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特許7403319男性失禁ガード、および男性失禁ガードを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】男性失禁ガード、および男性失禁ガードを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/471 20060101AFI20231215BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20231215BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20231215BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20231215BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20231215BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
A61F13/471
A61F13/15 200
A61F13/47 100
A61F13/475 100
A61F13/53 300
A61F13/534 100
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019569324
(86)(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2017067102
(87)【国際公開番号】W WO2018228710
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-02-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/064538
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ルーデン
(72)【発明者】
【氏名】ペータル・レンバリ
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】西本 浩司
【審判官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/071517(WO,A1)
【文献】特開2015-58326(JP,A)
【文献】特開2014-171573(JP,A)
【文献】特開2011-136078(JP,A)
【文献】国際公開第86/06620(WO,A1)
【文献】特表2002-523139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体不透過性バックシート(2)と、流体透過性トップシート(3)と、前記流体不透過性バックシート(2)と前記流体透過性トップシート(3)との間に配置された吸収材本体(4)と、を備える男性失禁ガード(1)であって、前記流体透過性トップシート(3)は、当該男性失禁ガード(1)が使用者によって着用されるときに前記使用者に面し、当該男性失禁ガード(1)は、縦軸(Y1)に沿った縦方向の広がりと、横軸(X1)に沿った横方向の広がりとを有し、前記横軸(X1)が、当該男性失禁ガード(1)の2つの最外点を定める第1の下側コーナー点(10)と第2の下側コーナー点(11)との間に延び、前記横軸(X1)は、当該男性失禁ガード(1)を上側領域(5)と下側領域(6)に分割している、男性失禁ガード(1)において、前記吸収材本体(4)は、積層構成で配置された主コア(4')と副コア(4'')とを備え、前記主コア(4')は、前記副コア(4'')の面積よりも大きいXY平面内の面積を有しているとともに、前記副コア(4'')には、少なくとも一部が前記縦軸(Y1)に平行である側縁(28、29)が形成され、前記側縁(28、29)は、前記下側領域(6)の縁に近接した端領域を有する、前記副コア(4'')の先細りセクションに連結され、さらに、前記側縁(28、29)が、当該男性失禁ガード(1)の横方向に当該男性失禁ガード(1)を折り畳むための折り畳み線(22、24)を規定していることを特徴とする男性失禁ガード(1)。
【請求項2】
平行な前記側縁(28、29)の長さが、縦方向の当該男性失禁ガード(1)の最大広がりのインターバル10~70%内ある、請求項1に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項3】
平行な前記側縁(28、29)間の前記副コア(4'')の幅が、当該男性失禁ガード(1)の最大幅のインターバル25~60%内であり、さらに/或いは、前記主コア(4')は、当該男性失禁ガード(1)の外縁を辿る外縁を有するとともに、当該男性失禁ガード(1)の外縁全体に沿って等しい幅を有する縁領域(9)を画定している、請求項1または2に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項4】
当該男性失禁ガード(1)が、前記第1の下側コーナー点(10)と前記第2の下側コーナー点(11)との間に第1の幅(w1)を有し、前記上側領域(5)は、第1の上側コーナー点(13)と第2の上側コーナー点(14)との間に延びるとともに弓形形状を有する内側に凹んだ湾曲部分(12)を備え、上側コーナー点(13、14)は、第2の幅(w2)を定めており、前記第1の幅(w1)は、前記第2の幅(w2)よりも大きく、前記第1の下側コーナー点(10)および第1の上側コーナー点(13)、ならびに前記第2の下側コーナー点(11)および第2の上側コーナー点(14)は、それぞれ外側側縁(15、17)によって連結される、請求項1から3のいずれか一項に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項5】
当該男性失禁ガード(1)には、下側コーナー点(10、11)から前記下側領域(6)に沿って先細り形状が形成され、さらに/或いは、前記内側に凹んだ湾曲部分(12)が、前記上側コーナー点(13、14)間に延びる外側境界縁(18)を規定し、前記外側境界縁(18)が、前記上側コーナー点(13、14)間に延びる仮想横断線(X2)の内側にあり、前記外側境界縁(18)が、60~1400mmの範囲内である半径(r1)を有している、請求項4に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項6】
前記第1の幅(w1)と前記第2の幅(w2)との間の比は、30~80%の範囲内であり、さらに/或いは、前記第1の幅(w1)が110~280mmの範囲内であり、さらに/或いは、前記第2の幅(w2)が50~151mmの範囲内である、請求項4または5に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項7】
前記縦軸(Y1)と平行であるとともに、前記上側コーナー点(13、14)のいずれか1つから前記横軸(X1)まで延びる仮想縦線(Y2)によって定められる距離(d1)と、下側コーナー点(10、11)のいずれか1つから前記仮想縦線(Y2)まで延びる距離(d2)との間の比は、0.25~4.0の範囲内であり、直線(16)が、前記下側コーナー点(10)および前記上側コーナー点(13)を通って延び、角度(α)が、前記直線(16)と前記仮想縦線(Y2)との間に規定され、前記角度(α)が12~78度の範囲内であり、さらに、測定値(d4)が、前記直線(16)と当該男性失禁ガード(1)の最大外側広がりとの間の距離として規定され、前記測定値(d4)が2~10mmの範囲内であり、或いは、前記測定値(d4)が、前記第1の下側コーナー点(10)と前記第1の上側コーナー点(13)との間の距離の25%未満である、請求項4から6のいずれか一項に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項8】
前記内側に凹んだ湾曲部分(12)の最大凹所深さ(d3)は、横断軸(X1)の下方に延びておらず、前記最大凹所深さ(d3)が2~30mmの範囲である、請求項4から7のいずれか一項に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項9】
当該男性失禁ガード(1)の下側領域(6)は、前記内側に凹んだ湾曲部分(12)の半径(r1)に対して0.9~1.1の比を定める半径(r2)を備えた凸形弓形形状を有する下縁(19)を備え、或いは、前記外側側縁(15、17)が直線である、請求項4から8のいずれか一項に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項10】
前記主コア(4')および前記副コア(4'')の少なくとも1つは、超吸収性材料で構成され、前記超吸収性材料が、超吸収性ポリマーまたは発泡体の形態である、請求項1から9のいずれか一項に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項11】
当該男性失禁ガード(1)は、前記下側領域(6)の外縁(9)に沿って配置された伸縮性のある要素(20)を有して配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項12】
前記伸縮性のある要素(20)は、当該男性失禁ガード(1')に取り付けられる伸縮性のある膜の形態、当該男性失禁ガード(1)に取り付けられる弾性糸の形態、当該男性失禁ガード(1)に取り付けられる弾性発泡体の形態、当該男性失禁ガード(1)に取り付けられる弾性ラミネートの形態のうちのいずれか一形態である、請求項11に記載の男性失禁ガード(1)。
【請求項13】
縦軸(Y1)に沿った縦方向の広がりと、横軸(X1)に沿った横方向の広がりとを有する男性失禁ガード(1)であって、前記横軸(X1)が、該男性失禁ガード(1)の2つの最外点を定める第1の下側コーナー点(10)と第2の下側コーナー点(11)との間に延び、前記横軸(X1)が、該男性失禁ガード(1)を上側領域(5)と下側領域(6)に分割している、男性失禁ガード(1)を製造する方法であって、
流体不透過性バックシート(2)を用意するステップと、
流体透過性トップシート(3)を用意するステップと、
前記流体不透過性バックシート(2)と前記流体透過性トップシート(3)との間に吸収材本体(4)を用意するステップと、
を含む方法において、
主吸収性コア(4')と副吸収性コア(4'')とを積層構成に配置することによって前記吸収材本体(4)を用意するステップであって、前記主吸収性コア(4')は、前記副吸収性コア(4'')の面積よりも大きいXY平面内の面積を有するとともに、前記副吸収性コア(4'')には、少なくとも一部が前記縦軸(Y1)に平行である側縁(28、29)が形成され、前記側縁(28、29)が、前記下側領域(6)の縁に近接した端領域を有する、前記副吸収性コア(4'')の先細りセクションに連結される、前記吸収材本体(4)を用意するステップと、
前記男性失禁ガード(1)の左部分(21)を前記男性失禁ガード(1)の中心の方へ折り畳むとともに、前記男性失禁ガード(1)の右部分(23)を前記男性失禁ガード(1)の中心の方へ折り畳むステップであって、前記右部分(23)が前記左部分(21)を少なくとも部分的に覆うように、前記男性失禁ガード(1)の横方向に、前記副吸収性コア(4'')の側縁(28、29)によって定められる折り畳み線(22、24)に沿って、折り畳むステップと、
前記左部分(21)と前記右部分(23)の両方を部分的に覆うように上向きに底部(25)を折り畳むステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記底部(25)は、前記男性失禁ガード(1)の上縁(26)と前記底部(25)の上縁(27)との間の距離(d5)を形成しつつ折り畳まれ、前記距離(d5)は、±30mmまでである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の個々に包まれる吸収性物品(1)のパッケージであって、前記吸収性物品(1)は、請求項13または14に従って製造され、それぞれの前記吸収性物品(1)が、個々に包まれている、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体不透過性バックシートと、流体透過性トップシートと、バックシートとトップシートとの間に配置される吸収材本体とを備える男性失禁ガードであって、トップシートは、失禁ガードが使用者によって着用されるときに使用者に面し、ガードは、縦軸に沿った縦方向の広がりと、横軸に沿った横方向の広がりとを有し、横軸は、ガードを上側領域と下側領域に分割し、上側領域は、横軸に沿った下側領域の最大広がりよりも大きい横軸に沿った最大広がりを有する、男性失禁ガードに関する。
【0002】
本発明は、縦軸に沿った縦方向の広がりと、横軸に沿った横方向の広がりとを有する男性失禁ガードであって、横軸は、ガードを上側領域と下側領域に分割する男性失禁ガードを製造する方法にも関する。この方法は、流体不透過性バックシートを用意することと、流体透過性トップシートを用意することと、バックシートとトップシートとの間の吸収材本体を用意することとを含む。
【背景技術】
【0003】
例えば失禁ガード、赤ちゃん用おむつ、および生理用ナプキンの形態の吸収性物品は、よく知られている。そのような吸収性物品の一般的な目的は、様々なタイプの身体滲出物を吸収し、分散させ、収容するとともに、吸収性物品の使用中に着用者に高いレベルの快適さおよび乾燥感覚をもたらすことである。また、そのような吸収性物品は、着用者が身体滲出物によって衣類を汚すのを防ぐ。
【0004】
失禁ガードの形態の吸収性物品は、着用者を尿漏れから保護するために使用される。男性失禁ガードについては、そのような物品は、明らかに男性使用者のために構成されており、不要な尿漏れから保護するように生殖器を覆うように設計されている。他の点で身体障害者ではない男性は、失禁ガードはかさばり、大きすぎて着用できないとみなされており、従来の衣服と常に一緒に使用できないので、通常、おむつの形態の失禁ガードを使用しないことを好む。その代わりに、軽い失禁のある男性向けである特別な男性失禁ガードが、開発されてきた。そのような失禁ガードは、比較的薄く、使用中に男性生殖器を覆うようなやり方で成形されている。そのような失禁ガードは、ガードが着用されているときに吸収性物品の中に放たれることが予期される流体を吸収するのに十分である吸収能力で設計され得る。
【0005】
上述したタイプの以前から知られている男性失禁ガードは、特許文献1から知られている。
【0006】
男性失禁ガードについて、いくつかの要求が存在する。失禁ガードは、使用者の普通の下着内部に着用され、軽い尿漏れからの保護を行うように設計されるべきであることが明らかである。このために、知られている男性失禁ガードは、使用者の下着および身体に最適なフィットを与えるように形成されている。また、そのような失禁ガードは、尿を吸収するために製品の縦軸に沿って配置される吸収性材料のコアを備える。
【0007】
さらに、男性失禁ガードは、通常、着用者にフレッシュ感および乾燥感を与える柔らかいトップシートを備える。ガードは、やはり比較的薄くあるべきであり、一般に、使用中にガードが着用者の通常の服を通して見えないように目立たない形状で設計されるべきである。最後に、ガードは、適切な接着手段を備えることができ、ガードが着用者の下着に取り付けられることを可能にする。ガードは、容易に曲げられることも必要であり、使用中に着用者の解剖学的構造に従うように成形されている。
【0008】
特許文献1に開示された物品は、軽い尿漏れからの保護に関する基本的な要求を満たすにも関わらず、この技術分野内でさらなる改善の必要がある。まず、様々な解剖学的構造の男性の下着に所定の位置でしっかりフィットおよび保持できる種類の男性失禁ガードの需要がある。詳細には、失禁ガードは、生殖器をしっかりしたやり方で覆うようにそれが使用者の腹部の下から下向きに延びるように配置されなければならない。
【0009】
次に、失禁ガードは、使用者が動き回ったり、使用者が座ったり立ち上がったりする状況でも、失禁から意図された保護を与えるように、失禁ガードが所定に位置にあるときに正しい意図された形状を仮定しなければならないことが要求される。
【0010】
知られている男性失禁ガードが常に使用者の腹部の下で正しいフィットに適しているとは限らず、それが所定の位置にあるときに正しい意図された形状を常に確実にするとは限らないことが分かっている。これは、最適な失禁プロテクションが常に保証されるわけではないことを意味する。
【0011】
さらに、失禁ガードについて費用対効果が高い製造方法に関する要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第86/06620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明によれば、本分野内の先行技術に関連した上述した課題を解決するように構成される男性失禁ガードが提供される。詳細には、失禁ガードは、使用中に意図された姿勢で着用者にとって最適なフィットを確実にするように構成されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、本目的は、流体不透過性バックシートと、流体透過性トップシートと、バックシートとトップシートとの間に配置された吸収材本体とを備える男性失禁ガードであって、トップシートは、失禁ガードが使用者によって着用されるときに使用者に面し、ガードは、縦軸に沿った縦方向の広がりと、横軸に沿った横方向の広がりとを有し、横軸は、ガードを上側領域と下側領域とに分割し、上側領域は、横軸に沿った下側領域の最大広がりよりも大きい横軸に沿った最大広がりを有する男性失禁ガードによって得られる。さらに、吸収材本体は、積層構成で配置された主コアと副コアとを備え、主コアは、副コアの面積よりも大きいXY平面内の面積を有しているとともに、副コアには、縦軸に少なくとも一部ほぼ平行である側縁が形成されている。
【0015】
本発明は、いくつかの利点をもたらす。まず、本発明は、様々な解剖学的構造の男性の下着に所定の位置でしっかりフィットおよび保持される失禁ガードの必要を満たす。次に、副コアには、縦軸に少なくとも一部ほぼ平行である側縁が形成されるので、本発明は失禁ガードの製造において利点をもたらす。そのような一実施形態は、それが製造プロセス中に各ガードの精確で効率的な折り畳みを可能にするので、失禁ガードの製造中に有利である。
【0016】
一実施形態によれば、側縁は、ガードの横方向にガードを折り畳むための折り畳み線として構成される。
【0017】
さらなる実施形態によれば、ほぼ平行な側縁の長さは、縦方向の男性失禁ガード最大広がりの、インターバルで10~70%、好ましくは15~60%、最も好ましくは20~50%内にある。
【0018】
さらなる実施形態によれば、ほぼ平行な側縁間の副コアの幅は、ガードの最大幅の、インターバルで25~60%、好ましくは35~55%内である。
【0019】
一実施形態によれば、主コアは、ガードの外縁をほぼ辿る外縁を有し、ガードの外縁全体に沿ってほぼ等しい幅を有する縁領域を定める。
【0020】
一実施形態によれば、横軸は、間にガードが第1の幅を有するガードの2つの最外点を定める第1の下側コーナー点と第2の下側コーナー点との間に延び、上側領域は、第1の上側コーナー点と第2の上側コーナー点との間に延びるとともに弓形形状を有する内側に凹んだ湾曲部分を備え、上側コーナー点は、第2の幅を定めており、第1の幅は、第2の幅よりも大きく、第1の下側コーナー点および第1の上側コーナー点、ならびに第2の下側コーナー点および第2の上側コーナー点は、それぞれ外側側縁によって連結される。
【0021】
上述した内側に凹んだ湾曲部分が設けられることにより、失禁ガードは、生殖器をしっかりしたやり方で覆うように使用者の腹部の下から下向きに延びるように配置されることが分かっている。特に、本発明による失禁ガードの幾何学的形状は、上述した上側および下側コーナー点によって定められるように、失禁から意図された保護を同時に与えつつ、使用者が繰り返し座ったり立ち上がったりするときでも、ガードのしっかりとした配置をもたらす。
【0022】
一実施形態によれば、失禁ガードには、下側コーナー点からおよび下側領域に沿って認められるように先細り形状が形成されている。これにより、使用中にガードを男性生殖器の上に正しいやり方で配置することを可能にする。
【0023】
さらなる実施形態によれば、前述したような内側に凹んだ湾曲部分は、上側コーナー点間に延びる外側境界縁を定め、外側境界縁は、上側コーナー点間に延びる仮想横断線の内側にある。外側境界縁は、60~1400mmの範囲内である半径を有する。
【0024】
また、第1の幅と第2の幅との間の関係は、30~80%の範囲内である。一実施形態によれば、第1の幅は、110~280mmの範囲内である。さらに、第2の幅は、50~151mmの範囲内である。
【0025】
さらに、一実施形態によれば、縦軸と平行であるとともに、上側コーナー点のいずれか1つから横断軸まで延びる仮想縦線によって定められる距離と、下側コーナー点のいずれか1つから縦線まで延びる距離との間の比は、0.25~4.0の範囲内である。
【0026】
さらなる実施形態によれば、直線は、下側コーナー点および上側コーナー点を通じて延びると定められ、角度は、直線と仮想縦線との間に定められ、角度は、12~78度の範囲内である。
【0027】
さらなる実施形態によれば、測定値は、直線と失禁ガードの最大外側広がりとの間の距離として定められ、この測定値は、2~10mmの範囲内であり、または測定値は、第1の下側コーナー点と第1の上側コーナー点との間の距離の25%未満である。
【0028】
さらなる実施形態によれば、内側に凹んだ湾曲部分の最大凹所深さd3は、横断軸の下方に延びていない。好ましくは、最大凹所深さd3は、2~30mmの範囲である。
【0029】
一実施形態によれば、下側領域は、内側に凹んだ湾曲部分の半径に対して0.9~1.1の比を定める半径を備えた凸形弓形形状を有する下縁を備える。
【0030】
一実施形態によれば、主コアおよび副コアの少なくとも1つは、超吸収性材料で構成される。
【0031】
一実施形態によれば、ガードは、下側領域の外縁に沿って配置された伸縮性のある要素を有して配置される。
【0032】
さらに、上述した本発明の目的は、縦軸に沿った縦方向の広がりと、横軸に沿った横方向の広がりとを有する男性失禁ガードを製造する方法であって、横軸は、ガードを上側領域と下側領域に分割しており、流体不透過性バックシートを用意するステップと、流体透過性トップシートを用意するステップと、バックシートとトップシートとの間に吸収材本体を用意するステップとを含んだ方法によって得られる。さらに、この方法は、主吸収性コアと副吸収性コアとを積層構成に配置することによって吸収材本体を用意するステップであって、主コアは、副コアの面積よりも大きいXY平面内の面積を有する、用意するステップと、失禁ガードの第1の部分を失禁ガードの中心の方へ折り畳むとともに、失禁ガードの第2の部分を失禁ガードの中心の方へ折り畳むステップであって、それが第1の部分を少なくとも部分的に覆うようになっており、ガードの横方向に、および縦軸に少なくとも一部ほぼ平行である副コアの側縁によって定められる折り畳み線に沿って実行される、折り畳むステップと、第1の部分と第2の部分の両方を部分的に覆うように上向きに底部を折り畳むステップとを含む。
【0033】
本発明のさらなる利点および有利な特徴は、以下の説明および従属請求項に開示されている。
【0034】
本発明は、添付図面に示された図を参照して以下より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態による男性失禁ガードの上方からの図である。
図2図1の線IIに沿った男性失禁ガードの断面図である。
図3】第1のプロセスステップにおける製造プロセス中に男性失禁ガードを折り畳むプロセスを示す図である。
図4】第2のプロセスステップにおける製造プロセス中に男性失禁ガードを折り畳むプロセスを示す図である。
図5】第3のプロセスステップにおける製造プロセス中に男性失禁ガードを折り畳むプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の様々な態様は、添付図面を参照して以下より完全に説明される。しかしながら、本明細書中に開示された実施形態は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書中に記載された態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0037】
まず図1を参照すると、本発明の一実施形態による男性失禁ガード1の形態で吸収性物品の上方からの図が示されている。男性失禁ガード1は、男性使用者向けの軽い尿漏れを吸収するように設計および最適化された失禁プロテクタ物品である。このために、以下詳細に説明されるように、失禁ガード1は、着用者に乾燥した、快適な、臭いのしない感覚を提供する、着用者から尿を迅速に吸い取る吸収性構造に基づいている。
【0038】
図1は、上方からの図において失禁ガード1を示しており、これにより、失禁ガード1は、流体不透過性バックシート2と流体透過性トップシート3とを備えることを理解することができる。失禁ガード1は、バックシート2とトップシート3との間に挟まれている吸収性コア4も備える。以下より詳細に説明されるように、吸収性コア4は、2つの吸収性層によって、すなわち、主吸収性コア4'と副吸収性コア4''の形態で構成され、副吸収性コア4''は、主吸収性コア4'よりも小さい面積を有する。
【0039】
トップシート3は、失禁ガード1の表面、すなわち、着用者に面する側に配置される。バックシート2は、失禁ガード1の下側に、すなわち、着用者の下着に面して配置される。さらに、バックシート2とトップシート3の両方は、失禁ガード1の全周に沿って吸収性コア4の外側で側方に広がる。以下より詳細に説明されるように、トップシート3、バックシート2、および吸収性コア4は、その特定の目的に適した任意の材料からなり得る。
【0040】
さらなる実施形態によれば、1つまたは複数の追加の層が、失禁ガード1に設けられてもよい。例えば、取得層が、吸収性コア4とトップシート3との間に配置されてもよい。
【0041】
失禁ガード1の上述した層は、接着剤、熱接合、または超音波接合によるなどの任意の従来の手段によって互いに連結することができる。
【0042】
図1に示されるように、失禁ガード1は、縦軸Y1に沿った縦方向の広がりと、横軸X1に沿った横方向の広がりとを有する。横軸X1は、使用者によって着用されるとみなされるときに、失禁ガード1を上側領域5と下側領域6に分割する。これは、上側領域5が、失禁ガード1の使用中に使用者の腹部の方へ上向きに向けられるように意図されているのに対して、下側領域6は、使用中に着用者の生殖器を覆うように下向きに向いているように意図されていることを意味する。
【0043】
図2は、図1に示された横断軸X1に沿った断面図である。次に、主に図1および図2を参照して、失禁ガード1の一部を形成する様々な層2、3、4'、4''をより詳細に説明する。
【0044】
一実施形態によれば、バックシート2は、高分子膜、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンの膜などの流体不透過性かつ通気性の層によって構成される。異なる実施形態によれば、バックシート2を製造するために使用できる材料には、薄くて可撓性の流体不透過性プラスチック膜、または流体不透過性不織布材料、流体不透過性発泡体、および流体不透過性ラミネートが含まれる。
【0045】
図面に示された実施形態によれば、バックシート2は、単一層によって形成されるが、代替として、多層構造、すなわち、ラミネートによって形成されてもよく、少なくとも1つの層は、流体不透過性である。さらに、適宜、バックシート2は、あらゆる方向に弾力があり得る。また、特に、比較的少量の尿が失禁ガード1によって吸収されることが予期される場合、完全には流体不透過性でないがただ流体を透過させにくいバックシート材料が使用され得る。さらなる実施形態によれば、バックシート2は、通気性とすることができ、このことは空気および蒸気がバックシート2を通過することができることを意味する。さらに、任意選択で、バックシート2は、不織布などの織物材料からなる外側の衣類に面する表面を有することができる。
【0046】
さらに、一実施形態によれば、トップシート3は、熱可塑性合成繊維製である流体透過性不織布または不織膜によって形成される。トップシート3は、排泄された尿などの体液がトップシート3の厚みを通り抜けることを可能にするために、十分に流体透過性である。また、トップシート3は、着用者の皮膚に適合しかつ柔らかい肌触りである材料から適切に製造される。
【0047】
異なる実施形態によれば、トップシート3は、様々なウェブ材料、例えば、織布および不織布のウェブおよび膜、発泡体、または上述した材料の組合せから製造することができる。トップシート3に使用され得る不織布材料は、例えば、カード樹脂結合材料(carded resin bonded materials)、カードスルーエアーボンド材料(carded through-air bonded materials)、スパンボンドメルトボントスパンボンド材料(spunbond-meltbond-spunbond materials)、カードハイドロエンタングル材料(carded hydroentangled materials)、またはカードサーモボンド材料(carded thermobonded materials)であり得る。トップシート3は、それが伸びることができることを可能にする弾性特性も有し得る。
【0048】
さらなる実施形態によれば、トップシート3は、有孔プラスチック膜の形態であってもよく、これは、そこで、液透過性シートとして働く。
【0049】
図1および図2に示されるように、バックシート2の後側は、下着(図示せず)内部で失禁ガード1を固定する固定手段を備える。固定手段は、1つまたはいくつかの接着剤セクション7の形態とすることができ、この接着剤セクション7は、バックシート2の後側に配置されるとともに、縦軸Y1に対して平行または非平行なやり方で延びるように配置される。図2に示されるように、接着剤セクション7は、失禁ガード1が使用されていない状態にあるとき、剥離紙層8で覆われている。ガード1が使用されるとき、剥離紙層8は、使用者によって除去され、ガード1が下着に固定できるようになる。
【0050】
代替実施形態によれば、失禁ガード1は、当業界で知られているように、様々なタイプの固定手段を、面ファスナタイプまたは異なるタイプの組合せのファスナなどの摩擦式ファスナ、機械式ファスナの形態で備えることができる。
【0051】
さらに、図1および図2に示した実施形態によれば、失禁ガード1は吸収性コア4を備え、この吸収性コア4は、主吸収性コア4'と副吸収性コア4''とによって形成されている。主コア4'および副コア4''は、積層構成で配置されている。本実施形態によれば、これは、副コア4''が主コア4'の上に配置されること、すなわち、失禁ガード1'の使用中に、副コア4''が着用者の身体の身体に最も近いようになることを意味する。代替として、副吸収性コアは、主吸収性コアの真下に配置されてもよく、すなわち、失禁ガードの使用中に、主吸収性コアは、着用者の身体に最も近いようになる。
【0052】
コア4'、4''の一方または両方は、セルロースのフラッフパルプの繊維で構成することができる。代替実施形態によれば、コア4'、4''は、当業界で知られているような任意の適切な吸収材または流体吸収材料で構成することができ、例えば、これは、発泡体、繊維詰め物、セルロースのないSAP-ラミネート、および同様の材料である。
【0053】
さらなる実施形態によれば、各吸収性コア4'、4''は、適切な量の超吸収性粒子を含む。そのような超吸収性材料は、吸収性物品の分野でよく知られており、ヒドロゲルが形成されると大量の流体を吸収することができる水膨潤性および非水溶性の材料によって構成される。普通の超吸収性材料は、それ自体の重量の少なくとも10倍の流体を吸収することができる。一実施形態によれば、コア4'、4''ごとの超吸収性粒子の量は、つまり、それぞれの吸収性コア4'、4''の総重量に対して、独立して、少なくとも10重量%、例えば少なくとも25%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも75%、そして100%までである。
【0054】
超吸収材は、吸収性コア4の材料の中に、すなわち、主コア4'よび副コア4''の一方または両方の中に混合され、あるいは結合剤または固定層によって基板に固定された層として配置される。吸収性コア4は、その特性を改善する構成要素をさらに組み込むことができる。そのような構成要素のいくつかの例は、当業界で知られているようなバインダー繊維、流体分散材、流体取得材などである。一実施形態によれば、セルロースフラッフパルプと超吸収性物品の混合物は、吸収性コア4全体にわたってほぼ均質なやり方で混合される。
【0055】
一実施形態では、吸収性コアの総重量に対する超吸収性粒子の量は、主コア4'と副吸収性コア4''との間で異なる。例えば、副吸収性コア4''内のコアの総重量に対する超吸収性粒子の量は、主コア4'内の超吸収性粒子の量よりも例えば少なくとも25%、例えば少なくとも50%または少なくとも100%高い場合がある。
【0056】
さらなる実施形態によれば、吸収性コア4は、同じまたは異なる材料のラミネートを有する層状構造であり得る。吸収性層、すなわち、2つのコア4'、4''は、均一の厚さを有することができ、または層の異なる部分において厚さが変動してもよい。また、吸収性コア4の基本重量および組成は、そのような吸収性層内で変動し得る。
【0057】
図1は、失禁ガード1が着用されているときの着用者の身体の方に向いているように意図されている失禁ガード1の側面図を示す。本実施形態による失禁ガード1が、ほぼ三角形であるとともにその下側領域6に沿って先細りである形状を有することが図1から見ることができる。これは、図1に示されるように、例えば、失禁ガード1の隅および側面は、多かれ少なかれ丸くなっていてもよいことを意味する。
【0058】
さらに、上述したように、バックシート2およびトップシート3は、失禁ガード1の周囲のまわりに延びる縁領域9に沿って互いに連結されている。主コア4'は、バックシート2およびトップシート3の面積よりもわずかに小さい面積を有するサイズである。一実施形態によれば、縁領域9は、失禁ガード1の全周に沿ってほぼ同じ幅を有する。言い換えれば、主コア4'の外縁とガード1の外縁との間の距離が縁領域9に沿ってほぼ等しいままであるように、主コア4'は、失禁ガード1の周囲を辿るように配置されている。
【0059】
さらに、副コア4''は、縦軸Y1に少なくとも一部ほぼ平行である側縁28、29で形成されている。側縁28、29は、副コア4''の先細りセクションに連結されており、これは、図1に示されるように、下側領域6の縁の比較的近くにその端領域を有する。以下に説明されるように、側縁28、29を有する構成の目的は、ガード1が横方向に折り畳まれるときに、製造プロセスを簡単にすることである。
【0060】
図1に示した実施形態によれば、男性失禁ガード1は、横軸X1が第1の下側コーナー点10と第2の下側コーナー点11との間に延びるように配置される。これらの下側コーナー点10、11は、横軸X1に沿って失禁ガード1の2つの最外点を定める。これらの下側コーナー点10、11間の距離、すなわち、図1に示されるように、失禁ガード1の最大幅は、第1の幅w1によって定められる。
【0061】
図1を参照すると、異なる実施形態によれば、下側コーナー点10、11は、異なる形状および丸み、例えば、ソフトに丸くなっている形状またはより鋭く尖った隅の形状によって構成することができることが指摘されるはずである。
【0062】
さらに、上側領域5は、第1の上側コーナー点13と第2の上側コーナー点14との間に延びる内側に凹んだ湾曲部分12を備える。湾曲部分12は、上側領域5の中に延びる概して弓形形状を有する。また、横断方向に沿った上側コーナー点13、14間の距離は、第2の幅w2によって定められる。
【0063】
第1の下側コーナー点10および第1の上側コーナー点13は、本実施形態によれば外側にかつわずかに丸い形状を有する第1の外側側縁15によって連結されている。第1の下側コーナー点10および第1の上側コーナー点13を通じて延びる仮想直線16も定めることができる。同様にして、第2の下側コーナー点11および第2の上側コーナー点14は、外側にかつわずかに丸い形状をやはり有する第2の外側側縁17によって連結されている。第1および第2の外側側縁15、17は、横軸X1の方向に沿って、すなわち、ここに認められるように、上側コーナー点13、14から下側コーナー点10、11へ外側に延びる。
【0064】
図1に示されるように、第1の幅w1は、第2の幅w2よりも大きく、すなわち、下側コーナー点10、11は、失禁ガード1の側方最外点を定める。
【0065】
要するに、開示された実施形態による男性失禁ガード1は、横軸X1が、ガード1の2つの側方に延びるかつ最外の点を結果として定める第1の下側コーナー点10と第2の下側コーナー点11との間に延びるように構成されている。これらの端点10、11の間で、ガード1は、横方向に沿って見られるように、第1の幅w1を有する。また、上側領域5は、第1の上側コーナー点13と第2の上側コーナー点14との間に延びる内側に凹んだ湾曲部分12を備える。湾曲部分12は、上側コーナー点13、14が横方向に第2の幅w2を定めるようなやり方で弓形形状を有する。図1の実施形態に示されるように、第1の幅w1は、第2の幅w2よりも大きい。また、第1の下側コーナー点10および第1の上側コーナー点13、ならびに第2の下側コーナー点11および第2の上側コーナー点14も、それぞれ、外側側縁15、17によって連結される。これらの外側側縁15、17は、ソフトに丸くなっている縁として図1に示されているが、代替として、ほぼ直線の縁によって形成することもできる。
【0066】
図1および図2に示された失禁ガード1の構成の目的は、十分な吸収特性を維持するとともに費用対効果が大きい製造プロセスも可能にしつつ、使用者のためのしっかりして快適なフィットについてのその有利な特性に貢献することである。
【0067】
図1に示した実施形態によれば、失禁ガード1は、縦軸Y1に対して対称的である。また、ガード1は、ここに認められるように、下側コーナー点10、11からかつ下側領域6に沿って下方に先細り形状を有する。さらに、図1の本実施形態によれば、下側領域6は、ほぼ直線縁で形成される。代替として、下側領域の形状は凸形状、すなわち外側にわずかに湾曲している形状を有してもよい。
【0068】
図1に示した実施形態によれば、上述した内側に凹んだ湾曲部分12は、2つの上側コーナー点13、14間に延びる外側境界縁18を定める。外側境界縁18は、横軸X1にほぼ平行である仮想横断線X2の内側にあり、上側コーナー点13、14間に延びる。
【0069】
図1および図2に示された実施形態を参照すると、外側境界縁18は、60~1400mmの範囲内、好ましくは120~500mmの範囲内である半径r1を有することが留意され得る。
【0070】
また、第1の幅w1の値と第2の幅w2の値との間の比は、30~80%の範囲内、好ましくは40~75%の範囲内にある。第1の幅w1および第2の幅w2の実際の測定に関しては、第1の幅w1は、110~280mmの範囲内にあることが留意され得る。また、第2の幅(w2)は、50~151mmの範囲内である。
【0071】
さらに、一実施形態によれば、図1に示されるように仮想縦線Y2によって定められ、かつ縦軸Y1に平行であるとともに上側コーナー点13、14のいずれか1つから横断軸X1まで延びる距離d1と、下側コーナー点10、11のいずれか1つから仮想縦線Y2まで延びる距離d2との間の比は、0.25~4.0の範囲内、好ましくは0.5~2.0の範囲内である。
【0072】
図1をさらに参照すると、直線16は、第1の下側コーナー点10および第1の上側コーナー点13を通じて延びるものと定義することができる。そして、角度αは、直線16と上述した仮想縦線Y2との間で定義することができる。角度αは、12~78度の範囲内であり、好ましくは22~68度の範囲内である。
【0073】
さらに、図面に示されるように、男性失禁ガード1の下側領域6は、下縁19を備えることができ、この下縁19は、凸形弓形形状を有しており、半径r2は、内側に凹んだ湾曲部分12の半径r1に対して0.9~1.1の比を定める。
【0074】
さらに、代替として、本発明は、内側に凹んだ湾曲部分12が円に均等でない幾何学的形状を有するように、すなわち、それが半径によって定めることができないように配置されてもよい。そのような場合には、内側に凹んだ湾曲部分12の最大凹所深さd3が、定められ得る。一実施形態によれば、湾曲部分12は、横断軸X1の下方に延びない。さらに、最大凹所深さd3は、2~30mmの範囲内、好ましくは2~20mmの範囲内である。
【0075】
さらに別の測定値d4は、図1に示されるように、第1の下側コーナー点10および第1の上側コーナー点13を通じて延びる上述した直線16と失禁ガード1の左上コーナーの最大広がりとの間の距離として定義することができる。一実施形態によれば、距離d4は、2~10mmの範囲内である。この距離d4を定める別のやり方は、距離d4が、第1の下側コーナー点10と第1の上側コーナー点13との間の距離の25%未満であると示すことによるものである。
【0076】
上述したように、男性失禁ガード1は、図面に示されるように、ガード1の外縁をほぼ辿る外縁を有する主コア4'を含む吸収材本体4を備える。図1に示されるように、外縁は、ガード1の外縁全体に沿ってほぼ等しい幅を有する縁領域9を定める。
【0077】
さらに、図1に示した実施形態によれば、失禁ガード1は、下側領域6の外縁9に沿って配置される伸縮性のある要素20を備える。好ましくは、伸縮性のある要素20は、失禁ガード1に取り付けられている伸縮性のある膜の形態にある。代替実施形態によれば、伸縮性のある要素20は、ガード1に取り付けられる弾性糸、弾性発泡体、または弾性ラミネートの形態にあり得る。
【0078】
上記の男性失禁ガード1を製造するプロセスは、次に説明されるいくつかのステップを含む。まず、吸収性コア4は、そのようなものとして知られているやり方でバックシート2とトップシート3との間に挟まれる。続いて、失禁ガード1は、次に図3図4、および図5を参照して説明されるやり方で折り畳まれる。
【0079】
まず、図3を参照すると、失禁ガード1の第1の(図中左)部分21が、縦中央線Y1に実質的に平行に延びる第1の折り畳み線22が縦中央線Y1の第1の側で定められるようにガード1の中心の方へ折り畳まれる。次に、図4に示されるように、失禁ガード1の第2の(図中右)部分23は、ガードの中心の方へ折り畳まれ、それによって縦中央線Y1に実質的に平行に延びる第2の折り畳み線24が定められ、左部分21の外側部分を部分的に覆うようなやり方で第1の折り畳み線22に対して中央線の反対側に配置される。
【0080】
前述の折り畳むステップでは、折り畳みプロセスを容易にするために、および縦中央線に実質的に平行である折り畳み線22、24を得るのを助けるために、副コア4''の側縁28、29は、補強構造として構成されるように、または縁28、29が支持体として使用されるように折り畳み線22、24を定めるように使用することができる。さらに、好ましくは、折り畳みは、側縁でまたは側縁の近くで行われるが、副コアがそれ自体の上に折り畳まれないようになっており、それによって折り畳まれる物品の厚さを減少させ、任意の続く折り畳むステップおよび折り畳まれる物品のパッケージングを助ける。
【0081】
最後に、図5に示されるように、底部25は、左部分21と右部分23の両方を部分的に覆うように横断中心線X1に実質的に平行な折り畳み線に沿って上方に折り畳まれる。このプロセス中、底部25が失禁ガード1の上縁26の方へ上向きに折り畳まれることも確実にされる。図5に示された距離d5によって定められるように、失禁ガード1の上縁26と底部25の縁27との間の距離によって形成される間隙が存在し得る。
【0082】
折り畳まれた状態において、上縁26は、図5に示されるように、底部の縁27を越えて延びることができ(d5に正の数字を与える)、または代替として、底部の縁27は、上縁26を越えて延びることができる(図5に示されておらず、d5に負の値を与える)。一実施形態によれば、この距離d5は±30mmまでであり、好ましくは±10mmまでである。図3図5に示されるように失禁ガード1を折り畳むことによって、利点は、折り畳まれた失禁ガード1の上部が製品の残りの部分よりも薄くなることによって得られ、このことは、使用者がパッケージ内の製品を把持し、それをパッケージの外へ取り出すことを容易になることを意味する。
【0083】
好ましくは、まず、複数の失禁ガード1が、折り畳まれ、個々のプラスチック包装材に適切に個々に包まれ、次いで、プラスチックまたは紙の袋または箱などの(図面に示されていない)パッケージングユニット内で適切な構成に配置される。この構成は、図5に示されたようなやり方で折り畳まれた複数のガード1に対応する。
【0084】
図1は、2つの吸収性コア、すなわち、主吸収性コア4'および副吸収性コア4''が使用されている本発明の一実施形態を示す。述べたように、この配置は、上述した製造プロセスについて、すなわち、図3図5を参照して説明した折り畳み手順に関して簡単にすることが特に意図されている。このために、副吸収性コア4''には、縦軸Y1に少なくとも一部ほぼ平行である側縁28、29が形成されている。また、さらなる実施形態によれば、側縁28、29の位置は、例えば図4に示され、すなわち、ガード1をガード1の横方向に折り畳むための上記の折り畳み線22、24に実質的に対応する。
【0085】
一実施形態によれば、側縁28、29の長さは、男性失禁ガード1のその縦方向における最大広がりの、インターバルで10~70%、好ましくは15~60%、最も好ましくは20~50%の範囲内である。または、ほぼ平行な側縁28、29間の副コア4''の幅は、ガード1の最大幅の、インターバルで25~60%、好ましくは35~55%の範囲内である。
【0086】
本発明は、本実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更されてもよい。例えば、図1および図2に示されるように、失禁ガード1の特定の形状は、本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。また、本発明のガード1の形状は、図1に示されるように、物品を通る横中心線に関して対称的であってもよく、または様々な形状および/または様々なサイズを有する端部に対して非対称であってもよい。
【0087】
さらに、吸収性物品1を形成する異なる層に使用される材料および寸法は、上に示したように、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 男性失禁ガード、失禁ガード、ガード、吸収性物品
2 流体不透過性バックシート、バックシート
3 流体透過性トップシート、トップシート
4 吸収性コア、吸収材本体
4' 主吸収性コア、主コア、コア
4'' 副吸収性コア、副コア、コア
5 上側領域
6 下側領域
7 接着剤セクション
8 剥離紙層
9 縁領域
10 第1の下側コーナー点、端点
11 第2の下側コーナー点、端点
12 内側に凹んだ湾曲部分、湾曲部分
13 第1の上側コーナー点、上側コーナー点
14 第2の上側コーナー点、上側コーナー点
15 第1の外側側縁、外側側縁
16 仮想直線、直線
17 第2の外側側縁、外側側縁
18 外側境界縁
19 下縁
20 伸縮性のある要素
21 第1の(図中左)部分、左部分
22 第1の折り畳み線、折り畳み線
23 第2の(図中右)部分、右部分
24 第2の折り畳み線、折り畳み線
25 底部
26 上縁
27 縁
28 側縁、縁
29 側縁、縁
d1 距離
d2 距離
d3 最大凹所深さ
d4 さらに別の測定値、距離
d5 距離
r1 半径
r2 半径
w1 第1の幅
w2 第2の幅
X1 横軸、横断中心線
X2 仮想横断線
Y1 縦軸、縦中央線
Y2 仮想縦線
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5