IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 能美防災株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱検知器 図1
  • 特許-熱検知器 図2
  • 特許-熱検知器 図3
  • 特許-熱検知器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】熱検知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
G08B17/06 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019066326
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166549
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小金丸 和幸
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-230510(JP,A)
【文献】実開平05-055576(JP,U)
【文献】特開平09-307209(JP,A)
【文献】特開昭64-013792(JP,A)
【文献】特開2010-252538(JP,A)
【文献】特開2019-164679(JP,A)
【文献】特開2019-149063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J1/00-1/60
5/00-5/90
11/00
G08B17/02-17/12
H05K1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に取り付けられるカバーと、回路基板と、前記回路基板に取り付けられる熱検知部と、を備える熱検知器であって、
前記熱検知部は、前記回路基板から前記カバー側に向けて傾斜して直線状に延びる状態で前記回路基板に取り付けられるリード部と、そのリード部の先端側に設けられて所定の配置位置に配置される感熱部を有するものであり、
前記回路基板は、その外縁部に、前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する素子取付部が設けられ
前記回路基板の素子取付部は、前記熱検知部のリード部の基端側が挿入されて取り付けられる切欠きであって、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で沿う方向に開口する切欠きを有することを特徴とする熱検知器。
【請求項2】
本体と、前記本体に取り付けられるカバーと、回路基板と、前記回路基板に取り付けられる熱検知部と、を備える熱検知器であって、
前記熱検知部は、前記回路基板から前記カバー側に向けて傾斜して直線状に延びる状態で前記回路基板に取り付けられるリード部と、そのリード部の先端側に設けられて所定の配置位置に配置される感熱部を有するものであり、
前記回路基板は、その外縁部に、前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する素子取付部が設けられ、
前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置として、検知器中心からの距離が互いに異なる、第1の所定の配置位置と第2の所定の配置位置が設定されており、
前記回路基板の素子取付部は、前記感熱部の第1の所定の配置位置に対応して、その配置位置に向けて前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する第1の素子取付部と、前記感熱部の第2の所定の配置位置に対応して、その配置位置に向けて前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する第2の素子取付部と、を有することを特徴とする熱感知器。
【請求項3】
前記回路基板の素子取付部は、前記熱検知部のリード部の基端側が挿入されて取り付けられる切欠きであって、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で沿う方向に開口する切欠きを有することを特徴とする請求項に記載の熱感知器。
【請求項4】
前記素子取付部の切欠きは、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で沿う方向に延在することを特徴とする請求項1又は3に記載の熱検知器。
【請求項5】
前記回路基板は、前記素子取付部が設けられる外縁部が、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で直交する方向に形成されて設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災報知用の熱検知器に関する。
【0002】
従来、例えば、自動火災報知機設備における熱感知器(以下、単に「熱感知器」ともいう。)や熱検知式の住宅用火災警報器(以下、単に「火災警報器」ともいう。)等として、熱検知器が用いられている。
【0003】
この種の火災報知用の熱検知器は、熱感知器、火災警報器のいずれの場合も、感熱部を有する熱検知部を備えており、火災発生時、火災によって生じる熱気流の熱が感熱部に伝わり、熱検知部の出力値が一定の値以上になったときに火災を感知する。火災感知後は、熱感知器の場合には、受信機に火災信号を出力して、火災発生を報知させ、火災警報器の場合には、機器自体が備えるスピーカ等の音声出力手段から音声やブザー音によって火災発生の警報を発する。そして、熱検知部は、熱感知器、火災警報器のいずれにおいても、本体に設けられる回路基板に取り付けられつつ、本体を覆うカバーから外側に突出するように設けられており、周囲に空間を設けて高効率に受熱できるようにするために、先端の感熱部がカバーの外側に配置されている(熱感知器の一例として、例えば特許文献1参照。火災警報器の一例として、例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-287374号公報
【文献】特開2015-141568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような熱検知器において、熱検知部としては、一般に、リード部の先端に感熱部を有するリードタイプの熱検知素子(サーミスタ等)が用いられる。リードタイプの熱検知素子は、回路基板に取り付けられるものであるが、一般に普及しているリードタイプの熱検知素子の場合、リード部が長いものが多いため、回路基板に対して垂直にリード部を設けると、感熱部の高さ位置が高くなることが多い。リード部の長いものでも、傾斜した状態で回路基板に取り付けられるものとすれば、感熱部の高さ位置を低くすることができる。感熱部を筐体の前面カバーから露出させる場合、感熱部を保護するためのプロテクタを前面カバーに設ける必要があるが、感熱部の高さ位置を低くすることができれば、そのプロテクタの高さを低くすることができ、機器の厚みを薄型化することができる。また、感熱部を筐体の前面カバーの内側に位置させて、前面カバーから露出させない場合、プロテクタを前面カバーに設ける必要がなく、もちろん、機器の厚みを薄型化することができる。
【0006】
つまり、熱検知部として、リードタイプの熱検知素子を用いる場合、感熱部を筐体の前面カバーから露出させる場合でも、露出させない場合でも、熱検知素子を傾斜した状態で回路基板に取り付けられるものとすれば、機器の厚みを薄型化することができる。
【0007】
しかしながら、リードタイプの熱検知素子を傾斜した状態で回路基板に取り付けられるものとする場合、組み立てに際し、正しい取り付け方向に向けつつ、回路基板に取り付けるのが容易ではないという問題がある。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み、熱検知部を正しい取り付け方向に向けつつ、回路基板に容易に取り付けることができる熱検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、本体と、前記本体に取り付けられるカバーと、回路基板と、前記回路基板に取り付けられる熱検知部と、を備える熱検知器であって、前記熱検知部は、前記回路基板から前記カバー側に向けて傾斜して直線状に延びる状態で前記回路基板に取り付けられるリード部と、そのリード部の先端側に設けられて所定の配置位置に配置される感熱部を有するものであり、前記回路基板は、その外縁部に、前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する素子取付部が設けられ、前記回路基板の素子取付部は、前記熱検知部のリード部の基端側が挿入されて取り付けられる切欠きであって、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で沿う方向に開口する切欠きを有することを特徴とする熱検知器である。
【0010】
また、この発明は、本体と、前記本体に取り付けられるカバーと、回路基板と、前記回路基板に取り付けられる熱検知部と、を備える熱検知器であって、前記熱検知部は、前記回路基板から前記カバー側に向けて傾斜して直線状に延びる状態で前記回路基板に取り付けられるリード部と、そのリード部の先端側に設けられて所定の配置位置に配置される感熱部を有するものであり、前記回路基板は、その外縁部に、前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する素子取付部が設けられ、前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置として、検知器中心からの距離が互いに異なる、第1の所定の配置位置と第2の所定の配置位置が設定されており、前記回路基板の素子取付部は、前記感熱部の第1の所定の配置位置に対応して、その配置位置に向けて前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する第1の素子取付部と、前記感熱部の第2の所定の配置位置に対応して、その配置位置に向けて前記熱検知部の取り付け方向をガイドする形状を有する第2の素子取付部と、を有することを特徴とする熱感知器である。
【0011】
この発明において、前記回路基板の素子取付部は、前記熱検知部のリード部の基端側が挿入されて取り付けられる切欠きであって、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で沿う方向に開口する切欠きを有するものとすることができる。また、前記素子取付部の切欠きは、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で沿う方向に延在するものとすることができる。
【0012】
また、この発明において、前記回路基板は、前記素子取付部が設けられる外縁部が、前記素子取付部から前記熱検知部の感熱部の所定の配置位置に向う方向に平面視で直交する方向に形成されて設けられるものとすることができる。
【0013】
また、この発明において、前記回路基板の素子取付部は、前記回路基板の互いに反対側の外縁にそれぞれ設けられており、前記熱検知部は、それらの素子取り付け部のそれぞれに取り付けられて、少なくとも2つのものが、それぞれの感熱部が外周側に位置して設けられるものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明においては、素子取付部がガイドする取り付け方向に従って、熱検知部を回路基板に取り付けることができる。
【0015】
したがって、この発明によれば、熱検知部を正しい取り付け方向に向けつつ、回路基板に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施形態の一例を示したものであり、火災警報器のカバーを開けた状態の上面図である。
図2】同上の火災警報器の断面図である。なお、図面上、カバー側を上、ベース側を下に示しているが、例えば、天井面に設置される状態では、その上下は反転する。
図3】同上の火災警報器における、回路基板のみの上面図である。
図4】同上の火災警報器に外径が異なるものを重ねて示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について、熱検知式の住宅用火災警報器に適用する場合を例として、図面を参照しつつ説明する。ただし、この発明は、そのような火災警報器に限らず、自動火災報知機設備における熱感知器等、他の熱検知器にも適用することができるものである。なお、以下の説明において、「上」、「下」等の位置や方向を示す語は、図面(図2)上の位置や方向に従って用いているものである。
【0018】
まず、この発明の実施形態に係る火災警報器1について、図1乃至3を参照しつつ説明する。
【0019】
・全体構成
図1及び2に示したように、火災警報器1は、本体2と、本体2に取り付けられるカバー3と、回路基板4と、回路基板4に取り付けられる熱検知部5と、を備える。なお、この火災警報器1は、取り付け用のベース6をさらに備える。図示は省略するが、ベース6は天井面等の設置面にネジ止め等により固定されるものであり、そのベース6に本体2が取り付けられて、火災警報器1は天井面等の設置面に設置されるものである。
【0020】
・本体
本体2は、円板状の中板2aを有する。回路基板4は、その中板2a上に支持されて設けられる。なお、中板2a上には、スピーカ7や電池収納部8等の各種部品がさらに設けられる。
【0021】
・カバー
カバー3は、円板状の上面部3aと、その周縁に連続する筒状の周面部3bを有し、有蓋円筒状の形状をなす。このカバー3は、本体2に取り付けられて本体2と共に、回路基板4、スピーカ7、電池収納部8等の各種部品が内蔵される筐体を形成する。
【0022】
なお、上面部3aには、外周側の位置に、垂直方向の貫通孔として形成される垂直孔3fが設けられる。この垂直孔3fは、後記で説明する熱検知部5に対応するものであり、本実施形態の場合、その熱検知部5に対応して互いに反対側の検知器外周側の2箇所に設けられる。また、周面部3bには、回路基板4上方の内部空間に対応する位置に、周方向にスリット状をなしつつ、水平方向の貫通孔として形成されるスリット3dが設けられる。これら垂直孔3f、スリット3dは、いずれも、火災発生時の熱気流の流通部として機能する。
【0023】
・熱検知部
熱検知部5は、リード部5bと、その先端側に設けられる感熱部5aを有する熱検出素子である。熱検知部5において、リード部5bは、回路基板4からカバー3側に向けて傾斜して直線状に延びる状態で回路基板4に取り付けられる。感熱部5aは、そのリード部5bの先端側に位置して、この火災警報器1における所定の配置位置Pに配置される。所定の配置位置Pに配置されると、感熱部5aは、本実施形態の場合、前記の垂直孔3fの直下に位置する状態となる。なお、この熱検知部5としては、例えば、リードタイプのサーミスタ等の熱検出素子が用いられる。
【0024】
本実施形態において、熱検知部5は2つ、それぞれの感熱部5aが互いに反対側の検知器外周側に位置(図示の例では平面視で対称位置)して設けられるものとしており、それぞれの感熱部5aの所定の配置位置Pも2箇所、そのように互いに反対側の検知器外周側に位置して設定されるものとしている。なお、この熱検知部5の数については、1つ以上であればよく、その配置も外周側に限らず、中央部等の他の位置であってもよい。
【0025】
さらに、熱検知部5は、具体的には、リード部5bの基端側に略三角形の取付基部5cを有する。取付基部5cの頂点部分から先端側に直線状に延びる部分の先端側に感熱部5aが設けられる。取付基部5cの幅広の底辺部分5cbからは基端側に取付ピン5dが直線状に露出して設けられる。リード部5bの直線状の部分に対し、取付基部5cの底辺部分5cbは平面視で略垂直に設けられ、取付ピン5dは平面視で略平行に設けられる。ここで、熱検知部5において、取付基部5cの底辺部分5cbや取付ピン5dは、後記でも説明するが、回路基板4に熱検知部5を取り付ける際に、熱検知部5側における、取り付け方向をガイドする形状部分として機能する。
【0026】
ここで、感熱部5aは、前記の通り、カバー3の内側に位置する。そのため、カバー3の上面部3aから外側(前面側)に突出させてプロテクタを設ける必要がなく、カバー3の上面部3aをフラットなものとすることができる。それにより、火災警報器1は、機器の薄型化をすることができる。なお、感熱部5aは、カバー3の外側に露出させるようにしてもよい。その場合、感熱部5aを保護するプロテクタを設ける必要があるが、感熱部5aの高さ位置を低くすれば、プロテクタの高さを低くすることができ、機器の薄型化をすることができる。
【0027】
・回路基板
回路基板4は、平板状の形状を有し、平置きに配置されて、前記の通り、本体2の中板2a上に支持されて設けられる。そして、この回路基板4には、その外縁に、熱検知部5が取り付けられる素子取付部40が設けられる。
【0028】
・素子取付部
素子取付部40は、熱検知部5の取り付け方向をガイドする形状を有する。この素子取付部40により、熱検知部5を正しい取り付け方向に向けつつ、回路基板4に容易に取り付けることができる。なお、火災警報器1は、前記の通り、熱検知部5の感熱部5aの所定の配置位置Pが2箇所、互いに反対側の検知器外周側に位置して設定されるものとしている。それに対応して、この素子取付部40も2箇所に設けられている。
【0029】
ここで、素子取付部40は、本実施形態の場合、第1の素子取付部41と第2の素子取付部42を有するものとしている。第1の素子取付部41は、この火災警報器1における熱検知部5の感熱部5aの所定の配置位置Pに対応するものである。まずは第1の素子取付部41について詳細に説明することとし、第2の素子取付部42については後記で詳細に説明する。なお、回路基板4に設ける素子取付部40としては、第1の素子取付部41だけとしてもよい。
【0030】
・第1の素子取付部
第1の素子取付部41は、この火災警報器1における熱検知部5の感熱部5aの所定の配置位置Pに対応し、その熱検知部5の取り付け方法をガイドする形状部分として、切欠き部41aを有する。
【0031】
・切欠き部
切欠き部41aは、熱検知部5の基端側の取り付けピン5dが挿入されて、熱検知部5が取り付けられるものとして機能すると共に、熱検知部5の取り付け方向をガイドするものとして機能するものであり、そのために、熱検知部5の感熱部5aの所定の配置位置Pに向かう方向に平面視で沿う方向に開口するものとしている(図3参照)。なお、熱検知部5の取付ピン5dの取り付け部分を、切欠き部41a(細孔とする場合を含む)としていることで、熱検知部5を傾斜させて取り付ける場合でも、取付ピン5dを曲げずに挿入して取り付けることができる。
【0032】
ここで切欠き部41aの代わりに、回路基板に円形のスルーホールが形成される場合を考える。この場合、熱検知部の取付ピンを折り曲げないとリード部も傾斜させることができず、取付ピンを折り曲げずにリード部を傾斜させて基板に取り付けるには、スルーホールの孔をかなり大きくするか、楕円形などの特殊な形にしなければならない。このため回路基板の外装部に切欠きを設ける本実施形態は熱検知部を基板に対して傾斜して取り付けられる方法として優れている。
【0033】
熱検知部5を取り付ける際には、この切欠き部41aの開口の方向をガイドとして、熱検知部5のリード部5bの方向を平面視で切欠き部41aの開口の方向に沿うように取り付けるようにすることで、感熱部5aを所定の配置位置Pに平面視で向かわせることができる。
【0034】
さらに、この切欠き部41aは、外縁からの切り込み方向も、所定の配置位置Pに向かう方向に平面視で沿う方向に切り込まれている。つまり、切欠き部41aの外縁からの切り込み方向をガイドとしても、感熱部5aを所定の配置位置Pに平面視で向かわせることができる。この切欠き部41aは、所定の配置位置Pに向かう方向に平面視で沿う方向に延在するように、より長く切り込まれるものとしてもよいし、切欠きに代えて、細孔としてもよい。
【0035】
ここで、熱検知部5の取り付けは、取付ピン5dを切欠き部41aに半田付け等することにより行われるが、取付ピン5dは、前記の通り、リード部5bの方向と平面視で平行であり、取付ピン5dの方向を切欠き部41aの方向と合わせることによっても、感熱部5aを所定の配置位置Pに平面視で向かわせることができる。
【0036】
・取り付け縁部
第1の素子取付部41は、熱検知部5の取り付け方法をガイドする形状部分として、取り付け縁部41bをさらに有する。取り付け縁部41bは、切欠き部41aが形成される部分であるが、熱検知部5の感熱部5aの所定の配置位置Pに向かう方向に平面視で沿う方向に対して直交する方向に形成されて設けられる(図3参照)。なお、取り付け縁部41bの両端に切欠き部41aが設けられる。
【0037】
熱検知部5の取付基部5cの底辺部5cbは、前記の通り、リード部5bの方向の方向に対して略直角に設けられる。つまり、その底辺部5cbの方向を取り付け縁部41bの方向と合わせることによっても、感熱部5aを所定の配置位置Pに平面視で向かわせることができる。
【0038】
・垂直縁部
第1の素子取付部41は、熱検知部5の取り付け方法をガイドする形状部分として、垂直縁部41cをさらに有する(図3参照)。垂直縁部41cは、取り付け縁部41bと連続し、取り付け縁部41bに対して略垂直に形成されて設けられる、すなわち、所定の配置位置Pに向かう方向に平面視で沿う方向に形成されて設けられる。つまり、この垂直縁部41cをガイドとしても、感熱部5aを所定の配置位置Pに平面視で向かわせることができる。
【0039】
・第2の素子取付部
素子取付部40は、本実施形態の場合、第1の素子取付部41とは異なる位置に第2の素子取付部42をさらに有するものとしている。第2の素子取付部42も、第1の素子取付部41と同様、切欠き部42a、取り付け縁部42bを有するが、それらは、第1の素子取付部41におけるものとは異なる角度で設けられており(図3参照)、第1の素子取付部41が対応する所定の配置位置Pとは警報器中心からの距離が異なる配置位置に対応し、火災警報器1とは外径が異なる火災警報器に対応するものである。
【0040】
図4は、火災警報器1とそれよりも外径の大きい火災警報器1’を、その中心を一致させて重ねつつ、第1の素子取付部41と第2の素子取付部42の両方に熱検知部5が取り付けられている状態を示した説明図である。
【0041】
同図に示したように、火災警報器1の外径Dよりも火災警報器1’の外径D’の方が大きい。そのため、火災警報器1の所定の配置位置Pよりも火災警報器1’の所定の配置位置P’の方が警報器中心からの距離が長く設定されている。そして、第1の素子取付部41は火災警報器1の所定の配置位置Pに対応し、第2の素子取付部42は火災警報器1’の所定の配置位置P’に対応する。第1の素子取付部41と第2の素子取付部42には同じ熱検知部5が取り付けられているが、第1の素子取付部41に取り付けられる側の感熱部5aは、火災警報器1の所定の配置位置Pに正しく位置しており、第2の素子取付部42に取り付けられる側の感熱部5aは、火災警報器1’の所定の配置位置P’に正しく位置している。
【0042】
つまり、回路基板4は、第1の素子取付部41と第2の素子取付部42を有するものとしていることで、同じ回路基板4と同じ熱検知部5を使用しつつも、警報器中心からの距離が異なるものとして設定される、所定の配置位置P(第1の所定の配置位置)と配置位置P’(第2の所定の配置位置)のどちらにも対応することができるものであり、外径が異なる火災警報器1と火災警報器1’のどちらにも対応することができるものである。そして、どちらにおいても、熱検知部5の感熱部5aが所定の配置位置Pや配置位置P’に正しく位置するようにできるものである。
【0043】
なお、火災警報器1’(筐体の外径の大きい側)に対応する第2の素子取付部42の方が回路基板4における長手方向の中心線側に設けられる。そして、第2の素子取付部42における切欠き部42aの角度(平面視の取り付け方向の角度)は、熱検出素子5の感熱部5aが所定の配置位置P’に位置するように設定される。一方、火災警報器1(筐体の外径の小さい側)に対応する第1の素子取付部41は、回路基板4の長手方向の中心線から、第2の素子取付部42よりも離れた位置に設けられる。そして、第1の素子取付部41における切欠き部41aの角度(同前)は、熱検出素子5の感熱部5aが所定の配置位置Pに位置するように設定される。すなわち、第1の素子取付部41における切欠き部41aの角度は、第2の素子取付部42における切欠き部42aと異なる角度となる。具体的には、素子取付部41に取り付けられた熱検出素子5の感熱部5aの方が、筐体の中心側に位置するように、切欠き部41aの角度が設定されている。よって、熱検知部5にリード部の長さが同じ熱検出素子を用いても、回路基板4への取り付け位置を変えることで、2種類の外径の筐体(例えば火災警報器1や同1’)に対応することが可能である。
【0044】
[実施形態の変更等]
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で種々の変更等が可能である。
【0045】
例えば、第1の素子取付部41と第2の素子取付部42について、図示の例では、所定の配置位置Pと配置位置P’が検知器中心を通る直線上に位置するものとしているが、検知器中心を通る直線上には位置しないものとしてもよい。なお、検知器中心を通る直線上に、PとP’を配置するのは、どの方向からの熱気流に対しても遅れずに受熱できるようにするためである。すなわち、筐体の中心を通らない直線上にP,P’を配置とすると、特定の方向からの熱気流に対しては、いち早く受熱できるが、その特定の方向と180度反対方向からの熱気流に対しては、受熱効果が低下する。
【0046】
また、取り付け縁部41bは所定の配置位置Pに向かう方向に直交する方向としたが、任意の角度でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、1’:火災警報器 2:本体 3:カバー 3a:上面部 3b:周面部
3d:スリット 3f:垂直孔 4:回路基板 40:素子取付部
41:第1の素子取付部 41a:切欠き部 41b:取り付け縁部
41c:垂直縁部 42:第2の素子取付部 42a:切欠き部
42b:取り付け縁部 5:熱検知部 5a:感熱部 5b:リード部
5c:取付基部 5cb:底辺部 5d:取付ピン 6:ベース 7:スピーカ
8:電池収納部 P:所定の配置位置 P’:所定の配置位置
図1
図2
図3
図4