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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】測量装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/00 103D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020008415
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021117013
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0011257(US,A1)
【文献】国際公開第2011/013518(WO,A1)
【文献】特開2001-221954(JP,A)
【文献】特開平7-151521(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162991(WO,A1)
【文献】特開2004-37127(JP,A)
【文献】特開2019-52867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
G01B 11/00-11/30
G02B 26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射測距光に基づき前記測定対象物迄の距離を測定する距離測定部と、前記測距光を偏向し回転照射する鉛直回転部と、該鉛直回転部に固着され該鉛直回転部と一体に回転する中空の鉛直回転軸と、前記鉛直回転部を挟んで前記距離測定部と対向して設けられ、外光を受光する撮像部とを具備し、該撮像部は外光を集光しつつ前記鉛直回転部に入射させ、該鉛直回転部と一体に回転する広角光学部材を有し、前記鉛直回転部で反射された前記外光が前記鉛直回転軸内を通過する様構成された測量装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記距離測定部と同軸又は略同軸で画像を取得する様構成された請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記広角光学部材は、前記鉛直回転部の入射面に隣接して設けられた凹レンズである請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
【請求項4】
前記広角光学部材は、前記鉛直回転部の入射面に隣接して設けられた凹レンズを含む複数のレンズから構成された凹レンズ群である請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
【請求項5】
前記広角光学部材は、前記外光の入射面に凹曲面が形成された凹レンズであり、前記凹曲面と対向する面が前記鉛直回転部に貼付けられ一体化された請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
【請求項6】
前記広角光学部材は、前記鉛直回転部の前記外光の入射面に形成された凹曲面である請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
【請求項7】
前記鉛直回転部は、反射面に反射膜が設けられた三角プリズムである請求項1~請求項6のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項8】
前記鉛直回転部は、2つの三角プリズムを貼り合せた四角プリズムであり、前記2つの三角プリズムの境界面に反射膜が設けられた請求項1~請求項6のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項9】
前記鉛直回転部は、所定の板厚を有するミラーであり、該ミラーの両面にそれぞれ反射面が形成された請求項1に記載の測量装置。
【請求項10】
前記鉛直回転部は、所定の板厚を有するガラス板であり、該ガラス板の一方の面に反射膜が設けられた請求項1~請求項6のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項11】
前記鉛直回転部は、前記測距光の光軸に対して僅かに傾斜して配置された請求項7又は請求項8に記載の測量装置。
【請求項12】
前記撮像部は、該撮像部の光軸に沿って移動可能なズームレンズを有する請求項1~請求項11のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項13】
前記撮像部は、画角の小さい第1撮像部と画角の大きい第2撮像部とを有し、前記第1撮像部の光軸上に分岐部材が設けられ、該分岐部材は前記外光の一部を前記第2撮像部の光軸上に偏向する様構成された請求項1~請求項12のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元座標を取得可能な測量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザスキャナやトータルステーション等の測量装置は、測定対象物として反射プリズムを用いたプリズム測距、反射プリズムを用いないノンプリズム測距により測定対象物迄の距離を検出する光波距離測定装置を有している。
【0003】
レーザスキャナには、光波距離測定装置と同軸で画像を取得する為の撮像部を設けたものがある。然し乍ら、従来の撮像部は、画角が15°程度しかなく、360°分の画像を取得する為には合計で500枚近くの画像を必要とする。従って、全周の3次元座標付きの画像を取得する為に多大な時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-20035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像取得時間の短縮が図れる測量装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、測距光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射測距光に基づき前記測定対象物迄の距離を測定する距離測定部と、前記測距光を偏向し回転照射する鉛直回転部と、該鉛直回転部を挟んで前記距離測定部と対向して設けられ、外光を受光する撮像部とを具備し、該撮像部は外光を集光しつつ前記鉛直回転部に入射させ、該鉛直回転部と一体に回転する広角光学部材を有する様構成された測量装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記撮像部は、前記距離測定部と同軸又は略同軸で画像を取得する様構成された測量装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記広角光学部材は、前記鉛直回転部の入射面に隣接して設けられた凹レンズである測量装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記広角光学部材は、前記鉛直回転部の入射面に隣接して設けられた凹レンズを含む複数のレンズから構成された凹レンズ群である測量装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記広角光学部材は、前記外光の入射面に凹曲面が形成された凹レンズであり、前記凹曲面と対向する面が前記鉛直回転部に貼付けられ一体化された測量装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記広角光学部材は、前記鉛直回転部の前記外光の入射面に形成された凹曲面である測量装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記鉛直回転部は、反射面に反射膜が設けられた三角プリズムである測量装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記鉛直回転部は、2つの三角プリズムを貼り合せた四角プリズムであり、前記2つの三角プリズムの境界面に反射膜が設けられた測量装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記鉛直回転部は、所定の板厚を有するミラーであり、該ミラーの両面にそれぞれ反射面が形成された測量装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記鉛直回転部は、所定の板厚を有するガラス板であり、該ガラス板の一方の面に反射膜が設けられた測量装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記鉛直回転部は、前記測距光の光軸に対して僅かに傾斜して配置された測量装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記撮像部は、該撮像部の光軸に沿って移動可能なズームレンズを有する測量装置に係るものである。
【0018】
更に又本発明は、前記撮像部は、画角の小さい第1撮像部と画角の大きい第2撮像部とを有し、前記第1撮像部の光軸上に分岐部材が設けられ、該分岐部材は前記外光の一部を前記第2撮像部の光軸上に偏向する様構成された測量装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測距光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射測距光に基づき前記測定対象物迄の距離を測定する距離測定部と、前記測距光を偏向し回転照射する鉛直回転部と、該鉛直回転部を挟んで前記距離測定部と対向して設けられ、外光を受光する撮像部とを具備し、該撮像部は外光を集光しつつ前記鉛直回転部に入射させ、該鉛直回転部と一体に回転する広角光学部材を有する様構成されたので、全周分の画像を取得するのに必要な画像数を大幅に低減することができ、全周の画像を取得するのに必要な時間を大幅に短縮することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施例に係る測量装置を示す正断面図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る測量装置の撮像部と距離測定部を示す構成図である。
図4】本発明の第2の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図5】本発明の第3の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図6】本発明の第4の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図7】本発明の第5の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図8】本発明の第6の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図9】本発明の第7の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図10】本発明の第8の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
図11】本発明の第9の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図であり、(A)は広角画像を取得する場合を示し、(B)は望遠画像を取得する場合を示している。
図12】本発明の第10の実施例に係る測量装置の撮像部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0022】
先ず、図1に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。
【0023】
測量装置1は、例えばレーザスキャナであり、三脚(図示せず)に取付けられる整準部2と、該整準部2に取付けられた測量装置本体3とから構成される。尚、測定はノンプリズム測定が行われる。
【0024】
前記整準部2は整準ネジ10を有し、該整準ネジ10により前記測量装置本体3の整準を行う。
【0025】
該測量装置本体3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、鉛直回転部である走査プリズム15と、操作部と表示部とを兼用する操作パネル16と、演算制御部17と、記憶部18と、距離測定部19、撮像部21等を具備している。尚、前記演算制御部17としては、本装置に特化したCPU、或は汎用CPUが用いられる。
【0026】
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
【0027】
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
【0028】
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
【0029】
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する中空の前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記測量装置本体3の座標系の原点となっている。
【0030】
前記托架部5には、凹部22が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部22内に延出し、前記一端部に前記走査プリズム15が固着され、該走査プリズム15は前記凹部22に収納されている。又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。
【0031】
前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記走査プリズム15は前記軸心11aを中心に回転される。
【0032】
前記走査プリズム15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出信号は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出信号に基づき前記走査プリズム15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
【0033】
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18としては、磁気記憶装置としてのHDD、光記憶装置としてのCD、DVD、半導体記憶装置としてのメモリカード、USBメモリ等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は図示しない通信手段を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0034】
前記記憶部18には、測距作動を制御するシーケンスプログラム、測距作動により距離を演算する演算プログラム、水平角データ及び鉛直角データに基づき角度を演算する演算プログラム、距離と角度に基づき所望の測定点の3次元座標を演算するプログラム、測定対象物の画像を取得する為の撮像プログラム、画像と3次元座標の関連付けを行う為のプログラム等の各種プログラムが格納される。又、前記演算制御部17により各種プログラムが実行されることで、各種処理が実行される。
【0035】
前記操作パネル16は、例えばタッチパネルであり、測距の指示や測定条件、例えば測定点間隔の変更等を行う操作部と、測距結果や画像等を表示する表示部とを兼用している。
【0036】
次に、前記距離測定部19について説明する。
【0037】
該距離測定部19は、前記演算制御部17により制御される。発光素子23からパルス光の測距光34が射出されると、該測距光34投光光学系24、反射プリズム25を介して射出される。該反射プリズム25から射出される前記測距光34の光軸は、前記軸心11aと合致しており、測距光は前記走査プリズム15によって直角に偏向される。該走査プリズム15が前記軸心11aを中心に回転することで、測距光は前記軸心11aと直交し、且つ前記軸心6aを含む平面内で回転(走査)される。
【0038】
測定対象物で反射された測距光(以下反射測距光)は、前記走査プリズム15に入射し、該走査プリズム15で偏向される。該走査プリズム15で偏向された反射測距光は、受光光学系26を経て受光素子27で受光される。
【0039】
前記距離測定部19は、前記発光素子23の発光タイミングと、前記受光素子27の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)と光速に基づき、測距光の1パルス毎に測距を実行する(Time Of Flight)。前記発光素子23は、発光のタイミング、即ちパルス間隔が変更可能となっている。
【0040】
尚、前記距離測定部19には内部参照光光学系(後述)が設けられ、該内部参照光光学系から受光した内部参照光(後述)と反射測距光の受光タイミングの時間差と光速に基づき測距を行うことで、より高精度な測距が可能となる。
【0041】
又、前記距離測定部19の前記走査プリズム15を挟んで対向し、前記鉛直回転軸11の延長上に、前記撮像部21が設けられている。該撮像部21は、前記走査プリズム15の反射面15aで反射され、中空の前記鉛直回転軸11内を通過した外光に基づき、測定対象物等の画像を取得可能となっている。
【0042】
前記托架部5と前記走査プリズム15とがそれぞれ定速で回転し、該走査プリズム15の鉛直方向の回転と、前記托架部5の水平方向の回転との協働により、測距光が2次元に走査される。又、パルス光毎の測距により測距データ(斜距離)が得られ、各パルス光毎に前記鉛直角エンコーダ14、前記水平角エンコーダ9により鉛直角、水平角を検出することで、鉛直角データ、水平角データが取得できる。鉛直角データ、水平角データ、測距データとにより、測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0043】
次に、図2図3に於いて、前記撮像部21の詳細について説明する。
【0044】
該撮像部21は、撮像光軸28を有し、該撮像光軸28上に撮像素子29、複数のレンズからなる撮像レンズ群31、前記走査プリズム15が設けられている。又、走査プリズム15の反射光軸28a上に広角光学部材としての凹レンズ32が設けられている。更に、測距光34の反射光軸上には透明材料で形成された窓部33が設けられている。
【0045】
尚、前記撮像光軸28は、鉛直回転軸11の軸心11aと合致していてもよいし、既知の距離でオフセットされていてもよい。
【0046】
前記撮像素子29は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は画像素子上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像素子29の中心を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって画像素子上での位置が特定される。
【0047】
前記撮像レンズ群31は、固定焦点のレンズ群であり、被写界深度の深い暗い光学系となっている。前記走査プリズム15は、例えば反射膜が設けられた45°の反射面15aを有する三角プリズムである。前記反射光軸28aに沿って入射した外光30は、前記走査プリズム15の内部を透過し、反射面15aにより前記撮像光軸28上に直角に反射される様になっている。
【0048】
前記凹レンズ32は、前記鉛直回転軸11の軸心11aと平行な面、即ち前記外光30の入射面に15bに近接して設けられる。前記凹レンズ32は、凹レンズとなっており、前記外光30を前記走査プリズム15に対して集光する様構成される。尚、前記撮像レンズ群31と前記凹レンズ32とで凹レンズ群が構成される。
【0049】
前記窓部33は、該窓部33で反射された測距光が前記受光素子27に入射しない様、測距光34の光軸に対して僅かに傾斜して設けられている。
【0050】
尚、前記凹レンズ32及び前記窓部33は、前記走査プリズム15と一体に回転する様構成される。或は、前記凹レンズ32と前記窓部33と前記撮像レンズ群31が前記走査プリズム15と一体に回転する様構成されてもよい。又、前記凹レンズ32を前記走査プリズム15に接着し、一体としてもよい。更に、前記凹レンズ32は、複数のレンズを組合わせたレンズ群としてもよい。
【0051】
上記した前記撮像部21は、広角の画像、例えば45°~180°の画角で画像を取得できる様構成される。尚、前記撮像部21が取得する画像は、静止画像であってもよいし、連続画像或は動画像であってもよい。
【0052】
次に、前記受光光学系26について説明する、尚、図3中では、測距光(射出光)34と反射測距光(入射光)35のうち、主光線(光軸)のみを記載している。
【0053】
前記受光光学系26は、所定のNAを有する受光レンズ36と、所定の屈折率を有する4角形の受光プリズム37とを有している。又、前記受光レンズ36の中心部には、前記反射プリズム25が貼付けられている。
【0054】
該受光プリズム37は、前記受光レンズ36を透過した前記反射測距光35が入射する第1面37a、該第1面37aの表面を透過した前記反射測距光35が反射する第2面37b、該第2面37bと前記第1面37aで反射された前記反射測距光35が入射する第3面37c、該第3面37cで反射された前記反射測距光35が透過する透過面としての第4面37dとを有している。該第4面37dを透過した前記反射測距光35は、前記受光素子27に入射する。
【0055】
又、前記走査プリズム15の下方には、再帰反射性を有するリファレンスプリズム38が設けられている。前記走査プリズム15を介して前記測距光34を回転照射する過程で、該測距光34が前記リファレンスプリズム38に入射する。該リファレンスプリズム38により再帰反射された前記測距光34は、前記走査プリズム15を介して前記受光光学系26に入射し、前記受光素子27に受光される。
【0056】
ここで、前記発光素子23から前記リファレンスプリズム38迄の光路長、該リファレンスプリズム38から前記受光素子27迄の光路長は既知である。従って、前記リファレンスプリズム38で反射された測距光を内部参照光39として利用することができる。前記走査プリズム15と前記リファレンスプリズム38とにより内部参照光光学系41が構成される。
【0057】
前記発光素子23から発せられた前記測距光34は、前記投光光学系24、前記走査プリズム15を介して測定対象物に照射される。測定対象物で反射され、前記走査プリズム15を介して前記受光光学系26に入射した前記反射測距光35は、前記受光レンズ36及び前記第1面37aを透過する過程で屈折される。又、前記反射測距光35は、前記受光プリズム37の内部で前記第2面37b、前記第1面37a、前記第3面37cに順次反射され、前記第4面37dを透過し、前記受光素子27に受光される。
【0058】
又、上記した距離測定部19による測距と並行して、前記撮像部21による撮像が行われる。前記反射光軸28aに沿って前記凹レンズ32に入射した前記外光30は、集光されつつ前記走査プリズム15の入射面15bに入射する。該入射面15bより入射した前記外光30は、前記走査プリズム15内を透過し、前記反射面15aで前記撮像光軸28上に直角に反射される。前記反射面15aで反射された前記外光30は、前記撮像レンズ群31を介して前記撮像素子29上に入射し、結像される。
【0059】
この時、前記反射光軸28aの前記反射面15aに対する入射位置は、前記反射測距光35の光軸の前記反射面15aに対する入射位置の裏面であり、略合致している。即ち、前記撮像部21の入射瞳位置は、前記測量装置本体3の原点と略合致している。
【0060】
前記演算制御部17は、前記距離測定部19の測距結果と前記水平角エンコーダ9及び鉛直角エンコーダ14の検出結果に基づき、前記測距光34の照射点(測定点)の3次元座標を演算し、点群データを取得する。又、前記演算制御部17は、前記撮像部21に画像を取得させ、全周分(360°)の画像を取得する。更に、前記演算制御部17は、全周分の画像を合成して全周画像を作成すると共に、全周画像と測定データ(測距データ、測角データ)との関連付けも実行する。画像と測定データの関連付けにより、全周の3次元座標付きの色付き画像を取得できる。
【0061】
尚、上記では、点群データの取得と並行して画像を取得しているが、点群データの取得が完了した後、別途全周の画像を取得する様にしてもよい。
【0062】
上述の様に、第1の実施例では、前記走査プリズム15を挟んで前記距離測定部19と対向する位置に前記撮像部21を設けている。又、該撮像部21の入射瞳位置は、前記測量装置本体3の原点と略合致している。従って、前記撮像部21が取得した画像の基準位置(中心)と点群データが略合致するので、関連付けの精度、色づけの精度を向上させることができる。
【0063】
又、前記走査プリズム15の前記外光30の前記入射面15bに近接して、前記凹レンズ32を設けているので、前記外光30は広角から集光されつつ前記入射面15bに入射する。
【0064】
従って、前記撮像部21は、例えば画角が45°~180°の広角画像を取得できるので、全周分の画像を取得するのに必要な画像数を大幅に低減することができ、全周の画像を取得するのに必要な時間を大幅に短縮することができる。
【0065】
又、前記凹レンズ32は、偏心感度が緩く、結像精度に及ぼす影響が僅かであるので、取付けに高い精度を要求されることがなく、容易に収差を取ることができる。
【0066】
又、第1の実施例では、鉛直回転部としてミラーではなくプリズムを用いている。従って、前記外光30は前記走査プリズム15の内部を透過するので、前記走査プリズム15を屈折率の高い材質で作成することで、容易に画角を広角化することができる。
【0067】
又、前記距離測定部19は内部に反射面を有する前記受光プリズム37を有し、該受光プリズム37の内部で前記反射測距光35を3回反射させ、該反射測距光35の光路を屈曲させることで、前記受光レンズ36の焦点距離分の光路長を確保している。
【0068】
従って、前記距離測定部19の光軸方向の長さを短くすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0069】
又、前記反射測距光35の光路を屈曲させる為の光学部材として、平面板のミラーではなくプリズムを使用している。従って、前記測量装置本体3に対する温度変化に基づく光軸のズレ(偏角誤差)が抑制され、測定精度の向上を図ることができる。
【0070】
更に、窓部33が前記測距光34の光軸に対して僅かに傾斜しているので、前記窓部33で反射された測距光が前記受光素子27に入射するのを防止することができ、測定精度の向上を図ることができる。
【0071】
次に、図4に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図4中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
第2の実施例に於ける撮像部21では、広角光学部材として、2枚のレンズを組合わせた凹レンズ群42を用いている。その他の構成については第1の実施例と同様である。
【0073】
前記凹レンズ群42は、凹レンズ43と凸レンズ44とが一体化された複合レンズである。前記凹レンズ43は、走査プリズム15の入射面15bに隣接する面が凹形状であり、凹形状の面に対向する面に前記凸レンズ44が貼付けられ、一体化されている。
【0074】
第2の実施例では、広角光学部材を2枚のレンズからなる凹レンズ群42としている。従って、前記撮像部21の光学系に生じる収差を補正することができる。
【0075】
尚、第2の実施例では、前記凹レンズ群42を2枚のレンズにより構成している。一方で、凹レンズを含むレンズ群であれば、前記凹レンズ群42は3枚以上のレンズにより構成されてもよい。
【0076】
次に、図5に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図4中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
第3の実施例に於ける撮像部21では、広角光学部材として第1の実施例に於ける凹レンズ32と同形状又は略同形状の凹レンズ45を用いている。
【0078】
該凹レンズ45は、走査プリズム15の入射面に隣接する面が平面であり、該平面が前記走査プリズム15の入射面15bに貼付けられ、一体化されている。又、前記凹レンズ45の前記走査プリズム15の平面と対向する面に凹部が形成されている。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0079】
第3の実施例に於いても、前記凹レンズ45は外光30を集光しつつ前記走査プリズム15に入射させる構成となっている。従って、撮像部21は広角の画像を取得できるので、全周画像を取得するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0080】
次に、図6に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図6中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
第4の実施例に於ける撮像部21では、広角光学部材として走査プリズム15の入射面15cを用いている。該入射面15cは、凹曲面となっており、外光30を広角で入射させる様構成されている。
【0082】
第4の実施例では、前記走査プリズム15が広角光学部材を兼用しており、別途凹レンズを設ける必要がない。従って、部品点数を低減することができ、製作コストの低減を図ることができる。
【0083】
次に、図7に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、図7中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
第5の実施例では、走査プリズム15が測距光34の光軸に対して僅かに、例えば1°~2°程度傾斜している。
【0085】
又、第5の実施例では、走査プリズム15の反射面15aに対向して広角光学部材としての凹レンズ46が設けられている。即ち、前記撮像部21は、測距光34及び反射測距光35が前記走査プリズム15の内部を透過し、前記凹レンズ46により集光された外光30が、前記走査プリズム15の内部で屈折されることなく前記反射面15aで反射される様構成されている。
【0086】
上記した前記撮像部21は、第1の実施例と比較して、測距光34及び反射測距光35が反射される前記反射面15aと、前記外光30が反射される前記反射面15aとが逆となった構成となっている。その他の構成については、第1の実施例と同様である。
【0087】
第5の実施例では、前記走査プリズム15を前記測距光34の光軸に対して僅かに傾斜させている。従って、前記測距光34が前記走査プリズム15に入射する際、或は該走査プリズム15から射出される際に反射した前記測距光34が受光素子27(図1参照)に受光されるのを防止することができ、窓部33(図2参照)を省略することができる。
【0088】
次に、図8に於いて、本発明の第6の実施例について説明する。尚、図8中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
第6の実施例では、鉛直回転部として、2つの三角プリズムを貼り合せた四角プリズムにより走査プリズム47を用いている。即ち、該走査プリズム47は、鉛直回転軸11(図1参照)の軸心11aに関して対称な形状となっている。又、前記走査プリズム47は、測距光34の光軸に対して僅かに、例えば1°~2°程度傾斜している。前記走査プリズム47以外の構成については、第1の実施例と同様である。
【0090】
該走査プリズム47は、2つの三角プリズムの境界面が反射膜を設けた反射面47aとなっている。又、測距光34及び反射測距光35、外光30が共に前記走査プリズム47内を透過する様構成されている。
【0091】
第6の実施例では、前記走査プリズム47が前記軸心11aに関して対称な形状となっている。従って、前記走査プリズム47を回転させた際の芯ブレが抑制され、測定精度、撮像精度を向上させることができる。
【0092】
又、前記走査プリズム47が前記測距光34の光軸に対して僅かに傾斜されているので、前記走査プリズム47で反射された前記測距光34が受光素子27(図1参照)に受光されるのを防止することができる。従って、窓部33(図2参照)を省略することができる。
【0093】
次に、図9に於いて、本発明の第7の実施例について説明する。尚、図9中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
第7の実施例では、鉛直回転部として、板状のミラー48を用いている。該ミラー48は両面にそれぞれ反射面48a,48bを有し、前記反射面48aで測距光34及び反射測距光35を反射し、前記反射面48bで外光30を反射する様構成されている。その他の構成については、第1の実施例と同様である。
【0095】
第7の実施例では、前記ミラー48の板厚だけ撮像光軸28と前記測距光34の光軸がずれることとなるが、撮像部21を距離測定部19(図1参照)と非同軸に設ける場合よりも視差を小さくすることができる。
【0096】
次に、図10に於いて、本発明の第8の実施例について説明する。尚、図10中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
第8の実施例では、鉛直回転部として、一方の面に反射膜を設けたガラス板49を用いている。第8の実施例では、外光30が前記ガラス板49の反射面49aで反射され、測距光34及び反射測距光35が前記ガラス板49の内部を透過し、前記反射面49aで裏面反射する様に構成されている。
【0098】
従って、撮像光軸28と前記測距光34及び前記反射測距光35の光軸のズレを小さくすることができ、測定精度の向上を図ることができる。
【0099】
次に、図11(A)、図11(B)に於いて、本発明の第9の実施例について説明する。尚、図11(A)、図11(B)中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
第9の実施例では、撮像レンズ群31が撮像光軸28に沿って移動可能なズームレンズとなっている。尚、前記撮像レンズ群31の移動は、調整ネジ等により手動で行ってもよいし、演算制御部17(図1参照)により自動で行わせてもよい。
【0101】
図11(A)、図11(B)に示される様に、前記撮像レンズ群31を前記撮像光軸28に沿って移動させることで、前記撮像レンズ群31の焦点距離が変更され、撮像部21が取得する画像の画角を変更することができる。従って、画角が広い荒い画像や画角が狭い精細な画像等、用途に応じて最適な画角の画像を取得することができ、作業性を向上させることができる。
【0102】
次に、図12に於いて、本発明の第10の実施例について説明する。尚、図12中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
第10の実施例では、撮像部が第1撮像部51と第2撮像部52から構成される。前記第1撮像部51は、第1撮像光軸53を有し、該第1撮像光軸53上に第1撮像素子54、複数のレンズからなる第1撮像レンズ群55、分岐部材としてのビームスプリッタ56、走査プリズムが設けられている。又、前記第2撮像部52は、第2撮像光軸57を有し、該第2撮像光軸57上に第2撮像素子58、複数のレンズからなる第2撮像レンズ群59、前記ビームスプリッタ56が設けられている。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0104】
前記第1撮像レンズ群55は、焦点距離が長い光学系となっており、前記第2撮像レンズ群59は焦点距離の短い光学系となっている。即ち、前記第1撮像部51は画角が小さい望遠撮像部を構成し、前記第2撮像部52は画角が大きい広角撮像部を構成している。
【0105】
又、前記ビームスプリッタの分岐比は1:1となっており、前記第2撮像光軸57を前記第1撮像光軸53と同軸に偏向する様配置されている。
【0106】
第10の実施例では、望遠撮像部としての前記第1撮像部51と、広角撮像部としての第2撮像部52とが同軸に設けられている。従って、用途に応じて望遠画像と撮像画像を適宜選択することができる。
【0107】
又、望遠画像と広角画像が同時に取得され、同時に表示可能である為、視準する為のターゲットの位置を容易に認識することができる。
【0108】
尚、第10の実施例では、分岐部材として板状の前記ビームスプリッタ56を用いているが、プリズム状のビームスプリッタを用いてもよい。
【0109】
又、各実施例を適宜組合わせてもよいのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0110】
1 測量装置
3 測量装置本体
15 走査プリズム
17 演算制御部
19 距離測定部
21 撮像部
30 外光
32 凹レンズ
34 測距光
35 反射測距光
42 凹レンズ群
45 凹レンズ
46 凹レンズ
47 走査プリズム
48 ミラー
49 ガラス板
51 第1撮像部
52 第2撮像部
56 ビームスプリッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12