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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20231215BHJP
   D06F 58/22 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F58/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018216216
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020081053
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 登
(72)【発明者】
【氏名】鳶 幸生
(72)【発明者】
【氏名】植田 真弘
(72)【発明者】
【氏名】直野 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 晶
(72)【発明者】
【氏名】松田 喜彦
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/157196(WO,A1)
【文献】特開2013-202072(JP,A)
【文献】特開2017-064427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0277513(US,A1)
【文献】実開平03-094920(JP,U)
【文献】実開昭49-134574(JP,U)
【文献】実開昭51-073368(JP,U)
【文献】実開昭61-160840(JP,U)
【文献】特開2001-070694(JP,A)
【文献】特開2014-008318(JP,A)
【文献】特開平6-55026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/22
D06F 58/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められる水槽と、
前記水槽内に収容され、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、
前記水槽内から水を排出する排水路と、
前記水槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、
前記水槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記水槽内に戻すことによって循環させる送風部と、
前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、
前記循環路において前記加熱部よりも前記取出口側の上流部分を構成して水が溜められる容器を有し、前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気を前記容器内の水に通すことによって当該空気から異物を捕獲する水フィルタと、
前記容器に接続され、前記容器内の水を前記排水路に導く導水路とを含み、
前記容器には、前記容器の内面に沿って螺旋状に流れ落ちる水流を前記容器内に形成しながら、水を前記容器内に供給する給水口が形成されている、洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記排水路を流れる水から異物を捕獲する排水フィルタをさらに含み、
前記導水路は、前記排水路において前記排水フィルタよりも前記水槽側の部分または前記排水フィルタに接続され
前記水フィルタは、前記容器内の水の上で前記容器の内部空間を仕切る複数の邪魔板をさらに有し、
前記複数の邪魔板は、平面視で重なり合った状態で互いに上下に離れている、請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記水槽を収容する筐体と、
前記筐体と前記水槽とをつないで前記水槽を弾性支持する支持部材とをさらに含み、
前記導水路の少なくとも一部は、弾性変形可能である、請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記導水路において、前記水フィルタ側の第1部分と前記排水フィルタ側の第2部分とが、弾性変形可能であり、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分が前記水槽に固定される、請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記容器には、前記容器内における所定水位以上の水を前記容器の外に溢れさせるための溢水口が形成され、
前記溢水口および前記導水路に接続され、前記溢水口から溢れる水を前記導水路に導く溢水路をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、水が溜められる外槽と、外槽内に配置されて洗濯物を収容するドラムと、循環風路とを含む。循環風路は、外槽に接続された空気吸い込み口および空気吐出口と、ブロアおよびヒータを有する送風ユニットとを含む。乾燥運転では、ブロアが稼働することにより、外槽内の空気は、空気吸い込み口から循環風路内に吸い込まれて空気吐出口から外槽内へ流入するように循環する。循環する空気は、循環風路内においてヒータによって加熱される。加熱された空気によって、ドラム内の洗濯物が乾燥する。循環する空気に含まれる糸くずや埃などの異物をメッシュ状のフィルタ素子によって捕獲する乾燥フィルタが、送風ユニットに配置される。乾燥フィルタは、フィルタ素子の掃除のために送風ユニットから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-244984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、フィルタ素子の目詰まりによって、乾燥運転における時間延長や消費電力増加といった性能低下が想定される。そこで、このような性能低下を防ぐために、使用者が乾燥フィルタを高頻度で取り外して掃除する必要があるので、乾燥フィルタのメンテナンスに手間がかかる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、乾燥運転に関する使い勝手の向上を図れる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水が溜められる水槽と、前記水槽内に収容され、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、前記水槽内から水を排出する排水路と、前記水槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、前記水槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記水槽内に戻すことによって循環させる送風部と、前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、前記循環路において前記加熱部よりも前記取出口側の上流部分を構成して水が溜められる容器を有し、前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気を前記容器内の水に通すことによって当該空気から異物を捕獲する水フィルタと、前記容器に接続され、前記容器内の水を前記排水路に導く導水路とを含む、洗濯乾燥機である。
【0007】
また、本発明は、前記洗濯乾燥機が、前記排水路を流れる水から異物を捕獲する排水フィルタをさらに含み、前記導水路が、前記排水路において前記排水フィルタよりも前記水槽側の部分または前記排水フィルタに接続されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記洗濯乾燥機が、前記水槽を収容する筐体と、前記筐体と前記水槽とをつないで前記水槽を弾性支持する支持部材とをさらに含み、前記導水路の少なくとも一部が、弾性変形可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記導水路において、前記水フィルタ側の第1部分と前記排水フィルタ側の第2部分とが、弾性変形可能であり、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分が前記水槽に固定されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記容器には、前記容器内における所定水位以上の水を前記容器の外に溢れさせるための溢水口が形成され、前記洗濯乾燥機が、前記溢水口および前記導水路に接続され、前記溢水口から溢れる水を前記導水路に導く溢水路をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗濯乾燥機の乾燥運転では、水槽内の空気が、取出口から循環路内に取り出されて戻し口から水槽内に戻るように循環する。循環する空気は、循環路内で加熱部によって加熱されることで熱風となり、洗濯槽内の洗濯物を乾燥させる。循環路において加熱部よりも取出口側の上流部分を構成する容器を有する水フィルタが、循環のために循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気を、容器内に溜められた水に通すことによって、当該空気から異物を捕獲する。これにより、異物が加熱部に到達して加熱部の性能を低下させることを防止できる。
水フィルタで捕獲された異物は、水と共に容器内に溜まる。容器に接続された導水路が容器内の水を排水路に導くので、容器内に溜まった異物は水と共に排水路に排出される。そのため、使用者は、水フィルタにアクセスして容器内の異物を取り除くメンテナンスをしなくてもよい。よって、乾燥運転に関する使い勝手の向上を図れる。
【0012】
また、本発明によれば、導水路は、排水路において排水フィルタよりも水槽側の部分または排水フィルタに接続されるので、容器内に溜まった異物は、水と共に排水路に排出された後に排水フィルタによって捕獲される。使用者は、排水フィルタに溜まった異物を取り除けば、容器内の異物を取り除いたことにもなるので、水フィルタにアクセスして容器内の異物を取り除くメンテナンスをしなくてもよい。よって、乾燥運転に関する使い勝手の向上を図れる。
【0013】
また、本発明によれば、筐体内で支持部材によって弾性支持された水槽は、振動することがある。導水路の少なくとも一部が弾性変形可能なので、水槽の振動が導水路から水フィルタの容器や排水路や排水フィルタに伝わることを防止できる。
【0014】
また、本発明によれば、導水路において、水フィルタ側の第1部分と排水フィルタ側の第2部分とが弾性変形可能であり、第1部分と第2部分との間の第3部分が水槽に固定される。そのため、水槽の振動が導水路の第3部分から水フィルタの容器や排水路や排水フィルタに伝わることを防止できる。
【0015】
また、本発明によれば、容器内の水位が所定水位まで上昇すると、所定水位以上の水が、溢水口から溢水路に溢れて導水路から排水路に排出される。そのため、容器内から溢れた水が洗濯乾燥機内でこぼれて電気部品などを濡らすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
図2図2は、洗濯乾燥機内に配置された水フィルタの左側面図である。
図3図3は、水フィルタの正面図である。
図4図4は、水フィルタの斜視図である。
図5図5は、図2のA-A矢視断面図である。
図6図6は、図2のA-A矢視断面を含む斜視図である。
図7図7は、図3のB-B線における水フィルタの階段断面図である。
図8図8は、水フィルタおよびその周辺部分の斜視図である。
図9図9は洗濯乾燥機の電気的構成を示すブロック図である。
図10図10は、洗濯乾燥機で行われる処理を示すフローチャートである。
図11図11は、洗濯乾燥機で行われる乾燥運転を示すフローチャートである。
図12図12は、乾燥運転中に行われる調整処理を示すフローチャートである。
図13図13は、第1変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。
図14図14は、第2変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。
図15図15は、第3変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。
図16図16は、第4変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。
図17図17は、乾燥運転中に行われる冷却処理を示すフローチャートである。
図18図18は、水フィルタを掃除する掃除処理を示すフローチャートである。
図19図19は、第1変形例に係る掃除処理を示すフローチャートである。
図20図20は、第2変形例に係る掃除処理を示すフローチャートである。
図21図21は、第3変形例に係る掃除処理を示すフローチャートである。
図22図22は、水フィルタ内の異物の詰まりを検知して解消する処理を示すフローチャートである。
図23図23は、水フィルタ内の異物の詰まりを解消する解消処理を示すフローチャートである。
図24図24は、第1変形例に係る解消処理を示すフローチャートである。
図25図25は、第2変形例に係る解消処理を示すフローチャートである。
図26図26は、この発明の別の実施形態に係る洗濯乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面における奥側を左側X1といい、図1の紙面における手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、図1における左側を前側Y1といい、図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機であり、洗い運転と、すすぎ運転と、脱水運転と、乾燥運転と実行する。洗濯乾燥機1は、筐体2と、筐体2内に配置された水槽3と、水槽3に接続された給水路4および排水路5と、排水路5を流れる水から異物を捕獲する排水フィルタ6と、水槽3内に収容された洗濯槽7と、洗濯槽7を回転させるモータ8と、洗濯槽7内の洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とを含む。
【0018】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10と、スイッチや液晶パネルなどで構成された表示操作部11とが設けられる。使用者は、表示操作部11のスイッチなどを操作することによって、洗濯乾燥機1の運転条件を自由に選択したり、洗濯乾燥機1に対して運転開始や運転停止などを指示したりすることができる。表示操作部11が報知部の一例として機能することにより、表示操作部11の液晶パネルなどには洗濯乾燥機1の運転に関する情報が目視可能に表示される。
【0019】
水槽3は、ショックアブソーバや吊棒などの支持部材15を介して筐体2に連結され、支持部材15によって弾性支持される。水槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、垂直に配置されて円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。背面壁3Bの中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通孔3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1正面部3Eと、第1正面部3Eの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2正面部3Fと、第2正面部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3正面部3Gとを有する。第3正面部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向し、連通した状態にある。
【0020】
給水路4は、蛇口(図示せず)に接続された一端部(図示せず)と、水槽3において例えば円周壁3Aに接続された他端部4Aとを有する。他端部4Aには、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部4Bが設けられるので、水槽3の振動が給水路4の全体に伝わることが抑制される。給水時には、蛇口からの水が給水路4から水槽3内に供給される。水槽3内には、水道水や、水道水に洗剤が溶けた洗剤水などの水が溜められる。給水路4の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される主給水弁12が設けられる。
【0021】
排水路5は、水槽3の下端部、例えば正面壁3Cの第1正面部3Eの下端部に接続される。水槽3内の水は、排水路5から機外に排出される。排水路5において水槽3に接続される端部には、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部5Aが設けられるので、水槽3の振動が排水路5の全体に伝わることが抑制される。排水路5の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される主排水弁13が設けられる。
【0022】
排水フィルタ6は、排水路5において主排水弁13よりも水槽3に近い上流部に設けられる。排水フィルタ6の前端は、筐体2の前面2Aに露出されるので、使用者は、排水フィルタ6の前端を掴んで排水フィルタ6を筐体2に対して着脱させることができる。排水フィルタ6の構成として、公知の構成を用いることができる。
【0023】
洗濯槽7は、水槽3よりも一回り小さく、内部に洗濯物Lを収容することができる。洗濯槽7は、水槽3の円周壁3Aと同軸状に配置された円筒状の円周壁7Aと、円周壁7Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁7Bと、円周壁7Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁7Cとを有する。洗濯槽7において少なくとも円周壁7Aには、複数の貫通孔7Dが形成され、水槽3内の水は、貫通孔7Dを介して、水槽3と洗濯槽7との間で行き来する。そのため、水槽3内の水位と洗濯槽7内の水位とは、一致する。洗濯槽7の背面壁7Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸14が設けられる。支持軸14の後端部は、水槽3の背面壁3Bの貫通孔3Dを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0024】
環状壁7Cの内側には、円周壁7Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口7Eが形成される。出入口7Eは、水槽3の出入口3Hおよび筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向し、連通した状態にある。出入口3Hおよび7Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3Hおよび7Eを介して、洗濯槽7内に洗濯物Lを出し入れする。
【0025】
モータ8は、筐体2内において、水槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ8は、洗濯槽7に設けられた支持軸14に連結される。モータ8が発生した駆動力は、支持軸14に伝達され、洗濯槽7が、支持軸14を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸14と間には、モータ8の駆動力を支持軸14に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0026】
乾燥ユニット9は、水槽3に接続された循環路20と、循環路20内に空気の流れを発生させる送風部21と、循環路20内に空気を加熱する加熱部22とを含む。循環路20は、筐体2内において水槽3の上側Z1に配置された流路である。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部20Aの後端から下側Z2へ延びる後部分20Bと、途中部20Aの前端から下側Z2へ延びる前部分20Cとを有し、筐体2に固定される。後部分20Bの下端部には、取出口20Dが形成される。取出口20Dは、水槽3において例えば背面壁3Bに接続され、水槽3内に後側Y2から連通した状態にある。前部分20Cの下端部には、戻し口20Eが形成される。戻し口20Eは、水槽3において例えば正面壁3Cの第2正面部3Fの上端部に接続され、水槽3内に上側Z1から連通した状態にある。循環路20において水槽3に接続される両端部には、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部20Fが設けられるので、水槽3の振動が循環路20の全体に伝わることが抑制される。
【0027】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20の内部において取出口20Dに近い領域に配置された回転羽根23と、回転羽根23を回転させるモータ(図示せず)とを含む。乾燥運転では、回転羽根23が回転することにより、水槽3内および洗濯槽7内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出された後に、戻し口20Eから水槽3内に戻される。これにより、水槽3内の空気は、水槽3と循環路20とを順に流れるように循環する。
【0028】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器または一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、フィン状の放熱部22Aを複数有する。乾燥運転では、加熱部22が作動することによって放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。乾燥運転では、糸くずや埃などの異物が発生して、この異物が熱風に乗って流れる。異物が加熱部22の放熱部22Aに付着して蓄積すると、加熱部22での加熱効率の低下や循環路20における空気の流れの悪化に伴う性能低下が生じるおそれがあるので、この異物を捕獲する必要がある。
【0029】
乾燥ユニット9は、循環路20内を流れる空気に含まれる異物を水によって捕獲する水フィルタ30と、水フィルタ30に水を供給する注水路31と、注水路31を開閉する給水弁32とを含む。乾燥ユニット9は、水フィルタ30内の水を排水路5に導く導水路33と、導水路33を開閉する排水弁34と、水フィルタ30内の水を導水路33に溢れさせる溢水路35とをさらに含む。以下では、乾燥ユニット9を構成する循環路20について詳しく説明した後に、水フィルタ30、注水路31、給水弁32、導水路33、排水弁34および溢水路35について説明する。
【0030】
循環路20において加熱部22の放熱部22Aよりも取出口20D側の部分を、上流部分20Gという。上流部分20Gは、途中部分20Aの一部と後部分20Bの全体とによって構成される。なお、送風部21の回転羽根23が放熱部22Aよりも取出口20D側に配置される場合には、循環路20において回転羽根23よりも取出口20D側の部分を上流部分20Gとみなしてもよい。後部分20Bは、取出口20Dから水平方向Hに延びて下側Z2へ折れ曲がった第1部20BAと、途中部分20Aの後端から下側Z2へ延びる第2部20BBとを含む。第1部20BAに弾性変形部20Fが設けられる。
【0031】
洗濯乾燥機1内における水フィルタ30の上下方向の姿勢は一定であるが、水フィルタ30の左右方向および前後方向の姿勢は、洗濯乾燥機1内における水フィルタ30の配置スペースに応じて任意に変更可能である。以下では、便宜上、図2を水フィルタ30の左側面図とみなして、左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zを用いて水フィルタ30を特定する。そのため、図2の紙面に直交する方向が水フィルタ30の左右方向Xであり、図2における左右方向が水フィルタ30の前後方向Yであり、図2における上下方向が水フィルタ30の上下方向Zである。また、図2に応じて、図3は、水フィルタ30の正面図であり、図4は、水フィルタ30を右側X2から見た斜視図である。
【0032】
水フィルタ30は、例えば樹脂製でボックス状の容器40を有する。容器40は、左右方向Xに長い楕円板状の底壁41と、底壁41の外縁を縁取りつつ底壁41から上側Z1へ立ち上がった左右方向Xに長い楕円筒状の下側壁42と、左右方向Xに長い長方形状の輪郭を有して底面視において下側壁42の上端の外縁から張り出した横壁43とを有する。容器40は、横壁43の外縁を縁取りつつ上側Z1へ立ち上がった左右方向Xに長い角筒状の上側壁44と、水平方向Hに延びて上側壁44の上端に接続された天壁45とをさらに有する。横壁43は、水平方向Hに対して傾斜し、これに応じて、下側壁42の上端および上側壁44の下端も水平方向Hに対して傾斜する。下側壁42、横壁43および上側壁44は、容器40の全体の側壁46を構成する。側壁46は、筒状の全体形状を有し、容器40の内部空間40Aを横から、つまり前後左右から取り囲む。
【0033】
図5は、図2のA-A矢視断面図である。底壁41は、左側X1へ向かうにつれて下降する板状に形成され、容器40の内部空間40Aを下側Z2から塞ぐ。底壁41の左端部には、下側Z2へ延びて底壁41を垂直に貫通する排水口41Aが形成される。底壁41の上面部41Bの全域は、排水口41Aへ向かうにつれて下降するように傾斜する(図3のB-B線における階段断面図である図7も参照)。排水口41Aは、内部空間40Aの下端に位置する。底壁41には、排水口41Aを縁取りつつ下側Z2に突出した筒状の連結部41Cが設けられる。底壁41には、底壁41の左端から上側Z1へ延びる縦長ボックス状の溢水部41Dが一体的に設けられる。溢水部41Dの左壁には、左側X1へ突出する2つの管部41Eが上下方向Zに並んで設けられる。下側Z2の管部41Eの内部空間は、溢水部41Dの内部空間に連通した溢水口41Fである。
【0034】
図6は、図2のA-A矢視断面を含む斜視図である。下側壁42は、底壁41に一体化され、容器40の内部空間40Aの下領域を取り囲む。下側壁42において底壁41に連結される連結部42Aは、円弧状に湾曲する(図7も参照)。下側壁42の左壁の下端には、溢水部41Dの内部空間に連通した連通口42Bが形成される。下側壁42では、左壁と後壁との連結部、後壁と右壁との連結部、右壁と前壁(図示せず)との連結部、および前壁と左壁との連結部は、それぞれ円弧状に湾曲する。そのため、下側壁42の内面部42Cにおいてこれらの連結部に相当する部分には、平面視において円弧状に湾曲した湾曲部42Dが設けられる。下側壁42において後壁と右壁との連結部における湾曲部42Dには、下側壁42を貫通した円形状の給水口42Eが設けられる。給水口42Eは、湾曲部42Dの湾曲に沿って横向き、具体的には略水平に前側Y1を向いて開口する。下側壁42には、給水口42Eから下側壁42の外へ突出した管状の連結部42F(図4参照)が設けられる。連結部42Fは、下側壁42において湾曲した連結部42Aの外周面に対する接線方向に沿って略水平に延びる。
【0035】
横壁43は、下側壁42の上端を縁取ったリング状に形成され、下側壁42に一体化される。上側壁44は、容器40の内部空間40Aの上領域を取り囲む。上側壁44には、その下端を縁取ったリング状のガイド部44Aが設けられる。ガイド部44Aは、横壁43の内縁よりも容器40の内部空間40Aに張り出す。ガイド部44Aは、給水口42Eよりも高い位置に設けられる。上側壁44の左壁は、下側壁42の左壁と共に、底壁41の溢水部41Dに連結され、溢水部41Dの内部空間を右側X2から塞ぐ。天壁45は、容器40の内部空間40Aを上側Z1から塞ぐ。天壁45の右端部には、天壁45を上下方向Zに貫通した挿通穴45Aが形成され、天壁45の左端部には、天壁45を上下方向Zに貫通した出口45Bが形成される。天壁45には、挿通穴45Aを縁取りつつ上側Z1に突出した筒状の連結部45Cが設けられ、出口45Bを縁取りつつ上側Z1に突出した筒状の連結部45Dが設けられる。水フィルタ30の容器40は、底壁41、溢水部41D、下側壁42および横壁43と、上側壁44と、天壁45とを組み合わせることによって構成される。
【0036】
容器40は、容器40の内部空間40Aの上領域に配置される下邪魔板47および上邪魔板48と、内部空間40Aの上領域および下領域にわたって設けられる縦パイプ49とをさらに含む。下邪魔板47は、上側壁44の右壁の下端部から横壁43と平行に左下側へ傾斜して延びる長方形状に形成される。下邪魔板47の下面部には、下側Z2へ突出して前後方向Yに延びる単数または複数のリブ47Aが設けられる。上邪魔板48は、上側壁44の左壁の上端部から右下側へ傾斜して延びる長方形状に形成される。上邪魔板48の右端部は、下邪魔板47の左端部の上側Z1に配置される。上邪魔板48の下面部には、下側Z2へ突出して前後方向Yに延びる単数または複数のリブ48Aが設けられる。縦パイプ49は、天壁45の連結部45Cおよび挿通穴45Aに挿通され、上邪魔板48の右側X2を通って下邪魔板47の右部分を上下方向Zに貫通する。縦パイプ49の下端は、底壁41の上面部41Bの右部分から上側Z1に僅かに離れて配置される。縦パイプ49には、その下端部を正面視で逆L字状に切り欠いた入口49Aが形成される。下邪魔板47と縦パイプ49とは一体化される。下側壁42に形成された給水口42Eは、縦パイプ49よりも右側X2に配置されて、入口49Aに隣接する。給水口42Eは、天壁45の出口45Bよりも入口49Aに近い位置に配置される。
【0037】
図1を参照して、水フィルタ30は、筐体2内において水槽3の背面壁3Bの周辺の後領域2Cの下部に配置されて、筐体2に固定される。循環路20において上流部分20Gを構成する後部分20Bでは、第1部20BAの下端部が、水フィルタ30の容器40の天壁45の連結部45Cに上側Z1から連結され、第1部20BAの内部空間は、容器40の縦パイプ49の内部空間および入口49Aに連通する。後部分20Bでは、第2部20BBの下端部が、容器40の天壁45の連結部45Dに上側Z1から連結され、第2部20BBの内部空間は、容器40の出口45Bに連通する。これにより、容器40の内部空間40Aは、第1部20BAの内部空間と第2部20BBの内部空間との間に位置して、これらの内部空間に連通し、容器40は、循環路20の上流部分20Gの一部を構成する。容器40は、上流部分20Gにおいて加熱部22よりも循環路20の取出口20Dに近い位置に配置される。
【0038】
注水路31は、給水路4において主給水弁12よりも蛇口側の部分から分岐し、容器40の下側壁42の連結部42F(図4参照)に連結される。注水路31の内部空間は、下側壁42の給水口42Eに連通する。給水弁32は、注水路31の途中に設けられ、注水路31を開閉する。
【0039】
導水路33において水フィルタ30側の端部をなす第1部分33Aは、容器40の底壁41の連結部41Cに下側Z2から連結され、導水路33の内部空間は、底壁41の排水口41Aに連通する。排水口41Aは、下側Z2へ延びて第1部分33Aの上端に接続される。導水路33において第1部分33Aとは反対側の端部をなす第2部分33Bは、排水路5において排水フィルタ6よりも水槽3側の上流部分に接続される。第2部分33Bは、排水フィルタ6に直接接続されてもよい。第1部分33Aおよび第2部分33Bのそれぞれには、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部33Cが設けられるので、第1部分33Aおよび第2部分33Bは、弾性変形可能である。導水路33において第1部分33Aと第2部分33Bとの間の第3部分33Dは、例えばブラケット50を介して水槽3に固定される。第3部分33Dは、水槽3に直接固定されてもよい。導水路33では、その一部をなす第1部分33Aおよび第2部分33Bが弾性変形可能なので、水槽3の振動が第3部分33Dから水フィルタ30の容器40や排水路5や排水フィルタ6に伝わることを防止できる。第3部分33Dは、水槽3に固定されなくてもよい。
【0040】
図8は、水フィルタ30およびその周辺部分の斜視図である。排水弁34は、導水路33の第1部分33Aに設けられ、導水路33を開閉する。排水弁34は、第1部分33A内に配置されて導水路33を開閉するために移動する弁体(図示せず)と、弁体を移動させるトルクモータなどの電動アクチュエータ34Aとを含む。なお、主給水弁12、主排水弁13および給水弁32も排水弁34と同様に構成されてもよいし、電磁弁などの公知の弁によって構成されてもよい。溢水路35は、底壁41の溢水部41Dにおける下側Z2の管部41Eの溢水口41Fと第1部分33Aとに接続される。
【0041】
図9は、洗濯乾燥機1の電気的構成を示すブロック図である。洗濯乾燥機1は、制御部60と、水位センサ61とをさらに含む。制御部60は、例えば、CPU62と、後述する様々なカウント値や閾値などを記憶するROMやRAMなどのメモリ63と、計時用のタイマ64とを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される(図1も参照)。モータ8、表示操作部11、主給水弁12、主排水弁13、送風部21、加熱部22、給水弁32および排水弁34のそれぞれは、制御部60に対して電気的に接続される。
【0042】
制御部60は、モータ8の回転を制御してモータ8に駆動力を発生させたり、モータ8の回転を停止したりする。使用者が表示操作部11を操作して洗濯物Qの運転条件などについて選択すると、制御部60は、その選択を受け付ける。制御部60は、表示操作部11の表示を制御する。制御部60は、主給水弁12および主排水弁13の開閉を制御する。制御部60が主排水弁13を閉じた状態で主給水弁12を開くと、水槽3に給水されて水が溜まる。制御部60が主排水弁13を開くと、水槽3が排水される。制御部60は、送風部21を動作させて風を発生させ、洗濯槽7と循環路20との間で循環させる。制御部60は、加熱部22を動作させて、洗濯槽7と循環路20との間で循環する風を熱風にする。制御部60は、水フィルタ30に関する給水弁32および排水弁34のそれぞれの開閉を制御する。水位センサ61は、水フィルタ30の容器40内の水位を検知する公知のセンサであり、容器40の溢水部41Dの2本の管部41Eにおける上側Z1の管部41E(図8参照)に取り付けられる。水位センサ61の検出結果は、リアルタイムで制御部60に入力される。
【0043】
図10は、洗濯乾燥機1で行われる処理を示すフローチャートである。制御部60は、モータ8を動作させて主給水弁12および主排水弁13のそれぞれを開閉することによって、洗い運転(ステップS1)、すすぎ運転(ステップS2)および脱水運転(ステップS3)をこの順に実行する。すすぎ運転は複数回実行されてもよく、脱水運転は、洗い運転とすすぎ運転との間や、すすぎ運転と次のすすぎ運転との間に実行されてもよい。脱水運転後、制御部60は、送風部21および加熱部22を動作させて主給水弁12、主排水弁13、給水弁32および排水弁34のそれぞれを開閉することによって、乾燥運転を実行する(ステップS4)。洗濯乾燥機1では、洗い運転、すすぎ運転および脱水運転を経ずに、乾燥運転だけが実行されてもよい。
【0044】
洗い運転の開始に先立って、洗濯槽7内に洗剤が投入される。制御部60は、洗い運転では、主排水弁13を閉じた状態で、主給水弁12を所定時間開いて水槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。これにより、洗濯槽7内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、洗濯槽7に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部60が主排水弁13を開いて排水すると、洗い運転が終了する。
【0045】
制御部60は、すすぎ運転では、主給水弁12を所定時間開いて水槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが洗濯槽7内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部60が排水すると、すすぎ運転が終了する。制御部60は、脱水運転では、主排水弁13を開いた状態で、洗濯槽7を脱水回転させる。洗濯槽7の脱水回転により生じた遠心力によって、洗濯槽7内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路5から機外に排出される。
【0046】
図11は、乾燥運転を示すフローチャートである。乾燥運転開始の際、制御部60は、加熱部22を作動させて加熱部22の放熱部22Aを予熱して(ステップS11)、排水弁34を閉じた状態で給水弁32を開く(ステップS12)。これにより、蛇口からの水が、給水路4および注水路31を通って、水フィルタ30の容器40の給水口42Eから容器40内に供給されて溜まる。この際、制御部60は、容器40内の水が飛び散らないように送風部21を停止する。つまり、制御部60は、乾燥運転開始のために送風部21が動作する前に給水弁32を開いて容器40内に水を溜める。また、給水口42Eから容器40内に供給された水が上側Z1へ跳ねても、容器40内のガイド部44A(図6参照)が、この水を下側Z2へガイドする。水位センサ61が検出した容器40内の水位が、縦パイプ49の下端の入口49Aの一部を塞ぐ基準水位W(図5参照)まで上昇すると、水フィルタ30の機能が有効になるので、制御部60は、給水弁32を閉じて水フィルタ30への給水を終了する。制御部60は、容器40内の水位が基準水位Wまで上昇したか否かを、水位センサ61の検出結果によって判断してもよいし、水位センサ61を用いずに所要時間の経過によって判断してもよい。この所要時間は、容器40が空の状態から容器40内の水位が基準水位Wまで上昇するに要する時間であって、実験などによって予め定められ、メモリ63に記憶される。なお、水フィルタ30への給水は、洗濯運転前に実行されてもよい。ただし、脱水運転による振動によって水フィルタ30内の水が溢れるおそれがある場合には、脱水運転後に水フィルタ30への給水が行われることが好ましい。
【0047】
基準水位Wは、溢水口41Fよりも低い位置に設定される(図5参照)。基準水位Wには、下限および上限が設けられて、これらの下限と上限との間で推移する水位を基準水位Wとみなしてもよい。容器40内の水位が溢水口41Fに一致する所定水位まで上昇すると、容器40内における当該所定水位以上の水は、溢水口41Fを通って容器40の外の溢水路35に溢れて溢水路35によって導水路33に導かれ、導水路33および排水路5を通って機外に排出される(図1参照)。そのため、容器40内から溢れた水が洗濯乾燥機1内でこぼれて制御部60などの電気部品を濡らすことを防止できる。容器40内の水位には、当該所定水位よりも低く基準水位Wよりも高い最大水位が設定される。最大水位は、溢水口41Fの下端の僅か下側Z2に設定される。
【0048】
水フィルタ30への給水後に、制御部60は、引き続き加熱部22を動作させた状態で、送風部21を作動させることによって本乾燥処理を実行する(ステップS13)。これにより、前述したように加熱された空気が発生して、水槽3と循環路20とを順に流れるように循環する。この空気は、洗濯槽7内の洗濯物Lに浴びせられて洗濯物Lの水分を吸収する。これより、洗濯物Lが乾燥する。洗濯物Lの水分を吸収した空気は、湿り空気となって、図1の太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出されて戻し口20Eへ向けて流れる。
【0049】
本乾燥処理中に取出口20Dから循環路20内に流入した直後の空気は、後部分の20Bの第1部20BAを通って水フィルタ30の縦パイプ49内を下降する。縦パイプ49内を下降した空気は、図5の太い破線矢印で示すように、縦パイプ49の下端の入口49Aから水フィルタ30の容器40内に流入する。前述したように入口49Aが逆L字状に形成されるので、入口49Aから容器40内に流入した空気は、容器40内に溜まった水の中を通って下降し、容器40の底壁41の手前で右側X2に向きを変えながら水中で上昇する。この際、この空気が、容器40内の水と熱交換することによって除湿される。さらに、この空気に含まれる異物(図5の異物Vを参照)が、容器40内の水によって捕獲されて水と共に容器40内に溜まる。これにより、異物が加熱部22に到達して加熱部22の性能を低下させることを防止できる。つまり、水フィルタ30の水によって、乾燥運転中に発生する異物を捕獲できるだけでなく、湿り空気を除湿することもできる。これにより、部品点数の削減や節水を図ることができる。また、容器40が循環路20の上流部分20Gにおいて加熱部22よりも取出口20Dに近い位置に配置されるので、水フィルタ30は、取出口20Dから循環路20に取り出された直後の空気から速やかに異物を捕獲することができる(図1参照)。これにより、循環路20において異物を含む空気が蔓延する領域を小さくすることができるので、循環路20の大部分に異物が付着することを防止できる。さらに、容器40が加熱部22から離れて配置されるので、容器40内において空気と水との熱交換に伴う水温上昇に応じて湯気が発生しても、この湯気が加熱部22に到達しにくい。
【0050】
このように水分および異物が除去された空気は、容器40内の水面を越えてさらに上昇し、容器40の内部空間40Aの下領域において下邪魔板47に沿って左側X1へ流れる。この空気に残留する異物は、下邪魔板47の下面部のリブ47Aを通過する際に、空気から分離されて容器40内の水に落下する。下邪魔板47の左端を越えた空気は、上昇して、内部空間40Aの上領域において上邪魔板48に沿って右側X2へ流れる。この空気に残留する異物は、上邪魔板48の下面部のリブ48Aを通過する際に、空気から分離されて容器40内の水に落下する。上邪魔板48の右端を越えた空気は、左側X1に向きを変えながら上昇して天壁45の出口45Bに到達し、出口45Bを通って容器40内から後部分の20Bの第2部20BBに流出して、戻し口20Eへ向けて第2部20BB内を上昇する。
【0051】
第2部20BB内を上昇した空気は、図1の太い破線矢印で示すように、送風部21の回転羽根23を通過して循環路20の途中部分20A内を前側Y1へ流れ、その際、加熱部22の放熱部22Aを通過することによって再加熱される。再加熱された空気は、循環路20の前部分20C内を下降して戻し口20Eに向かい、戻し口20Eから水槽3内および洗濯槽7内に供給されて洗濯槽7内の洗濯物Lの乾燥のために再利用される。
【0052】
図11を参照して、制御部60は、ステップS13の本乾燥処理を例えば2~3時間程度の所定時間継続すると、加熱部22を停止する(ステップS14)。この状態では、送風部21は引き続き作動中なので、冷風が循環して洗濯槽7内の洗濯物Lに浴びせられることによって、洗濯物Lがクールダウンされる。そして、制御部60は、冷風の循環を数十分程度の所定時間継続すると、乾燥運転終了の際の処理として、排水弁34を開くことにより水フィルタ30を排水する(ステップS15)。これにより、水フィルタ30の容器40内の水および異物が、容器40の底壁41の排水口41Aを通って導水路33に排出されて、導水路33から排水路5に導かれる。特に、排水口41Aが容器40の底壁41の上面部41Bから下側Z2へ延びて導水路33に接続され、底壁41の上面部41Bが排水口41Aへ向かうにつれて下降するように傾斜するので(図5参照)、容器40内の異物は、底壁41上に残留せずに円滑に排水口41Aに到達して落下し、導水路33および排水路5へ向かう。さらに、容器40内の角部分や、側壁46と下邪魔板47との接続部分や、側壁46と上邪魔板48との接続部分には、R面取り65(図5参照)が設けられるので、これらの角部分や接続部分に異物が残留することを防止できる。制御部60は、水フィルタ30の排水中において、送風部21を停止してもよいが、排水が促進されるのであれば送風部21を作動させてもよい。
【0053】
排水路5に導かれた異物は、排水フィルタ6(図1参照)によって捕獲される。使用者は、排水フィルタ6に溜まった異物を取り除けば、容器40内の異物を取り除いたことにもなるので、水フィルタ30にアクセスして容器40内の異物を取り除くメンテナンスをしなくてもよい。よって、乾燥運転に関する使い勝手の向上を図れる。なお、排水フィルタ6が省略されてもよく、その場合、排水路5に導かれた異物は、排水路5を通過して機外にそのまま排出される。
【0054】
容器40内の水がなくなると、乾燥運転が終了する。制御部60は、容器40内の水がなくなったか否かを、水位センサ61の検出結果に応じて判断してもよいし、所要時間の経過によって判断してもよい。この所要時間は、容器40内の水位が基準水位Wから底壁41まで下降するに要する時間よりも長い時間であって、実験などによって予め定められ、メモリ63に記憶される。制御部60は、乾燥運転終了後から次の乾燥運転のステップS12で給水弁32を開いて給水口42Eから容器40内に水を供給するまでの間において、排水弁34を開いたままにすることによって、容器40内を空にする。これにより、乾燥運転終了後から次の乾燥運転開始までの間に容器40内に水が残ることによって容器40内にカビや雑菌が繁殖することを防止できる。
【0055】
図6を参照して、次の乾燥運転の開始時(ステップS12)には、容器40では、水フィルタ30の機能を有効にするために側壁46の内面部42Cの給水口42Eから水が供給される。給水口42Eは、内面部42Cにおいて円弧状に湾曲した湾曲部42Dに設けられ、この湾曲部42Dの湾曲に沿って横向きに開口する。そのため、給水口42Eから容器40内に供給された水は、図6の太い破線で示すように、容器40内において縦軸(図示せず)まわりに旋回し、内面部42Cに沿って螺旋を描きながら排水口41Aへ向けて流れ落ちる。このように旋回する水によって、側壁46の内面部42Cに付着した異物を取り除くことができ、この異物を底壁41の排水口41Aから導水路33に排出することができる。つまり、給水の度に内面部42Cの全域を洗浄することによって、内面部42Cにおける異物のこびりつきを防止できる。
【0056】
また、給水口42Eは、出口45Bよりも入口49Aに近い位置に配置される。そのため、入口49Aから容器40内に流入する空気を速やかに給水口42Eからの水に通すことができるので、この空気から速やかに異物を除去することができる。また、容器40の内面部42Cにおいて異物が付着しやすい入口49A側の部分に給水口42Eからの水を重点的に浴びせて、この部分から異物を除去することができる。さらに、給水口42Eから容器40内に供給される水は、容器40の側壁46の内面部42Cにおいて給水口42Eよりも高い位置に全周にわたって設けられたガイド部44Aによって下側Z2へガイドされるので、この水を上側Z1へ跳ねないように速やかに容器40内に溜めることができる。また、水を内面部42Cに沿って螺旋状に流すことができるので、容器40内の異物を水によって収集し、導水路33に確実に導くことができる。
【0057】
本乾燥処理(ステップS13)での長時間における熱風の循環中では、容器40内の水が熱風によって蒸発したり跳ねたりすることなどにより、容器40内の水位が低下することが想定される。容器40内の水位が基準水位Wを下回ると、容器40内の空気が水を通らずに容器40の外へ流出してしまうので、循環路20内の空気から異物を捕獲する水フィルタ30の性能が低下する。逆に容器40内での熱交換によって湿り空気から凝縮した湿気によって水位が基準水位Wを上回ると、入口49Aにおいて容器40内の水に浸かる領域が増える。すると、入口49Aにおける流速が高くなることによって、容器40内の水が波立ってしまう。この場合にも、異物を捕獲する水フィルタ30の性能が低下する。そこで、制御部60は、容器40内において変動し得る水位を最適な基準水位Wになるように調整する調整処理を、本乾燥処理中に実行する。
【0058】
図12は、調整処理を示すフローチャートである。所定時間が経過する度に(ステップS21でYES)、制御部60は、送風部21を一旦停止して(ステップS22)、現在の容器40内の水位が基準水位Wから変化したか否かを水位センサ61の検出結果に基いて定期的に確認する(ステップS23)。容器40内の水面が安定した状態で容器40内の水位を正確に検出するために、ステップS22において送風部21が停止される。現在の容器40内の水位が基準水位Wと変わらなければ(ステップS23でYES)、特に問題はないので、制御部60は、送風部21を作動させて(ステップS24)、本乾燥処理を継続する。
【0059】
現在の容器40内の水位が基準水位Wと変わった場合において(ステップS23でNO)、現在の容器40内の水位が基準水位Wを下回ると(ステップS25でYES)、制御部60は、補給処理を実行する(ステップS26)。制御部60は、補給処理として、給水弁32を例えば3秒の所定時間だけ開いて容器40内に水を補給する。補給処理により、容器40内の水位の低下を抑制し、容器40内の水位を基準水位Wに維持することができる。よって、水フィルタ30の性能の低下を抑制できる。現在の容器40内の水位が基準水位Wを超える場合には(ステップS25でNO)、制御部60は、排水処理を実行する(ステップS27)。制御部60は、排水処理として、排水弁34を例えば3秒の所定時間だけ開いて容器40を排水する。そして、制御部60は、ステップS23に戻り、補給処理後または排水処理後の容器40内の水位が基準水位Wになったか否かを確認し、必要に応じて補給処理や排水処理を繰り返す。
【0060】
洗濯乾燥機1が水位センサ61を備えなくてもよく、その場合の調整処理として、第1~第4変形例が挙げられる。図13は、第1変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。なお、これから説明する各フローチャートにおいて、既に説明した処理ステップと同じ処理ステップについては、同じステップ番号を付すことにより、詳細な説明を省略する。第1変形例では、洗濯乾燥機1は、水フィルタ30の容器40の入口49Aを流れる空気の温度を検出する入口温度センサ70と、容器40の出口45Bを流れる空気の温度を検出する出口温度センサ71とを含む(図9参照)。入口温度センサ70および出口温度センサ71として、公知の温度センサを使用できる。入口温度センサ70の検出結果を入口温度といい、出口温度センサ71の検出結果を出口温度という。入口温度は、入口49Aの気温でなくてもよく、容器40内での空気の流れ方向において容器40内の水よりも上流側のいずれかの領域の気温であればよい。出口温度は、出口45Bの気温でなくてもよく、容器40内での空気の流れ方向において容器40内の水よりも下流側のいずれかの領域の気温であればよい。制御部60は、本乾燥処理を継続した状態で、入口温度と出口温度との差を確認する(ステップS31)。容器40内の水位が低下すると、入口49Aから容器40内に流入して出口45Bから流出する空気の温度が低下しにくくなる。そのため、容器40内の水位が基準水位Wを下回ると、入口温度と出口温度との差が所定の閾値未満になる。その場合には(ステップS31でYES)、制御部60は、補給処理を実行する(ステップS32)。制御部60は、ステップS32での補給処理として、排水弁34を所定の排水時間だけ開いて容器40を完全に排水してから、給水弁32を所定の給水時間だけ開いて、容器40内の水位が基準水位Wに到達するまで容器40に給水する。つまり、制御部60は、容器40内の水を入れ替える。排水時間および給水時間は、実験などによって予め定められてメモリ63に記憶される。
【0061】
図14は、第2変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。第2変形例では、洗濯乾燥機1は、水フィルタ30の容器40の出口45Bを流れる空気の湿度を検出値として検出する湿度センサ72を含む(図9参照)。湿度センサ72として、公知のものを使用できる。制御部60は、本乾燥処理を継続した状態で、出口45Bの湿度、具体的には絶対湿度を湿度センサ72によって確認する(ステップS33)。容器40内の水位が低下すると、容器40内の水が少なくなるので、入口49Aから容器40内に流入した後に出口45Bから流出する空気の湿度も低下する。そのため、容器40内の水位が基準水位Wを下回ると、出口45Bの湿度が所定の閾値未満になる。その場合には(ステップS33でYES)、制御部60は、前述した補給処理を実行する(ステップS32)。
【0062】
図15は、第3変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。第3変形例では、洗濯乾燥機1は、水フィルタ30の容器40の出口45Bにおける風速を検出値として検出する風速センサ73を含む(図9参照)。風速センサ73として、公知のものを使用できる。制御部60は、本乾燥処理を継続した状態で、出口45Bの風速を確認する(ステップS34)。容器40内の水位が低下すると、容器40内で空気の流れの妨げとなる水が少なくなるので、容器40内から流出するために出口45Bを流れる空気の風速が上がる。そのため、容器40内の水位が基準水位Wを下回ると、出口45Bの風速が所定の閾値を上回る。その場合には(ステップS34でYES)、制御部60は、前述した補給処理を実行する(ステップS32)。
【0063】
図16は、第4変形例に係る調整処理を示すフローチャートである。第4変形例では、洗濯乾燥機1は、溢水口41Fにおける水の有無、つまり溢水口41Fからの溢水を検出する溢水センサ74を含む(図9参照)。溢水センサ74として、公知の泡検知センサなどを使用できる。溢水センサ74は、例えば溢水口41Fの周辺に配置される。容器40内の水位が溢水口41Fまで上昇して容器40内の水が溢水口41Fに到達すると、溢水センサ74は、溢水の発生を検出し、制御部60は、溢水の発生回数をインクリメント(+1)する。溢水の発生回数は、メモリ63に記憶され、乾燥運転開始時に零に初期化される。制御部60は、本乾燥処理を継続した状態で、溢水の発生回数を確認する(ステップS35)。容器40内の水位が基準水位Wよりも高いと、溢水が頻発することによって、溢水の発生回数が所定の閾値を上回る。この場合には(ステップS35でYES)、制御部60は、前述した補給処理を実行して(ステップS32)、容器40内の水位を基準水位Wまで下げる。
【0064】
本乾燥処理での熱風の循環中では、湿り空気との熱交換によって容器40内の水温が上昇することが想定される。容器40内の水温が上昇すると、水フィルタ30の除湿性能が低下する。そこで、制御部60は、容器40内の水温を低下させる冷却処理を、本乾燥処理中、つまり送風部21および加熱部22の作動中に実行する。
【0065】
図17は、冷却処理を示すフローチャートである。冷却処理として、例えば10分~20分の所定時間毎に(ステップS41でYES)、制御部60は、給水弁32を開いて(ステップS42)、蛇口からの冷水を容器40内に供給する。これにより、容器40内の水温の上昇が抑制されるので、水フィルタ30の除湿性能の低下を抑制できる。特に、制御部60は、乾燥運転中において所定時間毎に給水弁32を開いて水を容器40内に供給することにより、容器40内の水温の上昇を定期的に抑制するので、水フィルタ30の除湿性能の低下を継続して抑制できる。そして、給水弁32が開いてから所定の給水時間が経過すると(ステップS43でYES)、制御部60は、給水弁32を閉じる(ステップS44)。制御部60は、排水弁34を閉じた状態で冷却処理を実行するので、ステップS42で所定時間毎に給水弁32を開く際も、排水弁34を閉じたままにする。そのため、容器40内における余分な水は、溢水口41Fを通って容器40の外へ排出される。これにより、制御部60は、給水弁32を開いて容器40内に給水し、その際に余分な水を溢水口41Fから溢水路35に溢れさせることによって、容器40内の水温の上昇を抑制するのに必要な量の水を容器40内に供給することができる。この場合、制御部60は、容器40内の水を排出するために送風部21を停止したり排水弁34を開閉したりしないので、時間短縮を図れるとともに、送風部21および排水弁34の負担を低減できる。さらに、容器40内の水面に浮いた異物が冷却処理によって比較的頻繁に排出されるので、大量の異物が容器40内に溜まることを未然に防止できる。
【0066】
乾燥運転では、ステップS15での排水処理によって、容器40内から水および異物が排出されるので、乾燥運転後の容器40内に汚れはほとんど存在しない。しかし、乾燥運転が繰り返されると、異物や水垢などがしつこい汚れとなって容器40内に付着し、乾燥運転開始のための給水(ステップS12)や乾燥運転終了の際の排水(ステップS15)だけでは完全に取り除けなくなるおそれがある。そこで、制御部60は、送風部21を動作させたり給水弁32および排水弁34のそれぞれを開閉したりすることによって容器40内の掃除処理を実行する。制御部60が掃除処理を実行するタイミングとして、制御部60が乾燥運転を所定回数実行した後のタイミングが挙げられる。また、掃除処理は、乾燥運転後に毎回実行されてもよい。また、容器40内の水の濁度を検出する公知の濁度センサ75(図9参照)を設けて、濁度センサ75が検出した濁度が所定以上に酷いレベルである場合に、制御部60は、乾燥運転中に掃除処理を実行してもよい。また、前回の掃除処理から所定時間が経過した場合に掃除処理が実行されてもよい。さらに、今回乾燥される洗濯物Lが毛布などのように糸屑を出しやすい場合に掃除処理が実行されてもよい。制御部60は、乾燥運転中に掃除処理を実行する場合には、掃除処理の開始に先立って、送風部21および加熱部22を一旦停止して容器40を排水することによって乾燥運転を中断する。
【0067】
図18は、掃除処理を示すフローチャートである。掃除処理の開始に伴い、制御部60は、排水弁34を閉じた状態で給水弁32を開く(ステップS50)。給水弁32が開くことによって、容器40内の水位が所定水位に到達すると(ステップS51でYES)、制御部60は、給水弁32を閉じて(ステップS52)、排水弁34を開く(ステップS53)。ここでの所定水位の一例は、前述した最大水位である。そして、排水弁34が開いてから所定の排水時間が経過すると(ステップS54でYES)、制御部60は、排水弁34を閉じる(ステップS55)。また、制御部60は、ステップS55では、掃除処理開始時は零である給水回数をインクリメント(+1)する。給水回数は、メモリ63に記憶される。給水回数が所定回数に到達するまで、制御部60は、ステップS50~S55の処理を繰り返す。給水回数が所定回数に到達すると(ステップS56でYES)、制御部60は、掃除処理を終了する。このように、制御部60は、排水弁34を閉じた状態で給水弁32を所定時間開いて容器40内に水を溜めてから排水弁34を開くという処理を所定回数繰り返す。この場合、容器40内に溜まって一気に排出される水の勢いによって、容器40内に残った異物を取り除くことができる。なお、掃除処理中に、制御部60は、送風部21を動作させて容器40内に風を発生させ、この風によって異物の除去を促進してもよい。
【0068】
掃除処理には、以上に説明したものの他に、第1~第3変形例が挙げられる。図19は、第1変形例に係る掃除処理を示すフローチャートである。第1変形例では、掃除処理の開始に伴い、制御部60は、給水弁32および排水弁34を開く(ステップS57)。これにより、容器40の給排水が同時に行われる。そして、給水弁32および排水弁34が開いてから所定時間が経過すると(ステップS58でYES)、制御部60は、給水弁32および排水弁34を閉じることによって(ステップS59)、掃除処理を終了する。このように、制御部60は、第1変形例に係る掃除処理として、排水弁34を開いた状態で給水弁32を所定時間開く。この場合、容器40内に供給されてから速やかに排出される水の勢いによって、容器40内に残った異物を取り除くことができる。
【0069】
図20は、第2変形例に係る掃除処理を示すフローチャートである。第2変形例では、掃除処理の開始に伴い、制御部60は、給水弁32を閉じた状態で排水弁34を開いて送風部21を作動させる(ステップS60)。そして、ステップS60から所定時間が経過すると(ステップS61でYES)、制御部60は、排水弁34を閉じて送風部21を停止することによって(ステップS62)、掃除処理を終了する。この場合、容器40内に発生する風の勢いによって、容器40内に残った異物を取り除くことができる。
【0070】
図21は、第3変形例に係る掃除処理を示すフローチャートである。第3変形例に係る掃除処理は、第1変形例に係る掃除処理と第2変形例に係る掃除処理とを組み合わせたものに相当する。第3変形例では、掃除処理の開始に伴い、制御部60は、給水弁32および排水弁34を開くことによって、容器40の給排水を同時に行う(ステップS57)。そして、所定時間が経過すると(ステップS58でYES)、制御部60は、排水弁34を開いた状態で給水弁32を閉じて送風部21を作動させる(ステップS63)。そして、ステップS63から所定時間が経過すると(ステップS61でYES)、制御部60は、排水弁34を閉じて送風部21を停止することによって(ステップS62)、掃除処理を終了する。このように、制御部60は、第3変形例に係る掃除処理として、排水弁34を開いた状態で給水弁32を所定時間開いた後に、送風部21を動作させる。この場合、容器40内に供給されてから速やかに排出される水の勢いと、送風部21の動作に伴って容器40内を流れる空気の勢いとによって、容器40内に残った異物を取り除くことができる。
【0071】
一度の乾燥運転において異物が大量発生したり、乾燥運転の繰り返しに応じて大量の異物が容器40内に付着したりすることによって、異物が容器40内、特に排水口41Aに詰まるおそれがある。そこで、制御部60は、容器40内における異物の詰まりを検知して、その詰まりを解消する処理を所定のタイミングに実行する。このタイミングとして、制御部60が乾燥運転を所定回数実行した後のタイミングや、乾燥運転中、特に前述した掃除処理中において制御部60が排水弁34を開いたタイミングが挙げられる。
【0072】
具体的には、図22を参照して、制御部60は、容器40内に例えば最大水位まで水が溜まった状態で排水弁34を開くと(ステップS71でYES)、容器40内における水位の低下速度を監視することによって異物の詰まりを検知する(ステップS72)。水位の低下速度は、所定時間の開始タイミングおよび終了タイミングのそれぞれにおける水位センサ61の検出値の差を当該所定時間で割ることで得られる。水位センサ61の検出値の差は、水位の低下量である。容器40内に異物が詰まると、容器40内が排水されにくくなるので、水位の低下速度が所定の閾値を下回る。容器40内の水位の低下速度が所定の閾値を下回ると(ステップS72でYES)、制御部60は、容器40内に異物の詰まりが存在すると判断する(ステップS73)。なお、制御部60は、低下速度と閾値とを直接比較するのでなく、所定時間の経過時における水位の低下量と、水位に対応する閾値とを比較することによって、容器40内における異物の詰まりの有無を判断してもよい。この場合、制御部60は、所定時間における水位の低下量が閾値を下回ると、異物の詰まりが存在すると判断できる。また、制御部60は、ステップS73において、初期値が零の検知回数をインクリメント(+1)する。検知回数は、メモリ63に記憶される。
【0073】
検知回数が所定回数未満であれば(ステップS74でNO)、制御部60は、送風部21を動作させたり給水弁32および排水弁34のそれぞれを開閉したりすることによって異物の詰まりを解消する解消処理を実行する(ステップS75)。そのため、使用者は、容器40内に異物が詰まっても、水フィルタ30にアクセスして容器40内の異物の詰まりを解消するメンテナンスをしなくてもよいので、乾燥運転に関する使い勝手の向上を図れる。解消処理の詳細については、追って説明する。解消処理後に、制御部60は、排水弁34を閉じて給水弁32を開くことによって、容器40内に給水する(ステップS76)。容器40内の水位が所定水位まで上昇すると(ステップS77でYES)、制御部60は、給水弁32を閉じて排水弁34を開くことによって、容器40を排水する(ステップS78)。ここでの所定水位の一例は、前述した最大水位である。制御部60は、この排水中における容器40内の水位の低下速度を監視することによって、異物の詰まりを再検知する(ステップS79)。水位の低下速度が所定の閾値を下回ると(ステップS79でYES)、制御部60は、容器40内に異物の詰まりが引き続き存在すると判断して、検知回数をインクリメントする(ステップS73)。なお、ステップS79の閾値と、ステップS72の閾値とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0074】
検知回数が所定回数に到達するまで、制御部60は、解消処理(ステップS75)と異物の詰まりの再検知(ステップS76~S79)とを繰り返す。検知回数は、容器40内に異物の詰まりが存在すると制御部60が判断した回数である。検知回数が所定回数に到達した場合、つまり容器40内に異物の詰まりが、洗濯乾燥機1内で自動的に解消することが困難な位に重度である場合には(ステップS74でYES)、制御部60は、容器40内における重度な異物の詰まりという異常が水フィルタ30に存在することを、表示操作部11による表示やブザー(図示せず)による警報によって使用者に報知する(ステップS80)。言い換えれば、重度でない異物の詰まりは、使用者が水フィルタ30にアクセスしてメンテナンスをしなくても洗濯乾燥機1内で自動的に解消されるので、使い勝手の向上を図れる。制御部60は、ステップS80において、乾燥運転を中止または中断してもよい
【0075】
図23は、ステップS75の解消処理を示すフローチャートである。解消処理の開始に伴い、制御部60は、給水弁32および排水弁34を開く(ステップS81)。これにより、容器40の給排水が同時に行われる。そして、給水弁32および排水弁34が開いてから所定時間が経過すると(ステップS82でYES)、制御部60は、給水弁32および排水弁34を閉じることによって(ステップS83)、解消処理を終了する。このように、制御部60は、解消処理として、排水弁34を開いた状態で給水弁32を所定時間開く。この場合、容器40内に供給されてから速やかに排出される大量の水の勢いによって、容器40内に詰まった異物を取り除いて導水路33に強制排出することができる。
【0076】
解消処理には、以上に説明したものの他に、第1および第2変形例が挙げられる。図24は、第1変形例に係る解消処理を示すフローチャートである。第1変形例では、解消処理の開始に伴い、制御部60は、排水弁34を閉じて給水弁32を開くことによって容器40内に給水する(ステップS84)。これより、容器40内の水位が所定水位まで上昇すると(ステップS85でYES)、制御部60は、給水弁32を閉じて排水弁34を開くことによって容器40を排水する(ステップS86)。ここでの所定水位の一例は、前述した最大水位である。このように、制御部60は、第1変形例に係る解消処理として、排水弁34を閉じた状態で給水弁32を所定時間開いて容器40内に水を溜めてから排水弁34を開く。この場合、容器40内に溜まって一気に排出される大量の水の勢いによって、容器40内に詰まった異物を取り除いて導水路33に強制排出することができる。
【0077】
図25は、第2変形例に係る解消処理を示すフローチャートである。第2変形例では、解消処理の開始に伴い、制御部60は、給水弁32を閉じた状態で排水弁34を開く(ステップS87)。排水弁34が開くことによって、容器40内の水位が所定水位まで低下すると(ステップS88でYES)、制御部60は、排水弁34を開いた状態で送風部21を作動させる(ステップS89)。当該所定水位は、送風部21が動作しても容器40内の水が跳ねない程度の水位であればよく、このときの容器40内は空でなくてもよい。容器40内の水位が所定水位まで低下した状態において、制御部60は、乾燥運転の場合よりも強い勢いで空気が循環路20内を流れるように、送風部21の回転羽根23を高速回転させる。そのため、大量の空気の勢いによって、容器40内に詰まった異物を取り除いて導水路33に強制排出することができる。そして、ステップS89から所定時間が経過すると(ステップS90でYES)、制御部60は、送風部21を停止することによって(ステップS91)、解消処理を終了する。
【0078】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、前述した実施形態では、水フィルタ30が筐体2の後領域2Cの下部に配置される。容器40内の水や湯気が送風部21や加熱部22に到達しないのであれば、図26に示す変形例のように、水フィルタ30が後領域2Cの上部に配置されてもよい。なお、図26では、前述した部材と機能的に同じ部材に対して、同じ符号が付される。
【0080】
前述した実施形態におけるドラム式の洗濯乾燥機1では、軸線Jが水平方向Hに傾斜するように洗濯槽7が配置されてもよい。また、洗濯乾燥機1は、軸線Jが縦に延びる縦型の洗濯乾燥機であってもよい。
【0081】
前述した実施形態における様々な処理は、適宜組み合わせて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 洗濯乾燥機
2 筐体
3 水槽
5 排水路
6 排水フィルタ
7 洗濯槽
15 支持部材
20 循環路
20D 取出口
20E 戻し口
20G 上流部分
21 送風部
22 加熱部
30 水フィルタ
33 導水路
33A 第1部分
33B 第2部分
33D 第3部分
35 溢水路
40 容器
40F 溢水路
L 洗濯物
図1
図2
図3
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図5
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