IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空気入りタイヤ 図1
  • 特許-空気入りタイヤ 図2
  • 特許-空気入りタイヤ 図3
  • 特許-空気入りタイヤ 図4
  • 特許-空気入りタイヤ 図5
  • 特許-空気入りタイヤ 図6
  • 特許-空気入りタイヤ 図7
  • 特許-空気入りタイヤ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20231215BHJP
   B60C 13/02 20060101ALI20231215BHJP
   B60C 11/01 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C13/02
B60C11/01 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019224318
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021091344
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】大橋 稔之
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112021(JP,A)
【文献】特開2017-170937(JP,A)
【文献】特開2017-213925(JP,A)
【文献】特開2018-039370(JP,A)
【文献】特開2018-052202(JP,A)
【文献】特開2018-095154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ径方向に延びるサイドウォール部を備え、
前記サイドウォール部は、タイヤ周方向に並ぶ複数のサイドブロックと、タイヤ幅方向に突出し且つ前記タイヤ周方向に延びる環状突起部と、を備え、
前記複数のサイドブロックは、前記タイヤ周方向で隣接する第1サイドブロック及び第2サイドブロックを含み、
前記第1サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第1外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第1内側部と、を備え、
前記第2サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第2外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第2内側部と、を備え、
前記第1内側部及び前記第2内側部間の前記タイヤ周方向の距離が最小になる位置は、前記第1内側部及び前記第2内側部の前記タイヤ径方向の中心よりも前記タイヤ径方向の内側の位置であり、
前記タイヤ周方向視において、前記第1内側部が前記第2内側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値は、前記第2内側部が前記第1内側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値よりも、大きく、
前記タイヤ周方向視において、前記第2外側部が前記第1外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値は、前記第1外側部が前記第2外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値よりも、大きい、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第2外側部が前記第1外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量が最大となる位置は、前記第1外側部が前記第2外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量が最大となる位置よりも、前記タイヤ径方向の内側である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第2サイドブロックは、前記タイヤ径方向の外側を向く外向面を備え、
前記外向面の前記タイヤ幅方向の外側端の位置は、前記第2外側部が前記第1外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量が最大となる位置である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
タイヤ径方向に延びるサイドウォール部を備え、
前記サイドウォール部は、タイヤ周方向に並ぶ複数のサイドブロックと、タイヤ幅方向に突出し且つ前記タイヤ周方向に延びる環状突起部と、を備え、
前記複数のサイドブロックは、前記タイヤ周方向で隣接する第1サイドブロック及び第2サイドブロックを含み、
前記第1サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第1外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第1内側部と、を備え、
前記第2サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第2外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第2内側部と、を備え、
前記第1内側部及び前記第2内側部間の前記タイヤ周方向の距離が最小になる位置は、前記第1内側部及び前記第2内側部の前記タイヤ径方向の中心よりも前記タイヤ径方向の内側の位置であり、
前記第1内側部がプロファイル面から突出する量の最大値は、前記第2内側部が前記プロファイル面から突出する量の最大値よりも、大きく、
前記第2外側部が前記プロファイル面から突出する量の最大値は、前記第1外側部が前記プロファイル面から突出する量の最大値よりも、大きい、空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第2外側部が前記プロファイル面から凹む量の最大値は、前記第1外側部が前記プロファイル面から凹む量の最大値よりも、大きく、
前記第2外側部が前記プロファイル面から突出する量が最大値となる位置は、前記第2外側部が前記プロファイル面から凹む量が最大値となる位置よりも、前記タイヤ径方向の内側である、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第2サイドブロックは、前記タイヤ径方向の外側を向く外向面を備え、
前記外向面の前記タイヤ幅方向の外側端の位置は、前記第2外側部が前記プロファイル面から突出する量が最大値となる位置である、請求項4又は5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
内部にベルト部を有するトレッド部を備え、
前記外向面は、前記ベルト部の前記タイヤ幅方向の端部よりも、前記タイヤ径方向の外側に配置される、請求項3又は6に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤは、タイヤ径方向に延びるサイドウォール部を備え、サイドウォール部は、タイヤ周方向に並ぶ複数のサイドブロックを備えている(例えば、特許文献1)。そして、砂地、岩場、泥濘地といった悪路において、複数のサイドブロックによるトラクション(滑らずに引っ掛かる力)が生じるため、悪路における走行性能を向上させることができる。
【0003】
ところで、サイドブロックがタイヤ幅方向に大きく突出するほど、生じるトラクションは、大きくなる。これにより、タイヤ周方向で隣接するサイドブロックの凹凸関係によって、サイドブロックに生じるトラクションの大きさに、偏りが発生する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-119277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示の目的は、タイヤ周方向で隣接するサイドブロック間に生じるトラクションの大きさに、偏りが発生することを抑制することができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空気入りタイヤは、タイヤ径方向に延びるサイドウォール部を備え、前記サイドウォール部は、タイヤ周方向に並ぶ複数のサイドブロックと、タイヤ幅方向に突出し且つ前記タイヤ周方向に延びる環状突起部と、を備え、前記複数のサイドブロックは、前記タイヤ周方向で隣接する第1サイドブロック及び第2サイドブロックを含み、前記第1サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第1外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第1内側部と、を備え、前記第2サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第2外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第2内側部と、を備え、前記第1内側部及び前記第2内側部間の前記タイヤ周方向の距離が最小になる位置は、前記第1内側部及び前記第2内側部の前記タイヤ径方向の中心よりも前記タイヤ径方向の内側の位置であり、前記タイヤ周方向視において、前記第1内側部が前記第2内側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値は、前記第2内側部が前記第1内側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値よりも、大きく、前記タイヤ周方向視において、前記第2外側部が前記第1外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値は、前記第1外側部が前記第2外側部よりも前記タイヤ幅方向の外側に突出する量の最大値よりも、大きい。
【0007】
また、空気入りタイヤは、タイヤ径方向に延びるサイドウォール部を備え、前記サイドウォール部は、タイヤ周方向に並ぶ複数のサイドブロックと、タイヤ幅方向に突出し且つ前記タイヤ周方向に延びる環状突起部と、を備え、前記複数のサイドブロックは、前記タイヤ周方向で隣接する第1サイドブロック及び第2サイドブロックを含み、前記第1サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第1外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第1内側部と、を備え、前記第2サイドブロックは、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の外側に配置される第2外側部と、前記環状突起部よりも前記タイヤ径方向の内側に配置される第2内側部と、を備え、前記第1内側部及び前記第2内側部間の前記タイヤ周方向の距離が最小になる位置は、前記第1内側部及び前記第2内側部の前記タイヤ径方向の中心よりも前記タイヤ径方向の内側の位置であり、前記第1内側部がプロファイル面から突出する量の最大値は、前記第2内側部が前記プロファイル面から突出する量の最大値よりも、大きく、前記第2外側部が前記プロファイル面から突出する量の最大値は、前記第1外側部が前記プロファイル面から突出する量の最大値よりも、大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図
図2】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部斜視図
図3】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部側面図(タイヤ幅方向視図)
図4図3のIV-IV線の要部拡大断面図
図5図3のV-V線の要部拡大断面図
図6図4図5とを重ね合わせた図
図7】他の実施形態に係る空気入りタイヤの要部側面図(タイヤ幅方向視図)
図8】さらに他の実施形態に係る空気入りタイヤの要部側面図(タイヤ幅方向視図)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、図1図6を参照しながら説明する。なお、各図(図7及び図8も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1に示すように、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1は、ビード11aを有する一対のビード部11と、各ビード部11からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部12と、一対のサイドウォール部12の各々のタイヤ径方向D2の外側端に連接され、地面と接するトレッド面13aをタイヤ径方向D2の外側に有するトレッド部13とを備えている。なお、タイヤ1は、リム(図示していない)に装着される。
【0011】
また、タイヤ1は、一対のビード11a,11aの間に架け渡されるカーカス層14と、カーカス層14の内側に配置され、空気が充填されるタイヤ1の内部空間に面するインナーライナー層15とを備えている。カーカス層14及びインナーライナー層15は、ビード部11、サイドウォール部12、及びトレッド部13に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0012】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りの方向であるタイヤ周方向D3である。また、タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面であって、タイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0013】
なお、タイヤ幅方向D1において、内側とは、タイヤ赤道面S1に近い側のことであり、外側とは、タイヤ赤道面S1から遠い側のことである。また、タイヤ径方向D2において、内側とは、タイヤ回転軸に近い側のことであり、外側とは、タイヤ回転軸から遠い側のことである。
【0014】
ビード11aは、環状に形成されるビードコア11bと、ビードコア11bのタイヤ径方向D2の外側に配置されるビードフィラー11cとを備えている。例えば、ビードコア11bは、ゴム被覆されたビードワイヤ(例えば、金属線)を積層して形成され、ビードフィラー11cは、硬質ゴムを、タイヤ径方向D2の外側に向けてテーパ状にして形成されている。
【0015】
ビード部11は、リムに接触する外表面を構成すべく、カーカス層14のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるリムストリップゴム11dを備えている。サイドウォール部12は、外表面を構成すべく、カーカス層14のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム12aを備えている。
【0016】
トレッド部13は、トレッド面13aを構成するトレッドゴム13bと、トレッドゴム13bとカーカス層14との間に配置されるベルト部13cとを備えている。ベルト部13cは、複数(図1においては、4つ)のベルトプライ13dを備えている。例えば、ベルトプライ13dは、平行配列した複数本のベルトコード(例えば、有機繊維や金属)と、ベルトコードを被覆するトッピングゴムとを備えている。
【0017】
カーカス層14は、少なくとも1つ(図1においては、2つ)のカーカスプライ14aで構成されている。カーカスプライ14aは、ビード11aを巻き込むようにビード11aの周りで折り返されている。また、カーカスプライ14aは、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に配列した複数のプライコード(例えば、有機繊維や金属)と、プライコードを被覆するトッピングゴムとを備えている。
【0018】
インナーライナー層15は、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れている。なお、サイドウォール部12において、インナーライナー層15は、カーカス層14の内周側に密接しており、インナーライナー層15及びカーカス層14間には、他の部材は介在していない。
【0019】
例えば、最も内周側に配置されるカーカスプライ14aとタイヤ内周面(インナーライナー層15の内周面)との間の距離において、サイドウォール部12の当該距離は、トレッド部13の当該距離の90%~180%である。より具体的には、サイドウォール部12の当該距離は、トレッド部13の当該距離の120%~160%である。
【0020】
なお、サイドウォール部12は、タイヤ最大幅となる位置(具体的には、カーカス層14のタイヤ幅方向D1の外側同士間の距離W1のうち、最大距離となる位置)とタイヤ径方向D2で同じになる位置12bを、外表面に備えている。以下、当該位置12bを、タイヤ最大幅位置12bという。
【0021】
また、サイドウォール部12は、ビードフィラー11cのタイヤ径方向D2の外側端11eと、タイヤ径方向D2で同じになる位置12cを、外表面に備えている。以下、当該位置12cを、ビード端位置12cという。
【0022】
また、サイドウォール部12は、ベルト部13cのタイヤ幅方向D1の外側端13eと、タイヤ径方向D2で同じになる位置12dを、外表面に備えている。以下、当該位置12dを、ベルト端位置12dという。
【0023】
図2及び図3に示すように、トレッド部13は、タイヤ幅方向D1の外側端まで延びる複数の溝13fと、複数の溝13fに区画されることにより、タイヤ周方向D3に並列される複数のトレッドブロック13gとを備えている。また、サイドウォール部12は、タイヤ周方向D3に並ぶ複数のサイドブロック2,3と、タイヤ幅方向D1に突出し且つタイヤ周方向D3に延びる環状突起部4とを備えている。
【0024】
サイドブロック2,3は、凹凸を有している。これにより、面やエッジの成分が形成される。そして、泥、砂、岩に接地する部分に、凹凸形状が形成されることにより、泥、砂、岩に接地する面積が、大きくなったり、また、その凹凸形状による面やエッジが、さまざまな位置の泥、砂、岩に接地し易くなったりする。このように、泥、砂、岩に接地する部分に、凹凸形状が形成されることで、トラクション性能が向上する。
【0025】
そして、サイドブロック2,3は、サイドウォール部12の少なくともタイヤ径方向D2の外側に配置されている。特に限定されないが、例えば、サイドブロック2,3は、サイドウォール部12のビード端位置12c(図1参照)よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。また、例えば、サイドブロック2,3は、サイドウォール部12のタイヤ最大幅位置12b(図1参照)よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【0026】
これにより、サイドブロック2,3は、泥濘地や砂地において、車両の重みによりタイヤ1が沈降し、泥や砂に埋没した状態で接地したり、また、岩場において、凹凸の岩に接地したりできる。即ち、サイドブロック2,3は、泥濘地、砂地、及び岩場といった悪路において、接地する。なお、サイドブロック2,3は、平坦な道路において、通常走行時に接地しない。
【0027】
複数のサイドブロック2,3の少なくとも一部は、図3に示すように、タイヤ幅方向D1視において、トレッドブロック13gとタイヤ径方向D2で重なっている。特に限定されないが、本実施形態においては、サイドブロック2,3の個数は、トレッドブロック13gの個数と、同数である。
【0028】
ところで、複数のサイドブロック2,3は、タイヤ周方向D3で隣接する第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とを含んでいる。特に限定されないが、本実施形態においては、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3は、タイヤ周方向D3において、交互に配置されている。
【0029】
第1サイドブロック2は、環状突起部4よりもタイヤ径方向D2の外側に配置される第1外側部2aと、環状突起部4よりもタイヤ径方向D2の内側に配置される第1内側部2bとを備えている。第2サイドブロック3は、環状突起部4よりもタイヤ径方向D2の外側に配置される第2外側部3aと、環状突起部4よりもタイヤ径方向D2の内側に配置される第2内側部3bとを備えている。
【0030】
また、第1内側部2b及び第2内側部3b間のタイヤ周方向D3の距離W2が最小になる位置は、第1内側部2b及び第2内側部3bのタイヤ径方向D2の中心2c,3cよりもタイヤ径方向D2の内側の位置である。これにより、サイドブロック2,3にトラクションが生じることによって、例えば、サイドブロック2,3自身(特に、内側部2b,3b)及びその周辺で損傷が発生し易くなる。
【0031】
特に限定されないが、本実施形態においては、内側部2b,3b間の距離W2は、各内側部2b,3bのタイヤ径方向D2の内側端において、最小になっている。具体的には、各内側部2b,3bのタイヤ径方向D2の内側端同士は、連接している。即ち、本実施形態においては、内側部2b,3b間の距離W2の最小値は、ゼロである。また、本実施形態においては、第1内側部2bと第2内側部3bとの境界に、段差5(図2も参照)が設けられている。
【0032】
ここで、タイヤ1のプロファイル面(基準面)に対する第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3の凹凸関係について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、図4及び図5において、2点鎖線は、プロファイル面S2を示しており、破線は、環状突起部4を示している。
【0033】
図4に示すように、第1外側部2aは、タイヤ径方向D2の外側に配置される第1最外部2dと、タイヤ径方向D2の内側に配置される第1中間部2eとを備えている。これにより、第1中間部2eは、第1最外部2dと第1内側部2bとの間に配置されている。なお、第1最外部2dと第1中間部2eとは、第1外側部2aをタイヤ径方向D2で等分されて区分けされている。
【0034】
そして、第1外側部2aがプロファイル面S2からプロファイル面S2の法線方向に突出する量が、最大となる位置(「第1外側最大突出位置」ともいう)は、第1中間部2eの所定位置である。特に限定されないが、本実施形態においては、第1外側最大突出位置は、第1外側部2aのタイヤ径方向D2の内端部である。なお、第1外側部2aがプロファイル面S2から突出する量の最大値W3は、第1外側最大突出量W3という。
【0035】
また、第1外側部2aがプロファイル面S2からプロファイル面S2の法線方向に凹む量が、最大となる位置(「第1外側最大凹み位置」ともいう)は、第1最外部2dの所定位置である。なお、第1外側部2aがプロファイル面S2から凹む量の最大値W4は、第1外側最大凹み量W4という。そして、第1外側最大凹み位置は、第1外側最大突出位置よりも、タイヤ径方向D2の外側である。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、第1外側最大凹み量W4は、ゼロである。
【0036】
また、第1内側部2bがプロファイル面S2からプロファイル面S2の法線方向に突出する量が、最大となる位置(「第1内側最大突出位置」ともいう)は、第1内側部2bのうち、タイヤ径方向D2の内側の所定位置である。なお、第1内側部2bがプロファイル面S2から突出する量の最大値W5は、第1内側最大突出量W5という。
【0037】
図5に示すように、第2外側部3aは、タイヤ径方向D2の外側に配置される第2最外部3dと、タイヤ径方向D2の内側に配置される第2中間部3eとを備えている。これにより、第2中間部3eは、第2最外部3dと第2内側部3bとの間に配置されている。なお、第2最外部3dと第2中間部3eとは、第2外側部3aをタイヤ径方向D2で等分されて区分けされている。
【0038】
そして、第2外側部3aがプロファイル面S2からプロファイル面S2の法線方向に突出する量が、最大となる位置(「第2外側最大突出位置」ともいう)は、第2中間部3eの所定位置である。なお、第2外側部3aがプロファイル面S2から突出する量の最大値W6は、第2外側最大突出量W6という。
【0039】
また、第2外側部3aがプロファイル面S2からプロファイル面S2の法線方向に凹む量が、最大となる位置(「第2外側最大凹み位置」ともいう)は、第2最外部3dの所定位置である。なお、第2外側部3aがプロファイル面S2から凹む量の最大値W7は、第2外側最大凹み量W7という。そして、第2外側最大凹み位置は、第2外側最大突出位置よりも、タイヤ径方向D2の外側である。
【0040】
また、第2内側部3bがプロファイル面S2からプロファイル面S2の法線方向に突出する量が、最大となる位置(「第2内側最大突出位置」ともいう)は、第2内側部3bのタイヤ径方向D2の外端部である。なお、第2内側部3bがプロファイル面S2から突出する量の最大値W8は、第2内側最大突出量W8という。
【0041】
そして、図4及び図5に示すように、第2外側最大突出量W6は、第1外側最大突出量W3よりも、大きくなっている。また、第2外側最大凹み量W7は、第1外側最大凹み量W4よりも、大きくなっている。そして、第1内側最大突出量W5は、第2内側最大突出量W8よりも、大きくなっている。
【0042】
なお、特に限定されないが、本実施形態においては、第2外側最大突出量W6は、第2外側最大凹み量W7よりも、大きくなっている。また、特に限定されないが、本実施形態においては、第2外側最大突出量W6及び第2外側最大凹み量W7は、第1内側最大突出量W5よりも、大きくなっている。
【0043】
ところで、図5に示すように、第2サイドブロック3は、タイヤ径方向D2の外側を向く外向面3f(図2及び図3も参照)を備えている。そして、外向面3fは、ベルト端位置12dよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されている。なお、特に限定されないが、タイヤ子午面の断面において、タイヤ幅方向D1に対する外向面3fの交差角度θ1は、例えば、45°以下としてもよく、また、例えば、30°以下としてもよく、また、例えば、15°以下としてもよい。
【0044】
また、外向面3fのタイヤ幅方向D1の外側端の位置は、第2外側最大突出位置である。これにより、第2サイドブロック3の外向面3fが、タイヤ幅方向D1の外側に大きく突出しているため、第2サイドブロック3の外向面3fのタイヤ幅方向D1の突出量を十分に確保することができる。したがって、例えば、外向面3fに生ずるトラクションを大きくすることができる。
【0045】
次に、第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3の凹凸差の関係について、図6を参照しながら説明する。なお、図6は、図4及び図5を重ね合せた図、即ち、タイヤ周方向D3視図であり、実線は、第1サイドブロック2の外縁を示し、破線は、第2サイドブロック3の外縁を示し、そして、2点鎖線は、プロファイル面S2及び環状突起部4を示している。
【0046】
図6に示すように、タイヤ周方向D3視において、第1外側部2aが第2外側部3aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が、最大となる位置(「第1外側突出差最大位置」ともいう)は、第1最外部2dの所定位置である。なお、第1外側部2aが第2外側部3aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W9は、第1外側最大突出差W9という。
【0047】
また、タイヤ周方向D3視において、第2外側部3aが第1外側部2aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が、最大となる位置(「第2外側突出差最大位置」ともいう)は、第2中間部3eの所定位置である。なお、第2外側部3aが第1外側部2aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W10は、第2外側最大突出差W10という。
【0048】
そして、第2外側最大突出差W10は、第1外側最大突出差W9よりも、大きくなっている。また、第2外側突出差最大位置は、第1外側突出差最大位置よりも、タイヤ径方向D2の内側となっている。なお、第2外側突出差最大位置は、外向面3fのタイヤ幅方向D1の外側端の位置となっている。
【0049】
また、タイヤ周方向D3視において、第1内側部2bが第2内側部3bよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が、最大となる位置(「第1内側突出差最大位置」ともいう)は、第1内側部2bのうち、タイヤ径方向D2の内側の所定位置である。なお、第1内側部2bが第2内側部3bよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W11は、第1内側最大突出差W11という。
【0050】
また、タイヤ周方向D3視において、第2内側部3bが第1内側部2bよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が、最大となる位置(「第2内側突出差最大位置」ともいう)は、第2内側部3bのタイヤ径方向D2の内端部及び外端部である。なお、第2内側部3bが第1内側部2bよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W12は、第2内側最大突出差W12という。
【0051】
そして、第1内側最大突出差W11は、第2内側最大突出差W12よりも、大きくなっている。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、第2内側最大突出差W12は、ゼロである。また、特に限定されないが、本実施形態においては、第2外側最大突出差W10及び第1外側最大突出差W9は、第1内側最大突出差W11よりも、大きくなっている。
【0052】
なお、上述した各寸法値及びその大小関係は、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態で測定したものである。正規リムは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0053】
また、正規内圧は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATIONPRESSURE」である。
【0054】
本実施形態に係るタイヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るタイヤ1の作用について説明する。
【0055】
図4図6に示すように、第1最外部2dが、第2最外部3dよりもタイヤ幅方向D1の外側に位置していることに対して、第2中間部3eは、第1中間部2eよりもタイヤ幅方向D1の外側に位置している。しかも、第2中間部3eが、第1中間部2eよりもタイヤ幅方向D1の外側に位置していることに対して、第1内側部2bは、第2内側部3bよりもタイヤ幅方向D1の外側に位置している。
【0056】
これにより、第1サイドブロック2においては、第1最外部2d及び第1内側部2bで生じるトラクションが大きくなり易く、第1中間部2eで生じるトラクションが小さくなり易い。一方、第2サイドブロック3においては、第2中間部3eで生じるトラクションが大きくなり易く、第2最外部3d及び第2内側部3bで生じるトラクションが小さくなり易い。
【0057】
このように、生じるトラクションが大きくなる部分は、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とに分散されている。したがって、タイヤ周方向D3で隣接する第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3間に生じるトラクションの大きさに、偏りが発生することを抑制することができる。その結果、例えば、サイドブロック2,3自身及びその周辺で損傷が発生することを抑制することができる。
【0058】
以上より、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向D2に延びるサイドウォール部12を備え、前記サイドウォール部12は、タイヤ周方向D3に並ぶ複数のサイドブロック2,3と、タイヤ幅方向D1に突出し且つ前記タイヤ周方向D3に延びる環状突起部4と、を備え、前記複数のサイドブロック2,3は、前記タイヤ周方向D3で隣接する第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3を含み、前記第1サイドブロック2は、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の外側に配置される第1外側部2aと、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の内側に配置される第1内側部2bと、を備え、前記第2サイドブロック3は、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の外側に配置される第2外側部3aと、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の内側に配置される第2内側部3bと、を備え、前記第1内側部2b及び前記第2内側部3b間の前記タイヤ周方向D3の距離W2が最小になる位置は、前記第1内側部2b及び前記第2内側部3bの前記タイヤ径方向D2の中心2c,3cよりも前記タイヤ径方向D2の内側の位置であり、前記タイヤ周方向D3視において、前記第1内側部2bが前記第2内側部3bよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W11は、前記第2内側部3bが前記第1内側部2bよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W12よりも、大きく、前記タイヤ周方向D3視において、前記第2外側部3aが前記第1外側部2aよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W10は、前記第1外側部2aが前記第2外側部3aよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W9よりも、大きい。
【0059】
斯かる構成によれば、タイヤ周方向D3視において、第1内側部2bが第2内側部3bよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W11が、大きいため、第1サイドブロック2の第1内側部2bに生じるトラクションは、大きくなり易い。また、タイヤ周方向D3視において、第2外側部3aが第1外側部2aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量の最大値W10が、大きいため、第2サイドブロック3の第2外側部3aに生じるトラクションは、大きくなり易い。
【0060】
これにより、生じるトラクションが大きくなり易い部分は、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とに分散されている。したがって、タイヤ周方向D3で隣接する第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3間に生じるトラクションの大きさに、偏りが発生することを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記第2外側部3aが前記第1外側部2aよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量が最大(W10)となる位置は、前記第1外側部2aが前記第2外側部3aよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量が最大(W9)となる位置よりも、前記タイヤ径方向D2の内側である、という構成である。
【0062】
斯かる構成によれば、第2サイドブロック3の第2外側部3aのうち、タイヤ径方向D2の内側の部分3eに生じるトラクションは、大きくなり易い。一方で、第1サイドブロック2の第1外側部2aのうち、タイヤ径方向D2の外側の部分2dに生じるトラクションは、大きくなり易く、しかも、第1サイドブロック2の第1内側部2bに生じるトラクションは、大きくなり易い。これにより、生じるトラクションが大きくなる部分は、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とに効果的に分散されている。
【0063】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記第2サイドブロック3は、前記タイヤ径方向D2の外側を向く外向面3fを備え、前記外向面3fの前記タイヤ幅方向D1の外側端の位置は、前記第2外側部3aが前記第1外側部2aよりも前記タイヤ幅方向D1の外側に突出する量が最大(W10)となる位置である、という構成である。
【0064】
斯かる構成によれば、第2サイドブロック3の外向面3fは、タイヤ幅方向D1の外側に大きく突出している。これにより、第2サイドブロック3の外向面3fのタイヤ幅方向D1の突出量を十分に確保することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向D2に延びるサイドウォール部12を備え、前記サイドウォール部12は、タイヤ周方向D3に並ぶ複数のサイドブロック2,3と、タイヤ幅方向D1に突出し且つ前記タイヤ周方向D3に延びる環状突起部4と、を備え、前記複数のサイドブロック2,3は、前記タイヤ周方向D3で隣接する第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3を含み、前記第1サイドブロック2は、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の外側に配置される第1外側部2aと、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の内側に配置される第1内側部2bと、を備え、前記第2サイドブロック3は、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の外側に配置される第2外側部3aと、前記環状突起部4よりも前記タイヤ径方向D2の内側に配置される第2内側部3bと、を備え、前記第1内側部2b及び前記第2内側部3b間の前記タイヤ周方向D3の距離W2が最小になる位置は、前記第1内側部2b及び前記第2内側部3bの前記タイヤ径方向D2の中心2c,3cよりも前記タイヤ径方向D2の内側の位置であり、前記第1内側部2bがプロファイル面S2から突出する量の最大値W5は、前記第2内側部3bが前記プロファイル面S2から突出する量の最大値W8よりも、大きく、前記第2外側部3aが前記プロファイル面S2から突出する量の最大値W6は、前記第1外側部2aが前記プロファイル面S2から突出する量の最大値W3よりも、大きい。
【0066】
斯かる構成によれば、第1内側部2bがプロファイル面S2から突出する量の最大値W5が、大きいため、第1サイドブロック2の第1内側部2bに生じるトラクションは、大きくなり易い。また、第2外側部3aがプロファイル面S2から突出する量の最大値W6が、大きいため、第2サイドブロック3の第2外側部3aに生じるトラクションは、大きくなり易い。
【0067】
これにより、生じるトラクションが大きくなり易い部分は、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とに分散されている。したがって、タイヤ周方向D3で隣接する第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3間に生じるトラクションの大きさに、偏りが発生することを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記第2外側部3aが前記プロファイル面S2から凹む量の最大値W7は、前記第1外側部2aが前記プロファイル面S2から凹む量の最大値W4よりも、大きく、前記第2外側部3aが前記プロファイル面S2から突出する量が最大値(W6)となる位置は、前記第2外側部3aが前記プロファイル面S2から凹む量が最大値(W7)となる位置よりも、前記タイヤ径方向D2の内側である、という構成である。
【0069】
斯かる構成によれば、第2サイドブロック3の第2外側部3aのうち、タイヤ径方向D2の内側の部分3eに生じるトラクションは、大きくなり易い。一方で、第1サイドブロック2の第1外側部2aのうち、タイヤ径方向D2の外側の部分2dに生じるトラクションは、大きくなり易く、しかも、第1サイドブロック2の第1内側部2bに生じるトラクションは、大きくなり易い。これにより、生じるトラクションが大きくなる部分は、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とに効果的に分散されている。
【0070】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記第2サイドブロック3は、前記タイヤ径方向D2の外側を向く外向面3fを備え、前記外向面3fの前記タイヤ幅方向D1の外側端の位置は、前記第2外側部3aが前記プロファイル面S2から突出する量が最大値(W6)となる位置である、という構成である。
【0071】
斯かる構成によれば、第2サイドブロック3の外向面3fは、タイヤ幅方向D1の外側に大きく突出している。これにより、第2サイドブロック3の外向面3fのタイヤ幅方向D1の突出量を十分に確保することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、内部にベルト部13cを有するトレッド部13を備え、前記外向面3fは、前記ベルト部13cの前記タイヤ幅方向D1の端部13eよりも、前記タイヤ径方向D2の外側に配置される、という構成である。
【0073】
斯かる構成によれば、外向面3fは、サイドウォール部12のうち、タイヤ径方向D2の外側に配置されている。これにより、路面に近い位置で、外向面3fによるトラクションが生じるため、外向面3fによるトラクションを効果的に生じさせることができる。
【0074】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0075】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1内側部2bと第2内側部3bとは、連接している、即ち、内側部2b,3b間の距離W2の最小値は、ゼロである、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図7に示すように、第1内側部2bと第2内側部3bとは、タイヤ周方向D3で離れている、という構成でもよい。
【0076】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、内側部2b,3b間の距離W2は、各内側部2b,3bのタイヤ径方向D2の内側端において、最小になっている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0077】
例えば、図7に示すように、内側部2b,3b間の距離W2は、各内側部2b,3bのタイヤ径方向D2の内側端よりもタイヤ径方向D2の内側の位置において、最小になっている、という構成でもよい。要するに、内側部2b,3b間の距離W2は、各内側部2b,3bのタイヤ径方向D2の中心2c,3cよりもタイヤ径方向D2の内側の位置において、最小になっている、という構成であればよい。
【0078】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1内側部2bと第2内側部3bとの境界に、段差5が設けられている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0079】
例えば、図8に示すように、第1内側部2bと第2内側部3bとの境界に、段差5が設けられていない、という構成でもよい。斯かる構成においては、図8に示すように、トレッド部13の溝13fのタイヤ周方向D3の中心を通るタイヤ子午面S3によって、第1内側部2bと第2内側部3bとは、区分けされる。なお、特に限定されないが、図8に係る第1サイドブロック2の第1内側部2bは、タイヤ幅方向D1に突出する凸部2fを備えている。
【0080】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1サイドブロック2と第2サイドブロック3とは、タイヤ周方向D3において、交互に配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、サイドウォール部12は、第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3の他に、第1サイドブロック2及び第2サイドブロック3とは別のサイドブロックを備えている、という構成でもよい。
(5)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第2外側突出差最大位置(第2外側部3aが第1外側部2aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が最大(W10)となる位置)は、第1外側突出差最大位置(第1外側部2aが第2外側部3aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が最大(W9)となる位置)よりも、タイヤ径方向D2の内側である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2外側突出差最大位置は、第1外側突出差最大位置よりも、タイヤ径方向D2の外側である、という構成でもよい。
【0081】
(6)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第2サイドブロック3は、タイヤ径方向D2の外側を向く外向面3fを備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2サイドブロック3は、タイヤ径方向D2の外側を向く外向面3fを備えていない、という構成でもよい。
【0082】
(7)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第2外側最大凹み量(第2外側部3aがプロファイル面S2から凹む量の最大値)W7は、第1外側最大凹み量(第1外側部2aがプロファイル面S2から凹む量の最大値)W4よりも、大きい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2外側最大凹み量W7は、第1外側最大凹み量W4よりも、小さい、という構成でもよい。
【0083】
(8)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第2外側最大突出位置(第2外側部3aがプロファイル面S2から突出する量が最大値(W6)となる位置)は、第2外側最大凹み位置(第2外側部3aがプロファイル面S2から凹む量が最大値(W7)となる位置)よりも、タイヤ径方向D2の内側である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2外側最大突出位置は、第2外側最大凹み位置よりも、タイヤ径方向D2の外側である、という構成でもよい。
【0084】
(9)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、外向面3fのタイヤ幅方向D1の外側端の位置は、第2外側突出差最大位置(第2外側部3aが第1外側部2aよりもタイヤ幅方向D1の外側に突出する量が最大(W10)となる位置)である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、外向面3fのタイヤ幅方向D1の外側端の位置は、第2外側突出差最大位置と異なる位置である、という構成でもよい。
【0085】
(10)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、外向面3fのタイヤ幅方向D1の外側端の位置は、第2外側最大突出位置(第2外側部3aがプロファイル面S2から突出する量が最大値(W6)となる位置)である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、外向面3fのタイヤ幅方向D1の外側端の位置は、第2外側最大突出位置と異なる位置である、という構成でもよい。
【0086】
(11)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、外向面3fは、ベルト部13cのタイヤ幅方向D1の外側端13eよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置される、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、外向面3fは、ベルト部13cのタイヤ幅方向D1の外側端13eよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置される、という構成でもよい。
【0087】
(12)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、外側部2a,3aと内側部2b,3bとは、タイヤ径方向D2で連接されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、外側部2a,3aと内側部2b,3bとは、タイヤ径方向D2で離れている、という構成でもよい。
【0088】
(13)また、空気入りタイヤ1においては、第1及び第2サイドブロック2,3は、一方側のサイドウォール部12にのみ備えられている、という構成でもよく、両方のサイドウォール部12に備えられている、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、第1及び第2サイドブロック2,3は、一対のサイドウォール部12のうち、車両装着時に外側に配置されるサイドウォール部12に、少なくとも備えられている、という構成としてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…空気入りタイヤ、2…第1サイドブロック、2a…第1外側部、2b…第1内側部、2c…中心、2d…第1最外部、2e…第1中間部、2f…凸部、3…第2サイドブロック、3a…第2外側部、3b…第2内側部、3c…中心、3d…第2最外部、3e…第2中間部、3f…外向面、4…環状突起部、5…段差、11…ビード部、11a…ビード、11b…ビードコア、11c…ビードフィラー、11d…リムストリップゴム、11e…外側端、12…サイドウォール部、12a…サイドウォールゴム、12b…タイヤ最大幅位置、12c…ビード端位置、12d…ベルト端位置、13…トレッド部、13a…トレッド面、13b…トレッドゴム、13c…ベルト部、13d…ベルトプライ、13e…外側端、13f…溝、13g…トレッドブロック、14…カーカス層、14a…カーカスプライ、15…インナーライナー層、D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、S1…タイヤ赤道面、S2…プロファイル面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8