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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】緩み止めナットとその締付方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/12 20060101AFI20231215BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
F16B39/12 D
F16B37/00 D
F16B37/00 E
F16B39/12 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021163400
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054507
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】521432616
【氏名又は名称】福本 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】福本 優子
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-138255(JP,A)
【文献】特開昭53-110765(JP,A)
【文献】中国実用新案第214007737(CN,U)
【文献】特開昭60-249718(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00166223(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 39/12
F16B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトに螺合する上ナットと下ナット2つのナットで構成され、これら2つのナットの接合面を前記ボルトの軸心に直交する面に対して所定角度だけ傾斜したテーパ面とした緩み止めナットであって、
前記上ナットと下ナットが、
一方の前記テーパ面の外周近傍の1箇所に突設された係合突起と、
他方の前記テーパ面の直径方向で対向する外周近傍の2箇所に形成された係合凹部と、
前記係合突起と係合凹部によって形成される、前記係合突起に係合した係合凹部を前記上ナットの緩め側に半回転することを許容して規制するガイド部と、
を備える緩み止めナット。
【請求項2】
前記係合突起は、短柱状の位置決め用のピンで構成され、
前記係合凹部は、前記ピンが嵌る2つの係合穴または係合切欠で構成され、
前記ガイド部は、2つの前記係合凹部間に形成される前記ピンを案内する半円状の溝を含むピン通路で構成されている請求項1に記載の緩み止めナット。
【請求項3】
前記上ナットと下ナットは、前記テーパ面を形成するフランジ部をそれぞれに備え、一方のフランジ部の外周近傍に前記係合突起が突設され、他方のフランジ部の外周近傍に前記2箇所の係合凹部と前記ガイド部が形成されている請求項1又は2に記載の緩み止めナット。
【請求項4】
前記上ナットは、前記下ナットより小径のナットであって下部のテーパ面に前記下ナットと略同形の六角形フランジを備え、前記下ナットは、上面が前記六角形フランジと同じ外形のテーパ面を備えており、前記下ナットのテーパ面の外周近傍には前記係合突起が突設され、前記上ナットの六角形フランジ部の外周近傍には直径上の2箇所に係合凹部と前記ガイド部が形成されている請求項1又は2に記載の緩み止めナット。
【請求項5】
前記上ナットの厚さが前記下ナットの厚さよりも薄く設定されている請求項1~4の何れかに記載の緩み止めナット。
【請求項6】
前記上ナットの硬度が前記下ナットの硬度よりも低く設定されている請求項1~5の何れかに記載の緩み止めナット。
【請求項7】
前記上ナットと下ナットのテーパ面の傾斜角は、前記ボルトのネジのピッチ角と略同角度である請求項1~6の何れかに記載の緩み止めナット。
【請求項8】
上ナットのテーパ面には、外周縁を残して座繰り部を形成した請求項1~6の何れかに記載の緩み止めナット。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の緩み止めナットの締付方法であって、
前記上ナットと下ナットを、前記係合突起が一方の前記係合凹部に係合し、且つ互いのテーパ面同士が平行に接合した状態でボルトに一体として締め付けた後、前記上ナットを緩め方向に半回転させて前記係合突起を他方の前記係合凹部に係合させ、締め付けた後の上ナットを、下ナットに対し緩め方向に半回転させた位置に位置決めすることを特徴とする緩み止めナットの締付方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトに締め付けた後の緩みを簡単な構成で防ぐことができる緩み止めダブルナット(以下、緩み止めナットとも言う。)とその締付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトとこれに螺合するナットによって被締結部材を締結する場合、ナットがスムーズに回るようにボルトとナットのネジ山の間には微小な遊び(クリアランス)が設けられている。そして、ナットを大きなトルクで締め付けても、被締結部材とボルトの頭、ナットと被締結部材との間に作用する摩擦力は限られている。このため、特に建設機械や工作機械、車両などのように振動の大きな機械においては、ボルトに締め付けたナットが振動によって緩むという問題が発生する。このような問題を解決する手段の1つとして、緩み止めダブルナットが多く使用されている。
【0003】
上記緩み止めナットは、2つのナットをボルトに締め付けて両ナット間に発生する摩擦力によってこれらのナットの緩みを防ぐためのものであって、これに関しては今までに種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、テーパ面同士で接合する厚さの薄い一方のナットと厚さの厚いナットを一体にボルトに締め付けた後、厚さの薄いナットを半回転以内でさらに締め付けるようにした緩み止めナット(組み合わせナット)が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、ボルトに螺合する右雌ネジとピッチの小さい左雄ネジが形成された凸形の第1ナットと、内周の上部と下部に右雌ネジと左雌ネジが形成された凹形の第2ナットとで構成され、第1ナットのフランジ部の内面と第2ナットの下端面にそれぞれ右ネジ方向の螺旋状の傾斜面を形成した緩み止めナットが提案されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、第1ナット部と第2ナット部との間に、一定のテーパ角を有する切り込みが形成され、この切込みによって連設部が形成された緩み止めナットが提案されている。この緩み止めナットによれば、第1ナット部に対して第2ナット部を強制的に示す方向に回転させたときに連設部が剪断され、第1ナット部と第2ナット部の切り込み対向面が圧接されるとともに、第1ナット部と第2ナット部がボルトに対して該ボルトの軸心側に圧接されるため、これらの第1ナット部と第2ナット部の緩みが防がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭53-110765号公報
【文献】特公昭62-049489号公報
【文献】特許第3574698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に提案された緩み止めナットにおいては、厚さの薄い上ナットを半回転以内で締付けるには、ボルトのネジ山の変形、又は上ナットの変形が必要になり、非現実的であるという問題がある。また図17(b)に示すように、ボルト軸方向に力を加えてもボルト軸心に向いた方向の力は釣合うので、さらに半回転加えてもボルト軸方向の押付け力が発生しボルトとナットのネジ山の接触用の摩擦力は大きくなるが、ボルト軸心側に圧接する効果(かしめ力)は小さい。
【0009】
また、特許文献2において提案された緩み止めナットは、互いに螺合又は篏合する凸部と凹部が形成されているために、各ナットの構造が複雑であり、製造コストが高くなるという問題がある。また特許文献2のものも、緩み止めのためにボルト軸方向に締付けられるが、特許文献1の場合と同様に、ボルト軸心側に圧接する効果は小さい。
【0010】
さらに、特許文献3において提案された緩み止めナットにおいては、連接部を介して一体化された第1ナット部と第2ナット部をボルトに締め付けることによって連接部が剪断された後、第2ナット部(上ナット)を第1ナット部(下ナット)に対して所定角度だけ回転させることによって、第1ナット部と第2ナット部がボルトの軸心方向に圧接されるが、特許文献1の場合と同様にボルト軸心側に圧接する効果は小さく、両ナット部の緩みを常に確実に防ぐことができないという問題がある。
【0011】
本発明は、従来の緩み止めナットの上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、テーパ面で上ナットと下ナットが全面接触した状態で上ナットと下ナットを一体にボルトに締付けてから、上ナットを逆方向(緩め方向)に半回転(180°)させて正確に位置決めすることによって、両ナットの緩みを確実に防ぐと共に、構造が単純で製造コストを低く抑えることができる緩み止めナットとその締付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る緩み止めナットは、ボルトに螺合する上ナットと下ナット2つのナットで構成され、これら2つのナットの接合面を前記ボルトの軸心に直交する面に対して所定角度だけ傾斜したテーパ面とした緩み止めナットであって、前記上ナットと下ナットが、一方の前記テーパ面の外周近傍の1箇所に突設された係合突起と、他方の前記テーパ面の外周近傍の径方向で対向する2箇所に形成された係合凹部と、前記係合突起と係合凹部によって形成される、前記係合突起に係合した係合凹部を前記上ナットの緩め側に半回転することを許容して規制するガイド部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る緩み止めナットの締付方法は、前記上ナットと下ナットを、前記係合突起が一方の前記係合凹部に係合し、且つ互いのテーパ面同士が平行に接合した状態でボルトに一体として締め付けた後、前記上ナットを緩め方向に半回転させて前記係合突起を他方の前記係合凹部に係合させ、締め付けた後の上ナットを、下ナットに対し緩め方向に半回転させた位置に位置決めすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上ナットと下ナットを、下ナットの係合突起が上ナットの一方の係合凹部に係合し、且つ、互いのテーパ面同士が平行に接合した状態でボルトに一体として締め付けた後、上ナットを緩み方向に半回転させる場合、係合突起を他方の係合凹部に係合させて上ナットを下ナットに対して周方向に正確に位置決めするようにしたため、両ナットのテーパ面の凸部同士が重なって互いに押圧し、押圧部に常に高い押付け力(テーパ面に垂直な力)が作用する。そして、この押付け力の水平分力が両ナットを軸中心方向に押圧するため、両ナットの雌ねじとボルトの雄ネジとの間の遊びが無くなり、この結果、両ナットの緩みが確実に防がれる。
【0015】
また、本発明に係る緩み止めナットを構成する2つのナットは、1つのナット部材を高さ方向中間部で斜めに切断することにより、同角度のテーパ面を有する上ナットと下ナットが同時に簡単に製造できるため、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットがボルトに螺合している状態を示す正面図。
図2】本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットの正面図。
図3図2の矢視A-A方向の図(上ナットの底面図)。
図4図2の矢視B-B方向の図(下ナットの平面図)。
図5】(a)~(c)は本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットの締付方法をその工程順に示す破断正面図。
図6】(a)は図5(a)のD-D線断面図、(b)は図5(b)のE-E線断面図、(c)は図5(c)のF-F線断面図。
図7】(a)は、本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットにおいて、両ナットのテーパ面の間に1/2ピッチの隙間を付与したナットを締め付けた後に上ナットを半回転させたときの両ナットのテーパ面の状態を説明する模式図、(b)は、図7(a)と同じ緩み止めナットにおいて、両ナットのテーパ面の間に1/2ピッチの隙間を付与していないナットでは、締め付けた後に上ナットを半回転させようとしても、上ナットが半回転できないテーパ面の状態を説明する模式図。
図8】本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットの別形態を示す正面図。
図9】本発明の実施の形態2に係る緩み止めナットをボルトによって2枚の板材を締結している状態を示す破断正面図。
図10】本発明の実施の形態2に係る緩み止めナットの正面図。
図11図10の矢視G-G方向の図(上ナットの底面図)。
図12図10の矢視H-H方向の図(下ナットの平面図)。
図13】本発明の実施の形態3に係る緩み止めナットの正面図。
図14図13の緩み止めナットの平面図。
図15図13の緩み止めナットを機能させている状態の正面図。
図16】緩み止めナットの上ナットにおける各部の寸法と、逆方向に半回転したときこの上ナットに下ナットから作用する力を説明するための模式的正面図。
図17】(a)(b) 図16の上ナットとボルトの図17(a)に示す螺合面(接触面)の1つのネジ山に作用する力を図17(b)により説明するための模式的拡大図。
図18】実施の形態3の上ナットと同じ形態の上ナットの半回転時の変形を説明するための模式的正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態1~3を、添付図面に基づいて順に説明する。
【0018】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットがボルトに螺合している状態を示す側正面図、図2は本発明の実施の形態1に係る緩み止めナットの正面図、図3図2の矢視A-A方向の図(上ナットの底面図)、図4図2の矢視B-B方向の図(下ナットの平面図)である。
【0019】
本実施の形態1に係る緩み止めナット1は、図1に示すように、ボルト10に螺合する2つのナット2,3によって構成されている。以下、図1の上側のナット2を「上ナット2」、下側のナット3を「下ナット3」と称する。
【0020】
上ナット2と下ナット3は、図3及び図4に示すように、六角ナットであって、その軸中心部には、ボルト10の外周に刻設された雄ネジ10aのピッチP(図1参照)と同じピッチPの雌ネジ2a,3aがそれぞれ形成されている。
【0021】
また、図1及び図2に示すように、上ナット2と下ナット3の接合面、つまり、上ナット2の底面と下ナット3の上面は、ボルトの軸心CLに直交する面(図1及び図2において水平面)に対して所定角度θだけ傾斜したテーパ面2A,3Aに形成されている。ここで、図2に示すように、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aにおいて、厚さが厚い側の部分を凸部2A1,3A1、厚さが薄い側の部分を凹部2A2,3A2と称することにする。
【0022】
ところで、図2図4に示すように、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの長さの水平成分をLとすると、各テーパ面2A,3Aの傾斜角度θは、後述の理由によって次式(1)にて表される値に設定されている。
θ≧tan-1(P/2L) …(1)
【0023】
そして、本実施の形態1では、図2及び図4に示すように、下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1の周方向1箇所には、係合突起としての短柱状の位置決めピン4が垂直に立設されている。ここで、位置決めピン4の高さh(図2参照)は、ボルト10の雄ネジ10aのピッチP(図1参照)の1/2(0.5P)と略同じ高さに設定されている。すなわち、位置決めピン4の高さhは、ボルト10の雄ネジ10aのピッチPに対し 、次式(2)にて表される関係を持たせている。
h≒P/2 …(2)
【0024】
また、図3に示すように、上ナット2のテーパ面2Aの直径上において対向する同一円周上の2箇所(周方向に角度180°隔てた2箇所、つまり、テーパ面2Aの凸部2A1と凹部2A2)には、下ナット3に立設された円柱状の位置決め用のピン4が選択的に係合する係合凹部の一例として円穴状の2つの係合穴51,52がそれぞれ形成されており、これら2つの係合穴51,52は、テーパ面2Aに形成されたガイドとして機能する半円状の溝を含むガイド6の両端に位置する。ここで、ガイド6が溝の場合、その溝は上ナット2の軸心を中心とする半円状に形成されており、その幅wは、係合穴51,52の内径φdに略等しい値(w=φd)、深さsはピン4の高さhと略等しい値(s=h)に設定する。なお、係合穴51,52の内径φdは、位置決めピンの外径φDよりも僅かに大きく設定されている(φd>φD)。
【0025】
以上に説明した位置決めピン4と、この位置決めピン4が選択的に係合する2つの係合穴51,52と、2つの係合穴51,52の間で位置決めピン4を摺動案内するガイド6は、上ナット2を下ナット3に対して緩め方向に半回転して正確に位置決めするための位置決め構造の一例を構成する。なお、図2図3においてガイド6は溝で示されているが、上ナット2が緩め方向に半回転され始めるとき上ナット2のテーパ面2Aが位置決めピン4を乗り越えるため底をテーパ状に浅く形成した溝もある。
【0026】
次に、以上のように構成された実施の形態1の緩み止めナット1の締付方法を図5図6に基づいて以下に説明する。
図5(a)~(c)は本実施の形態1に係る緩み止めナットとボルトを用いて2枚の板材を締結する方法をその工程順に示す破断正面図、図6(a)~(c)は図5(a)~(c)のD-D線、E-E線、F-F線断面図、図7(a)は上ナット2と下ナット3を一体に締め付けた後に上ナット2を緩み方向に半回転させたときの各テーパ面の状態を模式的に示す図である。
【0027】
図5に示すように、本実施の形態1に係る緩み止めナット1とボルト10を用いて2枚の板材11,12を締結する場合、図5(a)に示すように、上下に重ねられた2枚の板材11,12にそれぞれ形成された円孔状のボルト孔11a,12aにボルト10を下方から通し、該ボルト10の頭部10Aを下側の板材12の底面に突き当てる。そして、ボルト10のネジ部10Bの上側の板材11から上方へと突出する部分に、テーパ面2Aと3Aを面当接させて上ナット2と下ナット3を一体化したように見える緩み止めナット1を、ソケットレンチを用いて螺合させる。具体的には、緩み止めナット1の上ナット2と下ナットの各テーパ面2A,3A同士を互いに接合させるとともに、下ナット3に立設された位置決めピン4を図6(a)に示すように上ナット2のテーパ面2Aに形成された一方の係合穴5に係合させた状態で、両ナット2,3を不図示のソケットレンチなどの工具を用いて締め方向(図5(a)の矢印方向、締込みとは逆方向)に一体的に回転させる。
そうすると、上ナット2と下ナット3は、一体となってボルト10のネジ部10Bに沿って下方へ進み、図5(b)に示すように、下ナット3の下面が上側の板材11の上面に当接する。この状態から所定のトルクで両ナット2,3をボルト10に締め付ける。
【0028】
この後、上ナット2を緩み方向(図5(b)に示す矢印方向)に半回転(180°回転)させる。この上ナット2の緩み方向への半回転は、図6(b)に示すように、下ナット3のテーパ面3Aに立設された位置決め用ピン4が、上ナット2のテーパ面2Aに形成された半円状の溝状のガイド6を摺動案内する。すなわち、この上ナット2の緩み方向への半回転過程においては、位置決めピン4に案内されて図6(c)に示すように上ナット2のテーパ面2Aに形成されたガイド6が、図6(a)の位置から半回転移動することになる。
【0029】
上ナット2が緩み方向に半回転すると、図6(c)に示すように、下ナット3に立設された位置決めピン4に上ナット2のテーパ面2Aに形成された他方の係合穴52が係合し、上ナット2の緩み方向へのそれ以上の回転が阻止され、該上ナット2が下ナット3に対して周方向に正確に位置決めされる。また、上ナット2が緩み方向に半回転すると、該上ナット2のテーパ面2Aの凹部2A2が下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1から離れる方向(上方)にボルト10の雄ネジ10aのピッチPの1/2(=P/2)だけ移動する。そうすると図5(c)に示すように、上ナット2のテーパ面2Aの凸部2A1が下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1に重なり、両ナット2,3のテーパ面2A,3Aの凹部2A2,3A2同士の間に所定の隙間δが形成される。
【0030】
次に上記で説明した上ナット2の緩め方向に半回転することによる緩み止め効果を得るためのテーパ面2A,3Aの傾斜角度θについて図7(a)により説明する。
上下ナット2,3を所定トルクで締付けた後、上ナット2を緩み方向に半回転すると、半回転前の上ナット2のテーパ面2Aの凸部2A1の点aは、P/2だけ上動するとともに半回転して図7の点a’に移動し、上ナット2のテーパ面2Aの凹部2A2の点bは、図7の点b’に移動し、点bと点b’間に隙間δが形成される。
したがって、上ナット2が緩み方向に半回転し、図7(a)に示すように、上ナット2のテーパ面2Aの凸部2A1の点aが点a’に移動し、上ナット2のテーパ面2Aの点aと下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1の点bとが当接(点接触)した状態においては、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの傾斜角度θは、次式(3)にて表される。
θ=tan-1(P/2L) …(3)
【0031】
しかし、実際には、上ナット2と下ナット3を一体に所望トルクで締付けてから上ナット2を緩め方向に半回転させようとしても、上ナット2のテーパ面2Aの凸部2A1の点aは、下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1のb点に到達できない。その理由は、次の通りである。即ち、図7(b)に実線で示すように、両ナット2,3のテーパ面2A,3Aが接合しているとき、上ナット2の点aは上ナット2のネジ2aの内径縁xより下方に位置している。このため、締付けた後の上ナット2を、緩め側に半回転させて2点鎖線で示す2‘の向きになるようにネジの内径縁xの部位を半ピッチ分上昇させようとしても、点aは半回転する手前で下ナット3の凸部3A1のb点の手前側に当ってしまい、上ナット2はそれ以上回転させることができない。
上ナット2の半回転でa点がb点に到達するためには、上ナット2のテーパ面2Aが変形するか、又は上下ナット2,3を締付けたとき、両ナット2,3のテーパ面2Aと3Aの間にネジピッチ1/2分の隙間を保持させておく必要がある。従って、図7(a)は、予め上ナット2と下ナット3のテーパ面2A,3Aの間に、ネジピッチ1/2分の隙間を付与している場合の例である。
なお、図7(a)において、上ナット2を緩め方向に半回転させたとき、点aと点bの部分を面接触させるには、上記(3)式のθを大きくするか、又は半回転開始前に上ナット2と下ナット3のテーパ面の隙間をネジピッチの1/2以下することが考えられる。
【0032】
上記(3)式は、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの凸部2A1,3A1同士が点接触する場合の各テーパ面2A,3Aの傾斜角度θを示すが、この傾斜角度θが(3)式で表される値よりも大きい場合、つまり、
θ>tan-1(P/2L) …(4)
で示される値に設定された場合には、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの凸部2A1,3A1同士は面接触する。このように上ナット2と下ナット3の各テーパ面の凸部2A1,3A1同士が面接触する場合には、上ナット2の厚さを図8に示すように下ナット3の厚さよりも薄くするか、或いは上ナット2の材質を下ナット3の材質よりも硬度が小さいもので構成することにより、半回転した上ナット2が下ナット3に対して弾性変形し易くなるため、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの凸部2A1,3A1同士の確実な面接触を実現できる。
【0033】
以上のように、本実施の形態1に係る緩み止めナット1においては、上ナット2と下ナット3を、下ナット3に立設された位置決めピン4が上ナット2のテーパ面2Aに形成された一方の係合穴51に係合し、且つ、両ナット2,3の各テーパ面2A,3A同士が接合した状態でボルト10に一体として締め付けた後、上ナット2を緩み方向に半回転させて位置決めピン4が他方の係合穴52に係合させることにより、上ナット2を下ナット3に対して周方向で正確に位置決めすることができる。これによって、両ナット2,3のテーパ面2A,3Aの凸部2A1,3A1同士が重なって互いに押圧する押圧部に常に高い押付け力(テーパ面2A,3Aに垂直な力)が作用する。
【0034】
ここで、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの凸部2A1,3A1同士が当接したときの当接部に作用する押付け力について、図16図17を参照して説明する。
【0035】
図16は、上ナット2による緩み止め作用の説明の便宜のため、ボルト10に螺合した上ナット2のテーパ面2Aの凸部2A1が下ナット3のテーパ面3A1から押付け力Pを承けている状態を、通常ナットの形で模式的に示したものである。
図16において、L:上ナット2の厚み、D:上ナット2の外径、d:上ナット2の内径、P:上ナット2に作用する下ナット3(図示せず)の上向きの押付け力(上ナット2のテーパ面2Aと下ナット3のテーパ面3Aとの接触により発生)、R:ボルト10から上ナット2が受ける反力(前記上ナット2に作用する押付け力Pにより発生)とする。
【0036】
いま、図16に点線で示すように下ナットのテーパ面の上向き押付け力Pで傾いた上ナット2の雌ネジ2aと、ボルト10の雄ネジ10aとの接触点A周りのモーメントは、P×1/2(D+d)=RL、であるから、反力Rは、R=P×(D+d)×1/2L、で表される。
上記式より、反力Rを大きくするには、(イ)Pを大きくする、(ロ)D(d)を大きくする、(ハ)Lを小さくする、ことが考えられる。また上記反力Rの式では表されていないが上ナット2を変形させて直接反力Rを大きくすることも考えられる。
【0037】
一方、上ナット2の外径Dを大きくすることの代替案として、上ナット2自体の外径は大きくせず当該ナット2に変形可能な鰐(フランジ)を付けることが有効と考えられる。また上ナットの変形のためには上ナットの厚みLを小さくすることも有効と考えられる。
【0038】
次に、図17(a)(b)により、上ナットと下ナットの接触面をテーパ面にして緩み止めを図った特許文献1~3などの従来の緩み止めナットが十分な緩み止め効果を得られなかった理由について検討する。
図17(a)(b)は、従来の緩み止めナットの上ナット2とボルト10のネジの接触点における上向きの押付け力Pの作用を、1つの雄ネジと雌ネジの接触面において考察した模式図である。図17(b)は、図17(a)のボルト10とナット2のネジ山一つの模式的拡大図である。
【0039】
図17(b)において、上記の押付け力P=Σpとすると、ネジ山に平行な力phはボルト10とナット2の左右のネジ山10a,2aにおいて殆んど釣合う。従って鉛直方向に押付け力Pが作用しても前記ネジ山に平行な力phが左右のネジ山の接触面で釣合うと、ネジ山の接触面の相対位置に変化が生じないため、大きな「かしめ力」が得られず、強くかしめることができない。図17(b)のpは1つのネジ山に作用する押付け力、pnは1つのネジ山の接触面に直交方向に作用する分力である。
【0040】
上述した本実施の形態1に係る緩み止めナット1を構成する上ナット2と下ナット3は、1つのナットを高さ方向中間部で斜め(テーパ面2A,3Aの角度)に切断すれば容易に製造できるため、本発明緩み止めナット1は、その構造を単純化でき、また製造コストも低く抑えられるという効果が得られる。
【0041】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図9図12に基づいて以下に説明する。
【0042】
図9は本実施の形態2に係る緩み止めナットをボルトによって2枚の板材を締結している状態を示す破断正面図、図10は本実施の形態2に係る緩み止めナットの正面図、図11図10のG-G線矢視図(上ナットの底面図)、図12図10のH-H線矢視図(下ナットの平面図)であり、これらの図においては、図1図8において示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0043】
本実施の形態2に係る緩み止めナット1Aは、フランジ(鍔)2F,3F付きの上ナット2と下ナット3によって構成されている。そして、上ナット2の下端面に一体に形成された円形のフランジ2Fの下面は、ボルト10の垂直な軸心CLに直交する平面(水平面)に対して図示の角度θだけ傾斜した平坦なテーパ面2Aを構成し、下ナット3の上端に一体に形成された円形のフランジ3Fの上面は、ボルト10の垂直な軸心CLに直交する平面(水平面)に対して図示の角度θだけ傾斜した平坦なテーパ面3Aを構成している。ここで、上ナット2と下ナット3の各テーパ面2A,3Aの傾斜角度θは、前記(1)式にて表される値に設定されている。
【0044】
そして、本実施の形態2に係る緩み止めナット1Aにおいても、前記実施の形態1に係る緩み止めナット1と同様に、下ナット3のフランジ3Fの上面であるテーパ面3Aの凸部3A1側の周方向1箇所には、係合突起としての背が低い短柱状の位置決めピン4が垂直に立設されている(図10及び図12参照)。
【0045】
また、上ナット2のフランジ2Fの下面であるのテーパ面2Aの径方向に対向する同一円周上の2箇所(周方向に角度180°隔てた2箇所)には、図11に示すように、下ナット3に立設された位置決めピン4に選択的に係合される係合凹部の一例である係合切欠51,52がそれぞれ形成されている。これら2つの係合切欠51,52は、テーパ面2Aに形成された半円状の溝を含むガイド6の両端に存在している。ここで、位置決めピン4と、この位置決めピン4を選択的に係合する2つの係合切欠51,52と、2つの係合切欠51,52の間で位置決めピン4を摺動ささせて案内するガイド6とは、上ナット2を下ナット3に対して周方向に正確に位置決めするための位置決め構造を形成する。なお図9~11において、7は上ナット2のテーパ面2Aのガイド6の径方向内側に形成した座繰り部である。座繰り部7は、2つのテーパ面2A,3Aの変形を容易にするために設けるが、その深さと大きさはフランジの厚み、径、材質によって異なる。
【0046】
而して、図9図12を参照して説明した本実施の形態2に係る緩み止めナット1Aにおいても、先に説明した実施の形態1に係る緩み止めナット1と同様に、上ナット2と下ナット3を、下ナット3に立設された位置決めピン4が上ナット2のテーパ面2Aに形成された一方の係合切欠51に係合し、且つ、両ナット2,3の各テーパ面2A,3A同士が接合した状態でボルト10に一体として締め付けた後、上ナット2を緩み方向に半回転させる。
ここで、上,下ナット2,3を一体としてボルト10に締め付けるには、両ナット2,3のテーパ面2A,3Aを接合し、位置決めピン4を係合切欠51に係合した状態で上ナット2をソケットで締め付ける。なお、上ナット2の下面の座繰り部7の外周側に断面鋸歯状のラチェット歯を形成しておき、上ナット2のソケットによる締め付け回転において両ナット2,3が一体回転することを確保し補完するようにしてもよい。
【0047】
上記の上ナット2の緩め方向の半回転においては、前記位置決めピン4が他方の係合切欠52に係合されるまで上ナット2を半回転させるが、他方の係合切欠52が設けられている部位は、上ナット2に比べ厚さが薄いフランジ部2Fであるから、上ナット2を半回転して両ナット2,3のテーパ面2A,3Aの凸部2A1、3a1が当接する際、フランジ部2Fが上側に微小量反る変形をして容易に半回転させることができる。従って上ナット2のテーパ面2Aの凸部2A1を下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1に対し容易に半回転して周方向で正確に位置決めできることになる。これにより、前記実施の形態1と同様に、上ナット2と下ナット3の各雌ねじ2a,3a(図11及び図12参照)とボルト10の雄ネジ10a(図9参照)との間の遊び(クリアランス)が無くなり、しかもフランジ2Fが変形することで両ナット2,3の緩みを確実に防ぐことができるという効果が得られる。
【0048】
また、本実施の形態2に係る緩み止めナット1Aを構成する、フランジ2F,3Fでテーパ面2A,3Aを形成した上ナット2と下ナット3は、構造が単純であって、比較的簡単に製造されるため、当該緩み止めナット1Aの製造コストが低く抑えられるという効果も得られる。
【0049】
なお、以上の実施の形態1,2においては、下ナット3のテーパ面3Aに位置決めピン4を立設し、上ナット2のテーパ面2Aに2つの係合穴(又は、係合切欠)51、52と溝を含むガイド6を形成したが、これとは逆に上ナット2のテーパ面2Aに位置決めピンを突設し、下ナット3のテーパ面3Aに2つの係合穴(又は、係合切欠)と溝を含むガイドを形成してもよい。ここで、係合穴と係合切欠とは任意に選択することができる。
【0050】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3を図13図15に基づいて以下に説明する。
【0051】
本実施形態3の緩み止めナット1Bは、先の実施形態2の変形例、乃至は応用例であって、先の実施の形態2に対し次のような独自の構成を備えるものであるから、以下に説明する。
【0052】
まず、下ナット3は、テーパ面3Aが下ナット自体の上面でテーパ面3Aが形成されておりフランジ3Fを備えないから、実施の形態1の下ナット3と同じである。次に、上ナット2は、下ナット3の外径より小さく、一例として下ナット3の1/2程度の外径のものである。この上ナット2は、下面のテーパ面2Aが、下ナット3の外径・外形と同じ外径・外形の平面視六角形のフランジ21Fに形成されている。また上ナット2のテーパ面2Aには、実施の形態2と同じ趣旨で座繰り部7が設けられている。
【0053】
下ナット3は外周上の1箇所に位置決めピン4を備える一方、上ナット2のテーパ面2Aをなすフランジ21Fの下面には、前記ピン4に対応する位置と、その位置からフランジ直径上で180度離れた位置との2箇所に、前記ピン4を嵌合する係止切欠51,52(又は切欠き)が設けられている。なお係止切欠は係止穴としてもよい。
【0054】
本実施の形態3の緩み止めナット1Bでは,上ナット2と下ナット3のテーパ面2A、3Aを平行にし、位置決めピン4を第1の係合切欠51に嵌合させた状態で接合し、2つのナット2,3を一体としてソケットレンチにセットし、ボルト10に螺合させる。この点は、先に述べた実施の形態1の緩み止めナット1の場合と同じである。
【0055】
上ナット2と下ナット3が一体となって所定トルクでボルト10に締結されたら上ナット2を緩め側に半回転させて、位置決めピン4を上ナット2のフランジ21Fの第2の係合切欠52に嵌合させて位置決めする。そうすると、上ナット2の外側のフランジ21Fに位置する第2の係合切欠52を設けた部分が、下ナット3のテーパ面3Aの凸部3A1によって上向きに反る力を受けて変形し、上ナット2の雌ネジとボルト10の雄ネジの間の遊びを無くす。これにより上ナット2と下ナット3は、ボルト10から緩むことが阻止される。
【0056】
上記の実施の形態3の上ナット2は、実施の形態1の説明(段落0033、0034)で検討した上ナット2の外径Dを大きくすること、及び上ナット2を変形させることを目的として、上ナット2を正面から見て図18に模式的に例示したように、ナット自体の肉厚と上下方向の厚さを薄く形成すると共に、下ナット3と同径の六角形のワッシャ部(フランジ)2Fを設けた形態にしたものである。
このように形成した上ナット2と下ナット3とをソケットレンチで一緒にボルト10に締結した後、上ナット2をボルト10の軸に添って締付けとは反対方向に180度回転させると、図13図15のワッシャ部21F(図18のワッシャ部2F)が変形されるから、ボルト10と上ナット2のネジ山のボルト10のネジ山との接触面積が大きくなり、先に図17(b)で説明した左右のネジ山に平行な力phも不均等になって大きな「かしめ力」が得られる。なお、上ナット2の易変形性のためにより柔らかい材質でこの上ナット2を形成することも有効である。図13~15、図18の上ナット2では、上ナット2の上下方向の厚みを薄くしてもワッシャ部21F、2Fを設けているから、実質上、上ナット2の外径Dを大きくしたことにもなって、反力Rも大きくなる。
【0057】
以上に述べた実施の形態1~3では、通常の六角ナットであるの2つ上ナット2と下ナット3から成る緩み止めナット1と、2つのフランジ付ナットである上ナット2と下ナット3から成る緩み止めナット1A、フランジ付ナットの上ナット2と上ナット2のフランジと同型の下ナット3から成る緩み止めナット1Bに対して本発明を適用した形態について説明したが、本発明は、他の任意の形式の2つのナットから成る緩み止めナットに対しても同様に適用可能である。
【0058】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,1B 本発明緩み止めナット
2 上ナット
2A 上ナット下面のテーパ面
2F,21F 上ナットのフランジ(フランジ部)
3 下ナット
3A 下ナット上面のテーパ面
3F 下ナットのフランジ
4 位置決めピン(係合突起)
51,52 係合穴、係合切欠(係合凹部)
6 溝を含むガイド(ガイド部)
7 座繰り部
10 ボルト
CL ボルトの軸心
P ボルトのネジのピッチ
θ ナットのテーパ面の傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18