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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A47J27/00 103D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018219140
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020081311
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】逸見 憲一
(72)【発明者】
【氏名】石原 杏子
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067958(JP,A)
【文献】特開2017-113680(JP,A)
【文献】特開2017-070890(JP,A)
【文献】特許第4591856(JP,B1)
【文献】特開2016-117051(JP,A)
【文献】特開2007-237061(JP,A)
【文献】特公昭58-001978(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0290023(US,A1)
【文献】特開平05-245036(JP,A)
【文献】特開2006-037932(JP,A)
【文献】特開2014-073459(JP,A)
【文献】実開昭48-068809(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J27/00-27/64
B01D21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する鍋状容器と、
前記鍋状容器を収容する本体と、
前記本体の上面を覆い前記鍋状容器を閉塞する蓋体と、
前記鍋状容器に供給する水を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽から前記鍋状容器までを連通する給水路に設置され異物を捕集する捕集手段と、
前記貯留槽に貯留された前記水を前記給水路に送り込むポンプと、を備え
記捕集手段は、
前記給水路を構成する管を流れる前記水を旋回させる旋回部と、
前記旋回部の下流に位置し、前記給水路を流れる異物を捕集する捕集部と、を備え、
前記給水路は、
前記捕集部の下流側に接続する下流管を備え、
前記捕集部は、
前記旋回部と前記捕集部との間を接続している接続管に接続され、前記接続管側から下流側に向かって内径が拡大している拡径部と、
前記拡径部に接続され、前記接続管の内面を延長した仮想面よりも外側に設けられた捕集構造と、
前記捕集構造と前記給水路とを連通するバイパス流路と、を備え、
袋状に形成され、前記水が流れ込む開口部が上流側に配置され、前記水の旋回の遠心力により前記給水路内の外側へ移動させた異物を捕集し、
前記捕集構造は、
前記拡径部の大径側端部に接続して筒状に形成された外側壁と、
前記外側壁の内側に位置し筒状に形成された内側壁と、
前記外側壁の下流側端部と前記内側壁の下流側端部との間を繋ぐ下流側壁と、を備え、
前記内側壁の内側は、
前記下流管と連通し、前記給水路の一部を構成し、
前記バイパス流路は、
前記外側壁、前記内側壁、及び前記下流側壁に囲まれて形成された袋状の部分から前記下流管に向かって前記水を流す、加熱調理器。
【請求項2】
前記旋回部は、
前記水を旋回させる翼を有する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記捕集部の外周は、
前記給水路の管軸方向から見たときに、前記接続管よりも大きい、請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記バイパス流路は、
前記捕集構造と前記内側壁の内側の前記給水路とを連通する前記内側壁に設けられた貫通孔である、請求項1~3の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記捕集手段は、
前記蓋体に設置される、請求項1~4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記鍋状容器を加熱する加熱部と、
前記給水路の前記鍋状容器側の端部に設けられたスプレーノズルと、
前記ポンプを制御する制御部と、
前記鍋状容器の底部の温度を検知する第1の温度センサと、
前記鍋状容器と前記蓋体とにより囲まれた空間の温度を検知する第2の温度センサと、を備え、
前記制御部は、
前記加熱部を作動させ、前記第1の温度センサにより検知される温度t1が基準値に達し、前記第2の温度センサにより検知される温度t2が基準値よりも低い所定値に達したときに前記ポンプを駆動する、請求項1~5の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記温度t1及び前記温度t2が基準値に達し所定の期間が経過したときに前記ポンプの駆動を停止する、請求項6に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋状容器内を密閉して調理を行う加熱調理器に関し、特に鍋状容器に水を供給する給水路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器に望まれる機能は、被加熱物として米を例とした場合、まず第1に美味しい米飯を炊くということである。加えて、加熱調理器は、美味しい米飯を炊くということだけでなく、水位合わせの手間がないというような使い勝手のよいものが望まれている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に開示されている炊飯器によれば、炊飯鍋内に投入された米に対して、給水ポンプによりタンクから水が給水パイプを通過し炊飯鍋内へ供給される。タンク内にはろ過手段があり、タンク内の異物がろ過されて炊飯鍋内に水が供給される。これにより、炊飯鍋内に供給される水から米ぬかやゴミ等の不純物が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-11018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている炊飯器では、タンク内にろ過手段が設けられており、タンク内の水は、ろ過手段を通過して給水パイプへ送られる。従って、ろ過手段は、例えば繰り返し使用によって、異物によって目詰まりする場合があり、給水ポンプを動作してもろ過手段を通過する水の流量が減少し、所望の水量を炊飯鍋に供給できないという課題があった。また、ろ過手段による水中のナトリウム、マグネシウム成分の除去が不十分であった場合、給水パイプに水が残存すると、給水パイプにスケール等の米ぬかより小さい異物が発生してしまう恐れがあり、給水パイプにスケールが残ったまま給水ポンプが動作されると、スケールを含んだ水が鍋内に供給され食味を損なう要因になる場合があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、給水タンクから炊飯鍋内へ供給する水量の安定化を図りつつ、炊飯鍋に供給する水から異物を除去し、食味を損なうことなくご飯を炊くことができる加熱調理器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を収容する鍋状容器と、前記鍋状容器を収容する本体と、前記本体の上面を覆い前記鍋状容器を閉塞する蓋体と、前記鍋状容器に供給する水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽から前記鍋状容器までを連通する給水路に設置され異物を捕集する捕集手段と、前記貯留槽に貯留された前記水を前記給水路に送り込むポンプと、を備え、前記捕集手段は、前記給水路を構成する管を流れる前記水を旋回させる旋回部と、前記旋回部の下流に位置し、前記給水路を流れる異物を捕集する捕集部と、を備え、前記給水路は、前記捕集部の下流側に接続する下流管を備え、前記捕集部は、前記旋回部と前記捕集部との間を接続している接続管に接続され、前記接続管側から下流側に向かって内径が拡大している拡径部と、前記拡径部に接続され、前記接続管の内面を延長した仮想面よりも外側に設けられた捕集構造と、前記捕集構造と前記給水路とを連通するバイパス流路と、を備え、袋状に形成され、前記水が流れ込む開口部が上流側に配置され、前記水の旋回の遠心力により前記給水路内の外側へ移動させた異物を捕集し、前記捕集構造は、前記拡径部の大径側端部に接続して筒状に形成された外側壁と、前記外側壁の内側に位置し筒状に形成された内側壁と、前記外側壁の下流側端部と前記内側壁の下流側端部との間を繋ぐ下流側壁と、を備え、前記内側壁の内側は、前記下流管と連通し、前記給水路の一部を構成し、前記バイパス流路は、前記外側壁、前記内側壁、及び前記下流側壁に囲まれて形成された袋状の部分から前記下流管に向かって前記水を流す。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る加熱調理器によれば、捕集手段が水を旋回させることにより遠心力により異物を捕集手段の外周側に移動させて捕集するため、捕集手段の中央部は水の流量が変化せず鍋状容器に供給する水の量が安定し、異物も除去されるため食味を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の構成の一例を概略的に示す図である。
図2】実施の形態に係る加熱調理器の捕集手段の旋回部の斜視図である。
図3図2に示される旋回部の断面構造の模式図である。
図4】実施の形態に係る加熱調理器の捕集手段の捕集部の断面構造の説明図である。
図5】実施の形態1に係る加熱調理器において炊飯を行う際の温度変化と加熱部及びポンプの制御の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る加熱調理器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。以下の説明では、被加熱物として、米を例にした場合における加熱調理について記述するが被加熱物の対象としてはこの限りでない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100の構成の一例を概略的に示す図である。図1は、加熱調理器100の断面構造及び制御系の構成を示している。加熱調理器100は、米及び水等の食品である被加熱物を収容する鍋状容器1が本体10内に配置され、鍋状容器1内に収容された被加熱物を加熱部としての加熱コイル12で加熱することによって、被加熱物を加熱する加熱調理器である。
【0012】
図1に示されるように、加熱調理器100は、被加熱物を収容する有底筒状の鍋状容器1と、鍋状容器1を収容して被加熱物を加熱する本体10と、本体10の開口部を開閉自在に本体10に設置され、鍋状容器1の開口部において被加熱物を覆う蓋体20と、を備える。加熱調理器100は、本体10に着脱可能に取り付けられ、鍋状容器1内に給水する水を貯留する貯留槽30とを有する。また、加熱調理器100は、加熱調理器100の使用者からの各種指示の入力が行われ、各種情報の表示などを行う操作報知部42と、を有する。操作報知部42は、操作部と称する場合もある。なお、図1には、時間計測部17並びに信号線が加熱調理器100の本体10の外側に示されているが、これらの構成は、加熱調理器100の本体10又は蓋体20の内部に備えられている。以下に、加熱調理器100の各構成要素について詳細に説明する。
【0013】
(鍋状容器1)
鍋状容器1は、被加熱物を収容する有底筒形状の容器であり、例えば、誘導加熱によって発熱する磁性体の金属により構成される。通常、鍋状容器1は、鍋状容器1の上端から外側に突き出たフランジ部1aを有している。ただし、鍋状容器1の構造は、図示の例に限定されない。
【0014】
(本体10)
本体10は、鍋状容器1が収容される容器カバー11と、鍋状容器1を加熱する加熱手段として、第1の加熱部である加熱コイル12と、鍋状容器1の温度を検知する鍋底温度を計測する第1の温度センサとしての鍋底温度センサ13と、蓋体20を開閉自在に支持するヒンジ部14と、を有している。また、本体10の内部には、時間を計測する時間計測部17と、炊飯工程における炊飯動作を制御する制御部18とが備えられる。
【0015】
容器カバー11は、有底筒状に形成されていて、その内部に鍋状容器1が着脱自在に収容される。容器カバー11の底面中央には、鍋底の温度を計測する鍋底温度センサ13が挿入される孔部11aが設けられている。加熱コイル12は、制御部18によって制御された電流が通電されることによって、鍋状容器1を誘導加熱する加熱手段である。なお、鍋状容器1を加熱する加熱手段としては、加熱コイル12に代えて、電気ヒーターであるシーズヒーター等の他の加熱手段を用いてもよい。
【0016】
鍋底温度センサ13は、例えば、サーミスタで構成される。鍋底温度センサ13は、容器カバー11の孔部11aに挿入され、ばね等の弾性手段によって上方に付勢されている。そのため、鍋底温度センサ13は、容器カバー11に鍋状容器1が収容されると、鍋状容器1の底面に向けて上向きに付勢された状態で鍋状容器1の底面に接触する。鍋底温度センサ13は、検知した鍋状容器1の温度に関する温度情報を検知信号として制御部18に送る。ヒンジ部14は、本体10の上部の一端側、つまり、図1の本体10の上部の左端側に備えられ、蓋体20が本体10の開口部を開閉できるように蓋体20を支持する。
【0017】
時間計測部17は、制御部18の指示を受けて経過時間を計測し、計測した経過時間に関する時間情報を制御部18に送る。制御部18は、鍋底温度センサ13及び水タンク温度センサ16から受け取った温度情報と、時間計測部17から受け取った時間情報と、内部温度センサ43から受け取った温度情報と、操作報知部42から受け取った指示情報とに基づいて、加熱コイル12通電する高周波電流、水タンクヒーター15及びポンプ44に通電する電流を制御する。制御部18は、加熱調理器100の動作全般を制御する。なお、制御部18は、その機能を実現する制御回路のようなハードウェアで構成されるようにしてもよい。また、制御部18は、半導体メモリなどの記憶部に記憶されたソフトウェアプログラムと、このソフトウェアプログラムを実行するマイコン又はCPU(中央演算装置)のような演算装置とによって構成されるようにしてもよい。
【0018】
(蓋体20)
蓋体20は、蓋体20の上部及び側部を構成する外蓋20aと、蓋体20を閉じたときに外蓋20aの被加熱物の側に備えられる内蓋20bと、内蓋20bを加熱する蓋ヒーター23と、鍋状容器1内の温度を検知する第2の温度センサである内部温度センサ43と、を有している。蓋体20は、本体10の上面を覆うと共に鍋状容器1を内蓋20bにより閉塞するものである。また、蓋体20には、外蓋20aと内蓋20bとの間に貯留槽30から送り出される水を鍋状容器1内に給水するためのタンク側給水管路41a、ポンプ44、捕集手段25の上流側に接続する上流管41b、捕集手段25、及び捕集手段25の下流側に接続される下流管41cが設けられている。下流管41cは、鍋状容器1にスプレーノズル45が接続されている。なお、鍋状容器1内とは、蓋体20が閉じられたときに、鍋状容器1と内蓋20bとで囲まれた領域を指す。ただし、蓋体20の構造は、図示の例に限定されない。
【0019】
外蓋20aは、ヒンジ部14によって蓋体20が本体10の開口部を開閉できるように、本体10に取り付けられており、開ボタン46を押すことで蓋体20が本体10の開口部を開くようになっている。外蓋20aには、後述の貯留槽30に備えられたタンク側コネクタ34aと接合する蓋側コネクタ34bを有している。蓋体20を閉じたときにタンク側コネクタ34aと蓋側コネクタ34bとが気密性高く接合するが、開ボタン46を押して蓋体20が開くとタンク側コネクタ34aと蓋側コネクタ34bは離れる構成となっている。また、外蓋20aには、内蓋20bの蓋蒸気口20bBから蓋ヒーター23のヒーター蒸気口23aを通って鍋状容器1内の蒸気が排出されるように蒸気口24が設けられている。さらに、外蓋20aの内蓋20b側には、内部温度センサ43及びスプレーノズル45が設置される。内部温度センサ43及びスプレーノズル45は、内蓋20b及び蓋ヒーター23にそれぞれ設けられた孔に挿入されている。内部温度センサ43は、鍋状容器1内の温度を検知できるよう配置される。スプレーノズル45は、鍋状容器1内に水をスプレーできるように配置される。
【0020】
内蓋20bは、例えば、ステンレスなどの金属で構成されている。内蓋20bは、外蓋20aの本体10側の面に係止材21を介して取り付けられている。内蓋20bの周縁部には、シール材の蓋パッキン20bAが取り付けられている。蓋パッキン20bAは、蓋体20が閉じられたときに、鍋状容器1の内側の上端部、例えば鍋状容器1のフランジ部1aの内側の部分と密着し、鍋状容器1と内蓋20bで囲まれた鍋状容器1内を外部から密閉する。
【0021】
(貯留槽30)
貯留槽30は、炊飯工程中に鍋状容器1内に給水するための水を貯留する水タンク31と、水タンク31の上端の開口部に着脱可能に嵌め込まれるタンク蓋32と、水タンク31の前面側(本体10のヒンジ部14の反対側)と側面部を覆うタンクカバー33を有している。水タンク31は、例えば、プラスチックから成り、本体10の前面側(本体10のヒンジ部14の反対側)に着脱可能に取り付けられる。水タンク31を本体10の前面側とすることによって、水タンク31を本体10に着脱するのを容易にすることができ、水タンク31内の水を誤って本体10内にこぼして本体10に水を掛けてしまうというリスクを低減することができるなど、加熱調理器100の使い勝手を良くすることができる。タンク蓋32には、タンク側コネクタ34aと、タンク側コネクタ34aから下方に延びる連通管32aと、貯留槽30の内部と外部とを連通させるタンク通気孔(図示せず)が備わる。
【0022】
また、水タンク31の底部には、水タンク31を加熱する第2の加熱部としての水タンクヒーター15と、水タンク31内の水の温度を検知する第3の温度センサとしての水タンク温度センサ16とを有している。水タンクヒーター15及び水タンク温度センサ16は、例えば、本体10の、鍋状容器1内に給水される水を貯留する水タンク31の下側に備えられる。水タンクヒーター15は、制御部18によって制御された電流が通電されることによって、水タンクヒーター15に接着固定された金属板(図示せず)を加熱し、水タンク31内に貯留されている水を加熱する加熱手段である。なお、水タンク31内に貯留されている水を加熱する加熱手段としては、水タンクヒーター15に代えて加熱コイル等の他の加熱手段を用いてもよい。水タンク温度センサ16は、例えば、サーミスタで構成される。水タンク温度センサ16は前述の金属板に接触するよう配置され、水タンク温度センサ16は、検知した水タンク31の温度に関する温度情報を検知信号として制御部18に送る。
【0023】
水タンク31内の水は、ポンプ44によって、タンク蓋32の連通管32aを通って、タンク側コネクタ34aと蓋側コネクタ34bを経由し、タンク側給水管路41a、ポンプ44、上流管41b、捕集手段25、及び下流管41cを順に通り、スプレーノズル45を介して、微小な水粒子として鍋状容器1内に給水される。ただし、貯留槽30の構造は、図示の例に限定されるものではない。
【0024】
(操作報知部42)
操作報知部42は、例えば、外蓋20aの上面に備えられる。操作報知部42は、加熱調理器100の使用者から、例えば、炊飯の開始及び取り消し、炊飯される米の量(炊飯米量)の設定、予約設定などの各種指示が入力され、入力された各種指示を指示情報として制御部18に送り、各種炊飯情報として、炊飯メニュー(標準炊飯或いは早炊き炊飯、かため或いはやわらかめ、白米炊飯或いは無洗米炊飯など)、時間に関する情報、炊飯米量、加熱状態に異常が起こった場合における異常報知などを表示する機能を有している。操作報知部42から受け取った、炊飯メニュー及び炊飯米量などの指示情報に適合した炊飯プログラムは、制御部18によって実行される。制御部18は、炊飯メニュー及び炊飯米量などの指示情報に適合した炊飯プログラムに従って、加熱コイル12、水タンクヒーター15、及びポンプ44の動作を制御して、炊飯を実施する。ただし、操作報知部42における操作部としての操作ボタンと報知部としての液晶パネルとは、別個に構成されてもよい。
【0025】
(内部温度センサ43)
内部温度センサ43は、外蓋20aの内蓋20bに対向する面に設置され、内蓋20bの孔部に挿入される。内部温度センサ43は、鍋状容器1内の被加熱物の上方における温度を検知する。内部温度センサ43は、例えば、サーミスタで構成される。内部温度センサ43は、検知した鍋状容器1内の温度に関する温度情報を制御部18に送る。
【0026】
(ポンプ44)
ポンプ44は、例えばギアポンプからなり、ポンプ44のモーターの回転数は、制御部18によって制御される。貯留槽30から鍋状容器1内に給水される水の量(給水量)は、回転数の大きさが同じ場合には、ポンプ44に通電される通電時間の長さに比例する。
【0027】
(給水路41)
給水路41は、貯留槽30から鍋状容器1内の空間を連通し、貯留槽30に貯留された水を鍋状容器1に供給する経路である。給水路41は、連通管32aと、タンク側給水管路41aと、ポンプ44と、上流管41bと、捕集手段25と、下流管41cと、スプレーノズル45と、を備える。連通管32aは、タンク蓋32に設けられ貯留槽30の水タンク31内に延びる。タンク側給水管路41aは、蓋体20内に形成されており、タンク側コネクタ34a及び蓋側コネクタ34bにより連通管32aと接続されている。ポンプ44は、タンク側給水管路41aの下流側に接続され、水タンク31内の水を給水路41に引き込む。上流管41bは、ポンプ44と捕集手段25とを接続する管である。下流管41cは、捕集手段25とスプレーノズル45とを接続する管である。
【0028】
(捕集手段25)
図2は、実施の形態に係る加熱調理器100の捕集手段25の旋回部26の斜視図である。図3は、図2に示される旋回部26の断面構造の模式図である。図2の手前側が給水路41の上流側であり、奥側が下流側である。捕集手段25は、旋回部26、捕集部27を備える。旋回部26は、上流管41bの内部に設置されており、例えば図2のように、水流に旋回力を付加する翼26aと、翼26aを固定する円筒管部26bを備える。各翼26aの円筒管部26bの内壁26cに接続されている根元部26dは、螺旋状になっており、円筒管部26bの円周方向に回転しながら水流方向に向かって延びている。翼26aの上流側端部26eは、例えば内壁26cから円筒管部26bの中心に向かって水流に直交して延びている。図3に示されるように翼面26fは、曲面になっており、側方から見たときに、水流方向に向かうに従って上流側端部26eから上下方向に円弧形状を描いて立ち上がる形状になっている。旋回部26は、ポンプ44から排出される水流が翼面26fに沿って流れることにより、水流が円筒管部26bの中心軸L周りに回転する旋回力Pを付与する。なお、旋回部26の構造は、図2及び図3に示されるものに限定されず、翼26aが水流に旋回力Pを付与する形状であれば良い。
【0029】
(捕集部27)
図4は、実施の形態に係る加熱調理器100の捕集手段25の捕集部27の断面構造の説明図である。捕集部27は、上流側が上流管41bに接続されており、上流管41b内に設置された旋回部26の下流側に設けられている。旋回部26と捕集部27との間を接続する上流管41bの一部を特に接続管と呼ぶ場合がある。上流管41bは、捕集部27の上流側端部から下流側に向かって内径が徐々に拡大する拡径部27bを備える。拡径部27bの下流側の端部、即ち大径側端部は、筒状に形成された外側壁27cに接続されている。外側壁27cは、下流側に延び、下流側の端部で下流側壁27eにより内側壁27dと接続されている。内側壁27dは、捕集部27の下流側端部から上流側に向かって筒状に延びており、上流側端部27gが拡径部27bと間隔を持って位置している。また、内側壁27dの内側は、下流側の端部で下流管41cと接続されており、給水路41の一部となっている。
【0030】
内側壁27dの外側であって外側壁27cの内側の空間は、下流側が下流側壁27eにより塞がれ、袋状に形成されている。この外側壁27cと下流側壁27eと内側壁27dとにより囲まれた袋状の部分を捕集構造27aと呼ぶ。捕集構造27aは、給水路41である上流管41bの内径よりも外側に位置しており、給水路41と開口部27hで連通している。
【0031】
図4に示されるように、旋回部26を通過した旋回力Pを付与された水流の一部は、捕集部27の開口部27hから捕集構造27aに流入する構造である。捕集構造27aに流入した水が逆流して再度給水路41に出るのを抑制するため、内側壁27dにバイパス流路となる貫通孔28を設けても良い。貫通孔28は、給水路41を流れる水に含まれる異物の大きさより断面積が小さいことが望ましい。このように構成されることにより、捕集構造27aで捕集された異物は、貫通孔28からの流出が抑制される。なお、バイパス流路は、捕集構造27aの下流側端部と給水路41とを連通するように設けても良い。なお、捕集部27の構造については、図4に示されたもののみに限定されるものではない。給水路41の外側で異物を捕集し、逆流して異物が再度流出することがなければ、捕集構造27aの形状及びバイパス流路は、他の形態をとることができる。
【0032】
捕集手段25は、蓋体20から着脱自在に構成されていても良い。また、旋回部26及び捕集部27をそれぞれ個別に着脱自在に構成されていても良い。捕集手段25が蓋体20から着脱自在に構成されていることにより、捕集手段25は、取り出して洗浄することが可能となり、堆積した異物を取り除くことができる。
【0033】
(スプレーノズル45)
スプレーノズル45は、外蓋20aに設けられ、蓋体20を閉じたときに鍋状容器1の開口部に対向する位置であり、加熱調理器100の前後左右方向において鍋状容器1の中央にスプレーノズル45の中心がくるように配置されている。また、スプレーノズル45はフルコーンタイプのスプレーを噴霧するものであり、鍋状容器1側の先端から鍋状容器1の開口部に向けて略円錐型に微小な水粒子が噴霧される。実施の形態において、スプレーノズルは、加熱調理器100の前後左右方向において鍋状容器1の中央に1箇所設けられているが、複数設置されていても良い。例えば、鍋状容器1の開口を平面視した形状が楕円形状である場合は、楕円形状の長径方向に2箇所配置しても良い。つまり、鍋状容器1の開口を平面視した形状が、いかなる形状であっても、鍋状容器1の内部の全域に均等に水粒子を均等に噴霧できる様に配置されていれば良い。
【0034】
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100において炊飯を行う際の温度変化と加熱部及びポンプの制御の状態を示す図である。図5を用いて、加熱調理器100において炊飯を行う際に実行される炊飯工程について説明する。図5は、実施の形態における炊飯工程での鍋状容器温度、被加熱物温度、鍋状容器の内部温度の温度履歴と、加熱コイル12に投入される電力、ポンプ44の通電と遮断との履歴を示した図である。
【0035】
(加熱調理器100による炊飯工程)
炊飯工程は、予熱工程、昇温工程、沸騰維持工程、及び蒸らし工程で構成される。ただし、予熱工程と蒸らし工程とは、省略可能な工程である。炊飯を開始すると、炊飯工程の予熱工程が開始される。
【0036】
予熱工程とは、鍋状容器1に収容された米及び水を含む被加熱物を予熱する工程であり、鍋状容器1内の水が沸騰する前の段階で、鍋状容器1を加熱することにより、例えば、被加熱物を所定温度で所定時間加熱する。予熱工程によって、米の吸水を促進し、甘味成分である糖又は旨味成分であるアミノ酸などの旨味成分を生成する。予熱工程においては、制御部18は、鍋底温度センサ13からの温度情報に応じ加熱コイル12に電力を供給する。鍋底温度センサ13により測定される温度を、第1の温度センサの温度t1と称する。予熱工程開始直後は鍋状容器1の温度が低いため、制御部18は、加熱コイル12に電力を供給する頻度が多くなるように制御する。鍋状容器1の温度が所定の値になったところで、制御部18は、加熱コイル12に電力を供給する頻度を下げ、鍋状容器1が所定の温度で所定の時間維持されるように制御する。制御部18は、第1の温度センサとしての鍋底温度センサ13により検知された温度t1が所定の値に達し、その温度で所定時間経過したところで予熱工程を終了させ、次の工程である昇温工程に移行する。
【0037】
昇温工程とは、予熱工程の終了後に、鍋状容器1を、鍋状容器1内の被加熱物が沸騰するまで加熱する工程である。昇温工程においては、制御部18は、加熱コイル12への最大の電力供給をすることにより鍋状容器1を急速に加熱する。実施の形態1において昇温工程は、鍋状容器1内の被加熱物の温度が例えば100℃に達したところで終了する。つまり、第1の温度センサとしての鍋底温度センサ13により検知される温度t1が基準値である例えば100℃に達したところで、制御部18は、次の工程である沸騰維持工程に移行する。なお、実施の形態1において、昇温工程での基準値は、例えば100℃に設定されるが、この温度に限定されるものではない。また、炊飯工程に含まれる各工程において、基準値は1つの値のみに設定されるものではなく、各工程における基準値は異なる値に設定されていても良い。
【0038】
沸騰維持工程とは、鍋状容器1を、鍋状容器1内の水の沸騰を維持するように加熱し、米のデンプンの糊化を促進する工程である。沸騰維持工程は、さらに3つの工程に分かれており、強火工程、弱火工程、ドライアップ工程の順に実行される。
【0039】
強火工程は、強い沸騰状態を維持する工程であり、所定時間、加熱コイル12への最大の電力供給が行われる。強火工程は、鍋状容器1の内部温度が100℃に達する前に開始される。制御部18は、第2の温度センサとしての内部温度センサ43の温度情報に応じ加熱コイル12に電力を供給する。内部温度センサ43により検知される温度を、第2の温度センサの温度t2と称する。制御部18は、鍋底温度センサ13の温度t1が基準値である例えば100℃に達し昇温工程が終了した後、強火工程を開始する。そして、制御部18は、鍋底温度センサ13の温度t1が基準値に達し、さらに内部温度センサ43の温度t2が基準値に達してから所定時間経過したところで強火工程を終了させ、次の弱火工程へ移行する。実施の形態1において、強火工程での基準値は、例えば100℃に設定されるが、この温度に限定されるものではない。
【0040】
弱火工程は、強火工程よりも低い電力を加熱コイル12に供給し、沸騰を維持する。ドライアップ工程は、弱火工程よりも高い電力を加熱コイル12に供給し、鍋状容器1内の底部に残った余分な水分を蒸発させる工程である。
【0041】
蒸らし工程とは、米を蒸らすように鍋状容器1を加熱する工程であり、米飯粒の中心におけるデンプンまで十分に糊化させ、米飯粒内の水分の分布を均一化するように、鍋状容器1を加熱する工程である。蒸らし工程においては、内部温度を所定時間維持するように加熱コイル12に電力が供給される。蒸らし工程が終わると、炊飯工程が終了する。
【0042】
炊飯工程において、吹き零れが発生する工程は強火工程であり、特に内部温度が沸点近傍の温度まで昇温したときに吹き零れが起こりやすい。図5の強火工程のうち期間Wは、吹き零れが起こりやすい期間を示しており、時間にすると2~5分ほどの長さである。つまり、鍋底温度センサ13の温度t1が基準値である、例えば100℃に達して開始される強火工程において、さらに内部温度センサ43の温度t2が基準値に達する近傍の温度になった時点から2~5分が、吹き零れが起こりやすい期間である。
【0043】
鍋状容器1内が沸騰し始めるとおねばによって泡が形成され始めるが、すぐに吹き零れが発生するわけではない。沸騰が継続することによって、泡が増大して鍋状容器1内を上方へとせり上がる。鍋状容器1の上端部までせり上がった泡は、内蓋20bの蓋蒸気口20bBを経由して、蒸気口24の外にまで飛散すると吹き零れとなる。従って、鍋状容器1内の温度が沸騰温度に到達するよりも前に、スプレーノズル45からおねばの泡に向けて水粒子を供給し、泡を壊すことが望ましい。
【0044】
吹き零れを抑えるためだけであれば、鍋状容器1の内部空間の温度を下げたり、泡に冷たい水を当てたりする手段が効果的である。しかし、その場合、鍋状容器1内の米の温度まで下がり、米が受け取る熱エネルギー量が小さくなってしまう。米が受け取る熱エネルギー量が少ないと、炊きあがった米飯の美味しさが低下する。よって、おねばの泡が発生して吹き零れが起こりやすい強火工程において、吹き零れを抑制しつつ美味しく炊飯を行うためには、鍋状容器1の内部空間はできるだけ高温状態を維持して米に対して多くの熱エネルギーを与えつつ、泡を壊すことにより減少させることが重要である。
【0045】
強火工程において、制御部18は、鍋底温度センサ13の温度t1が基準値である例えば100℃に達したあと、さらに内部温度センサ43の温度t2が基準値に達する前の所定値になった時点から、ポンプ44の駆動を開始する。そして、ポンプ44の駆動を開始した後、制御部18は、内部温度センサ43の温度t2が基準値に達したのを検知してから期間W経過後に強火工程を終了させる。このとき制御部18は、ポンプ44の駆動も停止し、鍋状容器1への水の供給を停止する。
【0046】
制御部18は、強火工程時に、水タンクヒーター15を制御して水タンク31内の水を加熱し、沸騰直前の温度、例えば90℃まで加熱した熱水をスプレーノズル45からおねばの泡に向けて噴霧する。スプレーノズル45から出た熱水は、鍋状容器1の上方から鍋状容器1内にまんべんなく噴霧されるため、霧状の熱水が泡に当たり、鍋状容器1内をせり上がる泡を壊す。これにより、鍋状容器1の内部温度を下げることなく、おねばにより生じた泡が破壊され、吹き零れの発生が抑制されることになる。
【0047】
(捕集手段25の作用)
次に実施の形態1における加熱調理器100の捕集手段25の作用について説明する。使用者は、操作報知部42を押下して炊飯が開始される。炊飯開始後強火工程にさしかかると、鍋状容器1からはおねばが発生し、沸騰によっておねばがせり上がる。そのため、強火工程が開始されてから所定時間経過後、制御部18は、ポンプ44を作動させ、水タンク31から、給水路41に水を供給する。つまり、制御部18により水は、連通管32aを通りタンク側給水管路41a、ポンプ44、上流管41b、捕集手段25を通過する。
【0048】
捕集手段25に到達した水流は、まず旋回部26により旋回力Pが付与され旋回水流となる。そして、旋回水流は、旋回部26の下流に配置されている捕集部27へ流入する。捕集部27を通過し流出した水流は、スプレーノズル45より鍋状容器1へ加水される。
【0049】
給水路41は、上述した強火工程においてポンプ44が駆動されると貯留槽30の水が通過する。強火工程以外においては、給水路41は水が流れていない状態になる。例えば、加熱調理器100が炊飯を行っていない場合、基本的に給水路41から水が抜かれた状態になるが、給水路41から水分を完全に抜くことは出来ないため、給水路41内に水滴が残っている場合があり得る。給水路41に水分が残ったまま、水分が乾燥すると、水の中に含まれていたナトリウム、マグネシウム、カルシウム等の成分により給水路41内にスケールが付着する。特に、加熱調理器100が鍋状容器1内を保温状態にしている場合においては、給水路41内の水滴は蒸発し易く、スケールが発生する場合がある。
【0050】
水タンク31からポンプ44までの給水路41にスケール等の異物Qが付着している場合、異物Qを含んだ水流が鍋状容器1へ流入することになる。実施の形態に係る加熱調理器100においては、給水路41に捕集手段25が設置されているため、異物Qを含んだ水流は、捕集手段25へ流入する。水流が旋回部26を通過すると旋回水流となるが、この際、異物Qは旋回水流の遠心力により、図3に示される様に上流管41bの外側へ移動する。旋回水流は、そのまま下流の捕集部27へ流入し、上流管41bの外側へ移動した異物Qが捕集部27の開口部27hへ流入する。スプレーノズル45へ接続される給水路41は内側壁27dの内側部分であるため、水流は下流管41cに向かって流れる。一方、水よりも比重が大きい異物は、旋回水流による遠心力により、開口部27hから給水路41の外側へ移動し、拡径部27b及び外側壁27cに沿って捕集構造27aに移動する。捕集構造27aは、袋状になっているため、異物Qを捕捉することができる。
【0051】
捕集構造27aは、袋状になっているため、捕集構造27aの内部に流入した水流により乱流が生じて、捕捉した異物Qが再度給水路41に流出してしまう場合がある。よって、実施の形態においては、内側壁27dに貫通孔28が設けられており、捕集構造27aの内部の水を給水路41に戻すバイパス経路となっている。バイパス経路は、異物Qが通過できないが水が通過できる様に構成されている。そして、バイパス経路が捕集構造27aの内部の水を流出させることにより、捕集構造27aの奥から開口部27hに到る流れを抑制し、捕集構造27aに捕捉した異物Qが開口部27hまで戻らないように構成されている。
【0052】
以上の構成により、実施の形態に係る加熱調理器100においては、給水路41の水流を旋回させることにより異物Qが給水路41の外側へ移動されて捕捉される。従来技術においては、給水路41中の異物Qの除去のため、給水路41中にフィルターが設置されている場合がある。しかし、給水路41中にフィルターを設置した場合、加熱調理器の使用により、フィルターの目詰まりが発生する。これにより、貯留槽30から鍋状容器1に向かう給水路41を目詰まりしたフィルターが塞ぎ、水量が低下してしまう。一方、実施の形態に係る加熱調理器100においては、給水路41が塞がれることがないため給水路41を流れる水量が維持されたまま、異物Qがスプレーノズル45から流出する水から除去される。これにより、加熱調理器100は、給水動作中の流量低下を抑制することができ、かつ鍋状容器1に供給する水の浄化が可能になる。ひいては、加熱調理器100により調理された食物に対し異物Qの混入が抑制されるため、食物、特に米飯の食味が損なわれることがない。
【0053】
(洗浄モード)
次に、加熱調理器100において上記と異なる捕集手段25の使用方法について説明する。実施の形態に係る加熱調理器100は、給水路41内を洗浄する洗浄モードにおいて捕集手段25を使用することができる。洗浄モードは、加熱調理器100の操作報知部42を操作することにより開始される。洗浄モードは、本体10に鍋状容器1が収容された状態で行われる。このとき、鍋状容器1は、空の状態であることが望ましい。制御部18は、鍋状容器1が空の状態であることをセンサを用いて検知しても良い。制御部18は、鍋状容器1が空の状態を検知してから洗浄モードを実行可能な状態にするか、鍋状容器1が空の状態でない場合には使用者に報知しても良い。
【0054】
使用者が操作報知部42にて洗浄モードを実行すると、制御部18は、ポンプ44を作動させ、水タンク31から給水路41に水を送り込む。つまり、制御部18により水は、連通管32aを通りタンク側給水管路41a、ポンプ44、上流管41b、捕集手段25を通過する。そして、水は、スプレーノズル45から鍋状容器1へと噴霧される。このとき、上記の強火工程の時の捕集手段25の作用と同様に給水路41内のスケールなどの異物Qを捕集する。洗浄モードを行うことにより、加熱調理器100は、給水路41内のスケールを炊飯する前に除去することができるため、炊飯時において、異物Qが水に含まれる可能性を低減させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 鍋状容器、1a フランジ部、10 本体、11 容器カバー、11a 孔部、12 加熱コイル、13 鍋底温度センサ、14 ヒンジ部、15 水タンクヒーター、16 水タンク温度センサ、17 時間計測部、18 制御部、20 蓋体、20a 外蓋、20b 内蓋、20bA 蓋パッキン、20bB 蓋蒸気口、21 係止材、23 蓋ヒーター、23a ヒーター蒸気口、24 蒸気口、25 捕集手段、26 旋回部、26a 翼、26b 円筒管部、26c 内壁、26d 根元部、26e 上流側端部、26f 翼面、27 捕集部、27a 捕集構造、27b 拡径部、27c 外側壁、27d 内側壁、27e 下流側壁、27g 上流側端部、27h 開口部、28 貫通孔、30 貯留槽、31 水タンク、32 タンク蓋、32a 連通管、33 タンクカバー、34a タンク側コネクタ、34b 蓋側コネクタ、41 給水路、41a タンク側給水管路、41b 上流管、41c 下流管、42 操作報知部、43 内部温度センサ、44 ポンプ、45 スプレーノズル、46 開ボタン、100 加熱調理器、L 中心軸、P 旋回力、Q 異物、W 期間、t1 温度、t2 温度。
図1
図2
図3
図4
図5