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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】シート収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20231215BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D75/62 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020015143
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123335
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 将二
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-016069(JP,A)
【文献】特開2013-074957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 75/62
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する箱体と、
前記箱体の天面の一部が開口して形成される取出口とを有し、
前記開口する天面の一部は、
第1方向に延びる所与の長さと、前記第1方向と交差する第2方向に拡がる所与の幅とを有する第1領域と、
前記第1領域の中央部と前記第2方向の一方の方向に隣接する第2領域とを有し、
前記第2領域は、前記第1領域と独立して開口し、
前記第1領域は、前記第2方向における前記第1領域の前記第2領域側の第2端縁が、前記中央部から前記第1方向における前記第1領域の両端部に亘って前記第2方向の前記一方の方向と反対の方向に向かって凸となるように湾曲し、
前記両端部の各端縁が第2方向に延びる直線である、シート収納箱。
【請求項2】
前記第1領域は、前記第2方向における前記第1領域の前記第2領域側と反対側の第1端縁が前記天面に接続し、前記第1端縁から前記第2領域側に延びる延出部を構成する、請求項1に記載のシート収納箱。
【請求項3】
前記第1領域は、前記第1端縁に前記天面を貫通するスリットが断続的に設けられている、請求項2に記載のシート収納箱。
【請求項4】
前記第1領域の前記中央部は、前記第2方向の前記第2領域側に向かって凸となる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項5】
前記第1領域は、前記両端部の前記第2方向における幅が、前記中央部の前記幅の40%以上70%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート収納箱。
【請求項6】
前記第2領域は、前記第1領域側の第3端縁が湾曲する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項7】
前記第2領域は、前記第3端縁と前記第2方向に対向する第4端縁が前記第1領域から離れる方向に凸状に曲がる、請求項に記載のシート収納箱。
【請求項8】
前記第2領域は、前記第4端縁が前記天面に接続する、請求項に記載のシート収納箱。
【請求項9】
前記第2領域の前記第1方向における寸法は、前記第1領域の前記長さの15%以上25%以下である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項10】
前記第2領域の前記第2方向における寸法は、前記第1領域の前記中央部の前記第2方向における幅の15%以上50%以下である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート収納箱は、ティシューペーパーなどのシートが、厚紙等で作られた箱(カートンともいう)に収納され、該箱の天面に開口する取出口から引き出される。このようなシート収納箱では、取出口に樹脂製のフィルム(いわゆる窓貼フィルム)が設けられており、該フィルムに形成されたスリットを通じてシートが引き出されるようになっている(例えば、特許第4142238号公報)。
【0003】
また、近年のCO排出に伴う地球温暖化対策として化石燃料の使用削減やマイクロプラスチック等の海洋汚染を抑制する観点から、プラスチックの使用を抑制する動きがある。これに対して、従来から樹脂製のフィルムを使用しないシート収納箱(いわゆるフィルムレスカートン)が知られている(例えば、特許第6554284号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4142238号公報
【文献】特許第6554284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、取出口の形成が容易なシート収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、積層された複数枚のシートを収容する箱体と、前記箱体の天面の一部が開口して形成される取出口とを有し、前記開口する天面の一部は、第1方向に延びる所与の長さと、前記第1方向と交差する第2方向に拡がる所与の幅とを有する第1領域と、前記第1領域の中央部と前記第2方向の一方の方向に隣接する第2領域とを有し、前記第2領域は、前記第1領域と独立して開口する、シート収納箱である。
【0007】
本明細書において、取出口は、箱体内からシートを引き出すために箱体の天面に形成された開口を構成し得る。天面の一部は、天面の半分より少ない範囲の部分を示す。天面の一部が開口して形成される取出口は、天面に形成されたミシン目等を開裂することで形成される。
【0008】
第1方向は、箱体の天面上の所定の一方向に沿う方向を示す。第1方向と交差する第2方向は、箱体の天面上の所定の一方向に沿う方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す。第2方向の一方の方向とは、第2方向の両方向のうちのいずれか一方の方向を示す。
【0009】
第1領域および第2領域は、取出口を形成するミシン目等を開裂することで開口する。第1領域の中央部は、第1領域の中心(または図心)を含み、第1方向の長さが第1領域の第1方向の長さの3分の1乃至2分の1程度の範囲を示す。第2領域が第1領域と独立して開口するとは、第1領域と第2領域とが別々に開口し得ることを示す。
【0010】
第1の態様では、取出口に対応する天面の一部が、第1領域の中央部と第2方向の一方の方向に隣接する第2領域が第1領域と独立して開口することで、第1領域が開口する前に第2領域を開口させることができる。
【0011】
このような構成では、第2領域が、天面に取出口を開口するトリガーとなり得る。なお、トリガーは、取出口を開口する作業を開始するための部位(または開口するきっかけとなる部位)を示す。これにより、第1の態様では、取出口の形成が容易なシート収納箱を提供することができる。
【0012】
また、第1の態様では、第2領域が第1領域の中央部と第2方向の一方の方向に隣接することで、天面の一部が開口した後の取出口を、第2方向において第1領域の中央部から第2領域を含む範囲まで拡げることができる。
【0013】
このような構成により、開口した取出口の中央部に手指等が入れやすくなる。そのため、第1の態様では、取出口に詰まりやすいシート積層体の上層のシート(例えば、1枚目または1組目のシート)も容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体内に落込んだシートも簡単に取り出すことができる。
【0014】
本発明に係る第2の態様は、前記第1領域は、前記第2方向における前記第1領域の前記第2領域側と反対側の第1端縁が前記天面に接続し、前記第1端縁から前記第2領域側に延びる延出部を構成する、シート収納箱である。
【0015】
ここで、第1領域の第1端縁は、第1領域において第2領域が隣接する端縁と第2方向に対向する端縁であり、開口した取出口の第2方向における一方の端縁に対応する。第1端縁が天面に接続するとは、開口後の第1領域が第1端縁の全部または一部を介して天面に接続することを示す。また、延出部は、開口後の第1領域に対応する部分を示す。
【0016】
このような構成により、開口された後の第1領域に対応する延出部は、第1領域の第2領域側と反対側の第1端縁が基端となって天面に固定され、該基端を軸として先端を上下に動かすことができる。これにより、第1領域が開口した後に形成される延出部は、天面に開口した取出口を覆うカバー(または蓋)となり得る。そのため、第2の態様によれば、取出口から箱体内に塵やごみが入りにくくなる。
【0017】
また、第2の態様では、第1領域が天面に接続したまま開口することで、第1領域の開口後に破断片が生じない。
【0018】
本発明に係る第3の態様は、前記第1領域は、前記第1端縁に前記天面を貫通するスリットが断続的に設けられている、シート収納箱である。ここで、断続的に設けられたスリットは、ミシン目を示す。また、スリットは、開口後の第1領域が天面に接続した状態で第1端縁に断続的に設けられる。
【0019】
第3の態様では、このような断続的なスリットを第1領域の第2領域側と反対側の第1端縁に設けることで、該第1領域の第1端縁が折れ曲がりやすくなり、第1領域が開口した後に形成される延出部が基端を介して上下に移動しやすくなる。これにより、第1領域が開口した後に形成される延出部は、取出口の開閉が容易なカバーを構成することができる。
【0020】
また、第3の態様では、延出部の基端がミシン目で構成されているため、延出部を基端に沿って開裂することができる。そのため、第1領域が開口した後に形成される延出部は、所望により切り取ることができる。
【0021】
本発明に係る第4の態様は、前記第1領域の前記中央部は、前記第2方向の前記第2領域側に向かって凸となる、シート収納箱を提供する。第4の態様では、第1領域の中央部が第2方向の第2領域側に向かって凸となることで、第2領域が開口した後に、第1領域の第2領域側に手指が掛けやすくなる。そのため、第4の態様によれば、第1領域の開口が容易になる。
【0022】
また、第4の態様では、第1領域の中央部が第2方向の第2領域側に拡がるため、開口した取出口の中央部に手指等が入れやすくなる。そのため、第4の態様では、取出口に詰まりやすいシート積層体の上層のシート(例えば、1枚目または1組目のシート)も容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体内に落込んだシートも簡単に取り出すことができる。
【0023】
本発明に係る第5の態様は、前記第1領域は、前記第2方向における前記第1領域の前記第2領域側の第2端縁が、前記中央部から前記第1方向における前記第1領域の両端部に亘って湾曲する、シート収納箱を提供する。ここで、第1領域の第2端縁は、第1領域において第2領域が隣接する端縁であり、開口した取出口の第2方向における他方の端縁に対応する。
【0024】
また、第1領域の中央部から両端部に亘って第1領域の第2端縁が湾曲するとは、第1領域の中央部の第2方向における幅が最大となり、第1領域の両端部の第2方向における幅が最小となるように、第1領域の第2端縁が第2領域側に凸状に曲がることを示す。
【0025】
第5の態様では、このように第1領域の第2端縁が第1方向における第1領域の中央部から両端部に亘って湾曲することで、第2領域が開口した後の第1領域を開口する際に第1領域をスムーズに開口することができる。
【0026】
本発明に係る第6の態様は、前記第1領域は、前記両端部の前記第2方向における幅が、前記中央部の前記幅の40%以上70%以下である、シート収納箱である。第6の態様では、第1領域の両端部の第2方向における幅を中央部の幅の60%以上80%以下とすることで、取出口にシートが詰まりにくくなり、しかも箱体内にシートが落込みにくくなる。
【0027】
また、第6の態様では、このようにシートの落込みを抑制しながら、開口した取出口の中央部に手指等がさらに入れやすくなる。そのため、取出口に詰まりやすいシート積層体の上層のシート(例えば、1枚目または1組目のシート)もより容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体内に落込んだシートもより簡単に取り出すことができる。
【0028】
本発明に係る第7の態様は、前記第2領域は、前記第1領域側の第3端縁が湾曲する、シート収納箱である。ここで、第2領域の第3端縁は、第1領域に隣接する第2領域の端縁を示す。第7の態様では、第2領域の第1領域側の第3端縁が湾曲することで、第2領域が開口した後に、第1領域の第2領域側の第2端縁が第2領域側に凸となるため、第1領域に手指を掛けやすくなる。そのため、第7の態様によれば、第1領域の開口が容易になる。
【0029】
本発明に係る第8の態様は、前記第2領域は、前記第3端縁と前記第2方向に対向する第4端縁が前記第1領域から離れる方向に凸状に曲がる、シート収納箱である。ここで、第2領域の第3端縁と前記第2方向に対向する第4端縁とは、第2領域の第1領域側の端縁(第3端縁)と反対側の端縁を示す。第1領域から離れる方向とは、第2方向に沿って第1領域側から第2領域側に向かう方向を示す。
【0030】
第8の態様では、第2領域において第3端縁と第2方向に対向する第4端縁が第1領域から離れる方向に凸状に曲がることで、第2領域に手指が掛けやすくなるため、第2領域の開口が容易になる。また、開口後の第2領域に手指が入れやすくなるため、第1領域の開口がより容易になる。これにより、第8の態様では、取出口の形成がより容易になる。
【0031】
本発明に係る第9の態様は、前記第2領域は、前記第4端縁が前記天面に接続する、シート収納箱である。第9の態様では、第2領域の第4端縁が天面に接続することで、第2領域が天面に接続した状態で開口することができる。
【0032】
また、第9の態様では、第2領域が天面に接続したまま開口することで、第2領域の開口後に破断片が生じない。さらに、第9の態様では、第2領域は、第4端縁を除く他の部分が天面に接続しないため、第2領域が天面に接続した状態でも第2領域の開口が容易である。
【0033】
本発明に係る第10の態様は、前記第2領域の前記第1方向における寸法は、前記第1領域の前記長さの15%以上25%以下である、シート収納箱である。ここで、第2領域の第1方向における寸法とは、第1方向に沿って第2領域の長さまたは幅が最大となる寸法を示す。
【0034】
第10の態様では、第2領域の第1方向における寸法を第1領域の長さの15%以上25%以下とすることで、取出口を開口するためのトリガーとして第2領域を適度な大きさにすることができる。そのため、第2領域の開口がより容易になる。また、第10の態様では、第2領域を開口させた後の第1領域の開口がさらに容易になる。これにより、取出口の形成がさらに容易になる。
【0035】
本発明に係る第11の態様は、前記第2領域の前記第2方向における寸法は、前記第1領域の前記中央部の前記第2方向における幅の15%以上50%以下である、シート収納箱である。ここで、第2領域の第2方向における寸法とは、第2方向に沿って第2領域の長さまたは幅が最大となる寸法を示す。
【0036】
第11の態様では、第2領域の第2方向における寸法を第1領域の中央部の第2方向における幅の15%以上50%以下とすることで、取出口を開口するためのトリガーとして第2領域をより適度な大きさにすることができる。そのため、第11の態様では、第2領域の開口がさらに容易になる。また、第2領域を開口させた後の第1領域の開口がさらに容易になる。これにより、第11の態様では、取出口の形成がさらに容易になる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一態様によれば、取出口の形成が容易なシート収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態に係るシート収納箱を示す図である。
図2図1をシート収納箱の上方(天面側)から見た図である。
図3図1をシート収納箱の正面側から見た図である。
図4図1をシート収納箱の右側面側から見た図である。
図5図2において取出口を示す図である。
図6図2において第2領域が開口した図である。
図7図6において第1領域が開口した(取出口が開口した)図である。
図8図7において第1領域が延出部を構成する状態を示す図である。
図9図8においてシートが取出口に支持された状態を示す図である。
図10図9をシート収納箱の正面側から見た図である。
図11図9をシート収納箱の右側面側から見た図である。
図12図9において延出部が切り取られた状態を示す図である。
図13図9において延出部が切り取られた後の破断片を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0040】
本明細書では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート収納箱の長手方向または左右方向をX方向(第1方向)とし、短手方向または前後方向をY方向(第2方向)とし、高さ方向または上下方向をZ方向とする。また、上方とは、シート収納箱の高さ方向(Z方向)において、箱体の天面の上側を示す。
【0041】
図1は、実施形態に係るシート収納箱を示す図である。図2は、図1をシート収納箱の上方(天面側)から見た図であり、図3は、図1をシート収納箱の正面側から見た図であり、図4は、図1をシート収納箱の右側面側から見た図である。なお、本実施形態は、シート収納箱にシート(シート積層体)が収納された状態を示す。
【0042】
本実施形態に係るシート収納箱100は、図1図4に示すように、略直方体(立方体を含む)状に形成された箱体10で構成されている。箱体10は、天面11、底面12、側面13、14、および妻面15、16を有する。なお、天面11と底面12は、箱体10の高さ方向(Z方向)に対向し、側面13、14は、箱体10の短手方向(Y方向)に対向し、妻面15、16は、箱体10の長手方向(X方向)に対向する。
【0043】
箱体10の材質は、限定されず、例えば、バージンパルプ、古紙パルプなどを原料とするコートボール紙などが挙げられる。また、箱体10の寸法は、限定されず、収納されるシートS(シート積層体SL)の量や寸法などにより決定することができる。
【0044】
なお、箱体10の寸法としては、例えば、箱体10の長手方向(X方向)の長さL1を、100mm以上250mm以下にすることができ、好ましくは200mm以上250mm以下にする。また、短手方向(Y方向)の幅W1を100mm以上150mm以下にすることができ、好ましくは100mm以上130mm以下にする。さらに、上下方向(Z方向)の高さHを、30mm以上150mm以下にすることができ、好ましくは40mm以上80mm以下にする。
【0045】
箱体10の坪量は、限定されないが、使用に耐えうる十分な強度を確保する観点から、好ましくは250g/m以上450g/m以下であり、より好ましくは300g/m以上400g/m以下である。なお、本明細書において、坪量とは、JIS P 8124(1998)の坪量測定方法に準じて測定したものである。
【0046】
シート収納箱100において、箱体10には、積層された複数枚のシートS(シート積層体SL)が収容されている。本実施形態では、シート積層体SLを構成するシートSとして、積層方向SDが高さ方向(Z方向)となる複数枚の薄葉紙(ティシューペーパー)が収容されている。
【0047】
シートSの用途は、ティシューペーパーに限定されず、例えば、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル、ベビー用または介護用の紙おむつ、生理用ナプキン等の物品に適用可能である。なお、ティシューペーパー等の衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。また、シートSは、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用できる。なお、本実施形態のシート収納箱100では、これらの中でも、家庭用のティシューペーパーが好適に用いられる。
【0048】
シート積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体SL)、複数枚(または複数組)のシートSが単に積層されたもの、各シートSが折り畳まれた状態で積層されたもの等が挙げられる。なお、シートSを1枚または1組ずつ引き出す観点から、シート積層体SLの形態は、ポップアップ式のシート積層体SLが好ましい。
【0049】
シート積層体SLの寸法は、例えば、ティシューペーパーの場合、長手方向(X方向)の長さが150mm以上250mm以下であり、短手方向(Y方向)の長さが60mm以上130mm以下であり、高さ方向(Z方向)の高さ20mm以上110mm以下である。このようなシート積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0050】
シートSのプライ数は、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライ、より好ましくは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されず、例えば、2プライのシートが折り畳まれた状態の形状が平面視で長方形であることが好ましい。
【0051】
シートSの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙のシート(以下、紙シートという)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0052】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0053】
また、シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定することができる。
【0054】
また、シートSの厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSを構成する紙シートの紙厚は、2プライあたり、50μm以上500μm以下にすることができ、好ましくは60μm以上330μm以下である。
【0055】
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0056】
シート収納箱100は、取出口20を有する。取出口20は、箱体10の天面11の一部11A、11Bが開口して形成される。取出口20は、箱体10内からシートSを引き出すために箱体10の天面11に形成された開口OPとなる部分である(図7図9)。天面11の一部11A、11Bは、天面11の半分より少ない範囲の部分である(図1図2)。
【0057】
本実施形態のシート収納箱100では、取出口20が天面11に形成されたミシン目Mで囲まれている。取出口20は、このミシン目Mを開裂することで箱体10の天面11に形成される開口OPとなる(図9)。ここで、ミシン目Mは、カットCとタイT(2つのカットC間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになる開裂用切目線を示す(図5)。
【0058】
また、シート収納箱100では、開口する天面11の一部11A、11Bは、第1領域30と第2領域40を有する。第1領域30は、第1方向(X方向)に延びる所与の長さL2と、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に拡がる所与の幅W2とを有する。
【0059】
ここで、第1方向(X方向)は、箱体10の天面11上の所定の一方向に沿う方向を示す。第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)は、箱体10の天面11上の所定の一方向に沿う方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す。
【0060】
シート収納箱100では、第1方向(X方向)がシート収納箱100の長手方向に対応し、第2方向(Y方向)がシート収納箱100の短手方向に対応している。なお、第1方向(X方向)と第2方向(Y方向)の関係は、これに限定されず、例えば、第1方向(X方向)がシート収納箱100の短手方向に対応し、第2方向(Y方向)がシート収納箱100の長手方向に対応してもよい。
【0061】
シート収納箱100では、第1領域30は、第1方向(X方向)に対向する一対の端部31、32と、第2方向(Y方向)に対向する一対の端部33、34とを有する。第1領域30は、端部31、32、33、34の各端縁31A、32A、33A、34Aで囲まれている。
【0062】
第2領域40は、第1方向(X方向)に対向する一対の端部41、42と、第2方向(Y方向)に対向する一対の端部43、44とを有する。第2領域40は、端部41、42、43、44の各端縁41A、42A、43A、44Aで囲まれている。
【0063】
本実施形態のシート収納箱100では、第2領域40が、第1領域30の中央部35と第2方向(Y方向)の一方の方向OD2に隣接する。ここで、第1領域30の中央部35は、第1領域30の中心(または図心)35Aを含み、第1方向(X方向)の長さL3が第1領域30の第1方向(X方向)の長さL1の3分の1乃至2分の1程度の範囲を示す(図2)。第2方向(Y方向)の一方の方向は、第2方向(Y方向)の両方向OD1、OD2のうちの一方の方向OD2を示す(図2図5)。
【0064】
また、シート収納箱100では、第2領域40は、第1領域30と独立して開口する。ここで、第2領域40が第1領域30と独立して開口するとは、第1領域30と第2領域40とが別々に開口し得ることを示す。
【0065】
具体的には、第1領域30は、取出口20を囲むミシン目Mの一部(ミシン目M1、M2)で形成された天面11の一部11Aに対応する(図1図2図5)。また、第2領域40は、取出口20を囲むミシン目Mの他の一部(ミシン目M3)で形成された天面11の一部11Bに対応する(図1図2図5図6)。第1領域30を形成するミシン目M1と、第2領域40を形成するミシン目M3とが別々に開裂し得る。
【0066】
第1領域30を形成するミシン目M1において、各カットC1の長さは、0.3mm以上25mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上20mm以下であり、より好ましくは1mm以上15mm以下である。また、各タイT1の長さは、0.3mm以上2.5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。
【0067】
また、第1領域30を形成するミシン目M2において、各カットC2の長さは、0.1mm以上5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上4mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上3mm以下である。また、各タイT2の長さは、0.1mm以上2mm以下とすることができ、好ましくは0.3mm以上2.5mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上1mm以下である。
【0068】
また、第2領域40を形成するミシン目M3において、各カットC3の長さは、0.3mm以上20mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上17mm以下であり、より好ましくは1mm以上15mm以下である。また、各タイT3の長さは、0.3mm以上2.5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。さらに、タイT4の長さは、5mm以上30mm以下とすることができ、好ましくは7mm以上27mm以下であり、より好ましくは10mm以上25mm以下である。
【0069】
本実施形態のシート収納箱100では、第1領域30を形成するミシン目M1が開裂すると、天面11の一部11Aに開口OP1が形成され、第2領域40を形成するミシン目M3が開裂すると、天面11の一部11Bに開口OP2が形成され、天面11に取出口20(開口OP)が形成される(図1図2図5図8)。
【0070】
第1領域30のミシン目M1と第2領域40を形成するミシン目M3とが開裂する順番は、限定されない。本実施形態では、第2領域40を形成するミシン目M3を開裂させた後に、第1領域30のミシン目M1を開裂する(図2図5図7)。これにより、第2領域40は、取出口20を開口するトリガーPを構成する(図7)。トリガーPは、取出口20を開口する作業を開始するための部位(きっかけとなる部位)である。
【0071】
本実施形態のシート収納箱100において、第1領域30は、第2方向(Y方向)における第1領域30の第2領域40側と反対側の第1端縁が天面11に接続し、第1端縁から第2領域40側に延びる延出部Fを構成する(図7図11)。
【0072】
本実施形態では、第1領域30の第1端縁は、第1領域30において第2領域40が隣接する端縁34Aと第2方向(Y方向)に対向する端縁33Aに対応する。また、第1領域30の第1端縁(端縁33A)は、開口した取出口20の第2方向(Y方向)における一方の端縁22に対応する(図2図5図8図9)。
【0073】
なお、第1端縁(端縁33A)が天面11に接続するとは、開口後の第1領域が第1端縁(端縁33A)の全部または一部を介して天面に接続することを示す。また、延出部Fは、開口後の第1領域30に対応する。本実施形態では、開口後の第1領域30は、ミシン目M1は開裂し、ミシン目M2は開裂しない。開口後の第1領域30(延出部F)は、第1端縁(端縁33A)の一部(ミシン目M2)を介して天面11に接続する(図7)。
【0074】
このような構成により、本実施形態のシート収納箱100では、開口された後の第1領域30に対応する延出部Fは、第1領域30の第2領域40側と反対側の第1端縁(端縁33A)の一部が基端FBとなって天面11に固定される。そして、延出部Fは、基端FBを軸として先端FTを上下に動かすことができる。
【0075】
本実施形態のシート収納箱100では、第1領域30は、第1端縁(端縁33A)に天面11を貫通するスリットM2が断続的に設けられている。ここで、断続的に設けられたスリットM2は、上述のミシン目M2に対応する。
【0076】
本実施形態では、開口後の第1領域30が天面11に接続した状態で、スリット(ミシン目)M2が第1端縁(端縁33A)に設けられる。具体的には、第1領域30の第1端縁(端縁33A)の一部が延出部Fの基端FBを構成し、延出部Fが基端FBにミシン目M2が設けられている(図5図9)。
【0077】
本実施形態のシート収納箱100において、第1領域30の中央部35は、第2方向(Y方向)の第2領域40側に向かって凸となっている。具体的には、第1領域30の中央部35が、第2領域40に隣接して第2領域40側に円弧状に突出する凸部30Aを構成する(図1図2図5図7)。
【0078】
本実施形態のシート収納箱100において、第1領域30は、第2方向(Y方向)における第1領域30の第2領域40側の第2端縁が、中央部35から第1方向(X方向)における第1領域30の両端部31、32に亘って湾曲する(図1図2図5)。
【0079】
本実施形態では、第1領域30の第2端縁は、第1領域30において第2領域40が隣接する端縁34Aに対応する。また、第1領域30の第2端縁(端縁34A)は、開口した取出口20の第2方向(Y方向)における他方の端縁23に対応する(図2図5図8図9)。
【0080】
具体的には、第1領域30の中央部35の第2方向(Y方向)における幅が最大(幅W3)となり、第1領域30の両端部31、32の第2方向(Y方向)における幅が最小(幅W2)となるように、第1領域30の第2端縁(端縁34A)が第2領域40側に凸状に曲がる。これにより、第1領域30には、第1方向(X方向)の中央部35から両端部31、32に亘って円弧状の湾曲部30B、30Cが構成される(図5図7)。
【0081】
シート収納箱100では、第1領域30は、両端部31、32の第2方向(Y方向)における幅W2が、中央部35の幅W3の40%以上70%以下であり、好ましくは45%以上65%以下、より好ましくは50%以上60%以下である(図2)。
【0082】
本実施形態のシート収納箱100において、第2領域40は、第1領域30側の第3端縁が湾曲する。なお、第2領域40の第3端縁は、第1領域30に隣接する第2領域40の端縁43Aに対応する(図2図5図7)。
【0083】
本実施形態のシート収納箱100において、第2領域40は、第3端縁(端縁43A)と第2方向(Y方向)に対向する第4端縁(端縁44A)が第1領域30から離れる方向に凸状に曲がる(図2図5図7)。
【0084】
本実施形態では、第2領域40の第3端縁(端縁43A)と第2方向(Y方向)に対向する第4端縁は、第2領域40の第1領域30側の端縁43Aと反対側の端縁44Aに対応する(図2図5図7)。ここで、第1領域30から離れる方向とは、第2方向(Y方向)に沿って第1領域30側から第2領域40側に向かう方向(第2方向(Y方向)の一方の方向OD2)を示す(図2図5)。
【0085】
本実施形態のシート収納箱100において、第2領域40は、第4端縁(端縁44A)が天面11に接続する(図2図5図9)。具体的には、開口後の第2領域40に対応して形成されるトリガーPが、第1領域30側と反対側の第4端縁(端縁44A)が基端PBとなって天面11に固定される。そして、トリガーPは、基端PBを軸として先端PTが可動となる(図7)。
【0086】
本実施形態のシート収納箱100では、第2領域40の第1方向(X方向)における寸法L4は、第1領域30の長さL2の15%以上25%以下であり、好ましくは16%以上24%以下、より好ましくは17%以上23%以下である(図2)。ここで、第2領域40の第1方向(X方向)における寸法L4は、第1方向(X方向)に沿って第2領域40の長さが最大(長さL4)となる寸法を示す。
【0087】
本実施形態のシート収納箱100において、第2領域40の第2方向(Y方向)における寸法W4は、第1領域30の中央部35の第2方向(Y方向)における幅W3の15%以上50%以下であり、好ましくは20%以上45%以下、より好ましくは25%以上40%以下である(図2)。ここで、第2領域40の第2方向(Y方向)における寸法W4は、第2方向(Y方向)に沿って第2領域40の幅が最大(幅W4)となる寸法を示す。
【0088】
以下、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、上述のように、取出口20に対応する天面11の一部(11A、11B)が、第1領域30の中央部35と第2方向(Y方向)に隣接する第2領域40が第1領域30と独立して開口することで、第1領域30が開口する前に第2領域40を開口させることができる(図1図2図5図8)。
【0089】
このような構成では、第2領域40が、天面11に取出口20を開口するトリガーPとなり得る(図5図7)。これにより、本実施形態では、取出口20の形成が容易なシート収納箱100を提供することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上述のように、第2領域40が第1領域30の中央部35と第2方向(Y方向)に隣接することで、天面11の一部(11A、11B)が開口した後の取出口20を、第2方向(Y方向)において第1領域30の中央部35から第2領域40を含む範囲まで拡げることができる(図7図8)。
【0091】
このような構成により、開口した取出口20の中央部21に手指等が入れやすくなる。そのため、本実施形態では、取出口20に詰まりやすいシート積層体SLの上層のシートS(例えば、1枚目または1組目のシートS1)も容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体10内に落込んだシートSも簡単に取り出すことができる(図9図11)。
【0092】
本実施形態では、上述のように、開口された後の第1領域30に対応する延出部Fが、第1領域30の第1端縁(端縁33A)の一部を基端FBとして天面11に固定され、該基端FBを軸として先端FTを上下に動かすことができる。これにより、第1領域30に対応する延出部Fは、天面11に開口した取出口20を覆うカバー(または蓋)Fとなる。そのため、本実施形態では、取出口20から箱体10内に塵やごみが入りにくくなる(図7図8)。
【0093】
また、本実施形態では、このように第1領域30が天面11に接続したまま開口することで、第1領域30の開口後に破断片が生じるのを防ぐことができる。
【0094】
本実施形態では、上述のように、断続的なスリット(ミシン目)M2を第1領域30の第2領域40側と反対側の第1端縁(端縁33A)に設けることで、第1領域30の第1端縁(端縁33A)が折れ曲がりやすくなり、第1領域30が開口した後に形成される延出部Fが基端FBを介して上下に移動しやすくなる。これにより、第1領域30が開口した後に形成される延出部Fは、取出口20の開閉が容易なカバーFを構成することができる(図7図8)。
【0095】
また、本実施形態では、延出部Fの基端FBがミシン目M2で構成されているため、延出部Fを基端FBに沿って開裂することができる。そのため、第1領域30が開口した後に形成される延出部Fは、所望により切り取ることができる(図8図12)。なお、延出部Fは、基端FBに沿って、スリット(ミシン目)M2を開裂することにより、箱体10の天面11から切り取られ、破断片Bが発生する(図12図13参照)。
【0096】
本実施形態では、上述のように、第1領域30の中央部35が第2方向(Y方向)の第2領域40側に向かって凸となることで、第2領域40が開口した後に、第1領域30の第2領域40側に手指が掛けやすくなる。そのため、本実施形態によれば、第1領域30の開口が容易になる(図7図8)。
【0097】
また、本実施形態では、第1領域30の中央部35が第2方向(Y方向)の第2領域40側に拡がるため、開口した取出口20の中央部21に手指等が入れやすくなる(図8)。そのため、本実施形態では、取出口20に詰まりやすいシート積層体SLの上層のシートS(例えば、1枚目または1組目のシートS1)も容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体10内に落込んだシートSも簡単に取り出すことができる(図9図11)。
【0098】
本実施形態では、上述のように、第1領域30の第2端縁(端縁34A)が第1方向(X方向)における第1領域30の中央部35から両端部31、32に亘って湾曲する。これにより、第2領域40が開口した後の第1領域30を開口する際に第1領域30をスムーズに開口することができる(図2図5図8)。
【0099】
本実施形態では、上述のように、第1領域30の両端部31、32の第2方向(Y方向)における幅W2を中央部35の幅W3の40%以上70%以下とすることで、取出口20(開口OP)にシートSが詰まりにくくなり、しかも箱体10内にシートSが落込みにくくなる(図2図8図11)。
【0100】
また、本実施形態では、このようにシートSの落込みを抑制しながら、開口した取出口20の中央部21に手指等が入れやすくなることで(図8)、取出口20に詰まりやすいシート積層体SLの上層のシートS(例えば、1枚目または1組目のシートS1)もより容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体10内に落込んだシートSもより簡単に取り出すことができる(図9図11)。
【0101】
本実施形態では、上述のように、第2領域40の第1領域30側の第3端縁(端縁43A)が湾曲することで、第2領域40が開口した後に、第1領域30の第2領域40側の第2端縁(端縁34A)が第2領域40側に凸となる。そのため、第1領域30に手指が掛けやすくなり、第1領域30の開口が容易になる(図5図8)。
【0102】
本実施形態では、上述のように、第2領域40において第3端縁(端縁43A)と第2方向(Y方向)に対向する第4端縁(端縁44A)が第1領域30から離れる方向に凸状に曲がることで、第2領域40に手指が掛けやすくなり、第2領域40の開口が容易になる(図2図5図7)。また、開口後の第2領域40に手指が入れやすくなることで、第1領域30の開口がより容易になる(図7図8)。これにより、本実施形態では、取出口20の形成がより容易になる。
【0103】
本実施形態では、上述のように、第2領域40の第4端縁(端縁44A)が天面11に接続することで、第2領域40が天面11に接続した状態で開口することができる(図2図5図7)。また、本実施形態では、第2領域40が天面11に接続したまま開口することで、第2領域40の開口後に破断片が生じない(図2図5図7)。
【0104】
さらに、本実施形態では、第2領域40は、第4端縁(端縁44A)に対応するPB(T4)(点線で示された部分)を除く他の部分(端縁41A、42A、43A)が天面11に接続しないため、第2領域40が天面11に接続した状態でも第2領域40の開口が容易である(図2図5図8)。
【0105】
具体的には、開口後の第2領域40(トリガーP)を天面11側から箱体10の内側に押し込むことにより、トリガーPの基端PBが天面11に接続した状態で、トリガーPの先端PTと第1領域30の第2端縁(端縁34A)との間に隙間GPが生じる。この隙間GPに手指を挿入することで、第1領域30の第2端縁(端縁34A)に手指が掛け易くなり、第1領域30を容易に開口することができる(図6図8)。
【0106】
本実施形態では、上述のように、第2領域40の第1方向(X方向)における寸法L4を第1領域30の長さL2の15%以上25%以下とすることで、取出口20を開口するためのトリガーPとして第2領域40を適度な大きさにすることができる(図2)。そのため、第2領域40の開口がより容易になる(図2図5図7)。また、第2領域40を開口させた後の第1領域30の開口がさらに容易になる(図7図8)。
【0107】
本実施形態では、上述のように、第2領域40の第2方向(Y方向)における寸法W4を第1領域30の中央部35の第2方向(Y方向)における幅W3の15%以上50%以下とすることで、取出口20を開口するためのトリガーPとして第2領域40をより適度な大きさにすることができる。そのため、第2領域40の開口がさらに容易になる。また、第2領域40を開口させた後の第1領域30の開口がさらに容易になる(図2図5図8)。
【実施例
【0108】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0109】
[シート収納箱(試験体)]
原紙が坪量310g/mの裏ネズコートボール紙であり、寸法が高さ約44mm、幅約229mm、奥行き約110mmの箱体10を作製した。箱体10の天面11に、天面11の長手方向(X方向)に延びる取出口20を形成した。取出口20は、ミシン目Mで構成し、ミシン目Mを開裂することにより取出口20が開口OPとなる構成にした(図1図8)。
【0110】
[シート(ティシューペーパー)]
シートS(シート積層体SL)は、交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー(坪量:10.7g/m、紙厚:110μm、プライ数:2プライ、組数:150組(300枚)、寸法:嵩(高さ)約40mm、縦幅約197mm、横幅約207mm)を用いた。また、シートS(シート積層体SL)は、積層方向SDがシート収納箱100の高さ方向(Z方向)となるように箱体10に収容した(図1図3)。
【0111】
[開封性]
シート収納箱(試験体)の開封性として、箱体10の天面11に形成されたミシン目Mに手指を掛けミシン目を開裂して取出口20(開口OP)を形成するときの、箱体10の開封のしやすさを評価した。開封性の評価は、以下の基準で行い、4以上を良好、4未満を不良とした。
5:手指が掛けやすく開裂しやすい
4:手指が掛けられ開裂しやすい
3:手指が掛けにくいが開裂できる
2:手指がかけられるが開裂しにくい
1:手指がかけにくく開裂しにくい
【0112】
[破断片の発生]
シート収納箱(試験体)における破断片の発生として、取出口20を開口したときの、破断片(箱体10から切り離された切れ端、小片、断片等)の発生の有無を確認した。破断片の発生は、以下の基準で評価した。
〇:破断片が発生しない
×:破断片が発生した
【0113】
[取出性]
シート収納箱(試験体)の取出性として、箱体10に収容されたシート積層体SLから、天面11に形成された取出口20に親指と人差し指を挿入して1組目のシートSを摘んだときの摘まみ易さを確認した。取出性の評価は、以下の基準で行った。なお、取出性の評価基準は、取出性が4以上の場合は良好(シートSが取出しやすい)とし、4未満の場合は不良(シートSが取り出しにくい)とした。
5:指が取出口に触れずに最初の1組がつまめる
4:指が取出口にわずかに触れるが最初の1組がつまめる
3:指が取出口に触れるが最初の1組がつまめる
2:指が取出口に触れて最初の1組がつまみにくい
1:最初の1組がつまめない
【0114】
[取出抵抗値]
シート収納箱(試験体)の取出抵抗値として、試験体を平坦な載置面上に置き、箱体10の取出口20から1組目のティシュペーパー(シートS)を約40mm引出し、引き出したシートSの上方側の先端(シートSの端部の中央)をダブルクリップ(プラス株式会社製、「CP-103」、挟持部分の寸法約32mm)で挟み、ダブルクリップの持手部分の片側にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、デジタルフォースゲージZ2-20N)のフックを引っ掛けて、0.4~0.6秒の時間をかけて一定速度で、収容体の上面に対して垂直方向にシートSを引き出したときの抵抗力(単位:gf)を測定した。なお、取出抵抗値の評価基準は、測定を3回行いシートSの10組目を引き出したときの抵抗力の平均値が150gf以下の場合は良好(シートSが取出しやすい)とし、150gfを超える場合は不良(シートSが取り出しにくい)とした。
【0115】
[シートの落込み]
シート収納箱(試験体)におけるシートの落込みとして、150組のシートSを最後の1組まで引き出したときに、シートSが取出口20に保持されず箱体10の中に落込んだ回数を測定した。なお、落込みの評価基準は、測定を5回行ったときのシートSが落込んだ回数の平均値が0.5未満の場合は良好(シートが落込まなかった)とし、0.5以上の場合は不良(シートが落込んだ)とした。
【0116】
以下、実施例、比較例について、説明する。
【0117】
[実施例1]
試験体として、箱体10の天面11の一部11A、11Bが、第1方向(X方向)に延びる長さL2と、第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に拡がる幅W2とを有する第1領域30と、第1領域30の中央部35と第2方向(Y方向)の一方の方向OD2に隣接する第2領域40とを有し、第1領域30と第2領域40が開口すると天面11にハンガー形状の取出口20(開口OP)が形成され、第1領域30が取出口20を覆うカバーFを構成し、第2領域40が取出口20を開口するトリガーPを構成するシート収納箱100について、開封性、破断片の発生、取出性、取出抵抗値、及びシートの落込みを評価した。結果を表1に示す。
【0118】
[比較例1]
箱体の天面に楕円形状のミシン目が開裂して形成される取出口(楕円形状の取出口)を形成し、取出口を覆う樹脂製のフィルム(窓貼フィルム)を天面の裏側に貼り付け、フィルムに取出口の長手方向に延びるスリット(開裂することでシートが引き出される)を設けた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0119】
[比較例2]
窓貼フィルムを貼り付けなかった以外は、比較例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0120】
[比較例3]
特許文献2に開示されたシート収納箱(S字形状の取出口)について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
表1より、第1領域30の中央部35に隣接する第2領域40が、取出口20を開口するトリガーPとなり、第1領域30が取出口20を覆うカバーFを構成するシート収納箱100は、開封性、破断片の発生、取出性、取出抵抗値、シートの落込みのいずれも良好であった(実施例1)。
【0123】
一方、天面に楕円形状の取出口と窓貼フィルムを設けたシート収納箱は、開封性、破断片の発生、取出性が不良であった(比較例1)。また、窓貼フィルムを設けなかったシート収納箱は、開封性、破断片の発生、取出性、落込性が不良であった(比較例2)。さらに、窓貼フィルムを設けられず、天面の一部(取出口の端部)にトリガーが設けられているが、カバーを構成しないシート収納箱は、破断片の発生、取出性、取出抵抗値、落込性が不良であった(比較例3)。
【0124】
これらの結果から、箱体の天面の一部が、第1方向に延びる所与の長さと第1方向と交差する第2方向に拡がる所与の幅とを有する第1領域と、第1領域の中央部と第2方向の一方の方向に隣接する第2領域とを有し、第2領域が、第1領域と独立して開口するシート収納箱は、取出口の形成が容易で、破断片が発生せず、シートが取り出しやすく、シートが落込みにくいことが判った。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
100 シート収納箱
S、S1 シート(ティシューペーパー)
SL シート積層体
SD 積層方向
10 箱体
11 天面
11A、11B 一部
12 底面
13、14 側面
15、16 妻面
20 取出口
21 中央部
22 一方の端縁
23 他方の端縁
30 第1領域
30A 凸部
30B、30C 湾曲部
31、32、33、34 端部
31A 端縁
32A 端縁
33A 端縁(第1端縁)
34A 端縁(第2端縁)
35 中央部
35A 中心(図心)
40 第2領域
41、42、43、44 端部
41A 端縁
42A 端縁
43A 端縁(第3端縁)
44A 端縁(第4端縁)
OD 第2方向の一方の方向
L1、L2、L3、L4 長さ
W1、W2、W3、W4 幅
H 高さ
M、M1、M3 ミシン目
M2 スリット(ミシン目)
C、C1、C2、C3 カット
T、T1、T2、T3、T4 タイ
P トリガー
PB 基端
PT 先端
F 延出部(カバー)
FB 基端
FT 先端
OP、OP1、OP2 開口
B 破断片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13