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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】給水栓
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/02 20060101AFI20231215BHJP
   E03B 9/12 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
E03B9/02 Z
E03B9/12 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020038630
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021139187
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和2年1月1日から、株式会社 北川鉄工所 ホームページにて、本発明の給水栓について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】595042601
【氏名又は名称】株式会社北川鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】北川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小栗 大志
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100399(JP,A)
【文献】特開平10-219761(JP,A)
【文献】登録実用新案第3224603(JP,U)
【文献】実開昭53-151297(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 9/02
E03B 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中/地上の給水栓又は消火栓の何れかに接続される、一本又は複数本の管でなる管体を備えた給水栓であって、
前記管体は、
第1管~第n管を有し、
前記第1管より延設して第2管に差入れられた、単数又は複数の孔を備えた内管、及び前記第2管が兼務し、前記内管に回転可能に被嵌される外管を備えた回転機構と、
前記管体に縦設した弁棒回転させるための弁棒規制機構と
前記弁棒が通されると共に、前記弁棒との間に隙間が設けられた貫通孔を有し、前記内管の第3管の側の端面に被されると共に、前記外管の、前記第3管の側の端部に設けられたフランジと前記第3管の、前記外管の側の端部に設けられたフランジとの間に挟まれて固定された止めリングと、
を備え、
前記外管は、取付け口を備えた弁筐と弁体とを備え、
たことを特徴とする給水栓。
【請求項2】
地中/地上の給水栓又は消火栓の何れかに接続される、一本又は複数本の管でなる管体を備えた給水栓であって、
前記管体は、
第1管~第n管を有し、
前記第1管より延設して第2管に差入れられた、単数又は複数の孔を備えた内管、及び前記第2管が兼務し、前記内管に回転可能に被嵌される外管を備えた回転機構と、
弁棒が通されると共に、前記弁棒との間に隙間が設けられた貫通孔を有し、前記内管の第3管の側の端面に被されると共に、前記外管の、前記第3管の側の端部に設けられたフランジと前記第3管の、前記外管の側の端部に設けられたフランジとの間に挟まれて固定された止めリングと、
を備え、
前記外管は、取付け口を備えた弁筐と弁体とを備え、
たことを特徴とする給水栓。
【請求項3】
記第2管に、前記弁筐、前記弁体、及び前記取付け口を一つ又は複数備えることを特徴とする、請求項1、又は請求項2に記載の給水栓。
【請求項4】
前記回転機構、前記内管の外周面と前記第2管の内周面との間に前記単数又は前記複数の孔を介した導水空間形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の給水栓。
【請求項5】
前記取付け口は第1取付け口、及び/又は、第2取付け口でなり、
この第1取付け口は、前記第2管の一方の第1補助弁筐に、また前記第2取付け口は、前記第2管の他方の第2補助弁筐に、それぞれ設けることを特徴とする、請求項3に記載の給水栓。
【請求項6】
前記第1管は、前記地中/地上の給水栓又は消火栓の何れかに直接又は付属品を介して繋がれていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の給水栓。
【請求項7】
4管に、回転自在の滑り機構を備えることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の給水栓。
【請求項8】
前記取付け口には緊急給水器具が備えられることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の給水栓。
【請求項9】
前記回転機構の繋ぎ管には、フランジ継手を介して、補助弁か、バルブを備えた弁筐を取付けることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の給水栓。
【請求項10】
前記取付け口には、差込み口金、螺子式口金、又はカムロック式口金の何れかの口金を設けることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の給水栓。
【請求項11】
前記取付け口には、フランジ継手を介して、前記口金を取付けることを特徴とする、請求項10に記載の給水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水栓・緊急給水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給水栓に関連する文献1等が存在する。例えば、特開2019-100399号公報に記載の「給水車対応給水栓」であって、先端給水栓を、チャッキング部(ロータリージョイント)を利用して回転自在とし、全方向に向かって給水可能とすることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-100399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1は、高架式の給水栓の改良で、回転自在の構造であり利便性を備える。しかし、緊急時の利便性や使い勝手の観点から、更なる改良の余地があると考えられる。すなわち、従来の塔型給水車用給水栓および給水車用給水装置は、塔部中間に位置する流体取り出し口の向きは固定されており、周囲の状況や設置後の利便性を考慮して設置時に向きを決め、固定されており、改めて向きを変えたい場合は大掛かりな分解工事を必要とする。また、消防設備や別の給水栓などに給水を行う際、接続するホースは水圧によって曲がりづらくなり、接続する機器の設置位置や活動範囲を制限してしまう。補助弁が水平に回転する、回転式補助弁とすることで、上記の問題を解決し、給水車用給水装置の利便性が向上する。
【0005】
しかし、給水車用給水装置に回転式補助弁を適用するには、下記の条件を達成する必要がある。
1.流出口方向性・利便性の確保のため、回転式補助弁筐(補助弁)より上の構造物は、補助弁と共回りしないこと。
2.整備、補修のため、分割手段(フランジ手段、又はカムロック方式等)により分割できること。
3.上の構造物(上部構造)を支えるため、補助弁等から下の構造物の構造を選択すること。
4.安定した流体の供給のため、流量減少が少ない構造、例えば、弁を選択すること。
5.上部構造を支えるには、下部構造の強度に対して改良の余地があること。
【0006】
本願発明は、前記文献1を踏まえつつ、これらの条件の少なくとも、一部を達成できる新たな給水栓を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑み、本発明は、縦設された複数の管から成る管体を備える高架式等の給水栓において、少なくとも1つの管の回転の容易を確保することと、緊急給水栓の取付け口は、この管の回転に同期する構造を備えることを提案する。そして、提案を達成する手段として、最適な、請求項1~請求項11を開示する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1においては、
地中/地上の給水栓又は消火栓の何れかに接続される、一本又は複数本の管でなる管体を備えた給水栓であって、
管体は、
第1管~第n管を有し、
第1管より延設して第2管に差入れられた、単数又は複数の孔を備えた内管、及び第2管が兼務し、内管に回転可能に被嵌される外管を備えた回転機構と、
管体に縦設した弁棒(弁軸)回転させるための弁棒規制機構と
弁棒が通されると共に、弁棒との間に隙間が設けられた貫通孔を有し、内管の第3管の側の端面に被されると共に、外管の、第3管の側の端部に設けられたフランジと第3管の、外管の側の端部に設けられたフランジとの間に挟まれて固定された止めリングと、
を備え、
外管は、取付け口を備えた弁筐と弁体とを備え、
たことを特徴とする給水栓である。
【0009】
この請求項1は、高架式等の給水栓において、少なくとも1つの管の回転の容易を確保し、併せて、緊急給水栓の接続口は、この1つの管の回転に同期する構造を備える発明を提案できる。
【0010】
請求項2においては、
地中/地上の給水栓又は消火栓の何れかに接続される、一本又は複数本の管でなる管体を備えた給水栓であって、
管体は、
第1管~第n管を有し、
第1管より延設して第2管に差入れられた、単数又は複数の孔を備えた内管、及び第2管が兼務し、内管に回転可能に被嵌される外管を備えた回転機構と、
弁棒が通されると共に、弁棒との間に隙間が設けられた貫通孔を有し、内管の第3管の側の端面に被されると共に、外管の、第3管の側の端部に設けられたフランジと第3管の、外管の側の端部に設けられたフランジとの間に挟まれて固定された止めリングと、
を備え、
外管は、取付け口を備えた弁筐と弁体とを備え、
たことを特徴とする給水栓である。
【0011】
この請求項2は、高架式等の給水栓において、少なくとも1つの管の回転の容易を確保し、併せて、緊急給水栓の接続口は、この1つの管の回転に同期する構造を備える発明を提案できる。
【0012】
請求項3においては、
2管に、弁筐、弁体、及び取付け口を一つ又は複数備えることを特徴とする給水栓であり、請求項1又は2の目的達成に最適な第2管を提供できる。
【0013】
請求項4においては、
回転機構、内管の外周面と第2管の内周面との間に単数又は複数の孔を介した導水空間形成されていることを特徴とする給水栓であり、請求項3の目的達成に最適な第2管を提供できる。
【0014】
請求項5においては、
取付け口は第1取付け口、及び/又は、第2取付け口でなり、
この第1取付け口は、第2管の一方の第1補助弁筐に、また第2取付け口は、第2管の他方の第2補助弁筐に、それぞれ設けることを特徴とする給水栓であり、請求項3の目的達成に最適な取付け口を提供できる。
【0015】
請求項6においては、
第1管は、地中/地上の給水栓又は消火栓の何れかに直接又は付属品を介して繋がれていることを特徴とする給水栓であり、請求項3又は4の目的達成に最適なそれぞれの給水栓を活用できる。
【0016】
請求項7においては、
の第4管に、回転自在の滑り機構を備えることを特徴とする給水栓であり、請求項1~6の目的達成に最適な回転機構を提供できる。
【0017】
請求項8においては、
取付け口には緊急給水器具が備えられることを特徴とする給水栓であり、請求項1~7の目的達成に最適な構造を提供できる。
【0018】
請求項9においては、
回転機構の繋ぎ管には、フランジ継手を介して、補助弁か、バルブを備えた弁筐を取付けることを特徴とする給水栓であり、請求項1~8の目的達成に最適な構造を提供できる。
【0019】
請求項10においては、
取付け口には、差込み口金、螺子式口金、又はカムロック式口金の何れかの口金を設けることを特徴とする給水栓であり、請求項1~9の目的達成に最適な構造を提供できる。
【0020】
請求項11においては、
取付け口には、フランジ継手を介して、口金を取付けることを特徴とする給水栓であり、請求項10の目的達成に最適な構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願発明の給水栓(地下接続)の要部断面の縮尺全体図
図2-1】図1の別の一例を示した縮尺全体図(弁棒規制機構無し)
図2-2】図1のさらに別の一例を示した縮尺全体図
図3図2の別の一例を示した縮尺全体図(弁棒規制機構無し、乙管無し)
図4図1の別の一例を示した縮尺全体図(弁棒規制機構無し、乙管あり)
図5-1】地上式給水栓(地上給水栓)の要部断面の縮尺全体図(弁棒規制機構無し)
図5-2】図5-1の別の一例を示した縮尺全体図(弁棒規制機構無し)
図6-1】給水車用の可搬式給水栓のさらに他の一例を示した縮尺全体図(弁棒規制機構無し)
図6-2】図6-1の別の一例を示した縮尺全体図(弁棒規制機構無し)
図6-3】図6-1のベース部位の拡大全体図
図7-1】図1図6に示した給水栓の要部断面で、第1例の回転式補助弁の拡大図
図7-2】第1例の回転式補助弁に示した副弁筐を、第4管と第5管に、それぞれ着脱自在に取付けできる構造を開示した図
図7-3】第1例の回転式補助弁の他の一例を示した拡大図
図7-4】第1例の回転式補助弁の取付け口のその他の一例を示した要部の断面図
図7-5】第1例の回転式補助弁の取付け口のさらに他の一例を示した要部の断面図であり、取付け口にバルブが無く、直接水の取出し口となる口金が設けられている態様
図7-6】第1例の回転式補助弁の取付け口の別の一例を示した要部の断面図であり、フランジ継手を設け、口金を設けた態様
図8】第2例の回転式補助弁であり、例えば、回転式補助弁筐は、前述した構造とは、別の種々の構造を示した概要断面図
図9-1】第3例の回転式補助弁であり、例えば、回転式補助弁筐等は、前述した構造とは、さらに別の種々の構造を示した概要断面図
図9-2】第3例の他の回転式補助弁であり、例えば、分割回転式補助弁筐等は、前述した構造とは、さらに別の種々の構造を示した概要断面図
図9-3】第3例の他の回転式補助弁であり、例えば、分割回転式補助弁筐等は、前述した構造とは、さらに別の種々の構造を示した概要側面図
図10】使用状態の一例であり、給水車に給水する状態を示した模式図
図11】使用状態の他の一例であり、緊急給水栓に給水する状態を示した模式図
図12】(イ)~(ハ)は、設置方式、弁・管の形態・種類・使用とか、又は弁・管の有無等を分類し、表示しており、本発明の各実施例に摘要できる各一例をそれぞれ示した表
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、地下給水栓A1(地上給水栓A2)の各実施例に関する構成を順に説明するが、好ましい、一例であり、この説明とか図面に限定されず、本発明の考えと、概念が符合するものは、本発明の範疇である。明細書において、構造、機能とか特徴が同じ部品(構成品)では、同じ番号、名称を使用する。地下給水栓A1・地上給水栓A2は、総称として給水栓Aとする。
【0023】
図1図4に示した第1~第4実施例は、地下給水栓A1であって、導水(水道水)取入れ口1を備え、地中の最下端に設けた(配備した)取入れ管100と、この取入れ管100の上に配備した第1弁筐2と、この第1弁筐2に内設した主弁3(尚、弁には、例えば、玉形弁、ボール弁、バタフライ弁、ソフトシール弁、仕切弁等を含む)と、この第1弁筐2に連設した縦長形状の管状の主弁管4(短管)、及び第2及び第4実施例に示した第1弁筐2に立設した第1弁棒5(弁棒規制機構)、及び/又は、第1実施例(図1図7-1)に示した、後述する第2弁棒5a(弁棒規制機構)とか、で構成されている。従って、第1弁棒5とか、第2弁棒5aを回転し、主弁3により取入れ口1を開放することで、水道水等の水が、この第1弁筐2→主弁管4→後述する管体、緊急給水管に流れる(導かれる)。
【0024】
尚、図2-1は、図1に示した第1実施例の別の一例を示した縮尺全体図であり、主弁3等の配置を変更したものである。また、図2-2は、第1実施例のさらに別の一例を示した縮尺全体図であり、前述の例に準ずる。
【0025】
図5-1に示した第5実施例は、地上給水栓A2であって、本管(符号なし)に設けた取入れ管100を備えた乙管6(形態は限定されない。以下同じ)と、この乙管6に繋ぐ縦長形状の管状の主弁管4で構成されている。その他は、原則として、前述の地下給水栓A1に準ずる。
【0026】
図1図5-1の第1~第5実施例において、図中10は管体であり、この管体10の内部空間は、主弁管4の上端開口4a(内部空間の開口)には第1フランジ継手(符号なし、フランジと止め具、以下同じ)を介して繋がり、かつこの管体10は、第1管10a~第n管10n(第1管~第6管とする)で構成されるとともに、第1管~第6管は継手方式7(例えば、フランジ継手、カムロック方式)で繋がる。図中8は消火栓である。
【0027】
尚、管体10には、主弁管4を含めることも有り得る(図5-1参照)。例えば、後述する回転式補助弁筐を取付ける例である。
【0028】
図7-1及び7―5に示した回転式補助弁の第1例では、回転機構Xの回転式補助弁筐13は、第1管10aの上端開口10a1(内部空間)には第2フランジ継手(符号なし)を介して繋がり、かつ分離可能な第2管10bと、この第2管10b(及び任意選択で継ぎ管となる第3管10c)に内設した多数の通水孔11aを備えた軸芯パイプ11(内管B)と、この軸芯パイプ11の外周面11bと、後述する繋ぎ管14の内周面14aか、又は第2管10b(外管C)の内周面10b1との間に形成される導水空間12と、この導水空間12に繋がる前記第2管10bに付設した回転式補助弁筐13(外管C)と、この回転式補助弁筐13に備えた補助弁棒13a、及び弁体13bで構成されている。
【0029】
回転式補助弁筐13は、地下給水栓A1の開口(図示せず)に第2フランジ継手(符号なし)を介して繋がった第1管10aに設けられており、その構成は、第1管10aより延設し、かつ単数又は複数の通水孔11aを備えた軸芯パイプ11(内管B、円管が望ましいが、限定されない)と、この軸芯パイプ11の外周面11bと、第1管10aの内周面10b1、主弁管4の内周面10b1(符号なし)、換言すると、外管Cの内周面(符号なし)との間に形成される導水空間12と、この導水空間12に繋がる前記第2管10bに付設した回転式補助弁筐13(外管C)と、この回転式補助弁筐13に備えた補助弁棒13a、及び弁体13bでなる。尚、第1管10aは複数管の繋ぎ管も有り得る。従って、第1管10aから導入された導水は軸芯パイプ11内に至り、通水孔11aを経由して導水空間12に入り、その後、回転式補助弁筐13から、その回転式補助弁筐13の取付け口(流出口)13cに導かれる。導かれた導水は、この回転式補助弁筐13の取付け口13cに繋がる緊急給水栓20などの緊急給水器具に至る。この緊急給水栓20の本管20aに接続された多数のコック(給水口)20b~20nより、各人、及び/又は、各箇所に給水される。図中13dは補助弁棒13aの回転操作用のレバーである。尚、第1フランジ継手には、前記軸芯パイプ11の下端が繋ぎ係止されている。そして、軸芯パイプ11の内部空間(導水路)は、前記第1管10aの内部空間に繋がる。前記繋ぎ管14は、請求項1に記載した外管Cとなる。また、回転式補助弁筐13の弁筐13eは、第3管10cの内部空間と繋がり、この弁筐13eの先端は、取付け口13cである。この取付け口13cを閉塞する際には、図示しないキャップなどを利用する。前記通水孔11aは、図示では、丸孔とするが、その形態には限定されず、長孔、スリット孔、その他の形状を含む。また、孔の数とか、向き等は限定されず、随時、変更可能である。そして、回転式補助弁筐13を管体10の中間位置に設け、回転時の安定性を図る(以下、同じ)。尚、図7-1、7-3等の如く、回転式補助弁筐13は、第1管10aより延設した軸芯パイプ11を軸芯として回転する。また、回転式補助弁筐13は、主弁管4に設けることも有り得る(図5-1参照)。その構造は、他の例に準ずる。
【0030】
さらに、図1~6、及び図8において示した回転式補助弁の第2例では、回転機構Xの回転式補助弁筐13-1は、弁筐13e1、補助弁棒13a1、弁体13b1、取付け口(流出口)13c1、図示しない任意選択のレバー13d1を備え、更に他方の取付け口(流出口)13g1を有する。図中13f1はキャップを示す。図8では他方の取付け口13g1に水栓が螺着されているが、取付け口13g1に取付け可能であればどのような器具でもよいことは言うまでもない。その他は先述の回転式補助弁筐13に準ずる。
【0031】
そして、図1図8等において、軸芯パイプ11等に対し、この回転式補助弁筐13・13-1は回転自在であり、自由な方向に給水、及び/又は、導水できる。図中21は軸芯パイプ11の上端と、第2フランジ継手を繋ぎ係止する貫通孔21a(導水路)を備えた軸芯パイプ止めリングである。軸芯パイプ止めリング21は、軸芯パイプ11の固定を図る。
【0032】
さらに、図1~6、及び図9-1~図9-3において示した回転式補助弁の第3例では、回転機構Xの回転式補助弁筐13-2、13-3は、この回転式補助弁筐13-2、13-3が環体であって、軸芯パイプ11を環体とする構造である。例えば、回転式補助弁筐13-2、13-3と、軸芯パイプ11とが、同形環体とし、この同形環体内に、導水空間12を形成する。そして、軸芯パイプ11には、前述の各例と同じように通水孔11aを備える。その他の構造と使用、作用等は前記各例に準ずる。尚、少なくとも、図9-1、図9-2の回転式補助弁筐13-2、13-3は、分割方式であり、止め具15を利用して緊締する。図示しないがパッキン、ガスケット等を利用して水密にする。分割式では、修理とか取付けに利便性がある。尚、具体的な説明は割愛するが、前述の如く、各例に準ずる。
【0033】
そして、この回転機構Xの回転式補助弁筐13等、及び/又は、軸芯パイプ11等の構造は、前述の各例に限定されることなく、二系統構造、多数パイプ方式、或いは、補助弁筐内の区画方式、断層方式等の物も採用できる。換言すると、補助弁筐が、全ての機構で回転可能な方式は、本発明の範疇である。
【0034】
また、図7-1~図9-1等において、図中25は弁棒規制機構であり、第2弁棒5aの回転を司る。この弁棒規制機構25は、第2管10bに第3フランジ継手(符号なし)を介して繋がり、かつ分離可能な第4管10dと、この第4管10d内に垂設した第2弁棒5aに固止した第1歯車26と、この第1歯車26に噛合する第4管10d内に横設した第2歯車27と、この第2歯車27を支持する第4管10dの外壁を貫設した主弁操作軸28で構成されている。従って、主弁操作軸28を回転することで、第1歯車26と第2歯車27が回転し、第2弁棒5aを回転する。即ち、第2弁棒5aが主弁3を操作する機構では、この主弁3により取入れ口1の開閉を図る。
【0035】
図1図4図7-1~図7-3、図9-1~図9-3等において、第4管10dの下方には、副弁筐30が設けられており、またこの第4管10dの上方には、後述する第5管10eが連設されている。そして、副弁筐30には、バルブ31(弁体)とか、図示しない弁棒及び/又は、弁室と、内部空間(導水路)を備える。この内部空間は弁体で開閉自在である。そして、この副弁筐30の上には、第4管10dが支持、かつ固止されている。この第4管10dは、第1筐体35と、この第1筐体35に遊嵌した第2筐体36の組み合わせであって、この第1筐体35と、第2筐体36の組み合わせ部位には、ロータリージョイントで、例えば、スラストベアリングの滑り材37、38等(その他、例えば、滑りシート、滑り軸塗装材、又は回転面保護材、グリス等の何れかも可能である)を介して支持する。この支持を利用して、第2筐体36が回転自在に支持される。即ち、第4管10d及び第5管10eの回転を担持する。また、この第4管10d及び第5管10eは内部空間(導水路)を備える。
【0036】
図中40は第5管10eに設けたハンドルであり、このハンドル40を操作することで、第4管10dから第6管10fは、第1筐体35と、その第2筐体36の滑り回転を利用し、例えば、360°範囲で自由に回転する。また、図示しない止め手段と係止手段で、任意回転位置で固定等することも有り得る。
【0037】
尚、14は繋ぎ管であり、軸芯パイプ11に被嵌され、かつ回転式補助弁筐13を取付けるベースとなる。また、繋ぎ管14は、第1管10aと第3管10c(図2-1、図5-2、又は図7-1~図8等)・主弁管4と第2管10b(図5-1、図6-1~図6-3等)の間を水密形態に繋ぐ構造である。
【0038】
そして、回転式補助弁筐13の取付け口13cには、ホース22を介して緊急給水栓20が接続される。この緊急給水栓20の本管20aには、コック20b~20nが配備されている。
【0039】
尚、図3は、主弁3とか乙管6を備えない。また、図4は、主弁3と、乙管6を備え、かつ弁棒規制機構25を備えない。さらに、図5では、主弁3とか弁棒規制機構25を備えない。それぞれ別の例である。
【0040】
図6-1~図6-3は、給水車用可搬式給水栓であり、管体10の適所に回転式補助弁筐13又は13-1を配備した各例を示している。その他は、前述の図5-1(地上給水栓A2であって、弁棒規制機構25、若しくは/又は、副弁筐30を有さない実施例)に準ずる。
【0041】
図7-1~図7-3、図9-1~図9-3に示した一例では、副弁筐30を、第4管10dと第5管10eに、それぞれ着脱自在に取付けできる構造を開示しており、例えば、第4~第5フランジ継手を利用する。理由は、分割による修理とか取扱いの簡便等を意図する(他の例も、例えば、第1~第3フランジ継手も同じ)。図7-4は、取付け口13cに、フランジ継手を設け、補助弁か、バルブ(図示しない)を備えた弁筐13e(弁筐13eは、繋ぎ管14に設ける)を取付ける態様であり、その他は前述の例に準ずる。次に図7-5は、取付け口13cにバルブが無く、直接、水の取出し口となる口金が設けられている態様であり、口金は、差込み口金、螺子式口金、又はカムロック式口金の何れかでなる。図7-6は、フランジ継手を設け、口金を設けた例であり、その他は図7-4等に準ずる。そして、必要により、例えば、図7-4と図7-6の例では、製品を納品・設置後にそれぞれ組み替えることも可能となり、重宝する。更に、出荷時は止水用に閉止フランジ(図示せず)を取付けておいて、後からバルブや口金を設けることが可能であって、利便性が図れる。
【0042】
図1図11において、水道水等の水の流れを説明する。
【0043】
先ず、図10に示した給水車51への給水においては、主弁3を開放し(例えば図1及び図7-1の実施例では、弁棒規制機構25の主弁操作軸28を、図示しないハンドルで回転操作し、第1歯車26と第2歯車27を回転させ、第1弁棒5(第2弁棒5a)を回転させ、この回転で取入れ口1の主弁3を開放する)、この開放で、水が、主弁管4の内部空間に導入される。第1管10aの内部空間→第2管10bの内部空間(即ち、軸芯パイプ11の内部空間)→軸芯パイプ止めリング21の貫通孔21a→第4管10dの内部空間→副弁筐30の内部空間→第4管10d(第1筐体35と第2筐体36)の内部空間→第6管10fの内部空間→第6管10fの内部空間の流出口50→給水車51のタンク室内に導かれる。尚、この例では、回転式補助弁筐13は閉塞されている。従って、水の流れは、前述の第4管10dと第5管10e並びに第6管10fの流れとなる。補助弁を併せて使用する場合には、第1管10aの内部空間→軸芯パイプ11の内部空間→多数の通水孔11a→導入空間12→回転式補助弁筐13の内部空間、の流れが更に生じる。
【0044】
また、図11に示した緊急給水栓20においては、図1図7に示した第4管10dの内部空間までの水の流れは同じであるが、原則として、副弁筐30のバルブ31(弁体)は閉塞されており(この内部空間は閉塞されている)→回転式補助弁筐13の内部空間→取付け口13c→ホース22→緊急給水栓20の本管20a→コック20b~20nの流れとなる。尚、この例では、副弁筐30は閉塞されている。従って、前述の第4管10d、第5管10e、及び第6管10fの水の流れは無い。
【0045】
以上で説明した図10図11では、個別の流れを説明したが、給水車51、及び緊急給水栓20に、同時に水を流すことも可能である。そして、前述した給水車51、及び緊急給水栓20に対する、水の流れの制御は、主弁3、及び回転式補助弁筐13、13-1の弁体13b・13b1、又は副弁筐30のバルブ31等の開閉操作による。
【0046】
図12は、本発明の図1図8に示したそれぞれの実施例を、設置方式、弁・管の形態、弁・管の有無、付属品の有無、等で分類した、好ましい一例を示した表である。これらの各組合せで、市場、業者、顧客等の要望に柔軟に応え得る。尚、表の一番左側の1~8は、図1図8に対応している。
【0047】
そして、図示しないが、本発明の管部材は、非鉄金属のアルミ素材とか、複合素材、或いは、セラミック素材等の各素材でも可能である。
【0048】
図示せず、符号は付さないが、以下のような装置とか、方法も、考えられる。これもまた、本発明の範疇である。
(1)給水源からの流路パイプ(以下軸パイプとする)に補助弁への流入口となる孔を空け、そこに外筒となるように補助弁を取付ける。補助弁と上下軸受け部には、パッキン溝を設け、このパッキン溝にパッキンを取付け、内部を密閉する。従来の構造では、流入口は3個程度の少数の大きな孔で構成される。これに対して、本願発明では、小径の孔を分散して多数配置することで(例えば、軸パイプの円周5方向に、一方向につき4個、計20個)、補助弁流体取出し口と同等の流路断面積を確保し、上部構造を支えるのに必要な曲げ強度を確保できる。
(2)補助弁回転体と同軸となるように、筒状構造を持つフランジを軸パイプにかぶせる。軸パイプとフランジ筒部の隙間は微小である。その後、軸パイプ端部ねじに止輪のガタが無くなるよう強くねじ込み、補助弁とフランジの抜け止めをする。例えば、フランジ側面のねじ孔に六角孔付き止ねじを入れ、軸パイプ側面に設けられたとも孔に先端を入れ、フランジの回転方向の位置決めをする(フランジの抜け止めとして機能する)。止輪上面に設けられたねじ孔に六角孔付き止ねじを入れ、止輪の回り止めとする。
(3)上部構造側のフランジを取付ける。これにより、上下のフランジが止輪を挟む形になり、上部構造部に発生する曲げモーメントに対して、強度を持った軸パイプで受け止めることができる。また、フランジは止リング及び止ねじを介して、軸パイプに固定されるため補助弁と上部構造の共回りは起こらない。
【0049】
図12(イ)~(ハ)は、本発明において、全体の構成と、仕組み等に関して示しているが、それぞれ一例であり、設置方式、弁・管の形態・種類・使用とか、又は弁・管の有無とか等を分類し、表示した、本発明の各実施例に摘要できる各例であり、何ら限定されないものである。
【符号の説明】
【0050】
A 給水栓
A1 地下給水栓
A2 地上給水栓
B 内管
C 外管
X 回転機構
1 取入れ口
100 取入れ管
2 第1弁筐
3 主弁
4 主弁管
4a 上端開口
5 第1弁棒
5a 第2弁棒
6 乙管
7 継手方式
8 消火栓
10 管体
10a~10n 第1管~第n管
10a1 上端開口
10b1 内周面
11 軸芯パイプ
11a 通水孔
11b 外周面
12 導水空間
13 回転式補助弁筐
13a 補助弁棒
13b 弁体
13c 取付け口
13d レバー
13e 弁筐
13-1 回転式補助弁筐
13a1 補助弁棒
13b1 弁体
13c1 取付け口
13d1 レバー
13e1 弁筐
13f1 キャップ
13g1 取付け口
13-2 回転式補助弁筐
13-3 回転式補助弁筐
14 繋ぎ管
15 止め具
20 緊急給水栓
20a 本管
20b~20n コック
21 軸芯パイプ止めリング
21a 貫通孔
22 ホース
25 弁棒規制機構
26 第1歯車
27 第2歯車
28 主弁操作軸
30 副弁筐
31 バルブ
35 第1筐体
36 第2筐体
37 滑り材
38 滑り材
40 ハンドル
50 流出口
51 給水車
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図7-6】
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10
図11
図12