IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大東電機工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-マッサージ機 図1
  • 特許-マッサージ機 図2
  • 特許-マッサージ機 図3
  • 特許-マッサージ機 図4
  • 特許-マッサージ機 図5
  • 特許-マッサージ機 図6
  • 特許-マッサージ機 図7
  • 特許-マッサージ機 図8
  • 特許-マッサージ機 図9
  • 特許-マッサージ機 図10
  • 特許-マッサージ機 図11
  • 特許-マッサージ機 図12
  • 特許-マッサージ機 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A61H7/00 320A
A61H7/00 322A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022196948
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2019072033の分割
【原出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2023017044
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018072461
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三原 輝男
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-180967(JP,A)
【文献】特開2006-304864(JP,A)
【文献】特開2011-103988(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部に対して押圧マッサージを付与するマッサージ部が備えられたマッサージ機構を、左右方向を向く軸心回りに揺動可能に支持する揺動支持部を有するマッサージ機であって、
前記マッサージ機構が搭載される載置基盤体を有し、
前記マッサージ機構は、前記載置基盤体上に駆動部を有し、前記駆動部を左右方向に貫通するように設けられ且つ前記駆動部が発生する駆動回転力を伝達する回転軸を有し、前記回転軸に伝達された駆動回転力を前記回転軸に配設されたマッサージ部材の近接離反動作に変換する変換部を備えており、
前記マッサージ部材を前記回転軸の軸心回りに揺動させることで、当該マッサージ部材を、使用者の足部に対応する前方水平姿勢から使用者のふくらはぎに対応する上方垂直姿勢へと変更可能に構成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
当該マッサージ部材が前方水平姿勢から上方垂直姿勢へと揺動可能なように、前記回転軸の左右方向中途部を支持する揺動支持部と
前記マッサージ部材を前後方向所定のマッサージ位置にて固定する位置決め機構と、を有することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記揺動支持部と前記位置決め機構とを係合させることで、前記マッサージ部材を前後方向における所定位置にて揺動を停止可能とする構成とされていることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記位置決め機構は、前記揺動支持部の左右外側に固定状に設けられた位置決めリング体を有しており、
前記位置決めリング体の外周には、1個以上の位置決め凹部が形成されていると共に、マッサージ部材を覆うケース体の内壁面側には位置決めピンが設けられており、前記位置決めピンが、前記位置決め凹部のいずれかに嵌まり込むことで、マッサージ部材の姿勢が固定されるように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記マッサージ部が、前記施療部に対して挟み込みマッサージを付与する板状部材であることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記マッサージ部が、前記施療部に対して押圧マッサージを付与するエアバッグであることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の施療部に対して押圧マッサージ動作を付与するマッサージ機に関する。特に、ふくらはぎから足部にかけての下肢に対して、押圧マッサージ動作を付与する下肢用のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ふくらはぎから足部にかけてマッサージ行うことができる下肢用マッサージ機としては、例えば、特許文献1に示すものがある。
【0003】
特許文献1の下肢用マッサージ機は、ふくらはぎから足部へとつながる下肢に沿うように、側面視でブーツ形状に形成されているマッサージ部材を備えるマッサージ機構が格納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-103988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すような下肢用マッサージ機は、ふくらはぎから足部へとつながる下肢に対して十分に押圧マッサージ動作を付与することができるものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1の下肢用マッサージ機は、マッサージ部材がブーツ形状に形成されているため、使用者における使用姿勢や施療箇所が限られるものとなるといった問題が指摘されるようになってきている。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、下肢の施療部に対して押圧マッサージを付与するマッサージ部の位置を切り替えることができる構成とすることで、例えば使用者が椅子などに着座した状態や、仰向けに寝た状態など様々な使用状況・使用姿勢であっても、足部やふくらはぎなどいずれかの下肢に対して押圧マッサージを付与することできるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0009】
本発明にかかるマッサージ機は、施療部に対して押圧マッサージを付与するマッサージ部が備えられたマッサージ機構を、左右方向を向く軸心回りに揺動可能に支持する揺動支持部を有するマッサージ機であって、前記マッサージ機構が搭載される載置基盤体を有し、前記マッサージ機構は、前記載置基盤体上に駆動部を有し、前記駆動部を左右方向に貫通するように設けられ且つ前記駆動部が発生する駆動回転力を伝達する回転軸を有し、前記回転軸に伝達された駆動回転力を前記回転軸に配設されたマッサージ部材の近接離反動作に変換する変換部を備えており、前記マッサージ部材を前記回転軸の軸心回りに揺動させることで、当該マッサージ部材を、使用者の足部に対応する前方水平姿勢から使用者のふくらはぎに対応する上方垂直姿勢へと変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、当該マッサージ部材が前方水平姿勢から上方垂直姿勢へと揺動可能なように、前記回転軸の左右方向中途部を支持する揺動支持部と、前記マッサージ部材を前後方向所定のマッサージ位置にて固定する位置決め機構と、を有するとよい。
【0011】
好ましくは、前記揺動支持部と前記位置決め機構とを係合させることで、前記マッサージ部材を前後方向における所定位置にて揺動を停止可能とする構成とされているとよい。
【0012】
好ましくは、前記位置決め機構は、前記揺動支持部の左右外側に固定状に設けられた位置決めリング体を有しており、前記位置決めリング体の外周には、1個以上の位置決め凹部が形成されていると共に、マッサージ部材を覆うケース体の内壁面側には位置決めピンが設けられており、前記位置決めピンが、前記位置決め凹部のいずれかに嵌まり込むことで、マッサージ部材の姿勢が固定されるように構成されているとよい。
【0013】
好ましくは前記マッサージ部が、前記施療部に対して挟み込みマッサージを付与する板状部材であるとよい。
【0014】
好ましくは、前記マッサージ部が、前記施療部に対して押圧マッサージを付与するエアバッグであるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、下肢の施療部に対して押圧マッサージを付与するマッサージ部の位置を切り替えることができる構成とすることで、例えば使用者が椅子などに着座した状態や、仰向けに寝た状態など様々な使用状況であっても、足部やふくらはぎなどいずれかの下肢に対して押圧マッサージを付与することできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態にかかるマッサージ機の構造を示す前方斜視図であり、マッサージ部を略水平方向に向かせた位置(足部に対応する位置、第1の位置)に切り替えた状態を示す図である。
図2】第1実施形態にかかるマッサージ機の構造を示す前方斜視図であり、マッサージ部を鉛直よりやや後方に向かせた位置(ふくらはぎに対応する位置、第4の位置)に切り替えた状態を示す図である。
図3】第1実施形態のマッサージ機構の構造を示す平面図である。
図4】第1実施形態にかかる揺動支持部、位置決め機構の構造を示す拡大図である。
図5】第1実施形態にかかるマッサージ部を略水平方向を向いた位置(足部に対応する位置、第1の位置)に切り替えた状態を示す側面図である。
図6】第1実施形態にかかるマッサージ部を、斜め上方を向いた位置(第2の位置)に切り替えた状態を示す側面図である。
図7】第1実施形態にかかるマッサージ部を、上下方向を向いた位置(第3の位置)に切り替えた状態を示す側面図である。
図8】第1実施形態にかかるマッサージ部を、鉛直よりやや後方を向いた位置(ふくらはぎに対応する位置、第4の位置)に切り替えた状態を示す側面図である。
図9】第1実施形態にかかるケース体の外観を示す前方斜視図であり、揺動部を略水平方向に向かせた位置(第1の位置)に切り替えた状態を示す図である。
図10】第1実施形態にかかるケース体の外観を示す前方斜視図であり、揺動部を鉛直よりやや後方に向かせた位置(第4の位置)に切り替えた状態を示す図である。
図11】第2実施形態にかかるマッサージ機の構造を示す前方斜視図であり、マッサージ部を略水平方向に向かせた位置(足部に対応する位置、第1の位置)に切り替えた状態を示す図である。
図12】第2実施形態にかかるマッサージ機の構造を示す前方斜視図であり、マッサージ部を鉛直よりやや後方に向かせた位置(ふくらはぎに対応する位置、第4の位置)に切り替えた状態を示す図である。
図13】第2実施形態にかかる揺動支持部、位置決め機構の構造を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明にかかるマッサージ機1の第1実施形態を、図を参照して説明する。
【0021】
本実施形態においては、マッサージ機構2を備える下肢用マッサージ機1を例に挙げて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0022】
また、下肢用マッサージ機1の説明における前後、左右、上下等の方向については、図1図10などに示す通りである。これは、図示はしないが、椅子などに着座して、下肢用マッサージ機1に足部F又はふくらはぎCを挿入した使用者、又は、床面に仰向けに寝た状態で、下肢用マッサージ機1にふくらはぎCなどを挿入した使用者から見た方向と一
致する。
【0023】
以降の説明においては、図1図10などにおいて示す方向を、本発明の下肢用マッサージ機1を説明する際の方向とする。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略して描いている。
【0024】
ところで、本実施形態においては、ふくらはぎCから足部Fにかけての部位を下肢Lと呼ぶこととする(図5参照)。
【0025】
また、本明細書においては、人間の下肢Lのうち、膝下であって且つくるぶし(足首)より上の部分を、「ふくらはぎC」と言うものとする。また、くるぶしより下(くるぶしも含むものとする)であって、且つ、かかとから足先までの部分を、「足部F」と言うものとする。
【0026】
以降の説明において、「足部F」を「第1の施療部」と呼び、「ふくらはぎC」を「第2の施療部」と呼ぶこともある。
【0027】
また、図1図5図9に示す位置、すなわち、足部Fに対応するようにマッサージ部5を略水平方向に向かせて切り替えたマッサージ位置を、「第1の位置」とする。
【0028】
図6に示す位置、すなわち、マッサージ部5をやや斜め上方に向かせて切り替えたマッサージ位置を、「第2の位置」とする(使用者が仰向けに寝た状態において、ふくらはぎCに対応可能な位置)。
【0029】
図7に示す位置、すなわち、マッサージ部5を上下方向に向かせて切り替えたマッサージ位置を、「第3の位置」とする(使用者が仰向けに寝た状態において、ふくらはぎCに対応可能な位置)。
【0030】
図2図8図10に示す位置、すなわちふくらはぎCに対応するように、マッサージ部5を鉛直よりやや後方に向かせて切り替えたマッサージ位置を、「第4の位置」とする。
【0031】
図1図10は、本発明にかかる下肢用マッサージ機1の実施形態を示している。
【0032】
本実施形態の下肢用マッサージ機1は、使用者の左右両方の下肢Lをマッサージの対象(施療部)として、下肢Lを構成する足部F又はふくらはぎCのいずれかに対して、挟み込むように揉むマッサージが実施できる構成とされている。
【0033】
また、この下肢用マッサージ機1は、足裏とくるぶしの後側に対して、それぞれ指圧するような押圧マッサージも行える構成となっている。
【0034】
図1図3などに示すように、本実施形態の下肢用マッサージ機1は、マッサージ部材5を用いて使用者の左右両方の足部F(第1の施療部)又はふくらはぎC(第2の施療部)などの下肢Lに対して押圧マッサージ動作を付与するマッサージ機構2と、マッサージ機構2を内蔵するケース体30を有している。
【0035】
ケース体30には、左右一対の施療凹部3が、互いに左右に離れて並設されている。また、施療凹部3は、例えば、図1に示す第1の位置のとき、上方・前方・下方へ向けて開放状に設けられている。
【0036】
また、ケース体30の左右両側には、マッサージ機構2を前後方向に揺動させて、所定の位置に停止させてマッサージ位置を切り替えることができる、把持部33(グリップ)が設けられている(図9図10参照)。なお、このケース体30については、後ほど詳説する。
【0037】
これら左右の施療凹部3に対して、例えば、図1図5図9に示す「第1の位置」のとき、左右の足部Fを嵌め入れることができ、図2図6図8図10に示す「第2~第4の位置」のとき、左右のふくらはぎCの各位置を嵌め入れることができるようになっている。
【0038】
マッサージ機構2は、床面(載置基盤体9)の上方に浮遊状態で位置する基盤体4と、基盤体4上に配備され、施療部(足部FやふくらはぎCなど下肢L)に対して押圧マッサージ動作を付与するマッサージ部5(左右一対のマッサージ部材5)と、基盤体4上に配備され、軸心が左右方向を向き且つマッサージ部材5の基端側を貫通する回転軸6と、基盤体4上に配備され、回転軸6を回転駆動させる駆動部16と、マッサージ部5の基端側に設けられ、回転軸6の回転力を押圧マッサージ動作に変換する変換部20と、を有している。
【0039】
基盤体4の左右両端部には、軸心が左右方向を向く軸支持部7が形成されており、その軸支持部7には軸受(ベアリング)が嵌入されている。軸支持部7は、ベアリングを介して、回転軸6の両端部(揺動軸8)を回転自在に支持している。
【0040】
また、基盤体4は、軸支持部7を介して、揺動支持部10により揺動自在に支持されている。
【0041】
さて、図1図2などに示すように、本発明の下肢用マッサージ機1は、マッサージ機構2を、揺動支持部10により、左右方向を向く軸心回りに揺動可能に支持すると共に、位置決め機構13により、前後方向における所定のマッサージ位置にて固定することができる構成となっている。
【0042】
図4に、揺動支持部10及び位置決め機構13の概要を拡大して示す。
【0043】
図4に示すように、揺動支持部10は、左右方向を向く揺動軸8を介して、マッサージ機構2の左右両側を揺動自在に支持している。
【0044】
本実施形態においては、揺動軸8は、回転軸6と同一軸体からなるものとしている。つまり、回転軸6の両端部が揺動軸8となっている。
【0045】
揺動支持部10は、ケース体30内の床面上に取り付けられている載置基盤体9上の左右両側に立設された支持部材10である。
【0046】
揺動支持部10は、マッサージ機構2から左右方向に延設された回転軸6の両端部(揺動軸8)のそれぞれを、そのマッサージ機構2の左右両側に立設された支持部材10により、左右方向軸心回りに回転自在に支持することにより、マッサージ機構2を揺動自在に支持する。
【0047】
載置基盤体9は、平板状の部材であって、ケース体30内の床面上に載置されている。なお、本実施形態においては、載置基盤体9を広い平板材(図1図3参照)としたが、支持部材10が載置できる程度の広さの板片としてもよい。
【0048】
この載置基盤体9の左右両側には、基盤体4の軸支持部7を介して、マッサージ機構2を下方から支持する支持部材10が、上方に向かって立設されている。
【0049】
支持部材10の上部には、軸心が左右方向を向く支持孔11が形成されていて、その支持孔11には軸受(ベアリング)が嵌入されている。支持部材10は、ベアリングを介して、マッサージ機構2に備えられた回転軸6の両端部(揺動軸8)を回転自在に支持する。
【0050】
また、支持部材10の上下方向中途部、すなわち支持孔11の下方には、軸心が左右方向を向く貫通孔12が形成されていて、その貫通孔12には位置決め機構13の係合部14が挿入されるようになっている。
【0051】
この支持部材10の2点支持により、マッサージ機構2は、ケース体30内において、床面の載置基盤体9から浮いたような状態となっている。
【0052】
なお、揺動軸8は、回転軸6とは別の第2の軸体として設けていても構わない。
【0053】
この場合、第2の軸体である揺動軸8は、軸支持部7(基盤体4)の左右方向外側の壁面から左右方向に延設され、支持部材10により左右方向軸心回りに回転自在に支持されることにより、マッサージ機構2を揺動自在に支持する。このとき、回転軸6は、軸支持部7により左右方向軸心回りに回転自在に支持される。
【0054】
ただし、第2の軸体は、回転軸6と同一軸心上に配備されていてもよいし、軸心が同方向を向くが、回転軸6の軸心と平行に配備されていてもよい。
【0055】
なお、揺動支持部10の構成について、マッサージ機構2を、左右方向を向く軸心回りに揺動可能に支持することができる構成であれば、本実施形態で例示した以外の構成を採用してもよい。
【0056】
位置決め機構13は、マッサージ機構2の少なくとも左右一方側に配備されていて、マッサージ機構2の左右方向の一方側端部と、その一方側の揺動支持部10とを係合させることで、マッサージ機構2を前後方向における所定位置(マッサージ位置)にて揺動を停止可能とする構成とされている。
【0057】
本実施形態においては、位置決め機構13を、マッサージ機構2の左右両側に配備して
いる。
【0058】
図4に示すように、位置決め機構13は、支持部材10に形成されている貫通孔12と、その貫通孔12に挿入される係合部14と、基盤体4の軸支持部7に形成されている係合孔15とからなるものである。
【0059】
この位置決め機構13は、貫通孔12に挿入されている係合部14が軸支持部7の係合孔15に嵌り込むことで、マッサージ機構2の揺動を停止して、前後方向における所定のマッサージ位置に固定するものである。
【0060】
係合部14(係合ピン)は、円柱状のピン部材であって、係合孔15を向く側(先端側)が半球形状の凸部に形成されている。また、係合部14の内部には、図示はしないが、バネが内蔵されている。つまり、係合部14は、半球形状の凸部がバネの反力により、軸心方向に出退可能となっている。
【0061】
係合孔15は、基盤体4の軸支持部7の左右方向外側の壁面に、複数形成されている。この複数の係合孔15は、回転軸6(揺動軸8)の軸心回りに形成されている。
【0062】
なお、本実施形態においては、係合孔15は、4つ形成されていて、それぞれ「第1の位置」~「第4の位置」に切り替えることができるものとなっている。
【0063】
係合孔15は、半球形状の凹部であって、係合部14の凸部と同じ湾曲形状とされている。
【0064】
つまり、係合孔15の凹部と係合部14の凸部が、同じ湾曲形状であり且つ、係合部14内のバネの反力により、係合部14が係合孔15にずれることなく係合されることにより、所定のマッサージ位置に固定することができる。
【0065】
ただし、使用者がマッサージ機構2に対して、回転軸6(揺動軸8)の軸心回りに一定の力を加えると、係合部14は凸部が係合孔15の凹部から退くことで解除され、別の係合孔15に切り替わることができるようになり、別のマッサージ位置に固定することができる。
【0066】
なお、位置決め機構の構成について、マッサージ機構2を前後方向所定のマッサージ位置にて固定し、別のマッサージ位置に切り替えるときには、マッサージ機構の固定を解除できる構成であれば、本実施形態で例示した以外の構成を採用してもよい。
【0067】
マッサージ部材5(マッサージ部5)は、板状の部材であって、施療部(足部FやふくらはぎCなど下肢L)を挟み込むように左右に離間して一対、基盤体4上に配備され、その施療部に対して挟み込み(押圧)マッサージ動作を付与するものである。
【0068】
マッサージ部材5は、図1図5に示す「第1の位置」のとき、第1の施療部(足部F)に対してマッサージ動作を付与する。また、マッサージ部材5は、図2図8に示す「第4の位置」のとき、第2の施療部(ふくらはぎC)に対してマッサージ動作を付与するものとなっている。
【0069】
なお、本実施形態においては、マッサージ部5を、図6に示す「第2の位置(斜め上方を向いた位置)」や、図7に示す「第3の位置(上下方向を向いた位置)」に切り替え可能となっている。
【0070】
すなわち、マッサージ部材5は、足部F(第1の施療部)やふくらはぎC(第2の施療部)などいずれかの下肢Lに対応できるように、「第1の位置(略水平方向の位置)」~「第4の位置(鉛直やや後方の位置)」の複数の段階に切り替え可能となっている。
【0071】
ここで、「第1の位置」~「第4の位置」におけるマッサージ部材5の状態について、図5図8に基づいて説明する。
【0072】
例えば、図5に示す「第1の位置」のとき、マッサージ部材5は、略水平方向で且つ前方向へ突出するように配備される。なお、施療凹部3は、上方・前方・下方が開放された状態となる。
【0073】
このとき、位置決め機構13においては、係合部14の凸部がバネの反力により、第1の孔15a(係合孔15)の凹部に嵌り込んでいるので、ずれることなく係合されている。
【0074】
マッサージ部材5は、「第1の位置」において、施療凹部3内に挿入された足部F(第1の施療部)に対して、外側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与する。
【0075】
詳しくは、図5に示すように、マッサージ部材5は、前端側が足先を側方から覆い、後端側がかかとを側方から覆うものとされ、その足先からかかとまでの足部Fに対して、外側及び内側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与する。
【0076】
ここで、使用者がケース体30の把持部33を掴んで、マッサージ機構2に対して、回転軸6(揺動軸8)の軸心回りに、一定の力で上方に持ち上げると、係合部14は第1の孔15a(係合孔15)から解除され、第2の孔15bに切り替わることができるようになり、「第2の位置」に固定することができる。
【0077】
図6に示す「第2の位置」のとき、マッサージ部材5は、やや上方に持ち上げられた状態となり、斜め前方向へ突出するように配備される。
【0078】
このとき、位置決め機構13においては、係合部14の凸部がバネの反力により、第2の孔15b(係合孔15)の凹部に嵌り込んでいるので、ずれることなく係合されている。
【0079】
マッサージ部材5は、「第2の位置」においては、例えば、施療凹部3内に挿入されたふくらはぎC(第2の施療部)のやや下側(くるぶしより上側)に対して、外側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与することができる。
【0080】
詳しくは、図6に示すように、マッサージ部材5は、くるぶしより上側のふくらはぎCを側方から覆い、そのふくらはぎCに対して、外側及び内側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与する。
【0081】
ここで、使用者がケース体30の把持部33を掴んで、マッサージ機構2に対して、回転軸6(揺動軸8)の軸心回りに、一定の力でさらに上方に持ち上げると、係合部14は第2の孔15b(係合孔15)から解除され、第3の孔15cに切り替わることができるようになり、「第3の位置」に固定することができる。
【0082】
図7に示す「第3の位置」のとき、マッサージ部材5は、さらに上方に持ち上げられた状態となり、前斜め上方向へ立ち上がるように配備される。
【0083】
このとき、位置決め機構13においては、係合部14の凸部がバネの反力により、第3の孔15c(係合孔15)の凹部に嵌り込んでいるので、ずれることなく係合されている。
【0084】
マッサージ部材5は、「第3の位置」においては、例えば、施療凹部3内に挿入されたふくらはぎC(第2の施療部)の長手方向中途部に対して、外側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与することができる。
【0085】
詳しくは、図7に示すように、マッサージ部材5は、ふくらはぎC長手方向中途部を側方から覆い、そのふくらはぎCに対して、外側及び内側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与する。
【0086】
ここで、使用者がケース体30の把持部33を掴んで、マッサージ機構2に対して、回転軸6(揺動軸8)の軸心回りに、一定の力で後方に押し込むと、係合部14は第3の孔15c(係合孔15)から解除され、第4の孔15dに切り替わることができるようになり、「第4の位置」に固定することができる。
【0087】
図8に示す「第4の位置」のとき、マッサージ部材5は、後方に押し込まれた状態となり、後斜め上方向へ立ち上がるように配備される。なお、施療凹部3は、上方・前方・後方が開放された状態となる。
【0088】
このとき、位置決め機構13においては、係合部14の凸部がバネの反力により、第4の孔15d(係合孔15)の凹部に嵌り込んでいるので、ずれることなく係合されている。
【0089】
マッサージ部材5は、「第4の位置」において、施療凹部3内に挿入されたふくらはぎC(第2の施療部)に対して、外側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与する。
【0090】
詳しくは、図8に示すように、マッサージ部材5は、上端側がふくらはぎCの上部を側方から覆い、後端側がふくらはぎC(第2の施療部)の下部(くるぶしより上側)を側方から覆うものとされ、そのふくらはぎC全体に対して、外側及び内側から押すように挟み込む、押圧マッサージ動作を付与する。
【0091】
上で述べた手順を逆に行えば、再び「第1の位置」~「第3の位置」などに切り替える(戻す)ことができる。
【0092】
なお、本実施形態の「第1の位置」~「第4の位置」については一例であり、例示したマッサージ機構2の角度に限定されない。
【0093】
ここで、ケース体30について、図9図10を参照しながら説明する。
【0094】
図9図10に示すように、ケース体30は、平板状のベース部31と、ベース部31に対して前後方向に揺動する揺動部32とを有している。
【0095】
ベース部31は、載置基盤体9、揺動支持部10、位置決め機構13などを収容する。なお、ベース部31を、載置基盤体9としてもよい。
【0096】
揺動部32は、マッサージ機構2(マッサージ部5)、駆動部16、変換部20などを収容し、マッサージ機構2と共に前後方向に揺動する。この揺動部32には、使用者の施療部を挿入することが可能な施療凹部3が左右一対設けられている。
【0097】
施療凹部3は、内張材などにより覆われており、その内部に一対のマッサージ部材5が収容されている。施療凹部3は、例えば「第1の位置」の場合、上方・前方・下方が開放された状態となるように形成されている。つまり、施療凹部3は、平面視で、U字状に形成されている。
【0098】
揺動部32は、先端が開放状とされたU字状の施療凹部3が互いに左右に離れて並設され、その施療凹部3の内部に一対のマッサージ部材5が収容されている。また、揺動部32の基端側には、駆動部16、変換部20などが収容されている。
【0099】
また、揺動部32の左右両側には、使用者が把持可能な把持部33(グリップ)が設けられている。
【0100】
把持部33は、マッサージ部材5の先端側であって、施療凹部3の左右方向外側にそれぞれ設けられている。把持部33は、揺動部32から左右方向外側に向かって庇状に突出した形状の部材である。言い換えれば、把持部33は、揺動部32内側に窪んだ形状ともいえる。
【0101】
把持部33は、使用者が掴むことができる形状に形成されている。本実施形態においては、把持部33は、庇状の下側に使用者の指先を入れることができるようになっている。
【0102】
具体的には、把持部33は、例えば、図9に示す「第1の位置」の場合、庇状の下側に人差し指・中指などを入れて引っ掛け、庇状の上側に親指で揺動部32を押さえることができるものとなっている。
【0103】
図9に示す「第1の位置」のとき、使用者は、把持部33に指先を入れて掴み、その掴んだ状態で、揺動部32を上方に引き上げて揺動させることで、マッサージ機構2(マッサージ部材5)を「第2の位置」~「第4の位置」のいずれかのマッサージ位置に停止させて切り替えることができる。
【0104】
次に、マッサージ機構2の構成の概略について、説明する。
【0105】
なお、以降に説明するマッサージ機構2の基本的な装置構成については、例えば、特開2011-103988号公報に記載の構成などとほぼ同じである。
【0106】
回転軸6は、軸心が水平方向を向くように配備され且つ、マッサージ部材5の基端側(変換部20)を左右方向に亘って貫通し、一対の支持部材10により支持されている。
【0107】
駆動部16は、回転軸6を回転駆動させて、変換部20で回転軸6の回転力を押圧マッサージ動作に変換し、マッサージ部材5(マッサージ部5)を動作させることで、マッサージ機構2を動作させる。
【0108】
図1図3などに示すように、駆動部16は、回転駆動力を発生する駆動モータ17と、回転駆動力を所定の速度に減速して、回転軸6に伝達するギアボックス19と、を有している。この駆動部16は、基盤体4の左右方向略中央において支持されている。
【0109】
駆動モータ17は、基盤体4の左右方向中途部で且つ、右側に配備された一対のマッサージ部材5と左側に配備された一対のマッサージ部材5との間に配備されている。駆動モータ17の回転駆動軸18は、例えば「第1の位置」においては上方向に突出し、「第4の位置」においては後方向に突出するように配備される。
【0110】
駆動モータ17の下方には、ギアボックス19が配備されている。このギアボックス1
9には、回転軸6が左右方向に貫通して備えられ、その回転軸6に交差するように回転駆動軸18が挿入されている。ギアボックス19は、回転駆動軸18から出力された回転駆動力を所定の速度に減速し、回転軸6に伝達する。
【0111】
変換部20は、回転軸6の回転力を、マッサージ部材5の押圧マッサージ動作(近接離反動作)に変換するものである。変換部20は、一対のマッサージ部材5の基端側にそれぞれ設けられているものであって、その基端側を貫通する回転軸6に回転自在に取り付けられている。
【0112】
変換部20は、回転軸6と一体回転する傾斜ボス部21と、マッサージ部材5の基端側に設けられ、傾斜ボス部21に外嵌する環状嵌合部22と、マッサージ部材5が回転軸6との同伴回転することを規制する規制部23と、を有している。
【0113】
傾斜ボス部21は、内側を回転軸6が貫通し、外周面に回転軸6に対して傾斜状のカム面を有している。傾斜ボス部21は、回転軸6の軸心に対して傾斜回転する。また、傾斜ボス部21(カム面)の傾きは、左右一対のマッサージ部材5間において、相対逆向きに、互いに傾斜している(図3参照)。
【0114】
環状嵌合部22は、マッサージ部材5の基端側に形成されていて、傾斜ボス部21を相対回転自在な状態で外嵌する。マッサージ部材5は、環状嵌合部22が外嵌する傾斜ボス部21の傾斜回転により、揺動運動をする。
【0115】
図1図2などに示すように、規制部23は、環状嵌合部22の基盤体4側に配備されていて、その環状嵌合部22が傾斜ボス部21に対して供回りすることを規制する。
【0116】
規制部23は、環状嵌合部22に設けられた規制ピン24と、基盤体4に設けられ、規制ピン24が摺動自在に嵌り込む規制溝25と、を有している。
【0117】
規制ピン24は、環状嵌合部22から、マッサージ部材5と反対側の方向に突設されている。この規制ピン24と対面する基盤体4には、左右方向に長い規制溝25が設けられている。規制溝25には、規制ピン24が摺動自在に挿入され、規制ピン24が略水平方向で左右に揺動する。
【0118】
以上の構成により、例えば「第1の位置」の場合、変換部20は、回転軸6の回転駆動力により、一対のマッサージ部材5を互いに近接離反させる動作に変換して、挟み込む動作を繰り返し行うことにより、施療部(例えば、足部Fなど)に対して押圧マッサージを付与する。
【0119】
また、「第4の位置」の場合、変換部20は、回転軸6の回転駆動力により、一対のマッサージ部材5を互いに近接離反させる動作に変換して、倒れ込む動作を繰り返し行うことにより、施療部(例えば、ふくらはぎCなど)に対して押圧マッサージを付与する。
【0120】
なお、回転軸6には、くるぶしの後側に対して、マッサージ動作を付与する回転マッサージ部材26が設けられている(図1図3など参照)。
【0121】
回転マッサージ部材26は、左右一対のマッサージ部材5の間の回転軸6であって、左右のくるぶしに対応する位置に、それぞれ取り付けられている。
【0122】
回転マッサージ部材26は、回転軸6を外嵌する円筒部材であって、その外周面にくるぶしを押し込む突起27が設けられている。ただし、回転マッサージ部材26の形状(突起27の個数や配備位置等)などの構成については、本実施形態に限定しない。回転マッサージ部材26は、回転軸6と供回りするので、突起27が一定の間隔でくるぶしを押し込むマッサージを付与する。
【0123】
また、載置基盤体9上には、土踏まずなどの足裏に対して、指圧するようなマッサージ動作を付与する突出マッサージ部材28が設けられている(図2など参照)。
【0124】
この突出マッサージ部材28は、載置基盤体9上から上方に突設された部材であり、施療凹部3に挿入された足部Fを下方から支えることができるものである。突出マッサージ部材28の先端には、足裏に対して、例えば親指などで強く押し込むようなマッサージ動作を付与する施療子29が設けられている。
【0125】
本実施形態においては、突出マッサージ部材28は、足先の裏に対応する位置に複数設けられていて、土踏まずに対応する位置に複数設けられている。ただし、突出マッサージ部材28の形状(施療子29の個数や配備位置等)などの構成については、本実施形態に
限定しない。
【0126】
以上、本発明の説明で述べたように、マッサージ機構2を揺動支持部10により、左右方向を向く軸心回りに揺動可能に支持し、そのマッサージ機構2を位置決め機構13により、前後方向の所定のマッサージ位置(「第1の位置」~「第4の位置」)のうち、いずれかの位置に切り替えて固定する構成、すなわちマッサージ部5の位置を可変とする構成とすることで、例えば使用者が椅子などに着座した状態や、仰向けに寝た状態など様々な使用状況であっても、足部FやふくらはぎCなどいずれかの下肢Lに対して押圧マッサージを付与することできるようになる。
【0127】
また、ケース体30の揺動部32に、使用者が掴むことができる把持部33を設けておくことで、容易にマッサージ位置を切り替えることが可能となる。
【0128】
すなわち、以上述べた構成とすることで、本体部をシンプルで且つ、コンパクト(軽量)とすることができ、取り扱いが簡便になり、収納時の高さが制限されるなどという問題を回避することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明にかかるマッサージ機の第2実施形態を、図を参照して説明する。
【0129】
第2実施形態のマッサージ機1の説明にあたっては、第1実施形態のマッサージ機1との相違点に着目して説明を行う。そのため、第1実施形態のマッサージ機1と略同じ構成、作動態様を行うところに関しては、説明を省略することもある。
【0130】
まず、第2実施形態のマッサージ機1が第1実施形態のマッサージ機1と大きく異なる点は、第1実施形態のマッサージ機1が、「床面の上方に浮遊状態で位置する基盤体4を有していて、この基盤体4上に軸心が左右方向を向くように回転軸6が配備され、この回転軸6に施療部を挟み込む左右一対のマッサージ部材5,5が配設されている構成を有する」のに対して、第2実施形態のマッサージ機が「床面の上方に浮遊状態で位置する基盤体4」を備えていない点にある。
【0131】
しかしながら、第1実施形態とは異なる構成の位置決め機構13などを備えることにより、回転軸がその軸心回りに略90°揺動することで、左右一対のマッサージ部材5,5が、水平を向く位置(足部に対応する位置、第1の位置)から、略垂直を向く位置(ふくらはぎに対応する位置、第4の位置)まで変更可能となっている。
【0132】
以下、第2実施形態のマッサージ機1の構成について、具体的に説明する。第2実施形態の説明においても、前後、左右、上下等の方向については、第1実施形態と同様とする。
【0133】
図11図13は、第2実施形態にかかる下肢用マッサージ機1(単にマッサージ機1と呼ぶこともある)の実施形態を示している。
【0134】
図11図12などに示すように、本実施形態の下肢用マッサージ機1は、マッサージ部材5を用いて使用者の左右両方の足部F(第1の施療部)又はふくらはぎC(第2の施療部)などの下肢Lに対して押圧マッサージ動作を付与するマッサージ機構2と、マッサージ機構2を内蔵するケース体30(図では省略している)を有している。
【0135】
ケース体30に内蔵されるマッサージ機構2は、回転駆動力を伝達する回転軸6を有する。
【0136】
回転軸6は、軸心が水平方向を向くように配備され、中央部に配備された駆動部16の左右両側に隣接して設けられた左右一対の支持部材10(ベアリング)により回転自在に支承されている。
【0137】
駆動部16は、回転軸6を回転駆動させて、変換部20で回転軸6の回転力を押圧マッサージ動作に変換し、マッサージ部材5,5を動作させることで、マッサージ機構2を動作させる。
【0138】
載置基盤体9上に設けられた左右一対の支持部材10(ベアリング)により回転軸6がその軸心回りに揺動自在となることで、マッサージ部材5が前方水平を向く姿勢(第1位置)から垂直上方を向く姿勢(第4位置)まで、移動可能となる。つまり、載置基盤体9上に設けられた左右一対の支持部材10(ベアリング)と回転軸6とで、揺動支持部10が構成されることとなる。
【0139】
図11図12などに示すように、駆動部16は、回転駆動力を発生する駆動モータ17と、回転駆動力を所定の速度に減速して、回転軸6に伝達するギアボックス19と、を有している。この駆動部16は、基盤体4の左右方向略中央において支持されている。
【0140】
駆動モータ17は、載置基盤体9の上面の左右方向の中央に直接設置されている。駆動モータ17の下方には、ギアボックス19が配備されている。このギアボックス19には、回転軸6が左右方向に貫通して備えられ、その回転軸6に交差するように回転駆動軸18が挿入されている。ギアボックス19は、回転駆動軸18から出力された回転駆動力を所定の速度に減速し、回転軸6に伝達する。
【0141】
このギヤボックスの部分に支持部材10が配備され、回転軸6を中央で回転自在に支持することになっている。
【0142】
第2実施形態の変換部20は、第1実施形態のものと略同じ構成であり、回転軸6の回転力を、マッサージ部材5の押圧マッサージ動作(近接離反動作)に変換するものである。変換部20は、回転軸6と一体回転する傾斜ボス部21と、マッサージ部材5の基端側に設けられ、傾斜ボス部21に外嵌する環状嵌合部22と、マッサージ部材5が回転軸6との同伴回転することを規制する規制部23と、を有している。
【0143】
図11図12などに示すように、規制部23は、環状嵌合部22のケース体30側に配備されていて、その環状嵌合部22が傾斜ボス部21に対して供回りすることを規制する。
【0144】
規制部23は、環状嵌合部22に設けられた規制ピン24と、ケース体30の内壁面に設けられ、規制ピン24が摺動自在に嵌り込む規制溝25と、を有している。
【0145】
以上の構成により、例えば「第1の位置」の場合、変換部20は、回転軸6の回転駆動力により、一対のマッサージ部材5を互いに近接離反させる動作に変換して、挟み込む動作を繰り返し行うことにより、施療部(例えば、足部Fなど)に対して押圧マッサージを付与する。
【0146】
また、「第4の位置」の場合、変換部20は、回転軸6の回転駆動力により、一対のマッサージ部材5を互いに近接離反させる動作に変換して、倒れ込む動作を繰り返し行うことにより、施療部(例えば、ふくらはぎCなど)に対して押圧マッサージを付与する。
【0147】
第1実施形態と同様に、第2実施形態の回転マッサージ部材26は、左右一対のマッサージ部材5の間の回転軸6であって、左右のくるぶしに対応する位置に、それぞれ取り付けられている。加えて、載置基盤体9上には、土踏まずなどの足裏に対して、指圧するようなマッサージ動作を付与する突出マッサージ部材28も設けられている。
【0148】
さて、図11図12などに示すように、本発明の下肢用マッサージ機1は、マッサージ機構2を、揺動支持部10により、左右方向を向く軸心回りに揺動可能に支持されるものとなっている。併せて、第2実施形態の位置決め機構13により、前後方向における所定のマッサージ位置にて固定することができる構成となっている。
【0149】
図13に、揺動支持部10及び位置決め機構13の概要を拡大して示す。
【0150】
図13に示すように、揺動支持部10は、載置基盤体9上に設けられた左右一対の支持部材10(ベアリング)と、それに回転自在に支持される回転軸6とで構成されているため、回転軸が略90°回転することで、左右一対のマッサージ部材5,5が、水平を向く位置(足部に対応する位置、第1の位置)から、略垂直を向く位置(ふくらはぎに対応する位置、第4の位置)まで変更可能となっている。
【0151】
支持部材10のそれぞれ外側には、位置決め機構13が設けられている。具体的には、位置決め機構13は、支持部材10のそれぞれ外側に、載置基盤体9に対して固定状に設けられた位置決めリング体40を有している。位置決めリング体40の外周には複数の凹部(位置決め凹部41)が形成されている。第2実施形態では、前方を向く位置Aと下方を向く位置C、それらの略中間で斜め前を向く位置Bの3箇所に、位置決め凹部41A,41B,41Cが形成されている。
【0152】
一方で、マッサージ部材を覆うケース体30の内壁面側には位置決めピン42が設けられており、この位置決めピン42が、前述した位置決め凹部41A,41B,41Cのいずれかに嵌まり込むことで、左右一対のマッサージ部材が第4の位置、第2の位置、第1
の位置(本実施形態では、第3の位置はない)へと姿勢変更が可能となる。位置決めピン42は図示しない付勢部材により伸長方向に付勢されているため、位置決めピン42が位置決め凹部41A,41B,41Cに確実に嵌まり込むようになり、使用者は、マッサージ部材を第4の位置から第1の位置へと必要に応じて切り替えることができる。すなわち、使用者がマッサージ機構2に対して、回転軸6の軸心回りに一定の力を加えると位置決めピン42の先端部が位置決めピン42が位置決め凹部41(例えばA)から退くことで解除され、他の位置決め凹部41(例えばBやC)に切り替わることで、マッサージ部材を別のマッサージ位置に固定することができる。
【0153】
すなわち、第2実施形態のマッサージ機1においても、マッサージ部材5は、足部F(第1の施療部)やふくらはぎC(第2の施療部)などいずれかの下肢Lに対応できるように、「第1の位置(略水平方向の位置)」~「第4の位置(鉛直やや後方の位置)」の複数の段階に切り替え可能となっている(図5図8に対応する位置)。
【0154】
以上、第2実施形態のマッサージ機1においても、下肢の施療部に対して押圧マッサージを付与するマッサージ部の位置を切り替えることができる構成とすることで、例えば使用者が椅子などに着座した状態や、仰向けに寝た状態など様々な使用状況であっても、足部やふくらはぎなどいずれかの下肢に対して押圧マッサージを付与することできるようになる。
【0155】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
【0156】
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0157】
例えば、マッサージ部5が、施療部に対して押圧マッサージを付与するエアバッグ部材を有する構成であってもよい。また、マッサージ部5が板状の場合、施療部側に突起を一又は複数設けていてもよい。本発明のマッサージ機1は、施療部として例示した下肢Lの他に、例えば、上肢(前腕など)に対して使用することも可能となっている。マッサージ機構2を、マッサージ機1に組み込まれたプログラムにより、所定の角度に調整するようにしていてもよい。
【0158】
また、前述したが、位置決め機構の構成について、マッサージ機構2を前後方向所定のマッサージ位置にて固定し、別のマッサージ位置に切り替えるときには、マッサージ機構の固定を解除できる構成であれば、本実施形態で例示した以外の構成を採用してもよい。例えば、噛合ギアを用いて位置決め機構を構成してもよく、滑り止め板同士を面接させ、両者を押し付けるようにすることで、マッサージ位置を所定の位置で固定するような構成とすることも可能である。
【0159】
また、マッサージ部5に関し、本実施形態で例示したように、左右両側のマッサージ部材5が押圧マッサージ動作を付与する構造としてもよいし、左右一対のうち、どちらか一方のマッサージ部材5(片側だけ)が押圧マッサージ動作を付与する構造としても構わない。
【0160】
また、マッサージ部材5の表面(使用者の施療部に対応する面)には、ゴムやウレタンを配設してもよいし、エアバッグを配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0161】
1 下肢用マッサージ機
2 マッサージ機構
3 施療凹部
4 基盤体
5 マッサージ部材(マッサージ部)
6 回転軸
7 軸支持部
8 揺動軸
9 載置基盤体
10 揺動支持部(支持部材)
11 支持孔
12 貫通孔
13 位置決め機構
14 係合部(係合ピン)
15 係合孔
15a 第1の孔
15b 第2の孔
15c 第3の孔
15d 第4の孔
16 駆動部
17 駆動モータ
18 回転駆動軸
19 ギアボックス
20 変換部
21 傾斜ボス部
22 環状嵌合部
23 規制部
24 規制ピン
25 規制溝
26 回転マッサージ部材
27 突起
28 突出マッサージ部材
29 施療子
30 ケース体
31 ベース部
32 揺動部
33 把持部(グリップ)
40 位置決めリング体
41A~41C 位置決め凹部
42 位置決めピン
F 足部(第1の施療部)
C ふくらはぎ(第2の施療部)
L 下肢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13