(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】髪・毛束ね具
(51)【国際特許分類】
A45D 8/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A45D8/00 Z
(21)【出願番号】P 2021572178
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2020002061
(87)【国際公開番号】W WO2021149174
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】522290064
【氏名又は名称】巣山技研有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幸平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直矢
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-133293(JP,U)
【文献】国際公開第2012/020803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム、紐、又は糸
からなる束ね体と接し得る部位を備えた移動体と、
前
記束ね体を掛け止める部位、及び前記移動体が外嵌される部位を有する本体部と、前記本体部に繋がる持ち手と、でなり、前記本体部及び前記持ち手を貫通する貫通孔が形成された管体のケーシングと、
前記本体部に備えた動作体として機能するスプリングと、
前記移動体を移動させ得る対の操作体と、
前記貫通孔に抜き差しでき
、頭髪、動物の毛、紐、又は糸を
前記貫通孔に引入れるために掬い取り得る
先端部を備えた冶具と、
で構成し、
前記移動体は、前記ケーシングの軸方向に前進又は後退し、
前記束ね体を押し出して、前記貫通孔に引入れられた前記頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ねさせるために、前記束ね体と接し得る部位が、前記ケーシングの前記束ね体を掛け止める部位に掛け止められた前記束ね体を押圧可能であり、
前記対の操作体は、前記動作体の上側に配置された操作体(5a)と、前記操作体(5a)と連繋し前記動作体の下側に配置された操作体(5b)と、を含み、
前記貫通孔に、前記冶具を抜き差し自在に設けることを特徴とする、髪・毛束ね具。
【請求項2】
前記対の操作体(5a)、(5b)には、それぞれ前進側に面した一方第二カム面(500a1)、他方第二カム面(500b1)・後退側に面した一方第二カム面(500a2)、他方第二カム面(500b2)と、を設け、
前記移動体には、後退側に面した一方第一カム面(100a1)・他方第一カム面(100b1)を設け、
前記持ち手には、前進側に面した一方第一カム面(300a1)・他方第一カム面(300b1)を設け、
前記一方第二カム面(500a1)、他方第二カム面(500b1)は、前記一方第一カム面(100a1)・前記他方第一カム面(100b1)と対峙し、
前記一方第二カム面(500a2)、他方第二カム面(500b2)は、前記一方第一カム面(300a1)・前記他方第一カム面(300b1)と対峙する、請求項1に記載の髪・毛束ね具。
【請求項3】
前記管体の前記持ち手側の一端の開口に差し込まれた前記
先端部が、前記管体の他端の開口を通して前記ケーシングから突出し、
前記管体の内壁に、前記冶具の前記ケーシングからの突出長さを、決めるストッパ部を形成する構成とした、請求項1又は請求項2に記載の髪・毛束ね具。
【請求項4】
前記移動体は、前記動作体の伸長又は前進で、前記ケーシングの前記外嵌される部位側の先端位置に移動し得るとともに、前記移動体の移動に伴って、前記束ね体は移動し、前記ケーシングから外れて、前記頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ね可能とする構成とした、請求項1又は請求項2に記載の髪・毛束ね具。
【請求項5】
前記
先端部に前記頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ねた状態で、前記冶具を、前記
貫通孔から引き抜いた際に、前記束ね体で、前記頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ね可能とする構成とした、請求項1又は請求項2に記載の髪・毛束ね具。
【請求項6】
前進側に面した前記一方、及び他方第二カム面(500a1)・(500b1)は、前記移動体の一方、及び他方第一カム面(
100a1)・(
100b1)を押圧可能であって、後退側に面した前記一方及び他方第二カム面は、前記持ち手の前記一方及び他方第一カム面を押圧可能であって、この押圧を介して、前記移動体を移動可能とする構成とした、請求項2に記載の髪・毛束ね具。
【請求項7】
前記操作体は、前記移動体を押圧して前進させた際に、前記動作体を伸長させ、この伸長解除で、前記動作体が伸長前の状態に復帰可能とした請求項6に記載の髪・毛束ね具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム、線材、紐等の束ね体により、人間の毛髪、動物の毛、紐、糸を束ねる髪・毛束ね具(髪・毛、紐、糸束ね具)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髪を束ねる所作は、幼児、及び低学年女子において、保護者、又は関係者が、手作業で行っていた。従って、幼稚園や、小学校等に出かける際、また外出等の際には、時間制約があるので、多々困るのが現状である。また近年、ペットの犬、猫など、動物の毛のスタイリングを行う人が増えており、その中で動物の毛を束ねることもある。従って、これらの所作が速やかにできる髪・毛束ね具が要望される状況となった。このような髪・毛束ね具により、視界が広く確保されること、移動、運動、作業時等に髪・毛が邪魔にならないこと、及び/又は使用者の美観や清潔感の向上、などの効果が期待できる。
【0003】
そこで、この要望に応え得る髪・毛束ね具(髪束)に関しての先行文献を挙げてみる。
【0004】
WО2016-204033号公報では、少数本の頭髪束の編み込みや複雑で細かい編み込みを容易に行う髪編み具であって、頭髪に先端部を差し込んで貫通させる編み棒、及び編み込まれた頭髪束を連結し、かつ紐状部材と締付け部材を備えたリード部材でなり、紐状部材を二つ折りにし、環状部を形成する。環状部を頭髪束に通した状態で、締付け部材で、編み込まれた環状部に頭髪束を締付ける構造である。即ち、三つ編みを簡易に、かつスムーズに形成することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献(1)は、少数本の頭髪束の編み込みや複雑で細かい編み込みを容易に行う髪編み具であって、頭髪に三つ編みを簡易に、かつスムーズに形成することである。この文献(1)は、前述の如く、頭髪に三つ編みを簡易に、かつスムーズに形成することに留まる。
【0006】
従って、頭髪を纏めることは可能であるが、本発明の如く、髪を束ねることに関しては、原則として、利用できない考えであると思われる。
【0007】
そこで、本発明は、幼児、及び低学年女子において、保護者、又は関係者が、手作業で行っていた所作を、補助できる髪・毛束ね具を提供する。幼児だけでなく、病気などで短髪になり、髪飾り等がつけにくい人にも用いることができる。また、人間に限らず、犬や猫などの、行動制約ができないペットにも、速やかに取り付け可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来は、例えば、髪の毛(頭髪)や動物の毛を束ねるのは、主として、手作業による所作であった。これに鑑み、本発明は、この手作業の所作を、提案する髪・毛束ね具と、ゴム、線材、紐等の束ね体により、簡略化し(原則として、無くし)、頭髪や動物の毛等を束ねる作業を速やかに、かつ容易にすることを意図する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、
ゴム、紐、又は糸からなる束ね体と接し得る部位を備えた移動体と、
束ね体を掛け止める部位、及び移動体が外嵌される部位を有する本体部と、本体部に繋がる持ち手と、でなり、本体部及び持ち手を貫通する貫通孔が形成された管体のケーシングと、
本体部に備えた動作体として機能するスプリングと、
移動体を移動させ得る対の操作体と、
貫通孔に抜き差しでき、頭髪、動物の毛、紐、又は糸を貫通孔に引入れるために掬い取り得る先端部を備えた冶具と、
で構成し、
移動体は、ケーシングの軸方向に前進又は後退し、束ね体を押し出して、貫通孔に引入れられた頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ねさせるために、束ね体と接し得る部位が、ケーシングの束ね体を掛け止める部位に掛け止められた束ね体を押圧可能であり、
対の操作体は、動作体の上側に配置された操作体(5a)と、操作体(5a)と連繋し動作体の下側に配置された操作体(5b)と、を含み、
貫通孔に、冶具を抜き差し自在に設けることを特徴とする髪・毛束ね具である。
【0010】
従って、従来の手作業の所作を、髪・毛束ね具と、ゴム、線材、又は紐等の束ね体により、簡略化し(原則として、無くし)、束ねる作業を速やかに、かつ容易にできる。
【0011】
請求項2の発明は、
対の操作体(5a)、(5b)には、それぞれ前進側に面した一方第二カム面(500a1)、他方第二カム面(500b1)・後退側に面した一方第二カム面(500a2)、他方第二カム面(500b2)と、を設け、
移動体には、後退側に面した一方第一カム面(100a1)・他方第一カム面(100b1)を設け、
持ち手には、前進側に面した一方第一カム面(300a1)・他方第一カム面(300b1)を設け、
一方第二カム面(500a1)、他方第二カム面(500b1)は、一方第一カム面(100a1)・他方第一カム面(100b1)と対峙し、
一方第二カム面(500a2)、他方第二カム面(500b2)は、一方第一カム面(300a1)・他方第一カム面(300b1)と対峙する髪・毛束ね具である。
【0012】
従って、請求項1の特徴を達成できることと、この達成に最適な動作体の提供である。
【0013】
請求項3の発明は、
管体の持ち手側の一端の開口に差し込まれた先端部が、管体の他端の開口を通してケーシングから突出し、
管体の内壁に、冶具のケーシングからの突出長さを、決めるストッパ部を形成する構成とした髪・毛束ね具である。
【0014】
従って、請求項1の特徴を達成できることと、この達成に最適な動作体の提供である。
【0015】
請求項4の発明は、
移動体は、動作体の伸長又は前進で、ケーシングの外嵌する部位側の先端位置に移動し得るとともに、移動体の移動に伴って、束ね体は移動し、ケーシングから外れて、頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ね可能とする構成とした髪・毛束ね具である。
【0016】
従って、請求項1の特徴を達成できることと、この達成に最適な移動体の提供である。
【0017】
請求項5の発明は、
先端部に頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ねた状態で、冶具を、貫通孔から引き抜いた際に、束ね体で、頭髪、動物の毛、紐、又は糸を束ね可能とする構成とした髪・毛束ね具である。
【0018】
従って、請求項1の特徴を達成できることと、この達成に最適な冶具の提供である。
【0019】
請求項6の発明では、
前進側に面した一方、及び他方第二カム面(500a1)・(500b1)は、移動体の一方、及び他方第一カム面(100a1)・(100b1)を押圧可能であって、後退側に面した一方及び他方第二カム面は、持ち手の一方及び他方第一カム面を押圧可能であって、この押圧を介して、移動体を移動可能とする構成とした髪・毛束ね具である。
【0020】
従って、請求項1の特徴を達成できることと、この達成に最適な移動体とケーシングの提供である。
【0021】
請求項7の発明では、
操作体は、移動体を押圧して前進させた際に、動作体を伸長させ、この伸長解除で、動作体が伸長前の状態に復帰可能とした髪・毛束ね具である。
【0022】
従って、請求項1の特徴を達成できることと、この達成に最適な動作体と移動体の提供である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一実施例に示した移動体が後退限(使用前の状態)にある全体の斜視図
【
図2】本発明の第一実施例に示した移動体が前進限(使用後の状態)にある全体の斜視図
【
図3】
図1において、ケーシングの部位に、束ね体を設けた状態の全体斜視図
【
図4】
図2において、ケーシングの部位より、束ね体が外れた状態(図示しないが、髪の毛をゴムで束ねた状態)の全体斜視図
【
図7】本発明の各実施例に共通する冶具の一例を示した側面図
【
図8】本発明の第二実施例を示した移動体が後退限にある全体の側面図
【
図9】本発明の第二実施例を示した移動体が前進限にある全体の側面図
【
図11】本発明の第三実施例を示した移動体が後退限にある全体の側面図
【
図12】髪・毛束ね具で、頭毛を束ねる状態を順に示した斜視図であり、移動体、及び束ね体を取付けたケーシングに、冶具を差し入れる直前の状態を示した斜視図
【
図13】髪・毛束ね具で、頭毛を束ねる状態を順に示した斜視図であり、差し入れた冶具で、頭髪を掴む状態を示した斜視図
【
図14】髪・毛束ね具で、頭毛を束ねる状態を順に示した斜視図であり、掴んだ頭髪を、冶具を引き抜くことでケーシング内に導く状態を示した斜視図
【
図15】髪・毛束ね具で、頭毛を束ねる状態を順に示した斜視図であり、ケーシング内に頭髪が導かれた状態で、操作体を押圧して移動体を前進させ、ケーシングの部位から頭髪にゴム(束ね体)を移した状態を示した斜視図
【
図16】は、本発明の髪・毛束ね具を犬に用いた状態を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい、第一実施例~第三実施例を、順に説明する。しかし、この各図面と、各図面に基づく説明は、本発明の好ましい一例であって、この説明と各図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0025】
先ず
図1~
図6に示した第一実施例を説明するが、共通する部品(構造)とか、特徴等は割愛する。1は移動体で、この移動体1は管体である。この移動体1の前進方向に向かった先端1aの反対側、即ち、後端1bには、外側に拡開するテーパ形状の対の一方・他方第一カム面100a1、100b1を備える。また、先端1aは、後述する束ね体を押し出す役割を担う。
【0026】
図中3は、ケーシングで、このケーシング3には、ゴム、線材、紐等の輪・紐・糸状形態であって、いずれも管体の、頭髪H1(毛、飾り、紐等)を縛り得る束ね体2を掛け止める部位300a、及び移動体1が外嵌される部位300bでなる細径の本体部300と、この本体部300より太径の持ち手301を備える。このケーシング3には後述する冶具が差し込まれる貫通形式の孔302を開設する。この孔302には、必要により、冶具を一定位置に止めるストッパ部303を備える。このストッパ部303を設けることで、冶具のケーシング3からの突出長さが決められる。そして、ケーシング3の持ち手301の内端301aには、外側に拡開するテーパ形状の対の一方・他方第一カム面300a1、300b1を備える。尚、好ましくは、部位100には、束ね体2に設けた飾り(図示しない)の基端部を差し入れ可能な一条~数条の解放部を有するガイド溝304を備える。
【0027】
5は、
図1~
図6で示してある第一実施例で採用する操作体であり、一方操作体5aと、この一方操作体5aに対峙する他方操作体5bの組み合わせとなっている。一方操作体5aの対峙面5a1に、対の一方第二カム面500a1、500a2を備える。また、一方操作体5aと対峙する他方操作体5bの対峙面5b1に、対の他方第二カム面500b1、500b2を備える。そして、この一方操作体5aと、他方操作体5bの間には、この一方操作体5aと他方操作体5bの連繋と、動きを規制する係止手段6を備える。この例では、係止手段6は、突起6aと長溝6bからなるが、限定されない。この係止手段6を利用して、一方操作体5aと他方操作体5bが、移動体1とケーシング3に設けた一方第一カム面100a1、300a1と、他方第一カム面100b1、300b1の間を、例えば、上下方向(
図1において)にスムーズに動き、かつこの動きで、移動体1の前進(ケーシング3の部位300bを移動する)、又は後退(ケーシング3の部位300bを復帰)が図れる(前後動を可能とする)。
【0028】
そして、この一例では、一方操作体5aと他方操作体5bは、それぞれの脚部5a2と脚部5b2の縦方向(移動体1のスライド方向「
図1において左右方向」と直交する方向「
図1において上下方向」)の組み込み構造であって、かつ一方側の対の脚部5a2間には、一方側の一つの脚部5b2が差込み支持される形態であり、また他方側の一つの脚部5a2には、他方側の対の脚部5b2が外嵌される形態で支持されており、この支持及び係止手段6により、一方操作体5aと他方操作体5bがスムーズに動作可能とする。さらに図示しないが、一方操作体5aと他方操作体5bは添設形態で移動する構造とか、図示しないが、一方操作体5aと他方操作体5bは添設形態で、かつ、前記直交方向において、添設形態が互い違いとなる構造でも可能である。
【0029】
例えば、一方側となる、一方第一カム面100a1と、一方第一カム面300a1の間を、一方操作体5a(図中の上側の操作体5a)の一方第二カム面500a1と一方第二カム面500a2が下がり移動する(移動対峙側で、図中で下側に移動する)。また、他方側となる、他方第一カム面100b1と、他方第一カム面300b1の間を、他方操作体5b(図中の下側操作体5b)の他方第二カム面500b1と他方第二カム面500b2が上がり移動する(移動対峙側で、図中で上側に移動する)。
【0030】
これにより、移動体1が、ケーシング3の本体部300を矢視X方向に進み(
図1の向かって、左方向に移動し)、かつ本体部300の先端(部位300a)に捲装した束ね体2を、この本体部300より頭髪H1に移す所作をする(
図3、
図4と、
図12(ロ)参照)。
【0031】
図中7は、動作体であり、例えば、スプリング700とし、持ち手301と移動体1との間に連繋(掛け止係止)されており、移動体1が本体部300を前進(
図1の向かって左方向に移動)した際に伸長し、例えば、この伸長後に、移動体1が本体部300を後退(
図1の向かって右方向に移動)することで復元する(元の位置に戻る)。尚、図示しないが、スプリング700に代替して、油圧機構、歯車機構等の構造的なものも採用できる。
【0032】
また、図中8は、冶具であり、持ち手を兼ねた本体800と、この本体800の先端に設けた束ね部801であり、前記ケーシング3の貫通孔302に差入れた際に、冶具8は、ストッパ部303により所定の位置に止る構造とすることと、その束ね部801は、貫通孔302の差入れ側とは反対側に、突出する。さらに、束ね部801の切欠き(頭髪を掬い取る空間)箇所が、ケーシング3の孔302に引っ掛からない位置関係で、孔302に差入れられる。この例では、孔302の空間形状と、本体800の外形とが、相似形に形成されている。
【0033】
この第一実施例における使用(所作)を説明すると、補助者は、移動体が後退限(使用前の状態)にある状態で、部位300aに束ね体2を取り付ける。続いて、操作体5を操作し、一方操作体5aと他方操作体5bを近付ける(一方操作体5aと他方操作体5bを押す所作をする)。前述した、一方・他方第二カム面500a1・500b1による移動体1の一方・他方第一カム面100a1・100b1の押圧所作によって、この移動体1が前進し、かつスプリング700を伸長し、かつケーシング3の部位300aにある束ね体2を、頭髪H1に移す。即ち、頭髪H1は、束ね体2、例えば一例では、ゴムで束ねられる。
【0034】
次に第二実施例を示した
図8~
図10では、操作体5が、スプリング700を兼用する構造であって、このスプリング700を、ケーシング3の持ち手301と移動体1との間に連繋する。従って、スプリング700の押圧操作で、移動体1が前進し、押圧解除で、スプリング700の復帰と、移動体1の復帰ができ、最初の状態に戻る。また、移動体1の前進限で、部位300aからの束ね体2の取り外しが図れる。その他は、前述の第一実施例に準ずる。
【0035】
また、第三実施例を示した
図11では、第二実施例のスプリング700の形態を他の構造としたものであり、第二実施例に準ずるので説明は省略する。尚、スプリング700の関係は第一実施例に準ずる。
【0036】
図12~16等に示した図を参考として、頭髪H1に基づいて、使用の一例を説明すると、冶具8の本体800を保持し、束ね部801を、他の手で保持したケーシング3の孔302の後ろ側開口から差込み(
図12参照)、この束ね部801が所定の位置に至ると、孔302のストッパ部303に、冶具8の被ストッパ部802が接触して停止する。束ね部801は、本体部300の開口部(孔302)の円内に収まる寸法とすることで、後述する、頭髪H1を掬った束ね部801をスムーズに、孔302内に導入できる。そして、この差込み状態では、束ね部801は、(
図13)の前段階である。即ち、束ね部801は、孔302から突出し、最先端に位置することと、差込み終端である。従って、誰でもが、冶具8の最適な差込み状態で、かつ頭髪H1を束ね部801にスムーズに差込み可能となる。例えば、頭髪H1を、束ね部801で束ねた状態であり、(
図13)を参照されたい。
【0037】
そこで、続いて、束ね部801に、頭髪H1を差込み(掬い入れ)得る特徴がある。その後は、頭髪H1を掬った束ね部801が、孔302を通って戻るように、治具8を引くとともに、束ね部801が、本体部300の開口部に引っ掛からないように注意することが必要である。即ち、束ね部801の位置を確認しながら、孔302に引入れることが望ましい。引入れ状態の最終であり、例えば、(
図14)を参照されたい。
【0038】
引入れが終了したら、治具8は頭髪H1から外し、例えば、(
図15)の如く、操作体5を押圧して移動体1を前進させる。すると、掬われた頭髪H1に束ね体2が移動し、かつ頭髪H1の束ねが終了する状態である。
図4参照。
【0039】
また、本発明の髪・毛束ね具は、(
図16)に示した犬を初めとして、ペットの動物に適用することもできる。更に、生物の髪・毛に限らず、任意の細長い物体を複数本束ねる用途に広く適用可能であることは言うまでもない。
【0040】
図示しないが、頭髪H1を、髪・毛束ね具を利用し、簡易、かつスムーズに束ねる動作が行える。
【符号の説明】
【0041】
1 移動体
1a 先端
1b 後端
100 部位
100a1 一方第一カム面
100b1 他方第一カム面
2 束ね体
3 ケーシング
300 本体部
300a 部位
300b 部位
301 持ち手
301a 内端
302 孔
303 ストッパ部
304 ガイド溝
300a1 一方第一カム面
300b1 他方第一カム面
5 操作体
5a 一方操作体
5a1 対峙面
5a2 脚部
5b 他方操作体
5b1 対峙面
5b2 脚部
500a1 一方第二カム面
500a2 一方第二カム面
500b1 他方第二カム面
500b2 他方第二カム面
6 係止手段
7 動作体
700 スプリング
8 冶具
800 本体
801 束ね部
802 被ストッパ部
H1 頭髪