(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20231215BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20231215BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20231215BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20231215BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20231215BHJP
【ＦＩ】
B65D83/08 B
B65D75/62 A
A47K10/16 C
A47K10/20 B
A47K10/42 B
【請求項の数】
6
(21)【出願番号】P 2019198261
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070490
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開平０４－０５６６７４（ＪＰ，Ｕ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｂ６５Ｄ ８３／０８
Ｂ６５Ｄ ７５／６２
Ａ４７Ｋ １０／１６
Ａ４７Ｋ １０／２０
Ａ４７Ｋ １０／４２
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、前記包装袋の天面に形成され、第１方向に延びる取出口とを有し、
前記取出口は、
前記第１方向と交差する第２方向の一方側から他方側に凸となるように第１方向に延びる第１スリットと、
前記第１スリットの両端部にそれぞれ連続し、前記第１スリットから前記第１方向に離れる側に湾曲するように前記第２方向の前記一方側から前記他方側に延びる第２スリットとを有し、
前記第２スリットは、一端が前記第１スリットに接続し、他端が前記第１スリットの前記凸の頂部から前記第２方向に離れた前記他方側に位置する、シート包装体。
【請求項2】
前記第２スリットの形状は、円弧状である、請求項１に記載のシート包装体。
【請求項3】
前記第１スリットの少なくとも前記凸の頂部は、曲線状である、請求項１または２に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記第１スリットと前記第２スリットと前記第１方向に一方の前記第２スリットの前記他端から他方の前記第２スリットの前記他端まで延びる第１基端とで囲まれる第１フラップを有する、請求項１乃至３のいずれか１項に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記第１スリットと前記第１方向に一方の前記第２スリットの前記一端から他方の前記第２スリットの前記一端まで延びる第２基端とで囲まれる第２フラップを有する、請求項１乃至４のいずれか１項に記載のシート包装体。
【請求項6】
前記第２スリットと前記第２方向に前記第２スリットの前記一端から前記他端まで延びる第３基端とで囲まれる一対の第３フラップを有する、請求項１乃至５のいずれか１項に記載のシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシューペーパー等の衛生薄葉紙は、カートン（厚紙の箱）に収容されたものが普及している。ところが、カートンタイプの衛生薄葉紙は、持ち運びや保管の際に嵩張ること、使用後の廃棄、環境負荷、コスト等の観点から、近年、衛生薄葉紙等のシートが可撓性のフィルム包装袋に収容されたシート包装体の需要が高まっている。このようなシート包装体には、フィルム包装袋の天面にシートを取り出すためのスリット（ミシン目等）が形成されている（例えば、特許文献１、２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２００８－１８３０３４号公報
【文献】特開２０１８－１７７３６４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、取出口がスリットで形成されたシート包装体では、シート包装袋からシートを取り出す際に、収納された複数枚のシートの最初の１枚（または１組）が取り出しにくい。また、シートを取り出す際に、シートが取出口で詰まったり、シートが破れたり、包装袋の取出口付近が破れたりすることがある。また、スリットで形成された取出口では、使用中にシートの保持力が低下して、シートが包装袋内に落ち込むことがある。さらに、フィルム包装袋はカートンに比べて軽量なため、使用中に残りのシートが少なくなると、シートを取り出す際にフィルム包装袋ごと持ちあがり、シートが引き出せないことがある。このように、従来のシート包装体は、シートの取出しに種々の課題がある。
【0005】
本発明の課題は、シートの取出しに優れるシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第１の態様は、積層された複数枚のシートを収容する包装袋と、前記包装袋の天面に形成され、第１方向に延びる取出口とを有し、前記取出口は、前記第１方向と交差する第２方向の一方側から他方側に凸となるように第１方向に延びる第１スリットと、前記第１スリットの両端部にそれぞれ連続し、前記第１スリットから前記第１方向に離れる側に湾曲するように前記第２方向の前記一方側から前記他方側に延びる第２スリットとを有する、シート包装体である。
【0007】
本明細書において、第１方向とは、包装袋の天面上の所定の一方向に沿う方向を示す。第１方向と交差する第２方向とは、包装袋の天面上の所定の一方向に沿う方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す。スリットは、包装袋の天面に形成され、連続する切込み、細長い開口等であり、連続する切込みはミシン目を破ることで構成してもよい。
【0008】
第１の態様では、包装袋の天面に形成される取出口が、第２方向の一方側から他方側に凸となるように第１方向に延びる第１スリットを有することで、取出口を開口する際に、取出口（開口）を覆っていた天面の一部（後述する第２フラップ）が第１スリットの近傍で上方に捲れやすい（または撓みやすい）。これにより、第１の態様では、取出口が指先で開け易くなり、包装袋内からのシートの取出し（包装袋に収容されたシートの最初の１枚目または１組目を取り出すこと等）が容易になる。
【0009】
また、第１の態様では、包装袋の天面に形成される取出口が、さらに第１スリットから第１方向に離れる側に湾曲するように第２方向の一方側から他方側に延びる第２スリットを有することで、取出口（開口）を覆っていた天面の一部（後述する第１フラップ）が第２スリットの近傍でも上方に捲れやすい（または撓みやすい）。これにより、第１の態様では、取出口からシートを引き出す際に、第１スリットと第２スリットのいずれの近傍でも取出口（開口）の開口幅が拡がり、取出口からシートをスムーズに取り出すことができる。
【0010】
また、第１の態様では、第１スリットの両端部に湾曲する第２スリットが設けられていることで、取出口を開口（または開封）する際に、湾曲する第２スリットに対応する取出口の第１方向の両端部に指が掛けやすくなる。そのため、取出口の両端部をトリガーとして取出口を開封（または開封）することができる。そのため、第１の態様では、取出口の開封（または開封）が容易である。
【0011】
また、第１の態様では、湾曲する第２スリットに対応して、取出口の第１方向の両端部が取出口の第１方向の外側に向かって湾曲するため、取出口の両端部と引き出されるシートとの擦れを緩和することができる。これにより、シートを引き出す際に、取出口の各端部にシートが引っかかったり、シートが破れたりするのを防ぐことができる。第１の態様では、このような観点からも、取出口からシートをスムーズに取り出すことができる。
【0012】
また、第１の態様では、取出口からシートが引き出される際に、取出口の第１スリットと第２スリットに保持されたシートの自重に対して、天面の一部（後述する第１フラップ及び第２フラップ）が各スリットの近傍で撓む（または変形する）ことができる。これにより、第１の態様では、取出口におけるシートの保持力が維持され、使用中にシートが包装袋内に落ち込むこと（以下、シートの落ち込みという）を防ぐことができる。
【0013】
また、第１の態様では、取出口からシートが引き出される際に、上述のように天面の一部が第１スリットおよび第２スリットの近傍で撓む（または変形する）ことで、取出口にかかる摩擦力（または抵抗力）を取出口の周辺に逃がす（または散らす）ことができる。これにより、包装袋に収容されたシートの残りが少なくなっても（シート包装体の重量が軽くなっても）、取出口からシートを引き出す際に包装袋ごと持ちあがること（以下、包装袋の持ち上がりという）を防ぐことができる。
【0014】
また、第１の態様では、上述のように天面の一部が第１スリットおよび第２スリットの近傍で撓む（または変形する）ことで、取出口から引き出されるシートが各スリットの近傍でバランスよく保持される。これにより、取出口から引き出されるシートが取出口の上方に立ち上がった状態で該シートを取出口に保持することができる（シートが倒れた状態または傾いた状態で保持されることを防ぐことができる）。
【0015】
また、第１の態様では、取出口が第１スリットと第２スリットで構成されていることで、天面に開口する取出口が開け放しにならない。そのため、第１の態様では、取出口から包装袋内に塵や埃等の異物が入りにくい。
【0016】
さらに、第１の態様では、取出口が第１スリットと第２スリットで構成されていることで、各スリットがそのまま取出口の開口を構成することができる。そのため、第１の態様では、取出口の開封時に破断片（包装袋から切り離された切れ端、小片、断片等）が発生しない。
【0017】
本発明に係る第２の態様は、前記第２スリットは、一端が前記第１スリットに接続し、他端が前記第１スリットの前記凸の頂部から前記第２方向に離れた前記他方側に位置するシート包装体である。本明細書において、第１スリットの凸の頂部は、第２方向の他方側に位置する天面の端縁から第２方向に沿う第１スリットまでの距離が最も短くなる部分である。
【0018】
本明細書において、一端が第１スリットに接続するとは、第２スリットの一端が第１スリットの両端部にそれぞれ連続して形成されることを示す。また、他端が第１スリットの凸の頂部から第２方向に離れた他方側に位置するとは、第２方向の他方側に位置する天面の端縁から第２方向に沿う第２スリットの他端までの距離が、該天面の端縁から第１スリットの凸の頂部までの距離よりも短いことを示す。
【0019】
第２の態様では、第２スリットの一端が第１スリットに接続し、他端が第１スリットの凸の頂部から第２方向に離れた他方側に位置することで、天面の一部（後述する第１フラップ）を第２スリットの近傍で大きく撓ませる（または変形させる）ことができる。これにより、取出口からシートを引き出す際に、第２スリットの近傍で取出口の開口幅の拡がりが大きくなり、取出口からのスムーズなシートの取り出しを高い精度で実現することができる。
【0020】
また、第２の態様では、上述のように天面の一部が第２スリットの近傍で大きく撓む（または変形する）ことで、取出口におけるシートの保持力がさらに維持され、シートの落ち込みを高い精度で防ぐことができる。また、取出口にかかる摩擦力（または抵抗力）を取出口の周辺にさらに逃がす（または散らす）ことができ、包装袋の持ち上がりを高い精度で防ぐことができる。
【0021】
さらに、第２の態様では、上述のように天面の一部が第２スリットの近傍で大きく撓む（または変形する）ことで、取出口から引き出されるシートを第１スリットと第２スリットでさらにバランスよく保持することができる。これにより、取出口から引き出されるシートが取出口の上方に立ち上がった状態で取出口に保持されることを高い精度で実現することができる。
【0022】
本発明に係る第３の態様は、前記第２スリットの形状は、円弧状である、シート包装体である。ここで、円弧状とは、スリットが円の一部を描くように曲がることを示す。
【0023】
第３の態様では、第２スリットの形状を円弧状にすることで、取出口の第１方向の両端部の端縁を円弧状にすることができる。これにより、取出口の両端部に対するシートの擦れがさらに緩和され、シートを引き出す際に、取出口の端部にシートが引っかかったり、シートが破れたりするのを高い精度で防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る第４の態様は、前記第１スリットの少なくとも前記凸の頂部は、曲線状である、シート包装体である。ここで、少なくとも凸の頂部が曲線状であるとは、第１スリットの凸の頂部以外の部分が曲線状であっても直線状であってもよいことを示す。
【0025】
第４の態様では、第１スリットの少なくとも凸の頂部を曲線状にすることで、取出口から引き出されるシートに対して、第１スリット頂部が抵抗になりにくく、取出口に保持されるシートに対しては第１スリット頂部が引っ掛かりやすくなる。そのため、第４の態様によれば、取出口からのシートのスムーズな取り出しを維持しながら、シートの落込みと包装袋の持ち上がりを防ぐことができる。
【0026】
本発明に係る第５の態様は、前記第１スリットと前記第２スリットと前記第１方向に延びる第１基端とで囲まれる第１フラップを有する、シート包装体である。本明細書において、フラップは、包装袋の天面に形成され、取出口からシートが引き出されるときの摩擦力（または抵抗力）によって撓む（または変形する）包装袋の一部で構成される。また、基端とは、フラップが撓む（または変形する）起点となるフラップの端部を示す。なお、第１基端は、第２方向の他方側に構成される。
【0027】
第５の態様では、上述の第１スリットと第２スリットを包装袋の天面に設けることで、第１スリットと第２スリットと第１基端とで囲まれる第１フラップを構成することができる。このような第１フラップは、第１スリットの近傍が取出口の内側に凹となり（凹部を形成し）、第２スリットの近傍が撓みやすい（または変形しやすい）ものとなる。これにより、第５の態様では、シートのスムーズな引き出しが妨げられずにシートが取出口に保持され、シートの落込みと包装袋の持ち上がりが抑制される。
【0028】
また、第５の態様では、第１フラップが第１スリットと第２スリットと第１基端とで囲まれることで、取出口を第１フラップで覆うことができる。そのため、第５の態様では、取出口が開け放しにならず、取出口から包装袋内への塵や埃等の異物の侵入を抑制することができる。
【0029】
さらに、第５の態様では、第１フラップが第１スリットと第２スリットと第１基端とで囲まれることで、第１フラップが第１基端を介して包装袋の天面に接続された状態で取出口に設けられる。そのため、第５の態様では、取出口の開封時における破断片の発生を防ぐことができる。
【0030】
本発明に係る第６の態様は、前記第１スリットと前記第１方向に延びる第２基端とで囲まれる第２フラップを有する、シート包装体である。なお、第２基端は、第２方向の一方側に構成される。第６の態様では、上述の第１スリットと第２スリットを包装袋の天面に設けることで、第１スリットと第１方向に延びる第２基端とで囲まれる第２フラップを上述の第１フラップとともに構成することができる。
【0031】
このような第２フラップは、第１スリットの近傍が取出口の内側に凸となり（凸部を形成し）、第２方向に第１フラップと並んで配置される。これにより、第２フラップは、取出口から引き出されるシートを第１フラップとの間でバランスよく保持することができる。そのため、第６の態様では、取出口から引き出されるシートが取出口の上方に立ち上がった状態で取出口に保持されることを高い精度で実現することができる。
【0032】
また、第６の態様では、第２フラップが第１スリットと第２基端とで囲まれることで、取出口を第１フラップとともに第２フラップで覆うことができる。そのため、第６の態様でも、取出口が開け放しにならず、取出口から包装袋内への塵や埃等の異物の侵入を高い精度で抑制することができる。
【0033】
さらに、第６の態様では、第２フラップが第１スリットと第２基端とで囲まれることで、第２フラップが第２基端を介して包装袋の天面に接続された状態で取出口に設けられる。そのため、第６の態様でも、取出口の開封時における破断片の発生を防ぐことができる。
【0034】
本発明に係る第７の態様は、前記第２スリットと前記第２方向に延びる第３基端とで囲まれる第３フラップを有する、シート包装体である。なお、第３基端は、第１スリットの両端部に構成され、第２方向に沿って第２スリットの一端から他端に向かって延びる。第７の態様では、上述の第１スリットと第２スリットを包装袋の天面に設けることで、第２スリットと第２方向に延びる第３基端とで囲まれる第３フラップを構成することができる。
【0035】
このような第３フラップは、第１フラップの第１方向の両端部に撓みやすい（または変形しやすい）部分を構成することができる。これにより、第７の態様では、さらにシートの引き出しが妨げられずにシートが取出口に保持され、シートの落込みと包装袋の持ち上がりがさらに高い精度で抑制される。
【0036】
また、第３フラップは、第１フラップとともに、取出口から引き出されるシートを第２フラップとの間でバランスよく保持することができる。そのため、第７の態様では、取出口から引き出されるシートが取出口の上方に立ち上がった状態で取出口に保持されることをさらに高い精度で実現することができる。
【0037】
また、第７の態様では、第３フラップが第２スリットと第３基端とで囲まれることで、取出口を第１フラップおよび第２フラップとともに第３フラップを覆うことができる。そのため、第７の態様でも、取出口が開け放しにならず、取出口から包装袋内への塵や埃等の異物の侵入を高い精度で抑制することができる。
【0038】
さらに、第７の態様では、第３フラップが第２スリットと第３基端とで囲まれることで、第３フラップが第１フラップを介して包装袋の天面に接続された状態で取出口に設けられる。そのため、第７の態様でも、取出口の開封時における破断片の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一態様によれば、シートの取出しに優れるシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態（第１実施形態）に係るシート包装体を示す図である。
【図2】第１実施形態に係るシート包装体を上方から見た図である。
【図3】第１実施形態に係るシート包装体において、取出口を示す図である。
【図4】第１実施形態に係るシート包装体において、取出口の端部を示す図である。
【図5】第１実施形態に係るシート包装体において、開封後の取出口を示す図である。
【図6】第１実施形態に係るシート包装体の使用状態を示す図である。
【図9】第２実施形態に係るシート包装体において、取出口を示す図である。
【図10】第２実施形態に係るシート包装体において、開封後の取出口を示す図である。
【図11】従来のシート包装体（直線状のスリットで構成された取出口）を示す図である。
【図12】従来のシート包装体（楕円状のスリットで構成された取出口）を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、各図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0042】
なお、本明細書では、３軸方向（Ｘ方向、Ｙ方向、Ｚ方向）の３次元直交座標系を用い、シート包装体の長手方向または左右方向（以下、第１方向という）をＸ方向とし、短手方向または奥行き方向（以下、第２方向という）をＹ方向とし、高さ方向または上下方向をＺ方向とする。また、上方とは、シート包装体の高さ方向（Ｚ方向）において、包装袋の天面の上側を示す。
【0043】
図１は、本発明の第１実施形態に係るシート包装体を示す図である。図２は、第１実施形態に係るシート包装体を上方から見た図である。図３は、第１実施形態に係るシート包装体において、取出口を示す図であり、図４は、取出口の端部を示す図であり、図５は、開封後の取出口を示す図である。図６は、第１実施形態に係るシート包装体の使用状態を示す図であり、図７は、図６の取出口付近を左側面から見た図であり、図８は、図６の取出口付近を正面から見た図である。
【0044】
第１実施形態に係るシート包装体１００は、図１に示すように、包装袋１０および取出口２０を有する。シート包装体１００は、本発明に係るシート包装体の一例である。また、包装袋１０は、本発明に係るシート包装体を構成する包装袋の一例であり、取出口２０は、該包装袋に形成される取出口の一例である。
【0045】
包装袋１０には、複数枚（または複数組）のシートＳが収容されている。シートＳは、図１に示すように、複数枚（または複数組）のシートＳが積層された積層体ＳＬ（以下、シート積層体という）として包装袋１０に収容されている。シート積層体ＳＬは、シートＳの積層方向（ＳＤ方向）が高さ方向（Ｚ方向）となるように、包装袋１０に収容されている。シート積層体ＳＬは、包装袋１０に形成される取出口２０（開口ＯＰ）を通してシートＳが１枚ずつ（または１組ずつ）引き出せるようになっている（図６参照）。
【0046】
シート積層体ＳＬは、シートＳを１枚または１組ずつ引き出す観点から、各シートＳが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの（いわゆるポップアップ式のシート積層体ＳＬ）であることが好ましい。また、シート積層体ＳＬの形態は、ポップアップ式に引き出せるものに限定されず、複数枚（または複数組）のシートＳが単に積層されたもの、各シートＳが折り畳まれた状態で積層されたものでもよい。
【0047】
また、シート積層体ＳＬの寸法は、シート包装体１００の第１方向（Ｘ方向）の長さを８０ｍｍ以上２５０ｍｍ以下、シート包装体１００の第１方向（Ｘ方向）に直交する奥行方向（Ｙ方向）の長さを５０ｍｍ以上１３０ｍｍ以下、高さ方向（Ｚ方向）の高さを１０ｍｍ以上９０ｍｍ以下とすることができる。このような薄葉紙の積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0048】
シートＳの用途は、特に限定されず、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙（例えば、ローションティシュー等）も含まれる。また、シートＳを構成する衛生薄葉紙の用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用できる。なお、本実施形態のシート包装体１００は、これらの中でも、家庭用のティシューペーパーに好適に用いられる。
【0049】
シートＳのプライ数は、特に限定されないが、１プライ以上にすることができ、好ましくは１プライであり、より好ましくは２プライ（２枚重ね）である。また、シートＳの形状は、特に限定されないが、例えば、２プライのシートが折り畳まれた状態での形状が平面視で長方形であることが好ましい。
【0050】
シートＳの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙（紙シート）である。なお、シートＳが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、５０質量％以上、好ましくは９０質量％以上、より好ましくは１００質量％とすることができる。
【0051】
また、シートＳ（紙シート）におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、ＮＢＫＰ（針葉樹クラフトパルプ）やＮＵＫＰ（針葉樹未晒しパルプ）などの針葉樹パルプと、ＬＢＫＰ（広葉樹クラフトパルプ）やＬＵＫＰ（広葉樹未晒しパルプ）などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは１０：９０～８０：２０であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートＳ（紙シート）に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0052】
シートＳの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は５ｇ／ｍ２以上８０ｇ／ｍ２以下、不織布の場合は２０ｇ／ｍ２以上１００ｇ／ｍ２以下のものが望ましい。なお、坪量は、ＪＩＳ Ｐ ８１２４の規定に準拠して測定される。
【0053】
また、シートＳ（紙シート）の厚みは、特に限定されず、ＪＩＳ Ｐ ８１１１（１９９８）の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートＳを構成する紙シートの紙厚は、２プライあたり、５０μｍ以上５００μｍ以下にすることができ、好ましくは６０μｍ以上３３０μｍ以下である。
【0054】
また、シートＳ（紙シート）には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のコンタクトエンボス付与方法、エッジエンボス付与方法等により、図示しないエンボスを紙シート両端に押し当て、複数枚（または複数組）の紙シートを積層するもの、公知のピンエンボス付与方法により、図示しないピンを紙シートに刺して、紙シートの一方の面上にピンエンボスを形成するもの、公知のエンボス付与方法により、水溶性の接着剤（デンプン等）を加熱融解して、積層された紙シート（図示せず）を接着することでエンボスを形成するもの等がある。
【0055】
包装袋１０の形態は、特に限定されず、例えば、可撓性フィルムで形成することができる。また、包装袋１０は、いわゆるキャラメル包装によって製造されている。具体的には、筒状の可撓性フィルムの両端部が、折り畳まれて接着（封止）されたシール部３０、４０で形成されている（図１参照）。なお、シート包装体１００の包装形態は、このようなキャラメル包装に限定されず、筒状の可撓性フィルムの両端部またはいずれか一方の端部がヒートシールでガセット状に封止されたもの（いわゆるピロー包装で製造されたもの）でもよい。
【0056】
また、包装袋１０を形成する可撓性フィルムの材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、エチレン－酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、ポリアミド（ＰＡ）等の樹脂を用いることができる。
【0057】
なお、これらの可撓性フィルムの中でも、柔軟で取扱い性に優れ、ヒートシールした場合のシール性も高いこと、安価であること等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。また、無臭であり、耐水性・耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能である観点から、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができる。また、堅牢であり、成形しやすく、印刷時の発色がよく、また光沢を付与できること等の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。
【0058】
包装袋１０を形成する可撓性フィルムの形態は、特に限定されず、上述の樹脂が単層で形成された単層フィルム、上述の樹脂を積層したラミネートフィルム、または上述の２種類以上の樹脂の混合物で形成された混合フィルムであってもよい。
【0059】
包装袋１０を形成する可撓性フィルムの厚さは、特に限定されず、好ましくは２０μｍ以上１００μｍ以下、より好ましくは２５μｍ以上７０μｍ以下である。可撓性フィルムの厚さを２０μｍ以上とすることで、シートＳが収容される包装袋１０としての十分な強度を確保することができる。また、可撓性フィルムの厚さを１００μｍ以下とすることで、包装袋１０の柔軟性及び軽量性を確保できるとともに、コストが抑えられる。
【0060】
なお、包装袋１０を形成する材質は、上述した可撓性フィルム等の樹脂材料に限定されず、紙材料を用いてもよい。また、包装袋１０を形成する材質には、生分解性材料（生分解性プラスチック、生分解性紙等）、バイオマス材料（バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの）を用いることができる。
【0061】
本実施形態のシート包装体１００は、包装袋１０は、天面１１、底面１２、正面１３、背面１４、側面１５、側面１６を有する。シート包装体１００では、天面１１と底面１２が上下方向（Ｚ方向）に対向し、正面１３と背面１４が前後方向（Ｙ方向）に対向し、側面１５と側面１６が左右方向（Ｘ方向）に対向する。そして、側面１５および側面１６は、天面１１、底面１２、正面１３、および背面１４のいずれにも連続する（図１参照）。
【0062】
また、取出口２０は、包装袋１０の天面１１に形成され、第１方向（Ｘ方向）に延びる。具体的には、取出口２０は、シート包装体１００の第１方向（Ｘ方向）における包装袋１０の天面１１の中央１１ａかつ第２方向（Ｙ方向）における包装袋１０の天面１１の中央１１ｂに配置され、第１方向（Ｘ方向）に沿って延びる（図１参照）。この取出口２０から、シートＳが引き出される（図６参照）。
【0063】
なお、第１方向（Ｘ方向）において、取出口２０の寸法（長さＬ２）は、包装袋１０の容量やシートＳの寸法に応じて、任意に定めることができる。例えば、シートＳが収容される包装袋１０の横幅（長さＬ１）に対して左右方向（Ｘ方向）における取出口２０の長さＬ２は、１００％以下にすることができ、好ましくは５％以上８０％以下、より好ましくは１０％以上７５％以下である（図２参照）。
【0064】
取出口２０は、第１方向（Ｘ方向）に延びる第１スリット２１を含んで形成されている。本実施形態では、第１スリット２１と、第２スリット２２、２３とを有する。第１スリット２１は、本発明に係るシート包装体における取出口の一部を構成する第１スリットの一例である。また、第２スリット２２、２３は、本発明に係るシート包装体における取出口の他の一部を構成する第２スリットの一例である。
【0065】
第１スリット２１は、第１方向（Ｘ方向）と交差する第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に凸となるように第１方向（Ｘ方向）に延びている。ここで、第１方向（Ｘ方向）とは、包装袋１０の天面１１上の所定の一方向に沿う方向を示す。第１方向（Ｘ方向）と交差する第２方向（Ｙ方向）とは、包装袋１０の天面１１上の所定の一方向に沿う方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す。
【0066】
また、第２方向（Ｙ方向）の一方側から他方側に凸となるとは、第１スリット２１の全体または一部が、第２方向（Ｙ方向）に沿って包装袋１０の背面１４側から包装袋１０の正面１３側に向かって凸となるように形成されていることを示す。本実施形態では、第１スリット２１の全体が、第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に凸となるように第１方向（Ｘ方向）に延びている（図２、図３参照）。
【0067】
なお、第１スリット２１の形態は、特に限定されず、例えば、連続する切込み、細長い開口等で構成することができる。また、第１スリット２１は、複数の切込みで形成されたミシン目を破ることで構成してもよい。本実施形態では、図１～図４に示すように、包装袋１０の天面１１に形成される第１スリット２１がミシン目Ｍ１で構成されている。本実施形態では、この第１スリット２１（ミシン目Ｍ１）を破ることで、包装袋１０の天面１１が第１方向（Ｘ方向）に開封され、開口ＯＰの一部を構成することができる（図６参照）。
【0068】
第１スリット２１は、第１方向（Ｘ方向）に沿って延びる基部２１ａと、基部２１ａの各端部Ｇ１、Ｇ２に連続して包装袋１０の背面１４側に位置する端部２１ｂ、２１ｃとを有する。これにより、第１スリット２１は、凸状に形成され、基部２１ａが頂部Ｖを構成する（図３参照）。
【0069】
また、取出口２０の一部を構成する第１スリット２１（ミシン目Ｍ１）は、カットＣ１とタイＴ１が交互に配置されて構成されている（図３参照）。なお、タイＴ１は、隣り合う２つのカットＣ１間のカットされていない部分である。
【0070】
第１スリット２１（ミシン目Ｍ１）において、カットＣ１の長さ、及びタイＴ１の長さは、任意である。各カットＣ１の長さは、０．８ｍｍ以上５.０ｍｍ以下にすることができ、好ましくは１．５ｍｍ以上４．５ｍｍ以下、より好ましくは２．５ｍｍ以上３.５ｍｍ以下である。また、各タイＴの長さは、０．３ｍｍ以上５.０ｍｍ以下にすることができ、好ましくは０．４ｍｍ以上２．０ｍｍ以下、より好ましくは０．５ｍｍ以上１.５ｍｍ以下である。
【0071】
第２スリット２２、２３は、第１スリット２１から第１方向（Ｘ方向）に離れる側に湾曲するように第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に延びている。ここで、第１スリット２１から第１方向（Ｘ方向）に離れる側に湾曲するとは、第２スリット２２が、第１スリット２１から包装袋１０の側面１５に向かって凹となるように曲がり、第２スリット２３が、第１スリット２１から包装袋１０の側面１６に向かって凹となるように曲がることを示す。
【0072】
なお、第２スリット２２、２３の形態は、特に限定されず、例えば、連続する切込み、細長い開口等で構成することができる。また、第２スリット２２、２３は、複数の切込みで形成されたミシン目を破ることで構成してもよい。本実施形態では、図１～図４に示すように、包装袋１０の天面１１に形成される第２スリット２２、２３がミシン目Ｍ２で構成されている。そして、第２スリット２２、２３（ミシン目Ｍ２）を破ることで、包装袋１０の天面１１が、第１スリット２１から第１方向（Ｘ方向）に離れる側に湾曲するように第２方向（Ｙ方向）に開封され、開口ＯＰの一部を構成することができる（図６参照）。
【0073】
具体的には、第２スリット２２は、一端２２ａ、他端２２ｂおよび基部２２ｃで構成されている。第２スリット２２は、一端２２ａが第１スリット２１に接続し、他端２２ｂが第１スリット２１の凸の頂部Ｖから第２方向（Ｙ方向）に離れた他方側（包装袋１０の正面１３側）に位置する（図２～図４参照）。
【0074】
また、第２スリット２３は、一端２３ａ、他端２３ｂおよび基部２３ｃで構成されている。第２スリット２３は、一端２３ａが第１スリット２１に接続し、他端２３ｂが第１スリット２１の凸の頂部Ｖから第２方向（Ｙ方向）に離れた他方側（包装袋１０の正面１３側）に位置する（図２～図３参照）。
【0075】
ここで、第１スリット２１の凸の頂部Ｖは、第２方向（Ｙ方向）の他方側（包装袋１０の正面１３側）に位置する天面１１の端縁１１ｃから第２方向（Ｙ方向）に沿う第１スリット２１までの距離Ｄ１が最も短くなる部分（天面１１の端縁１１ｃからの距離がＤ２となる部分）である（図２参照）。また、一端２２ａ、２３ａが第１スリット２１に接続するとは、第２スリット２２、２３の一端２２ａ、２３ａが第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃにそれぞれ連続して形成されることを示す。
【0076】
また、他端２２ｂ、２３ｂが第１スリット２１の凸の頂部Ｖから第２方向（Ｙ方向）に離れた他方側（包装袋１０の正面１３側）に位置するとは、第２方向（Ｙ方向）の他方側（包装袋１０の正面１３側）に位置する天面１１の端縁１１ｃから第２方向（Ｙ方向）に沿う第２スリット２２、２３の他端２２ｂ、２３ｂまでの距離Ｄ３が、該天面１１の端縁１１ｃから第１スリット２１の凸の頂部Ｖまでの距離Ｄ２よりも短いことを示す（図２参照）。
【0077】
シート包装体１００では、第２方向（Ｙ方向）において、第１スリット２１が存在する領域の幅Ｗ２は、包装袋１０の天面１１の幅Ｗ１に対して、１％以上２５％以下にすることができ、好ましくは３％以上２０％以下、より好ましくは５％以上１５％以下である（図２参照）。また、第２方向（Ｙ方向）において、第２スリット２２、２３が湾曲するまたは延びる領域の幅Ｗ３は、包装袋１０の天面１１の幅Ｗ１に対して、５％以上３５％以下にすることができ、好ましくは１０％以上３０％以下、より好ましくは１５％以上２５％以下である（図２参照）。
【0078】
また、天面１１の端縁１１ｃから第１スリット２１の凸の頂部Ｖまでの距離Ｄ２に対して、天面１１の端縁１１ｃから第２方向（Ｙ方向）に沿う第２スリット２２、２３の他端２２ｂ、２３ｂまでの距離Ｄ３は、６０％以上９５％以下にすることができ、好ましくは７５％以上９５％以下、より好ましくは８０％以上９０％以下である。
【0079】
湾曲する第２スリット２２、２３の形状は、任意であるが、好ましくは、円弧状である。ここで、円弧状とは、スリットが円の一部を描くように曲がることを示す。本実施形態では、円弧状の第２スリット２２、２３が、略半円状（弧度θ＝約１８０°）に形成されている（図４参照）。なお、円弧状の第２スリット２２、２３の弧度θはこの角度に限定されず、９０°以上２７０°以下にすることができ、好ましくは１２０°以上２４０°以下、より好ましくは１５０°以上２１０°以下である。
【0080】
また、取出口２０の一部を構成する第２スリット２２、２３（ミシン目Ｍ２）は、カットＣ２とタイＴ２が交互に配置されて構成されている（図３参照）。なお、タイＴ２は、隣り合う２つのカットＣ２間のカットされていない部分である。本実施形態では、湾曲する第２スリット２２、２３が、円弧状の２つのカットＣ２で構成され、２つのカットＣ２が１つのタイＴ２でつながっている（図３参照）。
【0081】
本実施形態では、上述のように、包装袋１０の天面１１に形成される取出口２０が、第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に凸となるように第１方向（Ｘ方向）に延びる第１スリット２１を有することで、取出口２０を開口する際に、取出口２０（開口ＯＰ）を覆っていた天面１１の一部（後述する第２フラップＦ２）が第１スリット２１の近傍で上方に捲れやすい（または撓みやすい）。これにより、本実施形態では、取出口２０が指先で開け易くなり、包装袋１０内からのシートＳの取出し（包装袋１０に収容されたシートＳの最初の１枚目（または１組目）を取り出すこと等）が容易になる（図６～図８参照）。
【0082】
本実施形態では、包装袋１０の天面１１に形成される取出口２０が、さらに第１スリット２１から第１方向（Ｘ方向）に離れる側に湾曲するように第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に延びる第２スリット２２、２３を有することで、取出口２０（開口ＯＰ）を覆っていた天面１１の一部（後述する第１フラップＦ１）が第２スリット２２、２３の近傍でも上方に捲れやすい（または撓みやすい）。これにより、本実施形態では、取出口２０からシートＳを引き出す際に、第１スリット２１と第２スリット２２、２３のいずれの近傍でも取出口２０（開口ＯＰ）の開口幅が拡がり、取出口２０からシートＳをスムーズに取り出すことができる（図６～図８参照）。
【0083】
本実施形態では、第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃに湾曲する第２スリット２２、２３が設けられていることで、取出口２０を開口（または開封）する際に、湾曲する第２スリット２２、２３に対応する取出口２０の第１方向（Ｘ方向）の両端部Ｅ１、Ｅ２に指が掛けやすくなる。そのため、取出口２０の両端部Ｅ１、Ｅ２をトリガーとして取出口２０を開口（または開封）することができる。そのため、本実施形態では、取出口の開口（または開封）が容易である。
【0084】
本実施形態では、湾曲する第２スリット２２、２３に対応して、取出口２０の第１方向（Ｘ方向）の両端部Ｅ１、Ｅ２が取出口２０の第１方向（Ｘ方向）の外側（包装袋１０の側面１５、１６側）に向かって湾曲するため、取出口２０の両端部Ｅ１、Ｅ２と引き出されるシートＳとの擦れを緩和することができる。これにより、シートＳを引き出す際に、取出口２０の各端部Ｅ１、Ｅ２にシートＳが引っかかったり、シートＳが破れたりするのを防ぐことができる。本実施形態では、このような観点からも、取出口２０からシートＳをスムーズに取り出すことができる（図６～図８参照）。
【0085】
本実施形態では、取出口２０からシートＳが引き出される際に、取出口２０の第１スリット２１と第２スリット２２、２３に保持されたシートＳの自重に対して、天面１１の一部（後述する第１フラップＦ１及び第２フラップＦ２）が各スリット２１、２２、２３の近傍で撓む（または変形する）ことができる。これにより、本実施形態では、取出口２０におけるシートＳの保持力が維持され、使用中にシートＳが包装袋１０内に落ち込むこと（以下、シートＳの落ち込みという）を防ぐことができる（図６～図８参照）。
【0086】
本実施形態では、取出口２０からシートＳが引き出される際に、上述のように天面１１の一部が第１スリット２１および第２スリット２２、２３の近傍で撓む（または変形する）ことで、取出口２０にかかる摩擦力（または抵抗力）を取出口２０の周辺に逃がす（または散らす）ことができる。これにより、包装袋１０に収容されたシートＳの残りが少なくなっても（シート包装体１００の重量が軽くなっても）、取出口２０からシートＳを引き出す際に包装袋１０ごと持ちあがること（以下、包装袋１０の持ち上がりという）を防ぐことができる（図６～図８参照）。
【0087】
本実施形態では、上述のように天面１１の一部が第１スリット２１および第２スリット２２、２３の近傍で撓む（または変形する）ことで、取出口２０から引き出されるシートＳが各スリット２１、２２、２３の近傍でバランスよく保持される。これにより、取出口２０から引き出されるシートＳが取出口２０の上方に立ち上がった状態で該シートＳを取出口２０に保持することができる。すなわち、シートＳが倒れた状態または傾いた状態で保持されることを防ぐことができる（図６～図８参照）。
【0088】
本実施形態では、取出口２０が第１スリット２１と第２スリット２２、２３で構成されていることで、天面１１に開口する取出口２０が開け放しにならない。そのため、本実施形態では、取出口２０から包装袋１０内に塵や埃等の異物が入りにくい（図６～図８参照）。
【0089】
本実施形態では、取出口２０が第１スリット２１と第２スリット２２、２３で構成されていることで、各スリット２１、２２、２３がそのまま取出口２０の開口ＯＰを構成することができる。そのため、本実施形態では、取出口２０の開封時に破断片（包装袋から切り離された切れ端、小片、断片等）が発生しない（図１～図８参照）。
【0090】
また、本実施形態では、上述のように、第２スリット２２、２３の一端２２ａ、２３ａが第１スリット２１に接続し、他端２２ｂ、２３ｂが第１スリット２１の凸の頂部Ｖから第２方向（Ｙ方向）に離れた他方側（包装袋１０の正面１３側）に位置することで、天面１１の一部（後述する第１フラップＦ１）を第２スリット２２、２３の近傍で大きく撓ませる（または変形させる）ことができる。これにより、取出口２０からシートＳを引き出す際に、第２スリット２２、２３の近傍で取出口２０の開口幅の拡がりが大きくなり、取出口２０からのスムーズなシートＳの取り出しを高い精度で実現することができる（図６～図８参照）。
【0091】
本実施形態では、上述のように天面１１の一部が第２スリット２２、２３の近傍で大きく撓む（または変形する）ことで、取出口２０におけるシートＳの保持力がさらに維持され、シートＳの落ち込みを高い精度で防ぐことができる。また、取出口２０にかかる摩擦力（または抵抗力）を取出口２０の周辺にさらに逃がす（または散らす）ことができ、包装袋１０に収容されたシートＳが残り少なくなっても包装袋１０の持ち上がりを高い精度で防ぐことができる（図６～図８参照）。
【0092】
本実施形態では、上述のように天面１１の一部が第２スリット２２、２３の近傍で大きく撓む（または変形する）ことで、取出口２０から引き出されるシートＳを第１スリット２１と第２スリット２２、２３でさらにバランスよく保持することができる。これにより、取出口２０から引き出されるシートＳが取出口２０の上方に立ち上がった状態で該シートＳを取出口２０に保持することを高い精度で実現することができる（図６～図８参照）。
【0093】
また、本実施形態では、第２スリット２２、２３の形状を円弧状にすることで、取出口２０の第１方向（Ｘ方向）の両端部Ｅ１、Ｅ２の端縁を円弧状にすることができる。これにより、取出口２０の両端部Ｅ１、Ｅ２に対するシートＳの擦れがさらに緩和され、シートＳを引き出す際に、取出口２０の端部にシートＳが引っかかったり、シートＳが破れたりするのを高い精度で防ぐことができる。
【0094】
本実施形態のシート包装体１００は、見方を変えると、第１スリット２１と第２スリット２２、２３と第１方向（Ｘ方向）に延びる第１基端（基端Ｂ１）とで囲まれる第１フラップＦ１を有する（図５、図６）。第１フラップＦ１は、第２方向（Ｙ方向）の他方側（包装袋１０の正面１３側）で天面１１に連結する直線状の基端Ｂ１（第１基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる凹状の先端Ａ１（凹部Ｒ）とを有する（図５参照）。なお、基端Ｂ１は、図５の破線で示した部分である。
【0095】
ここで、フラップは、包装袋１０の天面１１に形成され、取出口２０からシートＳが引き出されるときの摩擦力（または抵抗力）によって撓む（または変形する）包装袋１０の一部で構成される。また、基端は、フラップが撓む（または変形する）起点となるフラップの端部を示す。
【0096】
また、シート包装体１００は、第１スリット２１と第１方向（Ｘ方向）に延びる第２基端（基端Ｂ２）とで囲まれる第２フラップＦ２を有する。第２フラップＦ２は、第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）で天面１１に連結する直線状の基端Ｂ２（第２基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる凸状の先端Ａ２（凸部Ｐ）とを有する（図５参照）。なお、基端Ｂ２は、図５の破線で示した部分である。
【0097】
シート包装体１００は、さらに、第２スリット２２、２３と第２方向（Ｙ方向）に延びる第３基端（基端Ｂ３）とで囲まれる第３フラップＦ３を有する。第３フラップＦ３は、
第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃに構成され、第２スリット２２、２３の一端２２ａ、２３ａから他端２２ｂ、２３ｂに沿って延びる直線状の基端Ｂ３（第３基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる円弧状の端縁Ｅ３とを有する。なお、基端Ｂ３は、図５の破線で示した部分である。
第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃに構成され、第２スリット２２、２３の一端２２ａ、２３ａから他端２２ｂ、２３ｂに沿って延びる直線状の基端Ｂ３（第３基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる円弧状の端縁Ｅ３とを有する。なお、基端Ｂ３は、図５の破線で示した部分である。
【0098】
本実施形態では、上述のように、上述の第１スリット２１と第２スリット２２、２３を包装袋１０の天面１１に設けることで、第１スリット２１と第２スリット２２、２３と第１基端（基端Ｂ１）とで囲まれる第１フラップＦ１を構成することができる。このような第１フラップＦ１は、第１スリット２１の近傍が取出口２０の内側に凹となり（凹部Ｒを形成し）、第２スリット２２、２３の近傍が撓みやすい（または変形しやすい）ものとなる。これにより、本実施形態では、シートＳのスムーズな引き出しが妨げられずにシートＳが取出口２０に保持され、しかもシートＳの落込みと包装袋１０の持ち上がりが抑制される（図５～図８参照）。
【0099】
本実施形態では、第１フラップＦ１が第１スリット２１と第２スリット２２、２３と第１基端（基端Ｂ１）とで囲まれることで、取出口２０を第１フラップＦ１で覆うことができる。そのため、本実施形態では、取出口２０が開け放しにならず、取出口２０から包装袋１０内への塵や埃等の異物の侵入を防ぐことができる（図５～図８参照）。
【0100】
本実施形態では、第１フラップＦ１が第１スリット２１と第２スリット２２、２３と第１基端（基端Ｂ１）とで囲まれることで、第１フラップＦ１が基端Ｂ１を介して包装袋１０の天面１１に接続された状態で取出口２０に設けられる。そのため、本実施形態では、取出口２０の開封時における破断片の発生を防ぐことができる（図１～図８参照）。
【0101】
また、本実施形態では、上述のように、上述の第１スリット２１と第２スリット２２、２３を包装袋１０の天面１１に設けることで、第１スリット２１と第１方向（Ｘ方向）に延びる第２基端（基端Ｂ２）とで囲まれる第２フラップＦ２を第１フラップＦ１とともに構成することができる（図５参照）。
【0102】
このような第２フラップＦ２は、第１スリット２１の近傍が取出口２０の内側に凸となり（凸部Ｐを形成し）、第２方向（Ｙ方向）に第１フラップＦ１と並んで配置される。これにより、第２フラップＦ２は、取出口２０から引き出されるシートＳを第１フラップＦ１との間でバランスよく保持することができる。そのため、本実施形態では、取出口２０から引き出されるシートＳが取出口２０の上方に立ち上がった状態で該シートＳを取出口２０に保持することを高い精度で実現することができる（図５～図８参照）。
【0103】
本実施形態では、第２フラップＦ２が第１スリット２１と第２基端（基端Ｂ２）とで囲まれることで、取出口２０を第１フラップＦ１とともに第２フラップＦ２で覆うことができる。そのため、本実施形態でも、取出口２０が開け放しにならず、取出口２０から包装袋１０内への塵や埃等の異物の侵入を高い精度で防ぐことができる（図５～図８参照）。
【0104】
本実施形態では、第２フラップＦ２が第１スリット２１と第２基端（基端Ｂ２）とで囲まれることで、第２フラップＦ２が基端Ｂ２を介して包装袋１０の天面１１に接続された状態で取出口２０に設けられる。そのため、本実施形態でも、取出口２０の開封時における破断片の発生を防ぐことができる（図１～図８参照）。
【0105】
さらに、本実施形態では、上述のように、上述の第１スリット２１と第２スリット２２、２３を包装袋１０の天面１１に設けることで、第２スリット２２、２３と第２方向（Ｙ方向）に延びる第３基端（基端Ｂ３）とで囲まれる第３フラップＦ３を構成することができる（図５参照）。
【0106】
このような第３フラップＦ３は、第１フラップＦ１の第１方向（Ｘ方向）の両端部を構成し、第２スリット２２、２３の近傍が撓みやすい（または変形しやすい）部分を構成することができる。これにより、本実施形態では、さらにシートＳの引き出しが妨げられずにシートＳが取出口２０に保持され、しかもシートＳの落込みと包装袋１０の持ち上がりがさらに高い精度で抑制される（図５～図８参照）。
【0107】
また、第３フラップＦ３は、第１フラップＦ１とともに、取出口２０から引き出されるシートＳを第２フラップＦ２との間でバランスよく保持することができる。そのため、本実施形態では、取出口２０から引き出されるシートＳが取出口２０の上方に立ち上がった状態で該シートＳを取出口２０に保持することをさらに高い精度で実現することができる（図５～図８参照）。
【0108】
また、本実施形態では、第３フラップＦ３が第２スリット２２、２３と第３基端（基端Ｂ３）とで囲まれることで、取出口２０を第１フラップＦ１および第２フラップＦ２とともに第３フラップＦ３を覆うことができる。そのため、本実施形態でも、取出口２０が開け放しにならず、取出口２０から包装袋１０内への塵や埃等の異物の侵入を高い精度で防ぐことができる（図５～図８参照）。
【0109】
さらに、本実施形態では、第３フラップＦ３が第２スリット２２、２３と第３基端（基端Ｂ３）とで囲まれることで、第３フラップＦ３が第１フラップＦ１を介して包装袋１０の天面１１に接続された状態で取出口２０に設けられる。そのため、本実施形態でも、取出口２０の開封時における破断片の発生を防ぐことができる（図１～図８参照）。
【0110】
図９は、第２実施形態に係るシート包装体において、取出口を示す図である。図１０は、第２実施形態に係るシート包装体において、開封後の取出口を示す図である。図１２は、第２実施形態に係るシート包装体の使用状態を示す図である。なお、第２実施形態において、第１実施形態と共通する部分については、図３、図６で用いた符号を付して説明を省略する。
【0111】
第２実施形態に係るシート包装体１００は、第１スリット２１の少なくとも凸の頂部Ｖは、曲線状である（図９参照）。ここで、少なくとも凸の頂部Ｖが曲線状であるとは、第１スリット２１の凸の頂部Ｖ以外の部分が曲線状であっても直線状であってもよいことを示す。本実施形態では、凸の頂部Ｖを含む第１スリット２１の全体が曲線状に形成されている（図９参照）。
【0112】
本実施形態では、このように第１スリット２１の凸の頂部Ｖを曲線状にすることで、取出口２０から引き出されるシートＳに対して、第１スリット２１頂部Ｖが抵抗になりにくく、取出口２０に保持されるシートＳに対しては第１スリット２１頂部Ｖが引っ掛かりやすくなる。そのため、本実施形態によれば、取出口２０からのシートＳのスムーズな取り出しを維持しながら、シートＳの落込みと包装袋１０の持ち上がりを防ぐことができる。
【0113】
第２実施形態に係るシート包装体１００は、見方を変えると、第１スリット２１と第２スリット２２、２３と第１方向（Ｘ方向）に延びる第１基端（基端Ｂ１）とで囲まれる第１フラップＦ１を有する。第１フラップＦ１は、第２方向（Ｙ方向）の他方側（包装袋１０の正面１３側）で天面１１に連結する直線状の基端Ｂ１（第１基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる凹状の先端Ａ１（凹部Ｒ）とを有する。
【0114】
また、第２実施形態に係るシート包装体１００は、第１スリット２１と第１方向（Ｘ方向）に延びる第２基端（基端Ｂ２）とで囲まれる第２フラップＦ２を有する。第２フラップＦ２は、第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）で天面１１に連結する直線状の基端Ｂ２（第２基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる凸状の先端Ａ２（凸部Ｐ）とを有する。
【0115】
第２実施形態に係るシート包装体１００は、さらに、第２スリット２２、２３と第２方向（Ｙ方向）に延びる第３基端（基端Ｂ３）とで囲まれる第３フラップＦ３を有する。第３フラップＦ３は、第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃに構成され、第２スリット２２、２３の一端２２ａ、２３ａから他端２２ｂ、２３ｂに沿って延びる直線状の基端Ｂ３（第３基端）と、取出口２０の内側で自由端部となる円弧状の端縁Ｅ３とを有する。
【0116】
なお、第２実施形態に係るシート包装体１００では、凸の頂部Ｖが曲線状の第１スリット２１に対応して、第１フラップＦ１の先端Ａ１（凹部Ｒ）が曲線状になっている。また、第２フラップＦ２の先端Ａ２（凸部Ｐ）も曲線状になっている。
【0117】
これにより、第２実施形態では、取出口２０から引き出されるシートＳに対して、第１スリット２１頂部Ｖが抵抗になりにくく、取出口２０に保持されるシートＳに対しては第１スリット２１頂部Ｖが引っ掛かりやすくなる。そのため、第２実施形態によれば、取出口２０からのシートＳのスムーズな取り出しを維持しながら、シートＳの落込みと包装袋１０の持ち上がりを防ぐことを高い精度で実現することができる。
【実施例】
【0118】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0119】
［シート包装体（試験体）］
試験体として、複数枚のシートＳが積層されたシート積層体ＳＬが包装袋１０に収容されたシート包装体１００を用意した（図１、図１１、図１２参照）。シート積層体ＳＬは、シートＳが交互に折り畳まれてポップアップ式に１組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー（坪量：１０．７ｇ／ｍ２、紙厚：１１０μｍ、プライ数：２プライ、組数：１５０組（３００枚）、寸法：高さ約４０ｍｍ、横約１７８ｍｍ、縦約１００ｍｍ）を用いた。また、シート積層体ＳＬは、積層方向（ＳＤ方向）がシート包装体１００の高さ方向（Ｚ方向）となるように包装袋１０に収容した（図１、図１１、図１２参照）。また、包装袋１０の材質は、厚み５０μｍのポリエチレン（ＰＥ）を用いた。包装袋１０の包装形態は、シート包装体１００の両側面１５、１６をキャラメル包装で封止した（シール部３０、４０を形成した）。包装袋１０の寸法は、第１方向（Ｘ方向）の長さＬ１約１８０ｍｍ、奥行方向（Ｙ方向）の幅Ｗ１約１００ｍｍ、高さ方向（Ｚ方向）の高さ約４０ｍｍとした。また、包装袋１０の天面１１に第１方向（Ｘ方向）に延びる取出口２０をミシン目で形成した。
試験体として、複数枚のシートＳが積層されたシート積層体ＳＬが包装袋１０に収容されたシート包装体１００を用意した（図１、図１１、図１２参照）。シート積層体ＳＬは、シートＳが交互に折り畳まれてポップアップ式に１組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー（坪量：１０．７ｇ／ｍ２、紙厚：１１０μｍ、プライ数：２プライ、組数：１５０組（３００枚）、寸法：高さ約４０ｍｍ、横約１７８ｍｍ、縦約１００ｍｍ）を用いた。また、シート積層体ＳＬは、積層方向（ＳＤ方向）がシート包装体１００の高さ方向（Ｚ方向）となるように包装袋１０に収容した（図１、図１１、図１２参照）。また、包装袋１０の材質は、厚み５０μｍのポリエチレン（ＰＥ）を用いた。包装袋１０の包装形態は、シート包装体１００の両側面１５、１６をキャラメル包装で封止した（シール部３０、４０を形成した）。包装袋１０の寸法は、第１方向（Ｘ方向）の長さＬ１約１８０ｍｍ、奥行方向（Ｙ方向）の幅Ｗ１約１００ｍｍ、高さ方向（Ｚ方向）の高さ約４０ｍｍとした。また、包装袋１０の天面１１に第１方向（Ｘ方向）に延びる取出口２０をミシン目で形成した。
【0120】
［取出抵抗値］
上述の試験体（シート包装体１００）を平坦な載置面上に置き、包装袋１０の取出口２０（開口ＯＰ）から１組目のティシューペーパー（シートＳ）を約４０ｍｍ引出し、引き出したシートＳの上方側の先端（シート包装体１００の第１方向（Ｘ方向）における中央部分）を目玉クリップ（コクヨ株式会社製、「クリ－１７」）で挟み、この目玉クリップの持ち手部分の一方の穴にプッシュプルゲージ（株式会社イマダ製、ＩＭＡＤＡ ＤＥＧＴＡＬＦＯＲＣＥＧＡＵＧＥ Ｚ２－２０）のフックを引っ掛け、０．４以上０．６秒以下の時間をかけて一定速度で、垂直方向にシートＳを引き出したときの、取出抵抗値（単位：Ｎ）を測定した。取出抵抗値が１Ｎ以下の場合は良好である（シートＳが取出しやすい）と評価し、１Ｎを超えた場合は良好でない（シートＳが取り出しにくい）と評価した。
上述の試験体（シート包装体１００）を平坦な載置面上に置き、包装袋１０の取出口２０（開口ＯＰ）から１組目のティシューペーパー（シートＳ）を約４０ｍｍ引出し、引き出したシートＳの上方側の先端（シート包装体１００の第１方向（Ｘ方向）における中央部分）を目玉クリップ（コクヨ株式会社製、「クリ－１７」）で挟み、この目玉クリップの持ち手部分の一方の穴にプッシュプルゲージ（株式会社イマダ製、ＩＭＡＤＡ ＤＥＧＴＡＬＦＯＲＣＥＧＡＵＧＥ Ｚ２－２０）のフックを引っ掛け、０．４以上０．６秒以下の時間をかけて一定速度で、垂直方向にシートＳを引き出したときの、取出抵抗値（単位：Ｎ）を測定した。取出抵抗値が１Ｎ以下の場合は良好である（シートＳが取出しやすい）と評価し、１Ｎを超えた場合は良好でない（シートＳが取り出しにくい）と評価した。
【0121】
［落ち込み］
包装袋１０の取出口２０を通してシート積層体ＳＬからシートＳを１組目から最後の１組まで連続で引き出したときに、引き出されたシートＳの次のシートＳが包装袋１０内に落ち込んだ回数（落ち込み）を測定した。落ち込みは、５回の試験を行った結果から平均値を算出し、平均値が５．０以下の場合は良好である（落ち込みにくい）ものと評価し、平均値が５．０を超える場合は良好でない（落ち込みやすい）ものと評価した。
包装袋１０の取出口２０を通してシート積層体ＳＬからシートＳを１組目から最後の１組まで連続で引き出したときに、引き出されたシートＳの次のシートＳが包装袋１０内に落ち込んだ回数（落ち込み）を測定した。落ち込みは、５回の試験を行った結果から平均値を算出し、平均値が５．０以下の場合は良好である（落ち込みにくい）ものと評価し、平均値が５．０を超える場合は良好でない（落ち込みやすい）ものと評価した。
【0122】
［持ち上がり］
シート包装体１００の取出口２０を通してシート積層体ＳＬからシートＳを１組目から最後の１組まで連続で引き出したときに、包装袋１０が持ち上がった最初のシートＳの組数を測定した。持ち上がりが発生しない場合は良好〇（持ち上がりにくい）と評価し、持ち上がりが発生した場合は良好でない×（持ち上がりやすい）と評価した。
シート包装体１００の取出口２０を通してシート積層体ＳＬからシートＳを１組目から最後の１組まで連続で引き出したときに、包装袋１０が持ち上がった最初のシートＳの組数を測定した。持ち上がりが発生しない場合は良好〇（持ち上がりにくい）と評価し、持ち上がりが発生した場合は良好でない×（持ち上がりやすい）と評価した。
【0123】
［シート自立性］
シート包装体１００の取出口２０を通してシート積層体ＳＬから１１組目から２０組目まで（合計１０組）のシートＳを１組ずつ引き出したときの、シート自立性を評価した。シート自立性は、引き出されたシートＳの次のシートＳが包装袋１０の天面１１に略垂直に立ち上がった状態となった組数を測定し、以下の基準で評価した。シート自立性が〇の場合は良好（シートが立ち上がった状態で保持されやすい）と評価し、△または×の場合は良好でない（シートが倒れた状態または傾いた状態で保持されやすい）と評価した。
〇：８組以上
△：７～３組
×：２組以下
シート包装体１００の取出口２０を通してシート積層体ＳＬから１１組目から２０組目まで（合計１０組）のシートＳを１組ずつ引き出したときの、シート自立性を評価した。シート自立性は、引き出されたシートＳの次のシートＳが包装袋１０の天面１１に略垂直に立ち上がった状態となった組数を測定し、以下の基準で評価した。シート自立性が〇の場合は良好（シートが立ち上がった状態で保持されやすい）と評価し、△または×の場合は良好でない（シートが倒れた状態または傾いた状態で保持されやすい）と評価した。
〇：８組以上
△：７～３組
×：２組以下
【0124】
［破断片の発生］
取出口２０を開封したときの、破断片（包装袋から切り離された切れ端、小片、断片等）の発生を確認した。破断片の発生は、包装袋１０から破断片が切り離されない場合は良好〇（破断片が発生しない）とし、破断片が切り離された場合は良好でない×（破断片が発生した）評価した。
取出口２０を開封したときの、破断片（包装袋から切り離された切れ端、小片、断片等）の発生を確認した。破断片の発生は、包装袋１０から破断片が切り離されない場合は良好〇（破断片が発生しない）とし、破断片が切り離された場合は良好でない×（破断片が発生した）評価した。
【0125】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0126】
［実施例１］
シート包装体１００において、包装袋１０の天面１１に、第１方向（Ｘ方向）と交差する第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に凸となるように第１方向（Ｘ方向）に延びる第１スリット２１（ミシン目Ｍ１）と、第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃにそれぞれ連続し、第１スリット２１から第１方向（Ｘ方向）に離れる側に湾曲するように第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に延びる第２スリット２２、２３（ミシン目Ｍ２）とを有する取出口２０を設けた。第１スリット２１の凸の頂部Ｖは、第１方向（Ｘ方向）に沿って直線状に形成した（図１～図５参照）。作製した試験体について、取出抵抗値、落ち込み、持ち上がり、シート自立性、および破断片の発生を評価した。結果を表１に示す。
シート包装体１００において、包装袋１０の天面１１に、第１方向（Ｘ方向）と交差する第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に凸となるように第１方向（Ｘ方向）に延びる第１スリット２１（ミシン目Ｍ１）と、第１スリット２１の両端部２１ｂ、２１ｃにそれぞれ連続し、第１スリット２１から第１方向（Ｘ方向）に離れる側に湾曲するように第２方向（Ｙ方向）の一方側（包装袋１０の背面１４側）から他方側（包装袋１０の正面１３側）に延びる第２スリット２２、２３（ミシン目Ｍ２）とを有する取出口２０を設けた。第１スリット２１の凸の頂部Ｖは、第１方向（Ｘ方向）に沿って直線状に形成した（図１～図５参照）。作製した試験体について、取出抵抗値、落ち込み、持ち上がり、シート自立性、および破断片の発生を評価した。結果を表１に示す。
【0127】
【0128】
［比較例１］
取出口２０を直線状のスリット（ミシン目Ｍ３）のみで形成した（図１１参照）以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。
取出口２０を直線状のスリット（ミシン目Ｍ３）のみで形成した（図１１参照）以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。
【0129】
［比較例２］
取出口２０を略楕円状スリット（ミシン目Ｍ４）のみで形成した（図１２参照）以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。
取出口２０を略楕円状スリット（ミシン目Ｍ４）のみで形成した（図１２参照）以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。
【0130】
【表1】
【0131】
表１より、包装袋１０の天面１１に形成される取出口２０が第１スリット２１（ミシン目Ｍ１）と第２スリット（ミシン目Ｍ２）を有するシート包装体１００は、取出抵抗値、落ち込み、持ち上がり、シート自立性、及び破断片の発生がいずれも良好であった（実施例１、２）。
【0132】
一方、取出口２０が直線状のスリット（ミシン目Ｍ３）または略楕円状のスリット（ミシン目Ｍ４）で形成されたシート包装体１００は、最初の１組目から５枚目までの取出抵抗値が１Ｎを超えた（良好ではなかった）。また、落ち込みは平均値で５.０を超えた（良好ではなかった）。さらに、持ち上がり、シート自立性、破断片の発生の少なくともいずれかが良好ではなかった（比較例１、２）。
【0133】
これらの結果から、取出口が、第１方向と交差する第２方向の一方側から他方側に凸となるように第１方向に延びる第１スリットと、第１スリットの両端部にそれぞれ連続し、第１スリットから第１方向に離れる側に湾曲するように第２方向の一方側から他方側に延びる第２スリットとを有するシート包装体は、シートの取出しに優れることが判った。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0135】
１００ シート包装体
Ｓ シート（衛生薄葉紙）
ＳＬ シート積層体
１０ 包装袋
１１ 天面
１１ａ 長手方向の中央
１１ｂ 短手方向の中央
１１ｃ 端縁
１２ 底面
１３ 正面
１４ 背面
１５ 側面
１６ 側面
２０ 取出口
ＯＰ 開口
２１ 第１スリット
２１ａ 基部
２１ｂ 端部
２１ｃ 端部
Ｃ１ カット
Ｔ１ タイ
Ｇ１ 端部
Ｇ２ 端部
Ｖ 頂部
２２ 第２スリット
２２ａ 一端
２２ｂ 他端
２２ｃ 基部
Ｃ２ カット
Ｔ２ タイ
２３ 第２スリット
２３ａ 一端
２３ｂ 他端
２３ｃ 基部
Ｃ２ カット
Ｔ２ タイ
Ｆ１ 第１フラップ
Ｂ１ 基端
Ａ１ 先端
Ｐ 凸部
Ｆ２ 第２フラップ
Ｂ２ 基端
Ａ２ 先端
Ｒ 凹部
Ｆ３ 第３フラップ
Ｂ３ 基端
Ｅ３ 端縁
３０ シール部
４０ シール部
Ｓ シート（衛生薄葉紙）
ＳＬ シート積層体
１０ 包装袋
１１ 天面
１１ａ 長手方向の中央
１１ｂ 短手方向の中央
１１ｃ 端縁
１２ 底面
１３ 正面
１４ 背面
１５ 側面
１６ 側面
２０ 取出口
ＯＰ 開口
２１ 第１スリット
２１ａ 基部
２１ｂ 端部
２１ｃ 端部
Ｃ１ カット
Ｔ１ タイ
Ｇ１ 端部
Ｇ２ 端部
Ｖ 頂部
２２ 第２スリット
２２ａ 一端
２２ｂ 他端
２２ｃ 基部
Ｃ２ カット
Ｔ２ タイ
２３ 第２スリット
２３ａ 一端
２３ｂ 他端
２３ｃ 基部
Ｃ２ カット
Ｔ２ タイ
Ｆ１ 第１フラップ
Ｂ１ 基端
Ａ１ 先端
Ｐ 凸部
Ｆ２ 第２フラップ
Ｂ２ 基端
Ａ２ 先端
Ｒ 凹部
Ｆ３ 第３フラップ
Ｂ３ 基端
Ｅ３ 端縁
３０ シール部
４０ シール部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】