IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トッパン・フォームズ株式会社の特許一覧

特許7403280収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法
<>
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図1
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図2
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図3
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図4A
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図4B
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図5
  • 特許-収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/02 20060101AFI20231215BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20231215BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20231215BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B65D25/02 Z
B65D81/38 B
B65D25/20 Z
B65G61/00 526
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019199874
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021070522
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】残華 知彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 聖也
(72)【発明者】
【氏名】井手 義章
(72)【発明者】
【氏名】桜沢 雅洋
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-128816(JP,A)
【文献】特開2005-200187(JP,A)
【文献】特開2018-032219(JP,A)
【文献】特開2004-323169(JP,A)
【文献】特開2006-089163(JP,A)
【文献】特開2012-216925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/02
B65D 81/38
B65D 25/20
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部の内部と外部との間に設けられ第1通信方式に基づく電波を遮蔽する遮蔽部と、
前記収容部の内部に設けられ、当該収容部に収容される物品に付帯されるタグに対して第1通信方式によって通信を行って前記タグからタグIDを取得し、取得したタグIDを前記第1通信方式とは異なる通信方式である第2通信方式によって、前記収容部の外部の端末装置に送信するリーダと
を備え、
前記第2通信方式に基づく電波は、前記第1通信方式に基づく電波よりも電波強度が強いものであり、
前記遮蔽部には、前記リーダと前記端末装置との間の前記第2通信方式に基づく電波が通過可能であるとともに、前記リーダと当該収容容器以外の他の収容容器の収容部内に存するタグとの間の前記第1通信方式に基づく通信が成立しないように、隙間又は開口部が設けられている
収容容器。
【請求項2】
前記収容部の内部の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサによって得られた温度データを第2通信方式によって前記端末装置に送信する管理タグと、
をさらに備える
請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記リーダは、自身を識別する識別情報が割り当てられており、当該識別情報を前記タグIDとともに前記端末装置に送信する
請求項1または請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記収容部は、第1保管庫から取り出され、前記第1保管庫とは異なる保管庫である第2保管庫に搬送される前記物品を収容可能であり、
前記収容容器は、搬送可能である
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項5】
収容容器と、端末装置と、管理サーバとを含む物品管理システムであって、
前記収容容器は、
収容部の内部と外部との間に設けられ第1通信方式に基づく電波を遮蔽する遮蔽部と、
前記収容部の内部に設けられ、当該収容部に収容される物品に付帯されるタグに対して第1通信方式によって通信を行って前記タグからタグIDを取得し、取得したタグIDを前記第1通信方式とは異なる通信方式である第2通信方式によって、前記収容部の外部の端末装置に送信するリーダとを有し
前記端末装置は、
前記リーダから送信されるタグIDを受信して前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記端末装置の通信部から送信されるタグIDを受信するものであり、
前記第2通信方式に基づく電波は、前記第1通信方式に基づく電波よりも電波強度が強いものであり、
前記遮蔽部には、前記リーダと前記端末装置との間の前記第2通信方式に基づく電波が通過可能であるとともに、前記リーダと当該収容容器以外の他の収容容器の収容部内に存するタグとの間の前記第1通信方式に基づく通信が成立しないように、隙間又は開口部が設けられている
物品管理システム。
【請求項6】
収容部の内部と外部との間に第1通信方式に基づく電波を遮蔽する遮蔽部を設け、
前記収容部の内部にリーダを設け、当該収容部に収容される物品に付帯されるタグに対して第1通信方式によって通信を行い前記タグからタグIDを取得し、取得したタグIDを前記第1通信方式とは異なる通信方式である第2通信方式によって、前記収容部の外部の端末装置に送信する収容容器の通信方法であり、
前記第2通信方式に基づく電波は、前記第1通信方式に基づく電波よりも電波強度が強いものであり、
前記遮蔽部には、前記リーダと前記端末装置との間の前記第2通信方式に基づく電波が通過可能であるとともに、前記リーダと当該収容容器以外の他の収容容器の収容部内に存するタグとの間の前記第1通信方式に基づく通信が成立しないように、隙間又は開口部が設けられている
収容容器の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品等の物品を搬送する場合、搬送途中においても温度を一定に保つために保冷状態を維持しつつ搬送される場合がある。搬送途中において、物品を適切な温度に維持しつつ搬送できているかを把握するような保冷箱も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-031308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1つの搬送先に物品を搬送する場合、1つの保冷箱で行う場合もあるが、複数の保冷箱を利用する場合がある。このような場合、リーダ装置が、保冷箱に収容された物品に取り付けられたRFIDタグからIDを読み出す場合、ある保冷箱に設けられたリーダ装置が、自リーダ装置が設けられた保冷箱の物品だけでなく、他の保冷箱に収容された物品のRFIDタグのIDを読み出す場合がある。そうすると、保冷箱毎にリーダ装置が設けられている場合には、同じRFIDタグが複数のリーダ装置で読み取られることになり、物品の管理を正しく行うことができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、収容容器に収容されたタグと当該収容容器に収容されていないタグとのうち収容されたタグから情報を得ることが可能な収容容器、物品管理システムおよび収容容器の通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、収容部の内部と外部との間に設けられ第1通信方式に基づく電波を遮蔽する遮蔽部と、前記収容部の内部に設けられ、当該収容部に収容される物品に付帯されるタグに対して第1通信方式によって通信を行って前記タグからタグIDを取得し、取得したタグIDを前記第1通信方式とは異なる通信方式である第2通信方式によって、前記収容部の外部の端末装置に送信するリーダとを備え、前記第2通信方式に基づく電波は、前記第1通信方式に基づく電波よりも電波強度が強いものであり、前記遮蔽部には、前記リーダと前記端末装置との間の前記第2通信方式に基づく電波が通過可能であるとともに、前記リーダと当該収容容器以外の他の収容容器の収容部内に存するタグとの間の前記第1通信方式に基づく通信が成立しないように、隙間又は開口部が設けられている
【0007】
また、本発明の一態様は、収容部の内部と外部との間に第1通信方式に基づく電波を遮蔽する遮蔽部を設け、前記収容部の内部にリーダを設け、当該収容部に収容される物品に付帯されるタグに対して第1通信方式によって通信を行い前記タグからタグIDを取得し、取得したタグIDを前記第1通信方式とは異なる通信方式である第2通信方式によって、前記収容部の外部の端末装置に送信する収容容器の通信方法であり、前記第2通信方式に基づく電波は、前記第1通信方式に基づく電波よりも電波強度が強いものであり、前記遮蔽部には、前記リーダと前記端末装置との間の前記第2通信方式に基づく電波が通過可能であるとともに、前記リーダと当該収容容器以外の他の収容容器の収容部内に存するタグとの間の前記第1通信方式に基づく通信が成立しないように、隙間又は開口部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、収容容器に収容されたタグと当該収容容器に収容されていないタグとのうち収容されたタグから情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態による物品管理システム1の構成を示す概略システム構成図ある。
図2】保冷箱10の構成を示す断面図である。
図3】端末装置20の機能を示す概略機能ブロック図である。
図4A】出力部23の一態様であるタッチパネルに表示される表示画面の一例を示す図である。
図4B】出力部23の一態様であるタッチパネルに表示される表示画面の一例を示す図である。
図5】管理データ記憶部に記憶される管理データの一例を示す図である。
図6】物品管理システム1の動作の流れを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による収容容器及び物品管理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による物品管理システム1の構成を示す概略システム構成図ある。
物品管理システム1は、保冷箱10a、10b、10c(以下、特に識別しない場合には単に保冷箱10と称する)、端末装置20a、20b(以下、特に識別しない場合には単に端末装置20と称する)、保管庫30a、30b(以下、特に識別しない場合には単に保管庫30と称する)、管理サーバ40、管理データ記憶部45、ネットワーク50を含む。
【0011】
保冷箱10は、1つまたは複数用いることができる。この図においては、保冷箱10a、10b、10cの3つが用いられる場合について図示されている。保冷箱10a、10b、10cの構成は概ね同じである。
保冷箱10aは、管理タグ11aと、リーダ12aと、センサ13aと、収容部103とを有し、RFIDタグ16が付帯された物品15と、保冷剤とを収容する。保冷箱10は、収容された物品15を一定温度以下に維持する。保冷箱10aは、1つまたは複数の物品15を収容することができる。
【0012】
保冷箱10aは、収容容器であればよく、例えば箱、袋状の容器等であってもよい。このような収容容器は、例えば箱等のように、収容物が入れられているか否かに係わらずに一定の形状を保持できるものであってもよい。また、収容容器は、例えば、袋状の容器のように、弾性を有し、収容物が入れられているか否か、外部から力が加わったこと等に応じて、柔軟に形状が変化してもよい。
【0013】
物品15は、医薬品や生鮮食品等である。物品15は、一定温度以下に維持されることが好ましい物品である。この実施形態において、保冷箱10aには、物品15a、15bの2つが収容される場合について図示されている。
また、この実施形態において、物品15は、医薬品である場合について説明する。医薬品には、常温で保管してもよいものもあるが、常温よりも低い一定温度の範囲で保管することが決められているものもある。
【0014】
RFID(Radio frequency identification)タグ16は、物品15のそれぞれに1つずつ付帯される。RFIDタグ16は、それぞれ個別に識別情報(タグIDとも称する)が割り当てられている。この識別情報と、取り付けられる対象の物品15に関する情報が管理サーバ40または管理データ記憶部45に記憶されていることで、識別情報を把握することができれば、物品15を識別できるようになっている。
RFIDタグ16は、物品15が入荷すると、入荷業務を行う管理担当者によって、物品15のそれぞれに付帯される。付帯の仕方としては、RFIDタグ16を物品15に取り付けることができればよく、例えば、RFIDタグ16を物品15の外面に粘着材、接着材等で貼り付けられてもよく、また、紐状の部材で物品15に連結されてもよい。また、付帯の仕方として、RFIDタグ16を袋に取り付け、その袋内に物品15を入れるようにしてもよい。
【0015】
センサ13aは、保冷箱10毎に、収容部103の内周側に設けられ、管理タグ11aに有線によって接続される。センサ13aは、保冷箱10内の環境を測定し、測定結果を管理タグ11aに出力する。測定対象の環境としては、例えば、温度、湿度、加速度、現在位置等である。この実施形態においては、温度を測定する場合について説明する。
【0016】
管理タグ11は、複数の保冷箱10a、10b、10cのそれぞれに設けられる。
管理タグ11aは、端末装置20と通信する通信機能と、データを記憶するメモリを有する。管理タグ11は、保冷箱10に収容される物品の環境をセンサ13aによって取得し、センサ13aから得られる測定結果をメモリに記憶するとともに、通信機能によって端末装置20に出力する。
【0017】
管理タグ11は、BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)を用いた通信を行う機能を有し、このBLEを用いた通信によって端末装置20と通信を行い、リーダ12aから得られた情報等を当該端末装置20に送信する。
【0018】
リーダ12aは、保冷箱10毎に、収容部103の内周側に設けられる。
リーダ12aは、当該収容部103に収容される物品15に付帯されたRFIDタグに対してNFC(Near Field Communication)によって通信を行い、このRFIDタグから識別情報(タグID)を取得する。リーダ12aは、RFIDタグから取得したタグIDをBLEによって、端末装置20に送信する。また、リーダ12aは、複数のリーダ12aを個別に識別するリーダ識別情報(リーダID)が割り当てられており、タグIDを端末装置20に送信する際に、このリーダIDも送信する。
【0019】
端末装置20は、スマートフォンやタブレット等のコンピュータである。端末装置20は、管理タグ11及びリーダ12aとBLEによって通信する機能、ネットワーク50を介して管理サーバ40と通信を行う機能等を有し、保冷箱10を搬送する際に、搬送担当者によって所持される。
また、端末装置20は、公衆回線網を介して通話機能を有する。搬送担当者は、搬送業務中において、端末装置20を所持し、必要に応じて管理サーバ40の管理者と通話をすることもできる。
この図において、端末装置20aは、保冷箱10aの管理タグ11a及びリーダ12aと通信を行い、端末装置20bは、保冷箱10bに設けられる管理タグ及びリーダと通信を行うとともに、保冷箱10cに設けられる管理タグ及びリーダと通信を行う。
端末装置20は、リーダ12aから送信されるリーダIDと、このリーダ12aが設けられた保冷箱10と同じ保冷箱10に設けられた管理タグ11aに割り当てられた識別情報(管理タグID)との対応関係を記憶しておくことで、1つの保冷箱10に設けられたリーダ12aと管理タグ11との組み合わせを特定することができる。これにより、センサ13aで測定された温度等と、保冷箱10に収容された物品15との組み合わせを特定することができる。
また、各保冷箱10に箱識別番号(例えば、バーコードラベル等)を付帯させ、この箱識別番号とリーダIDとを対応関係を端末装置20に記憶しておくようにしてもよい。これにより、管理担当者は、保冷箱10を特定することができる。また、端末装置20は、タグIDや温度を、箱識別情報毎に表示する。これにより、管理担当者は、端末装置20に表示された箱識別番号と、搬送対象の保冷箱10に付帯された箱識別番号との関係を確認し、どの保冷箱10の中にタグIDが示す物品が収容されているか、また、どの保冷箱10内の温度が何度であるかを、把握することができる。
【0020】
保管庫30は、庫内の温度を設定された目標温度に維持するよう制御する機能を有しており、例えば、冷蔵庫や冷凍庫等である。また、保管庫30は、庫内に複数の物品15を収容可能である。この図においては、保管庫30aには、RFIDタグ16cが取り付けられた物品15cが入れられており、保管庫30bには、RFIDタグ16dが取り付けられた物品15dが入れられている。
【0021】
保管庫30a、保管庫30bは、例えば、1つの病院内に設置される。例えば、保管庫30aは、ある病院の第1病棟に設置され、保管庫30bは、第1病棟とは異なる病棟である第2病棟に設置される。
ここで、病院では、医薬品が医薬品メーカから納入されると、医薬品(物品15)は、特定の保管庫30(例えば保管庫30a)に保管され、医薬品を使用するために在庫から出庫する出庫要求があった場合には、出庫要求された医薬品を保管庫30aから取り出され、保冷箱10に入れられ、利用予定がある病棟の保管庫30(例えば保管庫30b)まで搬送され、保冷箱10から取り出され、保管庫30b内に保管される。そして実際に利用するタイミングが到来すると、医薬品が保管庫30bから取り出され使用される。
【0022】
また、保管庫30には、収容された物品15に付帯されたRFIDタグのタグIDを読み取り、保管庫30に割り当てられた保管庫IDとともに、ネットワーク50を介して管理サーバ40に送信する機能と、収容された物品15の環境(例えば、温度や湿度)を測定し、その測定結果を保管庫IDとともに管理サーバ40に送信する機能を有する。ここでは、保管庫30は、送信時点における現在時刻も送信する機能を有する。
保管庫30は、保管庫内に収容された物品15のタグIDと温度とについて、所定の時間毎に取得し、管理サーバ40に送信する。
保管庫30は、この物品管理システム1において、全部で2台設けられる場合について図示されているが、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0023】
管理サーバ40は、物品15の保管状態に関する情報である管理データを収集し、管理データ記憶部45に記憶する。管理データは、管理対象である物品について時刻毎の状態を表すデータであり、時刻、温度、位置情報、タグIDのうち少なくともいずれか1つのデータを含む。
【0024】
ここで、位置情報は、物品15の位置を把握することができる情報であればよく、例えば、保管されている保管庫30の保管庫IDや、保冷箱10を搬送する管理担当者に所持される端末装置20の位置情報を用いることができる。保管庫30は設置型の機器であるため、管理サーバ40が、保管庫IDと設置場所を示す情報とを記憶しておくことで、保管庫IDから位置情報を特定することができるようになっている。
【0025】
ここで管理サーバ40は、端末装置20の位置情報を取得する方法として、端末装置20において測位された結果を示す位置情報を取得する他に、アクセスポイント識別情報を利用することもできる。例えば、管理サーバ40は、端末装置20から各種情報を受信する際に、端末装置20がネットワーク50に無線LANを利用して接続した際のアクセスポイントの識別情報を取得し、この得られたアクセスポイント識別情報を基に、端末装置20の位置を検出するようにしてもよい。アクセスポイントは、物品管理システム1内において複数かつお互いに異なる場所に設置される。管理サーバ40は、この設置された場所とアクセスポイント識別情報とを対応づけて記憶しておくことで、アクセスポイント識別情報が得られると、そのアクセスポイントを利用した端末装置20の位置を特定することができるようになっている。
【0026】
管理データ記憶部45は、管理データを記憶する。また、管理データ記憶部45は、この管理データの他に、物品情報を記憶する。物品情報は、各物品の名称、製造番号、使用期限、バーコード情報と、付帯されたRFIDタグ16のタグIDとを対応づけて記憶する。
管理データ記憶部45は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この管理データ記憶部45は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
ネットワーク50は、インターネット、LAN(local area network)、公衆回線網等のうちいずれか1つまたはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0027】
図2は、保冷箱10の構成を示す断面図である。
保冷箱10は、本体部101に蓋部102が開閉可能に設けられる。本体部101、蓋部102に用いられる材料は、収容部103の内部側と保冷箱10の外部側との間において断熱することができる材料であればよく、例えば、断熱材が用いられる。断熱材としては、例えば、発泡スチロール等の合成樹脂素材を用いることができる。
本体部101は、凹部が収容部103として形成された容器である。
蓋部102は、本体部101に取り付けられることで、収容部103の開口部を塞ぐことが可能である。この蓋部102は、収容部103の開口部を塞ぐ、あるいは開くことができれば、本体部101と連結されていてもよいし、連結されていなくてもよい。
また、蓋部102は、本体部101に取り付けられときに、本体部101の凹部における上端部から一定の深さまで入り込むように形成された凸部が設けられていてもよい。これにより、蓋部102を本体部101に押し込むことで、収容部103内部の気密性や保冷機能を維持することができる。また、蓋部102と本体部101との間をファスナ等で連結するようにしてもよい。
【0028】
遮蔽部101a、遮蔽部102aは、収容部103の内部と外部との間に設けられる。より具体的に、遮蔽部101aは、収容部103の内周面に沿って設けられる。遮蔽部102aは、蓋部102が本体部101に取り付けられた際に収容部103の開口部を塞ぐことが可能な部位(保冷箱10の内周面側)に取り付けられる。これにより、本体部101が蓋部102によって閉じられると、遮蔽部101aと遮蔽部102aは、収容部103を取り囲むことができる。遮蔽部101aと遮蔽部102aとで収容部103を取り囲むことで、収容部103の内周側と外周側との間において第1通信方式に基づく電波を遮蔽する。第1通信方式は、ここでは、リーダ12aとRFIDタグ16との間で行う通信である。この実施形態では、第1通信方式がNFCである場合について説明する。また、第2通信方式は、第1通信方式とは異なる通信方式であり、リーダ12aと端末装置20との間で行う通信、及び管理タグ11と端末装置20との間で行う通信である。第2通信方式は、例えば、BLE、Wi-Fi(登録商標)、4G(第4世代移動通信システム)のうちいずれかの通信方式を用いることができる。この実施形態では、第2通信方式がBLEである場合について説明する。また、リーダ12aと端末装置20との間、及び管理タグ11と端末装置20との間における通信方式は、いずれも第2通信方式であれば、通信規格が異なっていてもよい。例えば、リーダ12aと端末装置20との間がBLEであり、管理タグ11と端末装置20との間がWi-Fi(登録商標)であってもよい。
【0029】
遮蔽部101a、遮蔽部102aは、導体性の材料であればよく、例えば、アルミ箔を用いてもよい。アルミ箔を用いた場合には、保冷箱10に収容されたリーダ12aと当該保冷箱10の外部にあるRFIDタグとの通信を制限することができる。
ここでは、遮蔽部101a、遮蔽部102aは、収容部103の内周側に貼り付けられる場合について説明したが、収容部103の外周面に設けられてもよく、また、内周面と外周面との間に設けられてもよい。
【0030】
管理タグ11aは、本体部101の外周面のうちいずれかの側面に設けられる。ここでは、管理タグ11aは、保冷箱10の外周面に設けられる場合について説明するが、管理タグ11aは、収容部103の内周側に設けられてもよい。
【0031】
センサ13aは、収容部103の内周側に設けられる。センサ13aと管理タグ11aは、有線ケーブルによって接続される。この有線ケーブルは、例えば本体部101と蓋部102との間に沿うような部位に設けられてもよいし、本体部101に貫通孔を設け、その貫通孔を通るように設けられてもよい。この実施形態において、通信ケーブルは、本体部101と蓋部102との間に沿うように設けられる場合について説明する。
通信ケーブルは、本体部101と蓋部102との間に沿うように設けられる場合、本体部101と蓋部102とのうちすくなくとも何れか一方について、通信ケーブルに当接する部分が弾性を有していることが好ましい。例えば、蓋部102が閉じられた際に、本体部101または蓋部102のうち、有線ケーブルに当接する部位が弾性変形することで、本体部101と蓋部102との間に有線ケーブルが挟まれる場合であっても、本体部101と蓋部102との間の密着性を高めることができ、保冷機能が低下しないようにすることができる。
【0032】
この実施形態においては、リーダ12aと管理タグ11aとがそれぞれ第2通信方式で端末装置20に接続される場合について説明するが、リーダ12aが端末装置20ではなく管理タグ11aに対して無線によって接続されるようにしてもよい。無線によって接続する場合、リーダ12aは、第2通信方式によって管理タグ11aに接続されるようにしてもよい。この場合、リーダ12aからの情報は管理タグ11aを介して端末装置20に送信されることになる。
【0033】
また、リーダ12aと端末装置20とがBLEによって通信をする場合、遮蔽部101aと遮蔽部102aとで収容部103が取り囲まれているが、遮蔽部101aと遮蔽部102aとの間には、少なからず隙間が生じる。そのため、隙間が生じている程度であれば、リーダ12aは、自身が設けられた収容部103に収容されたRFIDタグ16に対する通信を行うことができるが、自身が設けられた収容部103とは異なる収容部103に収容されたRFIDタグ16に対しては、遮蔽部101aと遮蔽部102aとによって遮蔽されているため、隙間が生じていたとしても、通信が成立する程度の電波強度が得られない。一方で、リーダ12aは、BLEによって端末装置20と通信を行う場合には、遮蔽部101aと遮蔽部102aとによって遮蔽されていたとしても、遮蔽部101aと遮蔽部102aとの間に隙間があることで、一定の電波強度が得られるため、その隙間を介して端末装置20と通信を行うことができる。ここでは、第1通信方式の電波強度よりも第2通信方式の方が電波強度が強い関係にある。
ここでは、遮蔽部101aと遮蔽部102aとの間に隙間が生じる場合について説明したが、遮蔽部101aまたは遮蔽部102aの一部に開口部を設け、その開口部の形状やサイズを、BLEにて端末装置20と通信可能であって、他の収容部103に収容されたRFIDタグ16とは通信が成立しない程度に設定するようにしてもよい。
また、リーダ12aは、収容部103に収容されていてもBLEにて端末装置20と通信を行うことができる程度の出力に設定され、RFIDタグ16との通信については、同じ収容部103に収容されたRFIDタグ16と通信可能であって異なる収容部103に収容されたRFIDタグ16とは通信が成立しない程度の出力となるように電波強度が設定されていてもよい。
【0034】
また、この実施形態において、管理タグ11aが収容部103の外部に設けられる場合について説明したが、収容部103の内周側に設けられる場合についても、上述のリーダ12aと同様に、管理タグ11aは、BLEにて端末装置20と通信することができる。
【0035】
図3は、端末装置20の機能を示す概略機能ブロック図である。
通信ユニット21は、通信部211と通信部212とを有し、外部の機器と通信をする。
通信部211は、BLEによって管理タグ11a及びリーダ12aと通信を行い、リーダ12aからリーダIDとタグIDとを受信し、管理タグ11aからセンサ13aによって測定された測定結果と管理タグ11aに割り当てられた識別情報とを受信する。
通信部212は、ネットワーク50を介して無線によって管理サーバ40と通信を行う。通信部212は、リーダ12aから受信したリーダID及びタグIDや、管理タグ11aから受信したセンサ13aの測定結果、管理タグ11aに割り当てられた識別情報、端末装置20が測位した位置情報等を管理サーバ40に送信する。
通信ユニット21は、通信部211、通信部212の通信機能の他に、公衆回線網を介した通話処理を行うこともできる。
【0036】
入力部22は、各種情報を入力する。入力部22は、例えば、タッチパネルやキーボード等が用いられる。
出力部23は、各種情報を出力する。出力部23は、例えば、タッチパネルの画面、液晶表示装置、スピーカ等を用いることができる。
記憶部24は、各種情報を記憶する。
測位部25は、端末装置20の現在位置を測定する。位置の測定は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の機能によって測定することができる。
【0037】
制御部26は、端末装置20内の各部を制御する。
また、制御部26は、保冷箱10に収容された物品に付帯されたRFIDタグ16のタグIDを参照する機能であるタグ参照機能と、センサ13aによって測定された測定結果を参照する機能である測定結果参照機能とを有する。
制御部26は、タグ参照機能において、リーダ12aによって取得したタグIDを出力部23のタッチパネルの表示画面へ表示する処理、リーダ12aによって取得したタグIDの識別情報を記憶部24に記憶するか否かを切り替える処理、リーダ12aのオンとオフとを切り替える処理、のうち少なくともいずれか1つの機能を、入力部22からの操作入力に応じて行うことができる。
また、制御部26は、測定結果参照機能において、センサ13aによって測定された測定結果を出力部23のタッチパネルの表示画面へ表示する処理、センサ13aによって測定された測定結果を記憶部24に記憶するか否かを切り替える処理、管理タグ11aのオンとオフとを切り替える処理、のうち少なくともいずれか1つの機能を、入力部22からの操作入力に応じて行うことができる。
【0038】
図4は、出力部23の表示される表示画面の一例を示す図である。
図4Aは、出力部23の表示画面にタグIDの一覧が表示された場合の一例を示す図である。制御部26は、タッチパネルの表示画面に、リーダ12aと通信を行うことで取得したタグIDの一覧を表示する(符号80)。また、制御部26は、複数の保冷箱10を1台の端末装置20で管理する場合には、箱識別番号を表示することもできる。端末装置20のユーザ(例えば、物品の搬送担当者)は、タグIDを手がかりにすることで、リーダ12aが設けられた保冷箱10の中に、どの物品が収容されているかを、把握することができる。また、ユーザは、箱識別番号が表示される場合には、その箱識別番号と、自身が搬送する保冷箱10に付帯された箱識別番号との対応関係を把握することができる。ここでは、タグIDを表示する他に、タグIDに対応付けられた物品の名称や、製造番号、使用期限等についても、タグIDに対応づけて表示するようにしてもよい。端末装置20は、タグIDを管理サーバ40に送信する。管理サーバ40は、端末装置20から受信したタグIDに対応する物品の名称や、製造番号、使用期限を、管理データ記憶部45から読み出して端末装置20に送信する。端末装置20は、管理サーバ40からこれらの情報を受信すると、受信した各情報をタッチパネルに表示する。
【0039】
図4Bは、出力部23の表示画面にセンサ13aの測定結果が表示された場合の一例を示す図である。
制御部26は、出力部23の表示画面に、管理タグ11aから取得した測定結果を表示する(符号85)。例えば、制御部26は、センサ13aによって検出された保冷箱10内の温度を管理タグ11aから受信し、表示画面にその温度を表示する。これにより、ユーザは、端末装置20の表示画面を見ることで、保冷箱10内の温度を確認することができ、物品を搬送する際における温度が適切か否かを把握することができる。
なお、制御部26は、記憶部24または管理データ記憶部45に温度の基準値を記憶しておき、この基準値を参照することで、測定された温度データが示す値が基準値の範囲内に収まっているか否かを判定し、判定結果を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、物品を搬送する際における温度が適切であるか否かを簡単に把握することができる。また、制御部26は、判定結果において、温度データが基準値内に収まっていない場合には、警告画面を表示したり、警告音をスピーカ等から出力するようにしてもよい。
【0040】
ここで、基準値は、例えば、物品を保存する保存温度を規定する保存条件であり、例えば、保存温度の上限を表す保存上限温度、保存温度の下限温度を表す保存下限温度、のうち少なくともいずれか一方を用いる。保存上限温度として例えば6℃が設定されている場合には、物品を6℃以下の環境で保存する必要がある。また、保存下限温度として例えば2℃が設定されている場合には、物品を2℃未満にならない環境で保存する必要がある。また、保存上限温度(例えば6℃)と保存下限温度(2℃)の両方が設定されている場合には、物品を保存上限温度と保存下限温度との間の温度(例えば2℃から6℃)で保存する必要がある。すなわち、保存条件として保存温度が規定された物品については、物品を病棟間(保管庫間)において搬送する間は、保冷箱において、この保存条件を満たすような温度を維持するように保存される。
【0041】
このように、保存する保存温度を基準値として用いることで、保冷箱10内における温度が保存温度の範囲から超える温度に到達する可能性があることを予め把握することができる。ユーザは、この通知を認識することで、必要な対応をとることが可能となる。
【0042】
また、制御部26は、図4A符号80に示す画面と図4B符号85に示す表示画面について、ユーザからの操作入力に応じて、いずれの表示画面を表示するか切り替えるようにしてもよい。また、ここでは、図4A符号80に示す画面と図4B符号85に示す画面について、表示画面上にいずれか一方の画面を表示する場合について説明したが、出力部23の表示画面上にタグID等の情報と、センサ13aの測定結果との両方を表示するようにしてもよい。
【0043】
図5は、管理データ記憶部45に記憶される管理データの一例を示す図である。
管理データにおいて、時刻は、物品15の位置や環境を検出した時刻を表す。この時刻は、センサ13aによる測定結果や、測位部25によって測位された位置を送信する時点における時刻が、端末装置20によって計時され、当該端末装置20から送信されるようにしてもよい。
温度は、センサ13aによって測定された測定結果である。この温度は、保冷箱10の収容部103内の温度を示す。ここでは、温度が記憶される場合について説明するが、センサ13aによって環境を測定した結果であれば、湿度や加速度等であってもよい。
位置情報は、タグIDが読み取られた時における物品15の位置を示す情報である。この位置情報は、物品搬送時における端末装置20によって測位された位置情報または、物品が保管された保管庫の位置を物品15の位置として用いることができる。
【0044】
この位置情報は、保冷箱10や、保管庫30毎に記憶される。保冷箱10の位置は、保冷箱10に設けられた管理タグ11とリーダ12aとが通信を行う際にペアリングされるため、端末装置20とペアリングされたリーダ12aのリーダIDを用いることで、保冷箱10を識別することができる。リーダ12aが端末装置20と直接通信を行わずに、管理タグ11aを介して端末装置20と通信を行う場合には、リーダIDを管理タグ11aを介して端末装置20に送信するようにしてもよいし、リーダIDを用いずに管理タグ11aの管理タグIDを用いるようにしてもよい。
また、保冷箱10の位置情報は、保冷箱10が搬送中である場合には、時刻が示すタイミング測定された現在位置が順次記憶される。保管庫30は、設置型の機器であるため、時間が経過したとしても通常、位置情報は変わらない。
タグIDは、リーダ12aによってRFIDタグ16から取得されたタグIDである。1つの保冷箱10あるいは1つの保管庫30に複数の物品が収容されている場合には、その収容された保冷箱10または保管庫30の位置情報に対応づけて複数のタグIDが記憶される。
上述したような管理データを参照することで、いつ、どの場所にどの物品15が存在し、保管されている際の温度が何度であったかを把握することができる。
【0045】
図6は、物品管理システム1の動作の流れを説明する説明図である。
物品15の管理担当者は、医薬品等である物品15が医薬品メーカ等から入荷されると、入庫手続を行う。管理担当者は、入庫手続を行うにあたり、管理対象の物品15に、それぞれ、RFIDタグ16を取り付ける。そして、管理担当者は、コンピュータを用い、取り付けられた物品15のバーコード情報とRFIDタグ16のタグIDとを対応づけて管理データ記憶部45に書き込みを行う。この書き込み処理は、例えば、管理担当者が利用するコンピュータに接続されたバーコードリーダによって、物品の外面に印刷されたバーコードを読み取り、また、RFIDタグリーダ装置によって、付帯するRFIDタグ16のタグIDを読み出し、キーボード、タッチパネル、マウス等を介して登録ボタンを押す等の操作をすることで、登録指示を入力する。これにより、読み取られたバーコードに対応する物品15とRFIDタグ16のタグIDとが対応付けて記憶される。
【0046】
書き込み処理が行われると、管理担当者は、RFIDタグ16が取り付けられた物品15を保管庫30aに入れる。保管庫30aは、一定時間毎(例えば、1分毎)に、自保管庫30a内に収容された物品15のRFIDタグ16からタグIDを読み出し、温度データと現在時刻と保管庫30aの保管庫IDとともに管理サーバ40に都度送信する。管理サーバ40は、保管庫30aから送信されたデータを受信すると、管理データ記憶部45に記憶する。
【0047】
次に、物品15の出庫要求があると、管理担当者は、出庫要求された物品を保管庫30aから取り出し、保冷剤とともに保冷箱10aに入れる(ステップS100)。ここでは、複数の物品15を出庫する場合、複数の物品15が物品群15Gとして1つの保冷箱10に入れられる。管理担当者は、保冷箱10aの蓋部102を閉じることで、物品を封入する(ステップS101)。
【0048】
そして管理担当者は、搬送先が示された伝票等を保冷箱10に取り付ける。また、管理担当者は、端末装置20を操作し、搬送する対象の保冷箱10のリーダ12aと管理タグ11aとをそれぞれオンにする。
また、ここでは、複数の物品15を出庫する場合、搬送先が同じであっても、複数の物品15を異なる保冷箱10に分けて入れる場合がある。例えば、物品15の数量が多いため、1つの保冷箱10に収容できず複数の保冷箱10に分ける場合や、物品15の保存条件が異なるため、その保存条件毎に異なる保冷箱10に分ける場合がある。このような場合には、端末装置20は、保冷箱10毎に、リーダ12aと管理タグ11とをそれぞれオンにする。また、管理担当者は、保冷箱10が複数ある場合、リーダ12aと管理タグ11aとをオンにする際に、オンにするリーダ12aが収容された箱に付帯された箱識別番号を端末装置20のカメラで読み取るか、入力部11から入力する。これにより、端末装置20は、リーダ12aのリーダIDと、管理タグ11aの管理タグIDと、箱識別番号とを対応づけて記憶部24に記憶する。
【0049】
リーダ12aと管理タグ11とがそれぞれオンになると、端末装置20は、リーダ12aによって読み取られたタグIDと、センサ13aによって測定された温度とを取得し(ステップS102)、取得したデータを、タッチパネルの表示画面に表示する(ステップS103)。
ここでは、複数の保冷箱10が隣接した状態で置かれていたとしても、リーダ12aが収容部103内のRFIDタグ16と通信を行う際の電波が、収容部103の外部に伝搬すること、及び、リーダ12aが設けられた収容部103とは異なる収容部103に収容されたRFIDタグ16から到来する電波が当該リーダ12aに伝搬することを、遮蔽部101a及び遮蔽部102aによって遮蔽することができる。
これにより、リーダ12aは、自身が設けられた保冷箱10の収容部103に収容されたRFIDタグ16のタグIDを読み出すことができ、自身が設けられた保冷箱10とは異なる保冷箱10に収容されたRFIDタグ16のタグIDについては、遮蔽部101a及び遮蔽部102aによって電波が遮断され、読み出すことができない。そのため、リーダ12aは、自リーダ12aが設けられた収容部103内のRFIDタグ16に対象を絞り込んで通信を行うことができる。
また、リーダ12aと端末装置20との間の通信においては、第2通信方式(ここでは一例としてBLE)によって行われるため、遮蔽部101aと遮蔽部102bとがあったとしても、端末装置20は、リーダ12aから送信される各種データを受信することができる。
【0050】
これにより、保冷箱10毎に、収容された物品のタグIDを読み取ることができるため、物品15がいずれの保冷箱10に収容されているかを、リーダ12aのリーダIDを用いることで、識別することができる。また、複数の保冷箱10が隣接するように置かれていたとしても、他の保冷箱10に収容された物品のタグIDを読み取らないようにすることで、収容された保冷箱10毎に、タグIDを取得することができ、物品がいずれの保冷箱10に収容されているかを識別することができる。
【0051】
また、管理担当者は、複数の保冷箱10を一緒に搬送する場合には、複数の保冷箱10のそれぞれのリーダ12aに対してペアリングを行うことで、1つの端末装置20と複数のリーダ12aとを関連付けすることができる。これにより、保冷箱10毎にタグIDを取得し、かつ、保冷箱10毎に温度データを取得することができるため、複数の保冷箱10を一緒に搬送したとしても、どの物品が何度で保存されているかの組み合わせを正しく把握することができる。
また、ここでは、保冷箱10に物品を封入してから管理タグ11やリーダ12aをオンにすることで、1つのRFIDタグ16のタグIDが、異なるリーダ12aによって、同時に読み取られることを防止することができる。
【0052】
管理担当者は、搬送対象の保冷箱10を伝票に記載された搬送先に搬送する(ステップS200)。搬送先は、例えば、同じ病院内における異なる病棟である。管理タグ11は、この搬送中においても、一定時間毎にセンサ13aによって温度を測定し、端末装置20に測定結果を送信する。リーダ12aは、自身が取得したタグIDを端末装置20に送信する。端末装置20は、管理タグ11aから受信した測定結果と、リーダ12aから受信したタグIDと、端末装置20自身が測位した位置情報と、現在時刻とを、管理サーバ40に一定時間毎に送信する(ステップS201)。これにより、移動中においても、物品が病院内のどの位置にあり、温度が何度であったかについて把握することができる。また、移動中においても温度を把握できるため、移動中においても物品15の保存条件を満たす状態であったか否かを把握することができる。なお、端末装置20は、ステップS201において、箱識別番号や管理タグIDも送信してもよい。
【0053】
搬送先に到着すると、管理担当者は、端末装置20を操作し、リーダ12aと管理タグ11をオフにし(ステップS300)、保冷箱10aを開封する。そして、管理担当者は、保冷箱10から物品群15Gを取り出し(ステップS301、ステップS302)、搬送先に設置された保管庫30bに入れる(ステップS303)。
物品15が保管庫30bに収容されると、保管庫30bが、収容された物品に取り付けられたタグIDを取得し、管理サーバ40に送信する。
【0054】
保管庫30bに収容された物品15は、実際に使用する日まで保管され、使用する日が到来すると、保管庫30bから取り出され、使用される。
【0055】
以上説明した実施形態においては、保冷箱10を用いて物品15を病院内において搬送する場合について説明したが、病院外において利用するようにしてもよい。例えば、医薬品メーカから病院へ搬送する場合や、運送業者がある営業所から配達先に配達する場合などにおいて利用するようにしてもよい。
【0056】
上述した実施形態における端末装置20または管理サーバ40の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0057】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…物品管理システム、10,10a,10b,10c…保冷箱、11,11a…管理タグ、12,12a…リーダ、13,13a…センサ、15,15a,15b,15c,15d…物品、15G…物品群、16,16a,16b,16c,16d…RFIDタグ、20,20a,20b…端末装置、21…通信ユニット、22…入力部、23…出力部、24…記憶部、25…測位部、26…制御部、30,30a,30b…保管庫、40…管理サーバ、45…管理データ記憶部、50…ネットワーク、101…本体部、101a…遮蔽部、102…蓋部、102a…遮蔽部、102a…遮蔽部、103…収容部、211…通信部、212…通信部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6