(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】光学アプリケータ特徴オプティマイザ
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
(21)【出願番号】P 2022558081
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 US2021023176
(87)【国際公開番号】W WO2021194877
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522375637
【氏名又は名称】ルメダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドウガル,トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イー
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0153825(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0037002(US,A1)
【文献】特表2007-506485(JP,A)
【文献】特表2016-518197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータプロセッサで実行される光学光送達システムを制御するための方法であって、前記方法が、
複数の発光デバイスの複数の状態の各々について複数の照射プロファイルアレイを生成することと、
前記複数の照射プロファイルアレイの各々を複数の画素に細分化することであって、各画素が、前記複数の照射プロファイルアレイの各々の一部分を含む、細分化することと、
前記画素の各々に対して特定の強度レベルを決定すること、
前記特定の強度レベルに従って前記画素の各々に値を割り当てることと、
前記複数の発光デバイスの前記複数の状態を表す
データを含む複数のベースケースを生成することを含み、
前記複数の状態が、前記発光デバイスのデバイスのオフ状態、オン状態、強度レベル、及び波長のうちのいずれかである、請求項1に記載の方法。と、を含む、方法。
【請求項2】
複数の訓練ケースを生成することを更に含み、少なくとも1つの訓練ケースが、少なくとも1つのベースケースに対して少なくとも1つの動作を実行することによって生成され、前記少なくとも1つの動作が、
前記ベースケースに半ランダムアレイモディファイアを実行すること、
前記ベースケースに幾何学的摂動を実行すること、
前記ベースケースのグレースケール値を正規化すること、
前記ベースケースにジッタを導入すること、
ニューラルネットワークモデルを作成すること、
少なくとも前記複数のベースケース及び前記複数の訓練ケースを使用して前記ニューラルネットワークモデルを訓練すること、
訓練されたニューラルネットワークを生成すること、
臓器を表す組織画像データを受信すること、
前記組織画像データから関心領域を識別すること、
前記関心領域を複数の組織画像画素に細分化することであって、各組織画像画素が、前記臓器のそれぞれの部分を表す前記関心領域の一部分を含む、細分化すること、
前記複数の組織画像画素を前記訓練されたニューラルネットワークに入力すること、複数の最適化された特徴状態を決定すること、及び
前記複数の最適化された特徴状態を出力することからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の最適化された特徴状態を使用して前記複数の発光デバイスを制御することと、
前記関心領域の少なくとも一部分に厳密に一致する治療照射プロファイルを生成することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記関心領域の少なくとも一部分に近接して前記複数の発光デバイスを位置付けることと、
前記治療照射プロファイルを前記関心領域に送達することと、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記治療照射プロファイルが、設定された期間、前記関心領域に送達される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記関心領域が、腫瘍を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
光学光送達システムであって、
光源、コンピュータプロセッサ、及び光デバイスコントローラを有する光電子機器と、
前記光電子機器と光通信している複数の発光デバイスであって、前記発光デバイスの各々が複数の状態を有する、複数の発光デバイスと、
前記複数の状態の各々について複数の照射プロファイルアレイを生成するように適合されている前記光電子機器と、
前記複数の発光デバイスの前記複数の状態を表す
データである、複数のベースケース
のデータであって、
前記複数の状態が、オフ状態、オン状態、強度レベル、及び波長のうちのいずれかであることを特徴とするベースケースと、
を備える、光学光送達システム。
【請求項8】
少なくとも前記複数のベースケースを使用して訓練されたニューラルネットワークを含む前記コンピュータプロセッサと、
複数の組織画像画素を出力するように適合された組織画像パターン認識器と、
前記複数の組織画像画素を使用して複数の最適化された特徴状態を生成するように適合された、前記ニューラルネットワークと、を更に備える、請求項7に記載の光学光送達システム。
【請求項9】
前記複数の最適化された特徴状態を使用して治療照射プロファイルを生成するように前記複数の発光デバイスを制御するように適合された前記光デバイスコントローラを更に備える、請求項8に記載の光学光送達システム。
【請求項10】
光フラップを更に備え、前記複数の発光デバイスが、前記光フラップ内に少なくとも部分的に配置されている、請求項9に記載の光学光送達システム。
【請求項11】
前記光フラップが、患者の関心領域に適用され、前記治療照射プロファイルを前記関心領域の少なくとも一部分に送達するように適合されており、前記治療照射プロファイルが、設定された期間、送達される、請求項10に記載の光学光送達システム。
【請求項12】
前記複数の発光デバイスが、円筒形光拡散器を含む、請求項7に記載の光学光送達システム。
【請求項13】
前記複数の状態が、オフ状態、オン状態、強度レベル、及び波長のうちのいずれかである、請求項7に記載の光学光送達システム。
【請求項14】
前記複数の発光デバイスと前記光電子機器との間に位置付けられた光ファイバテザーを更に備える、請求項7に記載の光学光送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年3月25日の出願日を有する米国仮特許出願第62/994,404号の利益を主張する。上記出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[本発明の分野]
本開示は、非電離光力学的療法に関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の説明]
光療法は、複数の方法で病態の治療に使用され得る。例えば、いくつかの光療法は、標的腫瘍の近位又は標的腫瘍内に配置された光ファイバデバイスを介した治療用光の送達を伴う。
【0004】
いくつかの従来技術の光療法は、治療用光を吸収し、周囲の組織成分(例えば、酸素)と相互作用して、標的組織を破壊することができる反応性種を生成する光感受性医薬(すなわち、光増感剤)の先行投与と組み合わせることができる。この形態の療法は、光力学的療法(PDT)として知られている。PDTは、光(レーザーによって提供される光など)を使用して、光増感剤と呼ばれる非毒性薬物を活性化する。このプロセスは3つの方法で機能する。すなわち、がんを破壊し、腫瘍に「栄養を与える」血管を遮断し、免疫系に全身のがん細胞を殺すよう促す。軽度の副作用を伴うため、標準的な化学療法及び手術を組み合わせて、その後に放射線療法を行うことができる。
【0005】
加えて、又は代替的に、光のエネルギーは、光エネルギーを熱に変換する血液又は外部添加剤(金属粒子など)によって吸収されて、標的腫瘍組織の完全な破壊を誘発することができる。
【0006】
PDTか否かに関わらず、全ての光療法において、治療を成功させるために、腫瘍全体に十分な用量の光を照射することが重要であり得る。腫瘍又は組織に光が送達される場所及び量を知ることが困難であることは、従来技術の欠陥である。
【0007】
更に、PDTの有効性は、光力学的増感剤の利用可能性及び放射線曝露によって部分的に決定される。フォトフリン及び他の光力学的増感剤は、光退色と呼ばれるプロセスである光への曝露によって劣化する可能性があり、これは、光増感剤の特徴的な蛍光の損失によって測定することができる。加えて、光退色は、送達される光力学的用量の予測を提供することが示されている。しかしながら、光増感剤の蛍光の定量的測定は、PDT中の組織光学特性の変化によって複雑になり得る。
【0008】
従来技術の光力学的な光療法送達システム及び方法の例は、米国特許出願第2018/0207442号に開示されており、これは、組織の治療のために使用される。遠位端に取り付けられた拡散器を有する複数の光送達カテーテル(light-transmitting catheter、LTC)が提供され、所定の治療計画に従って組織内に配置され、LTCは、それを通って配置された第1の治療ファイバを含み、LTCは、それを通って配置された線量測定ファイバを含む。ある用量の光は、所定の治療計画に従って、第1の治療ファイバを介して光拡散器を介して組織に提供される。拡散器は標的組織の近くに手動で位置付けられ、光は線量測定ファイバを使用して監視される。線量測定ファイバで受け取った光は、線量測定ファイバと動作可能に連通する光検出器を使用して測定される。組織中の光増感剤の1つ以上の特性が決定される。治療計画は、光増感剤の特性に基づいて修正され、更新された用量の光は、修正された治療計画に従って、第1の治療ファイバによって組織に提供される。
【0009】
従来技術の光療法の別の例は、米国特許出願第2018/0207441号に見出すことができ、そこでは、遠位端から光を放出する光ファイバを有する可撓性ガイド(フラップ)と、光用量の治療領域への送達を制御する走査方法とを使用するシステム及び方法が開示されている。このアプローチは、標的領域に準拠したフラップを用いて、信頼性の低い光用量の送達を克服する。線量測定制御は、コンピュータ制御モータを使用して、標的組織上で既知の速度で球体内でレーザファイバを直線的に移動させることによって向上させることができる。球体は、光ファイバの遠位端を組織から既知の距離に位置付ける。いくつかの実施形態では、治療時間が短縮され、複数のファイバを使用して光を同時に送達することによって、大きな表面の照明が達成される。
【0010】
従来技術の例は、腫瘍の表面全体に既知の量の光投与を高速かつ効率的な方法で提供する能力を欠いている。少なくとも本明細書において前述した理由のために、既知の問題を軽減する光療法デバイス及び方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0011】
1つ以上のコンピュータのシステムは、動作中にシステムにアクションを実行させる、システム上にインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって、特定の動作又はアクションを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されたときに、装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作又はアクションを実行するように構成され得る。一般的な一態様は、光学光送達システムを制御するための方法を含む。方法はまた、発光デバイスの各々が複数の状態を有する複数の発光デバイスを提供することと、複数の発光デバイスの複数の状態の各々について複数の照射プロファイルアレイを生成することと、複数の照射プロファイルアレイの各々を複数の画素に細分化することであって、各画素が、複数の照射プロファイルアレイの各々の一部分を含み得る、細分化することと、画素の各々について特定の強度レベルを決定することと、を含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び、それぞれが方法のアクションを実行するように構成された、1つ以上のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0012】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。方法は、特定の強度レベルに従って画素の各々に値を割り当てることと、複数の発光デバイスの複数の状態を表す複数のベースケースを生成することとを含み得る。少なくとも1つの訓練ケースは、少なくとも1つのベースケースに対して少なくとも1つの動作を実行することによって生成され、群から選択された少なくとも1つの動作は、ベースケースに対して半ランダムアレイモディファイアを実行することと、ベースケースに対して幾何学的摂動を実行することと、ベースケースのグレースケール値を正規化することと、ジッタをベースケースに導入することとを含み得る。方法は、ニューラルネットワークモデルを作成することと、少なくとも複数のベースケース及び複数の訓練ケースを使用してニューラルネットワークモデルを訓練することと、訓練されたニューラルネットワークを生成することとを含み得る。方法は、臓器を表す組織画像データを受信することと、組織画像データから関心領域を識別することと、関心領域を複数の組織画像画素に細分化することであって、各組織画像画素が、臓器のそれぞれの部分を表す関心領域の一部分を含み得る、細分化することと、複数の組織画像画素を訓練されたニューラルネットワークに入力することと、複数の最適化された特徴状態を決定することと、複数の最適化された特徴状態を出力することとを含み得る。方法は、複数の最適化された特徴状態を使用して複数の発光デバイスを制御することと、関心領域の少なくとも一部分と厳密に一致する治療照射プロファイルを生成することとを含み得る。方法は、複数の発光デバイスを、関心領域の少なくとも一部分に近接して位置付けることと、治療照射プロファイルを関心領域に送達することとを含み得る。治療照射プロファイルは、設定された期間、関心領域に送達される。関心領域は、腫瘍を含み得る。複数の状態は、オフ状態、オン状態、強度レベル、及び波長のうちのいずれかである。説明された技術の実装形態は、ハードウェア、方法若しくはプロセス、又はコンピュータアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含み得る。
【0013】
一般的な一態様は、光源、コンピュータプロセッサ、及び光デバイスコントローラを有する光電子機器、並びに光電子機器と光通信する複数の発光デバイスを含む光学光送達システムを含み、発光デバイスの各々が、複数の状態を有し、光電子機器が、複数の状態の各々について複数の照射プロファイルアレイを生成するように適合される。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び、各々が方法のアクションを実行するように構成された、1つ以上のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0014】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。光学光送達システムは、複数の発光デバイスの複数の状態を表す複数のベースケースを含んでもよい。光学光送達システムは、少なくとも複数のベースケースを使用して訓練されたニューラルネットワークを含むコンピュータプロセッサと、複数の組織画像画素を出力するように適合された組織画像パターン認識器とを含み得、ニューラルネットワークは、複数の組織画像画素を使用して複数の最適化された特徴状態を生成するように適合されている。光学光送達システムは、複数の最適化された特徴状態を使用して治療照射プロファイルを生成するように複数の発光デバイスを制御するように適合された光デバイスコントローラを含んでもよい。複数の発光デバイスは、光フラップ内に少なくとも部分的に配置される。光フラップは、患者の関心領域に適用され、関心領域の少なくとも一部分に治療照射プロファイルを送達するように適合される。光学光送達システムは、治療照射プロファイルが、設定された期間、送達されることを含んでもよい。複数の発光デバイスは、円筒形光拡散器を含んでもよい。複数の状態は、オフ状態、オン状態、強度レベル、及び波長のうちのいずれかである。光学光送達システムは、複数の発光デバイスと光電子機器との間に位置付けられた光ファイバテザーを含んでもよい。説明された技術の実装形態は、ハードウェア、方法若しくはプロセス、又はコンピュータアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の上述の特徴が詳細に理解できるように、上記で簡潔にまとめられた本発明のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって行われてもよく、そのうちのいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本発明が他の同様に有効な実施形態を認め得るため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【0016】
【
図1】本開示に従う、光力学的療法デバイスの図である。
【0017】
【
図2】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0018】
【
図3】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0019】
【
図4】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0020】
【
図5】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0021】
【
図6】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0022】
【
図7】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0023】
【
図8】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0024】
【
図9】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0025】
【
図10】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0026】
【
図11】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0027】
【
図12】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0028】
【
図13】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0029】
【
図14】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0030】
【
図15】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0031】
【
図16】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0032】
【
図17】本開示に従う、ベースケース光強度プロファイルのグラフィカル表現である。
【0033】
【
図18】本開示に従う、コンピュータシステムの概略図である。
【0034】
【0035】
【
図20】本開示に従う、光力学的療法デバイスの使用の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施形態の以下の詳細な説明では、添付の図面を参照し、それらは、実施形態の一部を形成し、その中には、本明細書に記載の例を実施し得る特定の実施形態が例示として示されている。他の実施形態が利用され得、構造的変化が本開示の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。
【0037】
図1を参照すると、光フラップ2、光ファイバテザー3、及び光電子機器(OEI)4を含む、本開示のある特定の実施形態に従う、光学アプリケータ特徴オプティマイザ(OAFO)1が示されている。光フラップ2は、フラップ内に位置付けられた光拡散器5、6、7、8などの複数の光送達デバイスを含む。この特定の実施形態では、光拡散器5、6、7、8は、可撓性円筒形光拡散器から構成され、後で本明細書において詳細に説明されるように、光を均等に拡散するために使用される。この実施形態は、4つの光拡散器5、6、7、8を含むが、他の実施形態は、4つよりも多いもの及び4つより少ないものを有することが企図される。光拡散器5、6、7、8は、光を表面全体に均等に広げ、多くの従来技術の照明用途において光拡散器としても知られていることに留意されたい。光拡散器5、6、7、8は、https://www.pioneeroptics.com/Diffusers.htmlに開示されているように、Pioneer Opticsによって提供される円筒形光拡散器などの任意の既知のタイプの光拡散器を含むことができる。光フラップ2は、組織表面に適合する可撓性を有し、かつ光拡散器5、6、7、8から発せられる光を可能にする光透過性の品質を有する適切な材料を含むことができる。光ファイバテザー3は、それを通してルーティングされた複数の光ファイバ9、10、11、12を含み、光拡散器5、6、7、8にそれぞれ光学的に結合し、OEI4と光通信する。OEI4は、ユーザ入力制御、ディスプレイ13を含み、プロセッサと、ソフトウェア記憶能力と、Bluetooth及びWiFiなどの無線通信デバイスとを含む。ソフトウェアは、後で本明細書でより詳細に説明されるように、ニューラルネットワーク能力及びパターン認識能力を含むことができる。
【0038】
OEI4は、少なくとも1つの光源と、複数の光ファイバ9、10、11、12に出力される光の状態を制御するように適合されたコントローラとを更に含み、状態は、とりわけ、少なくとも、光のオン、光のオフ、強度、及び波長を含むことができる。本開示のOAFO1は、光送達デバイスの数及びOEI4が制御することができる状態の数に部分的に応じて、送達された照射プロファイルアレイの正確な制御を提供することができる。例えば、
図1のOAFO1の送達された照射プロファイルアレイの制御は、4つの光拡散器5、6、7、8並びに(1)光のオン及び(2)光のオフの2つの光出力状態を考慮すると、2
4又は16個の異なる照射プロファイルアレイである。16個の異なる照射プロファイルアレイは、本明細書では、ベースケースと呼ばれる。本実施例のベースケースは、
図2~17を参照して最もよく見ることができ、
図2では、フラップ2内の4つの光拡散器5、6、7、8は全てオフ状態であり、表面19に光は投影されず、暗い照射プロファイルアレイ20を生成する。
図3では、光拡散器6、7、8はオフ状態であり、光拡散器5は照射プロファイルアレイ21を生成するオン状態である。
図4では、光拡散器5、7、8はオフ状態であり、光拡散器6は照射プロファイルアレイ22を生成するオン状態である。
図5では、光拡散器7、8はオフ状態であり、光拡散器5、6は照射プロファイルアレイ23を生成するオン状態である。
図6では、光拡散器5、6、8はオフ状態であり、光拡散器7は照射プロファイルアレイ24を生成するオン状態である。
図7では、光拡散器6、8はオフ状態であり、光拡散器5、7は照射プロファイルアレイ25を生成するオン状態である。
図8では、光拡散器5、8はオフ状態であり、光拡散器6、7は照射プロファイルアレイ26を生成するオン状態である。
図9では、光拡散器8はオフ状態であり、光拡散器5、6、7は照射プロファイルアレイ28を生成するオン状態である。
図10では、光拡散器5、6、7はオフ状態であり、光拡散器8は照射プロファイルアレイ28を生成するオン状態である。
図11では、光拡散器6、7はオフ状態であり、光拡散器5、8は照射プロファイルアレイ28を生成するオン状態である。
図12では、光拡散器5、7はオフ状態であり、光拡散器6、8は照射プロファイルアレイ30を生成するオン状態である。
図13では、光拡散器7はオフ状態であり、光拡散器5、6、8は照射プロファイルアレイ31を生成するオン状態である。
図14では、光拡散器5、6はオフ状態であり、光拡散器7、8は照射プロファイルアレイ32を生成するオン状態である。
図15では、光拡散器6はオフ状態であり、光拡散器5、7、8は照射プロファイルアレイ33を生成するオン状態である。
図16では、光拡散器5はオフ状態であり、光拡散器6、7、8は照射プロファイルアレイ34を生成するオン状態である。後に、
図17では、複数の光拡散器5、6、7、8の全ては、照射プロファイルアレイ35を生成するオン状態である。照射プロファイルアレイ20~35は、とりわけ、OEI4の光源、光ファイバ9~12、光拡散器5~8の特定の光学特性、並びに光拡散器及びフラップ2の幾何学的位置及び特性を使用して、コンピュータ駆動のプロファイル計算機を使用して生成することができ、照射プロファイルアレイの各々は、発光デバイス5~8の状態の各々についての光画像データファイルを含む。例えば、OAFO1は、MATLAB(登録商標)を使用してモデル化されて、ベースケースの各々の照射プロファイルアレイの光画像データファイルを生成することができる。
【0039】
上記に開示された例では、照射プロファイルアレイ20~35の光画像データファイルは、画素に細分化されてもよい。例えば、所与の照射プロファイルアレイは、
図2~17を参照して説明されるベースケースの各々の合計10,201画素について、101×101画素のサイズを有する画素のアレイを含むことができる。各画素は、ベースケースの各々についての複数の照射プロファイルアレイの各々のそれぞれの部分を表す光画像データの一部分を含み、各画素は、特定の強度レベルを割り当てられる。本開示によれば、上述のベースケースを使用して、訓練ケースのセットが開発される。いくつかの実施形態では、ベースケースからの照射プロファイルアレイ20~35の光画像データファイルは、MATLAB(登録商標)などのコンピュータモデリングソフトウェアを使用して変更されて、照射プロファイルアレイを表す画像データファイルの訓練セットを生成することができる。訓練ケースは、幾何学的摂動の実行、グレースケール値への正規化、ジッタの導入などの任意の数のアレイモディファイアを使用して変更することができる。特定の実施形態では、半ランダムアレイモディファイアは、複数の訓練ケースを生成するためにベースケースの各々に対して使用され、訓練ケースは、照射プロファイルアレイを表す画像データファイルの数百セット内にあることができる。ベースケース及び訓練ケースは、次いで、訓練セットに組み合わせることができ、機械学習技術を使用してニューラルネットワークを訓練するために使用することができる。ニューラルネットワークの訓練において、以下でより詳細に説明されるように、訓練ケースの各々について結果として生じる照射プロファイルアレイが計算され、結果として、ニューラルネットワークが、所与の入力に対して統計的に適切な回答が何であるかを「学習」するようにニューラルネットワークに提供される。
【0040】
以下に本明細書において詳細に開示されるように、
図1のOAFO1は、訓練されたニューラルネットワークを使用して、I-PDT技術を使用して組織を治療するための組織のデジタル画像に一致する特定の光照射パターンを生成することができる。本明細書で上記した例を使用して、訓練セットのための複数の照射プロファイルアレイは各々、101×101画素のサイズを有する画素のアレイを含む。
図18を参照すると、コンピュータシステム40を使用して、訓練セットの各アレイに関する101×101画素のアレイは、A
1~A
n画素を有する1×10,201入力アレイ(この特定の例では、nは10,201である)に平滑化される。コンピュータシステム40は、任意の既知のコンピュータシステム、コンピュータプロセッサ、様々なタイプのメモリ、及び周辺機器を備えることができる。本明細書で上記したように、画素の各々は、対応する強度値を割り当てられ、A
1~A
n画素の入力アレイは、ニューラルネットワークの入力層内の入力ニューロンB
1~B
n(この特定の例では、nは10,201である)としてコンピュータシステムに入力される。ニューラルネットワークモデルは、コンピュータシステム40上にソフトウェアとして存在することができ、それは、クラウドベースソフトウェアであることができ、又はネットワーク上に存在することができる。次に、入力ニューロンは、ニューロンC
1~C
x(この特定の例では、xは2000である)のうちの少なくとも1つの内層に接続され、入力を提供する。ニューロンC
1~C
xの内層は、共有された重み及びバイアスのセットを使用して、入力ニューロン内の異なる位置で、入力ニューロンの特徴、例えば、強度プロファイルのエッジを検出する。機械学習プロセスは、訓練セットのための複数の照射プロファイルアレイの各々についての出力ニューロンD
1~D
yのセットを含む。本明細書で上記に開示されるように、訓練セットのための複数の照射プロファイルアレイの各々についてのこれらの出力ニューロンD
1~D
yが計算され、モデルを訓練するためのニューラルネットワークに入力される。訓練セットがコンピュータシステム40のニューラルネットワークを介して実行されると、訓練されたニューラルネットワークモデルが構成される。出力ニューロンD
1~D
yの場合、yは16であり、4つの光拡散器5、6、7、8の制御パラメータ(
図1)及び2つの光出力状態を表す。出力ニューロンD
1~D
yは、OEI4の光デバイスコントローラ42への入力として使用され、以下で本明細書においてより完全に説明されるように、所望の治療用照射プロファイルを生成する。
【0041】
訓練ケースの生成に関連する上記の本明細書に開示されるものと同様に、試験ケースのセットは、ベースケースから生成することができる。ベースケースからの照射プロファイルアレイ20~35(
図2~17)の光画像データファイルは、コンピュータモデリングソフトウェアを使用して同様に変更され、照射プロファイルアレイを表す画像データファイルの試験セットを生成する。特定の実施形態では、半ランダムアレイモディファイアは、複数の試験ケースを生成するためにベースケースの各1つに対して使用され、試験ケースは、照射プロファイルアレイを表す数10セットの画像データファイル内にあることができる。試験ケースは、照射プロファイルアレイの試験セットを形成し、試験セットは、コンピュータシステム40への入力として使用される。訓練されたニューラルネットワークモデルは、照射プロファイルアレイの試験セットを使用して、最適化された試験出力ニューロンD
1~D
yのセットを生成する。最適化された試験出力ニューロンD
1~D
yのセットは、
図2~17の16個のベースケースから統計的に選択された発光デバイス5~8の各々に対して最適化された特徴状態のセットを含む。ここでの例では、4つの発光デバイス5~8のそれぞれについて、状態がオン又はオフのいずれかである。試験出力ニューロンのための最適化された特徴状態は、訓練出力ニューロンのための計算された状態の特徴状態と比較される。2つのセットが緊密に一致する場合、訓練されたニューラルネットワークへの画像データの入力は、後で本明細書で説明されるように、所望の光強度プロファイルを生成するための正確な出力ファイルを生成する。本開示の一部として、訓練されたニューラルネットワークモデルは、OEI4上でホストされるか、又はさもなければOEI4によってアクセスされる(
図1)。
【0042】
図19を参照すると、腫瘍52を含む組織51の画像50の例が示されている。画像50は、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像診断(MRI)、又は他の既知の医用画像技術などの任意のタイプの診断画像であり得る。既知の医用画像技術の多くは、デジタル画像であり、既知の技術を使用してデジタル走査され得るものもある。例えば、組織画像パターン認識器を使用して、腫瘍52の存在の可能性が高い組織51の関心領域を識別するために、ニューラルネットワークを使用することが従来技術で知られている。そのようなニューラルネットワークの出力は、グレーレベルの画素値の二次元アレイの形態の腫瘍52の形状及び位置のデジタルデータファイルを含むことができる。例えば、
図18のコンピュータシステム40、OEI4のプロセッサ(
図1)を使用して、二次元グレーレベルの画素値は、一次元アレイに平滑化される。一次元アレイは、関心領域、すなわち、腫瘍52の最適化された特徴値を抽出するように処理される。関心領域の最適化された特徴値は、複数の組織画像画素(又は正規化された)に1xnアレイに細分化される。1xnアレイのものは、上記で本明細書において開示された訓練されたニューラルネットワークの入力A
1~A
nとして使用される。訓練されたニューラルネットワークは、4つの光拡散器5、6、7、8(
図1)の複数の最適化された特徴状態を表す、治療用出力ニューロンD
1~D
yの統計的に最適化されたセットを生成する。出力ニューロンD
1~D
yによって決定された最適化された特徴状態は、OEI4の光デバイスコントローラ42への入力として使用され、腫瘍52の関心領域の形状及び位置に厳密に一致する所望の治療用照射プロファイルを生成する。
【0043】
OAFO1の実施形態の動作は、
図20を参照することによって最もよく説明される。OAFO1は、例えば、OAFOが、OEI4、光学テザー3、及びその中に配置された4つの光拡散器5~8を有する光フラップ4を含む、本明細書に上記した実施形態であり得る。OAFO1は、複数の照射プロファイルアレイ20~35(
図2~17)を決定するために、本明細書に上記した訓練されたニューラルネットワークを更に含む。ユーザは、訓練されたニューラルネットワークへの入力として、腫瘍52(
図19)のデジタル画像50をOAFO4のプロセッサに入力する。
図18に関して本明細書に記載される方法を使用して、ニューラルネットワークは、例えば、腫瘍が患者の肺内に位置付けられることを示す、患者60内の、腫瘍52又は切除された腫瘍領域の位置を決定する。ユーザ、典型的には外科医又は熟練した助手は、画像50から得られた位置情報に従って、腫瘍52上に光フラップ2を位置付ける。次いで、ユーザは、OAFO4上のボタン61を選択し、OAFO内のプロセッサは、訓練されたニューラルネットワークによって決定された複数の最適化された特徴状態を使用して、光デバイスコントローラ42に、照射プロファイルアレイ20~35を生成する状態の全てからの腫瘍52に最も厳密に一致する最適化された治療照射プロファイルを生成するように命令する。当業者であれば、抑制ボタン61の単一の動作を介して最適化された治療照射プロファイルを適用することにより、位置及び線量測定パターンの両方の観点から、正確な術中(interoperative)PDT光療法を患者60にリアルタイムの自動化された方式で投与することができることが明らかであるはずである。記載したような処理が開始されると、OAFO4のプロセッサは、所定の露光時間に従ってPDTを最適化するために、所定の時間の間、個別に又は集合的に、光拡散器5~6を制御する。光フラップ2が腫瘍52よりも大きい状況では、治療照射プロファイルは、最適化された治療パターンを生成するために必要な数の光拡散器のみを含む。光フラップ2が腫瘍52より小さい状況では、OAFO1は、最適化された特徴状態からの2つ以上の最適化された治療照射プロファイルを出力する。ユーザは、2つ以上の最適化された治療照射プロファイルの各々に従って光フラップ2を順次位置付け、本明細書において上記したように、各々のそのような位置で治療手順を実行する。
【0044】
4つの光拡散器5~8が中に配置された光フラップ4を有し、光拡散器の各々が2つの状態のみを有するOAFO1の実施形態に関して本明細書において上記で開示されたが、OAFOが、空間分解能、時間分解能、及び線量測定分解能の観点からより高い分解能を有する最適化された治療照射プロファイルを生成するための他の特徴及びパラメータを有する強化されたOAFOを含み得ることが、本開示の範囲内である。例えば、(4つの代わりに)6つの光拡散器を含む実施形態では、これは、互いに隣接して位置付けられて1×6アレイを形成するか、又はエンドツーエンドで2×3アレイ又は他のパターンを形成することができ、6つの光拡散器の各々は、2つの状態(オン及びオフ)を有し、複数の状態は、16個のベースケースから2
6又は64個のベースケースに成長し、各々は、異なる照射プロファイルアレイを有する。そのような実施形態は、腫瘍52の位置、形状及びサイズにより厳密に一致するより多くの最適化された特徴状態から最適化された治療照射プロファイルを決定するためのより大きな空間分解能を提供するであろう。加えて、OAFO4のプロセッサは、所定の露光時間に従ってPDTを最適化するために、所定の時間の間、光拡散器を個別に又は集合的に制御することができ、これは、より高い線量測定分解能及び時間的制御を提供する。本開示のOAFO1(
図1)の他の実施形態では、OAFOの光源は、光ファイバテザー3を介して4つの光拡散器5~8に送達された光の強度を変化させる特徴を含み、最適化された特徴状態の数を増加させ、より高い解像度を有する最適化された治療照射プロファイルを生成することができる。例えば、OAFO1の光源が、4つの光拡散器5~8の各々に送達された4つの状態、すなわち、オフ、ロー、ミディアム、及びハイであった実施形態では、複数の状態は、16個のベースケースから4
4又は256個のベースケースに成長し、各々が異なる照射プロファイルアレイを有する。そのような実施形態は、所定の線量測定計画に従ってPDTを最適化するための所定の線量測定時間のための、より多くの最適化された特徴状態から最適化された治療照射プロファイルを決定するためのより大きな線量測定分解能を提供するであろう。OAFOのこれらの実施形態、及び他の代替の実施形態では、ベースケースの各々は、照射プロファイルアレイを生成するようにモデル化され、訓練ケースが形成され、ニューラルネットワークは、本明細書で前述のように訓練される。腫瘍52の画像50は、ニューラルネットワークに入力され、複数の最適化された特徴状態は、訓練されたニューラルネットワーク及びそこから生成された最適化された治療照射プロファイルで生成される。最適化された治療照射プロファイルは、本明細書において上記の
図20を参照して説明された方法で患者を治療するために使用される。
【0045】
上記は、本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。