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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】簡易テント係合固定具
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/06 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
E04H15/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023142627
(22)【出願日】2023-09-03
【審査請求日】2023-09-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523336044
【氏名又は名称】川畑 貴雄
(74)【代理人】
【識別番号】100195051
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 海幹
(72)【発明者】
【氏名】川畑 貴雄
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0050591(KR,A)
【文献】実開平02-025653(JP,U)
【文献】実公昭49-000812(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00-15/64
B60P 3/345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被対象物に形成された一方の係合部に着脱自在の他方の係合部を備えた簡易テントを装着するものであって、
水平方向に伸延する長尺の本体基部の前側に前記他方の係合部と弾性部材からなる長尺の緩衝部と、を形成すると共に、前記本体基部の後側に前記簡易テントを形成し、
前記緩衝部は、前記被対象物への係合による装着により前記一方の係合部を中心にその左右側の前記被対象物の表面と当接するよう構成したことを特徴とする簡易テント係合固定具。
【請求項2】
前記緩衝部は前記本体基部の左右端にかけて下方側に傾斜するよう形成したことを特徴とする請求項1に記載の簡易テント係合固定具。
【請求項3】
前記被対象物への係合による装着後に前記被対象物の前記表面を前記緩衝部が強制的に押圧する押圧機構を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易テント係合固定具。
【請求項4】
前記押圧機構は、前記他方の係合部を前後に進退自在で且つ後退側で固定自在とする係合進退部を形成することで前記緩衝部が前記被対象物の前記表面を押圧するよう構成したことを特徴とする請求項3に記載の簡易テント係合固定具。
【請求項5】
前記押圧機構は、前記緩衝部を前方に進出させる緩衝繰出し部を形成することで前記緩衝部が前記被対象物の前記表面を押圧するよう構成したことを特徴とする請求項3に記載の簡易テント係合固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバックドア等の係合部材を利用して当該箇所に簡易テントを装着する簡易テント係合固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の庭でバーベキュー等を行うことは一般的であり、その際、炎天下での日除け対策として大型のパラソルを設置することや、天幕のみの簡単な簡易テントを設置することも一般的となっている。
【0003】
また、近年ではアウトドアレジャーを楽しむ人が増え、自動車で海や山、キャンプ場等へと出向く人達も多くなっており、その場でテントを設置することも一般的な行動になっている。
【0004】
また、テントも本格的な組立式の物だけでなく簡単に設置できる簡易テントが普及していることでアウトドアレジャーがより一層身近なものとなっている。
【0005】
このような現状においては、自動車を利用してテントを張ることが出来れば車内空間を活用することも可能であり、しかも、別途テントを張るスペースを確保することなく、概ね駐車可能なスペースが有ればよいことから様々なアイデアが考案されている。
【0006】
例えば、特許文献1に係る「自動車後部ドアテント着替カーテン」が開示されており、本技術によれば、自動車後部ドアカバーでバックドアを囲繞するように包み、その上部にテント、下部に着替カーテンを形成したもので、使用時は、バックドアに被せ、左右のサイズ調節紐を縛り、テントを取出し、取付用リングをテント支柱に嵌めつつ地面に立て、ロープで固定して設置できるとされている。
【0007】
また、例えば、特許文献2に係る「自動車ドア用テント支持固定器具」が開示されており、本技術によれば、車両のバックドアまたはトランクルームのドアに、このドアのロック機能を利用して、テントを支持する支持部材を固定する固定器具があって、前記ドアから水平方向へ延びる前記支持部材と、この支持部材に一体に設けられた車両本体のラッチロック誘発部分であるU字状金具と同様の形状を有するU字形状部分と、を備え、前記ロック機構が有するロック機能により前記支持部材が前記水平方向へ延びた状態で固定されるものであり、ラッチロック誘発部分がロックと同一形状でスリットに押し込まれロック金具にはさまれ、スイングロックを車両バックドアまたはトランクルームのドアに接触する事で自動車ドア用テント支持固定器具が水平に固定されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平09-235913号公報
【文献】特開2017-201110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
確かに、特許文献1に係る技術によれば、自動車後部ドアカバーをバックドアに被せるシンプルな作業で設置準備が完了する点では優れている。
【0010】
しかしながら、車両の大きさや形状の違いによってバックドアの大きさや形状も異なるため、しっかりと取付けるためには自動車後部ドアカバーをバックドアに被せてから左右のサイズ調節紐を正確に強く縛ることや、テントを取出す作業が非常に煩雑である。
【0011】
また、特許文献2に係る技術によれば、車両ドアのロック機能を利用する点では確実な係合を簡単に行なうことが出来る点で優れている。
【0012】
しかしながら、ロック金具を支点とした梃子の原理を規制するスイングロックでは前後の動きは防止できるものの左右の動きを防止することは出来ないばかりかロック機能だけで本器具を充分に固定することは出来ず、また、車両とテントとの間隙から雨水が侵入してしまうという問題も有している。
【0013】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、簡易テントを車両等の被対象物に対して容易に強固な装着ができ、しかも、装着箇所からの雨水の侵入を防止できる簡易テント係合固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上のような目的を達成するために、本発明は以下のようなものを提供する。
【0015】
請求項1に係る発明では、被対象物に形成された一方の係合部に着脱自在の他方の係合部を備えた簡易テントを装着するものであって、水平方向に伸延する長尺の本体基部の前側に前記他方の係合部と弾性部材からなる長尺の緩衝部と、を形成すると共に、前記本体基部の後側に前記簡易テントを形成し、前記緩衝部は、前記被対象物への係合による装着により前記一方の係合部を中心にその左右側の前記被対象物の表面と当接するよう構成したことを特徴とする簡易テント係合固定具を提供せんとする。
【0016】
請求項2に係る発明では、前記緩衝部は前記本体基部の左右端にかけて下方側に傾斜するよう形成したことを特徴とする請求項1に記載の簡易テント係合固定具を提供せんとする。
【0017】
請求項3に係る発明では、前記被対象物への係合による装着後に前記被対象物の前記表面を前記緩衝部が強制的に押圧する押圧機構を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易テント係合固定具を提供せんとする。
【0018】
請求項4に係る発明では、前記押圧機構は、前記他方の係合部を前後に進退自在で且つ後退側で固定自在とする係合進退部を形成することで前記緩衝部が前記被対象物の前記表面を押圧するよう構成したことを特徴とする請求項3に記載の簡易テント係合固定具を提供せんとする。
【0019】
請求項5に係る発明では、前記押圧機構は、前記緩衝部を前方に進出させる緩衝繰出し部を形成することで前記緩衝部が前記被対象物の前記表面を押圧するよう構成したことを特徴とする請求項3に記載の簡易テント係合固定具を提供せんとする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、被対象物に形成された一方の係合部に着脱自在の他方の係合部を備えた簡易テントを装着するものであって、水平方向に伸延する長尺の本体基部の前側に他方の係合部と弾性部材からなる長尺の緩衝部と、を形成すると共に、本体基部の後側に簡易テントを形成し、緩衝部は、被対象物への係合による装着により一方の係合部を中心にその左右側の被対象物の表面と当接するよう構成したことより、一方の係合部に対して他方の係合部を係合するだけで簡易テントを被対象物に容易に装着でき、しかも、装着箇所からの雨水の侵入を防止できる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、緩衝部は本体基部の左右端にかけて下方側に傾斜するよう形成したことより、緩衝部の上部への雨水の滞留による侵入を防止して緩衝部の両端側へと雨水を導出して排水することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、被対象物への係合による装着後に被対象物の表面を緩衝部が強制的に押圧する押圧機構を形成したことより、被対象物の表面に緩衝部を強く付勢できるので装着箇所からの雨水の侵入を更に防止できる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、押圧機構は、他方の係合部を前後に進退自在で且つ後退側で固定自在とする係合進退部を形成することで緩衝部が被対象物の表面を押圧するよう構成したことより、一方の係合部に対して他方の係合部の装着が容易となり、しかも、被対象物の表面に緩衝部を強く付勢できるので装着箇所からの雨水の侵入を更に防止できる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、押圧機構は、緩衝部を前方に進出させる緩衝繰出し部を形成することで緩衝部が被対象物の表面を押圧するよう構成したことより、被対象物の表面に緩衝部の押圧力を調整しながら強く付勢できるので装着箇所からの雨水の侵入を更に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は本実施形態に係る簡易テント係合固定具を車両に装着する様子を示す説明図で、(b)は装着した様子を示す説明図である。
図2】(a)は緩衝部を分離した本実施形態に係る簡易テント係合固定具の斜視図で、(b)は簡易テント係合固定具の斜視図である。
図3】(a)は本実施形態に係る簡易テント係合固定具の平面図で、(b)は(a)のA-A断面図で、(c)は右側面図で、(d)は正面図で、(e)は背面図である。
図4】本実施形態に係る緩衝部を略ハの字に形成した正面図である。
図5】(a)は緩衝部の前面に滑り防止部を形成した正面説明図で、(b)は(a)の側面図である。
図6】(a)は緩衝部の前面に磁石と金属を配設した正面説明図で、(b)は(a)の断面図である。
図7】本実施形態に係る変形例1の押圧機構の上方斜視図である。
図8】(a)、(b)は変形例1の平面透視図で、(c)、(d)、(e)は規制窓と抜け止め部の関係を示す説明図である。
図9】(a)、(b)、(c)は変形例1の側断面図である。
図10】(a)、(b)は変形例1の平面透視図である。
図11】(a)、(b)は変形例1の側断面図である。
図12】(a)は変形例2の平面透視図で、(b)、(c)は変形例2の側断面図である。
図13】(a)、(b)は変形例2の平面透視図である。
図14】(a)、(b)は変形例2の平面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る簡易テント係合固定具の要旨は、被対象物に形成された一方の係合部に着脱自在の他方の係合部を備えた簡易テントを装着するものであって、水平方向に伸延する長尺の本体基部の前側に他方の係合部と弾性部材からなる長尺の緩衝部と、を形成すると共に、本体基部の後側に簡易テントを形成し、緩衝部は、被対象物への係合による装着により被対象物の表面と当接するよう構成したことを特徴とする。すなわち、簡易テントを車両等の被対象物に対して容易に強固な装着ができ、しかも、装着箇所からの雨水の侵入を防止できる簡易テント係合固定具の提供を図ろうとするものである。
【0027】
以下、本発明に係る簡易テント係合固定具1について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
【0028】
また、本説明中における一方の係合部Aとは受側となるロッカーであり、他方の係合部11とはU字状のストライカーとして便宜上説明しているが、これら2つの係合部A,11はどちらかに限定されるものではなく、反対に構成されていても本発明の要旨の範囲内である。
【0029】
更に、本説明中における一方の係合部Aと他方の係合部11は一般的に自動車等で用いられるロッカーとストライカーを示して説明しているが、これらは本実施形態に限定されるものではなく、互いが係合するものであれば係合部の種類は問わない。
【0030】
なお、本説明中では自動車Cのバックドアを被対象物Bとして説明しているが、被対象物Bはこれに限定されず、例えば、一方の係合部Aを建物の壁面に形成した場合は建物(壁)が被対象物Bとなる。
【0031】
また、本説明中では簡易テント19は、天幕20を形成するシンプルなロールスクリーン式のものとして説明しているが、簡易テント19の形状や構造はこれに限定されるものではない。
【0032】
また、本実施形態に係る簡易テント係合固定具1の前後は、本体基部2に対して他方の係合部11と緩衝部14を形成した側を前側、簡易テント19を形成した側を後側として説明する。
【0033】
[基本構成]
本発明の実施形態に係る簡易テント係合固定具1の基本構成は、図1(a)、(b)に示すように、被対象物Bに形成された一方の係合部Aに着脱自在の他方の係合部11を備えた簡易テント19を装着するものであって、水平方向に伸延する長尺の本体基部2の前側に他方の係合部11と弾性部材からなる長尺の緩衝部14と、を形成すると共に、本体基部2の後側に簡易テント19を形成し、緩衝部14は、被対象物Bへの係合による装着により被対象物Bの表面と当接するよう構成している。
【0034】
すなわち、図1(a)に示すように、長手方向を略水平とした簡易テント係合固定具1を、開蓋した車両CのバックドアB(被対象物)に形成された一方の係合部Aに向けて他方の係合部11を係合させることで緩衝部14がバックドアBの側面と当接しつつ装着され、図1(b)に示すように、ロールスクリーンからなる簡易テント19の幕20を後方に引出して幕20の角部21に形成した雄ネジ22を伸縮自在の支柱23上部に形成した雌ネジ24と螺合させることで日除けを構成する簡易テント19を設置することができるものである。
【0035】
具体的には、図2(a)に示すように、垂直片3と水平片8からなり長尺で断面視T字状の本体基部2の前面中央にU字状のストライカーの開放端を上下として連設した他方の係合部11を形成すると共に、ウレタン等の弾性部材からなり本体基部2の長さと略等しい長尺で矩形ブロック状の緩衝部14を両面テープ等で垂直片3に接着し、垂直片3と水平片8からなる本体基部2の後側の上部に本体基部2の長さと略等しい幅の簡易テント19を配設して図2(b)の如く構成している。
【0036】
なお、本体基部2の形状等は本実施形態に限定されず、本体基部2は緩衝部14と簡易テント19を一体に配設できる構成であれば形状等は問わない。
【0037】
緩衝部14は、図3(a)、(d)に示すように、他方の係合部11と干渉する中央部近傍の上部を残して下方側に所定領域だけ切欠しているが、切欠領域は他方の係合部11と干渉しない範囲で任意に形成でき、雨水進入防止の観点から緩衝部14が左右で分離しない程度に繋がっていることが望ましい。
【0038】
簡易テント19は、図3(b)、(c)、(e)に示すように、下方側から水平に幕20(スクリーン)を引き出す構成で本体基部2の後側の水平片8の上部に水平方向に載置し、図示しない固定具で当該位置に固定される。
【0039】
また、緩衝部14は、図4(a)に示すように、雨水の滞留防止のために本体基部2の左右端にかけて下方側に傾斜するよう略ハの字に形成してもよく、また、図5(a)、(b)に示すように、バックドアBとの当接固定力を向上させるために緩衝部14の表面にゴムやシリコン等の弾性部材からなる半球状の複数の滑り防止部15を形成してもよい。
【0040】
なお、滑り防止部15の形状や配置等は本実施形態に限定されない。
【0041】
また、図6(a)、(b)に示すように、砂鉄の付着によるバックドアB当接面への傷防止を考慮しつつ簡易テント係合固定具1の固定を強固にする目的で緩衝部14の内側面(又は外側面)にシート状の磁石16を形成すると共に外側面には磁石16よりも若干だけ広い面積で形成した鉄等の磁性体を有する薄いシート状の金属17を配設してもよい。
【0042】
なお、簡易テント係合固定具1の使用の際は、シート状の金属17を外して砂鉄等の付着物を除去した上で磁石16に接続して使用することでバックドアB当接面への傷防止を図ることができる。
【0043】
次に、本発明の実施形態に係る簡易テント係合固定具1の変形例について図面を用いて説明する。
【0044】
本発明の実施形態に係る簡易テント係合固定具1の変形例は、上述した基本構成に係る簡易テント係合固定具1を被対象物Bに係合して装着後に被対象物Bの表面を緩衝部14が強制的に押圧する押圧機構26を形成することで緩衝部14と被対象物Bとの密着性を向上させるものである。
【0045】
本変形例は、他方の係合部11を前後に進退自在とするか、又は緩衝部14を前後に進退自在とさせる2つの構成があり、まずは前者から詳述する。
【0046】
なお、以下に説明する簡易テント係合固定具をなす変形例1に係る押圧機構26は、他方の係合部11を前後に進退自在で且つ後退側で固定自在とする係合進退部27(27a,27b)を形成することで緩衝部14が被対象物Bの表面を押圧するよう構成しており、更に2つの方式(簡易テント係合固定具1a,1b)がある。
【0047】
[変形例1(簡易テント係合固定具1a)]
簡易テント係合固定具1aをなす変形例1に係る押圧機構26の外観は図7に示すもので、図8(a)に示す前方に突出した他方の係合部11を図示しない一方の係合部Aに係合した後、図8(b)の如く他方の係合部11を後退させ緩衝部14を被対象物Bに付勢させ、係合進退部27aによって他方の係合部11を後退側で固定自在とする。
【0048】
具体的には、図7図9(a)、(b)に示すように、他方の係合部11は矩形板状の係合台座32と連設し、係合台座32はその後方に伸延する進退可動軸34が回動自在となるように係合台座32を遊嵌している。
【0049】
進退可動軸34の先端には円盤状の枢支部35を形成し、係合台座32には枢支部35が係合台座32から離脱せず負荷なく回動するよう進退可動軸34と枢支部35の外形よりも若干だけ大きい段付き凹部からなる回動溝33を形成している。
【0050】
また、進退可動軸34の中途部には、進退可動軸34よりも小径で短尺の係合進退部27aの一部をなす第一・第二抜け止め部28,29を形成し、2つの抜け止め部28,29は進退可動軸34を越えて直交するように近接して平行に挿設固定し、進退可動軸34の後端には、略円環状の取手36aを連設している。
【0051】
第一抜け止め部28と本体基部2の垂直片3との間隙には圧縮バネ30aとその両側に圧縮バネ30aよりも大径のワッシャー31,31を配設して進退可動軸34を挿通している。
【0052】
また、本体基部2の垂直片3には、進退可動軸34が挿通自在でワッシャー31の外径よりも小径の軸孔4を穿設すると共に、水平片8の後端部から鉛直下方に伸延する矩形板状で係合進退部27aの一部をなす規制片37を垂設している。
【0053】
規制片37の中央には、第一・第二抜け止め部28,29の長さよりも長く幅狭で長手方向を上下とする長方形状の規制窓38を穿設している。
【0054】
このように構成した簡易テント係合固定具1aをなす変形例1に係る押圧機構26は、係合進退部27aをなす第一・第二抜け止め部28,29と規制窓38を有する規制片37によって、図8(c)に示すように水平方向に伸延した状態の第二抜け止め部29が規制窓38により規制片37と内側で当接した状態となる図8(a)、図9(a)のように、前方に突出した他方の係合部11を図示しない一方の係合部Aに係合した後、図8(d)の如く第一・第二抜け止め部28,29が規制窓38を通過するよう取手36aを略90°回動させ、後方に後退させつつ図8(e)の如く再び取手36aを略90°回動させ第一抜け止め部28が規制窓38により規制片37と外側で当接した状態となる図8(b)、図9(b)のようにして他方の係合部11を後退側で固定自在とすることが可能となる。
【0055】
なお、圧縮バネ30aは、他方の係合部11を後方に付勢させるものであり、一方の係合部Aとの係合を強固なものとするだけでなく、第一・第二抜け止め部28,29が規制窓38を容易に通過しないよう機能する。
【0056】
また、図7図9(c)等に示すように、係合台座32の左右側には後端部に円盤状のストッパー66を形成し後方に伸延するガイド軸65を突設し、本体基部2の垂直片3にガイド軸65を挿通自在に穿設することで他方の係合部11そのものが揺動や回動しないように構成している。
【0057】
[変形例1(簡易テント係合固定具1b)]
簡易テント係合固定具1bをなす変形例1に係る押圧機構26は係合進退部27bとしてラチェット機構を用いた構成であり、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)に示すように、ハンドル41を上下に回動させることで他方の係合部11と係合したベルト42によって他方の係合部11を後方に移動させる構成である。
【0058】
すなわち、図10(a)に示す前方に突出した他方の係合部11を図示しない一方の係合部Aに係合した後、図10(b)の如く他方の係合部11を後退させ緩衝部14を被対象物Bに付勢させ、係合進退部27bによって他方の係合部11を後退側で固定自在とする。
【0059】
具体的には、他方の係合部11の後端部に上下開放で矩形環状のベルト係合部12を形成し、本体基部2の垂直片3にはベルト42を水平方向に挿通自在とするベルト挿通部5を穿設している。
【0060】
また、本体基部2の水平片8にはラチェット機構を内蔵するラチェット固定BOX40を垂設し、ラチェット固定BOX40には一方の端部を環状に縫合したベルト42の当該部分に水平方向に挿通されるベルト固定軸43を形成している。
【0061】
また、ラチェット固定BOX40にはハンドル41と連設した図示しない端部が傾斜した歯車の周縁に一方向でのみ歯車と係合する爪を配設し、爪はベルトの他方の端部を保持したリールと連設することでハンドル41の上下回動操作によってベルト42をリールで巻取りながら他方の係合部11を後方に移動させる。
【0062】
また、爪は通常状態でバネ等により歯車側に付勢しているため、この付勢力を解除する図示しないリセットボタンを押下することでリールに巻取られたベルト42を容易に引き出すことができる。
【0063】
このように構成した簡易テント係合固定具1bをなす変形例1に係る押圧機構26は、係合進退部27bをなすラチェット機構によって、図10(a)、図11(a)に示すように前方に位置する他方の係合部11をハンドル41の上下回動操作によって図10(b)、図11(b)の如く後方に後退させても他方の係合部11を後退側で固定自在とすることが可能となる。
【0064】
なお、図11(a)、(b)に示す2つの圧縮バネ30bは、通常状態で他方の係合部11を前方に付勢させるものであり、また、図10(a)、(b)に示すガイド軸65は上述した簡易テント係合固定具1aをなす変形例1と同様の機能を有してベルト係合部12と連設すると共に本体基部2の垂直片3にもガイド軸65を挿通自在に穿設することで他方の係合部11そのものが揺動や回動しないように構成している。
【0065】
次に、緩衝部14を前方に進出させる押圧機構26を備えた変形例2について詳述する。
【0066】
なお、以下に説明する簡易テント係合固定具をなす変形例2に係る押圧機構26は、緩衝部14を前方に進出させる緩衝繰出し部45(45a,45b,45c)を形成することで緩衝部14が被対象物Bの表面を押圧するよう構成しており、更に3つの方式(簡易テント係合固定具1c,1d,1e)がある。
【0067】
[変形例2(簡易テント係合固定具1c)]
簡易テント係合固定具1cをなす変形例2に係る押圧機構26は、図12(a)、(b)、(c)に示すように、緩衝繰出し部45aとして押圧用ボルト46の進退操作により緩衝部14を前後移動自在に構成している。
【0068】
具体的には、本体基部2の垂直片3の裏面の2箇所に貫通した雌ネジ6を形成し、雌ネジ6に螺合する雄ネジからなる押圧用ボルト46を螺着する。
【0069】
また、他方の係合部11と緩衝部14は矩形板状のベース板48に連設し、ベース板48の裏面には垂直片3の前面から2つの雌ネジ6,6に挿通自在の押圧突起49,49を突設している。
【0070】
なお、他方の係合部11と緩衝部14とを形成したベース板48が本体基部2から脱落しないように、上述したガイド軸65のような図示しない構成を備えている。
【0071】
このように構成することで、他方の係合部11を一方の係合部Aに係合した後、2つの押圧用ボルト46を螺入することで被対象物Bに緩衝部14を強固に密着させることが可能となる。
【0072】
また、簡易テント係合固定具1cをなす本変形例2ではベース板48に他方の係合部11と緩衝部14を連設しているが、より望ましくは、他方の係合部11を本体基部2の垂直片3に連設し、緩衝部14のみをベース板48に連設した方が被対象物Bに緩衝部14を強固に密着させるには有利となる。
【0073】
なお、緩衝繰出し部45aの押圧用ボルト46の形成個数は2箇所に限定されず、被対象物Bに緩衝部14を強固に密着させることが可能であれば個数は任意で構わない。
【0074】
[変形例2(簡易テント係合固定具1d)]
簡易テント係合固定具1dをなす変形例2に係る押圧機構26は、図13(a)、(b)に示すように、緩衝繰出し部45bとしてリンク機構による操作部51の進退操作により緩衝部14を前後移動自在に構成している。
【0075】
具体的には、水平片8の下方において他方の係合部11を先端に連設し後端に環状の取手36bを形成した操作部51と、操作部51の前方左右から一方の端部を回動自在に枢支連結した2つのステー52,52と、本体基部2の水平片8から垂下した2つの支点軸9と、前面に緩衝部14を連設し後面にステー52の他方の端部を回動自在で左右移動自在に遊嵌する2つのステー支持部54,54を形成した矩形板状のリンクベース板53と、で構成している。
【0076】
このように構成することで、他方の係合部11を一方の係合部Aに係合した後、操作部51を後方に移動させることで2つの支点軸9に当接した2つのステー52,52が傾斜しつつリンクベース板53が前方に移動して被対象物Bに緩衝部14を強固に密着させることが可能となる。
【0077】
なお、緩衝部14を形成したリンクベース板53が本体基部2から脱落しないように、上述したガイド軸65のような図示しない構成を備えている。
【0078】
また、操作部51も図示しない構成にて本体基部2に前後摺動自在に配設している。
【0079】
また、操作部51は、通常状態で他方の係合部11を後方に付勢させるために、本体基部2を介して図示しないバネ等により接続している。
【0080】
[変形例2(簡易テント係合固定具1e)]
簡易テント係合固定具1eをなす変形例2に係る押圧機構26は、図14(a)、(b)に示すように、緩衝繰出し部45cとしてエアバッグ機構によって緩衝部14を前後移動自在に構成している。
【0081】
具体的には、本体基部2の前面と緩衝部14との間隙にエアバッグ56を配設し、エアバッグ56と連通連設したエア配管57によって垂直片3の裏面に配設した手押しポンプ58へと接続している。
【0082】
なお、手押しポンプ58には図示しないエア抜き栓を形成している。
【0083】
このように構成することで、他方の係合部11を一方の係合部Aに係合した後、手押しポンプ58を付数回押下することで2つのエアバッグ56,56が膨らんで前方に移動して被対象物Bに緩衝部14を強固に密着させることが可能となる。
【0084】
以上、説明したように本実施形態に係る簡易テント係合固定具1,1a,1b,1c,1d,1eは、被対象物Bに形成された一方の係合部Aに着脱自在の他方の係合部11を備えた簡易テント19を装着するものであって、水平方向に伸延する長尺の本体基部2の前側に他方の係合部11と弾性部材からなる長尺の緩衝部14と、を形成すると共に、本体基部2の後側に簡易テント19を形成し、緩衝部14は、被対象物Bへの係合による装着により被対象物Bの表面と当接するよう構成したことより、一方の係合部Aに対して他方の係合部11を係合するだけで簡易テント19を被対象物Bに容易に装着でき、しかも、装着箇所からの雨水の侵入を防止できる。
【0085】
また、緩衝部14は本体基部2の左右端にかけて下方側に傾斜するよう形成したことより、緩衝部14の上部への雨水の滞留による侵入を防止して緩衝部14の両端側へと雨水を導出して排水することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る簡易テント係合固定具1a,1b,1c,1d,1eは、被対象物Bへの係合による装着後に被対象物Bの表面を緩衝部14が強制的に押圧する押圧機構26を形成したことより、被対象物Bの表面に緩衝部14を強く付勢できるので装着箇所からの雨水の侵入を更に防止できる。
【0087】
また、本実施形態に係る簡易テント係合固定具1a,1bの押圧機構26は、他方の係合部11を前後に進退自在で且つ後退側で固定自在とする係合進退部27を形成することで緩衝部14が被対象物Bの表面を押圧するよう構成したことより、一方の係合部Aに対して他方の係合部11の装着が容易となり、しかも、被対象物Bの表面に緩衝部14を強く付勢できるので装着箇所からの雨水の侵入を更に防止できる。
【0088】
また、本実施形態に係る簡易テント係合固定具1c,1d,1eの押圧機構26は、緩衝部14を前方に進出させる緩衝繰出し部45を形成することで緩衝部14が被対象物Bの表面を押圧するよう構成したことより、被対象物Bの表面に緩衝部14の押圧力を調整しながら強く付勢できるので装着箇所からの雨水の侵入を更に防止できる。
【0089】
以上、本発明の本実施形態に係る簡易テント係合固定具1,1a,1b,1c,1d,1eの好ましい実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
A 一方の係合部
B 被対象物(バックドア等)
1 簡易テント係合固定具
1a 簡易テント係合固定具(変形例1)
1b 簡易テント係合固定具(変形例1)
1c 簡易テント係合固定具(変形例2)
1d 簡易テント係合固定具(変形例2)
1e 簡易テント係合固定具(変形例2)
2 本体基部
11 他方の係合部
14 緩衝部
19 簡易テント
26 押圧機構
27 係合進退部
45 緩衝繰出し部
【要約】
【課題】簡易テントを車両等の被対象物に対して容易に強固な装着ができ、しかも、装着箇所からの雨水の侵入を防止できる簡易テント係合固定具を提供する。
【解決手段】本発明に係る簡易テント係合固定具1は、被対象物Bに形成された一方の係合部Aに着脱自在の他方の係合部11を備えた簡易テント19を装着するものであって、水平方向に伸延する長尺の本体基部2の前側に他方の係合部11と弾性部材からなる長尺の緩衝部14と、を形成すると共に、本体基部2の後側に簡易テント19を形成し、緩衝部14は、被対象物Bへの係合による装着により被対象物Bの表面と当接するよう構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
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