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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】超音波探触子
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020045807
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021145725
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】井口 陽
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢上 弘之
(72)【発明者】
【氏名】山屋 将悟
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-103078(JP,A)
【文献】特表2011-528929(JP,A)
【文献】特開2014-124430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、前記超音波振動子を支持するハウジングと、を備える超音波探触子であって、
前記超音波振動子は、
扁平状の圧電体と、
前記圧電体の厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも一方側に積層されている第1電極と、
前記圧電体の前記厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも他方側に積層されている第2電極と、を備え、
前記ハウジングは、
前記第2電極と当接して前記超音波振動子を支持している第1支持部及び第2支持部と、
前記圧電体に対して前記他方側で、前記第1支持部及び前記第2支持部の間で前記第2電極から離間している状態で前記超音波振動子を覆うカバー部と、を備え、
前記カバー部は、前記超音波振動子と対向する位置に、前記超音波振動子に向かって先細りする複数の突起状又は尾根状の部位を備え
前記カバー部は、前記超音波振動子と対向する表面から、前記表面と反対側に位置する裏面まで貫通する複数のスロットを区画しており、
前記カバー部は、前記複数のスロットのうち隣接する2つのスロットの間に位置する仕切部を備え、
前記仕切部は、前記表面側に、前記超音波振動子に向かって先細りする尾根状の部位を備える、超音波探触子。
【請求項2】
前記仕切部は、前記裏面側に、前記圧電体の面内方向に沿って延在する面を含む、請求項に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記スロット内を位置する樹脂部材を備える、請求項又はに記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記カバー部の前記裏面側に、前記スロットと連通する中空部を区画しており、
前記中空部を区画する内壁は、前記カバー部と対向する位置に、前記カバー部に向かって先細りする複数の突起状又は尾根状の部位を備える、請求項1からのいずれか1つに記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記中空部内に位置する樹脂部材を備える、請求項に記載の超音波探触子。
【請求項6】
前記中空部は、前記ハウジングの遠位端で、前記ハウジングの外部に連通しており、
前記スロットは、前記超音波振動子の近位端側で前記ハウジングの外部に連通している、請求項に記載の超音波探触子。
【請求項7】
前記超音波振動子と前記カバー部との間に介在する樹脂部材を備える、請求項1から6のいずれか1つに記載の超音波探触子。
【請求項8】
前記カバー部の前記仕切部における前記尾根状の部位は、前記カバー部の前記裏面側から前記表面側に向かって漸次先細りしている、請求項1からのいずれか1つに記載の超音波探触子。
【請求項9】
前記中空部を区画する内壁における複数の突起状又は尾根状の部位は、基端から先端に向かって漸次先細りしている突起状又は尾根状の部位を含む、請求項からのいずれか1つに記載の超音波探触子。
【請求項10】
超音波振動子と、前記超音波振動子を支持するハウジングと、を備える超音波探触子であって、
前記超音波振動子は、
扁平状の圧電体と、
前記圧電体の厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも一方側に積層されている第1電極と、
前記圧電体の前記厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも他方側に積層されている第2電極と、を備え、
前記ハウジングは、前記圧電体に対して前記他方側で、前記超音波振動子を覆うカバー部を備え、
前記カバー部は、前記超音波振動子と対向する位置に、前記超音波振動子に向かって先細りする複数の突起状又は尾根状の部位を備え、
前記カバー部は、前記超音波振動子と対向する表面から、前記表面と反対側に位置する裏面まで貫通する複数のスロットを区画しており、
前記カバー部は、前記複数のスロットのうち隣接する2つのスロットの間に位置する仕切部を備え、
前記仕切部は、前記表面側に、前記超音波振動子に向かって先細りする尾根状の部位を備え、
前記ハウジングは、前記カバー部の前記裏面側に、前記スロットと連通する中空部を区画しており、
前記中空部を区画する内壁は、前記カバー部と対向する位置に、前記カバー部に向かって先細りする複数の突起状又は尾根状の部位を備える、超音波探触子。
【請求項11】
前記中空部を区画する内壁における複数の突起状又は尾根状の部位は、基端から先端に向かって漸次先細りしている突起状又は尾根状の部位を含む、請求項10に記載の超音波探触子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波振動子を含む超音波探触子は、医療用超音波診断装置の超音波の送受信器として利用されている。最近では、カテーテルに長尺な超音波探触子を装填し、そのカテーテルを体内に挿入した状態で超音波診断をすることが行なわれている。
【0003】
特許文献1には、頂部主表面及び底部主表面を有するアクティブトランスジューサエレメントと、頂部主表面上に形成される頂部電極と、底部主表面上に形成される底部電極と、底部電極を覆う導電性バッキングエレメントと、頂部電極に電気的に接続されている第1リードと、導電性バッキングエレメントに電気的に接続される第2リードと、を備える超音波探触子が開示されている。特許文献1のアクティブトランスジューサエレメント、頂部電極、底部電極及び導電性バッキングエレメントは、末端ハウジングに対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-198425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のバッキングエレメントは、超音波振動子の一部を構成するトランスジューサエレメントの裏面によって放射される超音波エネルギーを減衰させる。しかしながら、特許文献1に記載の末端ハウジングには、ノイズとなる超音波の送受信の抑制の観点において、依然として改善の余地がある。
【0006】
本開示は、超音波エネルギーの減衰性能を向上可能な構成を有する、超音波振動子を支持するハウジングを備える超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様としての超音波探触子は、超音波振動子と、前記超音波振動子を支持するハウジングと、を備える超音波探触子であって、前記超音波振動子は、扁平状の圧電体と、前記圧電体の厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも一方側に積層されている第1電極と、前記圧電体の前記厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも他方側に積層されている第2電極と、を備え、前記ハウジングは、前記圧電体に対して前記他方側で、前記超音波振動子を覆うカバー部を備え、前記カバー部は、前記超音波振動子と対向する位置に、前記超音波振動子に向かって先細りする複数の突起状又は尾根状の部位を備える。
【0008】
本開示の1つの実施形態として、前記カバー部は、前記超音波振動子と対向する表面から、前記表面と反対側に位置する裏面まで貫通する複数のスロットを区画しており、前記カバー部は、前記複数のスロットのうち隣接する2つのスロットの間に位置する仕切部を備え、前記仕切部は、前記表面側に、前記超音波振動子に向かって先細りする尾根状の部位を備える。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、前記仕切部は、前記裏面側に、前記圧電体の面内方向に沿って延在する面を含む。
【0010】
本開示の1つの実施形態として、前記スロット内を位置する樹脂部材を備える。
【0011】
本開示の1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記カバー部の前記裏面側に、前記スロットと連通する中空部を区画しており、前記中空部を区画する内壁は、前記カバー部と対向する位置に、前記カバー部に向かって先細りする複数の突起状又は尾根状の部位を備える。
【0012】
本開示の1つの実施形態として、前記中空部内に位置する樹脂部材を備える。
【0013】
本開示の1つの実施形態として、前記中空部は、前記ハウジングの遠位端で、前記ハウジングの外部に連通しており、前記スロットは、前記超音波振動子の近位端側で前記ハウジングの外部に連通している。
【0014】
本開示の1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記超音波振動子と前記カバー部との間を離間した状態で前記超音波振動子を支持する支持台部を備える。
【0015】
本開示の1つの実施形態として、前記超音波振動子と前記カバー部との間に介在する樹脂部材を備える。
【0016】
本開示の1つの実施形態として、前記カバー部における複数の突起状又は尾根状の部位は、前記カバー部の前記裏面側から前記表面側に向かって漸次先細りしている突起状又は尾根状の部位を含む。
【0017】
本開示の1つの実施形態として、前記中空部を区画する内壁における複数の突起状又は尾根状の部位は、基端から先端に向かって漸次先細りしている突起状又は尾根状の部位を含む。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、超音波エネルギーの減衰性能を向上可能な構成を有する、超音波振動子を支持するハウジングを備える超音波探触子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態としての超音波探触子を含む画像診断用カテーテルと、外部装置と、が接続された状態を示す図である。
図2図1に示す画像診断用カテーテルの遠位端部でのシースの内部を示す図である。
図3図1に示す超音波探触子の遠位端部の長手方向に平行な断面での断面図である。
図4図2におけるI-I線の位置での超音波探触子の断面図である。
図5図1に示す超音波探触子のイメージングコアにおけるハウジングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示に係る超音波探触子の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。また、本開示では、画像診断用カテーテルの長手方向を「長手方向A」と記載する。更に、本開示では、画像診断用カテーテルの長手方向Aで生体内に挿入される側を「遠位端側」と記載し、その反対側を「近位端側」と記載する。また、画像診断用カテーテルの近位端側から遠位端側に向かう方向を単に「挿入方向A1」と記載する場合がある。また、画像診断用カテーテルの遠位端側から近位端側に向かう方向を単に「抜去方向A2」と記載する場合がある。
【0021】
はじめに、本開示に係る超音波振動子を適用可能な画像診断装置の一例を説明する。図1は、一実施形態としての超音波振動子11を備える画像診断装置100を示す図である。
【0022】
画像診断装置100は、画像診断用カテーテル110と、外部装置120と、を備える。図1では、画像診断用カテーテル110が外部装置120に接続されている状態を示している。図2は、図1に示す画像診断用カテーテル110の遠位端部でのシース20の内部を示す図である。図3は、超音波探触子10の遠位端部の長手方向Aに平行な断面での断面図である。図4は、図2におけるI-I線の位置での超音波探触子10の断面図である。図5は、超音波探触子10のイメージングコア60におけるハウジング12を示す斜視図である。
【0023】
<画像診断用カテーテル110>
画像診断用カテーテル110は、血管内超音波診断法(Intravascular Ultrasound、略称「IVUS」)に適用される。図1に示すように、画像診断用カテーテル110は、外部装置120に接続されることによって駆動される。より具体的に、本実施形態の画像診断用カテーテル110は、外部装置120の駆動ユニット120aに接続されている。
【0024】
図1に示すように、画像診断用カテーテル110は、挿入部110aと、操作部110bと、を備える。挿入部110aは、画像診断用カテーテル110のうち、生体内に挿入されて使用される部位である。操作部110bは、画像診断用カテーテル110のうち、挿入部110aが生体内に挿入されている状態で、生体外で操作される部位である。本実施形態の画像診断用カテーテル110では、後述する遠位端側コネクタ42(図1参照)よりも遠位端側の部分が挿入部110aであり、遠位端側コネクタ42から近位端側の部分が操作部110bである。
【0025】
図1図2に示すように、挿入部110aは、超音波探触子10と、シース20と、を備える。
【0026】
図1に示すように、操作部110bは、内管部材30と、外管部材40と、を備える。内管部材30は、超音波探触子10の近位端側の端部を保持している。外管部材40は、シース20の近位端側の端部を保持している。詳細は後述するが、内管部材30が外管部材40内を中心軸方向に移動することで、超音波探触子10がシース20内を長手方向Aに移動することができる。また、詳細は後述するが、超音波探触子10の一部である駆動シャフト13及び電気信号線14は、内管部材30及び外管部材40の内部を通じて、長手方向Aにおいて、挿入部110aの領域のみならず、操作部110bの領域に亘って延在している。つまり、本実施形態の操作部110bは、内管部材30及び外管部材40に加えて、超音波探触子10により一部が構成されている。
【0027】
[超音波探触子10]
図2に示すように、超音波探触子10は、イメージングコア60と、駆動シャフト13と、電気信号線14と、を備える。イメージングコア60は、超音波振動子11と、ハウジング12と、第1~第3樹脂部材61~63と、を備える。
【0028】
図3図4に示すように、超音波振動子11は、圧電素子1と、音響整合部材3と、を備える。具体的に、圧電素子1は、扁平状の圧電体4と、この圧電体4の厚み方向Bにおいて、圧電体4に対して少なくとも一方側に積層されている第1電極5と、圧電体4の厚み方向Bにおいて、圧電体4に対して少なくとも他方側に積層されている第2電極6と、からなる。以下、説明の便宜上、圧電体4に対して少なくとも第1電極5の一部が設けられている、圧電体4の厚み方向Bの一方側を「表面側」と記載する。また、説明の便宜上、圧電体4に対して少なくとも第2電極6の一部が設けられている、圧電体4の厚み方向Bの他方側を「裏面側」と記載する。超音波振動子11の表面側とは、超音波の送受信を行う側である。また、超音波振動子11の裏面側とは、超音波の送受信を行う側とは反対側である。
【0029】
圧電素子1の圧電体4は、例えば、圧電セラミックシートにより構成される。圧電セラミックシートの材料としては、例えば、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、ニオブ酸リチウムなどの圧電セラミック材料が挙げられる。圧電体4は、圧電セラミック材料ではなく、水晶により形成されていてもよい。
【0030】
圧電素子1の第1電極5及び第2電極6は、例えば、マスク材を用いたイオンプレーティング法、蒸着法、スパッタ法により、圧電体4の厚み方向Bの両面それぞれに電極層として積層させることで形成できる。第1電極5及び第2電極6の材料としては、例えば、銀、クロム、銅、ニッケル、金などの金属や、これら金属の積層体などが挙げられる。
【0031】
本実施形態の第2電極6は、圧電素子1の裏面側のみに形成されている。
【0032】
これに対して、本実施形態の第1電極5は折返し電極により構成されている。具体的に、本実施形態の第1電極5は、表面電極層と、裏面電極層と、連結導電部と、を備える。表面電極層は、圧電体4に対して表面側に積層されている。裏面電極層は、圧電体4に対して裏面側に積層されている。連結導電部は、表面電極層及び裏面電極層を連結している。換言すれば、本実施形態の第1電極5は、圧電素子1の表面側から裏面側に亘って形成されている。第1電極5を折返し電極とすることで、圧電素子1の裏面側に、第1電極5の裏面電極層、及び、第2電極6、を共に配置できる。これにより、第1電極及び第2電極それぞれが圧電素子の別々の面のみに配置されている場合と比較して、電気信号線14と第1電極5及び第2電極6との接続作業を圧電素子1の片面側のみで行うことができるようになる。
【0033】
図3図4に示すように、音響整合部材3は、圧電素子1の表面側の一部を覆うように積層されている。但し、音響整合部材3は、この構成に限られず、圧電素子1の表面側の全域を覆うように積層されていてもよい。
【0034】
音響整合部材3を設けることにより、被検体への超音波の伝播効率を高めることができる。つまり、本実施形態の音響整合部材3は、超音波の伝播効率を高める音響整合層を構成している。
【0035】
音響整合部材3としての音響整合層は、音響整合層を形成するシート材を圧電素子1に張り合わせる方法、音響整合層を形成する液状の音響整合性材料を塗布して硬化させる方法、などによって形成することができる。音響整合部材3の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などの樹脂材料が挙げられる。また、音響整合部材3は、樹脂材料から構成された樹脂層の積層体により構成されていてもよい。
【0036】
本実施形態の超音波振動子11は、圧電体4の裏面から出射される超音波の超音波エネルギーを吸収可能で、圧電素子1を裏面側から支持する支持部材を備えない。超音波振動子11は、この構成に限られず、支持部材を備える構成であってもよい。支持部材とは、例えば、ゴムや、タングステン粉末などの金属粉末を分散させたエポキシ樹脂など、により構成される吸音体である。但し、ハウジング12に後述する吸音楔構造を設けることで、本実施形態の超音波振動子11のように、支持部材を備えない構成とすることが好ましい。支持部材を設けない構成にすることで、超音波振動子11を小型化できる。
【0037】
ハウジング12は、超音波振動子11を支持している。ハウジング12の近位端側は、駆動シャフト13に接続されている。本実施形態のハウジング12は、コネクタ15を介して、駆動シャフト13に接続されているが、コネクタ15を介さずに接続されるハウジングとしてもよい。
【0038】
ハウジング12は、金属塊からの削り出しやMIM(金属粉末射出成形)等により形成可能である。ハウジング12の構成材料は、金属、セラミックス、樹脂など、特に限定されない。但し、本実施形態のハウジング12は、導電性を有さないセラミックス、樹脂等から構成されるハウジング本体16aと、このハウジング本体16aに埋設され、一部がハウジング本体16aから露出する導電部材16bと、を備える。導電部材16bは、導電性を有する金属により構成される。導電部材16bは、超音波振動子11の第1電極5及び第2電極6と電気的に接続される。また、導電部材16bは、電気信号線14と電気的に接続される。これにより、超音波振動子11は、導電部材16bを介して、電気信号線14に電気的に接続される。
【0039】
図4図5に示すように、ハウジング本体16aは、超音波振動子11の裏面側を支持する支持台部17aを備える。支持台部17aは、超音波振動子11の幅方向Cの一端部で超音波振動子11の裏面と当接する第1支持部17a1と、超音波振動子11の幅方向Cの他端部で超音波振動子11の裏面と当接する第2支持部17a2と、を備える。「幅方向C」とは、長手方向A及び厚み方向Bの両方に直交する方向を意味する。つまり、支持台部17aは、超音波振動子11の幅方向Cの一端部及び他端部で、超音波振動子11の裏面と接触して、超音波振動子11を支持している。換言すれば、図4に示すように、支持台部17aは、幅方向Cにおける第1支持部17a1及び第2支持部17a2の間では、超音波振動子11の裏面と当接していない。
【0040】
図3図5に示すように、ハウジング本体16aは、圧電体4に対して裏面側(超音波振動子11の裏面側と同じ)で、超音波振動子11を覆うカバー部17bを備える。図4に示すように、カバー部17bは、超音波振動子11と対向する位置に、超音波振動子11に向かって先細りする複数の尾根状の部位17b1を備える。そのため、カバー部17bのうち、超音波振動子11の裏面と対向する表面は、平面ではなく、凹凸形状を有している。
【0041】
カバー部17bは、上述の尾根状の部位17b1に加えて又は代えて、超音波振動子11と対向する位置に、超音波振動子11に向かって先細りする複数の突起状の部位を備えてもよい。以下、尾根状の部位17b1について例示説明するが、特段の説明をしない限り、突起状の部位であっても同様である。
【0042】
このように、ハウジング12が上述した複数の突起状又は尾根状の部位(本実施形態では尾根状の部位17b1)を備えることで、ハウジング12の超音波エネルギーの減衰性能を向上させることができる。具体的に、超音波振動子11の裏面から出射される超音波の超音波エネルギーは、複数の尾根状の部位17b1の間の間隙に入り込み、この間隙で反射を繰り返すことにより減衰し易い。そのため、超音波振動子11の裏面から出射される超音波が、カバー部17bで超音波振動子11の裏面に向かって反射することを抑制できる。つまり、超音波振動子11が、その裏面でノイズとなる超音波を受信することを抑制できる。
【0043】
図4に示すように、本実施形態のカバー部17bは、超音波振動子11と対向する表面から、この表面とは反対側に位置する裏面まで、貫通する複数のスロット18を区画している。本実施形態のカバー部17bは、複数のスロット18のうち隣接する2つのスロット18の間に位置する仕切部19を備える。そして、仕切部19は、その表面側(図4では上側)に、超音波振動子11に向かって先細りする尾根状の部位17b1を備える。換言すれば、本実施形態のカバー部17bの尾根状の部位17b1は、仕切部19の超音波振動子11の裏面に対向する部分に形成されている。したがって、上述した本実施形態における尾根状の部位17b1の間の間隙とは、隣接する2つの仕切部19に挟まれているスロット18の内部空間を意味する。カバー部17bに複数のスロット18を設けるとともに、尾根状の部位17b1を仕切部19の表面側に設けることで、超音波振動子11の裏面から出射される超音波の超音波エネルギーは、複数の尾根状の部位17b1の間の間隙であるスロット18の内部空間に入り込み、反射を繰り返して減衰する。更に、スロット18の内部空間で減衰しきれない超音波エネルギーは、スロット18からカバー部17bの裏側に抜ける。そのため、超音波振動子11が、その裏面でノイズとなる超音波を受信することを、より抑制できる。
【0044】
本実施形態の尾根状の部位17b1は、図4に示す長手方向Aと直交する断面視で、基端側(図4では下側)から先端側(図4では上側)に向かって、先細りする傾斜角度が変化する。具体的に、本実施形態の尾根状の部位17b1は、図4に示す断面視で、厚み方向Bに対して所定の傾斜角度θ1で傾斜する第1斜面部51と、この第1斜面部51の先端側に連続して先端まで延在する、第1斜面部51よりも厚み方向Bに対して大きい傾斜角度θ2で傾斜する第2斜面部52と、を備える。この2つの傾斜角度θ1、θ2は特に限定されず、超音波エネルギーの減衰効率によって適宜設定されればよい。
【0045】
カバー部17bにおける複数の尾根状の部位17b1は、カバー部17bの裏面側から表面側に向かって漸次先細りしている少なくとも1つの尾根状の部位17b1を含む。より具体的に、本実施形態のカバー部17bの複数の尾根状の部位17b1は全て、カバー部17bの裏面側から表面側に向かって漸次先細りしている。このような漸次先細りする構成とすることで、超音波振動子11の裏面から出射される超音波が、カバー部17bの超音波振動子11の裏面と対向する表面で、超音波振動子11の裏面に向かって反射することを、より抑制できる。したがって、本実施形態のように、尾根状の部位17b1は、2つの第2斜面部52が交差する稜線により先鋭な先端を形成していることが好ましい。
【0046】
更に、図4に示すように、超音波振動子11とカバー部17bとの間は、支持台部17aが超音波振動子11を支持している状態で、離間している。換言すれば、支持台部17aは、超音波振動子11とカバー部17bとの間を離間した状態で、超音波振動子11を支持する。つまり、超音波振動子11は、カバー部17bの超音波振動子11に対向する表面に設けられる尾根状の部位17b1の先端により支持されていない。このようにすることで、支持台部17aは、カバー部17bの超音波振動子11に対向する表面に設けられた凹凸形状の寸法精度に関係なく、超音波振動子11を支持できる。そのため、ハウジング12における超音波振動子11の位置決め精度を向上させることができる。
【0047】
本実施形態のカバー部17bの複数のスロット18は、幅方向Cに所定間隔を空けて区画されている。また、本実施形態のカバー部17bの複数のスロット18及び仕切部19は、長手方向Aに略平行に延在している。本実施形態の複数のスロット18及び複数の仕切部19は、幅方向Cにおいて、支持台部17aの第1支持部17a1及び第2支持部17a2の間の全域に亘って、超音波振動子11の裏面側に配置されている。このようにすることで、超音波振動子11の裏面から出射される超音波を、幅方向Cの広い範囲で、超音波振動子11の裏面に向かって反射させないようにすることができる。これにより、超音波振動子11が、その裏面でノイズとなる超音波を受信することを抑制できる。
【0048】
更に、本実施形態の複数のスロット18及び複数の仕切部19は、長手方向Aにおいて、超音波振動子11の位置する全域に亘って、超音波振動子11の裏面側に配置されている。このようにすることで、超音波振動子11の裏面から出射される超音波を、長手方向Aの広い範囲で、超音波振動子11の裏面に向かって反射させないようにすることができる。これにより、超音波振動子11が、その裏面でノイズとなる超音波を受信することを抑制できる。
【0049】
また、カバー部17bの裏面は、圧電体4の面内方向に沿って延在する面としての平面部53により構成されている。より具体的に、本実施形態のカバー部17bの裏面は、複数の仕切部19の裏面により構成されている。そして、本実施形態の仕切部19は、裏面側に、圧電体4の面内方向に沿って延在する平面部53を備える。このようにすることで、超音波振動子11の裏面から出射され、スロット18を抜け出た超音波は、たとえカバー部17bに向かって再度反射しても、平面部53によって反射され易い。つまり、超音波振動子11の裏面から出射され、スロット18を抜け出た超音波が、再びスロット18を通じて超音波振動子11の裏面で受信されることを抑制できる。但し、カバー部17bの裏面は、圧電体4の面内方向に沿って延在する面を含む構成であればよく、その面は、本実施形態の平面部53に限られない。「圧電体の面内方向に沿って延在する面」とは、圧電体の面内方向に平行な平面に限られず、圧電体の面内方向に沿って延在していれば、凸面、凹面などの湾曲面をも含む意味である。従って、カバー部17bの裏面を構成する仕切部19の裏面は、圧電体4の面内方向に沿って延在する面であれば、例えば、尾根状の部位17b1よりも鈍い先端を有する尾根状の凸面部により構成されてもよい。また、仕切部19の裏面は、圧電体4の面内方向に沿って延在する面であれば、例えば、表面側に向かって窪む凹面部により構成されてもよい。仕切部19の裏面は、上述の効果の観点では、凸面部又は凹面部よりも、平面部53により構成されることが好ましい。
【0050】
図4に示すように、ハウジング本体16aは、カバー部17bの裏面側に、スロット18と連通する中空部54を区画している。ハウジング本体16aのうち中空部54を区画する内壁は、カバー部17bと対向する位置に、カバー部17bに向かって先細りする複数の尾根状の部位17b2を備える。
【0051】
ハウジング本体16aのうち中空部54を区画する内壁は、上述の尾根状の部位17b2に加えて又は代えて、カバー部17bと対向する位置に、カバー部17bに向かって先細りする複数の突起状の部位を備えてもよい。以下、尾根状の部位17b2について例示説明するが、特段の説明をしない限り、突起状の部位であっても同様である。
【0052】
このように、ハウジング12が上述した複数の突起状又は尾根状の部位(本実施形態では尾根状の部位17b2)を備えることで、ハウジング12の超音波エネルギーの減衰性能を、更に向上させることができる。具体的に、超音波振動子11の裏面から出射される超音波がスロット18を通り抜けて中空部54に進入したとしても、複数の尾根状の部位17b2の凸面により分散するように反射させることができる。これにより超音波エネルギーを中空部54内で減衰させることができる。更に、複数の尾根状の部位17b2からカバー部17bに向かって反射する超音波を少なくできる。そのため、超音波振動子11が、その裏面でスロット18を通じて逆戻りしたノイズとなる超音波を受信することを、抑制できる。
【0053】
より具体的に、本実施形態のハウジング本体16aは、半円筒部とカバー部17bとにより、中空部54を区画している。また、本実施形態では、中空部54を区画する半円筒部の内壁に、尾根状の部位17b2が設けられている。本実施形態の複数の尾根状の部位17b2は、長手方向Aに延在するリブ状凸部である。尾根状の部位17b2は、周方向の異なる位置に、複数設けられている。周方向で隣接する2つの尾根状の部位17b2は、本実施形態のように連続的に配置されていてもよく、離間して配置されていてもよい。この距離は、所望の吸音性能に応じて適宜設定されればよい。
【0054】
図4に示すように、中空部54を区画する内壁に設けられる尾根状の部位17b2は、基端から先端に向かって漸次先細りしていることが好ましい。特に、尾根状の部位17b2は、図4に示す断面視において凸状に湾曲する湾曲面により構成されることが好ましい。このようにすることで、尾根状の部位17b2により超音波を分散して反射し易くなる。
【0055】
図3図4に示すように、本実施形態の中空部54は、ハウジング12の遠位端としてのハウジング本体16aの遠位端で、ハウジング12の外部に連通している。また、本実施形態のスロット18は、超音波振動子11の近位端側でハウジング12の外部に連通している。そのため、ハウジング12の遠位端から中空部54に樹脂系の接着剤を充填すれば、接着剤は、中空部54のみならず、スロット18を通り抜けて、超音波振動子11とカバー部17bとの間の間隙まで充填される。スロット18は、超音波振動子11の近位端側でハウジング12の外部に連通しているため、接着剤により押し出される空気はハウジング12の外部に排出される。そのため、中空部54内、スロット18内、及び、超音波振動子11とカバー部17bとの間の間隙、をすべて接着剤で充填できる。このようにすれば、後述する第1~第3樹脂部材61~63を同一材料で容易に形成できる。
【0056】
ハウジング本体16aは、支持台部17aに超音波振動子11が支持されている状態で、超音波振動子11の幅方向Cの端面を覆う側壁部17cを備える。側壁部17cは、支持台部17aの第1支持部17a1から立ち上がる第1側面部17c1と、支持台部17aの第2支持部17a2から立ち上がる第2側面部17c2と、を備える。第1側面部17c1及び第2側面部17c2を設けることで、ハウジング本体16aに対して超音波振動子11を取り付ける際に、超音波振動子11をハウジング本体16aの取り付け位置に位置決めし易い。また、第1側面部17c1及び第2側面部17c2を設けることで、超音波振動子11の幅方向Cの端面でノイズとなる超音波を受信することを抑制できる。
【0057】
図3図4に示すように、本実施形態のイメージングコア60は、第1樹脂部材61を備える。第1樹脂部材61は、スロット18内に位置する。圧電体4と第1樹脂部材61との間の音響インピーダンス差は、圧電体4と空気との間の音響インピーダンス差よりも小さい。
【0058】
本実施形態のイメージングコア60は、第2樹脂部材62を備える。第2樹脂部材62は、中空部54内に位置する。圧電体4と第2樹脂部材62との間の音響インピーダンス差は、圧電体4と空気との間の音響インピーダンス差よりも小さい。
【0059】
更に、本実施形態のイメージングコア60は、第3樹脂部材63を備える。第3樹脂部材63は、超音波振動子11とカバー部17bとの間に介在する。圧電体4と第3樹脂部材63との間の音響インピーダンス差は、圧電体4と空気との間の音響インピーダンス差よりも小さい。
【0060】
第1樹脂部材61、第2樹脂部材62及び第3樹脂部材63は、同一の材料から構成されていてもよい。第1樹脂部材61、第2樹脂部材62及び第3樹脂部材63は、例えば、主成分として樹脂であり、シリコーンゴム系の接着剤、エポキシ樹脂系の接着剤、等により構成可能である。上述したように、中空部54内、スロット18内、及び、超音波振動子11とカバー部17bとの間の間隙、をすべて樹脂系の接着剤で充填し固化することで、第1~第3樹脂部材61~63を同一材料で容易に形成できる。
【0061】
駆動シャフト13は、可撓性を有する管体により構成されている。駆動シャフト13の内部には、超音波振動子11に接続される電気信号線14が配置されている。駆動シャフト13は、例えば、軸まわりの巻き方向が異なる多層のコイルによって構成される。コイルの材料としては、例えば、ステンレス、Ni-Ti(ニッケル・チタン)合金などが挙げられる。このような駆動シャフト13にすることで、2本の電気信号線14を二重らせん状のツイストペアケーブルにより構成しても、シールド性を高めて電気信号線14から発生するノイズによる影響を軽減することができる。
【0062】
駆動シャフト13は、内管部材30及び外管部材40の内部を通って、内管部材30の近位端部に位置する後述のハブ32まで延在している。つまり、駆動シャフト13は、長手方向Aにおいて、挿入部110aの遠位端部から操作部110bの近位端部まで延在している。
【0063】
図2に示すように、電気信号線14は、駆動シャフト13内に延在しており、超音波振動子11と外部装置120とを電気的に接続している。つまり、電気信号線14は、駆動シャフト13と同様、長手方向Aにおいて、挿入部110aの遠位端部から操作部110bの近位端部まで延在している。電気信号線14は複数(本実施形態では2本)設けられており、各電気信号線14は、コネクタ15、及び、ハウジング12の導電部材16b、を介して、上述した圧電素子1の第1電極5又は第2電極6に接続されている。複数の電気信号線14は、例えば、2本の電気信号線14が撚り合わされたツイストペアケーブルにより構成される。各電気信号線14は、外径が0mmより大きく0.1mm以下の、可撓性を有する柔軟な細線部材とすることができる。各電気信号線14は、例えば、0mmより大きく0.05mm以下の導線と、絶縁材料により形成され、導線の周囲を被覆する被覆材と、により構成可能である。
【0064】
[シース20]
図2に示すように、シース20は、第1中空部21a及び第2中空部21bを区画している。第1中空部21aには、超音波探触子10が収容されている。超音波探触子10は、第1中空部21a内において、長手方向Aに進退移動することができる。第2中空部21bには、ガイドワイヤWが挿通可能である。本実施形態では、第2中空部21bを区画する管状のガイドワイヤ挿通部20bが、第1中空部21aを区画する管状の本体部20aの遠位端部に対して、互いが平行な状態になるように位置している。本体部20a及びガイドワイヤ挿通部20bは、互いに異なる管部材を熱融着等によって接合することで形成可能であるが、このような形成方法に限られない。
【0065】
本体部20aには、X線が不透過な材料で形成されるX線造影性を有するマーカ22が設けられている。また、ガイドワイヤ挿通部20bにおいても、X線造影性を有するマーカ23が設けられている。マーカ22及び23は、例えば、白金、金、イリジウム、タングステン等のX線不透過性の高い金属コイルにより構成可能である。
【0066】
シース20の長手方向Aにおいて超音波振動子11が移動する範囲には、超音波の透過性が他の部位に比べて高く形成された窓部24が形成されている。より具体的に、本実施形態の窓部24は、シース20のうち本体部20aに形成されている。
【0067】
本体部20aの窓部24、及び、ガイドワイヤ挿通部20bは、可撓性を有する材料で形成され、その材料は特に限定されない。構成材料としては、例えば、ポリエチレン、スチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリブタジエン、トランスポリイソプレン、フッ素ゴム、塩素化ポリエチレン等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等も使用することができる。
【0068】
本体部20aの窓部24よりも近位端側は、窓部24よりも剛性が高い材料によって補強された補強部を有する。補強部は、例えば、樹脂等の可撓性を有する管状部材に、ステンレス製などの金属素線を網目状に編組した補強材が配設されて形成される。上記管状部材は、窓部24と同様の材料によって形成される。
【0069】
シース20の外表面には、湿潤時に潤滑性を示す親水性潤滑被覆層を配置することが好ましい。
【0070】
シース20の本体部20aの遠位端部には、第1中空部21aの内部と外部とを連通する連通孔25が形成されている。プライミング時には、この連通孔25を通じて、本体部20a内の気体を排出することができる。
【0071】
[内管部材30及び外管部材40]
図1に示すように、内管部材30は、内管31と、ハブ32と、を備える。内管31は、外管部材40内で進退移動可能に挿入されている。ハブ32は、内管31の近位端側に設けられている。
【0072】
図1に示すように、外管部材40は、外管41と、遠位端側コネクタ42と、近位端側コネクタ43と、を備える。外管41は、内管31の径方向外側に位置し、外管41内を内管31が進退移動する。遠位端側コネクタ42は、シース20の本体部20aの近位端部と、外管41の遠位端部と、を接続している。近位端側コネクタ43は、外管41の近位端部に設けられ、内管31を外管41内に受容するように構成されている。
【0073】
上述した超音波探触子10の駆動シャフト13及び電気信号線14は、シース20の本体部20a、この本体部20aの近位端側に接続された外管部材40、及び、この外管部材40に一部が挿入されている内管部材30の近位端部に位置するハブ32まで、延在している。
【0074】
上述した超音波探触子10及び内管部材30は、それぞれが一体的に長手方向Aに進退移動するように互いに接続されている。そのため、例えば、内管部材30が、挿入方向A1に向かって押される操作がなされると、内管部材30は、挿入方向A1に向かって、外管部材40内に押し込まれる。内管部材30が挿入方向A1に向かって外管部材40内に押し込まれると、内管部材30に接続されている超音波探触子10がシース20の本体部20a内を挿入方向A1に移動する。逆に、内管部材30が、抜去方向A2に向かって引かれる操作がなされると、内管部材30は、外管部材40内から抜去方向A2に引き出される。内管部材30が外管部材40内から抜去方向A2に引き出されると、内管部材30に接続されている超音波探触子10はシース20の本体部20a内を抜去方向A2に移動する。
【0075】
内管部材30が挿入方向A1へ最も押し込まれたときには、内管部材30の遠位端部は、外管部材40の遠位端側コネクタ42付近まで到達する。この際、超音波探触子10の超音波振動子11は、シース20の本体部20aの遠位端付近に位置する。
【0076】
内管部材30の遠位端部には、内管部材30が外管部材40よりも遠位端側に飛び出すことを防止すると共に、内管部材30が最も近位端側に引かれたときに外管部材40の近位端側に抜け落ちることを防止するストッパ部が設けられている。ストッパ部は、上記機能を実現できる構成であれば特に限定されず、例えば、所定の位置で外管部材40と長手方向Aにおいて突き当たる壁部などにより構成すればよい。
【0077】
内管部材30のハブ32の近位端には、外部装置120と機械的および電気的に接続されるコネクタ部が設けられている。つまり、画像診断用カテーテル110は、内管部材30のハブ32に設けられたコネクタ部により、外部装置120と機械的および電気的に接続される。より具体的に、超音波探触子10の電気信号線14は、超音波振動子11からハブ32のコネクタ部まで延在しており、ハブ32のコネクタ部が外部装置120に接続された状態で、超音波振動子11と外部装置120とを電気的に接続する。超音波振動子11における受信信号は、ハブ32のコネクタ部を介して外部装置120に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。
【0078】
<外部装置120>
図1に示すように、外部装置120は、駆動シャフト13を回転させるための動力源であるモータ121と、駆動シャフト13を長手方向Aに移動させるための動力源であるモータ122と、を有する。モータ122の回転運動は、モータ122に接続したボールネジ123によって軸方向の運動に変換される。
【0079】
より具体的に、本実施形態の外部装置120は、駆動ユニット120aと、この駆動ユニット120aに有線又は無線で電気的に接続されている制御装置120bと、この制御装置120bが画像診断用カテーテル110から受信した受信信号に基づいて生成した画像を表示可能なモニタ120cと、を備える。本実施形態の上述したモータ121、モータ122及びボールネジ123は、駆動ユニット120aに設けられている。この駆動ユニット120aの動作は、制御装置120bによって制御される。制御装置120bは、CPU及びメモリを含むプロセッサにより構成することができる。
【0080】
外部装置120は、本実施形態で示す構成に限られず、例えば、キーボード等の外部入力部を更に備える構成であってもよい。
【0081】
本開示に係る超音波探触子は上述した実施形態で特定される具体的な構成に限られず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。上述した実施形態の超音波探触子10のイメージングコア60は、血管内超音波診断を可能とする超音波振動子11のみを備える構成であるが、この構成に限られず、例えば、光干渉断層診断(Optical Coherence Tomography、略称「OCT」)を可能とする光送受信部を更に備える構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示は超音波探触子に関する。
【符号の説明】
【0083】
1:圧電素子
3:音響整合部材
4:圧電体
5:第1電極
6:第2電極
10:超音波探触子
11:超音波振動子
12:ハウジング
13:駆動シャフト
14:電気信号線
15:コネクタ
16a:ハウジング本体
16b:導電部材
17a:支持台部
17a1:第1支持部
17a2:第2支持部
17b:カバー部
17b1:尾根状の部位
17b2:尾根状の部位
17c:側壁部
17c1:第1側面部
17c2:第2側面部
18:スロット
19:仕切部
20:シース
20a:本体部
20b:ガイドワイヤ挿通部
21a:第1中空部
21b:第2中空部
22、23:マーカ
24:窓部
25:連通孔
30:内管部材
31:内管
32:ハブ
40:外管部材
41:外管
42:遠位端側コネクタ
43:近位端側コネクタ
51:第1斜面部
52:第2斜面部
53:平面部
54:中空部
60:イメージングコア
61:第1樹脂部材
62:第2樹脂部材
63:第3樹脂部材
100:画像診断装置
110:画像診断用カテーテル
110a:挿入部
110b:操作部
120:外部装置
120a:駆動ユニット
120b:制御装置
120c:モニタ
121:モータ
122:モータ
123:ボールネジ
θ1:第1斜面部の傾斜角度
θ2:第2斜面部の傾斜角度
A:長手方向
A1:挿入方向
A2:抜去方向
B:厚み方向
C:幅方向
W:ガイドワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5