(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】レーザー加工された音響穴を有するエンジンインレットのインナーバレル
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20231215BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20231215BHJP
F02C 7/045 20060101ALI20231215BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20231215BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B23K26/00 G
B23K26/382
F02C7/045
F01D25/00 S
G10K11/16 130
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019079089
(22)【出願日】2019-04-18
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リーヴズ, ジェイク アダム
(72)【発明者】
【氏名】ネグレイ, マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】エルレラ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】バウマン, ジョン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ベルトルッチ, ブランドン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト, ペリー ティー.
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0036115(US,A1)
【文献】特開2004-216430(JP,A)
【文献】特開2015-061736(JP,A)
【文献】特表2013-522511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0306815(US,A1)
【文献】特開2008-212999(JP,A)
【文献】特開平11-97821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
F02C 7/045
F01D 25/00
G10K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響インナーバレル(120)の表面板(134)の内面(218)上にレーザーパルス(214)を放射するように構成されたフェムト秒レーザー(202)であって、前記音響インナーバレルが、前記表面板の前記内面とは反対側の外面(304)に取り付けられた六角形のセル群(130)を備えた音響コア(128)を含む、フェムト秒レーザー、及び
前記フェムト秒レーザーと動作可能に接続された1以上のプロセッサを備えた制御ユニット(204)であって、約100フェムト秒と約10,000フェムト秒の間のパルス持続時間で且つ100,000Hzを超える周波数でレーザーパルスを放射することによって、前記表面板内に複数の穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザーを制御するように構成されており、前記穴が、前記穴を取り囲む前記表面板又は前記音響コアの部分を焼くことなしに形成される、制御ユニットを備え
、
前記制御ユニット(204)が、
第1のセットの1以上のレーザーパルスが第1の穴位置に放射され、次いで、第2のセットの1以上のレーザーパルスが第2の穴位置に放射されるように、順番に一度に一つずつ前記表面板に沿って複数の穴位置にレーザーパルスを放射し、
前記第2のセットの1以上のレーザーパルスが前記第2の穴位置に放射された後、かつ、第4のセットの1以上のレーザーパルスが前記第2の穴位置に放射される前に、第3のセットの1以上のレーザーパルスが前記第1の穴位置に放射されるように、前記順番を複数回繰り返して、前記複数の穴位置に前記穴を前記順番に徐々に形成すべく、
前記フェムト秒レーザーを制御するように構成されている、形成システム(200)。
【請求項2】
前記制御ユニット(204)が、前記音響コア(128)を貫通することなしに、前記表面板(134)と前記音響コアとの間のインターフェース(306)まで、前記表面板の厚さを通るように前記穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザー(202)を制御するように構成されている、請求項1に記載の形成システム(200)。
【請求項3】
前記フェムト秒レーザー(202)が、前記表面板(134)内に前記穴(150)をレーザーで開けるように、前記音響インナーバレル(120)によって画定された空洞(140)の中へ少なくとも部分的に延在する、請求項1
または2に記載の形成システム(200)。
【請求項4】
前記制御ユニット(204)が、所定の百分率オープン面積を有する指定されたパターンで前記表面板(134)内に前記穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザー(202)を制御するように構成されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の形成システム(200)。
【請求項5】
前記制御ユニット(204)が、約50マイクロメーターと約500マイクロメーターの間の直径を有するように、前記表面板(134)内に前記穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザー(202)を制御するように構成されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の形成システム(200)。
【請求項6】
音響コア(128)に表面板(134)を取り付けること、及び
複数の穴(150)を取り囲む前記表面板又は前記音響コアの部分を焼くことなしに、前記表面板内に前記穴をレーザーで開けるように、フェムト秒レーザー(202)を制御することを
含み、
前記制御することが、
第1のセットの1以上のレーザーパルスが第1の穴位置に放射され、次いで、第2のセットの1以上のレーザーパルスが第2の穴位置に放射されるように、順番に一度に一つずつ前記表面板に沿って複数の穴位置にレーザーパルスを放射し、
さらに、前記第2のセットの1以上のレーザーパルスが前記第2の穴位置に放射された後、かつ、第4のセットの1以上のレーザーパルスが前記第2の穴位置に放射される前に、第3のセットの1以上のレーザーパルスが前記第1の穴位置に放射されるように、前記順番を複数回繰り返して、前記複数の穴位置に前記穴を前記順番に徐々に形成すべく、
前記フェムト秒レーザーを制御すること
を含む、方法(400)。
【請求項7】
前記音響コア(128)に前記表面板(134)を取り付けることが、前記表面板内に前記穴(150)をレーザーで開ける前に行われる、請求項
6に記載の方法(400)。
【請求項8】
前記音響コア(128)が環状バレル形状を有し、前記音響コアの内側(136)が空洞(140)を画定し、前記音響コアに前記表面板(134)を取り付けることが、前記音響コアの前記内側に前記表面板の外面(304)を接合することを含む、請求項
7に記載の方法(400)。
【請求項9】
前記音響コア(128)に前記表面板(134)を取り付けることが、前記音響コア上に前記表面板をその場で形成することを含む、請求項
6から
8のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項10】
前記表面板(134)を画定するために、前記表面板が、繊維強化材料の複数の層の自動繊維配置(AFP)を介して、前記音響コア(128)上にその場で形成される、請求項
9に記載の方法(400)。
【請求項11】
前記制御することが、100,000Hzを超える周波数で前記表面板(134)上にレーザーパルス(214)を放射するように、前記フェムト秒レーザー(202)を制御することを含む、請求項
6から
10のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項12】
前記制御することが、約100フェムト秒と約10,000フェムト秒の間のパルス持続時間で、前記表面板(134)上にレーザーパルス(214)を放射するように、前記フェムト秒レーザー(202)を制御することを含む、請求項
6から
11のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項13】
前記制御することが、約50マイクロメーターと約500マイクロメーターの間の直径を有するように、前記穴(150)を形成することを含む、請求項
6から
12のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項14】
前記表面板(134)が、エンジン(108)を通る気流を導くための境界を提供するように、前記音響コア(128)及び前記表面板を、前記エンジンのインレットカウル(114)の内側(142)に取り付けることを更に含む、請求項
6から
13のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項15】
前記音響コア(128)に前記表面板(134)を取り付けた後で、且つ、前記表面板内に前記穴(150)をレーザーで開けるように前記フェムト秒レーザー(202)を制御する前に、前記表面板及び前記音響コアを硬化させることを更に含む、請求項
6に記載の方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、広くは、音響処理を必要とする様々な異なる構造体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
民間旅客機は、離着陸中に特定の騒音基準を満たす必要がある。離着陸中に民間旅客機によって生成される騒音の大部分は、旅客機で一般的に使用されているガスタービンエンジンによって生成される。ガスタービンエンジンの騒音レベルを低減させるための既知の方法は、エンジンナセルのインレットセクションを音響処理することを含む。これに関して、ガスタービンエンジンのインレットセクションのインナーバレルには、インナーバレルの壁内に形成された複数の比較的小さい穴が設けられてよい。穴は、エンジンのインレットセクションにおいて高速で回転するファンブレードによって生成される騒音の一部を吸収し、それによって、ガスタービンエンジンの全体の騒音出力を低減させる。
【0003】
インナーバレルなどの音響構造体内に穴を形成するための従来の方法は、複雑であり且つ/又は非効率である。例えば、ある既知の方法は、外形加工機(router)及び/又はドリルを利用して、機械的に穴を開ける。それは、時間がかかり、不確実で、不正確である可能性がある。
【0004】
音響構造体内に穴を形成するためのもう一つの方法は、レーザーを使用して非接触方式で穴を開けることを含む。従来のレーザーで穴を開ける方法は、相対的にエネルギー集約的であり、レーザービームからの高い熱伝導のために、穴を取り囲むインナーバレルの材料が、溶け且つ/又は焼ける場合がある。
【発明の概要】
【0005】
音響構造体内に穴を形成するためのシステム及び方法であって、時機を得た、エネルギー効率に優れた、費用効果が高いやり方で、指定されたサイズ及び形状並びにパターンを有する均一な穴を精度よく生成するシステム及び方法が必要とされている。エンジンインレットアセンブリのインナーバレルなどの音響構造体内に穴を形成することに関連した上述の必要性は、本開示によって具体的に対処され軽減される。本開示は、エンジンのインレットアセンブリを形成するための方法を提供する。該方法は、音響コアに表面板を取り付けること、及び、穴を取り囲む表面板又は音響コアの部分を焼くことなしに、表面板内に複数の穴をレーザーで開けるように、フェムト秒レーザーを制御することを含む。
【0006】
本開示の特定の実施形態は、フェムト秒レーザー、及びフェムト秒レーザーと動作可能に接続された1以上のプロセッサを含む制御ユニットを含む、形成システムを提供する。フェムト秒レーザーは、音響インナーバレルの表面板の内面上にレーザーパルスを放射するように構成されている。音響インナーバレルは、表面板の内面とは反対側の外面に取り付けられた六角形のセル群を備えた音響コアを含む。制御ユニットは、約100フェムト秒と約10,000フェムト秒の間のパルス持続時間で且つ100,000Hzを超える周波数でレーザーパルスを放射することによって、表面板内に複数の穴をレーザーで開けるために、フェムト秒レーザーを制御するように構成されている。それによって、穴は、穴の周りを取り囲む表面板又は音響コアの部分を焼くことなしに形成される。
【0007】
本開示の特定の実施形態は、(例えば、エンジンインレットアセンブリを形成するための)方法を提供する。該方法は、音響コアに表面板を取り付けること、及び、穴を取り囲む表面板又は音響コアの部分を焼くことなしに、表面板内に複数の穴をレーザーで開けるように、フェムト秒レーザーを制御することを含む。
【0008】
本開示の特定の実施形態は、(例えば、エンジンのインレットアセンブリを形成するための)方法も提供する。該方法は、音響コア上に繊維強化材料の複数の層を自動繊維配置することを介して、六角形のセル群を備えた音響コアの内側上に表面板をその場で(in-situ)形成することを含む。該方法は、約100フェムト秒と約10,000フェムト秒の間のパルス持続時間で且つ100,000Hzを超える周波数でレーザーパルスを放射することによって、形成された表面板内に複数の穴をレーザーで開けるように、フェムト秒レーザーを制御することも含む。それによって、穴は、穴の周りを取り囲む表面板又は音響コアの部分を焼くことなしに形成される。該制御することは、順番(シーケンス)に一度に一つずつ表面板に沿って複数の穴位置の各々に1以上のレーザーパルスを放射するように、フェムト秒レーザーを制御すること、及び、穴位置に穴を徐々に形成するように、その順番を複数回繰り返すことを含む。
【0009】
本開示の上記の特徴、態様、及び利点、及びその他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、より良く理解される。図面全体を通して、同様の特徴は同様の部分を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ガスタービンエンジンを含む航空機の斜視図である。
【
図2】
図1で示されているガスタービンエンジンのナセルの一実施形態を示す。
【
図3】
図2のガスタービンエンジンのエンジンインレットアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図3で示されているエンジンインレットアセンブリの断面図である。
【
図5】エンジンインレットアセンブリの音響インナーバレルの一実施形態の斜視図である。
【
図6】ガスタービンエンジンの音響インナーバレル内に穴を形成するための形成システムの一実施形態を示す。
【
図7】穴を形成するために音響インナーバレル上に衝突するレーザービームを示している音響インナーバレルの一部分の概略的な断面図である。
【
図8】一実施形態に従って音響インナーバレル上に衝突するレーザービームを示している音響インナーバレルの一部分の別の概略的な断面図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、エンジンインレットアセンブリを形成するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の概要、及び幾つかの実施形態の下記の詳細説明は、添付の図面を参照して読むことにより、より深く理解される。本明細書で使用される「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。更に、「一実施形態」への言及は、本明細書に記載の特徴を組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈すべきでない。また、反対に明示的に記述されない限り、特定の性質を有する1以上の要素を「備える」、「含む」、又は「有する」実施形態は、その性質を有しない追加の要素を含み得る。
【0012】
本開示の特定の実施形態は、航空エンジンの音響インナーバレルなどの、音響処理される構造体の内側の表面板内に形成された穴を有する騒音低減構造体を形成するためのシステム及び方法を提供する。本開示の特定の実施形態は、航空エンジンのインレットの音響処理されるインナーバレルなどの、複雑な湾曲を有する構造体上に複数の穴を生成するためのシステム及び方法を提供する。
【0013】
表面板は、材料の単一のプライ又は材料の複数のプライを含んでよい。例えば、表面板は、共に積層化された材料の複数の板、層、又はプライを含んでよい。
【0014】
本開示の特定の実施形態は、エンジンインレットアセンブリの音響インナーバレル上などの、複合材料内に複数の穴を形成するためのシステム及び方法を提供する。穴は、(例えば、従来のレーザーと比べて)非常に短いパルス持続時間及び高い周波数でレーザーパルスを放射する超高速フェムト秒レーザーを使用して、レーザーで穴開けすることによって形成され得る。短いパルス持続時間は、音響インナーバレルの(穴を)取り囲む材料の中へ熱を伝導することなしに熱を消散させるために、パルス間の十分な遅延を提供する。熱伝導がないことによって、穴を取り囲む材料を溶かし又は焼くことを防止し、残余物なしに均一で精密な穴を可能にする。結果として、本明細書で説明されるシステム及び方法による音響インナーバレルは、(穴を形成する従来の方法と比べて)騒音を吸収し且つ/又は減衰させることにおいて全体的に高い効果を有するだろう。フェムト秒レーザーは、機械的な接触を避け、壊れたドリルビットの交換を避けることによって、機械的な穴開けよりも時機を得た費用効果に優れた工程を提供することもできる。更に、フェムト秒レーザーは、増加した速度によって、且つ、無駄なレーザーエネルギーの量を低減させることによって、穴を形成するための既知のレーザー穴開け方法よりも、時機を得たエネルギー効率に優れたものとなり得る。本明細書で開示される形成システム及び方法はまた、一部の従来のステップを消去したよりストリームライン化された形成工程を提供することによって、一部の既知の方法よりも時間、エネルギー、及び費用の効率が優れているだろう。
【0015】
次に、図面を参照すると、本開示の様々な実施形態が示されている。
図1は、航空機100の斜視図である。航空機100は、ノーズから尾部104に延在する胴体102を含み得る。尾部104は、航空機100の方向制御のための1以上の尾翼を含み得る。航空機100は、胴体102から外向きに延在している一対の主翼106を含み得る。
【0016】
航空機100は、任意選択的に主翼106によって支持されている1以上の推進システムを含み得る。推進システムのうちの各自は、ナセル110によって囲まれたコアエンジン(図示せず)を有するガスタービンエンジン108を含み又は表し得る。ナセル110は、インレットカウル114、及びコアエンジンの前方端121に取り付けられた1以上のファン119を囲むファンカウル118を含み得る。ナセル110は、ガスタービンエンジン108の後方端(図示せず)に排気ノズル112(例えば、主たる排気ノズル及びファンノズル)を有し得る。
【0017】
図2は、
図1で示されているガスタービンエンジン108のナセル110の一実施形態を示す。インレットカウル114は、前縁116を含む。音響インナーバレル120は、インレットカウル114に取り付けられ、前縁116の後方に位置付けられている。音響インナーバレル120は、ファンカウル118の前方に位置付けられている。音響インナーバレル120は、インレットカウル114に入りガスタービンエンジン108を通過する気流(図示せず)を誘導するための境界面又は壁を提供し得る。音響インナーバレル120は、エンジン108の1以上のファン(例えば、
図1で示されているファン119)の比較的近傍に位置付けられてよい。音響インナーバレル120は、ファンを回転させることによって生成された騒音及び/又はインレットカウル114に入りガスタービンエンジン108を通過する気流によって生成された騒音を吸収するための、インナーバレル120の内側の表面板内に複数の穴を有する音響構造体として働く。本明細書で使用される際に、インレットカウル114に取り付けられた音響インナーバレル120は、エンジンインレットアセンブリ122を画定し又は表す。
【0018】
図3は、エンジンインレットアセンブリ122の一実施形態の斜視図である。エンジンインレットアセンブリ122は、空洞140を画定する環状バレル形状を有する。「環状バレル形状」という用語は、エンジンインレットアセンブリ122が、中心点の周りで径方向に方向付けられた閉じたリングのような形状を画定し、エンジンインレットアセンブリ122が、中心点を通って延在する(
図6で示されている)中心線軸209に沿って細長いことを意味する。例えば、エンジンインレットアセンブリ122は、概して、エンジンインレットアセンブリ122の長さに沿って均一であるか又は変動する直径を有する円筒形状を有してよい。空洞140は、エンジンインレットアセンブリ122の第1の端と第2の端で開いており、気流をエンジンインレットアセンブリ122を通して(
図1及び
図2で示されている)ガスタービンエンジン108の中へ導く。音響インナーバレル120は、空洞140に面し且つ空洞140を部分的に画定する内側142に沿ってインレットカウル114に取り付けられている。音響インナーバレル120は、空洞140の外周に沿ってエンジンインレットアセンブリ122の内面144を画定する。インレットカウル114の外側部分は、音響インナーバレル120を取り囲む。音響インナーバレル120は、空洞140を通って流れる空気にのみ晒され得る。一方、インレットカウル114は、空洞140の中を流れる空気及びエンジンインレットアセンブリ122の外側の周りを流れる空気に晒される。空洞140は、5~8フィート(1.5メーター(m)から2.5m)までの直径を有し得るが、他の実施形態では、エンジンインレットアセンブリ122が、他のサイズ、形状、及び/又は構成で設けられてよい。
【0019】
音響インナーバレル120は、空洞140内の空気に晒される複数の穴150を含む。音響インナーバレル120は、表面板134を含む複合構造体である。表面板134内に穴150が形成される。穴150は、表面板134の厚さを少なくとも部分的に通って延在する小さい穴である。穴150は、種々の実施形態で、様々なサイズ、形状、配向、及び/又は配置を有してよい。例えば、1以上の実施形態では、穴150が、約50マイクロメーター(μm)と約500μmの間の小さい直径を有するマイクロ穴であってよい。本明細書で使用される際に、「約」という用語が前にくる所与の数値は、所与の数値の1%、5%、又は10%などの、所与の数値の指定された範囲内の数値を含む。
図3における穴150は、穴150を例示するために拡大されている。何故ならば、少なくとも1つの実施形態における穴150は、肉眼で見るには小さ過ぎるだろうからである。
【0020】
表面板134内の穴150の全面積は、百分率オープン面積(percent-open-area)として表現され得る。それは、表面板134の面積に対する穴150の加算された面積の百分率を表している。百分率オープン面積は、音響インナーバレル120の全体的な効果又は音響減衰能力を測定するための特性であり得る。航空機100の設計及び/又は開発中に、エンジンインレットアセンブリ122の音響性能要件を満たすように、所定の百分率オープン面積が、音響インナーバレル120に対して選択され得る。
【0021】
図4は、エンジンインレットアセンブリ122の断面図である。音響インナーバレル120は、表面板134及び音響コア128を含む、複合構造体であってよい。音響インナーバレル120は、任意選択的に、音響コア128の表面板134とは反対側に沿った後板132も含む。それによって、音響コア128は、表面板134と後板132の間に並べられる。例えば、表面板134は、音響コア128の内側136に沿って配置され、後板132は、音響コア128の内側136とは反対側の外側138に沿って配置される。少なくとも1つの実施形態では、音響インナーバレル120は、音響コア128内に埋め込まれたファブリックライナーなどの隔壁層(septum layer)を欠いている。
【0022】
音響インナーバレル120は、インレットカウル114の内側142に沿って取り付けられる。任意選択的に、音響インナーバレル120の前方端124は、インレットカウル114の前縁116において又は前縁116の近傍で、インレットカウル114に連結され且つ/又はインレットカウル114と相互作用し得る。音響インナーバレル120の後方端126は、インレットカウル114及び/又はファンカウル118(
図2)に連結され且つ/又はインレットカウル114及び/又はファンカウル118と相互作用し得る。表面板134、音響コア128、及び後板132は、ナセル110を通る効率的な気流を促進するために、複雑に湾曲した断面形状を有し得る。
【0023】
図5は、音響インナーバレル120の一実施形態の斜視図である。例えば、
図5は、インレットカウル114を除去した音響インナーバレル120を示している。音響インナーバレル120は、前方端124から後方端126へ軸方向に延在する環状バレル形状を有する。表面板134は、空洞140を画定するために径方向内向きに面し、後板132は、径方向外向きに面する。(
図3で示されている)表面板134の穴150は、
図5では示されていない。表面板134は、グラファイトエポキシ(例えば、炭素繊維エポキシ)、繊維強化エポキシ、又は別の複合材料などの、繊維強化ポリマーマトリクス材料を含む、複合材料から形成され得る。後板132も、複合材料から形成され、又は代替的にチタニウム、鋼鉄、アルミニウムなどの金属材料から形成され得る。音響コア128は、表面板134及び後板132を概して横断するように方向付けられた複数のセル130を有するハニカム構造を含み又は表し得る。セル130は、六角形状を有してよい。音響コア128は、金属材料(例えば、アルミニウム、チタニウムなど)及び/又は非金属材料(例えば、アラミド、繊維ガラスなど)から形成されてよい。上述したように、音響コア128は、ハニカムセル130内に埋め込まれたファブリックライナーなどの隔壁層を欠いていてよい。
【0024】
音響インナーバレル120は、1以上の段階における組立て及び硬化を介して実現された、閉じた概して円筒形状の単一構造体を有し得る。例えば、表面板134及び後板132は、個別のレイアップマンドレル(図示せず)上に乾燥繊維織物(図示せず)又は樹脂含浸プライ材料(例えば、プリプレグ)をレイアップすることによって個別に形成され、個別に硬化され得る。音響コア128は、積層造形などを介して個別に形成され得る。表面板134及び後板132を硬化させた後で、表面板134と後板132は、音響コア128の両側にそれぞれ接合される。代替的に、音響インナーバレル120は、単一段階の硬化工程で製作され得る。その工程では、表面板134がレイアップマンドレル(図示せず)上にレイアップされ、その後に、音響コア128が表面板134を覆ってレイアップされ、その後に、後板132が音響コア128を覆ってレイアップされ得る。レイアップアセンブリは、単一段階で硬化され得る。その後に、(
図6で示されている)形成システム200が、内側の表面板134内に穴を形成するために実施され得る。
【0025】
1以上の実施形態では、音響コア128が、積層造形を介して形成され、音響コア128上に表面板134をその場で形成することによって、表面板134が音響コア128に取り付けられる。例えば、表面板134は、自動繊維配置(AFP)工程を介して形成され得る。その工程では、繊維強化材料の複数の層が、音響コア128の上に付けられる。それらの層は、エポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維のトウ又は束であってよい。それらのトウは、ロボットを介して自動的に付けられてよい。ロボットは、異なる層のトウを異なる配向で付けることができる。表面板134を画定するように繊維強化材料の層を付けた後で、表面板134と音響コア128の組み合わせが硬化され得る。
図5で示されているように、音響コア128が環状バレル形状にある間に、表面板134が音響コア128の上に形成され得る。代替的な一実施形態では、音響コア128が、表面板134を形成するためのAFP工程中に平坦又は表面的な配向であり得る。APF工程の後で、組み合された構造体が、マンドレルなどによって環状バレル形状へ形作られる。後板132も、任意選択的に、APF工程などによって、音響コア128の表面板134とは反対側の上にその場で形成され得る。
【0026】
図6は、(
図2で示されている)エンジン108の音響インナーバレル120又は別の音響パネル内に穴を形成するための形成システム200の一実施形態を示している。形成システム200は、超高速フェムト秒レーザー202、及びレーザー202を制御するためにフェムト秒レーザー202と動作可能に接続された制御ユニット204を含む。形成システム200は、音響インナーバレル120の内側の表面板134内に複数の穴150を形成するように操作される。穴150は、形成システム200によって、指定されたサイズ、形状、量、密度、及び/又はパターンで形成され得る。指定されたサイズ、形状、量、密度、及び/又はパターンは、音響インナーバレル120に対する所定の百分率オープン面積に基づき、(
図2及び
図3で示されている)インレットカウル114の音響性能要件を満たすことができる。
【0027】
形成システム200は、任意選択的に、その上に音響インナーバレル120が取り付けられる、位置決めプラットフォーム206を含む。示されている実施形態では、位置決めプラットフォーム206が、音響インナーバレル120に係合し音響インナーバレル120を動かす複数のアクチュエータ207を有する。アクチュエータ207は、示されている実施形態ではローラーである。音響インナーバレル120は、垂直配向で位置決めプラットフォーム206上に除去可能に載置される。それによって、音響インナーバレル120の中心線軸209が、位置決めプラットフォーム206の水平面と平行になる。アクチュエータ207は、音響インナーバレル120の後板132と係合する。アクチュエータ207の制御された回転が、音響インナーバレル120を中心線軸209の周りで回転方向211に回転させる。任意選択的に、少なくとも1つの安定化ローラー213が、中心線軸209の上方で音響インナーバレル120と係合して、音響インナーバレル120を位置決めプラットフォーム206上に固定し、音響インナーバレル120が転倒することを防止する。
【0028】
フェムト秒レーザー202は、音響インナーバレル120によって画定された空洞140の中へ延在する。任意選択的に、フェムト秒レーザー202は、音響インナーバレル120の中心線軸209と同一線上に位置決めされる。フェムト秒レーザー202は、エフェクタアーム216によって保持される。フェムト秒レーザー202は、レーザーパルス214のビームを、空洞140の外周を画定する表面板134の内面218の上に放射する。示されている実施形態では、フェムト秒レーザー202が、エフェクタアーム216によって静的に保持され、位置決めプラットフォーム206は、音響インナーバレル120をフェムト秒レーザー202に対して徐々に回転させる。
【0029】
位置決めプラットフォーム206は、制御ユニット204を保持することもできる。図示されている実施形態では、制御ユニット204が、位置決めプラットフォーム206内に埋め込まれ又は取り付けられている。制御ユニット204は、有線接続又は無線接続を通じてフェムト秒レーザー202と動作可能に接続されてよい。例えば、電線(図示せず)が、制御ユニット204から位置決めプラットフォーム206を通ってフェムト秒レーザー202まで延在し得る。制御ユニット204は、プログラムされた指示命令に基づいてフェムト秒レーザー202を動作させるように構成された1以上のプロセッサを含む。制御ユニット204は、任意選択的に、記憶デバイス(例えば、メモリ)、入力/出力(I/O)デバイス208、及び/又は無線通信デバイスなどの、更なる特徴又は構成要素を含む。ユーザI/Oデバイス208が、
図6で示されており、ディスプレイ210及び複数のボタン又はノブ212を有するユーザーインターフェースを含む。
図6で示されている形成システム200は、非限定的な例示的実施形態であることが理解されよう。代替的な実施形態における形成システム200は、位置決めプラットフォーム206を欠いていてよく、且つ/又は制御ユニット204のI/Oデバイス208を欠いていてよい。代替的な一実施形態では、制御ユニット204が、位置決めプラットフォーム206を介してフェムト秒レーザー202から分離されている代わりに、フェムト秒レーザー202の構造体内に取り付けられてよい。
【0030】
フェムト秒レーザー202は、従来のレーザーに対して非常に高速で且つ非常に短いパルス持続時間でレーザーパルスを生成し放射するように構成されている。例えば、フェムト秒レーザー202は、「フェムト秒」レーザーと呼ばれている。というのも、パルス持続時間(例えば、パルス幅)が、10-15秒であるフェムト秒(fs)程度だからである。少なくとも1つの実施形態によるフェムト秒レーザー202は、約100fsと約10,000fs(すなわち10ピコ秒)の間のパルス持続時間でパルスを放射することができるが、パルス持続時間は、更に100fs未満の長さであってもよい。非常に短いパルス持続時間は、フェムト秒レーザー202が、必ずしもパルスエネルギーを増加させることなしに、比較的高いピーク出力(例えば、ピーク出力は、パルスエネルギーをパルス持続時間で割ったものである)を有することを可能にする。非常に短いパルス持続時間は、続きのパルス間の時間に、熱が作業面から消散することを可能にする。作業面は、図示されている実施形態では表面板134である。熱の消散は、表面板134を損傷し且つ/又は表面板134に沿った気流を乱し、騒音減衰における音響インナーバレル120の効果を低減させ得る、熱伝導を防止する。結果として、表面板134内の穴150は、正確かつ精密に形成され、音響インナーバレル120の騒音減衰効果を増加させることができる。従来のレーザーは、そのような短いパルス持続時間を有するレーザーパルスを生成することができない。そして、パルス間の時間がより少ないので、表面に損傷を与え得る熱が、作業面に沿って蓄積する。
【0031】
フェムト秒レーザー202の速度は、少なくとも10,000ヘルツ(Hz)のレーザーパルス周波数によって特徴付けられ得る。少なくとも1つの実施形態では、フェムト秒レーザー202の周波数が、約100,000Hzと500,000Hzの間などの、100,000Hzを超えたものである。パルス周波数は相対的に高いが、非常に短いパルス持続時間は、熱消散のために続きのパルス間の十分な時間経過を可能にする。例えば、レーザーパルス214は、形成されている穴150を直接取り囲む領域内の表面板134のエポキシを焼くことを避け得る。
【0032】
フェムト秒レーザー202は、様々なサイズ、形状、及び配向の穴150を形成するように構成されている。例えば、フェムト秒レーザー202は、約50μmと約500μmの間の穴径を、(レーザーパルスを介して)衝撃で開けることができる。フェムト秒レーザー202によって形成された穴150は、機械的な穿穴及び/又は従来のレーザーを介して形成された既知の音響インナーバレル内の穴の直径よりも小さくなり得る。フェムト秒レーザー202は、穴150の外周のリング内にレーザーパルス214を放射することによって、より大きい直径の穴を開けるようにも構成され得る。
【0033】
フェムト秒レーザー202は、音響インナーバレル120の回転によって、表面板134に沿った異なる穴位置をレーザーパルス214で狙うことができる。少なくとも1つの実施形態では、フェムト秒レーザー202が、素早い連続性で複数の位置をレーザービーム302で狙うように構成された、走査ヘッド320を有する。走査ヘッド320は、検流計(galvanometer)走査ヘッドであってよい。走査ヘッド320は、少なくとも1つの軸に沿ってレーザーパルス214を向けるように(例えば、制御ユニット204によって)制御可能であり得る。例示的な実施形態では、走査ヘッド320が、垂直方向下向きに位置決めされ、レーザーパルス214を、フェムト秒レーザー202の下方の表面板134の上に向ける。
【0034】
制御ユニット204は、フェムト秒レーザー202の動作を制御する。例えば、制御ユニット204は、レーザーパルスの生成及び放射のみならず、フェムト秒レーザー202の位置決め及び配向を制御することができる。制御ユニット204は、電気制御信号をフェムト秒レーザー202に送信して、フェムト秒レーザー202の動作を制御することができる。制御ユニット204は、所定の百分率オープン面積を有する指定されたパターンで、表面板134内に穴150をレーザーで開けるように、フェムト秒レーザー202を制御することができる。表面板134の上でレーザーパルス214の位置を誘導することに加えて、制御ユニット204は、レーザーパルスの特性を制御することができる。パルスの特性は、パルスが放射されるタイミング、パルス周波数、パルス持続時間(例えば、幅)、パルス強度、パルス厚さ(例えば、直径)、パルスエネルギーなどを含み得る。上述されたように、フェムト秒レーザー202は、フェムト秒程度の超短パルス持続時間を有するパルスを放射するように構成されている。それは、熱消散のために続きのパルス間の長い時間間隔を提供する。穴150は、穴150を取り囲む表面板134(又は音響コア128)の部分を焼くことなしに形成される。
【0035】
図6で示されているように、音響インナーバレル120は、フェムト秒レーザー202が穴150を開ける前に、表面板134が音響コア128のセル130に取り付けられた状態で組み立てられ得る。更に、音響インナーバレル120は、フェムト秒レーザー202がレーザーで穴開けを実行するときに、既に環状バレル形状を有するように形成され得る。例えば、音響インナーバレル120は、穴150が生成された後で、更なる曲げ又は形成を経験しないかもしれない。それは、穴150が指定されたサイズ及び形状から伸縮することを防止する。
【0036】
図6の形成システム200は、ガスタービンエンジン108(
図2)の(
図2及び
図3で示されている)エンジンインレットアセンブリ122の音響インナーバレル120内に穴150を形成するように適用されるが、形成システム200は、非限定的に、如何なる用途に対する任意の種類のバレル構造体において穴を形成するためにも実施されてよい。例えば、形成システム200は、様々な異なる種類の商用、民間、及び軍事航空機のうちの何れか1つのバレルセクション内に穴を形成するために実施されてよい。更に、形成システム200は、音響減衰の目的のために所定の量の音響穴が所望である、回転翼航空機、ホバークラフト、又は任意の他の輸送体若しくは輸送体でない用途のガスタービンエンジンのバレルセクションにおいて穴を形成するために実施されてよい。
【0037】
図7は、一実施形態による、穴150のうちの1つを形成するために音響インナーバレル120の上に衝突する複数のレーザーパルス214のレーザービーム302を示している音響インナーバレル120の一部分の概略的な断面図である。表面板134は、内面218から反対側の外面304までの厚さを有する。外面304は、音響コア128に接し、音響コア128と表面板134の間のインターフェース306を画定する。
【0038】
図7で示されているように、フェムト秒レーザー202(
図6)は、フェムト秒程度の短い(例えば、超短)パルス持続時間308を有する複数のレーザーパルス214を有するレーザービーム302を放射する。レーザーパルス214は、時間間隔310によって分離されている。一実施形態では、パルス持続時間308が、時間間隔310よりも大幅に短い。何故ならば、パルス214の周波数は、パルス持続時間308よりも大きい桁を有するからである。例えば、パルス214の周波数は、約100,000Hzと約500,000Hzの間にあり、パルス持続時間308は、約100fsと約10,000fsの間にあり得る。
図7の概略的な例示は、縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。
【0039】
レーザーパルス214は、表面板134の内面218の上に衝突し、表面板134から材料を徐々に除去して穴150を画定する。パルス持続時間308に対して相対的に長い間隔310は、続きのレーザーパルス214の間に熱が消散することを可能にする。結果として、(穴を)取り囲む表面板134及び音響コア128の領域の中への熱伝導は、生じないか又は無視できる程度であり得る。それによって、レーザーパルス214は、穴150の周りの表面板134又は音響コア128に損傷を与えない。フェムト秒レーザー202(
図6)は、音響コア128を貫通するか又は音響コア128に損傷を与えることなしに、インターフェース306までの表面板134の厚さを通ってレーザーで穴開けすることを可能にするのに十分な精密さ及び正確さを有し得る。
【0040】
図8は、一実施形態による、穴150のうちの1つを形成するために音響インナーバレル120の表面板134の上に衝突する複数のレーザーパルス214のレーザービーム302を示している音響インナーバレル120の一部分の別の概略的な断面図である。少なくとも1つの実施形態では、フェムト秒レーザー202の走査ヘッド320が、素早い連続性で複数の異なる穴位置322をレーザービーム302で狙うように構成されている。図示されていないが、走査ヘッド320は、繰り返しの順番で異なる穴位置322にレーザーパルス214を分配するために、1以上のレンズ、ビーム分割器、反射器などを含み得る。例えば、
図8は、不完全な4つの穴150を示している。4つの穴150のうちの第1の穴150A及び第2の穴150Bは、第3の穴150C及び第4の穴150Dよりも長い深さを有する。図示されている実施形態では、走査ヘッド320が、1以上のレーザーパルス214を第2の穴150Bに放射している。
【0041】
フェムト秒レーザー202の走査ヘッド320は、レーザーパルス214の1以上を、順番に一度に一つずつ複数の穴位置322の各々に放射し、その後、その順番を複数回繰り返して穴150の群を画定するように、(例えば、
図6で示されている制御ユニット204によって)制御され得る。例えば、4つの穴150A~Dは、群を表し得る。その順番は、1以上のパルス214を、郡内の第1の穴150A、その後に第2の穴150B、その後に第3の穴150C、及び最後に第4の穴150Dに関連付けられた穴位置322に放射することができる。各通過中に、レーザーパルス214は、穴150の各々から更なる材料を除去し又はさもなければ取り除く。1以上のパルス214を第4の穴150Dの穴位置322に放射することによって通過が完了した後で、走査ヘッド320は、1以上のパルス214を第1の穴150Aに向けることによって、順番を繰り返すように制御される。
図8で示されているように、第1の穴150A及び第2の穴150Bは、第3の穴150C及び第4の穴150Dよりも長い深さを有する。何故ならば、走査ヘッド320は、現在のサイクル中に、未だ第3の穴150C及び第4の穴150Dをレーザーで穴開けしていないからである。フェムト秒レーザー202は、郡内の穴150が、所望のサイズ及び形状を有するまで、順番を複数回(例えば、数十回若しくは数百回又は数千回のサイクル)繰り返すように制御され得る。
図8は、4つの穴150A~Dの群を示しているが、走査ヘッド320は、単一の順番(シーケンス)内で数千又は更に数百万の穴の群をレーザーで穴開けするように構成され得る。
【0042】
複数のサイクル又は走査ヘッド320の掃引を利用して、郡内の穴150の全てをレーザーで徐々に穴開けすることによって、各サイクルの間で規定される時間間隔が存在し、その間隔中において、穴150の各々から熱が消散することを可能にしている。例えば、レーザービーム302が、第2の穴150Bから取り除かれた後で、フェムト秒レーザー202が、第3の穴150C、その後に第4の穴150D、及びその後に再び第1の穴150Aに、レーザービーム302を放射している時間中に、熱が第2の穴150Bから消散することが可能となる。少なくとも1つの実施形態では、続きのパルス214の間の長い時間間隔310と、フェムト秒レーザー202の続きのサイクルの間の時間間隔又は時間経過との組み合わせが、熱消散のための適切な時間を提供し、熱伝導による損傷を防止する。
【0043】
図9は、本開示の一実施形態による、エンジンインレットアセンブリを形成するための方法400のフローチャートである。
図1~
図8を参照しながら、方法400は、402で開始し、音響コア128が形成される。音響コア128は、取り付けられた六角形のセル130のハニカム群を含むように形成される。音響コア128は、積層造形を介して形成され得るが、代替的な一実施形態では、成型などの別の工程を介して形成され得る。音響コア128は、任意選択的に、形成工程中に環状バレル形状に形成され得るか、又は代替的に平面的又は平坦な形状で形成されて引き続きバレル形状に曲げられ若しくは成型され得る。形成された音響コア128は、空洞140を画定する環状の内側136を含む。
【0044】
404では、音響コア128の環状の内側136に表面板134が取り付けられる。それによって、表面板134は、空洞内140で露出し、空洞140の外周を画定する。表面板134は、表面板134を音響コア128の内側136に接合することによって、音響コア128に取り付けられ得る。表面板134は、エポキシ内の炭素繊維(例えば、グラファイト)などの、繊維強化ポリマーマトリクス材料の複数の層又はプライを含む、複合材料である。少なくとも1つの実施形態では、表面板134が、音響コア128の上にその場で形成される。例えば、繊維強化材料の複数の層が、自動繊維配置(AFP)工程を介して音響コア128の内側136の上に、一度に一つずつ堆積され得る。少なくとも1つの実施形態では、繊維強化材料の層が、音響コア128がバレル形状の構成にある間に、音響コア128の上に堆積され得る。代替的な一実施形態では、音響コア128が平坦な構成にある間に層が堆積される。そして、表面板134が音響コア128に取り付けられた後で、組み合された構造体がバレル形状に曲げられ又は成型される。
【0045】
406では、後板132が、音響コア128の表面板134とは反対側の外側に沿って取り付けられる。それによって、音響コア128は、表面板134と後板132の間にサンドウィッチされる。後板132は、表面板134が音響コア128に取り付けられた様態と類似の工程又は異なる工程で、音響コア128に取り付けられ得る。例えば、後板132は、任意選択的に、APF工程を介して、又は音響コア128の外側に沿って後板132をレイアップしその後に接合すること及び/又は硬化させることによって、音響コア128の上にその場で形成され得る。
【0046】
408では、表面板134と後板132の間に音響コア128を含む組み合された構造体が、硬化されて単一の複合構造体を形成する。組み合された構造体は、音響インナーバレル120を画定し又は表す。音響インナーバレル120は、硬化の前にバレル形状を有し得る。したがって、音響インナーバレル120は、バレル形状に硬化される。
【0047】
410では、フェムト秒レーザー202が、穴150を取り囲む表面板134及び音響コア128の部分を焼くことなしに、表面板134内に複数の穴150をレーザーで開けるように制御される。フェムト秒レーザー202は、プログラムされた指示命令に従って動作する1以上のプロセッサを含む、制御ユニット204によって自動的に制御され得る。フェムト秒レーザー202は、100,000Hzを超える周波数でレーザーパルス214を放射するように制御され得る。フェムト秒レーザー202は、約100fsと約10,000fsの間の超短パルス持続時間308でレーザーパルス214を放射するように制御され得る。穴150の直径は、約50μmと約500μmの間に制御され得る。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、フェムト秒レーザー202が、順番に一度に一つずつ、表面板134に沿って複数の穴位置322の各々に、1以上のレーザーパルス214を放射するように制御される。その後、フェムト秒レーザー202は、(複数の)穴位置322で穴150の群を徐々に形成するために、順番を複数回(例えば、複数のサイクル)繰り返すように制御される。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、ステップ410においてレーザーで穴開けすることが、ステップ402、404、406、及び408に続いて生じる。例えば、音響インナーバレル120は、フェムト秒レーザー202が、表面板134の内面218に沿って穴をレーザーで開ける前に、閉じたバレル形状に組み立てられ形成される。フェムト秒レーザー202は、レーザーパルス214で指定された穴位置322を狙うために、所望の位置及び配向を実現するように、音響インナーバレル120の空洞140の中に少なくとも部分的に延在し得る。
【0050】
412では、音響インナーバレル120が、ガスタービンエンジン108のインレットカウル114の内側142に取り付けられて、エンジンインレットアセンブリ122を画定する。エンジンインレットアセンブリ122は、気流をガスタービンエンジン108の中へ誘導するように構成されている。音響インナーバレル120は気流に晒され、穴150は、高速で回転しているファンブレードによって生成された騒音の一部を吸収し、それによって、ガスタービンエンジン108の全体の騒音出力を低減させる。
【0051】
上述のように、本開示の実施形態は、時機を得た、効率的な、費用効果に優れたやり方で実行され得る、音響構造体内で穴を形成するためのシステム及び方法を提供する。更に、本開示の実施形態は、レーザーから音響構造体への熱伝導がほとんど或いは全くないので、穴の周りを取り囲む音響構造体の領域を焼かない又はさもなければ損傷を与えない、音響構造体内で正確且つ精密にレーザーで穴を形成するためのシステム及び方法を提供する。更に、本開示の実施形態は、製造工程におけるステップの数全体を低減させるために、積層造形及び/又はその場での方法を介して幾つかの構成要素を形成することによって、効率的に音響構造体を製造するシステム及び方法を提供する。
【0052】
上述されたように、本開示の実施形態は、航空機のエンジンの音響インナーバレルを形成するシステム及び方法を提供する。本開示の実施形態は、音響インナーバレル以外の様々な他の構成要素に関して使用されてよい。例えば、本開示の実施形態は、平行移動スリーブ、内壁などの、推進システム内の様々な他の音響処理に関して使用されてよい。つまり、本開示の実施形態は、音響インナーバレルに限定されない。
【0053】
本開示の実施形態の説明のために、上部、底部、下方、中央、横方向、水平、垂直、前方などの空間及び方向に関する様々な語が用いられる場合があるが、そのような語は図面で示す方向に対するものとして用いられているにすぎないことを理解されたい。向きを、反転させる、回転させる、又はそうでなければ、上部が下部に、また下部が上部になるように、また水平が垂直になる等のように変化させることができる。
【0054】
本明細書の実施形態の図は、
図6で示されている制御ユニット204などの1以上の制御又は処理ユニットを示し得る。処理又は制御ユニットが、本明細書で説明される動作を実行する関連する指示命令(例えば、コンピュータハードドライブ、ROM、RANなどの、有形且つ非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェアなど)を含むハードウェアとして実装され得る回路又はその一部を表し得ることを理解されたい。ハードウェアは、本明細書で説明される機能を実行するように配線接続された(hardwired)ステートマシン回路を含み得る。任意選択的に、ハードウェアは、マイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラなどの1以上の論理ベースの装置を含み且つ/又はそれらに接続された、電子回路を含んでいてもよい。任意選択的に、制御ユニット204は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、(1以上の)マイクロプロセッサ、量子コンピューティングデバイスなどのうちの1以上などの、処理回路を表してよい。様々な実施形態における回路は、本明細書で説明される機能を実施するために1以上のアルゴリズムを実行するように構成され得る。1以上のアルゴリズムは、フローチャート又は方法に明示的に特定されているか否かに関わらず、本明細書で開示されている実施形態の諸態様を含み得る。
【0055】
本書で使用する「制御装置」「装置」「中央処理装置」「CPU」「コンピュータ」などの語は、マイクロコントローラ、縮小指令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び、本書で説明される機能を実行することが可能なハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせを含む他の任意の回路又はプロセッサを使用するシステムを含む、プロセッサベース又はマイクロプロセッサベースの、任意のシステムを含み得る。上述の例は例示的なものにすぎず、従って、上記用語の定義及び/又は意味を何らかの方法で限定することを意図していない。
図6で示されている制御ユニット204は、データを処理するために、(1以上のメモリなどの)1以上の記憶素子内に記憶された一組の指示命令を実行するように構成されている。例えば、制御装置204は、1以上のメモリを含み得るか又は1以上のメモリに接続され得る。記憶素子はまた、所望又は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶し得る。記憶素子は、情報ソース、又は処理マシン内部の物理メモリ素子という形態を採り得る。
【0056】
一組の指示命令は、処理マシンとして本明細書で説明される主題の様々な実施形態の方法及び工程などの特定の動作を実行するように、制御ユニット204(
図6)に指示命令する、様々なコマンドを含み得る。一組の指示命令は、ソフトウェアプログラムの形態を採り得る。ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアなどの様々な形態を採り得る。更に、ソフトウェアは、別々のプログラムの集合体、より大きなプログラム内のプログラムサブセット、又はプログラムの一部分という形態を採り得る。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュラープログラミングを含み得る。処理マシンによる入力データの処理は、ユーザのコマンドに応答したものか、前の処理の結果に応答したものか、又は別の処理マシンによってなされた要求に応答したものであってよい。
【0057】
本明細書で使用される際に、「ソフトウェア(software)」という語と「ファームウェア(firmware)」という語は入れ替え可能であり、これらの語は、プロセッサによる実行のためのメモリ(RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び非揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む)に記憶されている、任意のコンピュータプログラムを含む。上記のメモリの種類は例示にすぎず、故に、コンピュータプログラムを記憶するために使用可能なメモリの種類について限定するものではない。
【0058】
本明細書で使用する、タスク又は動作を実施する「ように構成される」構造、限定事項、又は要素は、特にタスク又は動作に対応するように、構造的に形成、構成、又は適合されている。明確さのため、及び誤解を避けるために、タスク又は動作を実施するために変更可能であるに過ぎない対象物は、本明細書で使用するタスク又は動作を実施する「ように構成」されてはいない。
【0059】
上記の説明は、限定ではなく、例示を意図するものであることを理解するべきである。例えば、上述の実施形態(及び/又はそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。加えて、本開示の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料に適応させるために、本開示の様々な実施形態の教示に多数の改変を加えることが可能である。本明細書に記載の材料の形状寸法及びタイプは、本開示の様々な実施形態のパラメータを規定することを意図しているが、これらの実施形態は限定的なものではなく例示的な実施形態である。本発明を精査することにより、当業者には他の多くの実施形態が明らかであろう。本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びに、かかる特許請求の範囲が認められる均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「そこにおいて(in which)」という語は、それぞれ、「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」という語の明白な同義語として使用される。また、「第1」「第2」及び「第3」等の語は単に符号として使用され、それらの対象物に数的要件を課すことを意図するものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズ・プラス・ファンクション書式で記述されておらず、かかる特許請求の範囲の限定が、更なる構造のない機能の記述が後続する「のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるべきではない。
【0060】
本開示は、以下の条項で説明される主題を含む
条項1
音響インナーバレル(120)の表面板(134)の内面(218)上にレーザーパルス(214)を放射するように構成されたフェムト秒レーザー(202)であって、前記音響インナーバレルが、前記表面板の前記内面とは反対側の外面(304)に取り付けられた六角形のセル群(130)を備えた音響コア(128)を含む、フェムト秒レーザー、及び
前記フェムト秒レーザーと動作可能に接続された1以上のプロセッサを備えた制御ユニット(204)であって、約100フェムト秒と約10,000フェムト秒の間のパルス持続時間で且つ100,000Hzを超える周波数でレーザーパルスを放射することによって、前記表面板内に複数の穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザーを制御するように構成されており、前記穴が、前記穴を取り囲む前記表面板又は前記音響コアの部分を焼くことなしに形成される、制御ユニットを備える、形成システム(200)。
条項2
前記制御ユニット(204)が、前記音響コア(128)を貫通することなしに、前記表面板(134)と前記音響コアとの間のインターフェース(306)まで、前記表面板の厚さを通るように前記穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザー(202)を制御するように構成されている、条項1に記載の形成システム(200)。
条項3
前記フェムト秒レーザー(202)が走査ヘッド(320)を含み、前記制御ユニット(204)が、順番に一度に一つずつ前記表面板(134)に沿って複数の穴位置(322)の各々に1以上のレーザーパルス(214)放射するために前記走査ヘッドを制御し、前記穴位置に前記穴(150)を徐々に形成するために前記順番を複数回繰り返すように構成されている、条項1又は2に記載の形成システム(200)。
条項4
前記フェムト秒レーザー(202)が、前記表面板(134)内に前記穴(150)をレーザーで開けるように、前記音響インナーバレル(120)によって画定された空洞(140)の中へ少なくとも部分的に延在する、条項1から3のいずれか一項に記載の形成システム(200)。
条項5
前記制御ユニット(204)が、所定の百分率オープン面積を有する指定されたパターンで前記表面板(134)内に前記穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザー(202)を制御するように構成されている、条項1から4のいずれか一項に記載の形成システム(200)。
条項6
前記制御ユニット(204)が、約50マイクロメーターと約500マイクロメーターの間の直径を有するように、前記表面板(134)内に前記穴(150)をレーザーで開けるために、前記フェムト秒レーザー(202)を制御するように構成されている、条項1から5のいずれか一項に記載の形成システム(200)。
条項7
音響コア(128)に表面板(134)を取り付けること、及び
複数の穴(150)を取り囲む前記表面板又は前記音響コアの部分を焼くことなしに、前記表面板内に前記穴をレーザーで開けるように、フェムト秒レーザー(202)を制御することを含む、方法(400)。
条項8
前記音響コア(128)に前記表面板(134)を取り付けることが、前記表面板内に前記穴(150)をレーザーで開ける前に行われる、条項7に記載の方法(400)。
条項9
前記音響コア(128)が環状バレル形状を有し、前記音響コアの内側(136)が空洞(140)を画定し、前記音響コアに前記表面板(134)を取り付けることが、前記音響コアの前記内側に前記表面板の外面(304)を接合することを含む、条項8に記載の方法(400)。
条項10
前記音響コア(128)に前記表面板(134)を取り付けることが、前記音響コア上に前記表面板をその場で形成することを含む、条項7から9のいずれか一項に記載の方法(400)。
条項11
前記表面板(134)を画定するために、前記表面板が、繊維強化材料の複数の層の自動繊維配置(AFP)を介して、前記音響コア(128)上にその場で形成される、条項10に記載の方法(400)。
条項12
前記制御することが、100,000Hzを超える周波数で前記表面板(134)上にレーザーパルス(214)を放射するように、前記フェムト秒レーザー(202)を制御することを含む、条項7から11のいずれか一項に記載の方法(400)。
条項13
前記制御することが、約100フェムト秒と約10,000フェムト秒の間のパルス持続時間で、前記表面板(134)上にレーザーパルス(214)を放射するように、前記フェムト秒レーザー(202)を制御することを含む、条項7から12のいずれか一項に記載の方法(400)。
条項14
前記制御することが、順番に一度に一つずつ前記表面板(134)に沿って複数の穴位置(322)の各々に1以上のレーザーパルス(214)を放射するように、前記フェムト秒レーザー(202)を制御すること、及び、前記穴位置に前記穴(150)を徐々に形成するように、前記順番を複数回繰り返すことを含む、条項7から13のいずれか一項に記載の方法(400)。
条項15
前記制御することが、約50マイクロメーターと約500マイクロメーターの間の直径を有するように、前記穴(150)を形成することを含む、条項7から14のいずれか一項に記載の方法(400)。
条項16
前記表面板(134)が、エンジン(108)を通る気流を導くための境界を提供するように、前記音響コア(128)及び前記表面板を、前記エンジンのインレットカウル(114)の内側(142)に取り付けることを更に含む、条項7から15のいずれか一項に記載の方法(400)。
条項17
前記音響コア(128)に前記表面板(134)を取り付けた後で、且つ、前記表面板内に前記穴(150)をレーザーで開けるように前記フェムト秒レーザー(202)を制御する前に、前記表面板及び前記音響コアを硬化させることを更に含む、条項7から16のいずれか一項に記載の方法(400)。
【0061】
ここに記載した説明では、ベストモードを含む本開示の様々な実施形態を開示し、且つ当業者が任意のデバイス又はシステムの作成及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含め、本開示の様々な実施形態を実施することを可能にするために実施例を使用している。本開示の様々な実施形態の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想起する他の実施例を含み得る。かかる他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は、実施例が、特許請求の範囲の文言とごくわずかな相違しかない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。