(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/307 20150101AFI20231215BHJP
H01Q 5/50 20150101ALI20231215BHJP
H01Q 5/10 20150101ALI20231215BHJP
H01Q 1/36 20060101ALI20231215BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20231215BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01Q5/307
H01Q5/50
H01Q5/10
H01Q1/36
H01Q1/38
H01Q21/30
(21)【出願番号】P 2019223586
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】縮谷 真志
(72)【発明者】
【氏名】田中 基之
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0001804(US,A1)
【文献】国際公開第2012/066845(WO,A1)
【文献】特開2001-217632(JP,A)
【文献】特開2007-049674(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076120(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/307
H01Q 5/50
H01Q 5/10
H01Q 1/36
H01Q 1/38
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向を持つ平板状の第1部分と、前記第1部分の長手方向の一端から延びるメアンダ形状の第2部分とを有し、前記第1部分の長手方向の他端から給電される第1アンテナ素子と、
メアンダ形状の第2アンテナ素子であって、前記第1部分の平面視において、前記第2アンテナ素子が占める長方形の領域と、前記第2部分が占める長方形の領域とが、長手方向を平行にして重なるように配置され、メアンダ形状を成す線の一端から給電される第2アンテナ素子と、
を備える、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、グランド導体に接続される給電点を共用する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子を支持する支持板を更に備え、
前記第1部分と前記第2アンテナ素子とは前記支持板の第1面上に配置され、
前記第2部分は、前記支持板の前記第1面の反対側となる第2面上に配置される、請求項
1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第2部分と前記第2アンテナ素子とは、前記
第1部分の平面視において、メアンダ形状における折り返し位置が互いにずれている、請求項
1から3
のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記給電点と前記第1アンテナ素子との間に配置されるコイルと、前記給電点と前記第2アンテナ素子との間に配置されるコイルとのうち、少なくとも一方のコイルを更に備える、請求項
2に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型化が可能で安価に製造可能な車載アンテナ装置が知られる(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示されるアンテナ装置は、主エレメント部と、補助エレメント部とを備える。主エレメント部は、回路基板と略同一平面上に配置され、第1周波数帯に対応する容量アンテナとしても機能し、ベタパターンと略等価なアンテナ容量を有する屈曲パターンを含む略平面状のものである。補助エレメント部は、主エレメント部に対して第2周波数帯に対応するアンテナ長となるようにアンテナ長の不足分を補うために、主エレメント部とアンプ回路との間に直列に接続されると共に回路基板上に設けられる、主エレメント部よりもアンテナ容量が小さい分布定数素子部を含む。
【0003】
なお、特許文献1の構成において、第1周波数帯は例えばラジオのAM帯であり、第2周波数帯はラジオのFM帯である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば車載アンテナにおいては、小型なアンテナを安価に作れるので、モノポール方式のアンテナが使用されることが多い。しかし、モノポールアンテナの小型化を単純に進めると、アンテナによってカバーすることができる周波数範囲が狭くなるといった問題が生じる。例えば、モノポールアンテナの小型化を単純に進めると、FM帯等の特定の周波数帯の全域において良好な受信感度を確保することが難しくなるといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、アンテナ素子の小型化を図りつつ、広帯域で良好な受信感度を確保することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明のアンテナ装置は、グランド導体と、前記グランド導体に接続される給電点を共用する第1アンテナ素子および第2アンテナ素子と、を備え、前記第1アンテナ素子は、べた形状の第1部分と、前記第1部分と繋がるメアンダ形状の第2部分と、を有し、前記第2アンテナ素子は、メアンダ形状である構成(第1の構成)になっている。
【0008】
また、上記第1の構成のアンテナ装置において、前記第1部分の少なくとも一部と、前記第2アンテナ素子とは、前記第1部分が広がる平面に直交する方向からの平面視において、並列配置され、前記第2部分と前記第2アンテナ素子とは、前記方向に互いに間隔をあけて重なる構成(第2の構成)であることが好ましい。
【0009】
また、上記第2の構成のアンテナ装置は、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子を支持する支持板を更に備え、前記第1部分と前記第2アンテナ素子とは前記支持板の第1面上に配置され、前記第2部分は、前記支持板の前記第1面の反対側となる第2面上に配置される構成(第3の構成)であることが好ましい。
【0010】
また、上記第2又は第3の構成のアンテナ装置において、前記第2部分と前記第2アンテナ素子とは、前記方向からの平面視において、メアンダ形状における折り返し位置が互いにずれている構成(第4の構成)であることが好ましい。
【0011】
また、上記第1から第4のいずれかの構成のアンテナ装置において、前記給電点と前記第1アンテナ素子との間に配置されるコイルと、前記給電点と前記第2アンテナ素子との間に配置されるコイルとのうち、少なくとも一方のコイルを更に備える構成(第5の構成)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアンテナ装置によれば、アンテナ素子の小型化を図りつつ、広帯域で良好な受信感度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2に示す支持板を裏面側から見た概略平面図
【
図6】変形例のアンテナ装置の構成を更に詳細に説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
<1.アンテナ装置の概要>
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナ装置1の構成を示す概略図である。本実施形態において、アンテナ装置1は、車両に搭載される。ただし、アンテナ装置1は、車両以外のものに搭載されてもよい。例えば、アンテナ装置1は、車両以外の移動体に搭載されてもよい。
【0016】
アンテナ装置1は、FMラジオ放送帯(76~108MHz)の電波を受信する。ただし、アンテナ装置1は、他の放送波を受信する構成であってもよい。アンテナ装置1は、例えば、DAB(Digital Audio Broadcast)放送波を受信する構成や、TV放送波を受信する構成等であってもよい。
【0017】
図1に示すように、アンテナ装置1は、グランド導体11と、第1アンテナ素子12と、第2アンテナ素子13とを備える。グランド導体11は、十分な大きさを確保することができることが好ましい。グランド導体11は、例えば車両が有する金属製のボディ又はドア等を含んで構成されてよい。
【0018】
第1アンテナ素子12は、グランド導体11に接続される給電点14に接続される。第2アンテナ素子13も、グランド導体11に接続される給電点14に接続される。すなわち、第1アンテナ素子12と第2アンテナ素子13とは、グランド導体11に接続される給電点14を共用する。より詳細には、第1アンテナ素子12と第2アンテナ素子13とは、1つの給電点14を共用する。
【0019】
なお、本実施形態においては、給電点14の受信信号が、車両に搭載される不図示の受信機(本例ではFM受信機)に伝送される。給電点14は、アンテナ素子12、13によって受信された放送波信号を回路に取り出す箇所が該当する。給電点14は、例えば、受信機に接続される同軸ケーブル(不図示)の内部導体をアンテナ素子12、13に接続する箇所等であってよい。
【0020】
第1アンテナ素子12は、グランド導体11とともにモノポールアンテナを構成する。また、第2アンテナ素子13も、グランド導体11とともにモノポールアンテナを構成する。すなわち、アンテナ装置1は、1つの給電点14を共用する2つのモノポールアンテナを備える。
【0021】
本実施形態のアンテナ装置1においては、第1アンテナ素子12によって構成されるモノポールアンテナと、第2アンテナ素子13によって構成されるモノポールアンテナとが互いに異なる周波数帯で共振を行う。このために、アンテナ装置1によって対応できる周波数範囲を広げることができる。
【0022】
<2.第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の詳細>
図2は、本発明の実施形態に係るアンテナ装置1が備える支持板20の概略平面図である。
図3は、
図2に示す支持板20を裏面側から見た概略平面図である。
図2および
図3を用いたアンテナ装置1の説明において、図の左右方向をX方向、上下方向をY方向、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向として説明を行う。
【0023】
図2および
図3に示すように、本実施形態では、第1アンテナ素子12および第2アンテナ素子13は、支持板20に支持される。換言すると、アンテナ装置1は、第1アンテナ素子12および第2アンテナ素子13を支持する支持板20を備える。支持板20は、Z方向からの平面視においてX方向に延びる矩形状である。ただし、支持板20の形状は適宜変更されてよい。
【0024】
支持板20は、単にアンテナ素子12、13を支持するためにのみ設けられた、非導電性材料(例えば合成樹脂)で構成された板状体であってもよい。ただし、本実施形態では、支持板20は、好ましい形態として、非導電性材料を用いて構成される板状又はフィルム状の回路基板である。回路基板として構成される支持板20上には、アンテナ素子12、13の他にアンプ回路が設けられてもよい。当該アンプ回路は、アンテナ素子12、13により受信された放送波信号を増幅して、受信機に接続される同軸ケーブルに出力する構成であってよい。ただし、アンプ回路は、アンテナ素子12、13の近くに、支持板20と別体構成で設けられてもよい。
【0025】
なお、第1アンテナ素子12および第2アンテナ素子13が、例えば金属板を加工して形成される場合等には、支持板20は設けられなくてもよい。
【0026】
アンテナ素子12、13を支持する支持板20は、車両のなるべく高い位置に、金属物から離して配置されることが好ましい。支持板20は、例えば、車両の樹脂製の、スポイラ、バックドア、ルーフ、トランク等に配置される。より詳細には、支持板20は、スポイラ等に内蔵される。回路基板として構成される支持板20は、例えば、金属製の車体(グランド導体11を構成)に電気的に接続されるグランド締結用のブラケットに搭載される。これにより、第1アンテナ素子12および第2アンテナ素子13は、金属製の車体を含むグランド導体11に電気的に接続される。
【0027】
第1アンテナ素子12は、第1部分121と第2部分122とを有する。第1部分121は、べた形状である。べた形状は、アンテナ素子を構成する導体が一面に広がっている形状を指す。
図2において、第1部分121はX方向およびY方向に平行な平面上に広がる。第1部分121は、X方向を長手方向とするとともにY方向の幅が幅広に形成されており、受信する放送波の周波数帯域を広帯域化するのに有利な形状である。
【0028】
詳細には、第1部分121は、X方向に延びる矩形状の主要部1211と、主要部1211のX方向の一端部(X1側の端部)からY方向の一方側(Y1側)に突出する突出部1212と、を有するL字状である。ただし、第1部分121の形状は、L字状に限らず、その形状は適宜変更されてよい。例えば、第1部分121は、主要部1211と突出部1212とのうちの主要部1211のみを有する矩形状等であってもよい。本実施形態のように、第1部分121をL字状とすることにより、第1部分121のY方向の幅を部分的に広くして、第1部分121のY方向の幅をなるべく広くすることができる。
【0029】
なお、サイズは特に限定されるものではないが、例えば、第1部分121のX方向(長手方向)の長さは、十センチメントールから数十センチメートルである。例えば、第1部分121のY方向(短手方向)の最大長さ(X1側の端部のY方向長さ)は、数センチメートルである。
【0030】
本実施形態では、
図2に示すように、第1部分121は、支持板20の第1面20a上に配置される。なお、第1面20aは、支持板20のZ方向に直交する2つの面のうちの一方の面である。第1部分121は、例えば、銅等の導電性物質からなる箔状体を第1面20aに形成した構成や、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストを第1面20aにプリントした構成であってよい。
【0031】
第2部分122は、第1部分121と繋がるメアンダ形状である。第2部分122は、第1部分121と異なる形状であり、第1部分121と電気的に繋がる。メアンダ形状とは、導体が例えばジグザグ状や波状等に折り返しを繰り返して蛇行した形状である。第2部分122は、インピーダンスを調整するために設けられている。詳細には、第2部分122は、第1アンテナ素子12の共振周波数を狙いの周波数に近づけるために設けられている。
【0032】
本実施形態では、
図3に示すように、第2部分122は、支持板20の第1面20aの反対側となる第2面20b上に配置される。なお、第2面20bは、支持板20のZ方向に直交する2つの面のうちの他方の面である。第2部分122は、例えば、銅等の導電性物質からなる箔状体を第2面20bに形成した構成や、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストを第2面20bにプリントした構成であってよい。
【0033】
第2部分122は、詳細には、支持板20に設けられるスルーホール21によって第1部分121と電気的に接続される。スルーホール21は、支持板20をZ方向に貫通し、内面に導体が配置されている。スルーホール21は、第1部分121の主要部1211よりもY方向の一方側(Y1側)に配置されている。このために、第2部分122は、スルーホール21によって第1部分121の突出部1212と接続される。
【0034】
第2部分122は、スルーホール21からX方向の他方側(X2側)に延びる。このために、第2部分122は、Z方向からの平面視において、第1部分121の主要部1211に対してY方向の一方側(Y1側)にずれた位置に配置され、主要部1211と重ならない(
図1も参照)。第2部分122は、第1部分121とZ方向において重ならないために、第1部分121からの影響を受け難くすることができ、適切にインピーダンス調整を行うことができる。
【0035】
本実施形態では、第2部分122は、Y方向に延びる第1直線部1221と、X方向に間隔をあけて隣り合う2つの第1直線部1221を連結する第1連結部1222とを有する。第1連結部1222は、X方向に延びる直線状である。第1連結部1222は、X方向に並ぶ複数の第1直線部1221に対して、Y方向の一方側(Y1側)と、Y方向の他方側(Y2側)とに交互に設けられている。これにより、第2部分122は、何度も折り返して蛇行した形状となるメアンダ形状となっている。
【0036】
なお、第2部分122の形状は、
図3に示す形状に限定されない。例えば、第1直線部はY方向に対して傾いてよい。この場合において、X方向に並ぶ第1直線部は、Y方向に対する傾きが交互に変化する構成であってよい。そして、この場合には、第1連結部は、2つの第1直線部の端部同士を繋ぐ点又は短線であってよい。これにより、第2部分122をジグザグ状のメアンダ形状とすることができる。
【0037】
第2アンテナ素子13は、メアンダ形状である。第2アンテナ素子13をメアンダ形状とすることにより、アンテナ素子の長さを長くして第1アンテナ素子12より低い周波数帯域で共振するアンテナ素子を得ることができる。すなわち、アンテナ装置1において、互いに異なる2つの周波数帯で共振を行わせて、対応可能な周波数範囲を広げることができる。
【0038】
なお、第2アンテナ素子13は、Z方向において、第1アンテナ素子12と高さ位置が同等とされることが好ましい。これにより、アンテナ装置1における複数のアンテナ素子で構成される部分のサイズを小さくすることができる。
【0039】
本実施形態では、
図2に示すように、第2アンテナ素子13は、支持板20の第1面20a上に配置される。第2アンテナ素子13は、例えば、銅等の導電性物質からなる箔状体を第1面20aに形成した構成や、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストを第1面20aにプリントした構成であってよい。
【0040】
第2アンテナ素子13は、Y方向に延びる第2直線部131と、X方向に間隔をあけて隣り合う2つの第2直線部131を連結する第2連結部132とを有する。第2連結部132は、X方向に延びる直線状である。第2連結部132は、X方向に並ぶ複数の第2直線部131に対して、Y方向の一方側(Y1側)と、Y方向の他方側(Y2側)とに交互に設けられている。これにより、第2アンテナ素子13は、何度も折り返して蛇行した形状となるメアンダ形状となっている。
【0041】
なお、第2アンテナ素子13の形状は、
図2に示す形状に限定されない。例えば、上述の第1アンテナ素子12の第2部分122の変形例と同様に、第2アンテナ素子13の形状がジグザグ状とされてよい。
【0042】
本実施形態において、第1部分121の少なくとも一部と、第2アンテナ素子13とは、第1部分121が広がる平面に直交する方向(Z方向)からの平面視において、並列配置される(
図2参照)。そして、第2部分122と第2アンテナ素子13とは、Z方向に互いに間隔をあけて重なる(
図1も参照)。これにより、2つのアンテナ素子12、13で構成されるアンテナ素子部分のサイズが大きくなることを抑制して、アンテナ装置1の小型化を図ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、詳細には、第1部分121を構成する主要部1211と第2アンテナ素子13とが、Z方向からの平面視において、Y方向に並列配置される。また、本実施形態では、第1アンテナ素子12と第2アンテナ素子13とが占めるサイズを小型化する構成を、支持板20を用いて実現しており、アンテナ装置1を効率良く製造しやすい。
【0044】
また、本実施形態では、好ましい形態として、メアンダ形状に形成される第2部分122と第2アンテナ素子13とは、Z方向からの平面視において、メアンダ形状における折り返し位置が互いにずれている。詳細には、第1直線部1221と第2直線部131との位置が互いにずれている。そして、本実施形態では、より好ましい形態として、第1連結部1222と第2連結部132とのY方向の位置もずれている。これらの好ましい形態のうちの少なくとも一方を採用することにより、第2部分122と第2アンテナ素子13とがZ方向からの平面視において極力重ならない構成とすることができる。そして、この結果、第2部分122と第2アンテナ素子13との容量結合を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、好ましい形態として、アンテナ装置1は、給電点14(
図1参照)と第1アンテナ素子12との間に配置されるコイル15と、給電点14と第2アンテナ素子13との間に配置されるコイル15とのうち、少なくとも一方のコイル15を備える。ここで言うコイル15は、インピーダンス調整用のコイルである。コイル15によるインピーダンスの調整により、アンテナ素子12、13の小型化した場合であっても、狙いの周波数帯域での共振を可能にすることができる。
【0046】
本実施形態では、詳細には、給電点14と第1アンテナ素子12との間に、第1マッチング用コイル15aと第2マッチング用コイル15bとが配置される。また、給電点14と第2アンテナ素子13との間に、第1マッチング用コイル15aと第3マッチング用コイル15cとが配置される。ただし、コイル15の数および種類は、適宜変更されてよい。
【0047】
<3.アンテナ装置の作用>
次に、本実施形態のアンテナ装置1の作用について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施形態におけるアンテナ装置1の周波数特性を示すグラフである。
図4において、横軸は周波数であり、縦軸は電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)である。
【0048】
図4において、破線は、従来のモノポールアンテナ方式で小型化を図った場合の特性である。従来の構成では、共振を行う周波数帯域が1つであり、アンテナの小型化に伴い良好な感度で受信することができる周波数帯が狭帯域化している。
【0049】
一方、本実施形態の構成では、
図4において実線で示すように、第1アンテナ素子12によってFM周波数帯の高域にて第1共振を得ることができるとともに、第2アンテナ素子13によってFM周波数帯の低域にて第2共振を得ることができる構成となっている。このために、本実施形態のアンテナ装置1では、装置の小型化を行った場合でもFM周波数帯の広い帯域で、良好な感度で放送波の受信を行うことができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第1アンテナ素子12が高域で共振を行い、第2アンテナ素子13が低域で共振を行う構成としたが、これは例示である。アンテナ素子12、13の長さや使用するコイル15の調整により、第2アンテナ素子13が高域で共振を行い、第1アンテナ素子12が低域で共振を行う構成としてもよい。
【0051】
<4.変形例>
以上に示した実施形態では、アンテナ装置1が一種類の放送波(一例としてFM放送波)にのみ対応する構成としたが、これは例示にすぎない。アンテナ装置は、複数種類の放送波に対応する構成であってもよい。
【0052】
図5は、本発明の実施形態に係るアンテナ装置1の変形例の構成を示す概略図である。変形例のアンテナ装置1Aは、複数の放送波に対応する。変形例のアンテナ装置1Aにおいて、第1アンテナ素子12および第2アンテナ素子13に構成は、上述の実施形態と同様である。
【0053】
ただし、変形例のアンテナ装置1においては、
図5に示すように、FM放送波用の第1給電点14だけでなく、DAB放送波用の第2給電点16が備えられる。第2給電点16は、第1アンテナ素子12において利用されるが、第2アンテナ素子13においては利用されない。第1給電点14の受信信号が、車両に搭載される不図示のFM受信機に伝送される。第2給電点16の受信信号が、車両に搭載される不図示のDAB受信機に伝送される。
【0054】
第1アンテナ素子12と第2給電点16との間には、第4マッチングコイル15dが配置される。第4マッチング用コイル15dが配置されることにより、第1アンテナ素子12を用いてDAB放送波用の周波数帯の放送波信号も取り出すことが可能になっている。
【0055】
なお、アンテナ装置1が対応する放送波として、FM放送波とDAB放送波との組み合わせを挙げたが、これは例示にすぎない。アンテナ装置1が対応する放送波の組み合わせは他の組み合わせであってもよい。
【0056】
図6は、変形例のアンテナ装置1Aの構成を更に詳細に説明するための図である。
図6に示すように、変形例のアンテナ装置1Aでは、第1アンテナ素子12および第2アンテナ素子13から第1給電点14を介して得られた信号は、ローパスフィルタ17を通る。これにより、DAB放送波で使用される周波数帯の放送波をカットしてFM放送波用の受信機に適切な放送波信号を伝送することができる。
【0057】
また、変形例のアンテナ装置1Aでは、第1アンテナ素子12から第2給電点16を介して得られた信号は、ハイパスフィルタ18を通る。これにより、FM放送波で使用される周波数帯の放送波をカットしてDAB放送波用の受信機に適切な放送波信号を伝送することができる。
【0058】
なお、ローパスフィルタ17およびハイパスフィルタ18は、給電点14、16よりもアンテナ素子12、13側に配置されてもよい。
【0059】
<5.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で適宜組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0060】
1、1A・・・アンテナ装置
11・・・グランド導体
12・・・第1アンテナ素子
13・・・第2アンテナ素子
14・・・給電点
15・・・コイル
20・・・支持板
20a・・・第1面
20b・・・第2面
121・・・第1部分
122・・・第2部分