(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】コンクリート養生シート
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20231215BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20231215BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20231215BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
E04G21/02 104
D03D1/00 A
B32B5/26
B32B27/12
(21)【出願番号】P 2019219397
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮村 佳成
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159981(JP,A)
【文献】特開昭54-133196(JP,A)
【文献】特開平01-127715(JP,A)
【文献】特開2017-014734(JP,A)
【文献】特開2020-105651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
D03D1/00-27/18
E04G21/00-21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非透水性を有する樹脂層と
該樹脂層の下面側に積層された湿度検知布層と、
該湿度検知布層の下面側に積層された不織布層と、を備え、
前記湿度検知布層は、経糸と緯糸からなる織物であって、
前記経糸の一部に複数の第1 検知糸と、
前記緯糸の一部に複数の第2 検知糸と、
複数の前記第1 検知糸同士を接続するように前記織物の緯方向に伸びる導電性
の第1 電極糸と、
複数の前記第2 検知糸同士を接続するように前記織物の経方向に伸びる導電性
の第2 電極糸と、を備え、
前記第1 検知糸及び前記第2 検知糸は、鞘部は芯部を被覆し、かつ非導電性及
び吸水性を有する吸水糸であり、芯部が導電糸である芯鞘複合構造を有する繊
維であり、
前記第1 電極糸は、前記第1 検知糸の前記導電糸と接し、
前記第2 電極糸は、前記第2 検知糸の前記導電糸と接していることを特徴とする
コンクリート養生シート。
【請求項2】
前記吸水糸は、異形断面を有するポリエステル糸である請求項
1に記載のコンクリート養生シート。
【請求項3】
前記湿度検知布層と前記不織布層との間に、平面視において線状の樹脂が多数本略平行状に配置されて形成された通気性接着樹脂層を有する請求項
1 又は
2に記載のコンクリート養生シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの養生に用いられるコンクリート養生シートに関する。
【0002】
コンクリートは、打設後の養生中、所要の湿度を与える必要がある。そのため、さまざまなコンクリート養生シートが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、コンクリートの露出面を覆うために使用するコンクリート養生シートにおいて、蓄熱物質を付与した蓄熱シートが含まれていることを特徴とするコンクリート養生シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、特に寒中コンクリートに対して容易に十分な保温効果を保持することで、コンクリート硬化時間の遅延化、及びコンクリート露出面の乾燥を防ぎ、更に養生水の凍結を防止することができる。しかしながら、特許文献1では、コンクリート養生シートの下面側とコンクリートとの間に、どの程度の湿度を保有しているのかが分からず、人の経験や勘に頼らなければならない恐れがある。
【0006】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、コンクリート養生シートの下面側とコンクリートとの間に、どの程度、湿度を保持しているかを測定することができるコンクリート養生シートを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1 ] 非透水性を有する樹脂層と、
該樹脂層の下面側に積層された湿度検知布層と、
該湿度検知布層の下面側に積層された不織布層と、を備え、
前記湿度検知布層は、経糸と緯糸からなる織物であって、
前記経糸の一部に複数の第1 検知糸と、
前記緯糸の一部に複数の第2 検知糸と、
複数の前記第1 検知糸同士を接続するように前記織物の緯方向に伸びる導電性
の第1 電極糸と、
複数の前記第2 検知糸同士を接続するように前記織物の経方向に伸びる導電性
の第2 電極糸と、を備え、
前記第1 検知糸及び前記第2 検知糸は、鞘部は芯部を被覆し、かつ非導電性及
び吸水性を有する吸水糸であり、芯部が導電糸である芯鞘複合構造を有する繊
維であり、
前記第1 電極糸は、前記第1 検知糸の前記導電糸と接し、
前記第2 電極糸は、前記第2 検知糸の前記導電糸と接していることを特徴とする
コンクリート養生シート。
【0010】
[2 ] 前記吸水糸は異形断面を有するポリエステル糸である前項1に記載のコンクリート養生シート。
【0011】
[3 ] 前記湿度検知布層と前記不織布層との間に、平面視において線状の樹脂が多数本略平行状に配置されて形成された通気性接着樹脂層を有する前項1 又
は2に記載のコンクリート養生シート。
【発明の効果】
【0012】
[1 ]の発明では、非透水性を有する樹脂層と、樹脂層の下面側に積層された湿度検知布層と、湿度検知布層の下面側に積層された不織布層と、を備えるから、不織布層が水分を保持することができ、非透水性を有する樹脂層が表面側にあるので水分が抜けにくくなり、コンクリート養生シートの下面側とコンクリートとの間に、どの程度、湿度を保持しているかを測定することができ、湿度検知布層は、経
糸と緯糸からなる織物であって、経糸の一部に複数の第1 検知糸と、緯糸の一部
に複数の第2 検知糸と、複数の第1 検知糸同士を接続するように織物の緯方向
に伸びる導電性の第1 電極糸と、複数の第2 検知糸同士を接続するように織物
の経方向に伸びる導電性の第2 電極糸と、を備え、第1 検知糸及び第2 検知糸
は、鞘部は芯部を被覆し、かつ非導電性及び吸水性を有する吸水糸であり、芯部
が導電糸である芯鞘複合構造を有する繊維であり、第1 電極糸は第1 検知糸の
導電糸と接し、第2 電極糸は第2 検知糸の導電糸と接しているから、第1 電極糸
と第2 電極糸との間に流れる電流の大きさ、又は第1 電極糸及び第2 電極糸と
の間の抵抗値等を測定することにより、湿度検知布層が置かれている雰囲気の
湿度の高低を測定することが可能になる。電流値の変化を連続的にモニターすれ
ば、湿度の変化を連続的に捕らえることもでき、広範囲において湿度を測定しや
すくすることができる。
【0014】
[2 ]の発明では、吸水糸は異形断面を有するポリエステル糸であるから、吸水糸が水分に浸透していない場合は非導電性を有するが、吸水糸に水分が与えられた場合は、第1 検知糸及び第2 検知糸は導通することができ、第1 電極糸と第2 電極糸との間に流れる電流の大きさを比較することにより、湿度検知布層が置かれている雰囲気の湿度の高低を測定することが可能になる。
【0015】
[3 ]の発明では、湿度検知布層と不織布層との間に、平面視において線状の樹脂が多数本略平行状に配置されて形成された通気性接着樹脂層を有するから、コンクリート表面に散布した水分を湿度検知布層へ移行させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るコンクリート養生シートの一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る湿度検知布帛層の一実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係るコンクリート養生シートの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本願発明のコンクリート養生シート1は、非透水性を有する樹脂層2と、該樹脂層2の下面側に積層された湿度検知布層3と、該湿度検知布層3の下面側に積層された不織布層4と、を備えることを特徴とする。
【0018】
前記非透水性を有する樹脂層2は、水分を通さない。樹脂層2が水分を通さないため、コンクリート養生シート1内において、ある程度の湿度を保持することができる。
【0019】
前記樹脂層2を形成するための樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。
【0020】
前記樹脂層2の形成量としては、50g/m2~200g/m2であることが好ましく、中でも、80g/m2~160g/m2であることがより好ましい。50g/m2以上であることで破れることがなく、200g/m2以下であることで軽量化することができる。
【0021】
前記樹脂層2を形成する方法としては、押出機で熱可塑性樹脂を押出しても良いし、湿度検知布層3の上に熱可塑性樹脂からなるフィルムを積層してから熱溶融させても形成しても良い。
【0022】
前記湿度検知布層3としては、
図2に示すように、経糸5と緯糸6からなる織物であって、
前記経糸5の一部に複数の第1検知糸7と、
前記緯糸6の一部に複数の第2検知糸8と、
複数の前記第1検知糸7同士を接続するように緯方向Wに伸びる導電性の第1電極糸9と、
複数の前記第2検知糸8同士を接続するように経方向Lに伸びる導電性の第2電極糸10と、を備え、
前記第1検知糸7及び前記第2検知糸8は、鞘部は芯部を被覆し、かつ非導電性及び吸水性を有する吸水糸であり、芯部が導電糸である芯鞘複合構造を有する繊維であり、
前記第1電極糸9は、前記第1検知糸7の前記導電糸と接し、
前記第2電極糸10は、前記第2検知糸8の前記導電糸と接していることが特徴である。
【0023】
湿度検知布層3としては、経糸5と緯糸6からなる織物で構成されている。
【0024】
前記経糸5の一部に複数の第1検知糸7と、前記緯糸6の一部に複数の第2検知糸8と、を備えている必要がある。前記経糸5には、複数の第1検知糸7以外に、通常の非導電性の糸11を用いることができる。前記緯糸6には、複数の第2検知糸8以外に通常の非導電性の糸11を用いることができる。
【0025】
前記通常の非導電性の糸11としては、例えば、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。
【0026】
複数の前記第1検知糸7同士を接続するように緯方向Wに伸びる導電性の第1電極糸9と、を備えている。複数の前記第2検知糸8同士を接続するように経方向Lに伸びる導電性の第2電極糸10と、を備えている。第1電極糸9及び第2電極糸10との間に流れる電流の大きさ又は第1電極糸9及び第2電極糸10との間の抵抗値等を測定することにより、湿度検知布層3がおかれている雰囲気の湿度の高低を検知し、湿度を測定することができる。
【0027】
前記第1電極糸9及び前記第2電極糸10は、導電性の糸であることが好ましい。第1電極糸9は、複数の前記第1検知糸7同士を接続するように緯方向Wに伸びて、前記第1検知糸7の前記導電糸と接続されている。このため、第1電極糸9と各第1検知糸7とは導通している。また、第2電極糸10は、複数の前記第2検知糸8同士を接続するように経方向Lに伸びて、前記第2検知糸8の前記導電糸と接続されている。このため、第2電極糸10と各第2検知糸8とが導通している。第1電極糸9と第2電極糸10とは交差しておらず、第1電極糸9は第2検知糸8と交差しておらず、第2電極糸10は第1検知糸7とは交差していない。第1電極糸9及び第2電極糸10は、第1検知糸7及び第2検知糸8の芯部の導電糸と同じものを用いることができる。第1電極糸9は第1検知糸7との導通を確保するために、第1検知糸7の鞘部を貫通させて、第1検知糸7の芯部の導電糸と直接接するようにすることが好ましい。また、第2電極糸10は第2検知糸8との導通を確保するために、第2検知糸8の鞘部を貫通させて、第2検知糸8の芯部の導電糸と直接接するようにすることが好ましい。
【0028】
前記第1電極糸9及び前記第2電極糸10は、前記織物に導電性の糸を刺繍することで形成することが好ましい。
【0029】
前記導電性の糸を刺繍する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、針を用いて手で刺繍する、又はミシンで刺繍する等が挙げられ、中でもミシンで刺繍することが好ましい。
【0030】
前記第1電極糸9及び前記第2電極糸10を縫い込む場合は、必ずしも一直線状に延びていなくてもよく、多少角度がついていても良い。
【0031】
前記導電性の糸の種類としては、導電性を有する繊維素材であればよく、例えば、銅、ステンレス、銀等の金属繊維や炭素繊維、導電性のない繊維に、銀、銅、ニッケル等の金属をメッキ等の手段によって繊維表面にコーティングし導電性機能の付与された糸等を挙げることができる。
【0032】
前記導電性の糸の電気抵抗としては、103Ω/cm~10-4Ω/cmであることが好ましい。
【0033】
前記第1電極糸9と前記第2電極糸10との間に流れる電流の大きさは、第1検知糸7及び第2検知糸8の鞘部の吸水度合いによって変化する。また、第1検知糸7及び第2検知糸8の鞘部の吸水度合いは、湿度検知布層3がおかれている雰囲気の湿度によって変化する。このため、第1電極糸9と第2電極糸10との間に流れる電流の大きさを比較することにより、湿度検知布層3が置かれている雰囲気の湿度の高低を測定することが可能になる。電流値の変化を連続的にモニターすれば、湿度の変化を連続的に捕らえることもできる。
【0034】
前記第1電極糸9と第2電極糸10との間に流れる電流の大きさは、第1検知糸7と第2検知糸8との交点の数にも依存する。このため、湿度検知布層3に含まれる第1検知糸7及び第2検知糸8の本数を増やし、交点の密度を高くすることにより、検出感度を高くすることができる。逆に、交点の密度をある程度抑え、検出する電流値に閾値を設けることにより、第1検知糸7及び第2検知糸8の鞘部が局所的に水分を吸収した場合には、電流値の変化を検出せず、湿度検知布層3の広い面積において第1検知糸7及び第2検知糸8の鞘部が水分を吸収した場合にのみ、電流値の変化を検出するようにもできる。
【0035】
前記第1電極糸9と第2電極糸10との間に流れる電流の大きさは、第1電極糸9と第2電極糸10との間の抵抗値として捉えることができる。
【0036】
前記第1検知糸7及び前記第2検知糸8は、鞘部は芯部を被覆するために用いられ、かつ非導電性及び吸水性を有する吸水糸であり、芯部が導電糸である芯鞘複合構造を有する繊維である。鞘部は水分を保持することにより、導電性を示す。第1検知糸7と第2検知糸8とは、複数の交点を形成している。
【0037】
前記第1検知糸7及び前記第2検知糸8の太さは特に限定されるものではないが、強度と風合いの観点から500デシテックス~100000デシテックスとすることが好ましい。
【0038】
前記芯部は導電糸である。導電糸であるから、芯部は電気を流すことができ、湿度を測定することができる。中でも、銀メッキ糸やステンレス線であることが好ましい。
【0039】
前記鞘部は、材料自体は非導電性であるが、水分を保持することができる多数の空隙を有し、空隙に保持した水分により導電性を示す材料により形成することができる。
【0040】
前記吸水糸は非導電性の材料からなり、かつ、吸水性を有する糸であれば、特に限定されず、異形断面糸及びマイクロファイバー糸等とすることができる。湿度の変化を迅速に検出する観点から、吸水糸は吸水性を有するだけでなく速乾性を有していることが好ましい。中でも、異形断面を有するポリエステル糸又は不定形断面形状ポリエステル糸であることが好ましい。吸水糸が水分に浸透していない場合は非導電性を有し、吸水糸に水分が与えられた場合は導通することができ、湿度を測定することができる。
【0041】
前記第1検知糸7及び前記第2検知糸8の芯部として導電糸を芯糸に用いて、導電糸からなる芯糸の外周面に前記鞘部で被覆する方法としては、特に限定するものではないが、組紐、カバーリング等が挙げられ、導電糸からなる芯糸の隙間が見えないように巻き付けることが好ましい。
【0042】
前記組紐としては、丸打紐、角打紐、平打紐等が挙げられ、丸打紐であることがより好ましい。
【0043】
前記組紐の太さとしては、500デシテックス~10000デシテックスであることが好ましい。
【0044】
前記導電糸からなる芯部の外周面に巻き付ける組紐の本数としては、4打~16打であることが好ましく、中でも、8打~12打であることがより好ましい。
【0045】
前記鞘部は芯部を被覆し、かつ非導電性及び吸水性を有する吸水糸であるから、通常、水分が濡れない場合は非導電性を有する。鞘部に水分がかかると吸水性を有するため、芯部の導電糸まで水分が到達すると電気を流すことができ、湿度を測定することができる。
【0046】
前記湿度検知布層3の組織としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。中でも、平織であることが好ましい。
【0047】
前記湿度検知布層3に含まれる第1検知糸7及び第2検知糸8との交点の数は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。少なくとも、第1検知糸7と第2検知糸8とを2本ずつとし、4点の交点を設ければ、湿度検知布層3がおかれている雰囲気の湿度変化を検出可能である。
【0048】
前記不織布層4としては、特に限定するものではないが、例えば、ニードルパンチ不織布、ウォーターニードル不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等が挙げられる。
【0049】
前記不織布層4の目付としては、30g/m2~400g/m2であることが好ましい。30g/m2以上であることで水分を保持することができ、400g/m2以下であることで軽量であり、応答性を維持することができる。中でも、100g/m2~300g/m2であることがより好ましい。
【0050】
前記不織布層4の厚みとしては、1mm~10mmであることが好ましい。1mm以上であることでクッション性を得ることができると共に、コンクリート表面を保護することができ、10mm以下であることで巻き取り性を確保することができる。中でも、2mm~6mmであることがより好ましい。
【0051】
前記不織布層4を構成する繊維としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン等が挙げられる。
【0052】
前記湿度検知布層3と前記不織布層4との間に、平面視において線状の樹脂が多数本略平行状に配置されて形成された通気性接着樹脂層を有することが好ましい。通気性接着樹脂層を有することで、コンクリート表面に散布した水分を湿度検知布層3へ移行させやすくすることができる。
【0053】
湿度を測定する方法としては、前記第1電極糸9及び前記第2電極糸10の先にテスターを取りつけ、第1電極糸と第2電極糸との間に流れる電流の大きさ、又は第1電極糸及び第2電極糸との間の抵抗値等を測定することにより、湿度検知布層が置かれている雰囲気の湿度の高低を測定することが可能になる。電流値の変化を連続的にモニターすれば、湿度の変化を連続的に捕らえることもできる。
【実施例】
【0054】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0055】
<使用材料>
第1電極糸9及び第2電極糸10・・・・銀メッキ糸(大阪電気工業株式会社製、商品名odex、70d×3)
第1検知糸7及び第2検知糸8(芯鞘複合構造を有する繊維)・・・銀メッキ糸(大阪電気工業株式会社製、商品名odex、70d×3)の外周面に非導電性及び吸水性を有する吸水糸(ポリエステル異形断面糸、帝人フロンティア株式会社製、カルキュロ167T48)を用いて、丸打紐8打で巻き付けた。
通常の非導電性の糸11・・・ポリエステル(200d)
湿度検知布層3・・・経糸5のうち、第1検知糸7を100mm間隔に1本の割合で、第1検知糸7以外には通常の非導電性の糸11を用いた。次に、緯糸6のうち、第2検知糸8を100mm間隔に1本の割合で、第2検知糸8以外には通常の非導電性の糸11を用いて、平織で織物を得た。次に、織物の端部から1cmの位置にミシンを用いて第1電極糸9及び第2電極糸10を刺繍した。
不織布層・・・(ポリエステル、目付150g/m2)
【0056】
<実施例1>
湿度検知布層と不織布層を平面視において線状の樹脂が多数本略平行状に配置されて形成された通気性接着樹脂層(線ラミ:線状の樹脂の幅10mm、隣り合う線状の樹脂と線状の樹脂との間隔5mm、塗布量150g/m
2)で押し出して、湿度検知布層と不織布層とをプレスロールで貼り合わせた。次に、湿度検知布層の不織布層を貼り合わせた面とは別の他方の面に、ポリエチレンからなる樹脂を押出機で押し出し(塗布量160g/m
2)て、プレスロールで貼り合わせて、
図1に示すコンクリート養生シート1を得た。
【0057】
<湿度測定評価方法>
実施例1で作成したコンクリート養生シートの端部において、第1電極糸及び第2電極糸の先にテスターが取り付けられるように、樹脂層を少しめくった。次に、第1電極糸及び第2電極糸にテスターを取り付けた。次に、所定の温度及び湿度の恒温槽(エスペック株式会社製PR-35)内に、縦120cm×横140cmの大きさ(第1検知糸と第2検知糸との交点が143個)のコンクリート養生シートを折りたたんで10分間放置した。10分後、第1電極糸と第2電極糸との間の抵抗値を測定した。なお、恒温槽に入れる前の抵抗値は、いずれも検出範囲外(OL)であった。
【0058】
温度が25℃の場合、湿度が40%、60%、80%及び100%において、恒温槽内に入れ10分後の抵抗値は、それぞれ、100MΩ、22.6MΩ、2MΩ、0.073MΩであった。
【0059】
コンクリート養生シートが置かれた雰囲気の湿度及び温度により、抵抗値が変化し、湿度の指標が得らえることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るコンクリート養生シートは、例えば、湿度を測定したいコンクリート養生シート等に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・コンクリート養生シート
2・・・非透水性を有する樹脂層
3・・・湿度検知布層
4・・・不織布層
5・・・経糸
6・・・緯糸
7・・・第1検知糸
8・・・第2検知糸
9・・・第1電極糸
10・・・第2電極糸
11・・・通常の非導電性の糸
W・・・緯方向
L・・・経方向