(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】配線器具、及び取付具
(51)【国際特許分類】
H01H 23/14 20060101AFI20231215BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01H23/14
H01H9/02 K
(21)【出願番号】P 2021563811
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2020042633
(87)【国際公開番号】W WO2021117422
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2019223788
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーンニュ サラブォース
(72)【発明者】
【氏名】ファンノンペット ウォラウント
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-110264(JP,A)
【文献】特開2001-210166(JP,A)
【文献】特開2018-046692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/14
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長尺の操作面を有する操作ハンドルと、
前記操作面への押し操作に応じて、前記一方向に沿った回転軸を中心に前記操作ハンドルが回転してオンされるスイッチ本体と、
前記スイッチ本体に装着され、かつ前記スイッチ本体を取付対象物に取り付けるための取付具と、
前記スイッチ本体が取り付けられる前記取付対象物として、取付プレートと、
を備え、
前記取付プレートは、窓孔と、前記窓孔の内周面に配置された複数の凹部と、を有し、
前記窓孔は、各々が1個の前記スイッチ本体を配置可能な寸法を有した上部空間、中央空間、及び下部空間を有し、
前記複数の凹部は、前記上部空間に対応する第1組の凹部、前記中央空間に対応する第2組の凹部、及び前記下部空間に対応する第3組の凹部を含み、
前記操作ハンドルは、前記操作面の正面から見て、前記操作面の投影領域が前記上部空間、前記中央空間、及び前記下部空間と重なるように配置され、
前記取付具は、前記操作面の、前記一方向における一端側の領域が前記押し操作を受けた場合における前記操作面の歪みを抑制する抑制部を有
し、
前記抑制部は、前記回転軸に沿うように延出する延出部を有し、
前記延出部は、前記操作面の正面から見て、前記回転軸に沿った方向において前記スイッチ本体よりも突出していて、かつ、前記延出部には、前記複数の凹部のいずれかに嵌り込む突起が設けられていて、
前記延出部は、前記スイッチ本体が前記中央空間に配置された態様において、前記突起が前記第1組の凹部又は前記第3組の凹部に嵌り込む延出量を有する、
配線器具。
【請求項2】
前記抑制部は、少なくとも前記一端側の領域が前記押し操作を受けた場合に、前記操作ハンドルにおける前記操作面とは反対側の部位と接触することで前記歪みを抑制する、
請求項1に記載の配線器具。
【請求項3】
前記取付具は、前記操作面の正面から見て、前記スイッチ本体の周囲を囲む矩形状の枠部を更に有し、
前記延出部は、前記枠部の四隅の少なくとも一隅から前記回転軸に沿うように延出する、
請求項1又は請求項2に記載の配線器具。
【請求項4】
前記抑制部は、前記延出部を少なくとも一対有し、
一対の前記延出部は、前記操作面の正面から見て、前記四隅における、前記回転軸に沿って並ぶ二隅から、互いに離れる方向に延出する、
請求項3に記載の配線器具。
【請求項5】
前記取付具及び前記取付プレートの一方は、位置決めリブを有し、
その他方は、前記取付具が前記スイッチ本体を保持した状態で前記位置決めリブが嵌る嵌合部を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の配線器具。
【請求項6】
前記取付プレートが、前記位置決めリブを有し、
前記取付具が、前記延出部又は前記延出部の周囲において、前記嵌合部を有する、
請求項5に記載の配線器具。
【請求項7】
前記配線器具は、前記回転軸が、前記操作面の正面から見て、前記一方向と直交する方向における前記操作面の中央に位置するシーソー式である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の配線器具。
【請求項8】
前記取付具は、前記スイッチ本体における、前記操作ハンドルの裏面と対向する面の一部を覆うように前記スイッチ本体に装着される、
請求項
1~7のいずれか1項に記載の配線器具。
【請求項9】
前記歪みとは、前記領域が前記押し操作によって後退するように曲がることである、
請求項1~8のいずれか1項に記載の配線器具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の配線器具に適用される取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、配線器具、及び取付具に関し、より詳細には、操作面を有した操作ハンドルを備える配線器具、及び当該配線器具における取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるロッカー式(シーソー式)スイッチである配線器具が記載されている。この配線器具は、器具本体と、器具本体の前面を覆うように器具本体に取り付けられるスイッチハンドルと、を備える。器具本体は、ボディ及びカバーからなる器体と、ハンドルと、を有している。器体は、端子板及び端子板の電路を開閉する接点等の内部部品を収納する。スイッチハンドルの前面の右端部又は左端部が押されると、器体に対してハンドルが移動し、接点の状態が切り替わる。器体は、取付枠に対して最大で3個まで取付可能な寸法に形成されている。配線器具は、取付枠を用いて施工面に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
ところで、スイッチハンドル(操作ハンドル)を備えたこの種のスイッチ(配線器具)は、より操作感の向上が要望される場合がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、操作感の向上を図ることができる、配線器具、及び取付具を提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様の配線器具は、操作ハンドルと、スイッチ本体と、取付具と、取付プレートと、を備える。前記操作ハンドルは、一方向に長尺の操作面を有する。前記スイッチ本体は、前記操作面への押し操作に応じて、前記一方向に沿った回転軸を中心に前記操作ハンドルが回転してオンされる。前記取付具は、前記スイッチ本体に装着され、かつ前記スイッチ本体を取付対象物に取り付ける。前記取付プレートは、前記スイッチ本体が取り付けられる前記取付対象物である。前記取付プレートは、窓孔と、前記窓孔の内周面に配置された複数の凹部と、を有する。前記窓孔は、各々が1個の前記スイッチ本体を配置可能な寸法を有した上部空間、中央空間、及び下部空間を有する。前記複数の凹部は、前記上部空間に対応する第1組の凹部、前記中央空間に対応する第2組の凹部、及び前記下部空間に対応する第3組の凹部を含む。前記操作ハンドルは、前記操作面の正面から見て、前記操作面の投影領域が前記上部空間、前記中央空間、及び前記下部空間と重なるように配置される。前記取付具は、前記操作面の、前記一方向における一端側の領域が前記押し操作を受けた場合における前記操作面の歪みを抑制する抑制部を有する。前記抑制部は、前記回転軸に沿うように延出する延出部を有する。前記延出部は、前記操作面の正面から見て、前記回転軸に沿った方向において前記スイッチ本体よりも突出していて、かつ、前記延出部には、前記複数の凹部のいずれかに嵌り込む突起が設けられている。前記延出部は、前記スイッチ本体が前記中央空間に配置された態様において、前記突起が前記第1組の凹部又は前記第3組の凹部に嵌り込む延出量を有する。
【0007】
本開示の一態様の取付具は、上記の配線器具に適用される取付具である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る配線器具の外観図である。
【
図2】
図2は、同上の配線器具の前方から見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の配線器具の後方から見た分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の配線器具におけるスイッチ装置及び取付プレートの正面図である。
【
図5】
図5は、同上のスイッチ装置及び取付プレートの背面図である。
【
図6】
図6は、同上のスイッチ装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のスイッチ装置の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同上のスイッチ装置における取付具の斜視図である。
【
図11】
図11は、同上の配線器具における操作ハンドルの第1~第3領域を説明するための図である。
【
図12】
図12は、同上の配線器具における抑制部の抑制対象となる操作面の歪みを説明するための図である。
【
図13】
図13は、同上の取付プレートに対して、比較例の取付具を用いてスイッチ本体を3個並べる状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
本実施形態に係る配線器具1は、
図2に示すように、操作ハンドル2と、スイッチ本体3と、取付具5と、を備えている。また本実施形態に係る取付具5は、配線器具1に適用される取付具である。
【0011】
操作ハンドル2は、一方向(第1方向D1)に長尺の操作面20を有する。
図1の例では、配線器具1が、固定対象物100に固定されている。本開示でいう「固定対象物」は、配線器具1が固定される物体であって、ここでは建物の壁(造営物)を想定する。配線器具1が固定対象物100(壁)に固定された状態で、第1方向D1は、上下方向に沿った方向である。ただし、「固定対象物」は、壁以外にも、例えば天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等を含む。
【0012】
スイッチ本体3は、操作面20への押し操作に応じて、第1方向D1(一方向)に沿った回転軸C1を中心に操作ハンドル2が回転してオンされる。ここでは一例として、配線器具1は、いわゆるロッカー式(シーソー式)のスイッチである。回転軸C1は、
図1に示すように、操作面20の正面から見て、第1方向D1(一方向)と直交する方向(第2方向D2)における操作面20の中央に位置する。
【0013】
ただし、配線器具1は、シーソー式のスイッチに限定されず、ピアノハンドル式スイッチであってもよい。すなわち、回転軸C1が、第2方向D2における操作面20の両端のうちの一方の端に位置してもよい。
【0014】
配線器具1が固定対象物100(壁)に固定された状態で、第2方向D2は、左右方向に沿った方向である。要するに、操作面20の概ね右側の領域又は左側の領域が押し操作を受けると、スイッチ本体3のハンドル30が移動し、接点P1(
図7参照)の状態が切り替わる。
【0015】
取付具5は、スイッチ本体3に装着され、かつスイッチ本体3を取付対象物に取り付ける。ここでは一例として、取付対象物は、取付プレート4に相当する。また以下では、配線器具1が取付プレート4(取付対象物)と化粧プレート6とを更に備えていることを想定する。ただし、取付プレート4及び化粧プレート6は、配線器具1の構成要素でなくてもよい。ここで本実施形態では、取付具5は、操作面20の、第1方向D1(一方向)における一端側の領域R1(
図11参照)が押し操作を受けた場合における操作面20の歪みを抑制する抑制部50を有する。本開示でいう「一端側の領域R1」は、操作面20の、第1方向D1(ここでは上下方向)における両端側のうち押し操作を受けた端側の領域であり、
図11で言えば、第1領域AR1にも第3領域AR3にも相当し得る。
図11では、説明の便宜上、領域R1をドットハッチングで示すが、領域R1の範囲を厳密に限定する趣旨で示していない。
【0016】
この構成によれば、配線器具1の取付具5が抑制部50を有しているので、操作面20の領域R1に押し操作を行った人(ユーザ)に対して、違和感を与える可能性を低減できる。その結果、操作感の向上を図ることができる。
【0017】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る配線器具1、及び取付具5の構成について、
図1~
図13を参照しながら詳しく説明する。
【0018】
(2.1)前提
本実施形態では一例として、配線器具1が建物の壁に固定される場合について説明する。つまり、固定対象物100は、建物の壁である。さらに一例として、配線器具1は、その後部が固定対象物100の施工孔内に埋め込まれる「埋込型」である場合について説明する。
【0019】
以下、固定対象物100である壁に配線器具1が固定された状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、配線器具1を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する場合がある。また、上下方向と直交し、かつ固定対象物100の表面に平行な方向を「左右方向」とし、配線器具1を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する場合がある。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり固定対象物100の表面に直交する方向を「前後方向」とし、固定対象物100の裏面側(壁裏側)を「後方」として説明する場合がある。ただし、これらの方向は配線器具1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0020】
また配線器具1が固定対象物100である壁に固定された状態において、操作ハンドル2の操作面20は、基本的には、前方を向くことになるが、前方に向けられることを限定する趣旨ではない。
【0021】
(2.2)全体構成
配線器具1の全体構成について説明する。配線器具1は、上述したように、操作ハンドル2と、スイッチ本体3と、取付具5と、を備えている。また配線器具1は、取付プレート4(取付対象物)と、化粧プレート6とを更に備えている。本実施形態では、配線器具1としてワイドハンドル形のスイッチを例示する。
【0022】
本実施形態では、配線器具1は、埋込型のスイッチであるので、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材を用いて固定対象物100(ここでは壁)に取り付けられる。すなわち、固定対象物100には施工孔が形成されており、固定対象物100の背面側(壁裏)に配置されたスイッチボックス等の取付部材に対して、配線器具1が施工孔を通して取り付けられる。
【0023】
スイッチ本体3は、
図2に示すように、ハンドル30とボディ31とを有している。
【0024】
ボディ31は、前面が開放された矩形箱状に形成された器体310を有している。器体310は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。ボディ31は、器体310の長手方向が左右方向に沿うように、取付具5を介して取付プレート4に取り付けられる。ボディ31は、
図7に示すように、その器体310の内部において接点P1を有している。具体的には、ボディ31は、器体310内に、接触子7と、第1端子板8と、第2端子板9とを有している。接触子7は、可動接点70を有してハンドル30の移動に連動して変位する。第1端子板8は、変位する接触子7の支点となるように構成される。第2端子板9は、接触子7の可動接点70が接触又は離間する固定接点90を有している。可動接点70及び固定接点90によって接点P1が構成される。
【0025】
ハンドル30は、略直方体状に形成されている。ハンドル30は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。ハンドル30は、ボディ31の器体310における開放された前面を覆うように配置される。ハンドル30の背面側には、接触子7と接触するコイルばねE1(
図7参照)が設けられている。ハンドル30は、その左端部又は右端部が押し込まれる度に、コイルばねE1を通じて接触子7を変位させる。
【0026】
ハンドル30は、取付具5を介して、前後方向において移動可能な状態でボディ31の前面に取り付けられている。言い換えると、取付具5は、ハンドル30とボディ31とを組み付ける部位であり、スイッチ本体3と合わせてスイッチ装置10を構成する。ハンドル30は、
図7に示すように、その上面及び下面の各々に支持突起300を有している。各支持突起300は、前後方向に沿って長尺の帯板状である。ハンドル30は、2つの支持突起300が、取付具5の後述する一対の溝部550(
図7参照)にそれぞれ挿入されることで、取付具5から前方への脱落が抑制される。さらに各支持突起300は、ハンドル30が第1方向D1に沿った回転軸C1を中心に所定の角度の範囲内で回転できるように、溝部550内で移動可能に収まっている。
【0027】
ボディ31は、ハンドル30の各支持突起300が取付具5の対応する溝部550内に挿入された状態で、取付具5に対してスナップフィット構造によって取り付けられる。具体的には、
図6及び
図7に示すように、ボディ31は、取付具5の後述する複数(ここでは4つ)の嵌合孔530にそれぞれ嵌る複数(ここでは4つ)の突起311を有している。4つの突起311のうち2つは、器体310の上面から突出して、残りの2つは、器体310の下面から突出している。
【0028】
またボディ31の器体310の後部には、
図3及び
図5に示すように、電線を挿入するための電線挿入孔312が、左右の各々に2個ずつ(合計4個)設けられている。例えば、器体310の内部には、
図7に示すように、第1端子板8及び第2端子板9の各々に電気的に接続された、いわゆる速結端子F1(ねじなし端子)が収容されている。各電線挿入孔312から挿入された電線の芯線は、速結端子F1に接続される。
【0029】
スイッチ本体3は、操作ハンドル2を介して、ハンドル30の左端部又は右端部が押し込まれる度に、ハンドル30が回転軸C1を中心に所定の角度の範囲内で回転する。その結果、ボディ31内の接点P1の状態(例えば接点P1が閉じたオン状態と開いたオフ状態)が切り替わる。
【0030】
すなわち、ハンドル30の右端部が押し込まれると、コイルばねE1を介して接触子7の可動接点70が第2端子板9の固定接点90に接触し、第1端子板8及び第2端子板9は互いに電気的に接続された状態になる(接点P1のオン状態)。一方、ハンドル30の左端部が押し込まれると、コイルばねE1を介して接触子7の可動接点70が第2端子板9の固定接点90から離間し、第1端子板8及び第2端子板9は互いに電気的に接続されていない状態になる(接点P1のオフ状態)。
【0031】
ボディ31は、器体310の右端等に、透光性を有したランプカバーを更に有してもよい。ボディ31は、器体310の内部に、ランプカバーと対向するように収容された光源(ランプ)を更に有していて、光源から放射され光は、ランプカバーを通じて前方に出射される。操作ハンドル2には、ランプカバーと対向する位置に透光カバーがはめ込まれていて、例えば接点P1がオフの時、透光カバーを通じて、光源が点灯するように構成されてもよい。
【0032】
操作ハンドル2は、全体として裏面の側が開放されて、前後方向に扁平な矩形の箱状となっている。操作ハンドル2は、例えば、樹脂製の部材である。本実施形態では、操作ハンドル2は、第1方向D1(上下方向)に長尺の操作面20(前面)を有している。操作面20は、ユーザから押し操作を受け付ける面であり、その正面から見て第1方向D1(上下方向)に長尺の矩形状の面である。操作面20は、第1方向D1に沿って見て、前方に向かって僅かに凸となる緩やかな曲面状となっている。
【0033】
操作ハンドル2の裏面21(操作面20の反対側の面)は、スイッチ本体3と対向する。操作ハンドル2は、ハンドル30に取り付けられている。ここでは操作ハンドル2は、スナップフィット構造により、ハンドル30に結合されている。具体的には、操作ハンドル2は、
図3に示すように、その裏面21の左右方向における両端に複数の爪部210(ここでは右端に2つ、左端に1つで、合計3つ)を有している。ハンドル30は、その左右の両側面の各々に、複数の爪部210と対応するように複数の突起部301(ここでは右端に1つ、左端に2つで、合計3つ)を有している(
図4及び
図6参照)。各爪部210は、弾性変形によって外方に撓みながら対応する突起部301を乗り越えて弾性復帰することで、その突起部301に引っ掛かり、操作ハンドル2がハンドル30に結合される。
【0034】
操作ハンドル2は、ハンドル30と一体となって、第1方向D1に沿った回転軸C1を中心に所定の角度の範囲内で回転可能である。操作面20へのユーザからの押し操作に応じて、回転軸C1を中心に操作ハンドル2が回転して、スイッチ本体3の接点P1がオン(又はオフ)される。本実施形態では、回転軸C1は、上述の通り、操作面20の正面から見て、第1方向D1と直交する第2方向D2における操作面20の中央に位置する。操作ハンドル2は、その右端部が押されるとその左端部が前方に移動し、その左端部が押されるとその右端部が前方に移動するといったように(すなわち、シーソーのように)揺動し得る。
【0035】
例えば、商用の交流電源等の電力系統から負荷機器へ繋がる電路の途中に、スイッチ本体3の接点P1が配置されている。ユーザは、例えば、操作面20の右端部を押し込み、接点P1をオンにすることで、上記電路を遮断状態から通電状態へ切り替えることができる。負荷機器が例えば照明機器であれば点灯する。
図1は、操作面20の右端部が押し込まれた後の、接点P1がオン状態にある配線器具1を示す。
【0036】
またユーザは、例えば、操作面20の左端部を押し込み、接点P1をオフにすることで、上記電路を通電状態から遮断状態へ切り替えることができる。負荷機器が例えば照明機器であれば消灯する。
【0037】
また操作ハンドル2は、その裏面21に、複数の接触片211(ここでは2つ)を有している。2つの接触片211は、裏面21から取付具5に近づく方向(後方)に突出する、矩形の板状である。ただし、ここでは一例として、2つの接触片211は、操作ハンドル2の左右一対の側板にそれぞれ相当する。接触片211は、取付具5の後述する延出部51と接触する部位である。
【0038】
取付具5は、正面視において略矩形の枠状となっている。取付具5は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂製の部材である。本実施形態の取付具5は、
図4~
図8に示すように、枠部52と、抑制部50とを有している。
【0039】
枠部52は、操作面20の正面から見て、矩形の枠状である。枠部52は、
図8に示すように、上壁521、下壁522、右壁523、及び左壁524を有している。また枠部52は、前後方向に貫通する矩形状の開口部53を有している。開口部53は、上壁521、下壁522、右壁523、及び左壁524によって囲まれている。ハンドル30は、その一部が開口部53よりも操作ハンドル2の側(前側)に露出するように、枠部52によって保持される。
【0040】
取付具5は、スイッチ本体3に装着される。本実施形態では、取付具5は、上述の通り、ハンドル30とボディ31とを組み付ける部位であり、スイッチ装置10の構成要素の1つである。ハンドル30は、開口部53から前方に露出した形態で、かつ所定の角度の範囲内で回転可能な状態で、取付具5に保持される。すなわち、枠部52は、スイッチ本体3の周囲を囲むように構成される。
【0041】
上壁521及び下壁522の各々は、
図8に示すように、その後端部において、後方に突出する一対の挟み片54(合計4つ)を有している。各挟み片54は、上下方向に沿って見て矩形の板状に突出する。各挟み片54は、上下方向に貫通する嵌合孔530を有している。取付具5は、上述の通り各嵌合孔530にボディ31の対応する突起311が嵌ることで、4つの挟み片54でボディ31を挟むようにスイッチ本体3に装着される。本実施形態の取付具5は、スイッチ本体3における、操作ハンドル2の裏面21と対向する面の一部(ここではボディ31の器体310の前端面)を覆うようにスイッチ本体3に装着される。つまり、取付具5は、スイッチ本体3のカバーとして構成される。
【0042】
また上壁521及び下壁522の各々は、その前端部において、前方に突出する半円突起55(合計2つ)を更に有している(
図8参照)。各半円突起55は、上下方向に沿って見て、半円の板状である。2つの半円突起55は、開口部53の上下の両縁付近における、左右方向の中央にそれぞれ配置される。2つの半円突起55は、互いに対向する内面に、上述の通りハンドル30の2つの支持突起300がそれぞれ挿入される溝部550を有している。ハンドル30は、開口部53から前方に露出した形態で、2つの半円突起55の間に挟まれるように配置される。
【0043】
また取付具5は、スイッチ本体3を取付プレート4に取り付けるための部位としても機能する。具体的には、取付プレート4は、
図2及び
図3に示すように、位置決めリブY1を有している。ここでは取付プレート4は、位置決めリブY1を複数(例えば12個)有している。一方、取付具5は、取付具5がスイッチ本体3を保持した状態で、取付プレート4の複数の位置決めリブY1のうち、対応する位置決めリブY1が嵌る嵌合部Y2(嵌合溝)を有している。ここでは取付具5は、嵌合部Y2を複数(例えば8つ)有している。取付具5は、延出部51(又は延出部51の周囲でもよい)において、嵌合部Y2を有している。本実施形態の嵌合部Y2は、抑制部50と一体となって形成されている。
【0044】
また取付具5は、
図6~
図8に示すように、突起X1を更に有している。一方、取付プレート4は、
図2及び
図3に示すように、取付具5がスイッチ本体3を保持した状態で突起X1が嵌る凹部X2を有している。ここでは取付具5は、突起X1を複数(例えば4つ)有している。また本実施形態の突起X1は、抑制部50と一体となって形成されている。
【0045】
抑制部50は、操作面20の、第1方向D1における一端側の領域R1が押し操作を受けた場合における操作面20の歪みを抑制する。嵌合部Y2、抑制部50及び突起X1については、次の「(2.3)歪み抑制構造」の欄で詳しく説明する。
【0046】
取付プレート4は、
図4に示すように、正面視において上下方向に長尺の、矩形枠状に形成されている。取付プレート4は、スイッチ本体3が取付具5を介して取り付けられる矩形状の窓孔40を有している。取付プレート4は、例えば、樹脂製の部材である。取付プレート4は、金属製の部材でもよい。ここでは取付プレート4は、例えば、日本工業規格によって規格化された、3個用の大角形連用配線器具の取付枠である。すなわち、スイッチ本体3は、取付プレート4の窓孔40に対して最大で3個まで(ここでは上下方向に)並べて取り付けることができる。ただし、取付プレート4は、3個用のものに限定されない。
【0047】
本実施形態では、スイッチ本体3が、窓孔40における上下方向の中央に位置決めされるように、取付具5を介して取り付けられることで、スイッチ装置10と取付プレート4とが一体化されている。
【0048】
取付プレート4は、
図2及び
図3に示すように、複数の位置決めリブY1、及び複数の凹部X2を有している。複数の位置決めリブY1及び複数の凹部X2は、窓孔40の内周面400に配置される。取付プレート4は、4個の位置決めリブY1と4個の凹部X2とで1組を構成するものを、合計3組有している。つまり、位置決めリブY1の数は合計12個であり、同様に凹部X2の数は合計で12個である。12個の位置決めリブY1は、窓孔40の内周面400において右内面401及び左内面402に6個ずつに分かれて、かつ上下方向に並んで配置される。同様に、12個の凹部X2は、窓孔40の内周面400において右内面401及び左内面402に6個ずつに分かれて、かつ上下方向に並んで配置される。
【0049】
具体的には、各組の4個の凹部X2は、右内面401において右方に凹んで形成された2個の右凹部X21と、左内面402において左方に凹んで形成された2個の左凹部X22とに分かれて配置される。各組の4個の位置決めリブY1も、右内面401と左内面402とに2個ずつ分かれて配置される。ここでは、各組の、右内面401における2個の位置決めリブY1は、同じ組の2個の右凹部X21を、上下方向において、間に挟むように配置される。同様に、各組の、左内面402における2個の位置決めリブY1は、同じ組の2個の左凹部X22を、上下方向において、間に挟むように配置される。各組における2個の右凹部X21と2個の左凹部X22とは、それぞれ対向するように配置される。また各組における右内面401の2個の位置決めリブY1と左内面402の2個の位置決めリブY1とは、それぞれ対向するように配置される。各凹部X2は、その前面に孔が形成されていて、取付プレート4の前面に設けられている矩形状の孔X3(
図4参照)と連通している。
【0050】
以下、上記3組を、
図2に示すように、上から順に「第1組G1」、「第2組G2」、及び「第3組G3」と呼ぶことがある。第1組G1を構成する4個の位置決めリブY1及び4個の凹部X2は、窓孔40の上部空間の左右両側に位置する。第2組G2を構成する4個の位置決めリブY1及び4個の凹部X2は、窓孔40の中央空間の左右両側に位置する。第3組G3を構成する4個の位置決めリブY1及び4個の凹部X2は、窓孔40の下部空間の左右両側に位置する。
【0051】
ここで、仮に本実施形態の抑制部50を有していない3個の取付具5X(比較例:
図13参照)を用いて、3個のスイッチ本体3を、取付プレート4に対して同時に上下方向に並べて取り付ける場合を想定する。この場合、第1組G1~第3組G3の各々の4個の位置決めリブY1によって、対応する取付具5Xが位置決めされ、4個の凹部X2に、対応する取付具5Xから突出する4つの突起が嵌り込む。その結果、その取付具5Xによって保持されるスイッチ本体3が、取付プレート4に対して位置決めされて固定される。つまり、3個のスイッチ本体3は、上から順に第1組G1~第3組G3の位置決めリブY1によって位置決めされ得る。
【0052】
一方、本実施形態の1個のスイッチ本体3は、窓孔40における上下方向の中央空間に位置決めされる。ただし、取付具5の8つの嵌合部Y2には、第1組G1の下側2個の位置決めリブY1、第2組G2の4個の位置決めリブY1、第3組G3の上側2個の位置決めリブY1(つまり合計8個の位置決めリブY1)が、それぞれ嵌る。また取付具5の4つの突起X1は、第2組G2の4個の凹部X2に嵌り込むのではなく、第1組G1の下側2個の凹部X2と第3組G3の上側2個の凹部X2とに嵌り込む。
【0053】
また取付プレート4は、その左右の側部の各々に、化粧プレート6の後述する引っ掛け片61(
図3参照)が引っ掛けられる複数の孔部42(
図4及び
図5参照)を有している。さらに取付プレート4は、その上部及び下部の各々に、埋込型のスイッチボックス等の取付部材にねじ止めするためのねじが挿通される複数の貫通孔43(
図2~
図5参照)を有している。
【0054】
化粧プレート6は、例えば、樹脂製のプレートである。化粧プレート6は、金属製のプレートでもよいし、金属製のプレートと樹脂製のプレートとが結合されて構成されてもよい。化粧プレート6は、正面視において、上下方向に長尺の矩形枠状に形成されていて、その中央に矩形状の窓孔60(
図2及び
図3参照)を有している。
【0055】
化粧プレート6は、例えばスナップフィット構造によって、取付プレート4の前面を覆うように、取付プレート4に結合される。具体的には、化粧プレート6は、その裏面に、フック状の複数(ここでは4つ)の引っ掛け片61(
図3参照)を有している。4つの引っ掛け片61が、取付プレート4の複数の孔部42に引っ掛けられることで、化粧プレート6が取付プレート4に結合される。
【0056】
化粧プレート6は、取付プレート4に結合された状態で、操作ハンドル2の操作面20を窓孔60から露出させるように構成される。これにより、化粧プレート6は、スイッチ装置10及び取付プレート4と共に固定対象物100に取り付けられた状態で、操作ハンドル2の周囲を覆うことになる。その結果、操作ハンドル2の裏側に配置されるスイッチ装置10及び固定対象物100の施工孔等が露出せずに見映えがよくなる。
【0057】
(2.3)歪み抑制構造
ところで、配線器具1では、操作ハンドル2の操作面20は、その正面から見て、スイッチ本体3の前面に比べて大きな面積を有している。ここでは、操作面20は、スイッチ本体3が最大で3個まで並べて取り付けることができる取付プレート4の窓孔40の開口面積と概ね同じ面積を有している。言い換えると、操作面20は、スイッチ本体3の前面の面積の約3倍の面積を有している。
【0058】
以下、説明をより理解し易くするために、
図11に示すように、操作面20を上下方向に略均等に三分割した3つの領域について、それぞれ上から順に、第1領域AR1、第2領域AR2、及び第3領域AR3と呼ぶとする。
図11では、第1領域AR1、第2領域AR2、及び第3領域AR3をそれぞれドットハッチングで示す。説明の便宜上、操作面20を三分割して第1領域AR1~第3領域AR3で示したが、これらの領域の境目を厳密に規定する趣旨ではない。
【0059】
第2領域AR2は、操作面20を正面から見て、スイッチ本体3の投影領域と概ね一致する。したがって、ユーザが第2領域AR2の右端又は左端、或いはその近傍に対して押し操作を実行すると、操作面20が受けた押圧力は、概ねハンドル30を回転させる力成分としてハンドル30に伝達され得る。
【0060】
一方で、ユーザが第1領域AR1又は第3領域AR3に対して押し操作を実行すると、操作面20が受けた押圧力は、ハンドル30を回転させる力成分よりも、操作ハンドル2を弾性変形させる力成分の方が支配的になる可能性がある。特に、第1領域AR1の右端の上部又は左端の上部(或いは、第3領域AR3の右端の下部又は左端の下部)、或いはその近傍が押されると、要するに操作面20の上下左右の四隅又はその近傍が押されると、操作ハンドル2を弾性変形させる力成分の方が支配的になる可能性がある。
【0061】
具体的に、
図12の例で説明すると、例えば、ユーザが指等で第3領域AR3の右端(つまり操作面20の四隅のうち右下隅)又はその近傍を押すと、操作面20が歪む可能性がある。例えば、歪みとは、第1方向D1における一端側の領域R1(第1領域AR1又は第3領域AR3)が押し操作によって後退するように曲がることである。図示例では、操作面20の右下隅及びその近傍が、ユーザの指から受ける押圧によって、操作ハンドル2の長手方向における中心線を軸とした回転方向へ変位している。
【0062】
そこで本実施形態の抑制部50は、操作面20の、第1方向D1における一端側の領域R1(第1領域AR1又は第3領域AR3)が押し操作を受けた場合における操作面20の歪みを抑制する。
【0063】
抑制部50は、少なくとも一端側の領域R1が押し操作を受けた場合に、操作ハンドル2における操作面20とは反対側の部位と接触することで歪みを抑制する。ここでは操作ハンドル2の2つの接触片211が、抑制部50と接触する。
【0064】
また抑制部50は、
図6~
図8に示すように、回転軸C1に沿うように延出する延出部51を有している。ここでは一例として、抑制部50は、4つの延出部51を有している。4つの延出部51は、矩形状の枠部52の四隅から、回転軸C1(上下方向)に沿って延出している。
【0065】
各延出部51は、操作面20の正面から見て、回転軸C1に沿った方向においてスイッチ本体3よりも突出している。つまり、右側又は左側の二隅から突出する一対の延出部51の先端間の寸法W1は、スイッチ本体3における上下方向の寸法W2よりも大きい(
図4参照)。
【0066】
右側の一対の延出部51は、
図8に示すように、枠部52の右壁523と一体となって形成されている。右側の一対の延出部51は、上下方向に沿って右壁523から互いに離れる方向に突出している。同様に、左側の一対の延出部51は、枠部52の左壁524と一体となって形成されている。左側の一対の延出部51は、上下方向に沿って左壁524から互いに離れる方向に突出している。ここでは4つの延出部51の突出量は、互いに略等しい。要するに、本実施形態における抑制部50を有した取付具5は、左右方向において概ね面対称となっている。ただし、4つの延出部51の突出量は、異なってもよい。
【0067】
各延出部51は、上下方向に沿って見て、略L字状となっている。具体的には、各延出部51は、
図6~
図9に示すように、接触片211が接触する平坦な接触面51Aを有した第1部位511と、第1部位511の外縁から前方に立設する第2部位512とを有している。各延出部51の第2部位512は、その前面において、後方に凹んだ2つの嵌合部Y2を有している。言い換えると、取付具5は、複数(ここでは合計8つ)の嵌合部Y2を有している。枠部52の右壁523及び左壁524の外縁にも、前方に立設する立設部525、526がそれぞれ設けられている。嵌合部Y2は、立設部525、526にわたって形成されてもよい。
【0068】
上述した8つの嵌合部Y2に、取付プレート4の第1組G1の下側2個の位置決めリブY1、第2組G2の4個の位置決めリブY1、及び第3組G3の上側2個の位置決めリブY1が、それぞれ嵌ることで、取付プレート4に対する取付具5が位置決めされる。要するに、各嵌合部Y2に、対応する位置決めリブY1が嵌ることで、取付プレート4に対するスイッチ本体3の位置決めが、取付具5を介して、達成され得る。
【0069】
立設部525は、右側の一対の延出部51の第2部位512と一体となって上下方向に沿って形成され、これらの第2部位512と共に、取付プレート4の右側部4Aにおける窓孔40の縁にある段部44(
図5参照)に対して裏側から当接する。
【0070】
同様に立設部526は、左側の一対の延出部51の第2部位512と一体となって上下方向に沿って形成され、これらの第2部位512と共に、取付プレート4の左側部4Bにおける窓孔40の縁にある段部44に対して裏側から当接する。
【0071】
上述した4つの突起X1は、4つの延出部51からそれぞれ突出する。具体的には、各延出部51の第2部位512の外面(取付プレート4の窓孔40側の面とは反対側の面)に、突起X1が配置される。取付具5は、例えばスナップフィット構造によって、取付プレート4に固定される。各突起X1は、前方に向かうほど、第2部位512の外面からの突出量が減るような傾斜面を有している。取付具5を、取付プレート4の裏側から窓孔40内に挿入し、4つの突起X1を、第1組G1の下側2個の凹部X2と第3組G3の上側2個の凹部X2とにそれぞれ嵌め込むことで、取付具5が取付プレート4に固定される。
【0072】
本実施形態では、
図9及び
図10に示すように、操作ハンドル2の各接触片211が、一対の延出部51の接触面51Aと対向するように配置される。
図9は、
図1のA-A線の断面図であり、
図10は、
図1のB-B線の断面図である。つまり、
図9及び
図10は、
図1と同様に操作ハンドル2の右端部が押し込まれた後の状態における断面図である。
図9では、左右一対の接触片211のうち右側の接触片211のみが図示されている。ユーザが押し操作を実行し、操作面20から指等を離した後、右側の接触片211は、右側の一対の延出部51の接触面51A、及び枠部52の右壁523の上端面に接近した状態となる(この状態を「基準状態」と呼ぶ)。この図示例では、基準状態において、右側の接触片211は、接触面51Aから僅かに(例えば数ミリ)離間しているが、接触面51Aと接触していてもよい。詳細な説明及び図示は省略するが、操作ハンドル2の左端部が押し込まれた後も同様に、左側の接触片211は、左側の一対の延出部51の接触面51A、及び枠部52の左壁524の上端面に接近した状態となる。
【0073】
したがって、ユーザが指等で操作面20の一端側の領域R1(第1領域AR1又は第3領域AR3)を押したとしても、領域R1を押し込む過程の中で、接触片211が接触面51Aに接触することになる。つまり、操作ハンドル2が部分的にそれ以上に奥へ押し込まれにくくなり、操作面20の領域R1が押し操作によって後退するように曲がることが抑制される。したがって、抑制部50が設けられていない場合に比べて、領域R1を押し込む過程の中で、ユーザに違和感を与えにくくできる。その結果、操作感の向上を図ることができる。
【0074】
また領域R1への押し操作の際に、操作面20の歪みによって操作ハンドル2と化粧プレート6との間に隙間ができてしまう可能性を低減できる。また操作面20への押圧力のうち、ハンドル30を回転させる力成分よりも操作ハンドル2を弾性変形させる力成分の方が大きくなり過ぎて、長期的に繰り返し押し操作が行われることにより操作ハンドル2が破損するといった状況になることを抑制できる。要するに操作ハンドル2の劣化を抑制でき、適切にハンドル30が回転せずに接点P1の状態が切り替わりにくいといった状況になることを抑制できる。
【0075】
また本実施形態では、抑制部50が操作ハンドル2における操作面20とは反対側の部位と接触することで歪みを抑制するため、抑制部50の簡素化を図りつつ、操作感を向上できる。
【0076】
また取付プレート4は、位置決めリブY1を有し、取付具5は、取付具5がスイッチ本体3を保持した状態で位置決めリブY1が嵌る嵌合部Y2を有しているため、スイッチ本体3の位置決めを行いつつ、操作感の向上を図ることができる。要するに、スイッチ本体3の取付プレート4への位置決めするための取付具5が、抑制部50を有しているため、抑制部50が、取付具5とは別の部材として構成される場合に比べて、部品点数の増加を抑制できる。さらに本実施形態では、ハンドル30とボディ31とを組み付ける部位である取付具5が、抑制部50を有しているため、部品点数の増加を更に抑制できる。
【0077】
特に上述した取付プレート4には、規格化された取付プレートが用いられており、3個のスイッチ(装置)を取り付けることができるものである。それらのスイッチを、規格化された取付プレート4に取り付ける際に、各スイッチが取付プレート4の長手方向にずれてしまうことを抑制するために、位置決めリブY1が設けられている。
【0078】
本実施形態では、主に、その取付プレート4に、比較的大きな1つの操作ハンドル2を備える配線器具1(スイッチ)が1つ取り付けられるものである。その場合であっても、3個のスイッチが取り付けられる規格化された取付プレート4を兼用したいという要望がある。
【0079】
しかし、取付具5の延出部51が、位置決めリブY1と干渉してしまう可能性がある。それを回避するために、取付具5は、延出部51(又は延出部51の周囲)において、位置決めリブY1に対応する嵌合部Y2を有している。これにより、3個のスイッチが取り付けられる規格化された取付プレートを、本開示における取付具5が取り付けられる取付プレート4として兼用することができる。
【0080】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0081】
基本例では、位置決めリブY1が取付プレート4に設けられ、嵌合部Y2(嵌合溝)が取付具5に設けられている。しかし、位置決めリブY1は、取付具5に設けられ、嵌合部Y2は、取付プレート4に設けられてもよい。
【0082】
また基本例では、突起X1が取付具5に設けられ、凹部X2が取付プレート4に設けられている。しかし、突起X1は、取付プレート4に設けられ、凹部X2は、取付具5に設けられてもよい。
【0083】
基本例では、延出部51の数は、4つであるが、特に限定されない。言い換えると、抑制部50は、枠部52の四隅の少なくとも一隅から回転軸C1に沿うように延出する延出部51を有してもよい。
【0084】
また例えば、抑制部50は、延出部51を少なくとも一対有し、一対の延出部51は、操作面20の正面から見て、四隅における、回転軸C1に沿って並ぶ二隅から、互いに離れる方向に延出してもよい。ここでいう「回転軸C1に沿って並ぶ二隅」とは、例えば、上下に並ぶ右側の二隅でもよいし、又は左側の二隅でもよい。つまり、基本例では、配線器具1がシーソー式のスイッチであったが、ピアノハンドル式スイッチであれば、抑制部50は、枠部52の右側の二隅(右上及び右下)にのみ、一対の延出部51を有してもよい。
【0085】
基本例では、配線器具1は、1個のスイッチ装置10を備え、当該スイッチ装置10が、3個用の取付プレート4の窓孔40における上下方向の中央に取り付けられている。しかし、例えば、配線器具1は、2個以上のスイッチ装置10を備えてもよい。またスイッチ装置10の数に合わせて、配線器具1は、2個以上の操作ハンドル2を備えてもよい。
【0086】
スイッチ装置10の数が例えば2個の場合、一方のスイッチ装置10は、第1組G1の下側2個の凹部X2と、第2組G2の上側2個の凹部X2とを用いて取り付けられてもよい。また他方のスイッチ装置10は、第2組G2の下側2個の凹部X2と、第3組G3の上側2個の凹部X2とを用いて取り付けられてもよい。この場合、延出部51の突出量は、隣り合うスイッチ装置10間における取付具5同士で干渉し合わないように調整されることが好ましい。
【0087】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る配線器具(1)は、操作ハンドル(2)と、スイッチ本体(3)と、取付具(5)と、を備える。操作ハンドル(2)は、一方向(第1方向D1)に長尺の操作面(20)を有する。スイッチ本体(3)は、操作面(20)への押し操作に応じて、一方向(第1方向D1)に沿った回転軸(C1)を中心に操作ハンドル(2)が回転してオンされる。取付具(5)は、スイッチ本体(3)に装着され、かつスイッチ本体(3)を取付対象物(ここでは取付プレート4)に取り付けるための部位である。取付具(5)は、操作面(20)の、一方向(第1方向D1)における一端側の領域(R1)が押し操作を受けた場合における操作面(20)の歪みを抑制する抑制部(50)を有する。第1の態様によれば、操作感の向上を図ることができる。
【0088】
第2の態様に係る配線器具(1)に関して、第1の態様において、抑制部(50)は、少なくとも一端側の領域(R1)が押し操作を受けた場合に、操作ハンドル(2)における操作面(20)とは反対側の部位と接触することで歪みを抑制する。第2の態様によれば、操作ハンドル(2)の上記反対側の部位との接触により歪みを抑制するため、抑制部(50)の簡素化を図りつつ、操作感を向上できる。
【0089】
第3の態様に係る配線器具(1)に関して、第1の態様又は第2の態様において、抑制部(50)は、回転軸(C1)に沿うように延出する延出部(51)を有する。第3の態様によれば、抑制部(50)の簡素化を図りつつ、操作感を向上できる。
【0090】
第4の態様に係る配線器具(1)に関して、第3の態様において、延出部(51)は、操作面(20)の正面から見て、回転軸(C1)に沿った方向においてスイッチ本体(3)よりも突出している。第4の態様によれば、更に歪みを抑制できる。
【0091】
第5の態様に係る配線器具(1)に関して、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおいて、取付具(5)は、操作面(20)の正面から見て、矩形状の枠部(52)を更に有する。枠部(52)は、スイッチ本体(3)の周囲を囲む。抑制部(50)は、枠部(52)の四隅の少なくとも一隅から回転軸(C1)に沿うように延出する延出部(51)を有する。第5の態様によれば、更に歪みを抑制できる。
【0092】
第6の態様に係る配線器具(1)に関して、第5の態様において、抑制部(50)は、延出部(51)を少なくとも一対有する。一対の延出部(51)は、操作面(20)の正面から見て、四隅における、回転軸(C1)に沿って並ぶ二隅から、互いに離れる方向に延出する。第6の態様によれば、より広範囲で歪みを抑制できる。
【0093】
第7の態様に係る配線器具(1)は、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおいて、スイッチ本体(3)が取り付けられる取付対象物として、取付プレート(4)を更に備える。取付具(5)及び取付プレート(4)の一方は、位置決めリブ(Y1)を有する。その他方は、取付具(5)がスイッチ本体(3)を保持した状態で位置決めリブ(Y1)が嵌る嵌合部(Y2)を有する。第7の態様によれば、スイッチ本体(3)の位置決めを行いつつ、操作感の向上を図ることができる。
【0094】
第8の態様に係る配線器具(1)に関して、第7の態様において、抑制部(50)は、回転軸(C1)に沿うように延出する延出部(51)を有する。取付プレート(4)が、位置決めリブ(Y1)を有し、取付具(5)が、延出部(51)又は延出部(51)の周囲において、嵌合部(Y2)を有する。第8の態様によれば、(例えば規格化された3個用の)取付プレート(4)を用いて取り付けやすくなる。
【0095】
第9の態様に係る配線器具(1)に関して、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおいて、配線器具(1)は、シーソー式である。回転軸(C1)は、操作面(20)の正面から見て、一方向(第1方向D1)と直交する方向(第2方向D2)における操作面(20)の中央に位置する。第9の態様によれば、シーソー式の配線器具(1)において、操作感の向上を図ることができる。
【0096】
第10の態様に係る配線器具(1)に関して、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおいて、取付具(5)は、スイッチ本体(3)における、操作ハンドル(2)の裏面(21)と対向する面の一部を覆うようにスイッチ本体(3)に装着される。第10の態様によれば、取付具(5)は、スイッチ本体(3)のカバーとして機能しつつ、操作感の向上を図ることができる。
【0097】
第11の態様に係る配線器具(1)に関して、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおいて、歪みとは、領域(R1)が押し操作によって後退するように曲がることである。第11の態様によれば、領域(R1)が押し操作によって後退するように曲がることが抑制される。
【0098】
第12の態様に係る取付具(5)は、第1の態様~第11の態様のいずれか1つにおける配線器具(1)に適用される取付具である。第12の態様によれば、操作感の向上を図ることができる取付具(5)を提供できる。
【0099】
第2~11の態様に係る構成については、配線器具(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 配線器具
2 操作ハンドル
20 操作面
21 裏面
3 スイッチ本体
4 取付プレート(取付対象物)
5 取付具
50 抑制部
51 延出部
52 枠部
C1 回転軸
D1 第1方向(一方向)
R1 領域
Y1 位置決めリブ
Y2 嵌合部