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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/16 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A01F12/16 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019237132
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021103979
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中西 雄大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 敏章
(72)【発明者】
【氏名】堀 高範
(72)【発明者】
【氏名】江戸 俊介
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170277(JP,A)
【文献】特開2016-095661(JP,A)
【文献】特開2019-076098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め規定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する管理システムであって、
過去における前記対地作業の実施時に記憶された、前記対地作業に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、
現在実施している前記対地作業に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1情報と前記第2情報とを比較して前記作業車の状態を判定する判定部と、
を備え、
前記対地作業が圃場において刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀作業であって、
前記第1情報及び前記第2情報が、前記脱穀処理を行って得られる情報であり、
前記判定部は、前記作業車の状態として、前記作業車が異常であるか否かの判定、及び、前記作業車のメンテナンス時期の判定を行う管理システム。
【請求項2】
前記第1情報は、実施済みの前記対地作業における前記作業対象に関する情報及び当該対地作業を実施した際の前記作業車に関する情報が含まれ、
前記第2情報は、現在実施している前記対地作業における前記作業対象に関する情報が含まれる請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記判定部の判定結果を報知する報知部を備える請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記判定部の判定結果を継続して記憶する記憶部を備える請求項1からのいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記作業車の状態の判定は、前記第1情報と所定の前記対地作業に関する情報とに基づいて前記作業車の状態を判定する学習を行ったニューラルネットワークに前記第1情報と前記第2情報とを入力して行われる請求項1からのいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項6】
予め規定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する管理システムであって、
過去における前記対地作業の実施時に記憶された、前記対地作業に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、
現在実施している前記対地作業に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1情報と前記第2情報とを比較して前記作業車の状態を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記作業車が異常である時の前記対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、前記作業車が異常であるとする判定結果を出力する学習、及び前記作業車のメンテナンスが必要である時の前記対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、前記作業車のメンテナンス時期の判定結果を出力する学習のうち、少なくともいずれか一方を行ったニューラルネットワークに前記第1情報と前記第2情報とを入力して行い、
前記対地作業が圃場において刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀作業であって、
前記第1情報及び前記第2情報が、前記脱穀処理を行って得られる情報であり、
前記判定部は、前記作業車の状態として、前記作業車が異常であるか否かの判定、及び、前記作業車のメンテナンス時期の判定を行う管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め規定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対地作業を行う作業車が利用されてきた。この種の作業車に、例えば特許文献1に記載されるような走行中に刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀装置と当該脱穀装置により脱穀された穀粒を貯留する穀粒タンクとを備えたコンバインがある。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインは、穀粒タンク内に穀粒を載置する載置板と、載置板の両面の夫々に向かって光を照射する2つの光源と、2つの光源のうちの一方から光を照射した際に載置板上の穀粒を撮像した第1画像と、2つの光源のうちの他方から光を照射した際に載置板上の穀粒を撮像した第2画像とを撮像する撮像部とを備えて構成される。画像処理手段は、この第1画像から異物を示す画像を抽出して異物の数量を算出し、第2画像から損傷した籾の数量及び枝梗の数量を算出する。調整手段は、算出された異物の数量、損傷した籾の数量、及び枝梗の数量に基づいて、チャフシーブの角度と、送塵弁及び処理胴弁の開閉とを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-27340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、上述したように、穀粒タンク内に収穫した穀粒が搬送された際に、異物の数量、籾の数量、及び枝梗の数量を算出し、算出された異物の数量、損傷した籾の数量、及び枝梗の数量に基づいて、チャフシーブの角度と、送塵弁及び処理胴弁の開閉とを調整する。一方、各種の機器にあっては、各種部品の劣化や故障を未然に防止すべく定期メンテナンスが行われているが、ユーザはいつメンテナンスをすべきであるかを容易に判別することが容易ではない。
【0006】
そこで、対地作業を行うことが可能な作業車を管理する管理システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管理システムの特徴構成は、予め規定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する管理システムであって、過去における前記対地作業の実施時に記憶された、前記対地作業に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、現在実施している前記対地作業に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、前記第1情報と前記第2情報とを比較して前記作業車の状態を判定する判定部と、を備え、前記対地作業が圃場において刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀作業であって、前記第1情報及び前記第2情報が、前記脱穀処理を行って得られる情報であり、前記判定部は、前記作業車の状態として、前記作業車が異常であるか否かの判定、及び、前記作業車のメンテナンス時期の判定を行う点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、過去に実施した対地作業に関する情報と、現在実施している対地作業に関する情報とに基づいて、対地作業を行っている作業車の状態を判定するので、作業車の状態に応じて作業車を適切に管理することが可能となる。
また、このような構成とすれば、作業車が異常でない場合には継続して対地作業を行い、作業車が異常である場合にはメンテナンスを行うことが可能となる。
また、このような構成とすれば、早急にメンテナンスが必要でない場合でも、作業車のメンテナンスが必要な時期を予測できるので、作業車の故障を防止できる。
【0009】
また、前記第1情報は、実施済みの前記対地作業における前記作業対象に関する情報及び当該対地作業を実施した際の前記作業車に関する情報が含まれ、前記第2情報は、現在実施している前記対地作業における前記作業対象に関する情報が含まれると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、過去及の現在の作業対象に関する情報だけでなく、過去の対地作業に関する情報も用いて作業車の状態を判定することができる。したがって、より適切に作業車の状態を判定することが可能となる。
【0015】
また、前記判定部の判定結果を報知する報知部を備えると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、オペレータに判定結果を認識させることができる。したがって、作業車に異常があった場合やメンテナンスが必要な場合であっても、見落とすことを防止できる。
【0017】
また、前記判定部の判定結果を継続して記憶する記憶部を備えると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、記憶部に記憶された判定結果を確認することで、故障した原因やメンテナンスが必要となった原因を特定し易くできる。
【0019】
また、前記作業車の状態の判定は、前記第1情報と所定の前記対地作業に関する情報とに基づいて前記作業車の状態を判定する学習を行ったニューラルネットワークに前記第1情報と前記第2情報とを入力して行われると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、より適切に作業車の状態を判定することが可能となる。したがって、作業車をより適切に管理することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る管理システムの他の特徴構成は、予め規定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する管理システムであって、過去における前記対地作業の実施時に記憶された、前記対地作業に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、現在実施している前記対地作業に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、前記第1情報と前記第2情報とを比較して前記作業車の状態を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記作業車が異常である時の前記対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、前記作業車が異常であるとする判定結果を出力する学習、及び前記作業車のメンテナンスが必要である時の前記対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、前記作業車のメンテナンス時期の判定結果を出力する学習のうち、少なくともいずれか一方を行ったニューラルネットワークに前記第1情報と前記第2情報とを入力して行い、前記対地作業が圃場において刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀作業であって、前記第1情報及び前記第2情報が、前記脱穀処理を行って得られる情報であり、前記判定部は、前記作業車の状態として、前記作業車が異常であるか否かの判定、及び、前記作業車のメンテナンス時期の判定を行う点にある。
【0022】
このような特徴構成であっても、上述した管理システムと同様に、作業車をより適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】コンバインの側面図である。
図2】コンバインの平面図である。
図3】コンバインが備える脱穀装置の縦断側面図である。
図4】作業車の状態の判定に係る処理を行う機能部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る管理システムは、予め設定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する。予め設定された作業対象とは、作業車に備えられている機能部や装置等を利用して、当該作業車が作業を行う対象物である。具体的には、作業車がコンバインであれば収穫対象物、田植機であれば植付対象物、トラクタが耕耘や草刈りを行う場合には圃場等が相当する。また、作業車が建機であれば、土や岩石や木材等が相当する。対地作業とは、圃場や作業地に対して行う作業である。本実施形態では、作業車としてコンバイン20を例に挙げて説明する。
【0025】
本発明に係る管理システムは、作業車の状態を判定することができるように構成される。以下、本実施形態の管理システム100について説明する。
【0026】
図1は管理システム100の管理対象であるコンバイン20の側面図であって、図2はコンバイン20の平面図である。また、図3はコンバイン20が備える脱穀装置1の断面図である。なお、以下では、コンバイン20について所謂普通型コンバインを例に挙げて説明する。もちろん、コンバイン20は自脱型コンバインであっても良い。
【0027】
ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(図1に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(図1に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、「上」(図1に示す矢印Uの方向)及び「下」(図1に示す矢印Dの方向)は、機体の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示すものとする。更に、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)、すなわち、「左」(図2に示す矢印Lの方向)及び「右」(図2に示す矢印Rの方向)は、夫々、機体の左方向及び右方向を意味するものとする。
【0028】
図1及び図2に示されるように、コンバイン20は、機体フレーム2とクローラ走行装置3とを備えている。走行機体17の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取り部4が設けられる。刈取り部4には、植立穀稈を掻き込む掻き込みリール5と、植立穀稈を切断する刈刃6と、刈取穀稈を掻き込むオーガ7とが備えられる。
【0029】
走行機体17の前部における右側には、運転部8が設けられている。運転部8には、運転者が搭乗するキャビン10が備えられる。キャビン10の下方にはエンジンルームERが設けられ、エンジンルームERにはエンジンEの他、排気浄化装置、冷却ファン、ラジエータ等が収容されている。エンジンEの動力は動力伝達構造(図示しない)によって、クローラ走行装置3や、後述する脱穀ユニット41、選別ユニット42等に伝達される。
【0030】
刈取り部4の後方には、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置1が設けられる。刈取り部4と脱穀装置1とに亘って、刈取穀稈を脱穀装置1に向けて搬送するフィーダ11が設けられる。脱穀装置1の側方には、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒タンク12が設けられる。穀粒タンク12は、作業位置とメンテナンス位置とに亘って、上下方向に延びる軸心周りで揺動開閉可能に構成されている。脱穀装置1の後部には、回転刃13aを備えた排ワラ細断装置13が設けられている。
【0031】
コンバイン20には、穀粒タンク12内の穀粒を外部に排出する穀粒排出装置14が設けられている。穀粒排出装置14には、穀粒タンク12内の穀粒を上方に向けて搬送する縦搬送部15と、縦搬送部15からの穀粒を機体外側に向けて搬送する横搬送部16とが備えられている。穀粒排出装置14は、縦搬送部15の軸心周りで旋回可能に構成されている。縦搬送部15の下端部は、穀粒タンク12の底部に連通接続されている。横搬送部16のうち縦搬送部15側の端部は、縦搬送部15の上端部に連通接続され、かつ、上下揺動可能に支持されている。
【0032】
本実施形態では脱穀装置1は走行機体17に設けられる。脱穀装置1は、上述したように脱穀ユニット41と選別ユニット42とを備える。脱穀ユニット41は、刈取り部4により刈り取られた刈取穀稈を脱穀する。脱穀ユニット41により脱穀処理された穀粒は穀処理物として排出される。選別ユニット42は、脱穀ユニット41から排出された脱穀処理物を選別処理物として選別する。したがって、脱穀ユニット41と選別ユニット42とは走行機体17に設けられる。脱穀ユニット41は脱穀装置1における上部に配置され、脱穀ユニット41の下部には受網23が設けられる。選別ユニット42は、脱穀ユニット41の下方に配置され、受網23から漏下してきた脱穀処理物から穀粒を選別するよう構成されている。選別ユニット42は、揺動選別装置24と、一番物回収部26と、二番物回収部27と、二番物還元部32とを備えている。
【0033】
脱穀ユニット41は、扱室21に扱胴22を収容し、扱胴22の下部に受網23を有する。扱室21は、前側の前壁51と、後側の後壁52と、左右の側壁と、上部を覆う天板53とで取り囲まれる空間として形成される。扱室21のうち前壁51の下部位置には収穫物が供給される供給口54aが形成され、この供給口54aの下側に案内底板59が配置されている。また、扱室21のうち後壁52の下側に排塵口54bが形成されている。
【0034】
扱胴22は、胴体60と回転支軸55とを有する。図3に示されるように、胴体60は、前端部の掻込部57と、掻込部57の後方位置の扱処理部58とで一体形成される。掻込部57は、扱胴22の前端側ほど小径となる先細り状の基台部57aの外周部に2重螺旋の螺旋羽根57bを備えている。扱処理部58は、複数の棒状の扱歯支持部材58aと複数の扱歯58bとを有する。複数の棒状の扱歯支持部材58aは、夫々、筒状の胴体60の周方向に所定間隔で互いに離間して設けられる。複数の扱歯58bの夫々は、複数の扱歯支持部材58aの夫々の外周部から突設し、前後向き姿勢の回転軸心Xに沿って所定間隔で互いに離間して取り付けられている。
【0035】
胴体60は、回転軸心Xと同軸芯で、前壁51と後壁52とに対して前後方向に貫通する回転支軸55と一体回転する。つまり、回転支軸55の前端が軸受を介して前壁51に回転自在に支持され、これと同様に回転支軸55の後端が軸受を介して後壁52に回転自在に支持されている。この脱穀ユニット41では、回転支軸55の前端部に対して回転駆動機構56から駆動回転力が伝えられる。
【0036】
天板53の内面(下面)には、プレート状の複数の送塵弁53aが、前後方向に沿って所定の間隔で設けられている。複数の送塵弁53aは、扱室21において扱胴22と共に回転する処理物に後側に移動させる力を作用させるように平面視で回転軸心Xに対して傾斜する姿勢で設けられている。本実施形態では、送塵弁53aは、天板53に対する取付角度が変更可能に構成される。この角度を変更することで、胴体60内の処理物の送り量が変更可能とされる。
【0037】
受網23は、扱胴22を下側から両側部に亘る領域を取り囲むように回転軸心X視が円弧状で、前後方向に沿って所定の間隔で配置される複数の縦フレームと、各々の縦フレームに対して支持される前後向き姿勢の横フレームとを組み合わせることにより、処理物の漏下が可能となる間隙を形成した構成を有している。
【0038】
本実施形態のコンバイン20では扱室21に供給される刈取穀稈を収穫物と称し、この扱室21で扱処理された収穫物を処理物(「脱穀処理物」に相当)と称している。処理物には穀粒と切れワラ等とが含まれる。また、一番物とは、主として穀粒を含む処理物であり、二番物とは、単粒化が不充分な穀粒と、切れワラ等とを含む処理物である。
【0039】
脱穀ユニット41では、フィーダ11からの収穫物が供給口54aを介して扱室21に供給される。供給された収穫物は、掻込部57の螺旋羽根57bによって案内底板59に沿って扱胴22の後方に掻き込まれ、扱処理部58に供給される。扱処理部58では、扱胴22の回転に伴い収穫物が扱歯58b及び受網23によって扱き処理される結果、脱穀が行われる。
【0040】
このように脱穀が行われる際には、扱胴22と共に処理物が回転することにより、処理物が送塵弁53aに接触して扱室21の後部に搬送されつつ脱穀処理が行われる。脱穀処理によって得られた穀粒と短い切れワラ等が受網23を漏下して選別ユニット42に落下する。これに対し、受網23を漏下できない処理物(穀稈や、長寸の切れワラ等)は、排塵口54bから扱室21の外に排出される。
【0041】
図3に示されるように、選別ユニット42は、唐箕25から選別風が供給される環境において揺動作動することで処理物から穀粒(一番物)を選別する揺動選別装置24を備えて構成される。また、揺動選別装置24の下側には一番物回収部26と、二番物回収部27とが配置されている。
【0042】
唐箕25は、選別ユニット42に設けられ、処理物の搬送方向に沿って選別風を発生させる。唐箕25は、ファンケース25aの内部に複数の回転羽根25bを有する唐箕本体を収容して構成されている。ファンケース25aの上部には、選別風を上部グレンパン61の上面に沿って送り出すための上部吐出口25cと、選別風を後方に送り出すための後吐出口25dとが形成されている。
【0043】
一番物回収部26は、処理物を一番物として回収する。処理物は、一番物案内部62により一番物回収部26に案内されるように構成される。一番物回収部26は、一番物案内部62により案内された一番物(一番物の穀粒)を横方向に搬送する一番物スクリュとして構成されている。一番物回収部26により回収された一番物は、一番物回収搬送部29により穀粒タンク12に向けて上方に搬送される(揚送される)。したがって、穀粒タンク12には選別ユニット42により選別された選別処理物が搬送されて貯留される。一番物回収搬送部29により搬送された一番物は、貯留スクリュ30により右方に搬送して穀粒タンク12へ供給される。一番物回収搬送部29はバケット式のコンベヤに相当する。
【0044】
二番物回収部27は、脱穀処理物のうち、選別処理物として選別されなかった処理物を二番物として回収する。選別処理物とは、詳細は後述するが、揺動選別装置24により選別された穀粒である。このため、選別処理物として選別されなかった処理物とは、揺動選別装置24において選別されなかった穀粒や、穀稈や、長寸の切れワラ等が相当し、二番物と称される。このような二番物は、二番物案内部63により二番物回収部27に案内されるように構成される。二番物回収部27は、二番物案内部63により案内された二番物を横方向に搬送する二番物スクリュとして構成されている。二番物回収部27により回収された二番物は、二番物還元部32により前斜め上方に搬送して揺動選別装置24の上側(上流側)に還元される。二番物還元部32は、スクリュ式のコンベヤに相当する。
【0045】
一番物回収部26及び二番物回収部27は、動力伝達構造(図示しない)によって伝達されるエンジンEの動力よって駆動される。
【0046】
エンジンEの動力は一番物回収部26に伝達され、一番物回収部26から一番物回収搬送部29に伝達され、一番物回収搬送部29から貯留スクリュ30に伝達される。一番物回収搬送部29は、脱穀装置1の右側の側部(右壁の外部)に設けられる。
【0047】
エンジンEの動力は二番物回収部27に伝達され、二番物回収部27から二番物還元部32に伝達される。二番物還元部32は、脱穀装置1の右側の側部(右壁の外部)に設けられる。
【0048】
揺動選別装置24は、処理物から穀粒を選別する。揺動選別装置24は、受網23の下側に配置され、処理物は受網23から漏下する。この揺動選別装置24は、偏心軸等を用いた偏心カム式の揺動駆動機構43により前後方向に揺動作動し、上面視で矩形状に形成された枠状のシーブケース33を備えている。
【0049】
シーブケース33には、第1グレンパン34、複数の第1篩線35、第2篩線36、第1チャフシーブ38、第2チャフシーブ39、グレンシーブ40、上部グレンパン61、下部グレンパン65が備えられている。
【0050】
上部グレンパン61より後側に複数のチャフリップ38Aを有する第1チャフシーブ38が配置され、この第1チャフシーブ38より後側に第2チャフシーブ39が配置されている。なお、複数のチャフリップ38Aは処理物が搬送される搬送方向(後方向)に沿って並べられ、複数のチャフリップ38Aの各々は、後端側ほど斜め上方に向かう傾斜姿勢で配置されている。本実施形態では、チャフリップ38Aの夫々の開度が変更可能に構成されている。開度が変更可能とは、傾斜姿勢が変更されることを意味する。具体的には、チャフリップ38Aが前後方向に対して平行に近くなる程、開度が小さくなり、チャフリップ38Aが上下方向に対して平行に近くなる程、開度が大きくなる。下部グレンパン65は、第1チャフシーブ38の前端部の下側に配置され、この後側に連なる位置に網状体でなるグレンシーブ40が配置されている。上述した第2チャフシーブ39は、第1チャフシーブ38の後端部の下側であって、グレンシーブ40の後側に配置される。
【0051】
シーブケース33には、唐箕25の上部吐出口25cから供給される選別風を上部グレンパン61の上面に沿って供給する風路と、唐箕25の後吐出口25dから供給される選別風を下部グレンパン65の上面に沿って供給する風路とが形成されている。揺動選別装置24の後端部(図3では右端部)と、受網23の後端部とで排出部28が形成されている。
【0052】
本実施形態の揺動選別装置24では、唐箕25からの選別風が機体前側から機体後側に供給され、揺動駆動機構43によってシーブケース33が揺動することにより、シーブケース33の内部の処理物を機体後方に搬送する。このような理由から、以下の説明では、揺動選別装置24において、処理物の搬送方向の上流側を前端あるいは前側と称し、下流側を後端あるいは後側と称している。
【0053】
グレンシーブ40は、金属で成る複数の線材を網状に組み合わせた網状体として構成され、網目から穀粒を漏下させるように構成されている。このグレンシーブ40の上方には第1チャフシーブ38が設けられており、第1チャフシーブ38のチャフリップ38A間を流通した穀粒がグレンシーブ40に漏下するように構成されている。
【0054】
このような構成から、選別ユニット42において受網23から漏下する処理物のうち、上部グレンパン61で受け止められたものは、シーブケース33の揺動に伴い第1チャフシーブ38の前端に供給される。また、シーブケース33は、受網23から漏下する処理物の多くを受け止める。
【0055】
第1チャフシーブ38は選別風による風選別と、揺動に伴う比重選別とにより処理物を後側に搬送すると同時に、処理物に含まれる穀粒を漏下させる。このような選別が行われた処理物のうち、切れワラ等の茎稈類は第2チャフシーブ39に受け渡され、この第2チャフシーブ39の後端からシーブケース33の後方に送り出され、排出部28から排ワラ細断装置13に向けて排出される。排出部28から排出された茎稈類は、排ワラ細断装置13により細断され、脱穀装置1の外部に排出される。また、受網23を介して第2チャフシーブ39に直接、漏下してくる穀粒は、第2チャフシーブ39で穀粒と切れワラ等の茎稈類とに選別される。
【0056】
ここで、受網23から漏下する処理物の状態を考えると、扱室21に供給された収穫物のうち、穀粒や単粒化が不充分な穀粒、あるいは、ワラの小片は扱室21の内部で搬送される際に早期に受網23を漏下する。このような理由から受網23のうち搬送方向の上流領域での処理物の漏下量は、搬送方向での下流領域より多くなる傾向がある。また、前述したように第1チャフシーブ38の前端には上部グレンパン61から処理物が供給されるため、この第1チャフシーブ38の前端を漏下する処理物の量は後端側と比較して多い。
【0057】
また、第1チャフシーブ38のうち前端側を漏下した処理物は、漏下直後に、その一部が選別風により後側に送られることにより取り除かれ、穀粒を多く含む処理物がグレンシーブ40の上面で受け止められる。更に、グレンシーブ40に供給された処理物に選別風の風圧と揺動力とが作用するため、処理物に含まれるワラ等はグレンシーブ40の上面で後方に送られ、グレンシーブ40を漏下する処理物には多くの穀粒が含まれる。グレンシーブ40を漏下した穀粒は、一番物案内部62から一番物回収部26に流下して回収され、一番物回収搬送部29によって穀粒タンク12に貯留される。
【0058】
また、グレンシーブ40には、第1チャフシーブ38の後側の領域からの処理物が供給されるが、グレンシーブ40で漏下しなかった処理物のうち切れワラ類は、選別風により後方に送られるため、グレンシーブ40の後側の領域での選別効率を大きく低下させることなく選別処理が行われる。
【0059】
更に、グレンシーブ40の最後端より前側で漏下した一番物(穀粒)は、一番物案内部62から一番物回収部26に流下して回収され、一番物回収搬送部29によって穀粒タンク12に貯留される。
【0060】
これに対し、グレンシーブ40の最後端の部位を漏下した処理物、あるいは、第2チャフシーブ39から落下した処理物は、二番物案内部63から二番物回収部27に流下して回収され、二番物還元部32によって揺動選別装置24の上流側に戻される。そして、選別処理によって発生した3番処理物としてのワラ屑などの塵埃が揺動選別装置24の後端から後方へ送られ、排出部28から排ワラ細断装置13に排出される。
【0061】
上述したように、二番物は二番物還元部32により揺動選別装置24の前部である上流側に還元される。具体的には、二番物は、脱穀ユニット41における受網23の側方であって、二番物が受網23を通らない(流通しない)位置に還元される。したがって、二番物還元部32の二番物排出口32Aは、円弧状の受網23における径方向外側の位置に設けられ、この位置において二番物が排出される。
【0062】
上述したように、コンバイン20は、脱穀装置1に備えられる脱穀ユニット41と選別ユニット42とにより、圃場において刈り取られた刈取穀稈の脱穀作業が行われる。したがって、コンバイン20にあっては、上述した「対地作業」は脱穀作業が相当する。
【0063】
このような脱穀作業において、脱穀ユニット41や選別ユニット42が利用されるため、脱穀ユニット41や選別ユニット42の状態が経年変化等により新品であった状態から変化する可能性がある。係る状況において、満足する対地作業(本実施形態にあっては脱穀作業)の結果が得られない場合には、メンテナンス等の実施も想定される。
【0064】
そこで、本実施形態の管理システム100は、コンバイン20の状態を判定することができるように構成される。以下、このようなコンバイン20の状態の判定について図4を用いて説明する。本実施形態の管理システム100は、第1情報取得部71、第2情報取得部72、判定部73、報知部74、記憶部75の各機能部を備えて構成される。各機能部は上述したコンバイン20の状態の判定に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0065】
第1情報取得部71は、過去における対地作業の実施時に記憶された、当該対地作業に関する第1情報を取得する。過去における対地作業とは、コンバイン20が過去に、圃場において作物を収穫した際の収穫作業である。このため、対地作業に関する第1情報とは、コンバイン20が過去に行った収穫作業に関する情報であって、本実施形態では第1情報と称される。
【0066】
本実施形態では、第1情報は、実施済みの対地作業における作業対象に関する情報及び当該対地作業を実施した際のコンバイン20に関する情報が含まれる。実施済みの対地作業における作業対象とは、圃場において作物を収穫した際に行われた脱穀作業である。したがって、実施済みの対地作業における作業対象に関する情報とは、コンバイン20が過去に、圃場において作物を収穫した際に行われた脱穀作業に関する情報にあたる。脱穀作業に関する情報とは、例えば脱穀作業を行った作物を収穫した圃場の位置を示す位置情報や、圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業の結果を示す結果情報である。地作業を実施した際のコンバイン20に関する情報とは、圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業で使用した脱穀装置1の能力を設定する機器設定値を示す機器設定値情報である。
【0067】
圃場の位置を示す位置情報とは、圃場の緯度や経度や高度を示す情報であって、例えばコンバイン20が圃場において収穫作業を行う際にGPS装置(図示せず)により取得し、コンバイン20の記憶部に記憶しておいても良いし、ネットワークで接続された管理システム100に記憶しておいても良い。
【0068】
圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業の結果とは、コンバイン20が過去に、圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業の結果である。具体的には、穀粒タンク12に貯留される異物の量の算定結果である。このような異物の量は、例えば脱穀装置1において脱穀処理され、穀粒タンク12に搬送される際の処理物を撮像した撮像画像に基づいて算定することも可能であるし、あるいは貯留された穀粒をコンバイン20の穀粒タンク12から穀粒排出装置14を介して穀搬送車両に排出する際の状況を撮像した撮像画像に基づいて算定することも可能である。もちろん、他の方法により算定することも可能である。
【0069】
また、脱穀装置1の能力を設定する機器設定値とは、脱穀処理を行う脱穀装置1の制御パラメータであって、具体的には脱穀装置1が備える脱穀ユニット41の脱穀能力を設定可能な脱穀設定パラメータや、選別ユニット42の選別能力を設定可能な選別パラメータが相当する。脱穀ユニット41における脱穀能力を設定可能な脱穀パラメータとは、扱胴22の回転支軸55の回転速度を設定する設定値や、送塵弁53aの天板53に対する取付角度を設定する設定値が相当する。また、選別ユニット42における選別能力を設定可能な選別パラメータとは、唐箕25からの選別風の風量を設定する設定値や、チャフリップ38Aの開度を設定する設定値や、揺動選別装置24を揺動させる揺動駆動機構43の揺動速度や揺動量を設定する設定値が相当する。
【0070】
したがって、圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業で使用した脱穀装置1の能力を設定する機器設定値とは、コンバイン20が過去に、圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業で使用した扱胴22の回転支軸55の回転速度を設定する設定値や、送塵弁53aの天板53に対する取付角度を設定する設定値や、唐箕25からの選別風の風量を設定する設定値や、チャフリップ38Aの開度を設定する設定値や、揺動選別装置24を揺動させる揺動駆動機構43の揺動速度や揺動量を設定する設定値が相当する。このような設定値も、コンバイン20の記憶部に記憶しておいても良いし、ネットワークで接続された管理システム100に記憶しておいても良い。
【0071】
本実施形態では、上述した過去に圃場において作物を収穫した際に脱穀作業を行った圃場の位置を示す位置情報や、過去に圃場において作物を収穫した際に行った脱穀作業の結果を示す結果情報や、過去に行われた脱穀作業で使用した機器の設定値を示す機器設定値情報は、第1情報として扱われ、第1情報取得部71により取得される。
【0072】
第2情報取得部72は、現在実施している対地作業に関する情報を取得する。上述した第1情報は過去の実施した対地作業に係る情報である。一方、第2情報取得部72は、現在実施している対地作業における作業対象に関する情報を第2情報として取得する。具体的には、現在、圃場において収穫している最中に行う脱穀作業である。したがって、現在実施している対地作業に関する情報とは、コンバイン20が現在、圃場において作物を収穫している最中に行う脱穀作業に関する情報にあたる。脱穀作業に関する情報とは、例えば現在収穫中の圃場の位置を示す位置情報や、現在、行っている脱穀作業の結果を示す結果情報である。位置情報、結果情報については上述したので説明は省略する。
【0073】
判定部73は、第1情報と第2情報とを比較してコンバイン20の状態を判定する。第1情報は第1情報取得部71から伝達され、第2情報は第2情報取得部72から伝達される。コンバイン20の状態とは、コンバイン20が作業車両として予め規定された作業対象について対地作業を行うことができるか否かという観点でのコンバイン20の状態であって、判定部73は係る状態を判定する。
【0074】
具体的には、判定部73は、コンバイン20の状態としてコンバイン20が異常であるか否かを判定する。コンバイン20が異常であるとは、コンバイン20が収穫作業を行うために、圃場を適切に走行できない状態や、収穫した作物の脱穀作業が適切に行えない状態や、穀粒タンク12内の穀粒を穀粒排出装置14を介して外部に適切に排出することができない状態などをいう。なお、本実施形態では、これらの上記走行や脱穀作業や排出は、完全に行えない状態のみを異常というのではなく、本来の能力を発揮できない状態を異常という。判定部73は、第1情報と第2情報とを比較してコンバイン20の現在の状態が異常であるか否か、すなわち、現在のコンバイン20の各機能部が過去の機能部の状態と同様であるか否か(現在の機能部の出力が、過去の機能部の出力に対して所定範囲内に収まっているか否か)を判定する。
【0075】
また、判定部73は、コンバイン20の状態としてコンバイン20のメンテナンス時期を判定する。コンバイン20のメンテナンス時期とは、上述した現在のコンバイン20の各機能部が過去の機能部の状態と同様でなくなる(前記所定範囲内に収まらなくなる)と予想される時期である。このような時期は、例えば現在の状態と過去の状態とを継続して比較し、その差異の増減に基づいて予想することが可能である。このように判定部73は、第1情報と第2情報とを比較してコンバイン20のメンテナンスが必要となる時期を判定する。
【0076】
ここで、判定部73による、コンバイン20の状態の判定は、第1情報と所定の対地作業に関する情報とに基づいてコンバイン20の状態を判定する学習を行ったニューラルネットワークに第1情報と第2情報とを入力して行われると好適である。ここで、ニューラルネットワークとは、コンピュータに実行させる人間の脳を模したアルゴリズムであって、例えば上述した第1情報と第2情報とが入力された場合に、あたかも人間の脳が判別したような結果として、コンバイン20の状態の判定結果を出力するに構成されたものである。本実施形態のニューラルネットワークは、コンバイン20の状態を適切に判定できるように、予め学習を行っているものが用いられる。
【0077】
具体的には、本実施形態ではニューラルネットワークは、コンバイン20の所定の状態である場合の対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、当該所定の状態に沿ったコンバイン20の異常の度合(異常度)の判定結果や、メンテナンス時期の判定結果を出力するように学習が行われたものが用いられる。すなわち、上述した第2情報をニューラルネットワークに入力する前に、予め、例えば所定の異常度であるコンバイン20の対地作業に関する情報とラベル、異常でないコンバイン20の対地作業に関する情報とラベルを与えて、ラベル毎の異常度の特徴を学習させておく。これにより、第2情報を与えた場合に、コンバイン20が異常であるか否かを容易に判定することが可能となる。なお、この学習は、コンバイン20において継続して行うことも可能である。
【0078】
また、メンテナンス時期の判定も同様に、予め、例えばメンテナンス時期まで余裕があるコンバイン20の対地作業に関する情報とラベル、メンテナンスをすべきコンバイン20の対地作業に関する情報とラベルを与えて、ラベル毎のメンテナンス時期の特徴を学習させておく。これにより、第2情報を与えた場合に、コンバイン20のメンテナンス時期を容易に判定することが可能となる。
【0079】
換言すれば、判定部73は、コンバイン20が異常である時の対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、コンバイン20が異常であるとする判定結果を出力する学習、及びコンバイン20のメンテナンスが必要である時の対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、コンバイン20のメンテナンス時期の判定結果を出力する学習を行ったニューラルネットワークに第1情報と第2情報とを入力して行うと良い。
【0080】
報知部74は、判定部73の判定結果を報知する。報知部74には、判定部73から判定結果が伝達される。報知部74は、例えばコンバイン20に表示デバイスを設け、表示デバイスに判定部73の判定結果を表示するように構成しても良い。これにより、オペレータが、コンバイン20の状態を把握することが可能となり、適切に対処することが可能となる。
【0081】
記憶部75は、判定部73の判定結果を継続して記憶する。上述した判定部73の判定結果は、管理システム100の記憶部75に記憶することで、例えばオペレータがコンバイン20の状態を解析する場合等に参照することで有効活用できる。もちろん、記憶部75に記憶された判定結果は、記憶されてから所定の期間が経過すると削除するように構成することが可能である。
【0082】
上記実施形態では、作業車に関して普通型コンバインを例に挙げて説明したが、自脱型コンバインであっても良い。また、作業車は、田植機であっても良いし、トラクタであっても良い。また、これら以外の農機であっても良いし、建機であっても良い。
【0083】
上記実施形態では、第1情報は、実施済みの対地作業における作業対象に関する情報及び当該対地作業を実施した際のコンバイン20に関する情報が含まれ、第2情報は、現在実施している対地作業における作業対象に関する情報が含まれるとして説明したが、第1情報及び第2情報は、夫々、上述した情報以外の情報を含むように構成することも可能である。
【0084】
上記実施形態では、判定部73は、コンバイン20が異常であるか否かを判定し、コンバイン20のメンテナンス時期を判定するとして説明したが、判定部73は、コンバイン20が異常であるか否かの判定、及びコンバイン20のメンテナンス時期の判定のいずれか一方を行うように構成することも可能であるし、上記とは異なる判定を行うように構成することも可能である。
【0085】
上記実施形態では、管理システム100が報知部74及び記憶部75を備えているとして説明したが、報知部74及び記憶部75の双方を備えずに構成することも可能であるし、いずれか一方を備えるように構成することも可能である。
【0086】
上記実施形態では、コンバイン20の状態の判定は、第1情報と所定の対地作業に関する情報とに基づいてコンバイン20の状態を判定する学習を行ったニューラルネットワークに第1情報と第2情報とを入力して行われるとして説明したが、コンバイン20の状態の判定はニューラルネットワークを用いずに行うように構成することも可能である。
【0087】
上記実施形態では、判定部73は、コンバイン20が異常である時の対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、コンバイン20が異常であるとする判定結果を出力する学習、及びコンバイン20のメンテナンスが必要である時の対地作業に関する情報を教師データとして入力した場合に、コンバイン20のメンテナンス時期の判定結果を出力する学習を行ったニューラルネットワークに第1情報と第2情報とを入力して行うと良いとして説明したが、コンバイン20が異常であるとする判定結果を出力する学習、及びコンバイン20のメンテナンス時期の判定結果を出力する学習は、いずれか一方で良い。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、予め規定された作業対象について対地作業を行う作業車を管理する管理システムに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0089】
20:コンバイン(作業車)
71:第1情報取得部
72:第2情報取得部
73:判定部
74:報知部
75:記憶部
100:管理システム
図1
図2
図3
図4