(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】巻上機、巻上機システム、吊荷質量推定装置及び吊荷質量推定方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/16 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
B66C13/16 F
(21)【出願番号】P 2019185651
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金山 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】小田井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】桃井 康行
(72)【発明者】
【氏名】家重 孝二
(72)【発明者】
【氏名】及川 裕吾
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆文
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119583(JP,A)
【文献】国際公開第2018/151215(WO,A1)
【文献】特開2013-060279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げた吊荷を鉛直方向に移動させる巻上機であって、
前記巻上機の運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部が取得した前記運転情報から前記巻上機の吊荷質量を推定する吊荷質量推定部と、を備え、
前記吊荷質量推定部は、前記運転情報と前記吊荷質量が対応付けられたデータを用いて予め学習しておいた吊荷質量推定式に基づいて、前記吊荷質量を推定する
ものであって、
前記データは、前記吊荷が地面から離れる地切り動作時の運転情報及び吊荷質量を有し、製品ごとに行った地切り試験で収集されたものであることを特徴とする巻上機。
【請求項2】
請求項
1に記載の巻上機において、
前記データは、トロリに対する前記吊荷の位置又は楊重パターンが異なる複数の運転情報及び吊荷質量を有することを特徴とする巻上機。
【請求項3】
請求項1に記載の巻上機において、
前記運転情報は、巻上げモータの運転速度、巻上げモータの回転数、巻上げモータへの印加電圧、のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする巻上機。
【請求項4】
請求項1に記載の巻上機において、
前記運転情報は、時系列データで構成されていることを特徴とする巻上機。
【請求項5】
吊り下げた吊荷を鉛直方向に移動させる巻上機と、前記巻上機を操作する操作端末と、前記吊荷の質量を推定するときに用いる吊荷質量推定式を学習する学習装置と、を備えた巻上機システムであって、
前記巻上機は、前記巻上機の運転情報を取得する運転情報取得部と、前記運転情報取得部が取得した前記運転情報から前記巻上機の吊荷質量を推定する吊荷質量推定部と、を有し、
前記操作端末は、前記巻上機の前記吊荷質量推定部で算出された吊荷質量を表示する吊荷質量表示部を有し、
前記学習装置は、前記吊荷質量推定式の学習に必要な学習データを蓄積する学習データ蓄積部と、前記学習データ蓄積部から前記学習データを読み込んで学習計算する学習計算部と、前記学習計算部で出力された前記吊荷質量推定式を蓄積する学習結果蓄積部と、を有
し、
前記吊荷質量表示部に表示された吊荷質量が誤っていると操作者が判断した場合、前記操作端末により修正された吊荷質量が、前記運転情報と対応付けて再学習用データとして、前記学習データ蓄積部に蓄積されることを特徴とする巻上機システム。
【請求項6】
巻上機に吊り下げた吊荷の質量を推定する吊荷質量推定装置であって、
前記巻上機の運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部が取得した前記運転情報から吊荷質量推定式に基づいて前記巻上機の吊荷質量を推定する吊荷質量推定部と、
前記吊荷質量推定式の学習に必要な学習データを蓄積する学習データ蓄積部と、
前記学習データ蓄積部から前記学習データを読み込んで学習計算する学習計算部と、
前記学習計算部で出力された前記吊荷質量推定式を蓄積する学習結果蓄積部と、を備え
、
前記学習データは、点検時に行った地切り試験で収集されたものであることを特徴とする吊荷質量推定装置。
【請求項7】
巻上機の運転情報と吊荷質量が対応付けられたデータを学習データとして収集する第1のステップと、
収集した前記学習データを用いて吊荷質量推定式を学習する第2のステップと、
前記巻上機の前記運転情報を取得する第3のステップと、
取得した前記運転情報及び学習した前記吊荷質量推定式に基づいて前記吊荷質量を推定する第4のステップと、を備え
、
前記学習データは、出荷時又は点検時に製品ごとに行った地切り試験で収集したデータであることを特徴とする吊荷質量推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻上機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、巻上機の熟練作業者の高齢化や、巻上機設置台数の増加による人手不足に伴い、巻上機業界では経験の浅い非熟練作業者が増加している。このような中、非熟練作業者でも安全かつ高効率な搬送を実現できる巻上機が求められている。巻上機では、吊荷質量を操作者に通知し運搬操作を支援するだけでなく、過負荷防止、寿命予測、吊荷が地面から離れる地切りの検出、などを行うためにも、吊荷質量を検出できることが望ましい。
【0003】
吊荷質量を検出するためには、例えば、ロードセルなどの計測センサを追加することで可能となるが、この方法では、センサ追加のためのコストが増えてしまう。そこで、追加センサ不要で吊荷質量を推定する方法が望まれる。
【0004】
このような要求を実現するために、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、「出力トルク推定部151は、電動機13に入力される電流値を電力変換器14から取得し、取得した電流値から電動機13の出力トルクの推定値である出力トルク推定値を算出する。荷重推定部152は、出力トルク推定部151により算出された出力トルク推定値と、減速機12の減速比と、ウインチドラムの有効半径と、本数設定部153により設定された掛け本数とに基づいて、吊荷17の荷重値を推定する」巻上機の荷重検出方法が開示されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、モータモデルに基づきモータの電流値から出力トルクを算出し、巻上機のモデルに基づき出力トルクから吊荷質量を推定している。しかし、このようなモデルベースによる推定方法は、現実世界の挙動を完全にモデル化できないことによるモデル誤差が原因で推定値の精度が悪いという問題がある。例えば、モータモデルでは、軸受けや減速機の摩擦が検出できないことや、無通電状態でもモータの回転に伴って生じるコギングトルクに起因する誤差の影響で、モータの電流値から出力トルクを正確に推定することは困難である。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その目的は、巻上機の吊荷質量を高精度に推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するため、本発明は、吊り下げた吊荷を鉛直方向に移動させる巻上機であって、前記巻上機の運転情報を取得する運転情報取得部と、前記運転情報取得部が取得した前記運転情報から前記巻上機の吊荷質量を推定する吊荷質量推定部と、を備え、前記吊荷質量推定部は、前記運転情報と前記吊荷質量が対応付けられたデータを用いて予め学習しておいた吊荷質量推定式に基づいて、前記吊荷質量を推定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モデルベースの手法ではモデル化しきれない現実世界の挙動までも反映した吊荷質量の推定ができるため、巻上機の吊荷質量を高精度に推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の巻上機を用いたクレーンの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態の巻上機、操作端末の構成例を示す図である。
【
図3】巻上機で吊荷を巻上げ、吊荷が地面から離れる地切りを示す概略図である。
【
図4】地切り時のトロリに対する吊荷の位置関係を示す概略図である。
【
図5】第1施形態の巻上機で行われる全体処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】運転中に吊荷質量を推定する詳細手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2施形態の巻上機、吊荷質量推定装置の構成例を示す図である。
【
図8】第2施形態の吊荷質量推定装置で行われる全体処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態の巻上機、操作端末、学習装置の構成例を示す図である。
【
図10】第3実施形態の巻上機システムで行われる全体処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】地切り試験での巻上機のデータ収集の詳細手順を示すフローチャートである。
【
図12】吊荷質量推定式の学習の詳細手順を示すフローチャートである。
【
図13】巻上機が複数存在するシステムの例を示す図である。
【
図14】学習装置がクラウドサーバ上に存在するシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1~
図6を参照して、第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の巻上機を用いたクレーンの構成を示す図である。クレーン500は建屋(図示せず)の両側の壁に沿って設けられたランウェイ501と、ランウェイ501の上を移動するガーダ502と、ガーダ502に沿って移動するトロリ503から構成される。トロリ503には巻上機1が設けられており、これを用いて吊荷504を吊り下げたロープ、チェーンなどを巻上げ、または、巻下げることにより、吊荷504を昇降させる。クレーン500では、ガーダ502、トロリ503、巻上機1には、それぞれを駆動するモータが設けられ、操作端末2からの操作指令に従い駆動される。なお、吊荷504は、クレーンで運搬する対象であり、クレーンの構成要素ではないことに注意されたい。
【0012】
図2は、本実施形態による巻上機に関連するシステムの構成図である。本巻上機システムは、巻上機1と、操作端末2から構成される。
巻上機1は、モータ101と、モータ運転情報取得部131と、モータ制御部132と、吊荷質量推定部133と、を有する。なお、この巻上機1は、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の主記憶装置、ハードディスク等の補助記憶装置、及び、通信装置などのハードウェアを備えたものである。そして、操作端末2で入力された操作指令を通信装置を介して受信し、主記憶装置に記憶されたプログラムを演算装置が実行することで、モータ運転情報取得部131やモータ制御部132等の各機能を実現する。以下、巻上機1の各々の詳細を具体的に説明する。
【0013】
モータ101は、巻上機1を巻上または巻下駆動する。また、モータ101は、1台以上のモータから構成されており、それぞれのモータは、例えば三相の電動モータで構成される。
【0014】
モータ制御部132は、操作端末2の操作入力部202で入力された巻上機1の操作指令を入力とし、操作指令に従ってモータを動かすためのモータ制御指令に変換し、モータ101へ出力する。
【0015】
モータ運転情報取得部131は、吊荷質量推定部133に入力するモータ運転情報を取得する。モータ運転情報は、吊荷質量推定に利用するモータの運転に関する情報で、例えば、モータ駆動時の印加電流値や、エンコーダのセンサ値から算出されるモータ回転数や、モータへの指令値である運転周波数、などである。
【0016】
吊荷質量推定部133は、モータ運転情報取得部131が取得したモータ運転情報から、吊荷質量推定式を用いて吊荷質量を算出する。本実施形態では、巻上機の出荷前工程に、モータ運転情報と吊荷質量のデータを収集し、モータ特性の個体差等を考慮した、高精度な吊荷質量推定式の学習が行われる(以下、収集したモータ運転情報と吊荷質量のデータセットを学習データと呼称)。したがって、本実施形態の巻上機は、運用工程では、モータ運転情報と、事前に学習した吊荷質量推定式と、を用いた吊荷質量の推定のみを行う。
【0017】
なお、学習データの吊荷質量は、吊荷質量推定式を学習するために設定された数値で、例えば人手によって設定されてもよいし、自動で設定してもよい。なお、このように学習用に設定された数値を参照値と呼称し、吊荷質量推定式を用いて推定された吊荷質量の数値(以下、推定値と呼称)と区別する。
【0018】
吊荷質量推定式は、モータ運転情報を入力として、吊荷質量を出力する式である。入力とするモータ運転情報は、現在のサンプルのみでもよいし、過去から現在までの一定数サンプル分の時系列データでもよい。吊荷質量推定式の一例として、式(1)がある。
u=Wx+b ・・・ (1)
ここで、xはモータ運転情報を連結させたベクトル(以下、モータ運転情報ベクトルと呼称)である。uは吊荷質量を表すスカラーであり、例えば、吊荷質量の推定値や、製品の定格荷重に対する吊荷質量の推定値の割合でもよい(後者の場合、定格荷重1tの製品でu=0.5であれば、吊荷質量の推定値は500kgとなる)。Wはモータ運転情報ベクトルxのそれぞれの要素に対する重みを表す係数行列であり、bはバイアスを表す係数である。
【0019】
なお、吊荷質量推定部133には、後処理として、移動平均フィルタなどのローパスフィルタを用いて算出される吊荷質量の時系列ノイズを除去してもよい。また、算出された吊荷質量は、操作端末2の吊荷質量表示部201に出力されるようにしてもよく、さらには、過負荷防止や寿命予測に利用したり、地切りを検出するために利用したりしてもよい。
【0020】
操作端末2は、吊荷質量表示部201と、操作入力部202と、を有する。なお、この操作端末2は、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の主記憶装置、ハードディスク等の補助記憶装置、及び、通信装置などのハードウェアを備えたものであり、周知動作は適宜省略して説明を進める。また、操作端末2は、ティーチングペンダントでもよいし、スマートフォンやタブレットPC、ノートPC、デスクトップPCといった形態でもよい。操作端末2は専用端末として提供してもよいし、アプリケーションとして提供し、操作者が各自の端末で利用してもよい。また、操作端末2は無線通信で巻上機1と情報をやり取りしているが、有線通信であってもよい。以下、操作端末2の各々の詳細を具体的に説明する。
【0021】
吊荷質量表示部201は、巻上機1の吊荷質量推定部133で算出された吊荷質量を表示する。また、本実施形態では、吊荷質量表示部201及び操作入力部202は操作端末2に実装されるが、巻上機1に実装してもよく、例えば吊荷質量表示部201は、巻上機1に搭載の基板に表示してもよい。
【0022】
操作入力部202は、ボタンやレバーやハンドルやジョイスティックなどにより操作者が巻上機1に操作指令を入力するためのインターフェースである。操作入力部202は、ディスプレイとタッチパネルを組み合わせたものであっても、スマートフォンなどのデバイス上でソフトウェアにより実現されたインターフェースであってもよい。キーボードやマウスによって移動量あるいは目的地の座標あるいは場所の名称を入力してもよい。工場内に設置された巻上機などを管理する運用管理システムや生産管理システムとリンクして、その情報をもとに操作指令を入力するようにしてもよい。さらには、事前にプログラムされた操作指令を自動で入力する自動運転機能を備えてもよい。
【0023】
本実施形態の巻上機の運用手順について、
図3~
図6を用いて説明する。巻上機での吊荷質量の推定は、搬送時に最初に行う吊荷が地面から離れる地切り時に適用するのがよい。また、地切り時のモータ運転情報と運転条件を学習に用いるのがよい。これは、地切り時は主に巻上機のみが駆動するため、他の外部要因の影響を受けにくいからである。
図3は地切り動作を説明する図である。地切りは、
図3(a)に示される吊荷504が地面に置かれた状態から、
図3(b)に示される吊荷504が地面から離れた状態まで巻上機1を駆動する。
図4は地切り時の吊荷とトロリの位置関係を説明する図である。地切り時はトロリが吊荷の重心の直上に配置されるのが望ましいが、
図4に示すようにトロリが吊荷の重心からずれた位置に配置される可能性もある。以下、地切り時を例に本実施形態の巻上機の運用手順を説明するが、地下げの際にも同様の構成と手順で実現できる。
【0024】
モータ運転情報取得部131は、地切り時のモータ運転情報を取得する。精度よく吊荷質量を推定するためにモータ運転情報の時系列データを取得することが望ましい。なぜならば、吊荷質量推定式への入力に、吊荷質量を推測する時点でのモータ運転情報だけでなく、過去のモータ運転情報まで利用できれば、吊荷質量推定式の表現力が向上し、例えば、モータのヒステリシスなども考慮した吊荷質量推定式を学習によって獲得できるからである。CPUの演算性能や記憶装置の容量などの制約によりデータ容量が制限される場合には、少なくとも地切り後のデータが取得されていればよい。
【0025】
学習データ条件は、トロリ503に対する吊荷504の位置ずれ(
図4のd)や、荷揚げの際の楊重のパターンを含んでもよい。なお、楊重のパターンとは、高速あるいは低速巻上げモードなどの巻上げモードや、巻上速度のことである。収集される学習データは、巻上機1の運用上想定される地切りのパターンをより満遍なく網羅されることが望ましく、その結果、より高精度に吊荷質量を推定可能になる。例えば、吊荷質量のパターンは、0kgから過負荷となる重さ(巻上機1の定格荷重を超える重さ)までを徐々にかつ均等な幅で吊荷質量を変えながら学習データを収集することが望ましい。また、モータ運転情報には、逆起電力や、モータ温度を含んでもよい。これにより、モータの損失を考慮することができ、より的確に吊荷質量を推定可能になる。
【0026】
図5は、本実施形態の巻上機の処理手順を示すフローチャートである。
図5のフローチャートに基づく動作は以下の通りである。
処理は、出荷前工程でのステップS1~3と、運用工程でのステップS11から構成される。
【0027】
ステップS1:機種ごとに、吊荷質量や、トロリに対する吊荷の位置ずれや、楊重のパターンにバリエーションを持たせた条件下で、地切り試験を行った際の学習データ(ラインナップ学習データ)を収集する。
【0028】
ステップS2:ステップS1で収集したラインナップ学習データを用いて、機種ごとに標準の吊荷質量推定式を学習する。
【0029】
ステップS3:製品出荷テスト時の地切り試験で学習データ(個体別学習データ)を収集し、新たに収集したデータで製品ごとに吊荷質量推定式を再学習し、モータ特性の個体差を反映させる。その結果、製品ごとに高精度に吊荷質量を推定することができるようになる。なお、製品ごとの個体差が少ない場合には、このステップは必須ではない。
【0030】
ステップS11:操作者が巻上機1を運転する際、運転時のモータ運転情報から吊荷質量を推定する。本実施形態の運用工程では、出荷前工程で学習した吊荷質量推定式を用いて、運転中に吊荷質量を推定するのみとなる。
【0031】
図6は、運転中に吊荷質量を推定するステップ(S11)の詳細手順を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS301:操作者が巻上機1に吊荷をセットする。
【0033】
ステップS302:操作者が操作入力部202から地切り操作を行う。
【0034】
ステップS303:モータ運転情報取得部131でモータ運転情報を取得する。
【0035】
ステップS304:吊荷質量推定部133で吊荷質量推定式に基づいて、吊荷質量を推定する。
【0036】
ステップS305: ステップS304で推定された吊荷質量を、吊荷質量表示部201に表示する。
【0037】
以上のように、巻上機1は、ステップS304で吊荷質量推定式に基づいて吊荷質量を推定し、吊荷質量表示部201から操作者に吊荷質量の推定値を通知する。また、ここで推定された吊荷質量は、過負荷防止や寿命予測、地切り検出に利用してもよい。
【0038】
本実施形態では、運用工程での再学習を行わないので、出荷後は学習装置が不要であり、操作端末2の構成も少なくて済むので、簡易なシステムとなり安価な巻上機を提供できる。なお、本実施形態はステップS3で製品出荷テスト時の地切り試験データを記録し、製品ごとに再学習を行っている例を示しているが、ステップS3はなくてもよい。ステップS3を行うことで製品ごとの特性を反映して高精度に吊荷質量を推定することができる。
【0039】
[第2実施形態]
本実施形態では、既に設置済み、あるいは購入済みの巻上機に対して、吊荷質量推定装置を取り付ける場合について説明する。
【0040】
図7は、本実施形態による巻上機、吊荷質量推定装置の構成図である。巻上機1は、モータ101から構成される。吊荷質量推定装置4は、モータ運転情報取得部131と吊荷質量表示部201と学習データ条件入力部203と吊荷質量推定部133と学習データ設定部231と学習計算部331と学習データ蓄積部371と学習結果蓄積部372から構成される。なお、この吊荷質量推定装置4は、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の主記憶装置、ハードディスク等の補助記憶装置、及び、通信装置などのハードウェアを備えたものであり、周知動作は適宜省略して説明を進める。以下、吊荷質量推定装置4の各々の詳細を具体的に説明する。
【0041】
モータ運転情報取得部131は、巻上機1のモータ運転情報を取得する。吊荷質量推定部133は、モータ運転情報取得部131が取得したモータ運転情報から、吊荷質量推定式を用いて吊荷質量を算出する。吊荷質量表示部201は、吊荷質量推定部133で算出された吊荷質量を表示する。
【0042】
学習データ条件入力部203は、学習データの条件を入力するためのインターフェースであり、タッチパネルやキーボードやマウスなどの形態をとる。学習データ条件は、モータ運転情報取得部131で取得されるモータ運転情報に対応した巻上機の運転条件であり、少なくとも吊荷質量の参照値を含んでいる。また、学習データ条件は、巻上機1の機種名や、個体識別番号などの情報を含んでもよい。学習データ条件入力部203で入力された学習データ条件は、学習データ設定部231に出力される。
【0043】
学習データ設定部231は、学習データ条件入力部203から入力された学習データ条件と、モータ運転情報取得部131から入力されたモータ運転情報を対応付けて1セットの学習データとして設定し、学習データ蓄積部371に蓄積する。学習データ蓄積部371は、操作端末2の学習データ設定部231で設定された学習データを蓄積する。学習計算部331は、学習データ蓄積部371から学習データを読み込み、吊荷質量推定式の学習計算を行う。
【0044】
学習結果蓄積部372は、学習計算部331で出力された吊荷質量推定式が保存されている。そして、適宜、吊荷質量推定式が更新されたタイミングなどで巻上機1の吊荷質量推定部133に吊荷質量推定式を転送する。
【0045】
次に、本実施形態における吊荷質量推定装置で行われる全体処理の手順について説明する。
図8は、本実施形態の処理手順を示すフローチャートである。まずは、吊荷質量推定装置4を巻上機1に取り付ける(ステップS20)。次に、モータ運転情報と地切り情報からなる学習データを収集する。学習データ収集は、例えば、地切り試験などによって行われる(ステップS1)。次に学習計算部331で吊荷質量推定式を学習する(ステップS2)。そして吊荷質量を推定する(ステップS11)。ステップS1とステップS2とステップS11は、第1実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態は、吊荷質量推定装置を取り付けることで、吊荷質量推定機能が搭載されていない巻上機でも、後から吊荷質量推定が可能となる。
【0047】
[第3実施形態]
図9は、本実施形態による巻上機に関連するシステムの構成図である。本巻上機システムは、巻上機1と、操作端末2と、学習装置3から構成される。これらの間での情報のやり取りは、有線通信であっても無線通信であってもよい。
【0048】
巻上機1は、第1実施形態と同様に、モータ101と、モータ運転情報取得部131と、モータ制御部132と、吊荷質量推定部133と、を有する。しかし、本実施形態の巻上機システムでは、運用工程において、モータ運転情報を用いて吊荷質量の推定が行われるだけでなく、モータ運転情報と吊荷質量のデータを収集して学習が行われる。
【0049】
本実施形態のモータ運転情報取得部131は、吊荷質量の推定時は、吊荷質量を推定する吊荷質量推定部133にモータ運転情報を出力し、学習時は、学習データを設定するために操作端末2の学習データ設定部231にモータ運転情報を出力する。
【0050】
吊荷質量推定部133は、モータ運転情報取得部131が取得したモータ運転情報から、吊荷質量推定式を用いて吊荷質量を算出する。ここで、吊荷質量推定式は、学習装置3の学習結果蓄積部372から学習済みの吊荷質量推定式として転送されるものである。
【0051】
本実施形態の操作端末2は、吊荷質量表示部201と、操作入力部202の他に、学習データ条件入力部203と、学習データ設定部231と、を有する。
【0052】
吊荷質量表示部201は、巻上機1の吊荷質量推定部133で算出された吊荷質量を表示する。また、吊荷質量推定部133が誤った吊荷質量の推定値を出力した場合、操作者が正しい吊荷質量の参照値を入力し、そのデータを用いて再学習を行うかの確認画面を表示してもよい。再学習については後述する。
【0053】
操作入力部202は、操作者が巻上機1に操作指令を入力するためのインターフェースである。また、学習データ条件入力部203は、学習データの条件を入力するためのインターフェースである。学習データ条件入力部203のインターフェースは、操作入力部202のインターフェースと共通で利用しても、別のインターフェースとして実装されてもよい。
【0054】
学習データ設定部231は、学習データ条件入力部203から入力された学習データ条件と、モータ運転情報取得部131から入力されたモータ運転情報を対応付けて1セットの学習データとして設定し、学習装置3の学習データ蓄積部371に転送する。
【0055】
なお、本実施形態では吊荷質量表示部201、操作入力部202、学習データ条件入力部203、学習データ設定部231は操作端末2に実装されるが、巻上機1に実装してもよく、例えば吊荷質量表示部201は、巻上機1に搭載の基板に表示してもよい。
【0056】
学習装置3は、学習計算部331と、学習データ蓄積部371と、学習結果蓄積部372と、を有する。なお、この学習装置3は、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の主記憶装置、ハードディスク等の補助記憶装置、及び、通信装置などのハードウェアを備えたものであり、周知動作は適宜省略して説明を進める。以下、学習装置3の各々の詳細を具体的に説明する。
【0057】
学習データ蓄積部371は、操作端末2の学習データ設定部231で設定された学習データを蓄積する。蓄積されるデータは3種類に分類される。1つ目は、ラインナップ学習データと呼び、事前に機種ごとに学習データ条件にバリエーションを持たせて収集した学習データであり、出荷前工程での機種標準の吊荷質量推定式の学習に用いられる。2つ目は、個体別学習データと呼び、製品出荷テスト時の品質保証のテスト試験で収集した製品ごとの学習データであり、出荷前工程でのモータ特性の個体差を反映した再学習に用いられる。3つ目は、運用環境下での学習データと呼び、製品出荷後に操作者が吊荷質量推定部133で算出された吊荷質量の推定値を修正したデータであり、運用工程での運用環境の特性を反映した再学習に用いられる。
【0058】
学習計算部331は、学習データ蓄積部371から学習データを読み込み、吊荷質量推定式の学習計算を行う。入力する学習データは、出荷前工程での機種標準の吊荷質量推定式の学習ではラインナップ学習データを、出荷前工程でのモータ特性の個体差を反映した再学習では個体別学習データを追加した学習データを、運用工程での再学習では運用環境下での学習データを追加した学習データを用いる。入力された学習データは、学習計算の前処理として、学習データを構成するデータのうちモータ運転情報の時系列データにガウス分布に基づくノイズ付加を行うことで、データのバリエーションを増やしてもよい。
【0059】
次に、学習計算部331で行われる吊荷質量推定式の学習計算の処理を説明する。学習計算は、例えば、式(1)で与えられる吊荷質量推定式において、モータ運転情報ベクトルxが入力された際に出力される吊荷質量uが、より誤差の少ない推定値を出力するように、係数行列Wとバイアスbを調整する処理である。この学習計算により、巻上機1は高精度な吊荷質量推定が可能となる。
【0060】
まずは、学習計算部331に入力された学習データのうち、ランダムにいくつかのデータを取り出す。そして、例えば、ランダムに決定された係数行列Wの初期値と、バイアスbの初期値を代入した式(1)に対して、取り出された各データのそれぞれのモータ運転情報ベクトルxを入力し、式(1)によって算出されたuと学習データに保存されている吊荷質量の参照値u’の誤差eを計算し、誤差の合計値Eを算出する。そして、誤差の合計値Eがより小さくなるように係数行列Wとバイアスbを微小変化させる。ここでの係数行列Wとバイアスbの微小変化のさせ方としては、例えば勾配降下法などが利用できる。学習計算部331に入力された学習データのうち残りのデータに対しても、順次ランダムに同程度の数のデータを取り出し同様の処理を繰り返し、入力された学習データのすべてに対して処理が完了すると、学習処理一サイクルが終了となる。
【0061】
以上の手順が繰り返されることで、誤差の合計値Eは次第に小さくなっていき、学習終了条件を満たすまで、吊荷質量推定式を更新し続ける。学習終了条件は、吊荷質量推定式の学習が完了したことを示す条件で、例えば、入力された学習データ群に対する学習処理一サイクルを所定の回数繰り返す、あるいは、誤差Eが所定の値以下に達する、などである。こうして得られた吊荷質量推定式によって出力される吊荷質量uが、当該時点で取得されたモータ運転情報ベクトルxに対する最適な吊荷質量の推定値とみなされる。
【0062】
また、学習済みの吊荷質量推定式の係数行列Waとバイアスbaを、係数行列Wとバイアスbの初期値として与え、学習処理を行うことを再学習と呼ぶ。学習データに新たにデータを追加して、学習を行うことで、追加の学習データにもフィットした吊荷質量推定式に更新することができる。本実施形態では、個体別学習データを用いて再学習を行うことで、製品のモータ特性の個体差を反映した吊荷質量推定式へと更新することができる。また、運用環境下での学習データを用いて再学習を行うことで、運用環境の特性を反映した吊荷質量推定式へと更新することができる。これによって、製品ごとの特性や、製品が利用される運用環境の特性を反映したより的確な吊荷質量の推定が可能となる。
なお、学習済みの係数行列W、バイアスbを含む吊荷質量推定式は、学習結果蓄積部372に格納される。
【0063】
学習結果蓄積部372は、学習計算部331で出力された吊荷質量推定式が保存されており、適宜、巻上機1の吊荷質量推定部133に吊荷質量推定式を転送する。なお、この学習結果蓄積部372には、製品の機種ごとに標準の吊荷質量推定式や、個体ごとや異なる運用環境ごとでの吊荷質量推定式を蓄積しておいてもよい。そして、製品の機種名や個体識別環境や運用環境の指定により、これらの吊荷質量推定式を適宜参照できてもよい。これによって、巻上機1の操作者は、簡単に運用環境に合わせて吊荷質量推定式を使い分けることができる。
【0064】
図10は、本実施形態の巻上機システムの処理手順を示すフローチャートである。
図10のフローチャートに基づく動作は以下の通りである。
処理は、出荷前工程でのステップS1~3と、運用工程でのステップS11~15から構成される。出荷前工程のステップS1~S3は、第1実施形態と同じであるため、運用工程のステップS11~15についてのみ説明する。
【0065】
ステップS11:操作者が巻上機1を運転する際、運転時のモータ運転情報から吊荷質量を推定する。
【0066】
ステップS12:ステップS11で算出された吊荷質量の推定値が誤っていると操作者が判断した場合、操作者は推定値を修正できる。本ステップでは、操作者に修正の必要があるかを、吊荷質量表示部201を介して判断を仰ぐ。操作者が修正する必要があると判断したならばステップS13へ移る。修正する必要がないと判断したならばステップS14へ移る。
【0067】
ステップS13:操作者が修正した吊荷質量の参照値と、地切りの際のモータ運転情報と運転条件を学習データ設定部231で対応付けて再学習用データ(運用条件下での学習データ)として設定する。そして、再学習用データを学習データ蓄積部371に転送する。
【0068】
ステップS14:再学習を行うかチェックする。判断基準は、操作者による指示でもよいし、一定数以上再学習用データが蓄積された場合でもよい。YESならばステップS15へ移る。NOならば処理を終了する。
【0069】
ステップS15:ステップS13で収集された再学習用データを用いて再学習を行い、運用環境の特性を反映させる。その結果、運用環境の特性を反映して、高精度に吊荷質量を推定することができるようになる。なお、運用環境の特性によるモータ特性の変化が少ない場合には、このステップは必須ではない。
【0070】
本実施形態は、ステップS2、3、15で収集した学習データを用いて吊荷質量推定式を学習することで、学習データの傾向に従って吊荷質量推定式を更新できる。このため、製品や運用環境の特性までも吊荷質量推定式に反映させることができ、その結果より的確な吊荷質量を推定することができる。また、異なる機種の巻上機に対して、それぞれに対応したモデルを構築しなくても、同じ処理により学習データを収集するだけで、吊荷質量が推定できる。
【0071】
図11は、出荷前工程の地切り試験によりモータ運転情報と学習データ条件のデータ収集を行うステップ(S1とS3)での詳細手順を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS101:製造者が事前に学習データの収集条件を決めておく。学習データの収集条件は、地切り試験における吊荷質量や、トロリに対する吊荷の位置ずれや、楊重のパターンの組み合わせの条件のことであり、巻上機1が運用されるうえで想定される条件を網羅するように満遍なく設定されていることが望ましい。そして、学習データの収集条件に従って、製造者が巻上機1に吊荷をセットする。
【0073】
ステップS102:製造者が操作入力部202から地切り操作を入力し、地切り時のモータ運転情報の時系列データを記録する。モータ運転情報の時系列データは、地切り開始時から吊荷が安定するまでであることが望ましい。
【0074】
ステップS103:製造者が学習データ条件入力部203から学習データ条件を入力する。
【0075】
ステップS104:学習データ設定部231で、ステップS102で記録されたモータ運転情報の時系列データと、ステップS103で設定された学習データ条件を対応付けて学習データとして設定する。
【0076】
ステップS105: ステップS104で設定された学習データを学習データ蓄積部371に転送する。
【0077】
以上のように、本実施形態では、地切り試験を複数回行うだけのデータ収集作業で学習でき、吊荷質量を精度良く推定することが可能である。また、この作業は、非属人的で、巻上機のモータ等の製品に対して高度な知識がなくても実施できる利点がある。
【0078】
図12は、吊荷質量推定式の学習を行うステップ(S2とS3とS15)の詳細手順を示すフローチャートである。
【0079】
ステップS201:学習データ蓄積部371から学習データを読み込む。
【0080】
ステップS202:学習計算部331で吊荷質量推定式を学習する。
【0081】
ステップS203:ステップS202で出力された吊荷質量推定式を学習結果蓄積部372に蓄積する。
【0082】
ステップS204:学習結果蓄積部372から吊荷質量推定部133に吊荷質量推定式を転送する。
【0083】
以上のように、ステップS1、3、13で収集された学習データを反映するように吊荷質量推定式の学習処理を行う。
【0084】
図13は、巻上機1が複数存在するシステムの例を示す図である。
図13の例のように、システムが複数の巻上機1A~1Cを有する場合、同一の操作端末2で操作を行い、学習データを設定するようにしてもよい。そして、巻上機1A~1Cで収集した学習データを同一の学習装置3に集約して、蓄積する。そして、それらのデータをもとに学習装置3が学習を行う。
以上のようにして、複数の巻上機1A~1Cを同一の操作端末2及び学習装置3で扱うことができ、操作者への負担を減らすことができる。
【0085】
図14は、学習装置がクラウドサーバ上に存在するシステムの例を示す図である。
図14のように、学習装置3をクラウドサーバ上に設置してもよい。なお、このクラウドサーバは、巻上機製造者が運用する計算装置でもよい。このクラウドサーバは、
図14のように、一つの巻上機1及び操作端末2と接続されるのではなく、複数の巻上機1及び操作端末2と接続してもよい。さらに、
図13のように、操作端末2に対して、さらに複数の巻上機1が接続していてもよい。
以上のようにすれば、操作者は個々に学習装置を設置及び運用、保守する必要がなくなる。また、複数の操作者からのデータをクラウドサーバに集約すれば、大量のデータで学習を行うことができ、より的確な吊荷質量推定式を提供することができる。
【0086】
以上のように本実施形態によると、追加センサが不要で、機種、製品、運用環境ごとの地切り時のモータ運転情報と吊荷質量の参照値のデータを収集し学習を行うことで、モータ特性の個体差や運用環境の特性までを考慮可能な高精度な吊荷質量推定方法及びそれが搭載された巻上機を提供することができる。
【0087】
上述の第1実施形態~第3実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 1A~1C 巻上機
2 操作端末
3 学習装置
4 吊荷質量推定装置
101 モータ
131 モータ運転情報取得部
132 モータ制御部
133 吊荷質量推定部
201 吊荷質量表示部
202 操作入力部
203 学習データ条件入力部
231 学習データ設定部
331 学習計算部
371 学習データ蓄積部
372 学習結果蓄積部