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特許7403361給紙装置、画像形成装置および移動部材のロック機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】給紙装置、画像形成装置および移動部材のロック機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20231215BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20231215BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
B65H1/00 501A
G03G15/00 401
B65H1/04 326B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020053251
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151913
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】大石 真嗣
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-085190(JP,A)
【文献】特開2010-037058(JP,A)
【文献】特開2019-167165(JP,A)
【文献】特開2016-137975(JP,A)
【文献】特開2010-089885(JP,A)
【文献】特開2005-194087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04
B65H 1/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙を積載可能な給紙カセットを備え、当該給紙カセットに備えられる用紙規制板の位置に基づいて、当該給紙カセットに収容される用紙のサイズを検知可能な給紙装置であって、
前記給紙カセットは、
前記給紙カセットの底板に形成され、用紙搬送方向を長手方向とするスリット部と、
前記スリット部の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、前記スリット部と平行に形成されるラックギア部と、
前記スリット部に沿って移動可能な前記用紙規制板と、を有し、
前記用紙規制板は、
前記ラックギア部と係合可能な第1係合ギア部と、
前記第1係合ギア部を前記ラックギア部と係合する第1位置へ移動させる付勢力を与えると共に、前記付勢力と逆向きの力を与える操作が加えられたときに前記第1係合ギア部を前記ラックギア部との係合が解除される第2位置へと移動可能な操作部とを有しており、
前記給紙装置は、さらに、前記用紙規制板側に突出した突出部と、前記ラックギア部と係合可能な第2係合ギア部と、前記スリット部と係合するスリット挿入部と、を有するロック部材を備え、
前記用紙規制板は、前記ロック部材が、前記スリット部の長手方向の隣りに配置された状態において、前記突出部が前記操作部に当接することで、前記第1係合ギア部の移動が規制されることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
複数の用紙を積載可能な給紙カセットを備え、当該給紙カセットに備えられる用紙規制板の位置に基づいて、当該給紙カセットに収容される用紙のサイズを検知可能な給紙装置であって、
前記給紙カセットは、
前記給紙カセットの底板に形成され、用紙搬送方向を長手方向とするスリット部と、
前記スリット部の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、前記スリット部と平行に形成されるラックギア部と、
前記スリット部に沿って移動可能な前記用紙規制板と、を有し、
前記用紙規制板は、
前記ラックギア部と係合可能な第1係合ギア部と、
前記第1係合ギア部を前記ラックギア部と係合する第1位置へ移動させる付勢力を与えると共に、前記付勢力と逆向きの力を与える操作が加えられたときに前記第1係合ギア部を前記ラックギア部との係合が解除される第2位置へと移動可能な操作部とを有しており、
前記給紙装置は、さらに、前記用紙規制板側に突出した突出部と、前記ラックギア部と係合可能な第2係合ギア部と、を有するロック部材と、
前記スリット部内に配置される胴部と、前記胴部の上方に設けられ、前記ロック部材を支持する取付部と、前記胴部の下方に設けられ、前記スリット部に対する抜止部とを有する固定部材とを備えており、
前記用紙規制板は、前記ロック部材が、前記スリット部の長手方向の隣りに配置された状態において、前記突出部が前記操作部に当接することで、前記第1係合ギア部の移動が規制され、
前記ロック部材は、前記固定部材の前記取付部に支持されることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給紙装置であって、
前記用紙規制板は、前記給紙カセットに収容される用紙の端部を規制する基部を有し、前記操作部は、片端が基部に接続され、他端が第1係合ギア部に接続されるアーム形状を有し、
前記ロック部材の前記突出部が、前記操作部もしくは前記第1係合ギア部と前記基部との間に配置されることで、前記第1係合ギア部の移動が規制されることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項に記載の給紙装置であって、
前記取付部は、ねじ穴部を有し、
前記ロック部材は、前記ねじ穴部と対応する位置に穴部を有し、
当該ロック部材は、ねじによって前記取付部に締結されることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項またはに記載の給紙装置であって、
前記抜止部は、前記胴部から水平方向に延伸された板状に形成され、水平方向において互いに直交する長手方向と短手方向とを有しており、
前記抜止部の長手方向長さは前記スリット部の幅よりも大きく設定されており、短手方向長さは前記スリット部の幅以下に設定されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項2,4または5に記載の給紙装置であって、
前記胴部は、円筒部と、前記円筒部から突出する回転規制部とを有することを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1からの何れか1項に記載の給紙装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
枠体に形成されたスリット部と、
前記スリット部の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、前記スリット部と平行に形成されるラックギア部と、
前記スリット部に沿って移動可能な移動部材と、
前記移動部材と接触するように配置され、前記移動部材の移動を禁止するロック部材とを含み、
前記移動部材は、
前記ラックギア部と係合可能な第1係合ギア部と、
前記第1係合ギア部を前記ラックギア部と係合する第1位置へ移動させる付勢力を与えると共に、前記付勢力と逆向きの力を与える操作が加えられたときに前記第1係合ギア部を前記ラックギア部との係合が解除される第2位置へと移動可能な操作部とを有しており、
前記ロック部材は、
前記操作部に当接することで、前記第1係合ギア部と前記ラックギア部との係合を解除する方向への操作を阻害する操作規制部と、
前記ラックギア部と係合可能な第2係合ギア部と
前記スリット部と係合するスリット挿入部とを有していることを特徴とする移動部材のロック機構。
【請求項9】
枠体に形成されたスリット部と、
前記スリット部の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、前記スリット部と平行に形成されるラックギア部と、
前記スリット部に沿って移動可能な移動部材と、
前記移動部材と接触するように配置され、前記移動部材の移動を禁止するロック部材と、
前記スリット部内に配置される胴部と、前記胴部の上方に設けられ、前記ロック部材を支持する取付部と、前記胴部の下方に設けられ、前記スリット部に対する抜止部とを有する固定部材とを含み、
前記移動部材は、
前記ラックギア部と係合可能な第1係合ギア部と、
前記第1係合ギア部を前記ラックギア部と係合する第1位置へ移動させる付勢力を与えると共に、前記付勢力と逆向きの力を与える操作が加えられたときに前記第1係合ギア部を前記ラックギア部との係合が解除される第2位置へと移動可能な操作部とを有しており、
前記ロック部材は、
前記操作部に当接することで、前記第1係合ギア部と前記ラックギア部との係合を解除する方向への操作を阻害する操作規制部と、
前記ラックギア部と係合可能な第2係合ギア部とを有しており、
前記ロック部材は、前記固定部材の前記取付部に支持されることを特徴とする移動部材のロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙カセットを備えた給紙装置および画像形成装置、並びに移動部材のロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に設けられる給紙装置として、給紙カセットを備えた給紙装置が知られている。給紙カセットには、収容された用紙の端部を規制する用紙規制板が設けられている。
【0003】
用紙規制板は、給紙カセットに収容された用紙サイズに合わせてその位置が調整できるようになっている。特許文献1には、用紙の後端を規制する用紙規制板の位置に基づいて、用紙サイズを自動検知する給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4592784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における用紙規制板は、使用者がその位置を容易に変更できるようになっている。このため、給紙カセットへの用紙補給時に、使用者が用紙規制板を不用意に移動させた後、その位置を戻し忘れることが起こり得る。この場合、給紙カセットに収容された用紙の用紙サイズと用紙規制板による検知サイズとが一致せず、この検知誤差によって画像形成装置における用紙の搬送ジャムが発生する恐れがある。
【0006】
尚、使用者による用紙規制板の不用意な移動を抑制するため、用紙規制板を給紙カセットに対してネジ留めできる構成とする場合もある。しかしながら、この構成では、給紙カセットにおけるレール付近にネジ留め部分を設ける必要があり、用紙規制板もしくは用紙規制板と連結し用紙規制板の移動と連動して動く、用紙サイズを検出するための部材の移動が阻害される(用紙規制板の動作性が低下する)といった問題がある。また、この場合のネジ留めは、給紙カセットに用紙がある状態では上面側からネジ留めができないため、下面側からネジ留めをする必要があり、作業性が悪いといった問題もある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用者による用紙規制板の不用意な移動の抑制と、抑制の解除とを簡単に行うことのできる給紙装置および画像形成装置を提供することを目的とする。さらに、このような給紙装置および画像形成装置に適用可能な移動部材のロック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である給紙装置は、複数の用紙を積載可能な給紙カセットを備え、当該給紙カセットに備えられる用紙規制板の位置に基づいて、当該給紙カセットに収容される用紙のサイズを検知可能な給紙装置であって、前記給紙カセットは、前記給紙カセットの底板に形成され、用紙搬送方向を長手方向とするスリット部と、前記スリット部の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、前記スリット部と平行に形成されるラックギア部と、前記スリット部に沿って移動可能な前記用紙規制板と、を有し、前記用紙規制板は、前記ラックギア部と係合可能な第1係合ギア部と、前記第1係合ギア部を前記ラックギア部と係合する第1位置へ移動させる付勢力を与えると共に、前記付勢力と逆向きの力を与える操作が加えられたときに前記第1係合ギア部を前記ラックギア部との係合が解除される第2位置へと移動可能な操作部とを有しており、前記給紙装置は、さらに、前記用紙規制板側に突出した突出部と、前記ラックギア部と係合可能な第2係合ギア部と、を有するロック部材を備え、前記用紙規制板は、前記ロック部材が、前記スリット部の長手方向の隣りに配置された状態において、前記突出部が前記操作部に当接することで、前記第1係合ギア部の移動が規制されることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、スリット部に沿って移動可能な用紙規制板に対してロック部材を接触配置し、このロック部材によって用紙規制板の移動をロックすることができる。すなわち、ロック部材が取付けられた状態では、ロック部材の突出部が操作部に当接することで、前記第1係合ギア部と前記ラックギア部との係合を解除する方向への操作が阻害され、用紙規制板の移動が不可能となる。また、ロック部材自体は、ラックギア部と第2係合ギア部との係合によってスリット部に沿っての移動が不可能となる。
【0010】
このように、ロック部材によって用紙規制板の移動をロックすることで、給紙カセットへの用紙補給時に、使用者が用紙規制板を不用意に移動させることを抑制できる。その結果、給紙装置および画像形成装置では、給紙カセットに収容された用紙の用紙サイズと用紙規制板による検知サイズとの不一致を防止でき、用紙サイズの検知誤差に起因する用紙の搬送ジャムを防止できる。
【0011】
また、上記給紙装置では、前記用紙規制板は、前記給紙カセットに収容される用紙の端部を規制する基部を有し、前記操作部は、片端が基部に接続され、他端が第1係合ギア部に接続されるアーム形状を有し、前記ロック部材の前記突出部が、前記操作部もしくは前記第1係合ギア部と前記基部との間に配置されることで、前記第1係合ギア部の移動が規制される構成とすることができる。
【0012】
また、上記給紙装置では、前記ロック部材は、前記スリット部と係合するスリット挿入部を有する構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、スリット挿入部によって、第2係合ギア部がラックギア部から外れにくくすることができる。
【0014】
また、上記給紙装置は、前記スリット部内に配置される胴部と、前記胴部の上方に設けられ、前記ロック部材を支持する取付部と、前記胴部の下方に設けられ、前記スリット部に対する抜止部とを有する固定部材を備えており、前記ロック部材は、前記固定部材の前記取付部に支持される構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、固定部材によってロック部材を固定することで、振動などによってロック部材の位置ずれが生じることを防止できる。
【0016】
また、上記給紙装置では、前記取付部は、ねじ穴部を有し、前記ロック部材は、前記ねじ穴部と対応する位置に穴部を有し、当該ロック部材は、ねじによって前記取付部に締結される構成とすることができる。
【0017】
また、上記給紙装置では、前記抜止部は、前記胴部から水平方向に延伸された板状に形成され、水平方向において互いに直交する長手方向と短手方向とを有しており、前記抜止部の長手方向長さは前記スリット部の幅よりも大きく設定されており、短手方向長さは前記スリット部の幅以下に設定されている構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、固定部材をスリット部に対して容易に取付けることができる。すなわち、抜止部の長手方向がスリット部の長手方向と平行となる向きで挿入した後、固定部材を水平方向に90°回転させることにより、固定部材がスリット部から抜けないようにすることができる。
【0019】
また、上記給紙装置では、前記胴部は、円筒部と、前記円筒部から突出する回転規制部とを有する構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、固定部材の回転可能範囲を、必要な範囲に制限することができる。
【0021】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である画像形成装置は、上記記載の給紙装置を備えることを特徴としている。
【0022】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第3の態様である移動部材のロック機構は、枠体に形成されたスリット部と、前記スリット部の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、前記スリット部と平行に形成されるラックギア部と、前記スリット部に沿って移動可能な移動部材と、前記移動部材と接触するように配置され、前記移動部材の移動を禁止するロック部材とを含み、前記移動部材は、前記ラックギア部と係合可能な第1係合ギア部と、前記第1係合ギア部を前記ラックギア部と係合する第1位置へ移動させる付勢力を与えると共に、前記付勢力と逆向きの力を与える操作が加えられたときに前記第1係合ギア部を前記ラックギア部との係合が解除される第2位置へと移動可能な操作部とを有しており、前記ロック部材は、前記操作部に当接することで、前記第1係合ギア部と前記ラックギア部との係合を解除する方向への操作を阻害する操作規制部と、前記ラックギア部と係合可能な第2係合ギア部とを有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の給紙装置、画像形成装置および移動部材のロック機構は、ロック部材によって用紙規制板(移動部材)の移動をロックすることで、使用者が用紙規制板を不用意に移動させることを抑制できる。その結果、給紙カセットに収容された用紙の用紙サイズと用紙規制板による検知サイズとの不一致を防止でき、用紙サイズの検知誤差に起因する用紙の搬送ジャムを防止できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の適用例である給紙装置と、給紙装置を備えた画像形成装置との全体構成を示す斜視図である。
図2】給紙カセットの斜視図である。
図3】給紙カセットにおける用紙規制板の取付け構造を示す拡大斜視図である。
図4】用紙規制板の分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係るロック機構において使用されるロック部材の斜視図である。
図6A】給紙カセットに対するロック部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図6B】給紙カセットに対するロック部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図6C】給紙カセットに対するロック部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図7】実施の形態2に係るロック機構において使用される固定部材の斜視図である。
図8A】給紙カセットに対するロック部材および固定部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図8B】給紙カセットに対するロック部材および固定部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図8C】給紙カセットに対するロック部材および固定部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図8D】給紙カセットに対するロック部材および固定部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図8E】給紙カセットに対するロック部材および固定部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図8F】給紙カセットに対するロック部材および固定部材の取付け手順を示す拡大斜視図である。
図9】固定部材における胴部の断面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の適用例である給紙装置20と、給紙装置20を備えた画像形成装置10の全体構成を示す斜視図である。画像形成装置10は、画像形成装置本体11、原稿台12、スキャナ部13、排紙トレイ14、および給紙装置20を備えている。
【0026】
画像形成装置本体11は、画像形成装置10の本体部分である。原稿台12は、画像形成装置本体11の上面に設置されたガラス体である。スキャナ部13は、原稿台12の下方に設けられており、原稿台12上に置かれた原稿の画像を読み取る。画像形成装置本体11の内部には、画像形成部が設けられている。スキャナ部13で読み取られた画像データは画像形成部に入力され、画像データに基づく画像が電子写真画像形成法によって用紙の表面に形成される。排紙トレイ14には、画像形成装置本体11の上部中央(スキャナ部13の下方位置)に設置されており、画像が形成された用紙が排出される。
【0027】
給紙装置20は排紙トレイ14の下方に設けられており、給紙装置20の上に画像形成装置本体11を載せて画像形成装置10が構成されている。給紙装置20は、給紙装置本体21に対して挿抜可能な給紙カセット30を備えている。通常、給紙装置20には複数段(図1では4段)の給紙カセット30が装着されている。
【0028】
続いて、本実施の形態1に係る給紙カセット30の具体的な構成について説明する。図2は、給紙カセット30の斜視図である。図2に示すように、給紙カセット30は、収容される用紙の端部を規制するための用紙規制板(移動部材)31および側端規制板32を有している。給紙装置20は、特に用紙規制板31の位置をセンサで検知し、その検知位置に基づいて用紙サイズを検知するようになっている。尚、通常は、用紙規制板31の位置変化に連動して変位する連動部材を設け、この連動部材の変位をセンサで検知することで、用紙規制板31の位置を間接的に検知するようになっている。このような用紙規制板31および連動部材を用いた用紙サイズ検知機構は、公知の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0029】
本発明は、給紙カセット30への用紙補給時に、使用者が用紙規制板31を不用意に移動させることを防止するためのロック機構に特徴を有するものである。以下、このロック機構について詳細に説明する。
【0030】
図3は、給紙カセット30における用紙規制板31の取付け構造を示す拡大斜視図である。図4は、用紙規制板31の分解斜視図である。尚、図3に示す用紙規制板31の取付け構造自体は公知であるが、先ずはこの構造について以下に簡単に説明する。
【0031】
図3に示すように、用紙規制板31が取付けられる給紙カセット30の底板(枠体)には、給紙方向(用紙搬送方向:図中の矢印A方向)を長手方向とするスリット部33が形成されている。また、スリット部33の長手方向に沿った少なくとも一方の側方には、ラックギア部34がスリット部33と平行に形成されている。ラックギア部34は、長手方向において、スリット部33とほぼ同程度の長さを有している。また、ラックギア部34は、スリット部33側に向かって形成されている。つまり、ラックギア部34は、スリット部33の長手方向に沿った少なくとも一方の側方に、スリット部33側に向かって形成されている。
【0032】
用紙規制板31は、図4に示すように、保持部材35を下方から取付け可能とされている。用紙規制板31を給紙カセット30に取付ける際には、用紙規制板31をスリット部33に上方から取付け、保持部材35をスリット部33の下方から用紙規制板31に取付ける。これにより、スリット部33の側方のフランジ部331が、用紙規制板31および保持部材35によって上下から挟まれ、用紙規制板31がスリット部33から抜き取れなくなる。尚、用紙規制板31に保持部材35を取付けるため、保持部材35の上面には2本の嵌合突起351が設けられ、用紙規制板31の下面には2本の嵌合ボス部314が設けられる。すなわち、保持部材35の嵌合突起351が用紙規制板31の嵌合ボス部314に嵌入されることで、用紙規制板31に保持部材35が取付けられる。また、嵌合ボス部314は、スリット部33内に配置され、用紙規制板31におけるスリット部33に沿った移動を案内する役目を有する。
【0033】
用紙規制板31は、合成樹脂材料など(例えばABSやポリカーボネートなどのエンジニアリング用樹脂)で一体的に形成されており、基部311、保持部材35との嵌合ボス部314が形成される基部311の底部311a、弾性アーム部(操作部)312、および第1係合ギア部313を有している。基部311は、用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)における用紙規制板31の中央部分に配置されており、給紙カセット30に収容された用紙の後端と当接することで用紙の後端を規制する。弾性アーム部312は、用紙幅方向における基部311の両側に配置されており、逆U字形状の板バネとして形成されている。第1係合ギア部313は、少なくとも一方の弾性アーム部312の先端に設けられたラックギアであり、ラックギア部34と対向するように形成されている。言い換えると、弾性アーム部(操作部)312は、片端が基部311に接続され、他端が第1係合ギア部314に接続されるアーム形状を有すると言える。尚、第1係合ギア部313を一方の弾性アーム部312のみに設ける場合、他方の弾性アーム部312には、用紙規制板31を規定の用紙サイズに対応する位置で停止させるための位置決め機構を設けてもよい。このような位置決め機構は、給紙カセット30に設けられる切欠き部38と、弾性アーム部312に形成される係合突起315などにより容易に構成できる。また、付勢力を安定させるために、基部311と弾性アーム部312との間に金属製のスプリングなどの付勢部材を増設してもよい。
【0034】
用紙規制板31は、使用者(またはサービスマン)による操作を受けない場合は、第1係合ギア部313をラックギア部34に係合させることで、その位置が保持されるようになっている。すなわち、弾性アーム部312の付勢力によって、第1係合ギア部313がラックギア部34に押しつけられる第1位置に保持され、第1係合ギア部313とラックギア部34と係合状態が保持される。
【0035】
使用者が用紙規制板31の位置を変更するときには、2つの弾性アーム部312を両側から挟み込むようにして持つことで、弾性アーム部312には第1係合ギア部313に対する付勢力とは逆向きの力が加えられ、弾性アーム部312に付勢方向とは逆方向の変位が生じる。これにより、第1係合ギア部313は、ラックギア部34との係合が解除される第2位置に移動し、この状態で用紙規制板31をスリット部33の長手方向に沿って移動させることができる。このように、給紙カセット30に用紙規制板31が取付けられているだけでは、使用者が用紙規制板31の位置を容易に変更することができる。
【0036】
図5は、本実施の形態1に係るロック機構において使用されるロック部材36の斜視図である。すなわち、本実施の形態1に係るロック機構は、図3に示される用紙規制板31の取付け構造に、図5に示すロック部材36を組み合わせることで構成される。
【0037】
ロック部材36は、図5に示すように、本体部361、スリット挿入部362(図6A参照)、操作規制部(突出部)363および第2係合ギア部364を有している。本体部361は、例えば、平面視で略矩形形状に形成されている。スリット挿入部362は、本体部361から下方に突出して形成された突起部であり、ロック部材36を給紙カセット30に取付けたとき、スリット部33に挿入されることで、ロック部材36のスリット部33の長手方向と直交する方向への移動を規制する部分である。操作規制部363は、本体部361から前方(用紙規制板31側)に突出して形成された爪状部であり、ロック部材36を給紙カセット30に取付けたとき、用紙規制板31の弾性アーム部312における逆U字形状の内部に挿入される部分である。第2係合ギア部364は、本体部361少なくとも一方の側面に設けられたラックギアであり、ラックギア部34と対向するように形成されている。
【0038】
続いて、給紙カセット30に対するロック部材36の取付け手順を、図6A図6Cを参照して説明する。
【0039】
最初に、図6Aから図6Bに示す手順として、ロック部材36の操作規制部363を、用紙規制板31の弾性アーム部312における逆U字形状の内部に斜め上から挿入する。このときの挿入は、用紙規制板31に対して背面側(用紙搬送方向の上流側)から行われる。
【0040】
次に、図6Bから図6Cに示す手順として、ロック部材36の操作規制部363が用紙規制板31の弾性アーム部312と基部311との間に挿入された状態で、ロック部材36のスリット挿入部362をスリット部33に上から挿入し、ロック部材36の取付けが完了する。このとき、ロック部材36の第2係合ギア部364がラックギア部34と係合し、ロック部材36におけるスリット部33に沿った方向の移動を防止する。また、ロック部材36が給紙カセット30に取付けられた状態では、スリット挿入部362がスリット部33に挿入されているため、第2係合ギア部364の、スリット部33の長手方向と直交する方向への移動が規制される。つまり、第2係合ギア部364とラックギア部34との係合が外れることが規制される。そのため、ロック部材36の取り外しは、上記と逆の手順にて、ロック部材36を上方に抜き取ればよい。
【0041】
本実施の形態1に係るロック機構は、用紙規制板31の背面側(用紙が収容される側と反対側)において、用紙規制板31と隣り合う位置で互いに接触するようにロック部材36を取付け、ロック部材36の操作規制部363を用紙規制板31の弾性アーム部312と基部311(もしく基部の底部311a)との間に配置させることで、用紙規制板31の第1係合ギア部313とラックギア部34との係合解除を不可能とするものである。すなわち、使用者が用紙規制板31を移動させようとして、2つの弾性アーム部312を両側から挟み込むようにして持っても、弾性アーム部312の変位は操作規制部363によって阻害される。これにより、第1係合ギア部313とラックギア部34との係合を解除することができなくなり、用紙規制板31の移動が禁止される。
【0042】
これにより、本実施の形態1に係るロック機構は、給紙カセット30への用紙補給時に、使用者が用紙規制板31を不用意に移動させることを抑制できる。用紙規制板31の移動が行われなければ、当然ながら、用紙規制板31の戻し忘れも起こらない。その結果、本実施の形態1に係る給紙装置20および画像形成装置10では、給紙カセット30に収容された用紙の用紙サイズと用紙規制板31による検知サイズとの不一致を防止でき、用紙サイズの検知誤差に起因する画像形成装置10における用紙の搬送ジャムを防止できる。
【0043】
また、上記ロック機構では、ロック部材36は用紙規制板31の背面側に取付けられるが、この箇所には用紙が載置されない。すなわち、ロック部材36は、給紙カセット30に用紙が収容されている状態であっても、給紙カセット30の上面側から取付けおよび取り外しが可能である。そのため、サービスマンなどの熟練者なら、ロック部材36を1アクションで簡単に取り外すことができるので、用紙のサイズ変更を簡単に行うことができる。
【0044】
また、上記ロック機構は、公知の用紙規制板31の取付け構造にロック部材36を組み合わせて構成されるものであり、ロック部材36を取り外せば、用紙規制板31は容易に移動可能となる。そして、用紙規制板31自体には、ロックのための機構(例えばネジ留め部など)が存在しないため、ロック部材36を取り外した状態において、用紙規制板31の移動性が低下することもない。また、上記ロック機構は、市場に出ている既存の画像形成装置に対しても、ロック部材36の取付けにより追加対応させることも可能である。
【0045】
〔実施の形態2〕
実施の形態1におけるロック機構では、ロック部材36は、給紙カセット30に対して取り外し不可に固定されているものではなく、上方に抜き取ることで容易に取り外すことができる。このため、画像形成装置10の振動などによってロック部材36が浮き上がって位置ずれを生じ、不所望なロック解除が生じることも考えられる。これを防止するため、本実施の形態2におけるロック機構は、ロック部材36を、給紙カセット30に対して取り外し不可に固定できるものとする。
【0046】
図7は、本実施の形態2に係るロック機構において使用される固定部材37の斜視図である。すなわち、本実施の形態2に係るロック機構は、図3に示される用紙規制板31の取付け構造に、図5に示すロック部材36、および図7に示す固定部材37を組み合わせることで構成される。
【0047】
固定部材37は、図7に示すように、胴部371、取付部372、および抜止部373を有している。胴部371は、固定部材37を給紙カセット30に取付けたときに、スリット部33内に配置される部分であり、上下方向を軸とする筒状に形成されている。取付部372は、ロック部材36を取付ける部分であり、胴部371の上方に設けられ、平面視が略矩形形状の板状に形成されている。抜止部373は、胴部371の下方に設けられ、平面視が略矩形形状の板状に形成されている。また、取付部372および抜止部373は、それぞれの長手方向が互いに平行となっている。また、抜止部373の長手方向長さはスリット部33の幅よりも大きく設定されており、短手方向長さはスリット部33の幅以下に設定されている。
【0048】
続いて、給紙カセット30に対するロック部材36および固定部材37の取付け手順を、図8A図8Fを参照して説明する。
【0049】
最初に、図8Aから図8Bに示す手順として、固定部材37をスリット部33に対して上方から挿入する。このとき、抜止部373の長手方向がスリット部33の長手方向と平行となる向きで挿入することにより、抜止部373がスリット部33を通過する。また、取付部372がスリット部33を通過しないように、取付部372には複数の係止リブ372a(図7参照)が設けられていてもよい。係止リブ372aは、取付部372の長手方向に沿った側面から外方に突出するように設けられている。図8Bに示すように、固定部材37をスリット部33に対して上方から挿入するときは、係止リブ372aがフランジ部331に引っ掛かることで、取付部372がスリット部33を通過することを防止し、固定部材37をスリット部33に対して適切な高さで停止させることができる。
【0050】
次に、図8Bから図8Cに示す手順として、固定部材37を上から見て90°回転させる。これにより、抜止部373の長手方向がスリット部33の長手方向と直交し、固定部材37をスリット部33から抜き取ることができなくなる。そして、固定部材37を、用紙規制板31側へと移動させる。この時、係止リブ372aがある場合は、係止リブ372aを用紙規制板31へ当接させることで、ロック部材36が用紙規制板31に対して適切な配置位置となる位置に固定部材37を配置させることができる。尚、固定部材37をスリット部33内で回転可能とするために、胴部371は円筒形状であってもよいが、胴部371は図9に示すような断面形状を有していることが好ましい。すなわち、胴部371は、円筒部371aと、円筒部371aから突出する回転規制部371bとを有する形状とすることが好ましい。図9では、回転規制部371bは、円筒部371aに対して対称に2箇所に設けられているが、回転規制部371bが設けられるのは1箇所であってもよい。これにより、固定部材37の回転可能範囲を、図8Bから図8Cに示す範囲に制限することができる。
【0051】
固定部材37をスリット部33に取付けた後は、図8Dから図8Eに示す手順として、固定部材37の上にロック部材36が取付けられる。このとき、ロック部材36を固定部材37に対して位置決めできるように、固定部材37の取付部372の上面に位置決め突起(係合突部)372b(図7参照)を設け、ロック部材36の本体部361に位置決め穴(係合受部)361a(図5参照)を設けてもよい。また、固定部材37に係止リブ(係合突部)372aが設けられている場合は、ロック部材36の本体部361に切欠き(係合受部)361b(図5参照)を設け、切欠き361bに係止リブ372aを係合させて位置決めしてもよい。
【0052】
最後に、図8Fに示す手順として、ロック部材36を固定部材37に対してネジ留めして固定する。このネジ留めのため、固定部材37にはネジ穴372c(図7参照)が設けられ、ロック部材36には貫通穴(穴部)361c(図5参照)が設けられている。また、このネジ留めは、給紙カセット30の上面側から行うことができる。
【0053】
本実施の形態2に係るロック機構は、ロック部材36を固定部材37にネジ留め固定することにより、画像形成装置10の振動などによってロック部材36が浮き上がって用紙規制板31から外れることを防止できる。すなわち、不所望なロック解除が生じることを防止できる。さらに、使用者が用紙規制板31を不用意に移動させることも確実に防止できる。
【0054】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10 画像形成装置
20 給紙装置
30 給紙カセット
31 用紙規制板(移動部材)
311 基部
312 弾性アーム部(操作部)
313 第1係合ギア部
314 嵌合ボス部
32 側端規制板
33 スリット部
331 フランジ部
34 ラックギア部
35 保持部材
351 嵌合突起
36 ロック部材
361 本体部
361a 位置決め穴(係合受部)
361b 切欠き(係合受部)
361c 貫通穴(穴部)
362 スリット挿入部
363 操作規制部(突出部)
364 第2係合ギア部
37 固定部材
371 胴部
372 取付部
372a 係止リブ(係合突部)
372b 位置決め突起(係合突部)
372c ネジ穴
373 抜止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9