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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】押出しブロー容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
B65D1/02 212
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019216921
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084689
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-06-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木虎 修一
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-147600(JP,A)
【文献】米国特許第03915330(US,A)
【文献】特開2017-114555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製であり有底筒状の容器本体を備え、
前記容器本体は、口部を有し、
前記口部は、
容器軸方向に延びる筒部と、
容器軸方向において前記筒部と繋がるネックリング部と、
容器軸方向の少なくとも一部が前記ネックリング部に位置する突部と、を有し、
前記ネックリング部は、
前記筒部よりも径方向外側に突出して周方向に延び、周方向に互いに間隔をあけて配置される中空状の複数の支持突条と、
周方向に隣り合う前記支持突条同士の間に位置し、径方向において前記支持突条よりも内側に配置される間欠部と、を有し、
前記突部は、容器軸方向の少なくとも一部が前記間欠部に位置し、径方向において前記支持突条よりも内側に配置され、
前記突部の外周面は、前記筒部の外周面よりも径方向外側に突出し、
前記突部は、
前記突部の外周面のうち、上端部に配置される上外面部と、
前記突部の外周面のうち、下端部に配置される下外面部と、を有し、
前記上外面部は、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜し、
前記下外面部は、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜し、
前記上外面部は、周方向に隣接する前記支持突条の外周面のうち上端部と、段差を介することなく滑らかに接するように接続され、
前記下外面部は、周方向に隣接する前記支持突条の外周面のうち下端部と、段差を介することなく滑らかに接するように接続される、
押出しブロー容器。
【請求項2】
前記突部は、前記間欠部に、容器軸方向の全域にわたって配置される、
請求項1に記載の押出しブロー容器。
【請求項3】
径方向において、前記支持突条の内周面が、前記筒部の外周面よりも外側に位置する、
請求項1または2に記載の押出しブロー容器。
【請求項4】
径方向において、前記支持突条の内周面が、前記突部の外周面よりも外側に位置する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の押出しブロー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出しブロー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されるような合成樹脂製の押出しブロー容器が知られている。
押出しブロー容器は、合成樹脂材料を加熱溶融させてチューブ状に押し出したパリソンを、径方向外側から一対の割型で挟み込んだ状態でブローする、いわゆるダイレクトブロー成形により成形される。押出しブロー容器に内容物が充填された後、口部のネックリングの下側にネックサポート(支持台)が設置された状態で、キャップが口部に打栓により装着される。特許文献1では、中空状のネックリングが打栓時に座屈変形することを抑制するため、ネックリングの周方向の複数箇所に間欠部を形成し、ネックリングを周方向において複数の凸リブに分断して強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-105124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイレクトブロー成形により成形された押出しブロー容器の口部の内周面などを、ドリルで加工し形状を整えることが行われている。ドリルで口部を加工する場合、いわゆるUPI(アッパープラグイン)成形の場合と比べて、冷却時間を短縮でき生産性を高めやすい。なおUPI成形は、パリソン内に、その上端開口からプラグを進入させて嵌合し、パリソンの上部を、プラグの外周面と一対の割型の内面とにより挟み込み、押出しブロー容器の口部を成形する工程を含む。
【0005】
しかしながら、ドリルで口部を加工する場合、従来の押出しブロー容器では、凸リブの内周面に比べて間欠部の内周面が意図せず径方向内側に膨出して成形されることがあり、この膨出した部分にドリルが接触して、口部の内周面に毛羽立ち等が生じるおそれがあった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、キャップの打栓時にネックリング部が座屈変形することを抑制しつつ、口部の内周面の加工品位を良好に維持できる押出しブロー容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の押出しブロー容器の一つの態様は、合成樹脂製であり有底筒状の容器本体を備え、前記容器本体は、口部を有し、前記口部は、容器軸方向に延びる筒部と、容器軸方向において前記筒部と繋がるネックリング部と、容器軸方向の少なくとも一部が前記ネックリング部に位置する突部と、を有し、前記ネックリング部は、前記筒部よりも径方向外側に突出して周方向に延び、周方向に互いに間隔をあけて配置される中空状の複数の支持突条と、周方向に隣り合う前記支持突条同士の間に位置し、径方向において前記支持突条よりも内側に配置される間欠部と、を有し、前記突部は、容器軸方向の少なくとも一部が前記間欠部に位置し、径方向において前記支持突条よりも内側に配置され、前記突部の外周面は、前記筒部の外周面よりも径方向外側に突出し、前記突部は、前記突部の外周面のうち、上端部に配置される上外面部と、前記突部の外周面のうち、下端部に配置される下外面部と、を有し、前記上外面部は、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜し、前記下外面部は、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜し、前記上外面部は、周方向に隣接する前記支持突条の外周面のうち上端部と、段差を介することなく滑らかに接するように接続され、前記下外面部は、周方向に隣接する前記支持突条の外周面のうち下端部と、段差を介することなく滑らかに接するように接続される
【0008】
この押出しブロー容器のネックリング部は、中空状の支持突条と間欠部とが、周方向に交互に並んで配置される。また間欠部には、突部の少なくとも一部が配置される。このため、本発明のネックリング部は強度が高められて、キャップ打栓時の座屈変形が抑制される。
【0009】
また、突部の外周面が筒部の外周面よりも径方向外側に突出している。このため、突部によって間欠部の径方向の厚さ寸法(肉厚)を大きく確保できる。ブロー成形時に、間欠部の内周面が、意図せず筒部の内周面よりも径方向内側に膨出してしまう不具合が抑制される。これにより、押出しブロー容器の口部の内周面などをドリルで加工し形状を整える際に、口部の内周面に毛羽立ち等が生じることを抑制できる。
したがって、本発明によれば、キャップの打栓時にネックリング部が座屈変形することを抑制しつつ、口部の内周面の加工品位を良好に維持できる。
【0010】
上記押出しブロー容器において、前記突部は、前記間欠部に、容器軸方向の全域にわたって配置されることが好ましい。
【0011】
この場合、突部の容器軸方向の長さが大きくなる分、間欠部の体積も大きく確保しやすくなり、間欠部の内周面の膨出がより抑制される。またネックリング部の強度が容器軸方向に広範囲に高められて、ネックリング部の座屈変形がより抑制される。
【0012】
上記押出しブロー容器は、径方向において、前記支持突条の内周面が、前記筒部の外周面よりも外側に位置することが好ましい。
【0013】
上記押出しブロー容器は、径方向において、前記支持突条の内周面が、前記突部の外周面よりも外側に位置することが好ましい。
【0014】
本発明ではネックリング部の座屈変形が効果的に抑制されるため、上記構成のように、径方向において支持突条の内周面を、筒部の外周面や突部の外周面よりも外側に配置して、支持突条が筒部や突部よりも径方向外側に突出する突出量を大きく確保しつつ、支持突条の肉厚を小さく抑えることができる。このため、キャップ打栓時に使用されるネックサポート(支持台)の、ネックリング部との引っ掛かり寸法を安定して確保しつつ、支持突条を薄肉に形成して合成樹脂材料の使用量を削減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一つの態様の押出しブロー容器によれば、キャップの打栓時にネックリング部が座屈変形することを抑制しつつ、口部の内周面の加工品位を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態の押出しブロー容器の要部を示す側面図である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す横断面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面を示す縦断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV断面を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態の押出しブロー容器10について、図面を参照して説明する。
本実施形態の押出しブロー容器10は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の合成樹脂により形成される。特に図示しないが、押出しブロー容器10は、合成樹脂材料を加熱溶融させてチューブ状に押し出したパリソンを、径方向外側から一対の金型(割型)で挟み込んだ状態でブローすることにより成形される。
【0018】
図1に示すように、押出しブロー容器10は、合成樹脂製であり有底筒状の容器本体1と、容器本体1の口部2に装着される図示しない有頂筒状のキャップと、を備える。キャップは、口部2に打栓により取り付けられる。容器本体1には、内容物が収容される。この内容物は、例えば、食品、化粧料、洗剤および医薬品等である。食品としては、例えば、飲料、粉末状食品および調味料等が挙げられる。
【0019】
容器本体1は、口部2と、肩部3と、胴部4と、図示しない底部と、を有する。
口部2、肩部3、胴部4および底部は、容器軸Oを共通軸として互いに同軸に配置される。
本実施形態では、容器軸Oが延びる方向、つまり容器軸Oと平行な方向を容器軸O方向と呼ぶ。容器軸O方向は、上下方向に相当する。図1に示すように、口部2と胴部4とは、容器軸O方向において互いに異なる位置に配置される。容器軸O方向のうち、口部2から胴部4へ向かう方向を下側と呼び、胴部4から口部2へ向かう方向を上側と呼ぶ。なお、下側は容器軸O方向の一方側であり、上側は容器軸O方向の他方側である。
容器軸O方向から見た平面視で、容器軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、容器軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、容器軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
容器軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0020】
口部2は、容器軸Oを中心とする略円筒状であり、容器軸O方向に延びる。
口部2は、筒部5と、係止突条6と、ネックリング部7と、突部8と、を有する。
【0021】
筒部5は、容器軸O方向に延びる。筒部5は、容器軸Oを中心とする円筒状である。
係止突条6は、筒部5の外周面から径方向外側に突出し、周方向に延びる。係止突条6は、容器軸Oを中心とする円環板状である。係止突条6は、容器軸O方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。係止突条6には、図示しないキャップの内周部が係止される。
【0022】
ネックリング部7は、容器軸O方向において筒部5と繋がる。ネックリング部7は、筒部5の下側に配置される。ネックリング部7は、筒部5の下端部と接続される。ネックリング部7の外径は、筒部5の外径よりも大きい。ネックリング部7の外径は、係止突条6の外径よりも大きい。
図2から図4に示すように、ネックリング部7は、支持突条11と、間欠部12と、を有する。
【0023】
支持突条11は、筒部5よりも径方向外側に突出して周方向に延びる。図2に示す容器軸Oに垂直な横断面視で、支持突条11は、周方向に延びる円弧状の部分を有する。図3に示す容器軸Oに平行な縦断面視で、支持突条11は、径方向外側に凸となるU字状の部分を有する。すなわち、支持突条11は、中空状である。具体的に、支持突条11の外周面は、筒部5の外周面よりも径方向外側に突出し、支持突条11の内周面11aは、筒部5の内周面よりも径方向外側に窪む。本実施形態では、径方向において、支持突条11の内周面11aが、筒部5の外周面よりも外側に位置する。また径方向において、支持突条11の内周面11aが、後述する突部8の外周面よりも外側に位置する。
【0024】
図2に示すように、支持突条11は、周方向に並んで複数設けられる。複数の支持突条11は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態の例では支持突条11が、周方向に等間隔をあけて4つ設けられる。
【0025】
支持突条11は、周方向に延びる周壁部11bと、周壁部11bの周方向の両端部に接続する一対の側壁部11cと、を有する。
図2に示す容器軸Oに垂直な横断面視で、周壁部11bは、容器軸Oを中心とする円弧状である。図3に示す容器軸Oに平行な縦断面視で、周壁部11bは、径方向外側に凸となるU字状である。
【0026】
図2に示すように、側壁部11cは、周壁部11bとの接続部分から周方向に離れるに従い、径方向内側へ向けて延びる。図2に示す横断面視で、周壁部11bと側壁部11cとの間に形成される角度θは、鈍角である。図1に示すように、側壁部11cは、容器軸Oと平行な垂直面の部分を有する。
【0027】
図2の符号PLは、押出しブロー容器10の成形時に用いられる一対の金型同士の合わせ面に相当するパーティングラインを示す。本実施形態では、4つの支持突条11のうち2つが、パーティングラインPL上に配置され、他の2つが、パーティングラインPL上とは異なる位置に配置される。
図2に示す横断面視で、パーティングラインPL上とは異なる位置に配置される支持突条11、つまりパーティングラインPL上に配置されない支持突条11の側壁部11cは、周壁部11bとの接続部分からパーティングラインPLと直交する方向においてパーティングラインPLへ近づくに従い、パーティングラインPLと平行な方向において容器軸Oから離れる方向に延びる。言い換えると、図1に示すように、パーティングラインPL上に配置されない支持突条11の側壁部11cは、容器軸OおよびパーティングラインPLと直交する方向から見て、側壁部11c全体が隠れることなく露出されており、つまり側壁部11c全体が視認可能である。なお、図2に示す横断面視で、パーティングラインPL上に配置されない支持突条11の側壁部11cは、パーティングラインPLと直交する方向に延びていてもよい。
【0028】
図3に示すように、支持突条11は、上外周面部11dと、下外周面部11eと、を有する。
上外周面部11dは、支持突条11の外周面のうち、上端部に配置される。図3に示す縦断面視で、上外周面部11dは、径方向内側かつ下側へ窪む凹曲線状である。つまり上外周面部11dは、凹曲面状である。上外周面部11dは、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜する。また、周壁部11bの外周面のうち上側部分も、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜する。支持突条11の上面部は、上外周面部11dと、周壁部11bの外周面の上側部分と、により構成される。このため、支持突条11の上面部は、全体として、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜する傾斜面である。
【0029】
下外周面部11eは、支持突条11の外周面のうち、下端部に配置される。図3に示す縦断面視で、下外周面部11eは、径方向内側かつ上側へ窪む凹曲線状である。つまり下外周面部11eは、凹曲面状である。この縦断面視で、下外周面部11eの曲率半径は、上外周面部11dの曲率半径よりも小さい。下外周面部11eは、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜する。また、周壁部11bの外周面のうち下側部分も、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜する。支持突条11の下面部は、下外周面部11eと、周壁部11bの外周面の下側部分と、により構成される。このため、支持突条11の下面部は、全体として、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜する傾斜面である。
【0030】
図2に示すように、間欠部12は、周方向に隣り合う支持突条11同士の間に位置し、径方向において支持突条11よりも内側に配置される。間欠部12は、中空状に形成されてはいない。間欠部12の周方向の長さは、支持突条11の周方向の長さよりも短い。
間欠部12は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態の例では間欠部12が、周方向に等間隔をあけて4つ設けられる。支持突条11と間欠部12とは、周方向に交互に配列される。
【0031】
突部8は、容器軸O方向の少なくとも一部がネックリング部7に位置する。詳しくは、突部8は、容器軸O方向の少なくとも一部が間欠部12に位置し、径方向において支持突条11よりも内側に配置される。図4に示すように、突部8のうち間欠部12に位置する部分は、間欠部12の外周面から径方向外側に突出する。
【0032】
図2および図4に示すように、突部8の外周面は、筒部5の外周面よりも径方向外側に突出する。本実施形態では突部8が、間欠部12に、容器軸O方向の全域にわたって配置される。また突部8の容器軸O方向の長さと、間欠部12の容器軸O方向の長さとが、互いに同じである。
【0033】
図2に示す容器軸Oに垂直な横断面視で、突部8の外周面は、径方向内側に窪む凹曲線状である。つまり突部8の外周面は、凹曲面状である。またこの横断面視で、突部8の外周面は、突部8と周方向に隣接する側壁部11cの外周面と、段差を介することなく滑らかに接するように接続される。
図4に示す容器軸Oに平行な縦断面視で、突部8の外周面は、容器軸O方向に延びる直線状である。つまり突部8は、容器軸Oと平行な垂直面の部分を有する。
【0034】
図4に示すように、突部8は、上外面部8aと、下外面部8bと、を有する。なお図1においては、上外面部8aおよび下外面部8bの図示を省略している。
上外面部8aは、突部8の外周面のうち、上端部に配置される。図4に示す縦断面視で、上外面部8aは、径方向内側かつ下側へ窪む凹曲線状である。つまり上外面部8aは、凹曲面状である。上外面部8aは、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜する。図3および図4に示す各縦断面視で、上外面部8aの断面形状は、上外周面部11dの断面形状と、少なくとも一部以上が一致する。本実施形態では、この縦断面視で、上外面部8aの断面形状が、上外周面部11dの断面形状と、全域にわたって一致する。上外面部8aは、周方向に隣接する上外周面部11dと、段差を介することなく滑らかに接するように接続される。
【0035】
下外面部8bは、突部8の外周面のうち、下端部に配置される。図4に示す縦断面視で、下外面部8bは、径方向内側かつ上側へ窪む凹曲線状である。つまり下外面部8bは、凹曲面状である。下外面部8bは、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜する。図3および図4に示す各縦断面視で、下外面部8bの断面形状は、下外周面部11eの断面形状と、少なくとも一部以上が一致する。本実施形態では、この縦断面視で、下外面部8bの断面形状が、下外周面部11eの断面形状と、全域にわたって一致する。下外面部8bは、周方向に隣接する下外周面部11eと、段差を介することなく滑らかに接するように接続される。
【0036】
図1に示すように、肩部3は、口部2の下端部と接続される。肩部3は、下側へ向かうに従い径方向外側へ拡がるテーパ筒状である。
胴部4は、肩部3の下端部と接続される。胴部4は、容器軸O方向に延びる円筒状である。胴部4には、複数の溝やリブ等が設けられる。
特に図示しないが、底部は、胴部4の下端部と接続される。底部は、容器軸Oと垂直な方向に拡がる円板状である。
【0037】
以上説明した本実施形態の押出しブロー容器10のネックリング部7は、中空状の支持突条11と間欠部12とが、周方向に交互に並んで配置される。また間欠部12には、突部8の少なくとも一部が配置される。このため、本実施形態のネックリング部7は強度が高められて、キャップ打栓時の座屈変形が抑制される。
【0038】
また、突部8の外周面が筒部5の外周面よりも径方向外側に突出している。このため、突部8によって間欠部12の径方向の厚さ寸法(肉厚)を大きく確保できる。ブロー成形時に、間欠部12の内周面が、意図せず筒部5の内周面よりも径方向内側に膨出してしまう不具合が抑制される。これにより、押出しブロー容器10の口部2の内周面などをドリルで加工し形状を整える際に、口部2の内周面に毛羽立ち等が生じることを抑制できる。
したがって、本実施形態によれば、キャップの打栓時にネックリング部7が座屈変形することを抑制しつつ、口部2の内周面の加工品位を良好に維持できる。
【0039】
また本実施形態では、突部8が、間欠部12に、容器軸O方向の全域にわたって配置される。
この場合、突部8の容器軸O方向の長さが大きくなる分、間欠部12の体積も大きく確保しやすくなり、間欠部12の内周面の膨出がより抑制される。またネックリング部7の強度が容器軸O方向に広範囲に高められて、ネックリング部7の座屈変形がより抑制される。
【0040】
また本実施形態では、径方向において、支持突条11の内周面11aが、筒部5の外周面よりも外側に位置する。また径方向において、支持突条11の内周面11aが、突部8の外周面よりも外側に位置する。
本実施形態ではネックリング部7の座屈変形が効果的に抑制されるため、上記構成のように、径方向において支持突条11の内周面11aを、筒部5の外周面や突部8の外周面よりも外側に配置して、支持突条11が筒部5や突部8よりも径方向外側に突出する突出量を大きく確保しつつ、支持突条11の肉厚を小さく抑えることができる。このため、キャップ打栓時に使用されるネックサポート(支持台)の、ネックリング部7との引っ掛かり寸法を安定して確保しつつ、支持突条11を薄肉に形成して合成樹脂材料の使用量を削減できる。
【0041】
また本実施形態では、支持突条11の側壁部11cが、周壁部11bとの接続部分から周方向に離れるに従い、径方向内側へ向けて延びている。具体的には、図2に示す横断面視で、周壁部11bと側壁部11cとの間に形成される角度θが、鈍角である。
この場合、容器軸Oに垂直な横断面視で、間欠部12近傍が、径方向においてアンダーカット形状になることを抑制できる。したがって、押出しブロー容器10の成形時に、一対の金型を間欠部12近傍から径方向外側に安定して抜き出すことができる。
【0042】
また本実施形態では、側壁部11cが、容器軸Oと平行な垂直面の部分を有する。
この場合、容器軸O方向においてネックリング部7の強度がより高められ、キャップ打栓時の座屈変形がより抑制される。
【0043】
また本実施形態では、支持突条11の上面部が、径方向外側へ向かうに従い下側へ向けて傾斜する傾斜面であり、支持突条11の下面部が、径方向外側へ向かうに従い上側へ向けて傾斜する傾斜面である。
この場合、押出しブロー容器10の成形時に、一対の金型を支持突条11から安定して離型させることができる。
【0044】
また本実施形態では、突部8が、容器軸Oと平行な垂直面の部分を有する。
この場合、容器軸O方向においてネックリング部7の強度がより高められ、キャップ打栓時の座屈変形がより抑制される。
【0045】
また本実施形態では、図2に示す横断面視で、突部8の外周面が、側壁部11cの外周面と滑らかに接するように接続される。また、図3および図4に示す各縦断面視で、上外面部8aの断面形状は、上外周面部11dの断面形状と、少なくとも一部以上が一致し、本実施形態では全域にわたって一致する。そして上外面部8aは、周方向に隣接する上外周面部11dと滑らかに接するように接続される。また、図3および図4に示す各縦断面視で、下外面部8bの断面形状は、下外周面部11eの断面形状と、少なくとも一部以上が一致し、本実施形態では全域にわたって一致する。そして下外面部8bは、周方向に隣接する下外周面部11eと滑らかに接するように接続される。
この場合、周方向に隣接する支持突条11と突部8との間に、例えばV字溝状の段差(段部)などが形成されにくくなり、ネックリング部7に、部分的な薄肉部、すなわち食い込み形状部等が形成されることを抑制して、キャップ打栓時にネックリング部7の一部に応力が集中することを抑えられる。
【0046】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0047】
前述の実施形態では、突部8が、間欠部12に、容器軸O方向の全域にわたって配置され、突部8の容器軸O方向の長さと、間欠部12の容器軸O方向の長さとが、互いに同じである例を挙げたが、これに限らない。
突部8は、容器軸O方向において少なくとも一部が間欠部12に配置されていればよく、例えば、突部8の容器軸O方向の長さが、間欠部12の容器軸O方向の長さより短くてもよい。この場合、間欠部12のうち突部8が位置していない部分の外周面と、筒部5の外周面とが、径方向において同じ位置(つまり面一)に配置されてもよい。また突部8が、間欠部12から上側および下側のいずれかに突出していてもよい。突部8の容器軸O方向の長さが、間欠部12の容器軸O方向の長さより長くてもよい。
【0048】
また前述の実施形態では、ネックリング部7が、4つの支持突条11および4つの間欠部12を有する例を挙げたが、これに限らない。支持突条11の数および間欠部12の数は、各4つに限らず、例えば、各6つや各8つ等でもよい。また、支持突条11の数および間欠部12の数に関わらず、図1に示すように、容器軸OおよびパーティングラインPLと直交する方向から見て、支持突条11の側壁部11c、間欠部12および突部8は、全体が隠れることなく露出されて、全体が視認可能であることが好ましい。これにより、容器軸Oに垂直な横断面視で、間欠部12近傍がアンダーカット形状になることを抑制でき、押出しブロー容器10の成形時に、一対の金型を口部2から安定して離型させることができる。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…容器本体、2…口部、5…筒部、7…ネックリング部、8…突部、10…押出しブロー容器、11…支持突条、11a…内周面、12…間欠部、O…容器軸
図1
図2
図3
図4