(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】車両搬送装置
(51)【国際特許分類】
B60P 3/075 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
B60P3/075
(21)【出願番号】P 2020063014
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】泉 立哉
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-053082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0152449(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086320(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0142488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤが搭載される本体と、前記本体に取り付けられた車輪と、前記車輪を回転駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御部と、前記本体に搭載された前記タイヤの前後方向位置を検知するセンサとを備えた車両搬送装置であって、
当該車両搬送装置で前記車両を搬送する際に、前記本体に搭載された前記タイヤの前後方向位置を前記センサで検知すると共に、前記制御部が、前記センサで検知した前記タイヤの前後方向位置に基づいて前記駆動手段のトルクを調整する車両搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を自動で搬送する車両搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場で車両が完成したら、例えば大型の運搬車両に複数の完成車両が搭載され、車両待機場まで搬送される。この場合、作業者が完成車両のタイヤをロープやベルト等の緊締具で運搬車両に固縛して、タイヤの脱落を防止することが一般的である(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
上記のように運搬車両を用いて完成車両を搬送する場合、運搬車両を運転する作業者が必要になるため、コストアップを招く。そこで、下記の特許文献2には、車両を自動で搬送する自走式の車両搬送装置が示されている。このような車両搬送装置を用いれば、工場と車両待機場との間で運搬車両を運転する作業者が不要となるため、低コスト化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-20728号公報
【文献】特開2019-78099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような車両搬送装置への車両の搭載を自動で行う場合、作業者がロープ等でタイヤを固縛することができないため、走行中の急な加減速により車両のタイヤが車両搬送装置から脱落する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、車両搬送装置で車両を自動で搬送するにあたり、車両搬送装置からの車両のタイヤの脱落を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、車両のタイヤが搭載される本体と、前記本体に取り付けられた車輪と、前記車輪を回転駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御部と、前記本体に搭載された前記タイヤの前後方向位置を検知するセンサとを備えた車両搬送装置であって、前記制御部が、前記センサで検知した前記タイヤの前後方向位置に基づいて前記駆動手段のトルクを調整する車両搬送装置を提供する。
【0008】
また、前記課題を解決するために、本発明は、車両搬送装置に車両のタイヤを搭載した状態で前記車両を自動で搬送する車両搬送方法であって、前記車両搬送装置に搭載された前記タイヤの前後方向位置に基づいて、前記車両搬送装置の加速度を調整する車両搬送方法を提供する。
【0009】
このように、本発明では、本体に搭載されたタイヤの前後方向位置に基づいて、駆動手段のトルク(すなわち、車両搬送装置の加速度)を調整する。例えば、車両搬送装置が急減速すると、これに搭載された車両が慣性により前方に移動し、これに伴って車両のタイヤが本体に対して前方に移動する。このようなタイヤの前方への移動を検知したら、駆動手段の減速トルクを小さくして、車両搬送装置の減速度(負の加速度の大きさ)を小さくする。これにより、車両の慣性が小さくなって前方への移動が抑えられるため、タイヤが本体から前方に脱落する事態を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、車両搬送装置で車両を自動で搬送するにあたり、車両搬送装置からの車両のタイヤの脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】工場からコンテナヤードまで車両を自動で搬送する自動搬送システムを示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両搬送装置の側面図である。
【
図5】上記車両搬送装置の車輪止め付近を拡大して示す側面図である。
【
図6】上記車両搬送装置の駆動輪ユニットの断面図である。
【
図7】コンテナヤードに配された車両及び上記車両搬送装置の平面図である。
【
図8】コンテナヤードに配された車両及び上記車両搬送装置の平面図である。
【
図9】他の実施形態に係る車両搬送装置の車輪止め付近を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る車両搬送装置1は、
図1に示すように、工場Fで完成した車両Cを、車両待機場であるコンテナヤードYに搬送するものである。車両搬送装置1は、システム制御部Sからの無線指令(点線矢印)に従って、工場FとコンテナヤードYとの間を往復する。本実施形態では、車両Cが前輪駆動車であり、車両Cの前輪(駆動輪)のみを車両搬送装置1に搭載し、前記車両の後輪(従動輪)を接地した状態で車両Cを搬送する。
【0014】
車両搬送装置1は、
図2~4に示すように、車両Cの左右の前輪タイヤW1が搭載される本体2と、本体2の幅方向両側に設けられた駆動輪ユニット3と、本体2に設けられた補助輪4と、システム制御部Sからの無線指令を受信する受信器8とを有する。尚、以下では、車両搬送装置1の各部を説明するにあたり、車両搬送装置1に車両Cを搭載した状態で、当該車両Cの車幅方向(
図3及び
図4の左右方向)を「幅方向」と言い、当該車両Cの前方(
図2の左側、
図4の下側)及び後方(
図2の右側、
図4の上側)をそれぞれ「前方」及び「後方」と言う。
【0015】
本体2には、
図4に示すように、駆動輪ユニット3に電力を供給するバッテリー6と、駆動輪ユニット3を制御する制御部7とが搭載される。本体2には、車両Cの前輪タイヤW1の転がりを防止する車輪止め5が設けられる。本実施形態では、左右の前輪タイヤW1のそれぞれの前方及び後方への移動を規制する前後一対の車輪止め5(すなわち、合計4個の車輪止め5)が設けられる。
図2に示すように、前方の車輪止め5には、後方へ向けて徐々に降下する傾斜面5aが設けられ、後方の車輪止め5には、前方へ向けて徐々に降下する傾斜面5aが設けられる。
【0016】
本体2には、前輪タイヤW1の前後方向位置を検知するセンサが設けられる。本実施形態では、
図5に示すように、各車輪止め5に、前輪タイヤW1の前後方向位置を検知するセンサ20が設けられる。センサ20は、例えば、各車輪止め5の傾斜面5aに設けられる。図示例では、各車輪止め5の傾斜面5aのうち、前輪タイヤW1との接触点よりも上方にセンサ20が設けられ、例えば、傾斜面5aの上下方向中央よりも上方に設けられる。センサ20は、接触式であっても非接触式であってもよく、本実施形態では、接触式センサが使用される。
【0017】
駆動輪ユニット3は、
図6に示すように、駆動輪9と、駆動輪9を軸心周りに回転駆動する駆動手段と、本体2に固定され、駆動輪9及び駆動手段を収容するケーシング13とを備える。
【0018】
駆動輪9は、同軸上に並べて配された一対の車輪10で構成される。一対の車輪10の外径は等しく、図示例では、同一の車輪10を軸心方向に対向させて使用している。
【0019】
駆動手段は、例えば、車輪10ごとに設けられたモータで構成され、本実施形態では、各車輪10の内周に配されたインホイールモータ11で構成される。インホイールモータ11の回転軸11aは、車輪10の軸心に固定される。各インホイールモータ11は、バッテリー6及び制御部7(
図4参照)と接続され、制御部7からの指令に基づいて回転駆動される。各インホイールモータ11の本体11bは、転舵軸12に固定される。転舵軸12は、ケーシング13に固定されたフレーム14に、軸受15を介して自由回転可能な状態で取り付けられる(すなわち、360°転舵可能とされる)。以上により、一対の車輪10からなる駆動輪9が、本体2に対して転舵軸12を中心に一体に回転可能とされる。
【0020】
補助輪4は、駆動輪9の軸心よりも前方又は後方あるいはこれらの双方に設けられ、本実施形態では、駆動輪9の軸心よりも前方に設けられる。補助輪4の数は特に限定されず、例えば幅方向に離隔した2箇所に設けられる。各補助輪4は、駆動輪9の車輪10よりも外径が小さい車輪で構成される。各補助輪4は、自身の軸心周りに回転自在で、且つ、鉛直方向の回転軸周りに回転自在な状態で、本体2に取り付けられる。
【0021】
受信器8は、システム制御部S(
図1参照)からの電波を受信可能な位置に設けられ、制御部7と接続される。本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、搭載される車両Cの上面と略同じ高さに受信器8が設けられる。図示例では、駆動輪ユニット3のケーシング13から上方に延びた支柱16の上端に受信器8が取り付けられる。受信器8は、例えば、各駆動輪ユニット3の上方に一個ずつ設けられる。
【0022】
以下、上記の車両搬送装置1により車両Cを搬送する手順を説明する。
【0023】
まず、工場F(
図1参照)で、車両Cの前部を図示しないリフト手段で上昇させ、この状態で、車両Cの前部の下方に車両搬送装置1の本体2を潜り込ませる。そして、リフト手段で車両Cの前部を降下させ、左右の前輪タイヤW1を車両搬送装置1の本体2の上に搭載する。このとき、各前輪タイヤW1を前後一対の車輪止め5の間に嵌まり込ませることで、本体2上での前輪タイヤW1の前後移動が規制される(
図2参照)。尚、本体2に搭載された前輪タイヤW1は、パーキングブレーキや固縛による回転規制はされていない。
【0024】
本実施形態では、車両Cの前輪タイヤW1を車両搬送装置1に搭載する工程が、システム制御部Sからの指令により自動(無人)で行われる。このとき、前輪タイヤW1が本体2の所定位置に搭載されたか否かをセンサ20により確認する。
【0025】
例えば
図5に実線で示すように、前輪タイヤW1が正規の位置に搭載されると、前方及び後方のセンサ20の何れもOFFになる。一方、
図5に点線で示すように、前輪タイヤW1が正規の位置よりも前方(図中左側)に偏った位置に搭載されると、前輪タイヤW1が前方のセンサ20に接触してこのセンサ20がONになる。逆に、前輪タイヤW1が正規の位置よりも後方(図中右側)に偏った位置に搭載されると、前輪タイヤW1が後方のセンサ20に接触してこのセンサ20がONになる。
【0026】
すなわち、前輪タイヤW1を車両搬送装置1の本体2に搭載したときに、全てのセンサ20がOFFになっていれば、制御部7が、左右の前輪タイヤW1が本体2上の所定の前後方向範囲内に搭載されたと判定する。この場合、制御部7は、当該車両搬送装置1による車両Cの搬送を進める。
【0027】
一方、前輪タイヤW1を車両搬送装置1の本体2に搭載したときに、何れかのセンサ20がONになったら、制御部7が、そのセンサ20に接触した前輪タイヤW1が前方あるいは後方にずれていると判定する。この場合、制御部7が、当該車両搬送装置1による車両Cの搬送を一旦停止し、作業者が状況を確認することにより、前輪タイヤW1が本体2に正常に搭載されない状態で搬送を続ける事態が回避され、搬送中の前輪タイヤW1の本体2からの脱落を防止できる。
【0028】
ところで、車両搬送装置1の本体2に車両Cの前輪タイヤW1を搭載したときに、前輪タイヤW1の軸心が駆動輪9の軸心よりも後方に配されると、本体2が後側に傾く恐れがある。従って、本体2上の前輪タイヤW1の軸心は、駆動輪9の軸心よりも前方(補助輪4側)に配することが好ましい。一方、前輪タイヤW1の軸心が補助輪4に近すぎると、小径な補助輪4に過大な荷重が加わるため、本体2上の前輪タイヤW1の軸心は、駆動輪9の軸心寄りの位置に設けることが好ましい。具体的には、前輪タイヤW1の軸心を、駆動輪9と補助輪4の前後方向中央よりも後方に配することが好ましく、駆動輪9の前端よりも後方に配することがより好ましい。
【0029】
こうして、車両Cの前輪タイヤW1を車両搬送装置1に搭載し、後輪タイヤW2を接地した状態で、車両搬送装置1を駆動して車両Cを搬送する(
図1の矢印P1参照)。具体的には、システム制御部Sからの指令を車両搬送装置1の受信器8(
図2及び
図3参照)が受信し、この指令が制御部7に伝達され、この指令に従って制御部7が各駆動輪9の駆動手段(インホイールモータ11)を駆動する。このとき、各駆動輪9の一対の車輪10を駆動するインホイールモータ11のトルクを異ならせることで、各駆動輪9を転舵させて車両搬送装置1をカーブさせることができる。
【0030】
車両搬送装置1で車両Cを搬送する際に、車両搬送装置1が急減速あるいは急加速すると、車両Cが慣性により車両搬送装置1に対して前方あるいは後方に移動して、車両Cの前輪タイヤW1が車輪止め5に乗り上げることがある。特に、本実施形態では、車両搬送装置1に搭載される前輪タイヤW1は、パーキングブレーキや固縛による回転規制がされておらず、自由に回転可能な状態であるため、前輪タイヤW1が車両搬送装置1に対して前後方向に移動しやすい。
【0031】
例えば、車両搬送装置1が急減速すると、
図5に点線で示すように、前輪タイヤW1が前方の車輪止め5に乗り上げる。このとき、前輪タイヤW1が、前方の車輪止め5に設けられたセンサ20と接触してこのセンサ20がONになると、その信号が制御部7に送信され、制御部7がインホイールモータ11のトルクを低減し、車両搬送装置1の減速度(負の加速度)を緩める。これにより、車両搬送装置1に対する前輪タイヤW1の前方への相対移動が抑えられるため、前輪タイヤW1が前方の車輪止め5を乗り越えて本体2から脱落する事態を防止できる。
【0032】
一方、車両搬送装置1が急加速すると、前輪タイヤW1が後方の車輪止め5に乗り上げる(図示省略)。このとき、前輪タイヤW1が、後方の車輪止め5に設けられたセンサ20と接触してこのセンサ20がONになると、その信号が制御部7に送信され、制御部7がインホイールモータ11のトルクを低減し、車両搬送装置1の加速度を緩める。これにより、車両搬送装置1に対する前輪タイヤW1の後方への相対移動が抑えられるため、前輪タイヤW1が後方の車輪止め5を乗り越えて本体2から脱落する事態を防止できる。
【0033】
こうして、車両搬送装置1が、システム制御部Sからの指令に従って所定の経路を走行し、コンテナヤードY内の所定位置まで車両Cを搬送する(
図7の矢印Q1参照)。そして、図示しないリフト手段で車両Cの前部を上昇させ、この状態で車両搬送装置1を前方に走行させて車両Cの下方から退避させる(
図7の矢印Q2参照)。その後、リフト手段で車両Cの前部を降下させ、前輪タイヤW1を接地させる。
【0034】
そして、車両Cから分離された車両搬送装置1は、コンテナヤードY内に配置された多数の車両Cの間に配置される。コンテナヤードY内では、車両Cはできる限り密に配置することが好ましいが、車両Cの前後方向間隔D2は車両搬送装置1の前後方向寸法D1に依存するため、車両搬送装置1の前後方向寸法D1はなるべく小さいことが好ましい。本実施形態では、車両搬送装置1が、車両Cの前輪のみを搭載するものであるため、車両搬送装置1の前後方向寸法D1は車両Cのホイールベースよりも短くて済み、例えば車両Cのホイールベースの1/2以下とすることができる。このため、車両Cの前後方向間隔D2を小さくすることができ、コンテナヤードY内に車両Cを密に配置することが可能となる。
【0035】
その後、車両搬送装置1をその場に停止させた状態で、インホイールモータ11により各駆動輪9の一対の車輪10を互いに逆向きに同トルクで回転駆動することにより、各駆動輪9をその場で90°転舵させる(
図8参照)。その後、各駆動輪9の各車輪10を同方向に同トルクで回転させることにより、車両搬送装置1を幅方向(
図8の左右方向)に走行させる。車両搬送装置1が幅方向に走行し始めると、補助輪4が地面との摩擦により鉛直方向の回転軸周りに90°回転し、走行方向が幅方向となる。このとき、車両Cを搭載していない車両搬送装置1の重心が駆動輪9の軸心と補助輪4の軸心との前後方向間に配されるように、バッテリー6や制御部7等を配置することで、車両搬送装置1の走行を安定させることができる。以上により、車両搬送装置1が車両Cの前後方向間から退避される(
図1及び
図8の矢印P2参照)。
【0036】
車両搬送装置1が車両Cの間から抜け出したら、車両搬送装置1を停止させて、左右の駆動輪9を90°転舵した後、それぞれ逆向きに回転駆動して、車両搬送装置1をその場で90°回転させる(
図1の点線参照)。そして、左右の駆動輪9を再び90°転舵した後、両駆動輪9を回転駆動して、車両搬送装置1を幅方向に走行させる(
図1の矢印P3参照)。そして、空の車両搬送装置1を工場Fまで搬送したら、この車両搬送装置1に新たな車両Cを搭載して、コンテナヤードYまで搬送する。以上を繰り返すことにより、工場FからコンテナヤードYまで車両Cを自動で搬送することができる。
【0037】
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の点については重複説明を省略する。
【0038】
センサ20は、接触式のセンサに限らず、非接触式のセンサであってもよい。例えば
図9に示す例では、前方の車輪止め5の前方、及び、後方の車輪止め5の後方に非接触式のセンサ20を設けている。このセンサ20は、鉛直上方(図中鎖線参照)に前輪タイヤW1があるか否かを検知するものである。例えば、車両搬送装置1が急減速して、点線で示すように前輪タイヤW1が前方に相対移動すると、前方のセンサ20が前輪タイヤW1を検知する。この信号が制御部7に送られると、制御部7がインホイールモータ11のトルクを低減して、車両搬送装置1の減速度を緩める。
【0039】
車両搬送装置1の駆動機構の構成は上記に限られない。例えば、上記の実施形態では、各駆動輪9が一対の車輪10からなる場合を示したが、これに限らず、各駆動輪9を一個の車輪で構成してもよい。この場合、駆動輪9が取り付けられた転舵軸12を回転駆動する別途の転舵手段(例えば転舵モータ)が設けられる。
【0040】
また、上記の実施形態では、車両の前輪のみを搭載して搬送する車両搬送装置1を示したが、これに限らず、車両の後輪のみを搭載して搬送する車両搬送装置や、車両の四輪全てを搭載して搬送する車両搬送装置に本発明を適用してもよい。
【0041】
また、上記の実施形態では、2個の駆動輪9と2個の補助輪4を設けた車両搬送装置1を示したが、これに限られない。例えば、本体2の幅方向中央に補助輪4を1個だけ設けたり、駆動輪9の前方及び後方に補助輪4を設けたりしてもよい。あるいは、2個の駆動輪9と、それよりも前方又は後方にさらに駆動輪9を設け、3輪駆動、あるいは4輪駆動としてもよい。あるいは、駆動輪9を1個としてもよく、例えば、本体2の幅方向中央に1個の駆動輪4を設け、その後方の幅方向両端付近に一対の補助輪8を設けてもよい。
【0042】
また、上記の車両搬送装置で搬送する車両は、完成車両に限らず、例えば、荷台を搭載する前のトラック等(いわゆる、架装前車両)を含む。
【符号の説明】
【0043】
1 車両搬送装置
2 本体
3 駆動輪ユニット
4 補助輪
5 車輪止め
6 バッテリー
7 制御部
8 受信器
9 駆動輪
10 車輪
11 インホイールモータ(駆動手段)
12 転舵軸
13 ケーシング
C 車両
W1 前輪
W2 後輪
F 工場
S システム制御部
Y コンテナヤード