(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】動き情報取得方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20231215BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
A61B8/08
G01N29/04
(21)【出願番号】P 2020503053
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2018088406
(87)【国際公開番号】W WO2019015398
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-01-21
(31)【優先権主張番号】201710649554.8
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517073074
【氏名又は名称】无錫海斯凱尓医学技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI HISKY MEDICAL TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 瓊
(72)【発明者】
【氏名】邵 金華
(72)【発明者】
【氏名】孫 錦
(72)【発明者】
【氏名】段 后利
(72)【発明者】
【氏名】王 強
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136502(WO,A1)
【文献】特開2012-170823(JP,A)
【文献】特開2015-119395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
G01N 29/00 - 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起装置によって検出対象である媒質に
機械的振動励起を行い、前記媒質に
機械的振動を発生させ、前記
機械的振動が前記媒質内を伝播し、異なる時刻で、前記
機械的振動の波面が
1つの所定の伝播方向に沿って異なる位置に到達することにより、位置と時刻との対応関係である
機械的振動の動き情報を形成するステップと、
イメージング装置によって
超音波検出信号を用いて前記媒質の動的イメージングを行うステップと、
前記
超音波検出信号に前記
機械的振動の動き情報が含まれているとドップラー効果が生じるという特性を利用して、イメージング時間次元で、前記
超音波検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得るステップと、
前記周波数領域信号から
所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲以外の信号を除去して、処理信号を得るステップ
であって、前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲が0.1メートル/秒~30メートル/秒である、ステップと、
前記処理信号を用いて、前記
機械的振動の前記所定の伝播方向での位置時間図を得るステップであって、前記位置時間図は、
機械的振動の動き情報を表し、前記位置時間図の横軸は、時間を表し、前記位置時間図の縦軸は、前記
機械的振動の波面の
前記所定の伝播方向での位置を表す、得るステップと、
前記機械的振動の前記機械的振動励起の起点に対する伝播方向に従って所定の角度範囲を設定し、前記位置時間図上で、予め設定された0度線に対して所定の角度範囲内の各角度の方向に沿って角度投影を行って、前記位置時間図上の所定の角度範囲内の各角度における
処理信号のエネルギーが最大となる角度を特定し、前記
処理信号のエネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定するステップと、
前記特定した勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得るステップと、を含み、
前記周波数領域信号から
所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲以外の信号を除去して、処理信号を得るステップ
であって、前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲が0.1メートル/秒~30メートル/秒である、ステップは、
前記周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得ることを含み、
前記特徴値は、特異値分解によって得られる固有値であり、
前記フィルタリングのパラメータは、
前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲に基づいて設定され、
前記特徴値選定は、
前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲に基づいて選定され、
前記位置時間図上で、予め設定された0度線に対して所定の角度範囲内の各角度の方向に沿って角度投影を行って、前記位置時間図上の所定の角度範囲内の各角度における
処理信号のエネルギーが最大となる角度を特定し、前記
処理信号のエネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定するステップは、
前記位置時間図に対して、前記所定の角度範囲内の各角度に沿ってRadon変換である積分計算を行うことと、
積分値が最大となる角度
、つまり処理信号のエネルギーが最大となる角度を、前記位置時間図の勾配線の勾配角として特定することと、
前記勾配角を用いて、前記勾配線の勾配を特定することと、を含む
ことを特徴とする動き情報取得方法。
【請求項2】
検出対象である媒質に
機械的振動励起を行い、前記媒質に
機械的振動を発生させ、前記
機械的振動が前記媒質内を伝播し、異なる時刻で、前記
機械的振動の波面が
1つの所定の伝播方向に沿って異なる位置に到達することにより、位置と時刻との対応関係である
機械的振動の動き情報を形成し、
超音波検出信号を用いて前記媒質の動的イメージングを行い、前記
超音波検出信号に前記
機械的振動の動き情報が含まれているとドップラー効果が生じるという特性を利用して、イメージング時間次元で、前記
超音波検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得るための第一処理モジュールと、
前記周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得るための第二処理モジュールであって、前記特徴値は、特異値分解によって得られる固有値であり、前記フィルタリングのパラメータは、
所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲に基づいて設定され、前記特徴値選定は、
前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲に基づいて選定され
、前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲が0.1メートル/秒~30メートル/秒である、第二処理モジュールと、
前記処理信号を用いて、前記
機械的振動の
前記所定の伝播方向での位置時間図を得るための取得モジュールであって、前記位置時間図は、
機械的振動の動き情報を表し、前記位置時間図の横軸は、時間を表し、前記位置時間図の縦軸は、前記
機械的振動の波面の
前記所定の伝播方向での位置を表す、取得モジュールと、
前記機械的振動の前記機械的振動励起の起点に対する伝播方向に従って所定の角度範囲を設定し、前記位置時間図上で、予め設定された0度線に対して所定の角度範囲内の各角度の方向に沿って角度投影を行って、前記位置時間図上の所定の角度範囲内の各角度における
処理信号のエネルギーが最大となる角度を特定し、前記
処理信号のエネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定して、前記特定した勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得るための粘弾性定量化モジュールと、を含み、
前記粘弾性定量化モジュールは、
前記位置時間図に対して、前記所定の角度範囲内の各角度に沿ってRadon変換である積分計算を行うための計算サブモジュールと、
積分値が最大となる角度
、つまり処理信号のエネルギーが最大となる角度を、前記位置時間図の勾配線の勾配角として特定し、前記勾配角を用いて、前記勾配線の勾配を特定するための特定サブモジュールと、
前記特定した勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得るための定量化サブモジュールと、を含む
ことを特徴とする動き情報取得装置。
【請求項3】
実行命令を記憶するメモリと、
前記実行命令を読み取り、次の操作を完了させるように構成されたプロセッサと、を含み、
前記操作は、
検出対象である媒質に
機械的振動励起を行い、前記媒質に
機械的振動を発生させ、前記
機械的振動が前記媒質内を伝播し、異なる時刻で、前記
機械的振動の波面が
1つの所定の伝播方向に沿って異なる位置に到達することにより、位置と時刻との対応関係である
機械的振動の動き情報を形成し、
超音波検出信号を用いて前記媒質の動的イメージングを行い、
前記
超音波検出信号に前記
機械的振動の動き情報が含まれているとドップラー効果が生じるという特性を利用して、イメージング時間次元で、前記
超音波検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得て、
前記周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得て、
前記特徴値は、特異値分解によって得られる固有値であり、
前記フィルタリングのパラメータは、
所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲に基づいて設定され、
前記特徴値選定は、
前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲に基づいて選定され、
前記所定の機械的振動の波面の伝播速度範囲が0.1メートル/秒~30メートル/秒であり、
前記処理信号を用いて、前記
機械的振動の前記所定の伝播方向での位置時間図を得て、
前記位置時間図は、
機械的振動の動き情報を表し、前記位置時間図の横軸は、時間を表し、前記位置時間図の縦軸は、前記
機械的振動の波面の
前記所定の伝播方向での位置を表し、
前記機械的振動の前記機械的振動励起の起点に対する伝播方向に従って所定の角度範囲を設定し、前記位置時間図上で、予め設定された0度線に対して所定の角度範囲内の各角度の方向に沿って角度投影を行って、前記位置時間図上の所定の角度範囲内の各角度における
処理信号のエネルギーが最大となる角度を特定し、前記
処理信号のエネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定して、前記特定した勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得ることであり、
前記位置時間図上で、予め設定された0度線に対して所定の角度範囲内の各角度の方向に沿って角度投影を行って、前記位置時間図上の所定の角度範囲内の各角度における
処理信号のエネルギーが最大となる角度を特定し、前記
処理信号のエネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定することは、
前記位置時間図に対して、前記所定の角度範囲内の各角度に沿ってRadon変換である積分計算を行うことと、
積分値が最大となる角度
、つまり処理信号のエネルギーが最大となる角度を、前記位置時間図の勾配線の勾配角として特定することと、
前記勾配角を用いて、前記勾配線の勾配を特定することと、を含む
ことを特徴とする動き情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定技術分野に関し、特に、動き情報取得方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動により媒質が励起された場合、媒質内での振動の伝播特性は、媒質の粘弾性と関係しており、振動の伝播特性を測定することで、媒質の粘弾性を定量化することができる。振動の伝播特性を取得するには、該振動に対する検出信号を使用して、該振動の動き情報を取得しておく必要がある。
【0003】
上記の原理は、現在、多くの技術分野に適用されており、医療検出を例に取ると、肝臓、甲状腺及び筋肉等の器官や組織を検出する際、媒質の粘弾性を定量化することで、病変の位置を特定することができる。
【0004】
このため、媒質内を伝播する振動の動き情報を如何に効率的に取得するかは、解決する必要のある問題である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施例は、動き情報取得方法及び装置を提供している。披露される実施例のいくつかの局面への基本的な理解をもたらすために、以下、簡単な概要を示しているが、この概要部分は、広範な概述ではなく、肝心/重要な構成要素を特定したり、これらの実施例の保護範囲を述べるものでもない。その唯一の目的は、後の詳細な説明の前書きとして、簡単な形でいくつかの概念を提示することである。
【0006】
本発明の実施例の第一局面によれば、
媒質内を伝播する振動の検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得るステップと、
前記周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得るステップと、
前記処理信号を用いて、前記振動の位置時間図を得るステップと、を含む
動き情報取得方法を提供している。
【0007】
前記方法に基づき、実施例一として、上述した前記周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得るステップは、
前記周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得ることを含み、
前記フィルタリングのパラメータは、設定された振動速度範囲に関連しており、
前記特徴値選定は、設定された振動速度範囲に関連しているようにしてもよい。
【0008】
前記方法に基づき、実施例二として、上述した前記処理信号を用いて、前記振動の位置時間図を得るステップは、
設定された振動の伝播方向に従って、前記処理信号を用いて前記振動の位置時間図を得ることを含むようにしてもよい。
【0009】
前記方法に基づき、実施例三として、前記方法は、
前記位置時間図に対して画像分割を行うステップと、
画像特徴を抽出するステップと、
前記画像特徴を用いて線形フィッティングを行って、前記位置時間図の勾配線の勾配を得るステップと、
前記勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを計算するステップと、を更に含むようにしてもよい。
【0010】
前記方法に基づき、実施例四として、前記方法は、
前記位置時間図の予め設定された角度範囲内の各角度に沿って角度投影を行って、信号エネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定するステップと、
前記勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得るステップと、を更に含むようにしてもよい。
【0011】
前記実施例四に基づき、実施例五として、上述した前記位置時間図の予め設定された角度範囲内の各角度に沿って角度投影を行って、信号エネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定するステップは、
前記位置時間図に対して、予め設定された角度範囲内の各角度に沿う積分計算を行うことと、
積分値が最大となる角度を、前記位置時間図の勾配線の勾配角として特定することと、
前記勾配角を用いて、前記勾配線の勾配を特定することと、を含むようにしてもよい。
【0012】
本発明の実施例の第二局面によれば、
媒質内を伝播する振動の検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得るための第一処理モジュールと、
前記周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得るための第二処理モジュールと、
前記処理信号を用いて、前記振動の位置時間図を得るための取得モジュールと、を含む
動き情報取得装置を提供している。
【0013】
前記方法に基づき、実施例一として、前記第二処理モジュールは、前記周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得るようにしており、
前記フィルタリングのパラメータは、設定された振動速度範囲に関連しており、
前記特徴値選定は、設定された振動速度範囲に関連しているようにしてもよい。
【0014】
前記装置に基づき、実施例二として、前記取得モジュールは、設定された振動の伝播方向に従って、前記処理信号を用いて前記振動の位置時間図を得るようにしてもよい。
【0015】
前記装置に基づき、実施例三として、前記装置は、
粘弾性定量化モジュールを更に含み、
前記粘弾性定量化モジュールは、
前記位置時間図に対して画像分割を行い、
画像特徴を抽出し、
前記画像特徴を用いて線形フィッティングを行って、前記位置時間図の勾配線の勾配を得て、
前記勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを計算するためのものであるようにしてもよい。
【0016】
前記装置に基づき、実施例四として、前記装置は、
粘弾性定量化モジュールを更に含み、
前記粘弾性定量化モジュールは、
前記位置時間図の予め設定された角度範囲内の各角度に沿って角度投影を行って、信号エネルギーが最大となる角度に対応する前記位置時間図の勾配を特定し、
前記勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得るためのものであるようにしてもよい。
【0017】
前記実施例四に基づき、実施例五として、前記粘弾性定量化モジュールは、
前記位置時間図に対して、予め設定された角度範囲内の各角度に沿う積分計算を行うための計算サブモジュールと、
前記計算サブモジュールにより計算された積分値が最大となる角度を、前記位置時間図の勾配線の勾配角として特定し、前記勾配角を用いて、前記勾配線の勾配を特定するための特定サブモジュールと、
前記勾配に基づいて、前記媒質の粘弾性パラメータを得るための定量化サブモジュールと、を更に含むようにしてもよい。
【0018】
本発明の実施例の第三局面によれば、
実行命令を記憶するメモリと、
前記実行命令を読み取り、次の操作を完了させるように構成されたプロセッサと、を含み、
前記操作は、
媒質内を伝播する振動の検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得て、
前記周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得て、
前記処理信号を用いて、前記振動の位置時間図を得ることである
動き情報取得装置を提供している。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施例による技術案は、以下の有益な効果を奏することができる。
媒質内を伝播する振動の検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得て、次に、該周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去し、即ち振動の信号だけを残し、その後、振動の位置時間図を得るようにしている。複雑な計算で振動の伝播に対して動き推定を行う必要がなく、周波数領域での処理により振動の有無を判断するだけで、位置時間図を得ることができ、効率的な動き情報取得方式になっている。
【0020】
なお、上述した一般的な説明及び後述する詳細な説明は、単に例示的なものであり、本発明を限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
ここでの図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明に従う実施例を示し、明細書とともに本発明の原理を解釈するためのものである。
【
図1】ある例示的な実施例によって示される動き情報取得方法のフローチャートである。
【
図2】ある例示的な実施例によって示される媒質の粘弾性の定量化方法のフローチャートである。
【
図3】ある例示的な実施例によって示される媒質の粘弾性の定量化方法のフローチャートである。
【
図4】ある例示的な実施例によって示される媒質の粘弾性の定量化方法のフローチャートである。
【
図5】ある例示的な実施例によって示される動き情報取得方法のフローチャートである。
【
図6】ある例示的な実施例によって示される動き情報取得装置のブロック図である。
【
図7】ある例示的な実施例によって示される動き情報取得装置のブロック図である。
【
図8】
図8から
図7に示す粘弾性定量化モジュールのブロック図である。
【
図9】
図9は、ある例示的な実施例によって示される動き情報取得装置のブロック図である。
【
図10】
図10は、ある例示的な実施例によって示される動き情報取得装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者が本発明の具体的な実施形態を実施できるように、以下の説明及び図面は具体的な実施形態を十分に示している。実施例は可能な変更のみを代表している。明確な要求がない限り、個別の部品や機能は選択可能であり、操作の順番も変更可能である。一部の実施案の部分及び特徴は他の実施案の部分及び特徴に含まれてもよいし代替されてもよい。本発明の実施案の範囲は、特許請求の範囲の全て、及び特許請求の範囲の全てによって得られる等価物を含む。本明細書において、本発明の各実施案は、単独で又は総括的に「発明」という用語により表されてもよい。これは、便利にするためにすぎない。また、事実上、1つ以上の発明が公開されても、この応用の範囲を任意の単独な発明又は発明構想として自動的に規制するものではない。本明細書において、第1及び第2などの関係技術用語は1つの構成又は操作と他の構成又は操作を区別するためにのみ用いられ、これらの構成又は操作の間にこのような関係又は順序が存在することを要件としたり、示唆したりするものではない。また、「含む」、「含有」という技術用語或いはその他の類似用語は非排他的な包含をカバーし、一連の要素を含む過程、方法又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明確に例示していないその他の要素を含む。本明細書の各実施形態は、段階様式で説明される。また、各実施形態についての重要な説明部分は、他の実施形態と異なる点であり、各実施形態の同一又は類似部分は相互に参照されてもよい。実施形態で開示されている方法や製品などは、実施形態で開示されている方法部分に対応するため、簡単に説明するが、関連部分については方法部分の説明を参照すればよい。
【0023】
図1は、ある例示的な実施例によって示される動き情報取得方法のフローチャートである。
図1に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
ステップ11では、媒質内を伝播する振動の検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得る。
ステップ12では、周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得る。
ステップ13では、処理信号を用いて、振動の位置時間図を得る。
【0024】
媒質が振動により励起された後、振動は、媒質内を伝播し、異なる時刻で、その波面が伝播方向に沿って異なる位置に到達し、このような位置と時刻との対応関係は、振動の動き情報となる。現在、常用の動き情報取得方法は、媒質の振動時に、該振動に対する検出信号の位相非相関が発生することを利用しており、この位相非相関の特性に従って、相互相関、自己相関、オプティカルフロー等のアルゴリズムにより、該振動の位置時間図を得ることができる。上記アルゴリズムとしては、ブロックマッチングに基づく任意の方法を選択可能である。このような常用の動き情報取得方法では、先に媒質の変位及びひずみ等の情報を用いて、振動の伝播に対して動き推定を行っておく必要があり、その後、該振動の位置時間図を得ることが可能になる。
【0025】
本例示的な実施例において、検出信号に振動情報が含まれているとドップラー効果が生じるという特性を利用して、イメージング時間次元で、検出信号に対して周波数領域変換を行って周波数領域信号を得て、次に、該周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去し、即ち、比較的に静的な信号や振動速度が低い信号を除去し、その後、振動の位置時間図を得るようにしている。これで分かるように、本例示的な実施例における動き情報取得方法は、複雑な計算を必要とせず、周波数領域で処理するだけで、変位やひずみを特徴としない位置時間図を得ることができる。この方法では、先に振動の伝播に対して動き推定を行っておく必要がなく、振動の有無を判断するだけで、位置時間図を得ることができ、効率的な動き情報の取得方法になっている。
【0026】
ある例示的な実施例において、上記ステップ11では、例えばフーリエ変換や特異値分解のような様々な方式で周波数領域変換を行うことが可能である。
【0027】
ある例示的な実施例において、上記ステップ12では、周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得るのは、周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行うことで実現可能である。フィルタリングにより上記除去操作を実現することを例に取ると、振動速度が設定範囲内にある信号だけを残すためには、区間と時間での信号のサンプリングレートを考慮して、例えば0.1メートル/秒~30メートル/秒のような設定された振動速度範囲に合わせてフィルタのフィルタリングパラメータを設定すれば、該フィルタリングに基づいて、周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去することができる。特徴値選定により上記除去操作を実現する場合は、同様に、特徴値の選定について、設定された振動速度範囲に関連するように設定することで、周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号の除去を実現することが可能である。ステップ12により、振動の信号だけを残すことができるため、後で位置時間図を形成する時の正確度が向上する。
【0028】
ある例示的な実施例において、機械的振動、音響放射力、又は、振動を発生させることが可能な他の方式で、媒質に振動励起を行うと、媒質は振動を発生し、振動は媒質内を伝播する。媒質内での上記振動の伝播速度が限られているため、検出信号を用いて、媒質の動的イメージングを行うことが可能である。上記検出波は、光波や超音波等であってもよい。上記動的イメージングは、一次元イメージング、二次元イメージングや三次元イメージング等であってもよい。いずれのイメージング方式であっても、設定された振動の伝播方向に従って、除去操作された処理信号を用いて振動の位置時間図を得ることができる。上記設定された振動の伝播方向は、振動が1つだけの伝播方向に伝播される場合、振動の実際の伝播方向となり、振動が複数の伝播方向に伝播される場合、選択された何れか1つの伝播方向となる。例えば、媒質が均一なシートである場合、媒質に振動励起を行うと、振動は該シートの延在方向沿って伝播し、この時、設定された振動の伝播方向は、該振動の実際の伝播方向となる。また、例えば、媒質が不規則な立体形状である場合、振動伝播の波面は立体形状となり、例えば、振動伝播の波面が楕円球であると、異なる振動の伝播方向に沿って得られる位置時間図は、異なるものとなる。この時、設定された振動の伝播方向は、選択された何れか1つの関心をもつ伝播方向となる。上記関心をもつ伝播方向は、実際に測定される方向に従って決定され、例えば、振動が最も速く伝播する方向と、振動が最も遅く伝播する方向と、振動の伝播速度がある区間内である方向とのうち、少なくとも1つとなる。
【0029】
ある例示的な実施例において、
図1に示す方法は、媒質の粘弾性を定量化するステップを更に含んでもよい。
図2は、ある例示的な実施例によって示される媒質の粘弾性の定量化方法のフローチャートであり、該フローは、
図1に示すフローに基づいて実現されるものであり、以下のステップを含む。
【0030】
ステップ21では、位置時間図上の予め設定された角度範囲内の各角度に沿って角度投影を行って、信号エネルギーが最大となる角度に対応する位置時間図の勾配を特定する。
【0031】
予め設定された角度範囲とは、実際の状況に応じて、角度投影のために選定された角度範囲を指す。一つの実施形態として、予め設定された角度範囲は、360度であってもよく、この時、全角度の角度投影が必要となる。また、もう1つの実施形態として、得られた位置時間図の特性に従って、角度投影のための角度範囲を選択する。ステップ11で得られた位置時間図の横軸は、時間を示し、縦軸は位置を示しており、もし振動が、振動励起の起点から遠方へのみ伝播するものであれば、振動伝播の速度が無限大の場合、位置時間図上では、縦軸に平行な直線に近くなるのに対して、振動伝播の速度が無限小の場合、位置時間図上では、横軸に平行な直線に近くなる。この時、全角度での投影の必要がなくなり、予め設定された角度範囲が90度であれば済むので、媒質の粘弾性の定量化の效率が向上する。もし振動が、振動励起の起点から遠方への伝播に加えて、反対方向に沿って伝播可能であれば、予め設定された角度範囲は、180度であってもよい。予め設定された角度範囲の実際の開始点及び終了点については、直角座標系が変更されないままの場合、0度の開始点、及び、反時計回り又は時計回りの回転方向に関連しており、予め設定された角度範囲を確保できる限り、必要に応じて選定可能である。
【0032】
各角度とは、予め設定された角度範囲内で角度投影が行われる各角度を指す。具体的な角度の選定は、時間精度への要求及び計算速度への要求に応じて決定され、時間精度への要求が高いほど、角度選定の精度への要求が高くなり、計算速度への要求が高いほど、角度選定の精度への要求が低くなる。例えば、0.0.1度~1度の範囲から選択可能である。
【0033】
角度投影とは、信号エネルギーが最大となる角度を特定するために、設定された角度に対して画像特徴の認識又は抽出を行うことを指す。
【0034】
ステップ22では、勾配に基づいて、媒質の粘弾性パラメータを得る。
【0035】
粘弾性パラメータは、粘性パラメータ及び弾性パラメータの少なくとも一方を含む。
【0036】
位置時間図の勾配は、単位時間あたりの振動の伝播距離、即ち媒質内での振動の伝播速度によって決定される。均一な媒質内では、振動の伝播速度は、媒質の粘弾性と関係しており、位置時間図の勾配を得ると、媒質の粘弾性パラメータを定量的に算出可能となる。そのため、上記勾配を如何に効率的且つ正確に取得するかは、媒質の粘弾性の定量化のポイントになる。本例示的な実施例では、角度投影を用いて信号エネルギーが最大となる角度を特定するようにしており、該信号エネルギーが最大となる角度が位置時間図の勾配に対応しているため、位置時間図の勾配が取得されたことに相当する。この方法では、位置時間図から、波の山、波の谷又は振動のある位相を特徴点として選定して位置時間図の勾配を計算する必要がなく、ノイズ干渉の影響を受けず、且つ計算量が少なく、媒質の粘弾性を定量化するための効率的で正確な方法になっている。
【0037】
振動が媒質内を伝播する際、媒質のエッジ又は異物に遭遇すると、反射波が生じる。後続処理の精度を向上させるためには、
図3に示すように、角度投影を行う前に、位置時間図内の反射波をフィルタアウトするステップ21’を更に含んでもよい。フィルタアウトの方式は多数あり、方向フィルタリングは、その実現方式の1つである。
【0038】
1つの実施形態として、角度投影により信号エネルギーが最大となる角度を特定し、更に位置時間図の勾配を得ることは、積分計算により実現されてもよい。例えば、位置時間図に対して予め設定された角度範囲内の各角度に沿う積分計算を行い、積分角度が振動の伝播方向と一致するようになると、エネルギーが集中し、この時に得られる積分値が最大となるため、積分値が最大となる角度を位置時間図の勾配線の勾配角とする。得られた勾配角に基づき、位置及び時間情報も加えると、位置時間図の勾配線の勾配が得られる。上記積分計算は、Radon変換とも呼ばれる。
【0039】
また、もう1つの実施形態として、角度投影により信号エネルギーが最大となる角度を特定し、更に位置時間図の勾配を得ることは、グレーレベル共起行列を計算することによって実現されてもよい。グレーレベル共起行列を計算することで画像テクスチャ特徴を得ることができ、画像テクスチャ特徴は、信号エネルギーの大きさを反映できるため、グレーレベル共起行列を用いて信号エネルギーが最大となる角度の情報を取得することができる。上記原理に基づけば、角度投影により信号エネルギーが最大となる角度を特定し、更に位置時間図の勾配を得ることは、グレーレベル共起行列の計算により実現可能である。例えば、位置時間図に対し、先ず、予め設定された角度範囲内の各角度に沿ってグレーレベル共起行列を計算する。そして、グレーレベル共起行列を用いて、各角度における画像テクスチャ特徴を得る。次に、画像テクスチャ特徴を用いて、信号エネルギーが最大となる角度を位置時間図の勾配線の勾配角として特定する。最後に、勾配角を用いて、勾配線の勾配を特定する。
【0040】
ある例示的な実施例において、
図1に示す方法は、媒質の粘弾性を定量化するステップを更に含んでもよい。
図4は、ある例示的な実施例によって示される媒質の粘弾性の定量化方法のフローチャートであり、該フローは、
図1に示すフローに基づいて実現されるものであり、以下のステップを含む。
【0041】
ステップ41では、位置時間図に対して画像分割を行う。
【0042】
ステップ42では、画像特徴を抽出する。
【0043】
画像特徴は、中軸線、山値、谷値及びゼロ交差点の少なくとも1つであってもよい。上記中軸線は、位置時間図上の模様の骨格を意味し、上記ゼロ交差点は、勾配が最大値となる点又は2次導関数が最大値となる点である。抽出された画像特徴のいずれにも、振動の情報が含まれている。
【0044】
ステップ43では、画像特徴を用いて線形フィッティングを行って、位置時間図の勾配線の勾配を得る。
【0045】
ステップ44では、勾配に従って、媒質の粘弾性パラメータを計算する。
【0046】
媒質の粘弾性を定量化するための前述した2つの例示的な実施例では、力学原理に従えば、媒質の粘弾性によって、前記媒質内での振動の伝播速度が決まるため、位置時間図の勾配を得ることで、媒質内での振動の伝播速度を知ることができ、更に、力学原理に基づいて、媒質の粘弾性パラメータを定量的に得ることが可能となる。ここでの粘弾性パラメータは、せん断係数、ヤング率、粘性係数、せん断粘弾性、せん断粘度、機械的抵抗、機械的緩和時間、異方性等を含んでもよい。
【0047】
また、線形フィッティングにより媒質の粘弾性の定量化を実現する際、より正確な定量化効果を達成するためには、事前に位置時間図内の反射波をフィルタアウトしておいてもよい。
【0048】
以下、具体的な応用シーンを挙げて、本発明の実施例における動き情報取得方法の応用を示す。
【0049】
人間の肝臓等の粘弾性媒質に対して非破壊粘弾性検出を行う際、媒質の粘弾性を定量化する必要があるが、定量化の前に動き情報を取得しておく必要がある。検出機器は、被検出媒質に対して振動励起を行う激励装置と、超音波により振動励起された媒質をイメージングするイメージング装置と、を含む。振動は、媒質内を伝播する際、異なる時刻で、その波面が伝播方向に沿って異なる位置に到達し、位置時間図を形成する。上記波面は、波の山、波の谷、又は振動の同じ位相の何れかであってもよい。
【0050】
図5に示すように、このような具体的な応用シーンでの動き情報取得方法は、以下のステップを含んでもよい。
ステップ51では、媒質に対して振動励起を行う。
ステップ52では、媒質内を伝播する振動の超音波検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得る。
ステップ53では、周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得る。
ステップ54では、設定された振動の伝播方向に従って、処理信号を用いて振動の位置時間図を得る。
ステップ55では、線形フィッティング又はRadon変換により、位置時間図の勾配線の勾配を得る。
ステップ56では、勾配に従って、媒質の粘弾性パラメータを計算する。
【0051】
上述した動き情報取得方法の各例示的な実施例では、媒質の粘弾性を定量化するステップに対し、設定された振動の伝播方向が少なくとも2つであると、設定された振動の伝播方向のそれぞれに対応して1つの位置時間図が得られ、更に、該位置時間図に対応する媒質の粘弾性パラメータが得られる。得られた少なくとも2組の粘弾性パラメータを纏めれば、媒質の粘弾性をより全面的に評価することができる。
【0052】
上記に示した動き情報取得方法の各例示的な実施例は、状況に応じて組み合わせることができ、ここで、各例示的な実施例の間の組み合わせ関係は、限定されない。
【0053】
図6は、ある例示的な実施例によって示される動き情報取得装置のブロック図であり、該装置は、媒質の粘弾性の検出機器の制御ホスト内に備えられてもよく、例えば、医療検出分野では、肝臓の非破壊検出機器の制御ホスト内に備えられてもよい。また、該装置は、クラウドに備えられてもよいが、この際、媒質の粘弾性の検出機器の検出データは、クラウドで処理する必要がある。
【0054】
図6に示す装置は、第一処理モジュール61、第二処理モジュール62及び取得モジュール63を含む。
【0055】
第一処理モジュール61は、媒質内を伝播する振動の検出信号に対して周波数領域変換を行って、周波数領域信号を得るためのものである。第一処理モジュール61は、周波数領域変換の際、フーリエ変換や特異値分解等の様々な方法を採用してもよい。
【0056】
第二処理モジュール62は、周波数領域信号のうち、設定された振動速度範囲外にある信号を除去して、処理信号を得るためのものである。
【0057】
取得モジュール63は、処理信号を用いて、振動の位置時間図を得るためのものである。
【0058】
ある例示的な実施例において、第二処理モジュール62は、周波数領域信号に対してフィルタリング又は特徴値選定を行って、処理信号を得る。ここで、フィルタリングのパラメータは、設定された振動速度範囲に関連しており、特徴値選定は、設定された振動速度範囲に関連している。
【0059】
ある例示的な実施例において、取得モジュール63は、設定された振動の伝播方向に従って、処理信号を用いて振動の位置時間図を得る。
【0060】
ある例示的な実施例において、
図7に示すように、
図6に示す装置は、粘弾性定量化モジュール64を更に含み、粘弾性定量化モジュール64は、位置時間図に対して画像分割を行い、画像特徴を抽出し、画像特徴を用いて線形フィッティングを行って、位置時間図の勾配線の勾配を得て、勾配に従って、媒質の粘弾性パラメータを計算するためのものである。ここでの画像特徴の意味は、前述した方法に記載の意味と同じである。
【0061】
また、もう1つの実施形態として、粘弾性定量化モジュール64は、角度投影により同じ効果を実現してもよい。粘弾性定量化モジュール64は、位置時間図の予め設定された角度範囲内の各角度に沿って角度投影を行って、信号エネルギーが最大となる角度に対応する位置時間図の勾配を特定し、勾配に基づいて、媒質の粘弾性パラメータを得るためのものとなる。
【0062】
さらに、
図8に示すように、粘弾性定量化モジュール64は、計算サブモジュール641及び特定サブモジュール642を含んでもよい。
【0063】
計算サブモジュール641は、位置時間図に対して予め設定された角度範囲内の各角度に沿う積分計算を行うためのものである。
【0064】
特定サブモジュール642は、計算サブモジュール641により計算された積分値が最大となる角度を、位置時間図の勾配線の勾配角として特定するためのものである。勾配角を用いて、前記勾配線の勾配が特定される。
【0065】
定量化サブモジュール643は、勾配に基づいて、媒質の粘弾性パラメータを得るためのものである。
【0066】
また、もう1つの実施形態として、積分計算の他に、粘弾性定量化モジュール64は、グレーレベル共起行列を計算することで、勾配を特定してもよい。この時、計算サブモジュール641は、前記位置時間図に対し、予め設定された角度範囲内の各角度沿ってグレーレベル共起行列を計算するためのものとなる。特定サブモジュール642は、各角度における画像テクスチャ特徴を得て、画像テクスチャ特徴を用いて、信号エネルギーが最大となる角度を位置時間図の勾配線の勾配角として特定し、勾配角を用いて、勾配線の勾配を特定するためのものとなる。
【0067】
さらに、
図9に示すように、動き情報取得装置は、粘弾性定量化モジュール64による角度投影の前に、位置時間図内の反射波をフィルタアウトするためのフィルタリングモジュール65を更に含んでもよい。勿論、線形フィッティングにより媒質の粘弾性の定量化を実現する場合も、事前にフィルタリングモジュール65により、位置時間図内の反射波をフィルタアウトしておいてもよい。
【0068】
図10は、ある例示的な実施例によって示される動き情報取得装置のブロック図である。該装置は、媒質の粘弾性の検出機器の制御ホスト内に備えられてもよく、例えば、医療検出分野では、肝臓の非破壊検出機器の制御ホスト内に備えられてもよい。また、該装置は、クラウドに備えられてもよいが、この際、媒質の粘弾性の検出機器の検出データは、クラウドで処理する必要がある。
【0069】
図10に示す装置は、メモリ101及びプロセッサ102を含む。
【0070】
メモリ101には、実行命令が記憶されている。
【0071】
プロセッサ102は、メモリ101内の実行命令を読み取り、上述した前記動き情報取得方法の各例示的な実施例における一部又は全部のステップを実行するように構成されている。プロセッサ102は、チップによって実現可能である。
【0072】
図10に示す動き情報取得装置は、媒質の粘弾性の検出機器の制御ホスト内に備えられている場合、バスや無線等で、媒質の粘弾性の定量化機器内の励起装置、イメージング装置と接続可能であり、この際、該装置には、上記接続を実現するためのインターフェース及びそれに対応する通信メカニズムが備えられる。
【0073】
図10に示す動き情報取得装置は、クラウドに配置されている場合、ネットワークを介して、媒質の粘弾性の検出機器と通信可能である。
【0074】
なお、本発明は、上述した説明及び図面に示されるフローや構成に限らず、その範囲から逸脱しない範囲で各種の修正及び変更を行うことができると理解すべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲のみに限定される。