(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20231215BHJP
【FI】
G06Q50/18
(21)【出願番号】P 2023020332
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521170121
【氏名又は名称】株式会社AGE technologies
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-099627(JP,A)
【文献】特開2017-102726(JP,A)
【文献】特開平11-161699(JP,A)
【文献】特開2021-077292(JP,A)
【文献】特開2012-128598(JP,A)
【文献】特開2002-373197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被相続人の相続手続を支援する情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、
ユーザが利用するユーザ端末からの関係者の情報の入力を受け付ける事前準備処理部と、
前記被相続人の相続財産の遺産分割協議の参加権を有する者を判定する相続調査処理部と、
を有しており、
前記情報処理システムは、
前記ユーザ端末から前記相続手続について紛争の発生またはその可能性があることの情報を受け付けると、前記ユーザ端末に対して利用不可の通知を行い、
前記事前準備処理部は、
前記ユーザ端末から入力を受け付けた関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定し、前記判定した一部または全部の相続人の必要書類の取得の依頼を前記ユーザ端末から受け付け、
前記相続調査処理部は、
前記依頼に基づいて取得した前記必要書類に基づく関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定して、前記遺産分割協議の参加権を有する者とする、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記事前準備処理部は、
前記被相続人の情報の入力を受け付けて被相続人情報記憶部に記憶させる手段と、
前記被相続人の配偶者の情報の入力を受け付ける手段と、
前記被相続人の直系卑属の情報の入力を受け付ける手段と、
前記被相続人の直系尊属の情報の入力を受け付ける手段と、
前記被相続人の兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける手段と、
数次相続の処理を実行する手段と、
前記相続人を判定する手段と、を有しており、
前記配偶者の情報の入力を受け付ける手段は、
前記被相続人の配偶者がいれば前記配偶者の情報の入力を受け付けて配偶者情報記憶部に記憶させ、
前記配偶者が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記配偶者を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記直系卑属の情報の入力を受け付ける手段は、
前記被相続人の直系卑属がいれば前記被相続人の直系卑属の情報の入力を受け付けて直系卑属情報記憶部に記憶させ、
前記被相続人の直系卑属が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の直系卑属を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記直系尊属の情報の入力を受け付ける手段は、
前記相続人仮リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の直系尊属の情報の入力を受け付けて直系尊属情報記憶部に記憶させ、
前記被相続人の直系尊属が存命していれば前記被相続人の直系尊属を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける手段は、
前記相続人仮リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の兄弟姉妹がいれば前記被相続人の兄弟姉妹の情報の入力を受け付けて兄弟姉妹情報記憶部に記憶させ、
前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の兄弟姉妹を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記数次相続の処理を実行する手段は、
前記配偶者情報記憶部、前記直系卑属情報記憶部、前記直系尊属情報記憶部、前記兄弟姉妹情報記憶部のいずれか一以上を参照して、前記相続人仮リストに登録されている相続人であって前記被相続人よりも後に死亡した相続人がいる場合には、その相続人を被相続人とした相続手続における相続人を判定して相続人仮リストに登録し、
前記相続人を判定する手段は、
前記相続人仮リストに登録している相続人のうち存命している相続人を、前記必要書類の取得を依頼する相続人として判定する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記直系卑属の情報の入力を受け付ける手段は、
前記被相続人の子がいれば前記被相続人の子の情報の入力を受け付けて前記直系卑属情報記憶部に記憶させ、
前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の子を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の子の直系卑属の人物がいれば、前記被相続人の子にもっとも近い世代の存命している直系卑属の人物の情報の入力を受け付けて前記直系卑属情報記憶部に記憶させ、相続人として相続人仮リストに登録する、
ことを特徴とする
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記直系尊属の情報の入力を受け付ける手段は、
前記相続人仮リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の親の情報の入力を受け付けて直系尊属情報記憶部に記憶させ、
前記被相続人の親が存命していれば前記被相続人の親を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記被相続人の親が存命していなければ前記被相続人の直系尊属のうち、前記被相続人の親にもっとも近い世代の存命している直系尊属の人物の情報の入力を受け付けて前記直系尊属情報記憶部に記憶させ、相続人として相続人仮リストに登録する、
ことを特徴とする
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける手段は、
前記相続人仮リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の兄弟姉妹がいれば前記兄弟姉妹の情報の入力を受け付けて兄弟姉妹情報記憶部に記憶させ、
前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の兄弟姉妹を相続人として相続人仮リストに登録し、
前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の兄弟姉妹の子がいれば、前記被相続人の兄弟姉妹の子の情報の入力を受け付けて前記兄弟姉妹情報記憶部に記憶させ、相続人として相続人仮リストに登録する、
ことを特徴とする
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記相続調査処理部は、
前記記憶した前記被相続人の配偶者の情報、前記被相続人の直系卑属の情報、前記被相続人の直系尊属の情報、前記被相続人の兄弟姉妹の情報のいずれか一以上に追加および/または修正がある場合には、その入力を受け付ける、
ことを特徴とする
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記相続調査処理部は、
前記配偶者情報記憶部を参照し、前記被相続人の配偶者を特定して相続人として相続人リストに登録し、
前記直系卑属情報記憶部を参照し、前記被相続人の直系卑属がいれば前記被相続人の直系卑属の人物を相続人として前記相続人リストに登録し、
前記相続人リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記直系尊属情報記憶部を参照し、前記被相続人の直系尊属がいれば前記被相続人の直系尊属の人物を相続人として前記相続人リストに登録し、
前記相続人リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記兄弟姉妹情報記憶部を参照し、前記被相続人の兄弟姉妹がいれば前記被相続人の兄弟姉妹の人物を相続人として前記相続人リストに登録し、
前記配偶者情報記憶部、前記直系卑属情報記憶部、前記直系尊属情報記憶部、前記兄弟姉妹情報記憶部のいずれか一以上を参照して、前記相続人リストに登録されている相続人であって前記被相続人よりも後に死亡した相続人がいる場合には、その相続人を被相続人とした相続手続における相続人を判定して相続人リストに登録し、
前記相続人リストに登録している相続人のうち存命している相続人を、前記遺産分割協議の参加権を有する者とする、
ことを特徴とする
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記相続調査処理部は、
前記直系卑属情報記憶部を参照し、前記被相続人のすべての子について、
前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の子を相続人として相続人リストに登録し、
前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の子の直系卑属の人物がいれば、前記被相続人の子にもっとも近い世代の存命している直系卑属の人物を相続人として相続人リストに登録する、
処理を実行する、
ことを特徴とする
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記相続調査処理部は、
前記相続人リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記直系尊属情報記憶部を参照し、前記被相続人の親が存命していれば前記被相続人の親を相続人として相続人リストに登録し、
前記被相続人の親が存命していなければ前記被相続人の直系尊属のうち、前記被相続人の親にもっとも近い世代の存命している直系尊属の人物を相続人として相続人リストに登録する、
ことを特徴とする
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記相続調査処理部は、
前記相続人リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記兄弟姉妹情報記憶部を参照し、前記被相続人のすべての兄弟姉妹について、
前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の兄弟姉妹を相続人として相続人リストに登録し、
前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の兄弟姉妹の子がいれば、前記被相続人の兄弟姉妹の子を相続人として相続人リストに登録する、
処理を実行する、
ことを特徴とする
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記情報処理システムは、
前記遺産分割協議の内容を受け付け、前記受け付けた内容に基づいて、あらかじめ記憶する遺産分割協議書のひな形に、前記受け付けた内容を反映することで、前記遺産分割協議書を自動作成して出力する遺産分割処理部、を有する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記遺産分割処理部は、
前記ユーザから入力を受け付けた相続財産となる不動産の情報に基づく管轄法務局、取得方法、財産移転の根拠、不動産ごとの取得者を用いて、一つの登記で申請できる単位ごとの財産移転イベントを判定し、
前記財産移転イベントごとに、あらかじめ記憶する登記申請書のひな形に、前記入力を受け付けた不動産の情報を反映することで、登記申請書を自動作成して出力する、
ことを特徴とする
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記遺産分割処理部は、
前記ユーザから入力を受け付けた相続財産となる預貯金口座の属性情報に基づく前記預貯金口座のある金融機関を特定し、あらかじめ記憶する金融機関ごとの相続による名義変更手続の書類のひな形に、前記入力を受け付けた預貯金口座の情報を反映することで、預貯金口座の名義変更手続の書類を自動作成して出力する、
ことを特徴とする
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記情報処理システムは、
前記事前準備処理部で入力を受け付けた関係者の情報と、前記取得した必要書類に基づく関係者の情報に相違がない場合には、前記相続調査処理部における前記被相続人の相続における相続人の判定処理を行わずに、前記事前準備処理部で判定した相続人を、前記遺産分割協議の参加権を有する者として判定する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータを、
ユーザが利用するユーザ端末からの関係者の情報の入力を受け付ける事前準備処理部、
被相続人の相続財産の遺産分割協議の参加権を有する者を特定する相続調査処理部、
として機能させる情報処理プログラムであって、
前記情報処理プログラムは、
前記ユーザ端末から
相続手続について紛争の発生またはその可能性があることの情報を受け付けると、前記ユーザ端末に対して利用不可の通知を行い、
前記事前準備処理部は、
前記ユーザ端末から入力を受け付けた関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定し、前記判定した一部または全部の相続人の必要書類の取得の依頼を前記ユーザ端末から受け付け、
前記相続調査処理部は、
前記依頼に基づいて取得した前記必要書類に基づく関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定して、前記遺産分割協議の参加権を有する者とする、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相続の際に、不動産、金融機関の預貯金、株式などの相続財産の名義変更手続を相続人が自ら行うことを支援する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある人が死亡した場合、被相続人(死亡した人)の保有していた財産(相続財産)をその相続人が相続することとなる。相続では、被相続人の相続財産を相続人が遺産分割協議などに従って承継し、承継した相続財産についての名義変更手続を法務局、金融機関などに行う必要がある。相続手続は、相続財産および相続人を特定し、また、名義変更手続のための各種書類の準備などが必要となる。この作業を相続人が自分で行うこともできるが、相続財産および相続人の特定、必要書類の準備などすべての作業を自ら行うには一定の知識が必要であることから、その手続を行うことは容易ではない。そのため、弁護士、司法書士、税理士などの専門家が代理をして相続手続を行うこともある。換言すれば、相続人自らが行わずに第三者が代理して行う場合には、原則として、弁護士、司法書士、税理士などの専門家でなければ、相続手続を代理することが法律上、認められていない。
【0003】
しかし、弁護士などの専門家が関与する場合であっても、相続財産および相続人の特定、書類の準備などの手続は煩雑であるため、専門家が相続手続を支援するシステムが下記非特許文献1に開示されている。
【0004】
また、知識を有しない一般の人であっても自ら相続手続を行うことを支援するシステムがあり、その一例として、下記非特許文献2および下記非特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】株式会社ビービーシー、”2in1相続管理システム(プロ版)”、[online]、インターネット<URL:https://2in1souzoku.com/>
【文献】株式会社ビービーシー、”2in1相続管理システム(パーソナル版)”、[online]、インターネット<URL:https://personal.bbcinc.co.jp/>
【文献】辻・本郷ITコンサルティング株式会社、”better相続登記”、[online]、インターネット<URL:https://jp-better.com/lp/touki/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
相続手続において難しいのは相続人の特定と、法務局や金融機関に提出する書類の準備である。
【0007】
相続財産を相続人同士でどのように分割するかを定める遺産分割協議には相続人のみが参加することができるが、この相続人を特定するためには民法の知識を必要とする。単純に、子ども(相続人)が親(被相続人)の財産を相続する事案だけではなく、代襲相続や数次相続が発生する場合など、相続人の特定が容易ではない場合もある。
【0008】
また、法務局や金融機関に提出する書類はそれぞれ細かく定められている。とくに不動産の名義変更手続を行う場合に書類を提出する法務局の場合には、登記の申請単位を適切に分割しないと、申請が受け付けられない。しかしこれらの必要書類を適切に準備するのには専門的な知識を必要とする。
【0009】
さらに、弁護士などの専門家が関与する場合と異なり、相続人自らが相続手続を行うことを支援するシステムの場合、弁護士法、司法書士法、税理士法などにも抵触しないようにシステムを構築しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題に鑑み、知識がない一般の人でもコンピュータさえ使用できれば適切に相続手続を行うことができるように支援する情報処理システムを発明した。またそれを実現する本発明の情報処理システムは、弁護士法、司法書士法、税理士法などにも抵触をしない。
【0011】
第1の発明は、被相続人の相続手続を支援する情報処理システムであって、前記情報処理システムは、ユーザが利用するユーザ端末からの関係者の情報の入力を受け付ける事前準備処理部と、前記被相続人の相続財産の遺産分割協議の参加権を有する者を判定する相続調査処理部と、を有しており、前記情報処理システムは、前記ユーザ端末から前記相続手続について紛争の発生またはその可能性があることの情報を受け付けると、前記ユーザ端末に対して利用不可の通知を行い、前記事前準備処理部は、前記ユーザ端末から入力を受け付けた関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定し、前記判定した一部または全部の相続人の必要書類の取得の依頼を前記ユーザ端末から受け付け、前記相続調査処理部は、前記依頼に基づいて取得した前記必要書類に基づく関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定して、前記遺産分割協議の参加権を有する者とする、情報処理システムである。
【0012】
相続手続においてもっとも難しいのは、遺産分割協議の参加権を有する者を特定することである。そこで、本発明のように、ユーザの自己申告の補助と、ユーザからの依頼を受けて取得した書類に基づく情報の利用の、2段階の相続人の判定処理を設けることで、相続人自らが相続手続を行うことを支援する情報処理システムが可能となる。また、弁護士法などにも抵触しない情報処理システムを構築することができる。
また、第2の発明のように構成することで、紛争の発生またはその可能性があることの情報を受け付けると、ユーザによる利用を不可とすることができる。
【0013】
上述の発明において、前記事前準備処理部は、前記被相続人の情報の入力を受け付けて被相続人情報記憶部に記憶させる手段と、前記被相続人の配偶者の情報の入力を受け付ける手段と、前記被相続人の直系卑属の情報の入力を受け付ける手段と、前記被相続人の直系尊属の情報の入力を受け付ける手段と、前記被相続人の兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける手段と、数次相続の処理を実行する手段と、前記相続人を判定する手段と、を有しており、前記配偶者の情報の入力を受け付ける手段は、前記被相続人の配偶者がいれば前記配偶者の情報の入力を受け付けて配偶者情報記憶部に記憶させ、前記配偶者が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記配偶者を相続人として相続人仮リストに登録し、前記直系卑属の情報の入力を受け付ける手段は、前記被相続人の直系卑属がいれば前記被相続人の直系卑属の情報の入力を受け付けて直系卑属情報記憶部に記憶させ、前記被相続人の直系卑属が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の直系卑属を相続人として相続人仮リストに登録し、前記直系尊属の情報の入力を受け付ける手段は、前記相続人仮リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の直系尊属の情報の入力を受け付けて直系尊属情報記憶部に記憶させ、前記被相続人の直系尊属が存命していれば前記被相続人の直系尊属を相続人として相続人仮リストに登録し、前記兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける手段は、前記相続人仮リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の兄弟姉妹がいれば前記被相続人の兄弟姉妹の情報の入力を受け付けて兄弟姉妹情報記憶部に記憶させ、前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の兄弟姉妹を相続人として相続人仮リストに登録し、前記数次相続の処理を実行する手段は、前記配偶者情報記憶部、前記直系卑属情報記憶部、前記直系尊属情報記憶部、前記兄弟姉妹情報記憶部のいずれか一以上を参照して、前記相続人仮リストに登録されている相続人であって前記被相続人よりも後に死亡した相続人がいる場合には、その相続人を被相続人とした相続手続における相続人を判定して相続人仮リストに登録し、前記相続人を判定する手段は、前記相続人仮リストに登録している相続人のうち存命している相続人を、前記必要書類の取得を依頼する相続人として判定する、情報処理システムのように構成することができる。
【0014】
事前準備処理部における相続人の判定処理は、ユーザによる関係者の情報の入力に基づくものである。そのため、本発明のように実行することで、知識を有しない一般の人であっても遺産分割協議の参加権を有する者を判定することができる。
【0015】
また、本発明のように、相続人が死亡している場合であっても相続人が先に死亡していなければ当該相続人を相続人仮リストに登録する処理を行うことで、複雑となる数次相続処理を簡便に実行することができる。すなわち、配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の処理の後、まとめて数次相続処理として、相続人仮リストに登録されている相続人のうち、被相続人よりも後に死亡した相続人を特定し、当該相続人を被相続人として同様の処理を実行して判定した数次相続の相続人も、相続人仮リストに追加することで処理の簡便化を図ることができる。
【0016】
上述の発明において、前記直系卑属の情報の入力を受け付ける手段は、前記被相続人の子がいれば前記被相続人の子の情報の入力を受け付けて前記直系卑属情報記憶部に記憶させ、前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の子を相続人として相続人仮リストに登録し、前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の子の直系卑属の人物がいれば、前記被相続人の子にもっとも近い世代の存命している直系卑属の人物の情報の入力を受け付けて前記直系卑属情報記憶部に記憶させ、相続人として相続人仮リストに登録する、情報処理システムのように構成することができる。
【0017】
上述の発明において、前記直系尊属の情報の入力を受け付ける手段は、前記相続人仮リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の親の情報の入力を受け付けて直系尊属情報記憶部に記憶させ、前記被相続人の親が存命していれば前記被相続人の親を相続人として相続人仮リストに登録し、前記被相続人の親が存命していなければ前記被相続人の直系尊属のうち、前記被相続人の親にもっとも近い世代の存命している直系尊属の人物の情報の入力を受け付けて前記直系尊属情報記憶部に記憶させ、相続人として相続人仮リストに登録する、情報処理システムのように構成することができる。
【0018】
上述の発明において、前記兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける手段は、前記相続人仮リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記被相続人の兄弟姉妹がいれば前記兄弟姉妹の情報の入力を受け付けて兄弟姉妹情報記憶部に記憶させ、前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の兄弟姉妹を相続人として相続人仮リストに登録し、前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の兄弟姉妹の子がいれば、前記被相続人の兄弟姉妹の子の情報の入力を受け付けて前記兄弟姉妹情報記憶部に記憶させ、相続人として相続人仮リストに登録する、情報処理システムのように構成することができる。
【0019】
これらの発明のように構成することで、ユーザが入力した関係者の情報に基づいて、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の相続人を適切に特定することができる。また、ユーザは結果を確認した上で、ユーザ端末上で必要書類の取得、情報入力を依頼することができる。
【0020】
上述の発明において、前記相続調査処理部は、前記記憶した前記被相続人の配偶者の情報、前記被相続人の直系卑属の情報、前記被相続人の直系尊属の情報、前記被相続人の兄弟姉妹の情報のいずれか一以上に追加および/または修正がある場合にはその入力を受け付ける、情報処理システムのように構成することができる。
【0021】
上述の発明において、前記相続調査処理部は、前記配偶者情報記憶部を参照し、前記被相続人の配偶者を特定して相続人として相続人リストに登録し、前記直系卑属情報記憶部を参照し、前記被相続人の直系卑属がいれば前記被相続人の直系卑属の人物を相続人として前記相続人リストに登録し、前記相続人リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記直系尊属情報記憶部を参照し、前記被相続人の直系尊属がいれば前記被相続人の直系尊属の人物を相続人として前記相続人リストに登録し、前記相続人リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記兄弟姉妹情報記憶部を参照し、前記被相続人の兄弟姉妹がいれば前記被相続人の兄弟姉妹の人物を相続人として前記相続人リストに登録し、前記配偶者情報記憶部、前記直系卑属情報記憶部、前記直系尊属情報記憶部、前記兄弟姉妹情報記憶部のいずれか一以上を参照して、前記相続人リストに登録されている相続人であって前記被相続人よりも後に死亡した相続人がいる場合には、その相続人を被相続人とした相続手続における相続人を判定して相続人リストに登録し、前記相続人リストに登録している相続人のうち存命している相続人を、前記遺産分割協議の参加権を有する者とする、情報処理システムのように構成することができる。
【0022】
本発明のように構成することで、遺産分割協議の参加権を有する者の戸籍等の情報に基づく正確な情報を、後の処理に反映することができる。なお、入力を受け付けるのは、事前準備処理においてユーザに依頼された情報である。
【0023】
上述の発明において、前記相続調査処理部は、前記直系卑属情報記憶部を参照し、前記被相続人のすべての子について、前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の子を相続人として相続人リストに登録し、前記被相続人の子が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の子の直系卑属の人物がいれば、前記被相続人の子にもっとも近い世代の存命している直系卑属の人物を相続人として相続人リストに登録する、処理を実行する、情報処理システムのように構成することができる。
【0024】
上述の発明において、前記相続調査処理部は、前記相続人リストに直系卑属の相続人が登録されていない場合に、前記直系尊属情報記憶部を参照し、前記被相続人の親が存命していれば前記被相続人の親を相続人として相続人リストに登録し、前記被相続人の親が存命していなければ前記被相続人の直系尊属のうち、前記被相続人の親にもっとも近い世代の存命している直系尊属の人物を相続人として相続人リストに登録する、情報処理システムのように構成することができる。
【0025】
上述の発明において、前記相続調査処理部は、前記相続人リストに直系卑属および直系尊属の相続人が登録されていない場合に、前記兄弟姉妹情報記憶部を参照し、前記被相続人のすべての兄弟姉妹について、前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡していなければ前記被相続人の兄弟姉妹を相続人として相続人リストに登録し、前記被相続人の兄弟姉妹が前記被相続人よりも先に死亡しており前記被相続人の兄弟姉妹の子がいれば、前記被相続人の兄弟姉妹の子を相続人として相続人リストに登録する、処理を実行する、情報処理システムのように構成することができる。
【0026】
これらの発明のように構成することで、関係者の戸籍等の正確な情報に基づいて、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の相続人を適切に特定することができる。
【0027】
上述の発明において、前記情報処理システムは、前記遺産分割協議の内容を受け付け、前記受け付けた内容に基づいて、あらかじめ記憶する遺産分割協議書のひな形に、前記受け付けた内容を反映することで、前記遺産分割協議書を自動作成して出力する遺産分割処理部、を有する、情報処理システムのように構成することができる。
【0028】
上述の発明において、前記遺産分割処理部は、前記ユーザから入力を受け付けた相続財産となる不動産の情報に基づく管轄法務局、取得方法、財産移転の根拠、不動産ごとの取得者を用いて、一つの登記で申請できる単位ごとの財産移転イベントを判定し、前記財産移転イベントごとに、あらかじめ記憶する登記申請書のひな形に、前記入力を受け付けた不動産の情報を反映することで、登記申請書を自動作成して出力する、情報処理システムのように構成することができる。
【0029】
上述の発明において、前記遺産分割処理部は、前記ユーザから入力を受け付けた相続財産となる預貯金口座の属性情報に基づく前記預貯金口座のある金融機関を特定し、あらかじめ記憶する金融機関ごとの相続による名義変更手続の書類のひな形に、前記入力を受け付けた預貯金口座の情報を反映することで、預貯金口座の名義変更手続の書類を自動作成して出力する、情報処理システムのように構成することができる。
【0030】
これらの発明のように構成することで、遺産分割協議書、登記申請書、預貯金口座の名義変更手続の書類など、相続人自らが作成することが容易ではない書類について、自動作成して出力することができる。また複数の金融機関の預貯金口座がある場合もあるが、その場合、それぞれの金融機関に応じた書類を選択して記載をしなければならないが、本発明を用いることで、適切に名義変更手続の書類を自動作成して出力することができる。
【0033】
上述の発明において、前記情報処理システムは、前記事前準備処理部で入力を受け付けた関係者の情報と、前記取得した必要書類に基づく関係者の情報に相違がない場合には、前記相続調査処理部における前記被相続人の相続における相続人の判定処理を行わずに、前記事前準備処理部で判定した相続人を、前記遺産分割協議の参加権を有する者として判定する、情報処理システムのように構成することができる。
【0034】
本発明では2段階の相続人の判定処理を行っているが、ユーザの入力した関係者の情報などに誤りがなければ、相続調査処理部で再度の相続人判定処理を行う必要性は低い。そのため、本発明のように構成することで、処理を効率化することができる。
【0035】
第1の発明は、本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち、コンピュータを、ユーザが利用するユーザ端末からの関係者の情報の入力を受け付ける事前準備処理部、被相続人の相続財産の遺産分割協議の参加権を有する者を特定する相続調査処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、前記情報処理プログラムは、前記ユーザ端末から前記相続手続について紛争の発生またはその可能性があることの情報を受け付けると、前記ユーザ端末に対して利用不可の通知を行い、前記事前準備処理部は、前記ユーザ端末から入力を受け付けた関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定し、前記判定した一部または全部の相続人の必要書類の取得の依頼を前記ユーザ端末から受け付け、前記相続調査処理部は、前記依頼に基づいて取得した前記必要書類に基づく関係者の情報を用いて、前記関係者のうち前記被相続人の相続における相続人を判定して、前記遺産分割協議の参加権を有する者とする、情報処理プログラムのように構成することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の情報処理システムを用いることで、知識がない一般の人でもコンピュータさえ使用できれば適切に相続財産の名義変更手続を行うことができる。また、それを実現する本発明の情報処理システムは、弁護士法、司法書士法、税理士法などにも抵触をしない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の情報処理システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の情報処理システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の情報処理システムにおける全体の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図4】事前準備処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】関係者情報の入力受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】事前処理における配偶者情報の入力受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】事前処理における直系卑属の情報の入力受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】事前処理における直系尊属の情報の入力受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】事前処理における兄弟姉妹の情報の入力受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】事前処理における数次相続の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】相続調査処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】遺産分割協議の参加権者の特定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】相続調査処理における直系卑属の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】相続調査処理における直系尊属の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】相続調査処理における兄弟姉妹の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】相続調査処理における数次相続の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】遺産分割処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】登記申請書の自動作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】名義変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】被相続人の情報を入力するための事前情報の回答画面の一例である。
【
図23】被相続人の配偶者の有無の情報の入力を行うための事前情報の回答画面の一例である。
【
図24】被相続人の配偶者の情報の入力を行うための関係者情報の入力画面の一例である。
【
図25】被相続人の子の有無の情報の入力を行うための事前情報の回答画面の一例である。
【
図26】被相続人の子の情報の入力を行うための関係者情報の入力画面の一例である。
【
図27】入力した配偶者、被相続人の子の情報の確認を行うための事前情報の回答画面の一例である。
【
図28】被相続人の直系尊属の情報の入力を行うための関係者情報の入力画面の一例である。
【
図29】被相続人の子(兄弟姉妹)の情報の入力を行うための関係者情報の入力画面の一例である。
【
図30】入力した情報を確認するための事前情報の回答画面の一例である。
【
図31】事前準備処理部で入力した情報の確認画面の一例である。
【
図37】被相続人情報記憶部の一例を示す図である。
【
図39】直系卑属情報記憶部の一例を示す図である。
【
図40】直系尊属情報記憶部の一例を示す図である。
【
図41】兄弟姉妹情報記憶部の一例を示す図である。
【
図42】相続財産情報記憶部の一例を示す図である。
【
図43】預貯金口座情報記憶部の一例を示す図である。
【
図46】実施例2において、被相続人およびその関係者の一例を示す図である。
【
図47】実施例2において、ユーザGが把握している被相続人およびその関係者の一例を示す図である。
【
図48】実施例3における関係者情報の入力受付処理の一例を示すフローチャートである。
【
図49】実施例3における相続調査処理の一例を示すフローチャートである。
【
図50】実施例3における遺産分割処理の一例を示すフローチャートである。
【
図51】遺言書を利用するかの入力を受け付ける入力画面の一例である。
【
図52】遺言書の種類の情報の入力を受け付ける入力画面の一例である。
【
図53】遺言執行者が設定されているかの情報の入力を受け付ける入力画面の一例である。
【
図54】遺言執行者の氏名の情報の入力を受け付ける入力画面の一例である。
【
図55】遺言によって指定された相続人の情報の入力を受け付ける入力画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の情報処理システム1の全体の処理機能の一例をブロック図で
図1に示す。情報処理システム1は、管理端末2を用いる。管理端末2は、情報処理システム1を運営する企業等の組織が利用するコンピュータである。
【0039】
利用者端末3は、本発明の情報処理システム1の利用者が利用するコンピュータである。利用者としては、管理端末2を運営する会社と業務提携をする会社や、本発明の情報処理システム1を利用して相続手続を行おうとするユーザ(たとえば相続人の代表者である代表相続人)が該当する。利用者端末3には、提携会社が利用する提携会社端末4、ユーザが利用するユーザ端末5などが該当するがそれらに限定されない。
【0040】
提携会社端末4は、管理端末2を運営する会社と業務提携をする会社、たとえば金融機関などが利用するコンピュータである。なお、情報処理システム1を利用するにあたって、管理端末2を運営する会社と業務提携をする会社は必須ではなく、なくてもよい。その場合、提携会社端末4は不要となる。
【0041】
ユーザ端末5は、ユーザ、たとえば代表相続人が利用するコンピュータである。行政機関端末6は、市区町村役場などの地方自治体や法務局などの行政機関が利用するコンピュータの総称である。
図1では行政機関端末6をまとめて表示しているが、実際には、それぞれの行政機関ごとに設けられている。金融機関端末7は、被相続人の預貯金口座、証券口座などがある金融機関のコンピュータである。
【0042】
情報処理システム1における管理端末2、利用者端末3、提携会社端末4、ユーザ端末5、行政機関端末6、金融機関端末7のコンピュータのハードウェア構成の一例を、
図2に模式的に示す。コンピュータは、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と、情報を表示するディスプレイなどの表示装置72と、情報の入力が可能なキーボードやマウスなどの入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。
【0043】
コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には、表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは、たとえばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが、それに限定するものではない。
【0044】
タッチパネルディスプレイは、そのディスプレイ上で、直接、所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で、表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0045】
また、コンピュータは、一台で実現する場合のみならず、複数台から構成されていてもよい。コンピュータの一部または全部がクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
【0046】
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。本発明の各手段における処理は、その処理順序を適宜変更することもできる。また、処理の一部を省略してもよい。また、記憶部24としては、それぞれをデータベースとして記憶していてもよいし、一つのデータベースの各テーブルとして記憶をしていてもよいし、それ以外の方法で記憶をしていてもよい。
【0047】
情報処理システム1は、事前準備処理部20と相続調査処理部21と遺産分割処理部22と名義変更処理部23と記憶部24とを有する。
【0048】
事前準備処理部20は、本発明の情報処理システム1を用いた相続手続の支援を行うための関係者の情報、相続対象となる被相続人の財産(相続財産)の情報の入力を受け付ける。入力を受け付けた関係者情報に基づいて相続人を特定し、後述の相続調査処理部21における相続調査処理で取得対象となる書類の取得依頼を受け付ける。
【0049】
相続調査処理部21は、事前準備処理部20で受け付けた書類の取得および情報入力の依頼に基づいて取得した情報により、正確な関係者および財産の情報への修正入力を受け付け、正確な関係者の情報に基づいて、遺産分割協議の参加権を有する者(相続人)、相続財産を判定する処理を実行する。また、法定相続情報一覧図を取得するための処理を実行する。
【0050】
遺産分割処理部22は、相続人による遺産分割協議の結果の入力を受け付けて、遺産分割協議書、不動産の名義変更手続を行うための登記申請書、金融機関の預貯金口座や証券口座の名義変更を行うための名義変更申請書などを自動作成する処理を実行する。
【0051】
名義変更処理部23は、遺産分割処理部22で自動作成処理した遺産分割協議書、登記申請書、金融機関などの名義変更申請書などを用いて、不動産、金融機関の預貯金口座、証券口座などの名義変更処理を実行させる。
【0052】
記憶部24は、本発明の情報処理システム1で用いる書類のひな形などを記憶する。また、関係者の情報、相続財産の情報などのテーブルを記憶する。なお、記憶部24は、一つとして構成されているのではなく、情報の記憶部24を複数備えていてよい。たとえば後述するように、ユーザ情報記憶部240、被相続人情報記憶部241、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245、相続人情報記憶部246、相続財産情報記憶部247、預貯金口座情報記憶部248、不動産情報記憶部249などをそれぞれ備えていてよい。また、各書類のひな形のファイルなどを記憶していてもよい。
【0053】
ユーザ情報記憶部240はユーザに関する情報を記憶する。被相続人情報記憶部241は被相続人に関する情報を記憶する。配偶者情報記憶部242は被相続人の配偶者情報を記憶する。直系卑属情報記憶部243は被相続人の直系卑属の人物の情報を記憶する。直系尊属情報記憶部244は被相続人の直系尊属の人物の情報を記憶する。兄弟姉妹情報記憶部は被相続人の兄弟姉妹の人物の情報を記憶する。相続人情報記憶部は相続調査処理部21で判定した相続人の情報を記憶する。相続財産情報記憶部247は相続財産の情報を記憶する。預貯金口座情報記憶部248は相続財産のうち預貯金口座の情報を記憶する。不動産情報記憶部249は相続財産のうち不動産の情報を記憶する。
【実施例1】
【0054】
つぎに本発明の情報処理システム1の処理プロセスの一例を、
図4乃至
図19のフローチャート、
図20乃至
図35の各画面のイメージ、
図36乃至
図45の各テーブルのイメージなどを用いて説明する。
【0055】
まず、本発明の情報処理システム1を利用する際には、事前準備処理部20における事前準備処理を実行する(S100)。事前準備処理としては、相続手続を行うための被相続人、相続人を特定するために必要な関係者の情報の入力を受け付け、ユーザ(たとえば代表相続人)が入力した関係者の情報に基づいて、遺産分割協議の参加権を有する者を判定する。そして判定した遺産分割協議の参加権を有する者に関する必要書類をユーザの使者として出力し取得する。またユーザの委任状を取得するための事前準備処理を実行する。
【0056】
相続が発生した場合、その発生を知った被相続人が取引をしていた金融機関や、被相続人の配偶者、子、親族などの相続人などの代表者が、本発明の情報処理システム1を利用するための新規ユーザの登録処理を実行する(S200)。なお、ユーザとしては、相続人代表者であることが好ましいが、相続人に限らず、それをサポートする人物や法人などであってもよい。
【0057】
たとえば、金融機関が本発明の情報処理システム1を利用する場合には、金融機関の担当者が利用する提携会社端末4から、本発明の情報処理システム1にアクセスをして、新規ユーザとして本発明の情報処理システム1を主として利用するユーザ、たとえば相続人として予想される代表者の情報などを登録する。この場合、本発明の情報処理システム1の運営会社と金融機関とは業務提携を行っており、金融機関に預貯金口座等を保有していることで、本発明の情報処理システム1を利用可能とするサービスとなっていてもよい。
【0058】
また、被相続人の配偶者や親族などが本発明の情報処理システム1を利用する場合には、その配偶者や親族が自ら、あるいは相続人として予想される代表者の情報などを登録する。
【0059】
図20に、新規ユーザの登録画面の一例を示す。たとえばユーザの情報として、氏名、住所、電子メールアドレス、電話番号、当該ユーザの特記事項などの情報を入力すると、管理端末2の事前準備処理部20で入力された情報を受け付け、ユーザ情報記憶部240(
図36)に記憶する。また、事前準備処理部20は、新規ユーザに対して、ユーザの識別情報(ID)、パスワード(pass)などの認証情報を発行し(S210)、当該ユーザに対応づけてユーザ情報記憶部240に記憶させる。なお、認証情報は、新規ユーザの登録の際に、他のユーザと重複しないように任意に設定できてもよい。またユーザ登録後、任意のタイミングで認証情報を変更できてもよい。ユーザ情報記憶部240には、ユーザの識別情報、パスワードなどの認証情報、氏名、住所、メールアドレス、電話番号、特記事項などのほか、任意の情報を記憶していてもよい。
【0060】
発行した認証情報は、事前準備処理部20が、ユーザ情報記憶部240に記憶している電子メールアドレスなどに基づいて、当該ユーザに送る。
【0061】
ユーザは、ユーザ端末5から所定の方法により、本発明の情報処理システム1にアクセスし、情報処理システム1から受け付けた認証情報を用いてログインをする(S220)。ログイン画面の一例を
図21に示す。なお、本明細書に説明をしない場合であっても、ユーザがユーザ端末5から情報処理システム1にアクセスする場合には、この認証情報を用いてログイン画面からログインをし、その後、所望の操作を実行することとなる。
【0062】
ログイン後、ユーザから、ユーザ端末5を介して、事前準備処理部20は事前情報として、ユーザが知る限りの相続手続に関係する人物である関係者情報の入力を受け付け、記憶部24に記憶させる(S230)。関係者としては、被相続人、配偶者、直系卑属、直系卑属、兄弟姉妹など相続人に該当しそうな人物、あるいはその他の親族、姻族などの人物が該当する。
【0063】
関係者情報の入力受付処理としては、まず、被相続人(今回の相続手続の対象となる死亡した人)の情報の入力をユーザ端末5から受け付ける(S300)。被相続人の入力画面(事前情報の回答画面)の一例を
図22に示す。ここで入力を受け付ける情報としては、被相続人の氏名、本籍地、死亡年月日などの情報がある。受け付けた被相続人の情報は、被相続人情報記憶部241(
図37)に記憶させる。被相続人情報記憶部241には、当該ユーザのIDに対応づけて、被相続人の氏名、本籍地、死亡年月日などのほかに、生年月日、住所など任意の情報の入力を受け付けて記憶していてもよい。
【0064】
被相続人の属性情報の入力を受け付けると、被相続人の配偶者の情報の入力をユーザ端末5から受け付ける(S310)。まず、
図23の事前情報の回答画面に示すように、被相続人に、相続の発生時点(被相続人の死亡時点)で配偶者がいるかの入力を受け付ける(S400)。そして配偶者がいない場合には(S410)、配偶者の情報の入力受付処理を終了する。配偶者がいる場合には(S410)、
図24の関係者情報の入力画面に示すように、被相続人の配偶者の情報として、被相続人の配偶者の氏名、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付ける(S420)。受け付けた被相続人の配偶者の情報は、配偶者情報記憶部242(
図38)に記憶させる。配偶者情報記憶部242には、当該ユーザのIDに対応づけて、被相続人との関係性(配偶者)、配偶者の氏名、存命か被相続人よりも先または後に死亡したかなどのほかに、生年月日、死亡をしている場合には死亡日、住所など任意の情報の入力を受け付けて記憶していてもよい。
【0065】
そして、配偶者が被相続人よりも先に死亡した場合以外の場合、すなわち、存命または被相続人よりも後に死亡した場合には(S430)、相続人となるので相続人仮リストに当該配偶者を登録する(S440)。一方、配偶者が被相続人よりも先に死亡した場合には(S430)、相続人にはならないので、配偶者の情報の入力受付処理を終了する。
【0066】
被相続人の配偶者の情報の入力受付の処理を終了すると、被相続人の直系卑属(たとえば被相続人の直系の子どもや孫)の情報の入力をユーザ端末5から受け付ける(S420)。まず、
図25の事前情報の回答画面に示すように、被相続人に、相続の発生時点で子がいるかの入力を受け付ける(S500)。そして子がいない場合には(S510)、被相続人の直系卑属の情報の入力受付処理を終了する。子がいる場合には(S510)、
図26の関係者情報の入力画面に示すように、被相続人の卑属の情報として、被相続人の子の氏名、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付ける(S520)。受け付けた被相続人の子の情報は、直系卑属情報記憶部243(
図39)に記憶させる。直系卑属情報記憶部243には、当該ユーザのIDに対応づけて、被相続人との関係性(子、孫、ひ孫など)、その者の氏名、存命か被相続人よりも先または後に死亡したかなどのほかに、生年月日、死亡をしている場合には死亡日、住所など任意の情報の入力を受け付けて記憶していてもよい。
【0067】
そして当該子が被相続人よりも先に死亡した場合以外の場合、すなわち、存命または被相続人よりも後に死亡した場合には(S530)、相続人となるので相続人仮リストに当該子を登録する(S540)。一方、当該子が被相続人よりも先に死亡した場合には(S530)、当該子の直系卑属(当該子の子、当該子の子の子など)の有無の確認を受け付ける(S550)。そして、当該子の直系卑属がいる場合には、存命の直系卑属のうちもっと世代が当該子に近い人物が代襲相続人となるので、当該子の直系卑属の氏名、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S560)、相続人仮リストに登録をする(S540)。受け付けた当該子の直系卑属の情報は、直系卑属情報記憶部243(
図39)に記憶させる。たとえば、当該子が被相続人よりも先に死亡している場合には、さらにその子(被相続人の孫)の入力を受け付け、その人物がさらに被相続人よりも先に死亡している場合には、さらにその子(被相続人のひ孫)の入力を受け付ける。これを直系卑属がいなくなるまで反復することとなる。
【0068】
以上のような処理を実行することで、直系卑属の情報の入力受付処理を実行する。そして、直系卑属の情報の入力の受付処理が終了すると、相続人仮リストに、配偶者以外の相続人が一人以上登録されているかを判定する(S330)。
【0069】
相続人仮リストに、配偶者以外に一人以上の相続人が登録されている場合には、後述する数次相続の処理を実行し(S380)、相続人仮リストに配偶者以外の相続人が一人以上登録されていない場合には、被相続人の直系尊属(たとえば被相続人の両親や祖父母)の情報の入力受付処理を実行する(S340)。
【0070】
被相続人の直系尊属の情報の入力を受け付ける場合には、まず、
図28の関係者情報の入力画面に示すように、被相続人の尊属の情報として、被相続人の父および母の氏名、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力をユーザ端末5から受け付ける(S600)。受け付けた被相続人の尊属の情報は、直系尊属情報記憶部244(
図40)に記憶させる。直系尊属情報記憶部244には、当該ユーザのIDに対応づけて、被相続人との関係性(父、母、祖父、祖母など)、その者の氏名、存命か被相続人よりも先または後に死亡したかなどのほかに、生年月日、死亡をしている場合には死亡日、住所など任意の情報の入力を受け付けて記憶していてもよい。
【0071】
そして存命者がいる場合(S610)、相続人となるので存命者を相続人仮リストに登録する(S620)。一方、両親がいずれも被相続人よりも先に死亡している場合には(S610)、さらにその一世代上の尊属(被相続人の祖父母)について、存命者がいるかの入力を受け付ける(S630)。そして存命者がいる場合には、その存命者が相続人となるので当該存命者である尊属の人物の関係性(祖父、祖母、曾祖父、曾祖母など)、氏名、存命、存命か被相続人よりも先または後に死亡したかなどの情報の入力を受け付けて、直系尊属情報記憶部244(
図40)に記憶させる。また、当該人物を相続人仮リストに登録する(S620)。
【0072】
なお、直系尊属の人物の入力は世代ごとに行う。また、尊属は寿命の関係上、両親の一世代上または二世代上までが限度であることが通常なので、両親の一世代または二世代上までを対象にして存命者の有無、存命者の情報の入力受け付けを行い、これらの世代に誰も存命者がいない場合には、直系尊属の情報の入力受付処理を終了してよい。
【0073】
以上の処理を実行することで、直系尊属の情報の入力受付処理を実行する。そして、直系尊属の情報の入力の受付処理が終了すると、相続人仮リストに配偶者以外に一人以上の相続人が登録されているかを判定する(S350)。
【0074】
相続人仮リストに配偶者以外に一人以上の相続人が登録されている場合には、後述する数次相続の処理を実行し(S380)、相続人仮リストに配偶者以外に一人以上の相続人が登録されていない場合には、被相続人の兄弟姉妹の情報の入力受付処理を実行する(S360)。
【0075】
被相続人の兄弟姉妹の情報の入力を受け付ける場合には、まず、
図29の関係者情報の入力画面に示すように、被相続人の兄弟姉妹の情報として、被相続人の兄弟姉妹の氏名、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力をユーザ端末5から受け付ける(S700)。受け付けた被相続人の兄弟姉妹の情報は、兄弟姉妹情報記憶部245(
図41)に記憶させる。兄弟姉妹情報記憶部245には、当該ユーザのIDに対応づけて、被相続人との関係性(兄、弟、姉、妹など)、その者の氏名、存命か被相続人よりも先または後に死亡したかなどのほかに、生年月日、死亡をしている場合には死亡日、住所など任意の情報の入力を受け付けて記憶していてもよい。
【0076】
そして当該兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡した場合以外の場合(S710)、すなわち、存命または被相続人よりも後に死亡した場合には(S710)、相続人となるので相続人仮リストに当該兄弟姉妹を登録する(S720)。一方、当該兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡した場合には(S710)、当該兄弟姉妹の子の有無の確認を受け付ける(S730)。そして当該兄弟姉妹の子がいる場合には、その人物が当該兄弟姉妹の代襲相続人となるので、当該兄弟姉妹の子の氏名、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S740)、相続人仮リストに登録をする(S720)。また当該兄弟姉妹の子がいない場合には(S730)、
図30の事前情報の回答画面から被相続人に他に兄弟姉妹がいるかの入力を受け付け(S750)、他に兄弟姉妹がいる場合には、S700以下の処理を再度実行し、他に兄弟姉妹がいない場合には兄弟姉妹の情報の入力の受付処理を終了する。
【0077】
以上のような処理を実行することで、兄弟姉妹の情報の入力受付処理を実行する。そして、兄弟姉妹の情報の入力の受付処理が終了すると、あるいは、S330、S350において配偶者以外の相続人が一人以上登録されている場合には、後述する数次相続の処理を実行する(S370)。数次相続とは、被相続人が死亡した後に、当該被相続人の相続手続が終了する前までに、当該被相続人の相続人が死亡し、新たな相続手続が開始される場合である。
【0078】
数次相続の処理としては、次のように実行すればよい。
【0079】
すなわち、相続人仮リストに登録されている相続人であって、被相続人よりも後に死亡した人物がいるかを判定する(S800)。相続人のうち被相続人よりも後に死亡した人物がいない場合には数次相続の処理を終了する。
【0080】
相続人のうち被相続人よりも後に死亡した人物がいる場合には、該当者を
図5のフローチャートにおける被相続人として、再度、
図5以下のフローチャートの処理、すなわち関係者情報の入力受付処理を実行し、該当する人物に対する相続人を相続人仮リストに追加する(S810)。
【0081】
相続人仮リストに登録されている相続人のうち被相続人よりも後に死亡した人物が複数いる場合には、それぞれの人物について数次相続の処理を実行する。
【0082】
以上のような処理を実行することで、数次相続を考慮した相続人を相続人仮リストに登録することができる。
【0083】
そして、数次相続までの処理を実行すると、事前準備処理部20は、相続人仮リストに登録されている相続人のうち、存命している人物のみを、ユーザが入力をした情報に基づく、遺産分割協議への参加権者である相続人として特定を行う。なお、この際に、相続人仮リストに登録されている相続人のうち、すでに死亡している人物については相続人仮リストから除外してもよいし、あるいは遺産分割協議への参加権者である相続人ではない、とするフラグを立てるなどしてもよい。逆に、相続人仮リストに登録されている相続人のうち、存命している人物について遺産分割協議への参加権者である相続人とするフラグを立ててもよい。
【0084】
以上のようにして関係者情報の入力受付処理を終了すると、事前準備処理部20は、被相続人が保有する相続財産の情報の入力を受け付ける(S240)。相続財産としては、たとえば、不動産(土地、建物に関する権利)、預貯金、株式、債券などの金融資産、絵画や彫刻などの美術品や自動車などを含む動産、ゴルフ会員権、暗号資産、NFT(Non-fungible token)、デジタル資産などの資産性を有する権利などがあるが、それらに限定するものではない。また、相続財産には資産に限らず、負債も含まれる。
【0085】
事前準備処理部20は、不動産の場合には地番など、不動産を特定するために必要な情報を受け付ける。また金融資産は金融機関の識別情報、支店の識別情報、口座番号、資産の種別(預貯金、株式、投資信託、債券、暗号資産など)などを受け付ける。動産については被相続人が保有する財産の種別(美術品、自動車など)、動産を特定するための情報、たとえば自動車の場合にはナンバープレートの番号や車体番号などを受け付ける。さらに、ゴルフ会員権、暗号資産、NFT、デジタル資産などはゴルフ場の識別情報、暗号資産やNFTやデジタル資産の保管先などその名義を管理している会社の識別情報や被相続人の財産を特定するために口座(アカウント)などの必要な情報などがある。
【0086】
相続財産情報記憶部247の一例を
図42に示す。相続財産情報記憶部247では、本発明の情報処理システム1を用いるユーザの識別情報、相続財産を保有する被相続人の識別情報(所有者識別情報)、課税価格などが記憶される。相続財産情報記憶部247の被相続人の識別情報(所有者識別情報)に対応づけて、相続財産の情報を記憶している。たとえば、預貯金口座の情報を記憶する預貯金口座情報記憶部248(
図43)、不動産に関する情報を記憶する不動産情報記憶部249(
図44)が対応づけて記憶されている。預貯金口座情報記憶部248には、預貯金の口座を保有する被相続人の識別情報、財産を識別する識別情報、預貯金口座の属性情報(金融機関、支店、口座種別、口座番号など)が対応づけて記憶されている。また不動産情報記憶部249には不動産を所有する被相続人の識別情報、不動産を識別する識別情報、不動産の属性情報(地番、家屋番号など)、持分割合などが対応づけて記憶されている。
【0087】
相続財産情報の入力を受け付けると、相続人仮リストに登録されている相続人と相続財産情報記憶部247に記憶している相続財産の情報とを抽出して表示し、ユーザによる確認の入力を受け付ける(S250)。
図31に確認画面の一例を示す。この際に、被相続人、相続人、相続財産の種別(不動産、預貯金などの金融資産、動産など)ごとに必要な書類の情報を記憶部24にあらかじめ記憶しているので、事前準備処理部20は、被相続人、相続人、相続財産の種別などに応じて、対応する必要な書類を特定し、その情報を確認画面に表示させる。また、被相続人、相続人、相続財産の種別ごとに用いる情報があらかじめ記憶部24に記憶されているので、事前準備処理部20は対応する情報を特定して、本発明の情報処理システム1の運営会社に入力を代行させる情報を確認画面に表示させる。
【0088】
このように、
図31の確認画面に、ユーザにより入力された被相続人、関係者の情報に基づいて特定した相続人(相続人仮リストに登録されている相続人)、相続財産の情報、情報処理システム1の運営会社でユーザの使者として取得を依頼する必要書類、情報処理システム1の運営会社に入力を依頼する情報などを表示し、その確認をユーザ端末5から受け付けることで、ユーザが入力した関係者の情報に基づいて情報処理システム1により特定した相続人(相続人仮リストに登録されている相続人)、ユーザが入力した相続財産の情報の確認のほか、ユーザの使者としての書類取得、情報入力の依頼を受け付ける(S260)。
【0089】
そしてこの確認を事前準備処理部20で受け付けると、当該ユーザの委任状を取得するため、当該ユーザの住所、氏名等をユーザ情報記憶部240から抽出し、あらかじめ記憶部24に記憶している委任状のひな形に、抽出した住所、氏名等を入力することで、当該ユーザの委任状を自動作成する。そして作成した委任状を当該ユーザの住所宛に郵便などによる発送処理を行う(S270)。
【0090】
発送された委任状を受領した当該ユーザは、その委任状に署名、捺印を行い、情報処理システム1の運営会社など所定の返送先に返送をする(S280)。この返送を受領すると、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、当該ユーザについてのステータスについて、「手続開始Webフォーム」(事前処理)が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を事前準備処理部20で受け付ける(S290)。
【0091】
以上のような処理によって、事前準備処理が終了する。
【0092】
事前準備処理が終了すると、被相続人の相続人の正確な情報を特定するための戸籍情報や相続財産情報を取得するための相続調査処理を、相続調査処理部21が実行する(S110)。
【0093】
相続調査処理部21では、事前準備処理部20で特定した被相続人、相続人、相続財産などの必要書類、たとえば不動産評価証明書、戸籍、住所証明情報などの必要書類を、ユーザの使者として取得するための処理を行う(S900)。必要書類としては、少なくとも相続手続に行うにあたり必要な書類、たとえば被相続人、相続人の戸籍関連の書類、不動産に関する書類、法定相続情報一覧図を取得するために必要な書類であればよい。
【0094】
不動産評価証明書を取得するためには、相続調査処理部21は、不動産情報記憶部249に記憶された、当該被相続人の相続財産である不動産属性情報の所在地を示す情報に基づいて、その不動産を管轄する行政機関、たとえば都税事務所、市区町村役場を特定する。そしてあらかじめ記憶部24に記憶する不動産評価証明書の発行依頼書のひな形に、抽出した不動産属性情報の所在地、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して不動産評価証明書の発行依頼書を自動的に作成し、出力する。
【0095】
また、戸籍を取得するために、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人の本籍の情報に基づいて、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形、除籍謄本の発行依頼書のひな形に、被相続人の氏名、本籍、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、被相続人の戸籍謄本の発行依頼書、除籍謄本の発行依頼書などを自動的に作成し、出力する。同様に被相続人の住所の情報に基づいて、その住所地を管轄する市区町村役場を特定する。そしてあらかじめ記憶部24に記憶する住民票の除票の発行依頼書のひな形に、抽出した被相続人の氏名、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、被相続人の住民票の除票の発行依頼書を自動的に作成し、出力する。
【0096】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて発行依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が送付する。各発行依頼書を受領した都税事務所、市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、不動産評価証明書、戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票などを発行し、返送する。
【0097】
行政機関から送付された不動産評価証明書、戸籍、住民票の除票などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、被相続人の氏名、本籍地、死亡日などについて入力された情報について確認をし、誤りがある場合には事前準備処理部20における情報入力の依頼に基づいて、入力を修正する(S910)。また、出生日など各書類に記載された書類のうち必要な情報についても入力を行う。なお、この入力は、ユーザが入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて被相続人情報記憶部241に記憶させてもよいし、情報処理システム1の運営会社の担当者が入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて被相続人情報記憶部241に記憶させてもよい。
【0098】
また、被相続人の戸籍から特定される配偶者、被相続人の直系卑属、被相続人の直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の本籍地の情報の入力を配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245にそれぞれ行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245にそれぞれ記憶させる。なお、この入力は、ユーザがユーザ端末5から入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させてもよいし、情報処理システム1の運営会社の担当者が入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させてもよい。
【0099】
また、被相続人の関係者として、ユーザの知らない人物(配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属記憶部24、兄弟姉妹記憶部24に登録されていない人物)が戸籍に登録されている場合もある。たとえばユーザが被相続人の後妻の子であり、被相続人の前妻の子の存在を知らされていなかった場合などである。このように、被相続人の関係者として、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に登録されていない人物が記載されていた場合には(S920)、情報処理システム1の運営会社の担当者は登録されていない関係者がいるという事実、およびその関係者の情報を、ユーザに電子メールなどの所定の方法で通知をし(S930)、ユーザ端末5からその入力を相続調査処理部21で受け付けてもよい。相続調査処理部21は、受け付けた入力に基づいて該当する人物の被相続人との関係性(配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹若しくはその子)を判定し、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させる。また、上述の通知と合わせて、あるいは別の通知によって、ユーザ端末5から当該人物に関する必要書類の取得および当該人物の情報入力の依頼を受け付け、相続調査処理部21の処理対象とする(S940)。
【0100】
なお、被相続人の関係者として新たな人物が把握された場合、その人物の存在と情報をユーザに通知し、ユーザ端末5から当該人物の情報の入力依頼を相続調査処理部21で受け付けることで、情報処理システム1の運営会社の担当者が入力を行い、その入力を受け付けた相続調査処理部21が、当該人物の被相続人との関係性に応じて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させてもよい。
【0101】
そして、相続調査処理部21は、相続人仮リストに登録されている相続人の本籍の情報を、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に基づいて特定し、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、相続人となる配偶者、被相続人の直系卑属、被相続人の直系尊属、被相続人の兄弟姉妹などの氏名、本籍、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、戸籍謄本の発行依頼書、戸籍の附票の発行依頼書などを自動的に作成し、出力する。
【0102】
また、相続調査処理部21は、S940の依頼の受け付け後、新たに存在が把握された人物の本籍の情報を、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に基づいて特定し、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、新たに存在が把握された人物の氏名、本籍、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、戸籍謄本の発行依頼書、戸籍の附票の発行依頼書などを自動的に作成し、出力する。なお、この際に、当該人物の住所が分かる場合には、その住所地を管轄する市区町村役場を特定して、当該人物の住所証明情報(住民票など)などの発行依頼書を自動的に作成し、出力してもよい。この場合には、あらかじめ記憶部24に記憶する住所証明情報(住民票)などの発行依頼書のひな形に、あらたに存在が把握された人物の氏名、住所、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、住所証明情報の発行依頼書などを自動的に作成し、出力すればよい。
【0103】
行政機関から送付された戸籍謄本、戸籍の附票、住民票などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の氏名、続柄などの入力された情報について確認をし、誤りがある場合には情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S910)。また、本籍、住所、出生日、各書類に記載された書類のうち必要な情報についても入力を行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させる。なお、この入力は、ユーザが入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて記憶させてもよいし、情報処理システム1の運営会社の担当者が入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて記憶させてもよい。
【0104】
なお被相続人の関係者の必要書類の発行依頼書の自動作成、出力などは、依頼されたすべての相続人の必要書類が揃うまで複数回、繰り返してもよい。すなわち、配偶者以外の相続人と同一またはそれよりも上の相続順位を有する可能性のある新たな人物が発見された場合、直系卑属、被相続人の兄弟姉妹について代襲相続が発生している場合、直系尊属について両親が死亡しており、その上の世代が存命の場合、数次相続が発生している場合などは、それらの人物についても上述と同様の処理を実行する。
【0105】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が送付する。各発行依頼書を受領した市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、戸籍謄本、戸籍の附票、住所証明情報などを発行し、返送する。
【0106】
行政機関などから送付された不動産評価証明書、戸籍、住所証明情報などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、それらに基づいて、被相続人、相続人の正確な情報を特定することができるので、その特定処理を実行する(S950)。
【0107】
具体的には、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて配偶者情報記憶部242を参照し、当該被相続人の配偶者を特定する(S1100)。そして、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人の死亡日と、配偶者情報記憶部242に記憶する配偶者の死亡日、婚姻日および離婚日を参照し、被相続人の死亡の時点において婚姻関係があり、被相続人の死亡時点において存命であれば(S1110)、当該配偶者を相続人リストに登録する(S1120)。
【0108】
つぎに相続調査処理部21は、被相続人の直系卑属の処理を実行する(S1130)。具体的には、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて、直系卑属情報記憶部243を参照し、当該被相続人の子を特定し、一人ずつ相続人となるかを特定する処理を実行する(S1300)。
【0109】
すなわち、処理対象とする子が、被相続人の死亡時点で存命しているか、あるいは被相続人よりも後に死亡している場合には(S1310)、当該子を相続人として特定し、相続人リストに登録する(S1320)。また、被相続人の死亡よりも先に死亡している場合には(S1310)、当該処理対象の子の代襲相続人(当該子の子、孫など)を検索し(S1330)、該当する代襲相続人がいる場合には相続人リストに登録する(S1320)。代襲相続人がいない場合には当該処理対象とする子は相続人リストには登録しない。
【0110】
以上の処理を、被相続人のすべての子に対して反復して行う(S1340)。
【0111】
直系卑属の処理後、相続人リストに、配偶者以外の相続人が一人以上いる場合には(S1140)、後述する数次相続の処理を実行し(S1190)、配偶者以外の相続人がいない場合には、被相続人の直系尊属の処理を実行する(S1150)。
【0112】
具体的には、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて、直系尊属情報記憶部244を参照し、当該被相続人の親を特定し、一人ずつ相続人となるかを特定する処理を実行する(S1400)。
【0113】
すなわち、処理対象とする親が、被相続人の死亡時点で存命している場合には(S1410)、存命してる親を相続人として特定し、相続人リストに登録する(S1420)。また、被相続人の死亡時点で両親がともに存命していない場合には(S1410)、一世代上(被相続人の親の親、すなわち被相続人の祖父母)を特定し(S1430)、同様に存命している場合には相続人として特定する。被相続人の直系尊属としては、被相続人よりも先に死亡している可能性が高いので、存命している直系尊属の人物が発見されるか、所定世代数、たとえば最大でも二世代または三世代までこれを繰り返す(S1440)。
【0114】
直系尊属の処理後、相続人リストに、配偶者以外の相続人が一人以上いる場合には(S1160)、後述する数次相続の処理を実行し(S1190)、配偶者以外の相続人がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹の処理を実行する(S1170)。
【0115】
具体的には、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて、兄弟姉妹情報記憶部245を参照し、当該被相続人の兄弟姉妹を特定し、一人ずつ相続人となるかを特定する処理を実行する(S1500)。
【0116】
すなわち、処理対象とする兄弟姉妹が、被相続人の死亡時点で存命しているか、あるいは被相続人よりも後に死亡している場合には(S1510)、当該兄弟姉妹を相続人として特定し、相続人リストに登録する(S1520)。また、被相続人の死亡よりも先に死亡している場合には(S1510)、当該処理対象の兄弟姉妹の子がいるかを検索し(S1530)、該当する代襲相続人がいる場合には相続人リストに登録する(S1520)。代襲相続人がいない場合には当該処理対象とする兄弟姉妹は相続人リストには登録しない。
【0117】
以上の処理を、被相続人のすべての兄弟姉妹に対して反復して行う(S1540)。
【0118】
そして、兄弟姉妹の情報の入力の受付処理が終了すると、あるいは、S1140、S1160において配偶者以外の相続人が一人以上いる場合には、後述する数次相続の処理を実行する(S1180)。
【0119】
数次相続の処理としては、次のように実行すればよい。
【0120】
すなわち、相続人リストに登録されている相続人であって、被相続人よりも後に死亡した人物がいるかを判定する(S1600)。相続人リストに登録されている相続人であって被相続人よりも後に死亡した人物がいない場合には数次相続の処理を終了する。
【0121】
相続人リストに登録されている相続人であって被相続人よりも後に死亡した人物がいる場合には、該当者を
図12のフローチャートにおける被相続人として、再度、
図12以下のフローチャートの処理を実行し、相続人リストに登録されている相続人であって被相続人よりも後に死亡した人物を被相続人として、その被相続人に対する相続人を相続人リストに追加する(S1610)。
【0122】
相続人リストに登録されている相続人であって被相続人よりも後に死亡した人物が複数いる場合には、それぞれの人物について数次相続の処理を実行する。
【0123】
以上のような処理を実行することで、数次相続を考慮した相続人を相続人リストに登録することができる。
【0124】
そして、数次相続までの処理を実行すると、相続調査理部は、相続人リストに登録されている相続人の候補者のうち、存命している人物を、被相続人の遺産分割協議の参加権者となる相続人として特定を行う(S1190)。
【0125】
被相続人の遺産分割協議の参加権者して特定した相続人の情報は、相続人情報記憶部246(
図45)として記憶する。記憶する相続人の情報としては、被相続人との関係性(配偶者、直系卑属(子、子の子、子の子の子など)、直系尊属(父、母、祖父、祖母、曾祖父、曾祖母など)、兄弟姉妹(兄、弟、姉、妹、兄の子、弟の子、姉の子、妹の子))、相続人の氏名、住所などがあるが、それ以外の属性情報を記憶していてもよい。特定した相続人の情報を相続人情報記憶部246に記憶させた場合には、相続人仮リスト、相続人リストの情報は削除してもよい。なお、相続人情報記憶部246として相続人リストを用いてもよい。
【0126】
以上のように、確定した相続人を特定すると、相続調査処理部21は、それぞれの確定した相続人について、ユーザから依頼された書類の取得が完了しているかを判定し(S960)、依頼された書類の取得が完了していない確定した相続人がいれば、それをユーザに所定の画面や電子メールなどにより通知し、書類の不足がある相続人の必要書類の取得の依頼を受け付ける。
【0127】
この依頼を受け付けると、S900と同様の処理により、当該人物の関係性に応じた記憶部24、すなわち、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶する配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の本籍の情報に基づいて、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、相続人となる配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹などの氏名、本籍、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、戸籍謄本の発行依頼書、戸籍の附票の発行依頼書などを自動的に作成し、出力する。
【0128】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が送付する。各発行依頼書を受領した市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、戸籍謄本、戸籍の附票、住所証明情報などを発行し、返送する。
【0129】
行政機関から送付された戸籍謄本、戸籍の附票、住所証明情報などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の氏名、続柄などの入力された情報について確認をし、誤りがある場合には事前準備処理部20における情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S970)。また、本籍、住所、出生日など各書類に記載された情報についても入力を行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、対応する記憶部24、すなわち、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244に記憶させる。
【0130】
そして、S950で特定した、すべての確定した相続人について、ユーザから取得を依頼され、行政機関などから送付された不動産評価証明書、戸籍、住所証明情報などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、当該ユーザについてのステータスについて、「証明書類の収集」が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を事前準備処理部20で受け付ける。この状態の一例を示すのが
図32の画面である。
【0131】
すべての確定した相続人についてすべての必要書類が終了すると、法定相続情報一覧図の申請を行う法務局を、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人の本籍または最後の住所地、ユーザ情報記憶部240に記憶するユーザの住所、相続財産情報記憶部247に記憶する不動産の住所地のいずれかの情報を参照して特定する(S980)。
【0132】
そして、相続調査処理部21は、情報処理システム1の運営会社などの担当者による、必要とする法定相続情報一覧図の通数の入力および、法定相続情報一覧図の申請書作成の押下を受け付けることで、法定相続情報一覧図申請書を自動作成し、出力する(S990)。この際には、当該ユーザの住所をユーザ情報記憶部240から抽出し、あらかじめ記憶部24に記憶する法定相続情報一覧図申請書のひな形に、ユーザの住所、被相続人の相続に関係する人物の関係図などを自動的に入力し、出力する。情報処理システム1の運営会社などの担当者は、出力した法定相続情報一覧図申請書と必要書類とにユーザによる署名、捺印を受けた後、S980で特定した法務局に対して発送する。
【0133】
法務局は、この申請書と必要書類とに基づいて、法定相続情報一覧図を当該ユーザの住所宛に発行し、送付する。
【0134】
また、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、法定相続情報一覧図がユーザに送付された場合の返送先となる当該運営会社の住所などを印刷した返送用封筒などを印刷し、ユーザ情報記憶部240に記憶する当該ユーザの住所宛に、当該返送用封筒を発送する(S1000)。
【0135】
ユーザは、法務局から返送された法定相続情報一覧図を受領すると、情報処理システム1の運営会社から送付された返送用封筒に入れ、情報処理システム1の運営会社に返送をする。そして、この返送を受領すると(S1010)、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、受領した法定相続情報一覧図を所定の方法でスキャンする操作を行い、その入力を相続調査処理部21で受け付けて、データ化して所定の記憶部24に記憶させる(S1020)。
【0136】
以上のような処理によって、相続調査処理部21の処理が終了する。
【0137】
相続調査処理部21の処理が終了すると、遺産分割処理部22による遺産分割処理を実行する(S120)。
【0138】
遺産分割処理部22は、まず遺産分割協議の内容の入力を促すため、ユーザに対して、遺産分割協議の情報の入力依頼を電子メール、メッセージなどによって送る(S1700)。この入力依頼を受け付けると、ユーザは、遺産分割協議の情報を所定の方法で入力し、その入力を遺産分割処理部22で受け付ける(S1710)。遺産分割協議の情報の入力を受け付けた遺産分割処理部22は、当該ユーザの識別情報に対応づけて所定の記憶部24に記憶させる。
【0139】
この場合には、遺産分割処理部22は、たとえばユーザが
図32の画面から「回答する」のボタンを押下すると、それを受け付けて、
図33の確認画面に示すように、確定した相続人を相続人情報記憶部246から抽出し、また相続財産の情報を相続財産情報記憶部247から抽出し、相続人および相続財産の一覧の確認画面を表示させる。そして、ユーザによる確認後、遺産分割処理部22は、「次に進む」などの押下を受け付けると、
図34の相続財産選択画面に示すように、相続財産を選択する画面を表示させ、相続財産の選択を受け付ける。そして、その選択を受け付けると、遺産分割処理部22は、「次に進む」などの押下を受け付けると、
図35の分割内容受付画面に示すように、
図34で選択された相続財産をどの相続人が相続するか、複数の相続人で共有する場合には相続人および共有割合の情報、また名義変更に関する書類の受領先の情報を受け付ける。
【0140】
受け付けた情報は、相続人情報記憶部246、相続財産情報記憶部247などにそれぞれ記憶する。
【0141】
そして遺産分割処理部22は、相続人の人数(一人のみ)、相続財産の種別(現金・預貯金のみなど)、遺言書の内容に従っている場合などあらかじめ定めている条件を充足しているかにより、遺産分割協議書を作成するか否かを判定する。遺産分割協議書を自動作成する場合には、あらかじめ記憶している遺産分割協議書のひな形に、被相続人、相続人、S1710で入力を受け付けた相続財産ごとの相続の内容などに反映することで遺産分割協議書を自動作成する(S1720)。
【0142】
また、相続財産に不動産がある場合には、「申請書の自動作成」などのボタンの押下を受け付けることで、不動産の登記申請書の自動作成処理を実行する(S1730)。
【0143】
登記申請書の自動作成処理においては、遺産分割処理部22は、当該ユーザの識別情報に基づいて相続財産情報記憶部247に記憶する所有者識別情報(被相続人の識別情報)を特定し、特定した所有者識別情報を用いて不動産情報記憶部249を参照し、当該被相続人が所有する不動産の属性情報、持分割合など不動産の情報を取得する(S1800)。具体的には、遺産分割処理部22は、保有する不動産、その所有権、不動産の所有権の分割内容(取得者、取得方法、取得割合)、財産移転の根拠(遺産分割協議かどうか)などを取得する。
【0144】
そして、登記申請の単位を特定する(S1810)。具体的には、遺産分割処理部22は、各不動産の地番などの所在地の情報に基づく管轄法務局、取得方法、財産移転の根拠が同じか、不動産ごとに取得者が同じかを判定し、あらかじめ記憶している条件と対比することで、一つの登記で申請できる単位ごとに財産移転イベントをまとめる(S1810)。
【0145】
そして、遺産分割処理部22は、まとめた財産移転イベントごとに登記申請書を自動作成し、出力する(S1820)。たとえば、あらかじめ記憶している登記申請書のひな形に、相続人情報記憶部246に記憶する相続人の住所、相続財産情報記憶部247に記憶する不動産評価証明書における課税価格、不動産情報記憶部249に記憶する不動産の所在、家屋番号などの不動産の表示の情報などを、各記憶部24に記憶した情報を抽出し自動的に入力することで、登記申請書を自動作成し、出力をする。
【0146】
さらに、相続財産に預貯金等がある場合には、遺産分割処理部22は、当該ユーザの識別情報に基づいて相続財産情報記憶部247に記憶する所有者識別情報(被相続人の識別情報)を特定し、特定した所有者識別情報を用いて預貯金口座情報記憶部248を参照し、当該被相続人が保有する預貯金口座の属性情報(金融機関、支店、口座種別、口座番号など)を特定する。また、金融機関の識別情報に基づいて、あらかじめ記憶している金融機関ごとの相続による名義変更手続の書類のひな形を特定する。そして、当該ひな形に、被相続人、相続人の情報などを、各記憶部24に記憶した情報を抽出し自動的に入力することで、各金融機関ごとの名義変更手続の書類を自動作成する(S1740)。
【0147】
なお、自動車などの動産、暗号資産、ゴルフ会員権など他の資産についてもそれぞれの財産種別に応じて、あらかじめ名義変更手続の書類のひな形を記憶しておき、上記と同様な処理により、名義変更手続を行ってもよい。また名義変更手続の書類の自動作成を行えない相続財産については、自動作成できないことを表示可能としてもよい。
【0148】
以上のようにして自動作成した、遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類などを出力し、ユーザ情報記憶部240に記憶するユーザの住所または送付先として入力を受け付けた相続人の住所などに、それぞれ該当する書類を発送する(S1750)。
【0149】
発送された書類を受領したユーザおよび相続人は、遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類などを確認し、問題がなければ署名、捺印をする。そして、署名、捺印した遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類、印鑑証明書などの書類を、本発明の情報処理システム1の運営会社に発送する(S1770)。
【0150】
運営会社の担当者は、S1770で発送された書類を受領したことを確認すると、当該ユーザのステータスについて、「申請書類の作成・捺印」が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を遺産分割処理部22で受け付ける(S1780)。
【0151】
以上の処理で遺産分割処理を終了する。そして、遺産分割処理部22による遺産分割処理が終了すると、名義変更処理部23による名義変更処理を実行する(S130)。
【0152】
名義変更処理部23は、遺産分割処理部22におけるS1780で受領した遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類、印鑑証明書などについて、それぞれ対応する書類の送付先に発送を行う(S1900、S1910)。そして、書類の発送後、運営会社の担当者は、当該ユーザのステータスについて、「名義変更書類の提出」が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を名義変更処理部23で受け付ける(S1920)。
【0153】
発送された書類を受領した法務局などは行政機関端末6を用いて不動産に関する名義変更手続を行い、また金融機関などは金融機関端末7を用いて預貯金口座に関する名義変更手続を行う(S1930)。名義変更手続の完了後、それぞれの相続人に名義変更が完了したことを示す書類が返送される。
【0154】
以上の処理で名義変更処理が終了し、本発明の情報処理システム1を用いた相続手続の支援の処理が終了する。
【実施例2】
【0155】
つぎに本発明の情報処理システム1の具体的な処理を説明する。本実施例の説明では、一例として、
図46に示す人物関係であったとする。そして、被相続人Xが2021年1月1日に死亡し、その相続手続の支援を、本発明の情報処理システム1を用いて、被相続人Xの孫G(被相続人Xの子Dの子)がユーザとして行う場合を説明する。また、ユーザGは、被相続人Xの前の婚姻の情報を知らず、
図47の被相続人の関係者しか把握していなかったとする。さらに被相続人の相続財産としては、同一の法務局の管轄に所在する不動産α1、不動産α2、預金口座βとし、ユーザGは、被相続人の財産として、不動産α1、預貯金口座βのみを把握していた場合とする。また、ユーザGは、本発明の情報処理システム1を用いた処理を、2021年5月11日以降に行うとする。
【0156】
相続が発生した場合、その発生を知った被相続人が取引をしていた金融機関から本発明の紹介を受けたユーザGは、本発明の情報処理システム1を利用することを当該金融機関に伝える。そして当該金融機関または本発明の情報処理システム1の運営会社は、ユーザGに対して、情報処理システム1へのアクセス方法を伝える。伝えられたアクセス方法を用いて、ユーザGは、ユーザGが利用するユーザ端末5から所定の方法により、本発明の情報処理システム1にアクセスする。このアクセスを受け付けた事前準備処理部20は、事前準備処理を開始する(S100)。すなわち、事前準備処理部20は、
図19の新規ユーザの登録画面をユーザ端末5に表示させて、ユーザGの情報として、氏名、住所、電子メールアドレス、電話番号、当該ユーザの特記事項などの情報の入力を受け付け、ユーザ情報記憶部240に記憶させる(S200)。事前準備処理部20は、新規ユーザに対して、識別情報(ID)、パスワード(pass)などの認証情報を発行し(S210)、当該ユーザに対応づけてユーザ情報記憶部240に記憶させる。
【0157】
発行した認証情報は、事前準備処理部20が、ユーザ情報記憶部240に記憶している電子メールアドレスなどに基づいて、当該ユーザに送る。
【0158】
そして、ユーザGは、ユーザ端末5から所定の方法により、本発明の情報処理システム1にアクセスし、
図20のログイン画面に、情報処理システム1から受け付けた認証情報を入力し、ログインをする(S220)。
【0159】
そして、ログイン後、事前準備処理部20は、関係者情報の入力受付処理を実行する(S230)。まず、事前準備処理部20は、
図22に示す事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Xの氏名、本籍地、死亡年月日などの情報の入力を受け付け、被相続人情報記憶部241に記憶させる。
【0160】
そして、次に、事前準備処理部20は、被相続人Xの配偶者の情報の入力を受け付けるため(S310)、
図23の事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Xの死亡時点で配偶者がいるかの入力を受け付ける(S400)。ここでは、配偶者Yがいるので、「はい」の入力を受け付ける(S410)。配偶者ありの情報を受け付けた事前準備処理部20は、
図24に示す関係者情報の入力画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Xの配偶者の氏名と、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S420)、配偶者情報記憶部242に記憶させる。配偶者Yは存命であるので、「存命」の選択を受け付けていることから(S430)、事前準備処理部20は、配偶者Yを仮の相続人として相続人仮リストに登録する(S440)。
【0161】
事前準備処理部20は、被相続人Xの配偶者の情報の入力受付の処理を終了すると、被相続人Xの直系卑属の情報の入力を受け付けるため(S320)、
図25の事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Xに子がいるかの入力を受け付ける(S500)。
【0162】
ユーザGは被相続人Xの子としてDのみをこの時点では把握しているので、「はい」の入力を受け付ける(S510)。そして、子ありの情報を受け付けた事前準備処理部20は、
図26に示す関係者情報の入力画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Xの子Dの氏名(姓名)と、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S520)、直系卑属情報記憶部243に記憶させる。Dは被相続人Xよりも後に死亡しているので(Xの死亡日は2021年1月1日、Dの死亡日は2021年5月10日)、「後に死亡」の選択を受け付けていることから(S530)、事前準備処理部20は、Dを相続人として相続人仮リストに登録する(S540)。
【0163】
そして、入力を行っているユーザGは、
図47の人物しか把握しておらず、被相続人Xの他の子Cを把握していないことから、ユーザGは被相続人Xの子Dの入力をした時点ですべての子の入力を行ったと認識しており、被相続人Xにはほかに子はいないとして(S570)、
図27の画面における「次へ」を選択し、その情報を事前準備処理部20で受け付けることで、事前準備処理部20は、直系卑属の情報の入力受付処理を終了する。
【0164】
そして、事前準備処理部20は、相続人仮リストを参照し、配偶者以外の相続人として一人以上がいるかを判定する(S330)。ここでは、相続人仮リストには、相続人として配偶者Yと被相続人Xの子Dが登録されていることから、事前準備処理部20は、S340乃至S360の処理をスキップして、S370の数次相続の処理を実行する(S380)。
【0165】
事前準備処理部20は、数次相続の処理として、相続人仮リストに登録されている相続人であって、被相続人Xよりも後に死亡した人物がいるかを判定する(S800)。ここでは、配偶者Yは存命中であるが、Dが被相続人Xよりも後に死亡した人物であることから、Dを被相続人として
図5以降の処理を再度実行する(S810)。
【0166】
すなわち、事前準備処理部20は、被相続人をDとして、
図22に示す事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人(ここではD)の氏名、本籍地、死亡年月日などの情報の入力を受け付け、被相続人情報記憶部241に記憶させる。なお、新たに被相続人となる人物Dの情報のうち、すでに入力済みの情報は、記憶部24を参照して、そのまま反映させてもよい。この場合、新たに被相続人となるDの氏名の情報はすでに直系卑属情報記憶部243に記憶されているので、この情報を反映させて
図22に示す事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Dの本籍地、死亡年月日などの情報の入力を受け付ける。そして事前準備処理部20は、直系卑属情報記憶部243に記憶するDの氏名、入力を受け付けた情報を被相続人情報記憶部241に記憶させる(S300)。また、被相続人Xの相続人Dの数次相続であることを特定するため、ユーザGおよび/または被相続人Xの識別情報も対応づけて記憶させておくとよい。
【0167】
そして、事前準備処理部20は、被相続人Dの配偶者の情報の入力を受け付けるため(S310)、
図23の事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Dの死亡時点で配偶者がいるかの入力を受け付ける(S400)。ここでは、配偶者Eがいるので、「はい」の入力を受け付ける(S410)。配偶者ありの情報を受け付けた事前準備処理部20は、
図24に示す関係者情報の入力画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Dの配偶者Eの氏名と、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S420)、配偶者情報記憶部242に記憶させる。配偶者Eは存命であるので、「存命」の選択を受け付けていることから(S430)、事前準備処理部20は、配偶者Eを相続人として相続人仮リストに登録する(S440)。
【0168】
事前準備処理部20は、被相続人の配偶者Eの情報の入力受付の処理を終了すると、被相続人Dの直系卑属の情報の入力を受け付けるため(S320)、
図25の事前情報の回答画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Dに子がいるかの入力を受け付ける(S500)。
【0169】
ユーザGは被相続人Dの子としてGとHをこの時点では把握しているので、「はい」の入力を受け付ける(S510)。そして、子ありの情報を受け付けた事前準備処理部20は、
図26に示す関係者情報の入力画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Dの子Hの氏名と、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S520)、直系卑属情報記憶部243に記憶させる。また、被相続人Xの相続人Dの数次相続であることを特定するため、ユーザGおよび/または被相続人Xの識別情報も対応づけて記憶させておくとよい。Hは被相続人Dよりも先に死亡しているので(Dの死亡日は2021年5月10日、Hの死亡日は2015年1月1日)、「先に死亡」の選択を受け付けていることから(S530)、事前準備処理部20は、代襲相続人(Hの代わりに相続できる直系卑属)の情報の入力を受け付ける。
【0170】
すなわち、事前準備処理部20は、代襲相続人の情報を入力するための所定の画面をユーザ端末5に表示させ、Hに子がいるかの入力を受け付ける(S550)。そして、代襲相続人がいる場合には、それを示す選択を受け付けて、S520と同様に、被代襲相続人のすべての代襲相続人の氏名と、存命、被代襲相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受付、直系卑属情報記憶部243に記憶させる。ここで、Hの代襲相続人としてHの子Jがいるので、ユーザGは、Hに子がいることを示す入力を行い、代襲相続人としてHの子Jの氏名と、存命であることの情報の入力を行い、事前準備処理部20は、ユーザ端末5から受け付けたこれらの情報を直系卑属情報記憶部243に記憶させる。そして、事前準備処理部20は、代襲相続人Jを相続人として相続人仮リストに登録する(S540)。
【0171】
そして、被相続人Dの子Hの情報の入力後、被相続人Dには、Hのほかに子Gがいるので(S570)、事前準備処理部20は、S520と同様に、被相続人Dの子Gの情報の入力を受け付ける(S520)。たとえば、事前準備処理部20は、
図26に示す関係者情報の入力画面をユーザ端末5に表示させ、被相続人Dの子Gの氏名と、存命、被相続人よりも先に死亡したか、後に死亡したかの情報の入力を受け付け(S520)、直系卑属情報記憶部243に記憶させる。Gは存命であるので、「存命」の選択を受け付けていることから(S530)、事前準備処理部20は、被相続人の子Gを相続人として相続人仮リストに登録する(S570)。
【0172】
被相続人Dの子のすべての子の入力をしたことから、直系卑属の情報の入力処理を終了する。
【0173】
以上の処理によって、被相続人Xの相続人Dについての数次相続の処理を終了したので(S370)、事前準備処理部20は、相続人仮リストに登録されている相続人(ここでは、被相続人Xの配偶者Y、被相続人Xの子D、相続人D(数次相続の被相続人)の配偶者E、相続人D(数次相続の被相続人)の代襲相続人J、被相続人Dの子G)のうち、存命している人物のみを、Gが入力した情報に基づく相続人として特定を行う。ここでは、相続人仮リストのうち存命者は、被相続人Xの配偶者Y、相続人D(数次相続の被相続人)の配偶者E、相続人D(数次相続の被相続人)の代襲相続人J、相続人Dの子Gが存命しているので、事前準備処理部20は、これらの人物を被相続人Xの相続人として特定する(S380)。
【0174】
以上のようにして事前準備処理部20は、関係者情報の入力受付処理を終了すると、事前準備処理部20は、被相続人が保有する相続財産の情報の入力を受け付ける(S240)ここでは、ユーザGが把握している被相続人Xの相続財産は、不動産α1、預貯金口座βであるので、事前準備処理部20は、所定の入力画面をユーザ端末5に表示させ、不動産α1、預貯金口座βなどの相続財産に関する情報の入力をユーザ端末5から受け付け、相続財産情報記憶部247に、Gの識別情報、被相続人Xの識別情報、課税価格などのGが把握している情報を記憶させる。また、事前準備処理部20は、入力を受け付けた相続財産の種別に応じて、不動産α1については、不動産を所有する被相続人Xの識別情報、不動産を識別する識別情報、不動産の属性情報(地番、家屋番号など)、持分割合などを対応づけて不動産情報記憶部249に記憶させる。また、預貯金口座βについては、預貯金口座βを保有する被相続人Xの識別情報、相続財産を識別する識別情報、預貯金口座βの属性情報(金融機関、支店、口座種別、口座番号など)を対応づけて預貯金講座情報記憶部に記憶させる。
【0175】
相続財産の情報の入力を受け付けた事前準備処理部20は、相続人仮リストに登録されている相続人と相続財産情報記憶部247に記憶する相続財産の情報とを抽出して、
図31に示す確認画面などに表示し、ユーザによる確認の入力を受け付ける(S250)。
図31の確認画面では、事前準備処理部20は、被相続人、相続人、相続財産の種別に応じて、対応する必要な書類を特定し、その情報を確認画面に表示させる。また、
図31の確認画面に、ユーザGにより入力された被相続人、関係者の情報に基づいて特定した相続人仮リストに登録されている相続人、ここでは被相続人Xの配偶者Y、相続人Dの配偶者E、相続人Dの代襲相続人J、相続人Dの子Gのそれぞれについて、情報処理システム1の運営会社に、Gの使者として取得を依頼する必要書類、情報処理システム1の運営会社に入力を依頼する情報などを表示し、その確認をユーザ端末5から受け付けることで、相続人仮リストに登録されている相続人、相続財産の情報の確認のほか、Gの使者としての必要書類の取得、情報入力の依頼を、ユーザ端末5から受け付ける(S260)。
【0176】
そしてこの確認を事前準備処理部20で受け付けると、ユーザGの委任状を取得するため、ユーザGの住所、氏名等をユーザ情報記憶部240から抽出し、あらかじめ記憶部24に記憶している委任状のひな形に、抽出した住所、氏名等を入力することで、ユーザGの委任状を自動作成する。そして作成した委任状をユーザGの住所宛に郵便などによる発送処理を行う(S270)。
【0177】
発送された委任状を受領したユーザGは、その委任状に署名、捺印を行い、情報処理システム1の運営会社など所定の返送先に返送をする(S280)。この返送を受領すると、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、ユーザGについてのステータスについて、「手続開始Webフォーム」(事前処理)が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を事前準備処理部20で受け付ける(S290)。
【0178】
以上のような処理によって、事前準備処理が実行できる。
【0179】
事前準備処理が終了すると、戸籍情報や財産情報を取得するための相続調査処理を、相続調査処理部21が実行する(S110)。
【0180】
相続調査処理部21では、事前準備処理部20で特定した被相続人、相続人、相続財産などの必要書類、たとえば不動産評価証明書、戸籍、住所証明情報などの必要書類を、Gの使者として取得するための処理を行う(S900)。
【0181】
まず、取得を依頼された書類のうち、相続に関係するものを取得するために、相続調査処理部21は、直系卑属情報記憶部243に記憶する相続人Dの本籍の情報に基づいて、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、相続調査処理部21は、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、抽出した相続人Dの氏名、本籍、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、相続人Dの戸籍謄本の発行依頼書、除籍謄本の発行依頼書などを自動的に作成し、出力をする。
【0182】
同様に、相続調査処理部21は、直系卑属情報記憶部243に記憶する相続人Dの住所の情報に基づいて、その住所地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、相続調査処理部21は、あらかじめ記憶部24に帰国する住民票の除票の発行依頼書のひな形に、抽出した相続人Dの氏名、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、被相続人の住民票の除票の発行依頼書を自動的に作成し、出力する。
【0183】
つぎに、被相続人Xの戸籍類を取得するために、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人の本籍の情報に基づいて、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、相続調査処理部21は、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形または除籍謄本の発行依頼書の発行依頼書のひな形に、被相続人Xの氏名、本籍、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、被相続人Xの戸籍謄本の発行依頼書または除籍謄本の発行依頼書などを自動的に作成し、出力する。
【0184】
同様に、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人Xの住所の情報に基づいて、その住所地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する住民票の除票の発行依頼書のひな形に、抽出した被相続人Xの氏名、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、被相続人の住民票の除票の発行依頼書を自動的に作成し、出力する。
【0185】
なお、依頼書を市区町村役場に送付する際には、ユーザGと被相続人Xの戸籍類の請求権を証明するために、取得済みの戸籍類を添付する。
【0186】
以上のようにして、必要書類を順序立てて取得することで、ユーザから依頼された必要書類を取得する処理を実行することができる。
【0187】
また、相続調査処理部21は、ユーザGの識別情報に基づいて相続財産情報記憶部247を参照して、被相続人Xの識別情報を特定し、被相続人Xの識別情報に対応する相続財産として、不動産情報記憶部249に不動産α1、預貯金口座情報記憶部248に預貯金口座βを相続調査処理部21は特定する。そして、相続調査処理部21は、相続財産として不動産があるので、不動産評価証明書を取得するために、不動産情報記憶部249に記憶された、当該被相続人Xの相続財産である不動産α1の不動産属性情報の所在地を示す情報を特定し、その不動産の所在地を管轄する行政機関、たとえば都税事務所、市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する不動産評価証明書の発行依頼書のひな形に、抽出した不動産α1の不動産属性情報の所在地、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して不動産評価証明書の発行依頼書を自動的に作成し、出力する。
【0188】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が、ユーザGの使者として送付する。各発行依頼書を受領した都税事務所、市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、不動産評価証明書、戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票などを発行し、返送する。
【0189】
行政機関から送付された不動産評価証明書、戸籍謄本、除籍謄本、住所証明情報などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、被相続人Xの氏名、本籍地、死亡日などについて入力された情報について確認をし、誤りがある場合には情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S910)。また、被相続人の出生日など各書類に記載された情報についても入力を行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、被相続人情報記憶部241に記憶させる。また課税価格など不動産評価証明書に記載されている情報についても入力を行い、相続調査処理部21は、その入力を受け付けて、相続財産情報記憶部247に記憶させる。また、不動産評価証明書には、ユーザGが入力した不動産α1のみならず、不動産α2についても記載されているので、ユーザGが把握していなかった不動産α2の情報についても入力を行い、相続調査処理部21は、その入力を受け付けて、相続財産情報記憶部247、不動産情報記憶部249に記憶させる。
【0190】
また、被相続人の戸籍謄本に記載される配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の本籍地の情報の入力を配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245にそれぞれ行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245にそれぞれ記憶させる。
【0191】
ここでは、ユーザGは被相続人Xの子Cの情報を把握していなかったので、Cの情報は配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹記憶部24には入力されていない。しかし、被相続人Xの戸籍には子Cが記載されている(S920)。そのため、情報処理システム1の運営会社の担当者により入力された、登録されていない関係者がいる事実およびその関係者の情報を、相続調査処理部21は、電子メールなど所定の方法でユーザに通知する。ここでは、入力されていない被相続人Xの子CがいることをユーザGに対して電子メールなどで通知を行う(S930)。
【0192】
ユーザGは、上述の通知を受け、所定の方法で情報処理システム1にアクセスをする。そして、所定の画面から子Cの情報(被相続人Xとの関係性、氏名、存命、先に死亡したかあとに死亡したかなど)の入力を行い、その入力を相続調査処理部21で受け付け、直系卑属情報記憶部243に記憶させる。必要書類の取得および子Cに関する情報の入力をユーザ端末上で依頼してもよい。
【0193】
また、相続調査処理部21は、S940の依頼の受け付け後、新たな相続人の本籍の情報を、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に基づいて特定し、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、あらかじめ記憶部24に記憶する戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、新たに存在が把握された相続人の氏名、本籍、依頼者としてのユーザの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、戸籍謄本の発行依頼書、戸籍の附票の発行依頼書などを自動的に作成し、出力する。ここでは、新たに存在が把握された被相続人Xの子Cの本籍地について、直系卑属情報記憶部243を参照してこの本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、直系卑属情報記憶部243に記憶している新たに存在が把握された子Cの氏名、本籍、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、それぞれの戸籍謄本、戸籍の附票などの発行依頼書を自動的に作成し、出力する。なお、この際に、当該子Cの住所が分かる場合には、その住所地を管轄する市区町村役場を特定して、当該人物の住所証明情報(住民票など)などの発行依頼書を自動的に作成し、出力してもよい。この場合には、あらかじめ記憶部24に記憶する住所証明情報(住民票)などの発行依頼書のひな形に、あらたに存在が把握された子Cの氏名、住所、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、住所証明情報の発行依頼書などを自動的に作成し、出力すればよい。
【0194】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が送付する。各発行依頼書を受領した市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、戸籍謄本、戸籍の附票、住所証明情報などを発行し、返送する。
【0195】
行政機関から送付された戸籍謄本、戸籍の附票、住民票などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の氏名、続柄などの入力された情報について確認をし、誤りがある場合には情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S910)。また、住所、出生日についても入力を行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させる。
【0196】
また、配偶者以外の相続人と同一またはそれよりも上の相続順位を有する可能性のある新たな人物が発見された場合、直系卑属、被相続人の兄弟姉妹について代襲相続、数次相続が発生している場合、直系尊属について両親が死亡しており、その上の世代が存命の場合などは、それらの人物についても上述と同様の処理を実行する。すなわち、被相続人Xの子D、子Dの子H、新たに存在が把握された被相続人Xの子Cについては、それぞれ死亡しているので、さらに、相続調査処理部21は、それらの人物についての本籍の情報を、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に基づいて特定し、その本籍地を管轄する市区町村役場を特定し、配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の戸籍謄本、戸籍の附票などの発行依頼書を自動的に作成し、出力する。ここでは、相続調査処理部21は、被相続人Xの子D、子Dの子H、新たに存在が把握された被相続人の子Cの本籍の情報を直系卑属情報記憶部243に基づいて特定し、その戸籍謄本、戸籍の附票などの発行依頼書を自動的に作成し、出力する。
【0197】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が送付する。各発行依頼書を受領した市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、戸籍謄本、戸籍の附票、住所証明情報などを発行し、返送する。
【0198】
行政機関から送付された戸籍謄本、戸籍の附票、住民票などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の氏名、続柄などの入力された情報について確認をし、誤りがある場合には情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S910)。また、住所、出生日についても入力を行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させる。
【0199】
そうすると、被相続人Xの子Cの戸籍にはさらに子Fが記載されているので、新たな子Fがいることが把握される。そのため、情報処理システム1の運営会社の担当者は、子Cを発見した際と同様に、その子Fがいることの入力を行い、相続調査処理部21は、電子メールなどの所定の方法でユーザGに通知をする(S930)。
【0200】
この通知をユーザGが受け取ると、所定の方法で情報処理システム1にアクセスする。そして、所定の画面から当該関係者Fの情報(被相続人Xとの関係性、氏名、存命、先に死亡したか後に死亡したかなど)の入力を行い、その入力を相続調査処理部21で受け付け、直系卑属情報記憶部243に記憶させる。そして、必要書類の取得および子Fに関する情報の入力をユーザ端末5で依頼してもよい。
【0201】
また、相続調査処理部21は、S940の依頼の受け付け後、新たに存在が把握された被相続人Xの子Cの子Fの本籍地について、直系卑属情報記憶部243を参照してこの本籍地を管轄する市区町村役場を特定する。そして、戸籍謄本の発行依頼書のひな形、戸籍の附票の発行依頼書のひな形に、直系卑属情報記憶部243に記憶している新たに存在が把握された関係者Fの氏名、本籍、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、それぞれの戸籍謄本、戸籍の附票などの発行依頼書を自動的に作成し、出力する。なお、この際に、当該関係者Fの住所が分かる場合には、その住所地を管轄する市区町村役場を特定して、当該人物の住所証明情報(住民票など)などの発行依頼書を自動的に作成し、出力してもよい。この場合には、あらかじめ記憶部24に記憶する住所証明情報(住民票)などの発行依頼書のひな形に、あらたに存在が把握された関係者Fの氏名、住所、依頼者としてのユーザGの氏名、発行目的として「相続手続のため」などの所定の文言などを入力して、住所証明情報の発行依頼書などを自動的に作成し、出力すればよい。
【0202】
以上のように相続調査処理部21が各必要書類の発行依頼書を出力すると、それぞれの行政機関に対して、郵送にて依頼書を情報処理システム1の運営会社などの担当者が送付する。各発行依頼書を受領した市区町村役場などは、行政機関端末6を用いて所定の操作を行い、戸籍謄本、戸籍の附票、住所証明情報などを発行し、返送する。
【0203】
行政機関から送付された戸籍謄本、戸籍の附票、住民票などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、配偶者、直系卑属、直系尊属、被相続人の兄弟姉妹の氏名、続柄などの入力された情報について確認をし、誤りがある場合には情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S910)。また、住所、出生日についても入力を行い、相続調査処理部21は、それらの入力を受け付けて、配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243、直系尊属情報記憶部244、兄弟姉妹情報記憶部245に記憶させる。
【0204】
以上のような処理によって、入力されていない関係者がいなくなるので(S920)、相続調査処理部21は、最終的な相続人を確定するため、遺産分割処理部22は、遺産分割協議の参加権者(最終的な相続人)の特定処理を実行する(S950)。
【0205】
上述のように、ユーザが把握をしていない事実をユーザに通知することで、適切に情報の追加/修正等をすることができる。とくに新しい関係者が発見された場合であっても、ユーザに判断を仰いだ上で必要書類の取得依頼を受け付けることで、当該関係者についても必要書類の取得をユーザの使者として行うことが可能となる。
【0206】
相続調査処理部21における遺産分割協議の参加権者の特定処理としては、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて配偶者情報記憶部242を参照し、当該被相続人Xの配偶者として、配偶者Yを特定する(S1100)。そして、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人Xの死亡日と、配偶者情報記憶部242に記憶する配偶者Yの死亡日、婚姻日および離婚日を参照し、被相続人の死亡の時点において婚姻関係があり、被相続人の死亡時点において存命なので(S1110)、当該配偶者Yを相続人リストに登録する(S1120)。
【0207】
つぎに相続調査処理部21は、被相続人の直系卑属の処理を実行する(S1130)。具体的には、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて、直系卑属情報記憶部243を参照し、当該被相続人の子C、子Dを特定し、一人ずつ相続人となるかを特定する処理を実行する(S1300)。
【0208】
すなわち、処理対象とする子Cは、被相続人の死亡時点(2021年1月1日)で死亡(2020年10月10日)しているため(S1310)、子Cの代襲相続人を検索する(S1330)。具体的には子Cの直系卑属の子Fを代襲相続人として特定し、特定した子Fを相続人リストに登録する(S1320)。
【0209】
そして、処理対象とする子Cについての処理を終了し、子Dの処理を実行する(S1340)。処理対象とする子Dは、被相続人の死亡時点よりも後に死亡しているため(S1310)、子Dは相続人リストに登録する(S1320)。
【0210】
相続調査処理部21は、被相続人Xのすべての子の処理を実行したので、直系卑属の処理を終了する。
【0211】
そして、相続調査処理部21は、相続人リストに配偶者以外の相続人がいるかを判定し(S1140)、ここでは、配偶者Yのほかに、子Cの子F、子Dが相続人として登録されているので、S1150からS1170の処理をスキップして、数次相続の処理を実行する(S1180)。
【0212】
そして相続調査処理部21は、数次相続の処理として、相続人リストに登録されている相続人であって、被相続人Xよりも後に死亡した人物がいるかを判定する(S1600)。
【0213】
相続調査処理部21は、相続人リストに登録されている配偶者Y、子Cの子F、子Dについて、それぞれ配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243を参照して、存命か、死亡している場合には被相続人Xとの先後関係を判定すると、配偶者Y、子Fは存命であるが、子Dが被相続人Xの後に死亡しているので、相続調査処理部21は、子Dを
図12の被相続人として再度処理を実行する(S1610)。
【0214】
すなわち、相続調査処理部21は、Dを被相続人として配偶者情報記憶部242を参照して、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて配偶者情報記憶部242を参照し、当該Dの配偶者として、配偶者Eを特定する(S1100)。そして、被相続人情報記憶部241に記憶するDの死亡日と、配偶者情報記憶部242に記憶する配偶者Eの死亡日、婚姻日および離婚日を参照し、被相続人の死亡の時点において婚姻関係があり、被相続人の死亡時点において存命なので(S1110)、当該配偶者Eを相続人リストに登録する(S1120)。
【0215】
つぎに相続調査処理部21は、Dの直系卑属の処理を実行する(S1130)。具体的には、相続調査処理部21は、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人識別情報に基づいて、直系卑属情報記憶部243を参照し、当該被相続人の子G、子Hを特定し、一人ずつ相続人となるかを特定する処理を実行する(S1300)。
【0216】
すなわち、処理対象とする子Hは、Dの死亡時点(2021年5月10日)で死亡(2015年1月1日)しているため(S1310)、子Hの代襲相続人を検索する(S1330)。具体的には子Hの直系卑属の子Jを代襲相続人として特定し、特定した子Jを相続人リストに登録する(S1320)。
【0217】
そして、処理対象とする子Hについての処理を終了し、子Gの処理を実行する(S1340)。処理対象とする子Gは、存命であるため(S1310)、子Gは相続人リストに登録する(S1320)。
【0218】
相続調査処理部21は、Dのすべての子の処理を実行したので、直系卑属の処理を終了する。
【0219】
そして、相続調査処理部21は、Dの相続人リストに配偶者以外に一人以上の相続人が登録されていることから、S1150からS1170の処理をスキップして、S1180の数次相続の処理を実行する(S1180)。
【0220】
相続調査処理部21は、Dの相続人リストに登録されている配偶者E、子Hの子J、子Gについて、それぞれ配偶者情報記憶部242、直系卑属情報記憶部243を参照して、存命か、死亡している場合にはDとの先後関係を判定すると、配偶者E、子Hの子J、子Gは存命であるので、相続調査処理部21は、数次相続処理を終了する。
【0221】
そしてこの数次相続処理の終了によって、被相続人Xの相続人リストに登録されている子Dに対する数次相続処理も終了したので、相続調査処理部21は、被相続人Xの遺産分割協議の参加権者として、相続人リストに登録されている相続人(配偶者Y、子C、子Cの代襲相続人であるF(子Cの子)、子D、子Dの数次相続人であるE(子Dの配偶者)、子Dの数次相続人であるJ(子Dの子Hの代襲相続人)、子Dの数次相続人であるG(子Dの子)のうち、存命者である配偶者Y、子Cの代襲相続人であるF(子Cの子)、子Dの数次相続人であるE(子Dの配偶者)、子Dの数次相続人であるJ(子Dの子Hの代襲相続人)、子Dの数次相続人であるG(子Dの子)を、被相続人Xの確定した相続人として特定する(S1190)。ここで特定した、確定した相続人が被相続人Xの遺産分割協議の参加権者となる。
【0222】
以上の処理によって相続調査処理部21における遺産分割協議の参加権者の特定処理を実行すると、相続調査処理部21は、それぞれの確定した相続人について、取得を依頼された書類の取得が完了しているかを確認し(S960)、依頼された書類の取得が完了していない確定した相続人がいれば、S900と同様に、それをユーザに所定の画面や電子メールなどにより通知し、書類の不足がある相続人の必要書類の取得の依頼を受け付ける。
【0223】
そして、すべての確定した相続人について、行政機関などから送付された不動産評価証明書、戸籍、住所証明情報などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、当該ユーザについてのステータスについて、「証明書類の収集」が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を事前準備処理部20で受け付ける(S970)。この状態の一例を示すのが
図32の画面である。
【0224】
すべての確定した相続人についてすべての必要書類が終了すると、法定相続情報一覧図の申請を行う法務局を、被相続人情報記憶部241に記憶する被相続人Xの本籍または最後の住所地、ユーザ情報記憶部240に記憶するGの住所、相続財産情報記憶部247に記憶する不動産の住所地のいずれかの情報を参照して特定する(S980)。
【0225】
そして、相続調査処理部21は、情報処理システム1の運営会社などの担当者による、必要とする法定相続情報一覧図の通数の入力および、法定相続情報一覧図の申請書作成の押下を受け付けることで、法定相続情報一覧図申請書を自動作成し、出力する(S990)。この際には、当該ユーザGの住所をユーザ情報記憶部240から抽出し、あらかじめ記憶部24に記憶する法定相続情報一覧図申請書のひな形に、ユーザGの住所、被相続人Xの関係者の関係図などを自動的に入力し、出力する。情報処理システム1の運営会社などの担当者は、出力した法定相続情報一覧図申請書に、あらかじめユーザの署名、捺印を受けた上で、必要書類とセットにしてS980で特定した法務局に対して発送する。
【0226】
また、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、法定相続情報一覧図がユーザGに送付された場合の返送先となる当該運営会社の住所などを印刷した返送用封筒などを印刷し、ユーザ情報記憶部240に記憶するユーザGの住所宛に、当該返送用封筒を発送する(S1000)。
【0227】
ユーザGは、法務局から返送された法定相続情報一覧図を受領すると、情報処理システム1の運営会社から送付された返送用封筒に入れ、情報処理システム1の運営会社に返送をする。そして、この返送を受領すると(S1010)、情報処理システム1の運営会社などの担当者は、受領した法定相続情報一覧図を所定の方法でスキャンする操作を行い、その入力を相続調査処理部21で受け付けて、データ化して所定の記憶部24に記憶させる(S1020)。
【0228】
以上のような処理によって、相続調査処理部21の処理が終了する。
【0229】
相続調査処理部21の処理が終了すると、遺産分割処理部22による遺産分割処理を実行する(S120)。
【0230】
遺産分割処理部22は、まず遺産分割協議の内容の入力を促すため、ユーザGに対して、遺産分割協議の情報の入力依頼を電子メール、メッセージなどによって送る(S1700)。この入力依頼を受け付けると、遺産分割処理部22はユーザ端末5に
図32の画面を表示させ、ユーザGが「回答する」のボタンを押下すると、それを受け付けて、
図32の確認画面に示すように、相続人リストに登録されている確定した相続人(ここでは、配偶者Y、子Cの子F、子Dの配偶者E、子Dの子Hの子J、子Dの子G)の情報を相続人情報記憶部246から抽出し、また相続財産(ここでは不動産α1、α2、預貯金口座β)の情報を相続財産情報記憶部247に対応する不動産情報記憶部249、預貯金口座情報記憶部248から抽出し、相続人および相続財産の一覧の確認画面を表示させる。
【0231】
ユーザによる確認後、遺産分割処理部22は、「次に進む」などの押下を受け付けると、
図34の相続財産選択画面をユーザ端末5に表示させ、相続財産の選択をユーザ端末5から受け付ける。そして、その選択を受け付けると、遺産分割処理部22は、「次に進む」などの押下を受け付けると、
図35の分割内容受付画面をユーザ端末5に表示させ、
図34で選択された相続財産をどの相続人が相続するか、複数の相続人で共有する場合には相続人および共有割合の情報、また名義変更に関する書類の受領先の情報を受け付ける。
【0232】
受け付けた情報は、相続人情報記憶部246、相続財産情報記憶部247などにそれぞれ記憶する。
【0233】
そして遺産分割処理部22は、相続人の人数(一人のみ)、相続財産の種別(現金・預貯金のみなど)、遺言書の内容に従っている場合などあらかじめ定めている条件を充足しているかにより、遺産分割協議書を作成するか否かを判定する。遺産分割協議書を自動作成する場合には、あらかじめ記憶している遺産分割協議書のひな形に、被相続人、相続人、S1710で入力を受け付けた相続財産ごとの相続の内容などに反映することで遺産分割協議書を自動作成する(S1720)。
【0234】
また、相続財産に不動産がある場合には、ユーザGのユーザ端末5から「申請書の自動作成」などのボタンの押下を受け付けることで、不動産の登記申請書の自動作成処理を実行する(S1730)。
【0235】
登記申請書の自動作成処理においては、遺産分割処理部22は、当該ユーザGの識別情報に基づいて相続財産情報記憶部247に記憶する所有者識別情報(被相続人Xの識別情報)を特定し、特定した所有者識別情報を用いて不動産情報記憶部249を参照し、当該被相続人が所有する不動産の属性情報、持分割合など不動産α1、不動産α2の情報を取得し(S1800)、また登記申請の単位を特定する(S1810)。
【0236】
そして、遺産分割処理部22は、まとめた財産移転イベントごとに、あらかじめ記憶している登記申請書のひな形に、相続人Gの住所、不動産評価証明書における課税価格、不動産α1、不動産α2の所在、家屋番号などの不動産の表示の情報などを、各記憶部24に記憶した情報を抽出し自動的に入力することで、登記申請書を自動作成して出力する(S1820)。
【0237】
さらに、相続財産に預貯金等があるので、遺産分割処理部22は、当該ユーザGの識別情報に基づいて相続財産情報記憶部247に記憶する所有者識別情報(被相続人Xの識別情報)を特定し、特定した所有者識別情報を用いて預貯金口座情報記憶部248を参照し、当該被相続人Xが保有する預貯金口座βの属性情報(金融機関、支店、口座種別、口座番号など)を特定し、あらかじめ記憶している、金融機関ごとの相続による名義変更手続の書類のひな形を特定する。そして、当該ひな形に、被相続人、相続人の情報などを、各記憶部24に記憶した情報を抽出し自動的に入力することで、各金融機関ごとの名義変更手続の書類を自動作成する(S1740)。
【0238】
以上のようにして自動作成した、遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類などを出力し、ユーザ情報記憶部240に記憶するユーザGの住所または送付先として入力を受け付けた相続人の住所などに、それぞれ該当する書類を発送する(S1750)。
【0239】
発送された書類を受領したユーザGおよび各相続人は、遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類などを確認し、問題がなければ署名、捺印をする。そして、署名、捺印した遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類、印鑑証明書などの書類を、本発明の情報処理システム1の運営会社に発送する(S1770)。
【0240】
運営会社の担当者は、S1770で発送された書類を受領したことを確認すると、当該ユーザGのステータスについて、「申請書類の作成・捺印」が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を遺産分割処理部22で受け付ける(S1780)。
【0241】
以上の処理で遺産分割処理を終了する。そして、遺産分割処理部22による遺産分割処理が終了すると、名義変更処理部23による名義変更処理を実行する(S130)。
【0242】
名義変更処理部23は、遺産分割処理部22におけるS1780で受領した遺産分割協議書、登記申請書、各相続財産の名義変更手続の書類、印鑑証明書などについて、それぞれ対応する書類の送付先に発送を行う(S1900、S1910)。そして、書類の発送後、運営会社の担当者は、当該ユーザGのステータスについて、「名義変更書類の提出」が終了したことを示すステータスに変更し、その入力を名義変更処理部23で受け付ける(S1920)。
【0243】
発送された書類を受領した法務局、各金融機関などは、それぞれ名義変更手続を行い(S1930)、名義変更手続の完了後、それぞれの相続人に名義変更が完了したことを示す書類が返送される。
【0244】
以上のような処理を実行することで、本発明の情報処理システム1を用いて、被相続人Xの相続手続の支援を行うことができる。また、本発明の情報処理システム1は、代表相続人などのユーザが入力した情報に基づいて各依頼書を出力して送付をするなど、ユーザの使者として運営会社の情報処理システム1が利用されるので、弁護士法、司法書士法、税理士法などにも抵触をしない。
【実施例3】
【0245】
実施例1および実施例2の変形例として、所定の法的に有効な文書がある場合の処理を説明する。この場合、実施例1および実施例2における事前準備処理部20における関係者情報の入力受付処理(
図5)、相続調査処理部21における相続調査処理(
図11)、遺産分割処理部22における遺産分割処理(
図17)の処理の代わりとして、
図48乃至
図50のフローチャートによる各処理が実行される。
【0246】
事前準備処理部20における事前準備処理として、ユーザがユーザ端末5から所定の方法により、本発明の情報処理システム1にアクセスし、認証情報を用いてログインをする処理(S220)までの処理は、
図4のフローチャートの処理と同様である。
【0247】
そして、ログイン後、ユーザから、ユーザ端末5を介して、事前準備処理部20は事前情報として、ユーザが知る限りの相続手続に関係する人物である関係者情報の入力を受け付け、記憶部24に記憶させる(S230)。
【0248】
関係者情報の入力受付処理としては、まず、被相続人(今回の相続手続の対象となる死亡した人)の情報の入力を
図22の被相続人の入力画面から受け付ける(S2000)。受け付けた被相続人の情報は、被相続人情報記憶部241(
図37)に記憶させる。被相続人情報記憶部241には、当該ユーザのIDに対応づけて、被相続人の氏名、本籍地、死亡年月日などのほかに、生年月日、住所など任意の情報の入力を受け付けて記憶していてもよい。
【0249】
そして、たとえば検認済みの自筆証書遺言、公正証書遺言、審判書など、有効な法的文書がある場合には(S2010)、事前準備処理部20は、その文書の情報の入力を受け付ける。たとえば、遺言書を利用するかなどの選択を、
図51に示す入力画面から入力を受け付ける。
【0250】
遺言書を利用することの入力を受け付けると、遺言書の種類の選択を、
図52に示す入力画面から入力を受け付ける。なお、遺言書を利用しない、との選択を受け付けた場合、たとえば審判書など、ほかの有効な法的文書があるかの入力を受け付けてもよい。そして、ほかの有効な法的文書がないとの選択を受け付けた場合には(S2010)、実施例1と同様に、配偶者情報の入力を受け付けるなどのS2040からS2110の処理を実行する。この処理は、
図5のS310からS380と同様の処理を実行すればよい。
【0251】
図52で遺言書の種類の選択を受け付けると、遺言執行者が設定されているかの選択を、
図53に示す入力画面から受け付ける。そして、遺言執行者が設定されているとの選択を受け付けると、
図54に示す入力画面から遺言執行者の情報の入力を受け付ける。
【0252】
以上のように文書自体の情報の入力を受け付けると、つぎに遺言書など、有効な法的文書に定められている相続人の人物の情報の入力を、
図55に示す入力画面から受け付ける(S2030)。
【0253】
以上のようにして関係者情報の入力受付処理を終了し、S240以降の処理を実施例1と同様に実行する。
【0254】
そして、事前準備処理部20における事前準備処理が終了すると、実施例1と同様に、相続調査処理部21における相続調査処理を実行する(S110)。
【0255】
相続調査処理部21では、実施例1と同様に、事前準備処理部20で特定した被相続人、相続人、相続財産などの必要書類、たとえば不動産評価証明書、戸籍、住所証明情報などの必要書類を、ユーザの使者として取得するための処理を行う(S2200)。なお、相続人の情報は、S2030で入力を受け付けた相続人でよい。
【0256】
そして、行政機関から送付された不動産評価証明書、戸籍、住民票の除票などの各必要書類のすべてを、情報処理システム1の運営会社などで受領したことを確認すると、担当者は、所定の画面で受領した書類について「書類の収集が完了」などを押下し、その入力を受け付けた相続調査処理部21は、当該書類のステータスを「書類収集完了」などに変更する。この際に、被相続人の氏名、本籍地、死亡日などについて入力された情報について確認をし、誤りがある場合には情報入力の依頼に基づいて入力を修正する(S2210)。また、出生日など各書類に記載された書類のうち必要な情報についても入力を行う。なお、この入力は、ユーザが入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて被相続人情報記憶部241に記憶させてもよいし、情報処理システム1の運営会社の担当者が入力を行ってそれを相続調査処理部21で受け付けて被相続人情報記憶部241に記憶させてもよい。
【0257】
そして、事前準備処理部20において有効な法的文書があることの情報を受け付けていると(S2220)、相続調査処理部は、S2030で入力を受け付けた相続人を相続人リストに登録し(S2230)、S2280以降の処理を実行する。S2280以降の処理は、
図11におけるS960以降の処理と同様の処理を実行すればよい。
【0258】
また、事前準備処理部20において有効な法的文書があることの情報を受け付けていない場合には(S2220)、S2240以降の処理、すなわち実施例1におけるS920以降の処理と同様の処理を実行すればよい。
【0259】
また、相続調査処理部21における相続調査処理が終了すると、実施例1と同様に、遺産分割処理部22における遺産分割処理を実行する(S120)。
【0260】
遺産分割処理部22では、事前準備処理部20において有効な法的文書があることの情報を受け付けていると(S2400)、その場合には
図17におけるS1700乃至S1720における遺産分割協議の情報の入力、遺産分割協議書の自動作成等の処理は不要となるので、相続財産に不動産がある場合には、「申請書の自動作成」などのボタンの押下を受け付けることで、不動産の登記申請書の自動作成処理を実行する(S2440)。そして、S1730以降の処理と同様の処理を実行する。
【0261】
また、遺産分割処理部22では、事前準備処理部20において有効な法的文書があることの情報を受け付けていない場合には(S2400)、
図17におけるS1700以降の処理と同様に、まず遺産分割協議の内容の入力を促すため、ユーザに対して、遺産分割協議の情報の入力依頼を電子メール、メッセージなどによって送る(S2410)。この入力依頼を受け付けると、ユーザは、遺産分割協議の情報を所定の方法で入力し、その入力を遺産分割処理部22で受け付ける(S2420)。遺産分割協議の情報の入力を受け付けた遺産分割処理部22は、当該ユーザの識別情報に対応づけて所定の記憶部24に記憶させる。そして、遺産分割処理部22は、実施例1の
図17と同様に、S1720以降の処理を実行する(S2430)。
【0262】
また、それ以降の処理も、S2440以降の処理、すなわち実施例1の
図17におけるS1730以降の処理と同様の処理を実行すればよい。
【0263】
このような処理を行うことで、遺言書など有効な法的文書がある場合でも対応することができる。
【実施例4】
【0264】
実施例1乃至実施例3における事前準備処理部20における事前準備処理として、ユーザ登録後、遺産分割の内容について相続人同士でもめているなど、被相続人の相続手続において紛争が発生している、紛争が発生する可能性があるかの確認を行ってもよい。事前準備処理部20が、紛争の発生またはその可能性があることの情報をユーザ端末5から受け付けた場合には、当該被相続人における相続手続において、情報処理システム1を利用できないとして利用不可の通知をユーザ端末5に行ってもよい。
【0265】
また、事前準備処理に限らず、紛争の発生またはその可能性があることの情報は、どの段階でユーザ端末5から受け付けてもよく、情報処理システム1がその情報を受け付けると、当該被相続人における相続手続において、情報処理システム1を利用できないとして利用不可の通知をユーザ端末5に行ってもよい。この場合、入力を受け付けた情報を消去するとともに、取得した書類がある場合には、その書類の返送手続をユーザに行うようにしてもよい。
【実施例5】
【0266】
実施例1乃至実施例4では、ユーザが把握している関係者の情報の入力をユーザ端末5から事前準備処理部20で受け付けて相続人を特定して相続人仮リストに登録し、ユーザの使者として、相続人仮リストに登録した相続人に対する必要書類の取得等の依頼を受け付けていた。そして、取得した必要書類に基づく関係者の情報を用いて再度、相続人を特定して相続人リストに登録し、相続人リストに登録した相続人を遺産分割協議の参加権がある相続人としていた。そのため、相続人特定処理を少なくとも2回行っていた。
【0267】
そこで、事前準備処理部20で入力を受け付けた関係者の情報と、取得した必要書類に基づく関係者の情報に相違がない場合には、相続調査処理部21における相続人の特定処理を行わずともよい。この場合、相続人仮リストに登録されている相続人を、相続人リストに登録されている相続人としてもよい。これによって、相続調査処理部21における相続人特定処理を省略することができる。
【0268】
なお、事前準備処理部20で入力を受け付けた関係者の情報と、取得した必要書類に基づく関係者の情報に相違がない場合とは、関係者が同じである場合のみならず、関係者の死亡日、特に被相続人の死亡と関係者の死亡の先後関係、出生の先後関係など、相続に影響を与えない範囲の相違であれば、相違がないとして扱ってよい。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本発明の情報処理システム1を用いることで、知識がない一般の人でもコンピュータさえ使用できれば適切に相続財産の名義変更手続を行うことができる。また、それを実現する本発明の情報処理システム1は、弁護士法、司法書士法、税理士法などにも抵触をしない。
【符号の説明】
【0270】
1:情報処理システム
2:管理端末
3:利用者端末
4:提携会社端末
5:ユーザ端末
6:行政機関端末
7:金融機関端末
20:事前準備処理部
21:相続調査処理部
22:遺産分割処理部
23:名義変更処理部
24:記憶部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
240:ユーザ情報記憶部
241:被相続人情報記憶部
242:配偶者情報記憶部
243:直系卑属情報記憶部
244:直系尊属情報記憶部
245:兄弟姉妹情報記憶部
246:相続人情報記憶部
247:相続財産情報記憶部
248:預貯金口座情報記憶部
249:不動産情報記憶部
【要約】
【課題】
相続の際に、不動産、金融機関の預貯金、株式などの相続財産の名義変更手続を相続人が自ら行うことを支援する情報処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
ユーザが利用するユーザ端末からの関係者の情報の入力を受け付ける事前準備処理部と、被相続人の相続財産の遺産分割協議の参加権を有する者を特定する相続調査処理部と、を有しており、事前準備処理部は、ユーザ端末から入力を受け付けた関係者の情報を用いて、被相続人の相続における相続人を判定し、判定した相続人の必要書類の取得の依頼をユーザ端末から受け付け、相続調査処理部は、依頼に基づいて取得した必要書類に基づく関係者の情報を用いて、被相続人の相続における相続人を判定して、遺産分割協議の参加権を有する者とする、情報処理システムである。
【選択図】
図1