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特許7403225アレイ基板及びその製造方法、表示パネルと表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】アレイ基板及びその製造方法、表示パネルと表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231215BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231215BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231215BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01L29/78 613Z
H01L29/78 616A
H01L29/78 616V
G09F9/00 338
G09F9/30 338
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018548446
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2017115424
(87)【国際公開番号】W WO2018223642
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】201710426034.0
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】514161567
【氏名又は名称】鄂尓多斯市源盛光▲電▼有限▲責▼任公司
【氏名又は名称原語表記】ORDOS YUANSHENG OPTOELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Ordos Equipment Manufacturing Base,Dongsheng District,Ordos,Inner Mongolia,017020,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 子▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 静
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲祺▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 群
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】河本 充雄
【審判官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0225075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018652(US,A1)
【文献】特開平10-319441(JP,A)
【文献】特開2000-349297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L29/786
H01L21/336
H01L21/8234
H01L27/06
G02F 1/1368
G02F 1/1365
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブストレートの上に能動層を形成することと、
前記能動層の上にゲート電極と第1電極を形成することと、
前記ゲート電極と前記第1電極の上に第1絶縁層を形成することと、
前記第1絶縁層の上にバリア材料層を形成することと、
一次パターニング工程により前記バリア材料層に対して処理を行うことによって、バリア部と第2電極を形成し、前記バリア部と前記第2電極は同層に設けられているとともに材料が同じであり、前記第2電極の前記サブストレート上の投影と前記第1電極の前記サブストレート上の投影は少なくとも一部が重なり、前記バリア部における前記ゲート電極の一端側から外側へ延びる部分の前記サブストレート上の投影は、前記能動層における前記ゲート電極の一端側から外側へ延びる部分の前記サブストレート上の投影内に位置することと、
前記バリア部をマスクとして用いて、前記能動層に対して第1ドープを行うことによって、能動層のチャネル領域の両側に位置するソース/ドレイン領域と、前記チャネル領域と前記ソース/ドレイン領域との間に設けられた低ドープドレイン領域を形成することと、を含み、
前記第1電極の前記サブストレート上の投影と前記能動層の前記チャネル領域、前記ソース/ドレイン領域、及び前記低ドープドレイン領域の前記サブストレート上の投影は重ならず、
前記第2電極の前記サブストレート上の投影と前記能動層の前記チャネル領域、前記ソース/ドレイン領域、及び前記低ドープドレイン領域の前記サブストレート上の投影は重ならない、
アレイ基板の製造方法。
【請求項2】
前記バリア部は開口を有し、前記開口の前記サブストレート上の投影と前記ゲート電極の前記サブストレート上の投影は少なくとも一部が重なる、
請求項1に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項3】
前記低ドープドレイン領域の幅の範囲は略0.5μm~1μmである、
請求項2に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1ドープのドープエネルギーは略30Kev~40Kevである、
請求項1に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項5】
前記ソース/ドレイン領域のドープ濃度は前記低ドープドレイン領域のドープ濃度より大きく、前記ソース/ドレイン領域のドープ濃度の範囲は略4.5×1015~6×1015イオン/cmであり、前記低ドープドレイン領域のドープ濃度の範囲は略5×1012~4.5×1015イオン/cmである、
請求項1に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項6】
前記チャネル領域の導電タイプはN型であり、前記低ドープドレイン領域の導電タイプと前記ソース/ドレイン領域のドープ領域の導電タイプはP型である、
請求項1に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項7】
前記アレイ基板の製造方法は、
前記ゲート電極と前記第1電極を形成する前に、前記能動層の上に第2絶縁層を形成することと、
前記ソース/ドレイン領域を形成した後に、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層を貫通するビアを形成することと、
前記第1絶縁層の上に、ビアを介して前記ソース/ドレイン領域と接触するソース/ドレイン電極を形成することと、をさらに含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート電極と前記第1電極を形成することは、
前記第2絶縁層の上にゲート電極材料層を形成することと、
前記ゲート電極材料層に対してパターニングを行うことによって、前記ゲート電極と前記第1電極を形成することと、を含む、
請求項7に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項9】
前記アレイ基板の製造方法は、
前記ゲート電極と前記第1電極を形成した後に、前記ゲート電極をマスクとして用いて前記能動層に対してドープを行うことによって、前記能動層のチャネル領域を限定することを、さらに含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載のアレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年6月8日に出願された中国特許出願第201710426034.0号の優先権を主張し、上記した中国特許出願に開示されている全ての内容を引用して本出願の一部とする。
【0002】
本開示は表示技術分野に関する。より具体的には、アレイ基板及びその製造方法、表示パネルと表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
薄膜トランジスタ(TFT)は表示技術分野に幅広く応用されている。しかしながら、TFTにおいてはドープによる結晶の損傷領域が現れる。当該損傷領域は、ホットキャリアによる応力を生じやすく、例えば、電子がソース領域からドレイン領域へと加速する時、ゲート絶縁層又は金属酸化物半導体(MOS)の界面を貫通する可能性がある。なお、ホットキャリアによる応力は電子遷移率を低下させる可能性があるだけではなく、オフ電流を増大させる可能性もある。これらはいずれもTFTに対して不利な影響を与える。
【0004】
エージング(Aging)工程を採用してTFTにおけるリーク電流を減少させることはすでに提案されている。しかしながら、エージング工程は、例えば、焼損、輝点の追加、異常表示等の新しい不利な影響を与える。
【0005】
一方、低ドープドレイン領域(LDD)を採用してTFTにおけるリーク電流を減少させる態様はすでに知られている。しかしながら、従来技術におけるLDD態様は、工程が複雑で設計が難しい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1発明は、アレイ基板を提供する。前記アレイ基板は、サブストレートの上に設けられ、チャネル領域と、前記チャネル領域の両側に設けられたソース/ドレイン領域と、前記チャネル領域と前記ソース/ドレイン領域との間に設けられた低ドープドレイン領域とを含む能動層と、前記能動層の上に設けられたゲート電極及び第1電極と、前記ゲート電極及び前記第1電極の上に設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられたバリア部及び第2電極と、を含み、前記第2電極の前記サブストレート上の投影と前記第1電極の前記サブストレート上の投影は少なくとも一部が重なり、前記バリア部の前記サブストレート上の投影は、前記低ドープドレイン領域の前記サブストレート上の投影を覆い、前記バリア部の前記サブストレート上の投影と前記ソース/ドレイン領域の前記サブストレート上の投影は重ならず、前記バリア部と前記第2電極は同層に設けられている。
【0007】
一実施例において、前記バリア部は開口を有し、前記開口の前記サブストレート上の投影と前記ゲート電極の前記サブストレート上の投影は少なくとも一部が重なる。
【0008】
一実施例において、前記低ドープドレイン領域の幅の範囲は略0.5μm~1μmである。
【0009】
一実施例において、前記アレイ基板は、前記能動層と前記ゲート電極との間に設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層を貫通するビアと、前記第1絶縁層の上に設けられ、前記ビアを介して前記ソース/ドレイン領域と接触するソース/ドレイン電極と、をさらに含む。
【0010】
一実施例において、前記ソース/ドレイン領域のドープ濃度は、前記低ドープドレイン領域のドープ濃度より大きく、前記ソース/ドレイン領域のドープ濃度の範囲は略4.5×1015~6×1015イオン/cmであり、前記低ドープドレイン領域のドープ濃度の範囲は略5×1012~4.5×1015イオン/cmである。
【0011】
本開示の第2発明は、表示パネルを提供する。前記表示パネルは、上記のようなアレイ基板を含む。
【0012】
本開示の第3発明は、表示装置を提供する。前記表示装置は、上記のような表示パネルを含む。
【0013】
本開示の第4発明は、アレイ基板の製造方法を提供する。前記アレイ基板の製造方法は、サブストレートに能動層を形成することと、前記能動層の上にゲート電極と第1電極を形成することと、前記ゲート電極と前記第1電極の上に第1絶縁層を形成することと、前記第1絶縁層の上にバリア材料層を形成することと、一次パターニング工程により前記バリア材料層に対して処理を行うことによって、バリア部と第2電極を形成し、前記第2電極の前記サブストレート上の投影と前記第1電極の前記サブストレート上の投影は少なくとも一部が重なり、前記バリア部における前記ゲート電極の一端側から離れて外側へ延びる部分の前記サブストレート上の投影は、前記能動層における前記ゲート電極の一端側から外側へ延びる部分のサブストレート上の投影内に位置することと、前記バリア部をマスクとして用いて、前記能動層に対して第1ドープを行うことによって、能動層のチャネル領域の両側に位置するソース/ドレイン領域と、前記チャネル領域と前記ソース/ドレイン領域との間に設けられた低ドープドレイン領域を形成することと、を含む。
【0014】
一実施例において、前記バリア部は開口を有し、前記開口の前記サブストレート上の投影と前記ゲート電極の前記サブストレート上の投影は少なくとも一部が重なる。
【0015】
一実施例において、前記低ドープドレイン領域の幅の範囲は略0.5μm~1μmである。
【0016】
一実施例において、前記第1ドープのドープエネルギーは略30Kev~40Kevである。
【0017】
一実施例において、前記ソース/ドレイン領域のドープ濃度は前記低ドープドレイン領域のドープ濃度より大きく、前記ソース/ドレイン領域のドープ濃度の範囲は略4.5×1015~6×1015イオン/cmであり、低ドープドレイン(LDD)領域のドープ濃度の範囲は略5×1012~4.5×1015イオン/cmである。
【0018】
一実施例において、前記チャネル領域の導電タイプはN型であり、前記低ドープドレイン領域の導電タイプと前記ソース/ドレイン領域のドープ領域の導電タイプはP型である。
【0019】
一実施例において、前記アレイ基板の製造方法は、前記ゲート電極と前記第1電極を形成する前に、前記能動層の上に第2絶縁層を形成することと、前記ソース/ドレイン領域を形成した後に、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層を貫通するビアを形成することと、前記第1絶縁層の上に、ビアを介して前記ソース/ドレイン領域と接触するソース/ドレイン電極を形成することと、をさらに含む。
【0020】
一実施例において、前記ゲート電極と前記第1電極を形成することは、前記第2絶縁層の上にゲート電極材料層を形成することと、前記ゲート電極材料層に対してパターニングを行うことによって、前記ゲート電極と前記第1電極を形成することと、を含む。
【0021】
一実施例において、前記アレイ基板の製造方法は、前記ゲート電極と前記第1電極を形成した後に、前記ゲート電極をマスクとして用いて前記能動層に対してドープを行うことによって、前記能動層のチャネル領域を限定することを、さらに含む。
【0022】
以下、本開示の実施例の態様をより明確に説明するために、実施例の図面に対して簡単に説明する。以下で説明している図面は本開示の一部の実施例に係るものであり、本開示を制限するものではないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1(a)】本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。
図1(b)】本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。
図2】本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。
図3】本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。
図4】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法のフロー模式図である。
図5】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法のフロー模式図である。
図6(A)】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。
図6(B)】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。
図6(C)】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。
図6(D)】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。
図6(E)】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。
図6(F)】本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施例の目的、態様と利点をより明確にするように、図面を参照しながら、本開示の実施例の態様を明確かつ完全に説明する。説明している実施例が本開示の実施例の一部であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本開示の実施例の説明に基づいて、当業者の進歩的な労働を必要としない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護の範囲に属する。
【0025】
本開示の要素及びその実施例を紹介する時、文脈上別に明示しない限り、本明細書と請求の範囲において使用されている単語の単数形は複数形を含み、その逆も同様である。「一」、「1つ」、「当該」及び「前記」という冠詞は1つ又は複数の要素が存在することを意味する。よって、単数形を言及する場合、通常、対応する用語の複数形が含まれる。「含める」、「含有」、「含まれる」及び「有する」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の別の要素が存在可能であることを意味する。
【0026】
以下で表面に対する説明を図るために、例えば図面において方向を表記したように、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂(上部、トップ)」、「底(下部、ボトム)」という用語及びその派生語は開示文書に関するべきである。用語「に覆う」、「……上にある」、「……に位置決め」、「……上部に位置決め」は、例えば第1構成の第1要素が例えば第2構成の第2要素の上に存在し、しかし、第1要素と第2要素との間に例えば界面構成のような中間要素が存在し得ることを意味する。用語「接触」は、例えば第1構成の第1要素と例えば第2構成の第2要素を接続するが、二つの要素の界面には他の要素があっても又はなくてもよいことを意味する。
【0027】
本開示の実施例はアレイ基板を提供し、サブストレートの上に設けられ、チャネル領域と、チャネル領域の両側に設けられたソース/ドレイン領域と、チャネル領域と前記ソース/ドレイン領域との間に設けられた低ドープドレイン領域とを含む能動層と、能動層の上に設けられたゲート電極及び第1電極と、ゲート電極及び第1電極の上に設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層の上に設けられたバリア部及び第2電極と、を含み、第2電極のサブストレート上の投影と第1電極のサブストレート上の投影は少なくとも一部が重なり、前記バリア部の前記サブストレート上の投影は、前記低ドープドレイン領域の前記サブストレート上の投影を覆い、前記バリア部の前記サブストレート上の投影と前記ソース/ドレイン領域の前記サブストレート上の投影は重ならず、前記バリア部と前記第2電極は同層に設けられている。ここで、同層に設けられているとは、同一膜層により形成されることを意味する。
【0028】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例についてさらに説明を行う。
【0029】
図1(a)は本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。図1(a)に示すように、本開示の実施例によるアレイ基板は、サブストレート10の上に設けられ、チャネル領域11Cと、チャネル領域11Cの両側に設けられたソース/ドレイン領域11SDと、チャネル領域11Cと前記ソース/ドレイン領域11SDとの間に設けられた低ドープドレイン領域11Lとを含む能動層11と、能動層11の上に設けられたゲート電極121及び第1電極122と、ゲート電極121及び第1電極122の上に設けられた第1絶縁層13と、第1絶縁層13の上に設けられたバリア部141及び第2電極142と、を含み、第2電極142のサブストレート10上の投影と第1電極122のサブストレート10上の投影は少なくとも一部が重なり、バリア部141のサブストレート10上の投影は、低ドープドレイン領域11Lのサブストレート10上の投影を覆い、バリア部141のサブストレート10上の投影とソース/ドレイン領域11SDのサブストレート10上の投影は重ならず(つまり、バリア部141におけるゲート電極121から離れたエッジと低ドープドレイン領域11Lにおけるゲート電極121から離れたエッジが互いにアライメントしている)、バリア部141と第2電極142は同層に設けられているとともに材料が同じである。ここで、「バリア部におけるゲート電極から離れたエッジと低ドープドレイン領域におけるゲート電極から離れたエッジが互いにアライメントしている」とは、バリア部のサブストレート上の投影の外側境界と低ドープドレイン領域のサブストレート上の投影の外側境界が大体重なることを意味する。
【0030】
第1電極と第2電極はキャパシタを形成することによって、安定した電圧を保持する。例えば、OLED構成に用いる時、第1電極と第2電極を含むキャパシタが1つの周期内の駆動トランジスタの電圧の安定性を保持することができるため、1つの周期内のOLEDの電流も安定させることができ、よって、OLEDの発光の均一性と安定性を保証することができる。
【0031】
図1(a)において、チャネル領域の両側のいずれにも低ドープドレイン領域11Lが設けられているものを例示している。しかしながら、実際のニーズに応じて低ドープドレイン領域の位置を設けることができる。例えば、図1(b)に示すように、低ドープドレイン領域はチャネル領域の片側のみに位置してもよい。図1(b)は、ソース/ドレイン領域において第1電極から離れた1つの領域をドレインとした場合を示しており、この場合、チャネル領域の第1電極から離れた側のみに低ドープドレイン領域を設けてもよい。勿論、ソース/ドレイン領域において第1電極に近接する1つの領域をドレインとした場合、チャネル領域の第1電極に近接する側のみに低ドープドレイン領域を設けてもよい。
【0032】
低ドープドレイン領域を設けることによって、薄膜トランジスタのリーク電流を低減させることができる。第2電極とバリア部が同層に設けられているため、両者は一次パターニング工程を採用して形成することができる。このように、第2電極とバリア部を形成する時、1つのマスクのみを使用することによって、アレイ基板の製造工程を簡易化することができ、生産の良品率が向上され、コストも節約される。
【0033】
図2は本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。図2に示すように、バリア部は開口Pを有してもよい。当該開口Pのサブストレート10上の投影とゲート電極121のサブストレート10上の投影は少なくとも一部が重なる。バリア部にこのような開口を設けることによって、バリア部とゲート電極との間において生成可能な寄生キャパシタを防止又は低減させることができる。
【0034】
一実施例において、低ドープドレイン領域の幅(バリア部141におけるゲート電極121から離れたエッジのサブストレート10上の投影からチャネル領域11Cのサブストレート10上の投影までの距離dにも対応する)の範囲は略0.5μm~1μmである。このように距離を設けることによって、トランジスタのリーク電流を良く低減させることができる。
【0035】
図3は本開示の実施例によるアレイ基板の模式図である。図3に示すように、本開示の実施例によるアレイ基板は、能動層11とゲート電極121との間に設けられた第2絶縁層15と、第1絶縁層13と第2絶縁層15を貫通するビアVと、第1絶縁層13の上に設けられ、ビアVを介してソース/ドレイン領域11SDと接触するソース/ドレイン電極16と、をさらに含む。
【0036】
一実施例において、チャネル領域の導電タイプはN型であってもよく、低ドープドレイン領域のドープタイプと前記ソース/ドレイン領域のドープ領域の導電タイプはP型であってもよい。ソース/ドレイン領域のドープ濃度が前記低ドープドレイン領域のドープ濃度より大きいことが分かる。一実施例において、ソース/ドレイン領域のドープ濃度の範囲は略4.5×1015~6×1015イオン/cmであってもよく、低ドープドレイン(LDD)領域のドープ濃度の範囲は略5×1012~4.5×1015イオン/cmであってもよい。
【0037】
一方、本開示はアレイ基板の製造方法を提供する。
【0038】
図4は本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法のフロー模式図である。図4に示すように、本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法は、
サブストレートの上に能動層を形成するステップS101と、
能動層の上にゲート電極と第1電極を形成するステップS103と、
ゲート電極と前記第1電極の上に第1絶縁層を形成するステップS105と、
第1絶縁層の上にバリア材料層を形成するステップS107と、
一次パターニング工程によりバリア材料層に対して処理を行うことによって、バリア部と第2電極を形成し、第2電極のサブストレート上の投影と第1電極のサブストレート上の投影は少なくとも一部が重なり、バリア部におけるゲート電極の一端側から外側へ延びる部分のサブストレート上の投影は、能動層におけるゲート電極の一端側から外側へ延びる部分のサブストレート上の投影内に位置するステップS109と、
バリア部をマスクとして用いて、能動層に対して第1ドープを行うことによって、能動層のチャネル領域の両側に位置するソース/ドレイン領域と、チャネル領域とソース/ドレイン領域との間に設けられた低ドープドレイン領域を形成するステップS111と、を含む。
【0039】
一実施例において、バリア部は開口を有してもよい。当該開口のサブストレート上の投影とゲート電極のサブストレート上の投影は少なくとも一部が重なる。バリア部にこのような開口を設けることによって、バリア部とゲート電極との間において生成可能な寄生キャパシタを防止又は低減させることができる。
【0040】
一実施例において、低ドープドレイン領域(バリア部におけるゲート電極から離れたエッジのサブストレート上の投影からチャネル領域のサブストレート上の投影までの距離dに対応する)の範囲は略0.5μm~1μmである。このように距離を設けることによって、トランジスタのリーク電流を良く低減させることができる。
【0041】
一実施例において、第1ドープのドープエネルギーは略30Kev~40Kevであってもよい。チャネル領域の導電タイプはN型であってもよく、低ドープドレイン領域のドープタイプとソース/ドレイン領域のドープ領域の導電タイプはP型であってもよい。ソース/ドレイン領域のドープ濃度の範囲は略4.5×1015~6×1015イオン/cmであってもよく、低ドープドレイン(LDD)領域のドープ濃度の範囲は略5×1012~4.5×1015イオン/cmであってもよい。
【0042】
第2導電層の材料は、モリブデン(Mo)、モリブデンニオブ合金(MoNb)、アルミニウム(Al)、アルミニウムネオジム合金(AlNd)、チタン(Ti)、銅(Cu)、及びその組み合わせの中、少なくとも1種類を含むことができる。
【0043】
図5は本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法のフロー模式図である。図5に示す一実施例において、アレイ基板の製造方法は、
ゲート電極と第1電極を形成する前に、能動層の上に第2絶縁層を形成するステップS102と、
ゲート電極と第1電極を形成した後に、ゲート電極をマスクとして用いて能動層に対してドープを行うことによって、能動層のチャネル領域を限定するステップS104と、
前記ソース/ドレイン領域を形成した後に、第1絶縁層と第2絶縁層を貫通するビアを形成するステップS113と、
前記第1絶縁層の上に、ビアを介して前記ソース/ドレイン領域と接触するソース/ドレイン電極を形成するステップS115と、を含む。
【0044】
一実施例において、ゲート電極と前記第1電極を形成することは、第2絶縁層の上にゲート電極材料層を形成することと、ゲート電極材料層に対してパターニングを行うことによって、ゲート電極と第1電極を形成することと、を含む。
【0045】
図6(A)~図6(F)は本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法の工程フロー図である。以下、図6を参照して、本開示の一実施例によるアレイ基板の製造方法についてさらに説明する。
【0046】
図6(A)に示すように、本開示の実施例によるアレイ基板の製造方法は、以下のような工程を含む。
【0047】
サブストレート10の上に能動層11を形成する。サブストレートはガラスサブストレートを含んでもよく、高分子ポリマー、金属シート等のサブストレートの作成に適用する任意の材料を含んでもよい。能動層はシリコン材料を含んでもよい。低温ポリシリコン材料の電子遷移率がアモルファスシリコン材料の電子遷移率より優れるため、能動層をポリシリコン材料を含むように設けてもよい。一実施例において、サブストレートの上にアモルファスシリコン層を形成してから、アモルファスシリコンに対してエキシマレーザアニール(ELA)処理を行うことによって、アモルファスシリコンをポリシリコンに変え、更に続いてポリシリコンに対して第1導電タイプを有するドープを行うことができる。例えば、第1導電タイプがN型である場合、1×1012~2×1012イオン/cmのドープ線量を採用することができる。一実施例において、P型シリコンを提供し、P型シリコンにNウェルを形成することができる。当該Nウェルの上面とP型シリコンの上面は同じ表面に位置する。勿論、上記したドープステップを必要とせず、第1導電タイプを有する能動層を直接に提供してもよいことが分かる。
【0048】
次に、能動層11の上に第2絶縁層15を形成する。第2絶縁層の材料は、シリコンの酸化物(SiOx)、シリコンの窒化物(SiNx)、ハフニウムの酸化物(HfOx)、シリコンの窒素酸化物(SiON)、AlOx、及びその組み合わせの中、少なくとも1種類を含むことができる。
【0049】
続いて、第2絶縁層15の上にゲート電極121と第1電極122を形成する。具体的に、第2絶縁層の上にゲート電極材料層を形成してから、ゲート電極材料層に対してパターニングを行うことによって、ゲート電極121と第1電極122を形成することができる。ゲート電極材料層は、モリブデン(Mo)、モリブデンニオブ合金(MoNb)、アルミニウム(Al)、アルミニウムネオジム合金(AlNd)、チタン(Ti)、銅(Cu)、及びその組み合わせの中、少なくとも1種類を含むことができる。続いて、ゲート電極と第1電極をマスクとして、第2導電タイプのドープを行う。例えば、能動層の第1導電タイプがN型である場合、第2導電タイプはP型である。この場合、P型の第2導電タイプのドープに対して、5×1012~4.5×1015イオン/cmのドープ線量を採用することができる。
【0050】
図6(B)に示すように、ゲート電極121と第1電極122の上にさらに第1絶縁層13を形成する。第1絶縁層の材料は、シリコンの酸化物(SiOx)、シリコンの窒化物(SiNx)、ハフニウムの酸化物(HfOx)、シリコンの窒素酸化物(SiON)、AlOx、及びその組み合わせの中、少なくとも1種類を含むことができる。
【0051】
図6(C)に示すように、第1絶縁層13の上にさらにバリア材料層14を形成する。バリア材料層は、モリブデン(Mo)、モリブデンニオブ合金(MoNb)、アルミニウム(Al)、アルミニウムネオジム合金(AlNd)、チタン(Ti)、銅(Cu)、及びその組み合わせの中、少なくとも1種類を含むことができる。
【0052】
続いて、図6(D)に示すように、一次パターニング工程によりバリア材料層14に対して処理を行うことによって、バリア部141と第2電極142を形成する。例えば、具体的なステップは、バリア材料層の上にフォトレジストを形成し、バリア部と第2電極のパターンを含むマスクを用いて当該フォトレジストを露光してから、現像を行い、更にフォトレジストを保護層とすることによってバリア材料層をエッチングし、最後にフォトレジストを除去することであってもよい。図6(D)から分かるように、第2電極のサブストレート上の投影と第1電極のサブストレート上の投影は少なくとも一部が重なり、バリア部におけるゲート電極の一端側から外側へ延びる部分のサブストレート上の投影は、能動層におけるゲート電極の一端側から外側へ延びる部分のサブストレート上の投影内に位置する(つまり、バリア部におけるゲート電極から離れたエッジのサブストレート上の投影は、能動層におけるゲート電極から離れたエッジのサブストレート上の投影とゲート電極の対応するエッジのサブストレート上の投影との間に位置する)。バリア部と第2電極を形成する過程において、1つのマスクのみを使用することによって、工程を簡易化し、コストを節約し、良品率を向上させることができる。
【0053】
バリア部は開口Pを有してもよい。当該開口Pのサブストレート10上の投影とゲート電極121のサブストレート10上の投影は少なくとも一部が重なる。バリア部にこのような開口を設けることによって、バリア部とゲート電極との間において生成可能な寄生キャパシタを防止又は低減させることができる。
【0054】
バリア部におけるゲート電極から離れたエッジのサブストレート上の投影からチャネル領域のサブストレート上の投影までの距離の範囲(その後に形成する低ドープドレイン領域の幅に対応する)は略0.5μm~1μmであってもよい。このように距離を設けることによって、トランジスタのリーク電流を良く低減させることができる。
【0055】
続いて、図6(E)に示すように、バリア部をマスク141として用いて、能動層11に対して第1ドープを行うことによって、能動層11のチャネル領域11Cの両側に位置するソース/ドレイン領域11SDと、チャネル領域11Cとソース/ドレイン領域11SDとの間に設けられた低ドープドレイン領域11Lを形成する。能動層の導電タイプがN型である場合、P型ドープを採用することによって、今回のドープ後に形成された低ドープドレイン領域の導電タイプとソース/ドレイン領域のドープ領域の導電タイプがP型である。ドープのドープエネルギーは略30Kev~40Kevであってもよい。ソース/ドレイン領域のドープ濃度が前記低ドープドレイン領域のドープ濃度より大きいことが分かる。一実施例において形成されたソース/ドレイン領域のドープ濃度の範囲は略4.5×1015~6×1015イオン/cmであってもよく、低ドープドレイン領域のドープ濃度の範囲は略5×1012~4.5×1015イオン/cmであってもよい。
【0056】
次に、図6(F)に示すように、第1絶縁層13と第2絶縁層15を貫通するビアVを形成し、更に第1絶縁層13の上にソース/ドレイン電極16を形成する。ソース/ドレイン電極16はビアVを介してソース/ドレイン領域11SDと接触することが分かる。
【0057】
本開示の実施例はさらに表示パネルと表示装置を提供する。本開示の実施例における表示パネルは、上記のようなアレイ基板を含む。本開示の実施例における表示装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ノードパソコン、デジタルフォトフレーム、カーナビ等の表示機能を有する任意の製品や部件であってもよい。
【0058】
ある特定の実施例を説明したが、これらの実施例は単に例示的に開示したものであり、本開示の範囲を限定しているのではない。実際に、本明細書で説明している新規実施例は他の様々な形態で実施することができる。なお、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、本明細書で説明している実施例の形態の種々の省略、置き換えや改善を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物は、本開示の範囲や精神内に落ちる類似な形式や修正を覆うように意図されている。
【符号の説明】
【0059】
10 サブストレート
11 能動層
11C チャネル領域
11SD ソース/ドレイン領域
11L 低ドープドレイン領域
13 第1絶縁層
15 第2絶縁層
121 ゲート電極
122 第1電極
141 バリア部
142 第2電極
V ビア
P 開口
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図6(D)】
図6(E)】
図6(F)】