、第2開口(39)は、前後方向(D2)においてアンテナ(71)と重なっている。
【0079】
第4の態様に係る換気装置(1;1a)では、通信性能の向上を図れる。
【0080】
第5の態様に係る換気装置(1;1a)は、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、第1カバー(11)と、第2カバー(12)と、を更に備える。第1カバー(11)は、第1開口(38)を覆っており、電波を透過する。第2カバー(12)は、第2開口(39)を覆っており、電波を透過する。
【0081】
第5の態様に係る換気装置(1;1a)では、無線通信部(7)を保護することができる。
【0082】
第6の態様に係る換気装置(1;1a)では、第5の態様において、第1カバー(11)の材料は、樹脂を含む。
【0083】
第7の態様に係る換気装置(1;1a)では、第5又は6の態様において、第2カバー(12)の材料は、樹脂を含む。
【0084】
第8の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、上下方向(D1)と前後方向(D2)とに直交する方向(D3)における第1開口(38)の最大開口幅(L1)が、所定波長の1/2よりも大きい。
【0085】
第8の態様に係る換気装置(1;1a)では、通信性能の向上を図れる。
【0086】
第9の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1~8の態様のいずれか一つにおいて、上下方向(D1)と前後方向(D2)とに直交する方向(D3)における第2開口(39)の最大開口幅(L2)が、所定波長の1/2よりも大きい。
【0087】
第9の態様に係る換気装置(1;1a)では、通信性能の向上を図れる。
【0088】
第10の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1~9の態様のいずれか一つにおいて、第1開口(38)の開口形状は矩形状である。
【0089】
第10の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1開口(38)の開口面積を大きくでき、通信性能の向上を図れる。
【0090】
第11の態様に係る換気装置(1;1a)では、第1~10の態様のいずれか一つにおいて、第2開口(39)の開口形状は矩形状である。
【0091】
第11の態様に係る換気装置(1;1a)では、第2開口(39)の開口面積を大きくでき、通信性能の向上を図れる。
【0092】
第12の態様に係る換気システム(100)は、第1~11の態様のいずれか一つの換気装置(1;1a)と、機器(親機101)と、を備える。機器(親機101)は、換気装置(1;1a)の無線通信部(7)と無線通信を行う。
【0093】
第12の態様に係る換気システム(100)では、無線通信が可能で通信性能の向上を図れる。
【符号の説明】
【0094】
1、1a 換気装置
2 本体ケース
21 吸気口
22 排気口
3 吸気部
30 下面
301 前端縁
31 上面
311 前端縁
32 前面
38 第1開口
39 第2開口
4 排気部
5 ファン
7 無線通信部
71 アンテナ
8 制御部
11 第1カバー
12 第2カバー
100 換気システム
101 親機(機器)
D1 上下方向
D2 前後方向
D3 方向
L1 最大開口幅
L2 最大開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9