(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20231215BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20231215BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2020060943
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩介
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-310695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの目的地への複数の経路を生成する経路生成部と、
前記経路生成部により生成された複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出する導出部と、
前記導出部により導出された評価値に基づいて、前記経路生成部により生成された経路に対する提供情報を生成する提供情報生成部と、を備え、
前記経路生成部は、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成し、
前記提供情報生成部は、前記導出部により導出された前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成
し、
前記ユーザの指向性を示す指向情報を管理する管理部を更に備え、
前記管理部は、予め決められた道路に関する複数の評価指標ごとに前記指向情報を管理し、
前記管理部は、前記経路生成部により生成され、前記ユーザに提供された生成経路と、前記ユーザが運転する車両が実際に走行した実走行経路との乖離部分を抽出し、抽出した前記乖離部分に対応付けられた前記生成経路の道路リンクの評価値と、前記乖離部分に対応付けられた前記実走行経路の道路リンクの評価値との差分データを導出し、導出した前記差分データに基づいて、前記指向情報を更新する、
情報提供装置。
【請求項2】
前記導出部は、前記道路に関する複数の評価指標ごとの評価値を、前記指向情報に基づいて導出し、
前記提供情報生成部は、前記導出部により導出された前記基準経路における前記評価値のうち、前記ユーザの指向性に沿わない評価値に基づいて、前記指向性経路に対する提供情報を生成する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記提供情報生成部は、前記導出部により導出された前記基準経路を構成する道路リンクごとの評価値のうち、前記ユーザの指向性に最も沿わない評価値が導出された道路リンクの評価指標に基づいて、前記指向性経路に対する提供情報を生成する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記管理部は、前記差分データに含まれる評価値が閾値以上である場合に、前
記指向情報を更新する、
請求項
1または3のうち何れか1項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記管理部は、前記生成経路から乖離した実走行経路に対応する道路リンクの道路の長さまたは前記道路を走行するための所要時間に応じて重みを付加して前記評価値の差分データを導出する、
請求項
1または4のうち何れか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
コンピュータが、
ユーザの目的地への複数の経路を生成し、
生成した前記複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出し、
導出した前記評価値に基づいて、生成した経路に対する提供情報を生成し、
前記複数の経路を生成する際に、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成し、
前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成
し、
前記ユーザの指向性を示す指向情報を管理し、
予め決められた道路に関する複数の評価指標ごとに前記指向情報を管理し、
前記ユーザに提供された生成経路と、前記ユーザが運転する車両が実際に走行した実走行経路との乖離部分を抽出し、
抽出した前記乖離部分に対応付けられた前記生成経路の道路リンクの評価値と、前記乖離部分に対応付けられた前記実走行経路の道路リンクの評価値との差分データを導出し、
導出した前記差分データに基づいて、前記指向情報を更新する、
情報提供方法。
【請求項7】
コンピュータに、
ユーザの目的地への複数の経路を生成させ、
生成された前記複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出させ、
導出された前記評価値に基づいて、生成した経路に対する提供情報を生成させ、
前記複数の経路を生成させる際に、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成させ、
前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成さ
せ、
前記ユーザの指向性を示す指向情報を管理させ、
予め決められた道路に関する複数の評価指標ごとに前記指向情報を管理させ、
前記ユーザに提供された生成経路と、前記ユーザが運転する車両が実際に走行した実走行経路との乖離部分を抽出させ、
抽出された前記乖離部分に対応付けられた前記生成経路の道路リンクの評価値と、前記乖離部分に対応付けられた前記実走行経路の道路リンクの評価値との差分データを導出させ、
導出された前記差分データに基づいて、前記指向情報を更新する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車両の位置情報に基づいて、道路や建物等の地図情報および周辺情報を情報提供センターから取得することで、常に最新の案内情報を利用可能な状態にするナビゲーションシステムに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、ユーザの指向に沿って目的地までの経路が生成される場合に、その経路に関する情報がユーザに適切に提供されない場合があった。
【0005】
本発明の態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、経路に関する情報をより適切にユーザに提供することができる情報提供装置、情報提供方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る情報提供装置、情報提供方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る情報提供装置は、ユーザの目的地への複数の経路を生成する経路生成部と、前記経路生成部により生成された複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出する導出部と、前記導出部により導出された評価値に基づいて、前記経路生成部により生成された経路に対する提供情報を生成する提供情報生成部と、を備え、前記経路生成部は、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成し、前記提供情報生成部は、前記導出部により導出された前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成する、情報提供装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記導出部は、前記道路に関する複数の評価指標ごとの評価値を、前記指向情報に基づいて導出し、前記提供情報生成部は、前記導出部により導出された前記基準経路における前記評価値のうち、前記ユーザの指向性に沿わない評価値に基づいて、前記指向性経路に対する提供情報を生成するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記提供情報生成部は、前記導出部により導出された前記基準経路を構成する道路リンクごとの評価値のうち、前記ユーザの指向性に最も沿わない評価値が導出された道路リンクの評価指標に基づいて、前記指向性経路に対する提供情報を生成するものである。
【0009】
(4):上記(1)~(3)のうち何れか一つの態様において、前記ユーザの指向性に関する指向情報を管理する管理部を更に備え、前記管理部は、予め決められた道路に関する複数の評価指標ごとにユーザの指向情報を管理するものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記管理部は、前記経路生成部により生成され、前記ユーザに提供された生成経路と、前記ユーザが運転する車両が実際に走行した実走行経路との乖離部分を抽出し、抽出した乖離部分に対応付けられた前記生成経路の道路リンクの評価値と、前記乖離部分に対応付けられた前記実走行経路の道路リンクの評価値との差分データを導出し、導出した差分データに基づいて、前記ユーザの指向情報を更新するものである。
【0011】
(6):上記(5)の態様において、前記管理部は、前記差分データに含まれる評価値が閾値以上である場合に、前記ユーザの指向情報を更新するものである。
【0012】
(7):上記(5)または(6)の態様において、前記管理部は、前記生成経路から乖離した実走行経路に対応する道路リンクの道路の長さまたは前記道路を走行するための所要時間に応じて重みを付加して前記評価値の差分データを導出するものである。
【0013】
(8):この発明の一態様に係る情報提供方法は、コンピュータが、ユーザの目的地への複数の経路を生成し、生成した前記複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出し、導出した前記評価値に基づいて、生成した経路に対する提供情報を生成し、前記複数の経路を生成する際に、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成し、前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成する、情報提供方法である。
【0014】
(9):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザの目的地への複数の経路を生成させ、生成された前記複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出させ、導出された前記評価値に基づいて、生成した経路に対する提供情報を生成させ、前記複数の経路を生成させる際に、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成させ、前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(9)の態様によれば、経路に関する情報をより適切にユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る情報提供装置を適用した情報提供システム1の構成図である。
【
図2】実施形態に係る案内装置100の構成図である。
【
図3】実施形態に係る情報提供サーバ200の構成の一例を示す図である。
【
図4】道路リンクDB242の内容の一例を示す図である。
【
図5】指向情報DB243の内容の一例を示す図である。
【
図6】経路生成部254により経路が生成されることについて説明するための図である。
【
図7】提供情報DB224の内容の一例を示す図である。
【
図8】ユーザの指向情報を更新することについて説明するための図である。
【
図9】各道路リンクにおける評価指標ごとのコスト値のデータの一例を示す図である。
【
図10】生成経路Rbおよび実走行経路R0のそれぞれに対するコスト値の一例を示す図である。
【
図11】生成経路Rbと実走行経路R0とのコスト値の差分データの一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る情報提供サーバ200により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】情報提供サーバ200の一部の機能を備える案内装置100Aの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の情報提供装置、情報提供方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0018】
[システム構成]
図1は、実施形態に係る情報提供装置を適用した情報提供システム1の構成図である。実施形態に係る情報提供システム1は、例えば、案内装置100と、情報提供サーバ200とを備える。情報提供サーバ200は、「情報提供装置」の一例である。図示の例では、案内装置100は、車両Mに搭載されている。車両Mは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両である。これらの車両の駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせであってよい。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0019】
案内装置100と情報提供サーバ200とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等が含まれる。ネットワークNWには、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標、以下省略)等無線通信を利用したネットワークが含まれてよい。また、情報提供システム1は、それぞれに案内装置100を備えた複数の車両を備えていてもよく、複数の情報提供サーバ200を備えていてもよい。
【0020】
案内装置100は、車両Mの乗員(ユーザの一例)に、乗員が指示した目的地までの経路や、経路に関する案内情報を提供する。案内情報には、例えば、POI(Point Of Interest)情報や道路情報が含まれる。POI情報は、例えば、地図上の位置(座標情報)に対応付けられた目標物に関する情報である。目標物には、例えば、店舗や施設、橋や鉄塔等の建造物、地形上の特徴物(山、川、海、池、湖)等の地物が含まれる。また、道路情報には、例えば、道路形状や車線数、交通規則の情報が含まれる。また、案内装置100は、ネットワークNWを介して情報提供サーバ200と通信を行い、情報提供サーバ200から取得した地図データや経路情報を受信したり、情報提供サーバ200に車両Mや乗員に関する情報、経路の問い合わせ情報等を送信したりする。また、案内装置100は、情報提供サーバ200によりユーザの指向情報に応じて経路が生成された場合に、生成された経路や、その経路を選択した理由(推奨理由)等を乗員に提供する。指向情報とは、例えば、ユーザの指向性を示す情報であり、具体的には、走行する道路に対する利用者の考え方を示す情報や、好みなどを示す情報(嗜好性の情報)、利用者が重視する事項を示す情報等である。
【0021】
情報提供サーバ200は、案内装置100と通信し、案内装置100からの問い合わせ情報に基づいて、地図データや経路情報等の各種情報を案内装置100に送信する。この場合、情報提供サーバ200は、案内装置100からの問い合わせ情報を受け付けて対応する情報(問い合わせ結果)を送信してもよく、所定のタイミングで案内装置100に各種情報を送信してもよい。以下、案内装置100および情報提供サーバ200の構成について具体的に説明する。
【0022】
[案内装置]
図2は、実施形態に係る案内装置100の構成の一例を示す図である。案内装置100は、例えば、車内カメラ102と、車両センサ104と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機106と、HMI(Human Machine Interface)108と、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続されてよい。
図2に示す案内装置100の構成はあくまでも一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0023】
車内カメラ102は、例えば、案内装置100が搭載された車両Mの車室内に設置され、車室内のシートに着座する各乗員の顔等を撮像する。車内カメラ102は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車内カメラ102は、例えば、所定のタイミングで各乗員を繰り返し撮像する。車内カメラ102は、乗員を撮像した画像データを生成し、生成した画像データを制御部130に出力する。
【0024】
車両センサ104は、車両Mの向きを検出する方位センサや、車両Mの速度を検出する車速センサ、車両Mの加速度を検出する加速度センサ、車両Mの鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、ステアリングホイールの回転軸に与えられた操舵トルクを検出するトルクセンサ等を含む。車両センサ104は、検出した方位や速度、加速度等を含むデータ(以下、車両状態データと称する)を制御部130に出力する。
【0025】
GNSS受信機106は、GPS(Global Positioning System)等の人工衛星から信号(電波)を受信し、受信した信号に基づいて車両Mの位置を特定する。車両Mの位置は、車両センサ104によって出力された車両状態データを利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。GNSS受信機106は、特定した車両Mの位置を示す位置データを制御部130に出力する。GNSS受信機106は、位置センサとして車両センサ104に含まれていてもよい。
【0026】
HMI108は、車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI108は、例えば、表示装置、スピーカ、マイク、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キー等を含む。表示装置は、例えば、インストルメントパネルのうち車両Mの運転者に対面する部分に設けられるメーターディスプレイや、インストルメントパネルの中央に設けられるセンターディスプレイ、HUD(Head Up Display)等が含まれる。HUDは、例えば、風景に重畳させて画像を観者に視認させる装置であり、一例として、車両Mのフロントウインドシールドやコンバイナーに画像を含む光を投光することで、乗員に虚像を視認させる。また、HMI108は、出力制御部134の制御により、表示装置に画像を表示したり、スピーカから音声を出力する。HMI108は、「出力部」の一例である。
【0027】
通信部110は、例えば、アンテナやNIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。通信部110は、通信制御部135の制御により、ネットワークNWを介して情報提供サーバ200や他の外部装置等と通信する。
【0028】
記憶部120は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部120には、例えば、案内装置100のプロセッサによって参照されるプログラム、地図データ122、その他の各種情報が格納される。
【0029】
地図データ122は、例えば、位置情報に対応付けた道路を示すリンク(以下、道路リンクと称する)と、道路リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現されたデータである。また、地図データ122には、道路の曲率や車線の情報、位置情報に対応付けられた案内情報が含まれてよい。
【0030】
制御部130は、例えば、車両情報取得部131と、ユーザ特定部132と、経路問い合わせ部133と、出力制御部134と、通信制御部135とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め案内装置100の記憶部(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)120に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで案内装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0031】
車両情報取得部131は、例えば、車内カメラ102により撮像された画像データを取得したり、HMI108により受け付けられた操作内容や音声等の入力データを取得する。入力データには、例えば、目的地を示すデータ等が含まれる。また、車両情報取得部131は、例えば、車両センサ104から車両状態データを取得する。また、車両情報取得部131は、GNSS受信機106から車両Mの位置データを取得する。車両情報取得部131は、取得した情報に基づいて、車両Mが実際に走行した走行履歴を生成し、生成した走行履歴に関する情報を、通信部110を介して情報提供サーバ200に送信してもよい。
【0032】
ユーザ特定部132は、目的地を指定した乗員や、乗車している乗員を特定する。例えば、ユーザ特定部132は、所定のタイミングで、乗員にHMI108を操作させて、乗員を識別する識別情報であるユーザIDの入力を受け付けることで、乗員を特定する。所定のタイミングとは、例えば、乗員が乗車したタイミングや、運転を開始するタイミング、経路問い合わせ部133により目的地までの経路を情報提供サーバ200に問い合わせる処理が開始されるタイミングである。
【0033】
また、ユーザ特定部132は、車内カメラ102により撮像された画像を解析することにより、乗員の顔の特徴情報を取得し、取得した特徴情報と、予め記憶部120等に記憶された照合DB(不図示)とを参照して乗員を特定してもよい。特徴情報とは、例えば、顔の輪郭や、顔の領域内における目、鼻、口、耳等の部位の相対位置、肌の色情報等である。また、特徴情報は、ディープラーニング等の機械学習によって取得された分類モデルのパラメータであってもよい。ユーザ特定部132は、車内カメラ102の画像から取得した顔の特徴情報と、照合DBの特徴情報とを照合し、類似度が最も高い特徴情報に対応付けられたユーザIDのユーザを、車両Mに乗車しているユーザ(乗員)として特定する。また、画像データに含まれる乗員が複数存在する場合、ユーザ特定部132は、所定の座席(例えば、運転席)に着座する乗員を、目的地を指定した乗員として特定してもよい。また、ユーザ特定部132は、HMI108による乗員の操作が受け付けられなかった場合や、車内カメラ102により撮像された画像データから乗員が特定できなかった場合に、前回特定の乗員を、目的地を指定した乗員として特定してもよく、または予め決められた乗員(例えば、車両Mのオーナー)を、目的地を指定した乗員として特定してもよい。
【0034】
経路問い合わせ部133は、乗員から目的地までの経路の問い合わせを受け付ける。経路の問い合わせがHMI108による表示装置の画面操作により受け付けてもよく、マイクから収音された音声データにより受け付けてもよい。経路問い合わせ部133は、目的地までの経路の問い合わせを受け付けた場合に、目的地を示す情報と、車両情報取得部131により取得された車両Mの位置を示す情報と、ユーザ特定部132により特定されたユーザ情報とを含む問い合わせ情報を生成し、生成した問い合わせ情報を、通信部110により情報提供サーバ200に送信させる。また、経路問い合わせ部133は、通信部110により受信された情報提供サーバ200からの問い合わせ結果を取得する。
【0035】
出力制御部134は、経路問い合わせ部133により情報提供サーバ200に送信された問い合わせ情報に対する問い合わせ結果(提供情報の一例)を取得し、取得した問い合わせ結果に基づいて、乗員に提供する情報等を生成し、生成した情報をHMI108により出力させる。生成した情報には、画像や音声等が含まれる。また、生成した情報には、目的地までの経路情報や、所定の経路の推奨理由等が含まれる。例えば、出力制御部134は、経路情報と地図データ122とに基づいて、経路案内情報を生成し、生成した経路案内情報をHMI108から出力させる。また、出力制御部134は、情報提供サーバ200から地図の更新データを取得した場合に、更新データに基づいて地図データ122を更新してもよい。
【0036】
通信制御部135は、通信部110により、情報提供サーバ200や外部装置とのデータの送受信を制御する。通信制御部135は、例えば、問い合わせ情報や走行履歴等を通信部110から情報提供サーバ200に送信させたり、情報提供サーバ200からの提供情報(問い合わせ結果や地図データ)を通信部110で受信させたりする。また、通信制御部135は、通信部110により、車両状態データや乗員に関する情報等を情報提供サーバ200や外部装置に送信させてもよい。
【0037】
[情報提供サーバ]
図3は、実施形態に係る情報提供サーバ200の構成図である。情報提供サーバ200は、例えば、通信部210と、入力部220と、出力部230と、記憶部240と、制御部250とを備える。
図3に示す情報提供サーバ200の構成はあくまでも一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0038】
通信部210は、例えば、アンテナやNIC等の通信インターフェースを含む。通信部210は、通信制御部262による制御により、ネットワークNWを介して案内装置100や外部装置等と通信する。
【0039】
入力部220は、例えば、ボタン、キーボードやマウス等のユーザインターフェースである。入力部220は、サーバ管理者等の操作を受け付ける。入力部220は、出力部230の表示部と一体として構成されるタッチパネルであってもよく、音声入力が可能なマイクであってもよい。
【0040】
出力部230は、サーバ管理者等に情報を出力する。出力部230は、例えば、画像を表示する表示部と、音声を出力する音声出力部とを備える。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含む。表示部は、サーバ側制御部140により出力される情報の画像を表示する。音声出力部は、例えば、スピーカである。音声出力部は、例えば、表示部に表示される情報の音声を出力する。
【0041】
記憶部240は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により実現される。記憶部240には、例えば、プロセッサによって参照されるプログラム、サーバ側地図データ241、道路リンクDB(Database)242、指向情報DB243、提供情報DB244、走行履歴245、その他の各種情報が格納される。
【0042】
サーバ側地図データ241には、地図データ122と同様の項目が格納されている。また、サーバ側地図データ241には、最新であり且つ広範囲の地図データが格納されている。道路リンクDB242には、例えば、道路リンクごとに道路に関する評価指標ごとの物理量が格納される。道路に関する評価指標とは、例えば、走行時の所要時間、道幅、交通量、歩行者量、路上駐車量等に関する情報である。指向情報DB243には、例えば、車両Mを利用するユーザごとの指向情報が格納される。提供情報DB244には、例えば、道路リンクごとの評価指標に対応付けられた提供情報が格納される。道路リンクDB242、指向情報DB243、および提供情報DB244の詳細については、後述する。走行履歴245には、例えば、ユーザに提供した目的地までの経路(生成経路)に対して実際に車両Mが走行した実走行経路に関する情報が格納される。
【0043】
制御部250は、例えば、取得部252と、経路生成部254と、導出部256と、提供情報生成部258と、管理部260と、通信制御部262とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPUやGPU等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め情報提供サーバ200の記憶部(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)240に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで情報提供サーバ200のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0044】
取得部252は、通信部210を介して案内装置100から、経路に関する問い合わせ情報を取得する。また、取得部252は、案内装置100からユーザの指向情報や車両Mの走行履歴に関する情報を取得してもよい。また、取得部252は、案内装置100から地図データの更新データに関する問い合わせ情報等を取得してもよい。
【0045】
経路生成部254は、取得部252により、目的地までの経路の問い合わせ情報が取得された場合に、サーバ側地図データ241を参照して車両Mの現在位置から目的地までの経路を生成する。例えば、経路生成部254は、ユーザの目的地への複数の経路を生成する。複数の経路には、ユーザの指向情報に基づかずに所定の基準条件に基づいて生成される基準経路と、ユーザの指向情報に基づいて生成される指向性経路とが含まれる。所定の基準条件とは、例えば、現在位置から目的地までの距離が最短であること、または現在位置から目的地までの予想走行時間が最短であること等である。
【0046】
導出部256は、経路生成部254により生成された複数の経路を構成する道路についての評価値を、ユーザの指向情報に基づいて導出する。
【0047】
提供情報生成部258は、導出部256により導出された評価値に基づいて、経路生成部254により生成された経路に対する提供情報を生成する。例えば、提供情報生成部258は、導出部256により導出された基準経路における評価値に基づいて、指向性経路に対する提供情報を生成する。提供情報には、経路生成部254により生成された経路情報や経路に対する案内情報等が含まれる。提供情報生成部258は、問い合わせ結果として、提供情報をHMI108に出力させることで、ユーザに情報提供を行う。
【0048】
管理部260は、サーバ側地図データ241に含まれる道路リンクごとに道路に関する物理量を道路リンクDB242に格納して管理する。
図4は、道路リンクDB242の内容の一例を示す図である。道路リンクDB242は、道路リンクを識別する識別情報であるリンクIDに、基準日時、所要時間[分]、道幅[m]、交通量、歩行者量、および路上駐車量が対応付けられている。所要時間、道幅、交通量、歩行者量、および路上駐車量のそれぞれは、道路に関する評価指標の一例である。基準日時とは、所要時間、道幅、交通量、歩行者量、および路上駐車量に対する物理量(評価値の一例)を導出したとき、または道路リンクDB242に情報を格納したときの日時を示す情報である。また、日時には、時間帯を示す情報が含まれてもよい。所要時間は、道路リンクの道路全体を走行したときの車両Mの走行時間である。所要時間は、例えば、走行距離を法定速度等に基づく所定の速度で除算することで算出される。道幅は、道路リンクの道路の道幅でもよく、道幅から導出される指標値であってもよい。交通量は、基準日時における道路リンクの道路を走行した他車両の台数でもよく、台数から導出される指標値であってもよい。また、歩行者量は、基準日時における道路リンクの道路を歩行する歩行者の人数でもよく、人数から導出される指標値でもよい。また、路上駐車量は、基準日時における道路リンクの道路に路上駐車された車両の台数でもよく、台数から導出される指標値でもよい。管理部260は、例えば、サーバ管理者等が入力した値に基づいて、道路リンクDB242の情報を更新してもよく、リンクIDに対応する道路付近に設置されたカメラ等により撮影された画像から道路状況を解析して、上述した評価指標ごとの物理量を導出してもよい。
【0049】
また、管理部260は、ユーザの指向性に関する指向情報を管理する。例えば、管理部260は、予め決められた複数の評価指標ごとのユーザの指向情報を指向情報DB243に格納して管理する。
図5は、指向情報DB243の内容の一例を示す図である。指向情報DB243には、例えば、複数の評価指標と、ユーザを識別する識別情報であるユーザIDにおける評価指標ごとの重視度合とが互いに対応付けられた情報である。重視度合は、評価値の一例である。評価指標には、車両Mが走行する道路の道幅、他車両等の交通量、路上を歩行する歩行者量、路上駐車量等が含まれる。また、評価指標には、上記の他に、カーブ路の有無や車線数、走行時の外観風景等が含まれてもよい。また、
図5の例では、ユーザがより重視している評価指標であるほど、重視度の値が大きくなっている。
図5の例において、ユーザID「U001」のユーザは、歩行者量についての重視度合が高く(道路の歩行者の量をとても気にする)、道幅についての重視度合が低い(道路の道幅については気にしない)という指向性を持つ。
【0050】
また、管理部260は、指向情報DB243を更新する。例えば、管理部260は、経路生成部254により生成された生成経路と、ユーザが運転する車両Mが実際に走行した実走行経路との乖離部分を抽出し、抽出した乖離部分の情報に基づいて、指向情報DB243に格納されたユーザの指向情報を更新する。管理部260における指向情報の更新処理の詳細については、後述する。
【0051】
通信制御部262は、通信部210により、案内装置100や外部装置とのデータの送受信を制御する。例えば、通信制御部262は、通信部210により、案内装置100からの問い合わせ情報を受信し、受信した問い合わせ情報に対する問い合わせ結果等を通信部210により案内装置100に送信させるための制御を行う。
【0052】
[経路生成]
次に、情報提供サーバ200における経路の生成処理について詳細に説明する。
図6は、経路生成部254により経路が生成されることについて説明するための図である。
図6の例では、車両Mの現在位置P1と、目的地P2と、道路リンクRL1~RL5とを概略的に示している。道路リンクRL間を結ぶ点は、ノードを示している。
【0053】
経路生成部254は、案内装置100からの問い合わせ情報に含まれる車両Mの現在位置P1と目的地P2の情報に基づいて、サーバ側地図データ241を参照し、現在位置P1から目的地P2までの複数の経路を生成する。例えば、経路生成部254は、ユーザの指向情報を用いずに所定の基準条件に対応する基準経路を生成する。
図6の例では、基準条件を最短距離とした場合の基準経路として、道路リンクRL1およびRL2から構成される経路が生成されている。
【0054】
また、経路生成部254は、導出部256により導出された道路リンクに対する指標値に基づいて、指向性経路を生成する。この場合、導出部256は、道路リンクDB242を参照して現在位置P1から目的地P2まで走行可能な道路リンクごとに、評価指標ごとの物理量と、指向情報DB243から取得したユーザの指向情報に含まれる評価指標ごとの重視度合を取得し、取得した物理量と重視度合とに基づいて、道路リンクごとのコスト値を算出する。コスト値は、指標値の一例である。例えば、指向情報に含まれる評価指標A、B、Cの重視度合がαa、αb、αcであり、道路リンクに対応付けられた評価指標A、B、Cの物理量がβa、βb、βcである場合、導出部256は、以下の(1)式を用いてコスト値を算出する。
コスト値=αa×βa+αb×βb+αc×βc ・・・(1)
【0055】
また、導出部256は、道路リンクごとの道路の長さに応じた重みを付加してコスト値を算出してもよい。道路リンクの長さに応じた重みをwとした場合、導出部256は、以下の(2)式を用いてコスト値を算出する。
コスト値=(αa×βa+αb×βb+αc×βc)×w ・・・(2)
【0056】
なお、導出部256は、上述した(1)式に代えて、重視度合および物理量にコスト値が対応付けられたテーブルを用いてコスト値を導出してもよく、上述した(2)式に代えて、重視度合、物理量、および道路の長さの応じた重みに、コスト値が対応付けられたテーブルを用いてコスト値を導出してもよい。
【0057】
ここで、上述した(1)式または(2)式により算出されるコスト値は、重視度合が大きく且つ物理量が大きいほど、その評価指標のコスト値が大きくなり、値の大きい評価指標が多いほど、全体のコスト値も大きくなる。また、コスト値が大きいほど、ユーザの走行中の不安要素も大きくなる。したがって、経路生成部254は、導出部256により導出されたコスト値が所定値以下(例えば、コスト値が15以下)の道路リンクで構成された経路を指向性経路として生成する。
図6の例では、道路リンクRL3、RL4、およびRL5を走行する経路が指向性経路として生成されている。なお、経路生成部254は、指向性経路を複数生成してもよい。以下では、各道路リンクのコスト値の平均または合計が最も小さい指向性経路が生成された場合について説明する。コスト値の平均または合計が最も小さい指向性経路とは、ユーザの指向性も最も沿った経路である。また、導出部256は、基準経路を構成する道路リンクごとにコスト値を導出する。
【0058】
提供情報生成部258は、導出部256により導出された基準経路におけるコスト値のうち、ユーザの指向性に沿わないコスト値に基づいて、指向性経路に対する提供情報を生成する。ユーザの指向性の沿わないコスト値とは、所定値以上のコスト値である。例えば、提供情報生成部258は、導出部256により導出された基準経路を構成する道路リンクごとのコスト値のうち、ユーザの指向性に最も沿わないコスト値が導出された道路リンクの評価指標に基づいて、指向性経路に対する提供情報を生成する。ユーザの指向性に最も沿わないコスト値とは、基準経路を構成する複数の道路リンクのうち、コスト値が最大となる道路リンクのコスト値である。
【0059】
したがって、提供情報生成部258は、基準経路を構成する各道路リンクのうち、コスト値が最大の道路リンク(
図6の道路リンクRL1)の評価指標ごとのコスト値を取得する。そして、提供情報生成部258は、評価指標ごとのコスト値のうち、コスト値が最も高い評価指標と、そのコスト値とに基づいて、提供情報DB224を参照し、評価指標とコスト値とに対応付けられた提供情報を生成する。
図7は、提供情報DB224の内容の一例を示す図である。提供情報DB224は、評価指標およびコスト値に、提供情報が対応付けられた情報である。提供情報には、例えば、指向性経路の推奨理由に関する情報や指向性経路に対する紹介情報が含まれる。
図7の例では、指向性経路の推奨理由に関する情報として「指向性経路であれば、歩行者が多い道路を回避できます。」という情報が格納され、紹介情報として「指向性経路は、路上駐車が少ない経路です。」という情報が格納されている。
【0060】
このように、基準経路のコスト値に基づいて、指向性経路の推奨理由等を提供することで、基準経路に対する相違部分やユーザの指向に沿った推奨理由等を、より分かり易くユーザに提供することができる。
図6の例では、道路リンクRL1に対応付けられた評価指標のうち歩行者量のコスト値が20である。そのため、提供情報生成部258は、提供情報DB244を参照し、評価指標およびコスト値に対応付けられた「指向性経路であれば、歩行者が多い道路を回避できます。」という提供情報IN1を指向性経路と共に案内装置100に提供する。また、提供情報生成部258は、基準経路と指向性経路の両方を案内装置100に送信し、ユーザに何れかの経路を選択させてもよい。
【0061】
[指向情報の更新]
次に、管理部260におけるユーザごとの指向情報の更新について具体的に説明する。
図8は、ユーザの指向情報を更新することについて説明するための図である。
図8の例では、地点P3から地点P4までの区間で、生成経路Rbと実走行経路R0とが乖離していたものとして説明する。生成経路Rbは、例えば、情報提供サーバ200で生成された基準経路または指向性経路のうち、ユーザの選択等により実際に提供された経路である。また、
図8の例において、道路リンクRLa~RLcは、実走行経路R0の道路リンクを示し、道路リンクRLd~RLeは、生成経路Rbの道路リンクを示している。
【0062】
例えば、管理部260は、経路生成部254により生成された生成経路Rbと走行履歴245に含まれる実走行経路R0との乖離部分を抽出し、抽出した乖離部分に対応付けられた生成経路Rbの道路リンクの評価値と、乖離部分に対応付けられた実走行経路R0の道路リンクの評価値との差分データを導出する。そして、管理部260は、導出した差分データに基づいて、ユーザの指向情報を更新する。
【0063】
例えば、管理部260は、道路リンクDB242から道路リンクRLa~RLeに対応付けられた物理量を取得すると共に、ユーザIDに基づいて指向情報DB243を参照し、ユーザIDに合致するユーザの指向情報を取得する。次に、管理部260は、評価指標ごとの物理量を、指向情報を用いてコスト値(評価値の一例)に変換したデータを生成する。
図9は、各道路リンクにおける評価指標ごとのコスト値のデータの一例を示す図である。
図9の例では、リンクIDごとに、物理量である所要時間、道幅、交通量、歩行者量、路上駐車量のコスト値が格納されている。例えば、管理部260は、各道路リンクにおいて、評価指標ごとに、物理量と指向情報の重視度合とを乗算し、その値を正規化することで、
図9に示すようなコスト変換データを導出する。なお、コスト値の変換手法は、これに限定されず、例えば正規化を行わずにコスト値に変換してもよく、道路の長さに応じた重みを付加してコスト値に変換してもよい。
【0064】
次に、管理部260は、
図9に示すデータに含まれる道路リンクごとの所要時間に基づいて、経路を構成する各道路リンクの評価指標ごとのコスト値を加重平均し、生成経路Rbおよび実走行経路R0のそれぞれに対する評価指標ごとのコスト値を導出する。
図10は、生成経路Rbおよび実走行経路R0の評価指標ごとのコスト値の一例を示す図である。
図10の例では、経路を識別する経路IDに、評価指標の一例である道幅、交通量、歩行者量、路上駐車量ごとのコスト値が対応付けられている。例えば、管理部260は、所要時間が長いほど重みを大きく(加重度合を大きく)して、加重平均を行う。また、管理部260は、所要時間に代えて(または加えて)、道路リンクの道路の長さに応じた加重平均を行ってもよい。この場合、管理部260は、道路リンクの道路の長さが長いほど重みを大きくして加重平均を行う。これにより、経路ごとにより適切なコスト値を導出することができる。なお、管理部260は、加重平均に代えて、単純平均によってコスト値を導出してもよい。
【0065】
次に、管理部260は、生成経路Rbと実走行経路R0とのコスト値の差分を導出する。
図11は、生成経路Rbと実走行経路R0とのコスト値の差分データの一例を示す図である。
図11の例では、差分データとして、生成経路Rbに対する実走行経路R0のコスト値の変化量が示されている。管理部260は、この評価指標ごとの差分データに基づいて、指向情報DB243を参照し、ユーザIDに対応するユーザに対応付けられた評価指標の重視度合を更新する。例えば、管理部260は、評価指標ごとの重視度合に差分データの変化量を加算することで重視度合を更新してもよく、差分データに基づいて正規化した値を重心度合に加減算して重心度合を更新してもよい。また、管理部260は、差分データに含まれる値(評価値)の絶対値が閾値以上である場合に、その評価指標の重心度合のみを更新してもよい。例えば、
図11の例において、閾値が0.3である場合、路上駐車量に関する重心度合(評価値)のみが更新される。これにより、指向情報が頻繁に更新されることを抑制することができる。
【0066】
実走行経路R0は、ユーザが意図的に走行した経路であると推測される。したがって、生成経路Rbと実走行経路R0との差分に基づいて指向情報を変更することで、次回以降の経路生成において、ユーザの指向によりマッチした指向性経路を生成することができる。
【0067】
[処理フロー]
図12は、実施形態に係る情報提供サーバ200により実行される処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下では、問い合わせに対応する経路情報を生成し、生成した経路情報を案内装置に送信する処理(経路生成処理)と、生成した経路と実走行経路とに基づいて、ユーザの指向情報を更新する処理(更新処理)とを纏めて説明する。なお、経路生成処理と更新処理とは、それぞれが異なるタイミングで実行されてよい。
【0068】
図12の例において、取得部252は、案内装置100からの目的地までの経路の問い合わせ情報を取得する(ステップS100)。次に、経路生成部254は、問い合わせ情報に基づいて、基準条件に基づく基準経路を生成する(ステップS102)。また、経路生成部254は、ユーザの指向情報を取得し、取得した指向情報に基づく指向性経路を生成する(ステップS104)。ステップS102およびS104の処理は、逆の順序で行われてもよい。
【0069】
次に、導出部256は、基準経路に対するコスト値を導出する(ステップS106)。提供情報生成部258は、導出したコスト値に基づいて指向性経路に対する提供情報を取得する(ステップS108)。次に、提供情報生成部258は、生成した経路と提供情報を案内装置に送信する(ステップS110)。ステップS100~ステップS110の処理は、経路生成処理に相当する。
【0070】
次に、取得部252は、案内装置100から車両Mの実走行経路を含む走行履歴を取得する(ステップS112)。次に、管理部260は、問い合わせ情報に基づいて生成した経路と、走行履歴に含まれる実走行経路との乖離情報に基づいて、評価指標に関する指標値(コスト値)の差分を導出する(ステップS114)。次に管理部260は、導出した差分データに基づいて、ユーザの指向情報を更新する(ステップS116)。ステップS112~ステップS116の処理は、第1処理に相当する。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0071】
上述した実施形態によれば、経路に関する情報をより適切にユーザに提供することができる。例えば、本実施形態によれば、基準経路と指向性経路との違いを際立たせている主要な要因を特定して、その要因に対応する情報を提供することで、ユーザの指向に従って生成される経路の推奨理由を、ユーザにより分かり易く提供することができる。
【0072】
<変形例>
実施形態では、上述した情報提供サーバ200に関する構成要素のうち、一部または全部を案内装置100に設けてもよい。
図13は、情報提供サーバ200の一部の機能を備える案内装置100Aの構成図である。案内装置100Aは、
図2に示す案内装置100と比較して、記憶部120および制御部130に代えて、記憶部120Aおよび制御部130Aを備える点で相違する。記憶部120Aには、記憶部120に記憶されたデータに加えて、道路リンクDB123と、指向情報DB124と、提供情報DB125と、走行履歴126とが格納される。また、制御部130Aは、制御部130と比較すると、経路問い合わせ部133に代えて、経路生成部136と、導出部137と、提供情報生成部138と、管理部139とを備える点で相違する。案内装置100Aは、「情報提供装置」の一例である。
【0073】
道路リンクDB123には、道路リンクDB242と同様のデータが格納され、提供情報DB125には、提供情報DB244と同様のデータが格納される。指向情報DB124には、指向情報DB243のうち、案内装置100Aを備えた車両Mのユーザのみの指向情報が格納され、走行履歴126には、案内装置100Aが搭載された車両Mの走行履歴のみが格納される。
【0074】
経路生成部136、導出部137、提供情報生成部138、および管理部139は、それぞれ、記憶部120Aに記憶された各種データを用いて、経路生成部254、導出部256、提供情報生成部258、および管理部260と同様の処理を実行する。これにより、車両Mに搭載された案内装置100Aによって、経路に関する情報をより適切にユーザに提供することができる。また、
図13の構成によれば、経路生成ごとにサーバ側に問い合わせる必要がないため、ネットワークNWを介して情報提供サーバ200に接続できない状況下であっても、より迅速に適切な経路を提供することができる。
【0075】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
ユーザの目的地への複数の経路を生成し、
生成した前記複数の経路を構成する道路についての評価値を、前記ユーザの指向性を示す指向情報に基づいて導出し、
導出した前記評価値に基づいて、生成した経路に対する提供情報を生成し、
前記複数の経路を生成する際に、前記指向情報に基づかない基準経路と前記指向情報に基づく指向性経路とを生成し、
前記基準経路における評価値に基づいて前記指向性経路に対する提供情報を生成する、
ように構成されている、情報提供装置。
【0076】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0077】
1…情報提供システム、100、100A…案内装置、102…車内カメラ、104…車両センサ、106…GNSS受信機、108…HMI、110、210…通信部、120、120A、240…記憶部、130、130A、250…制御部、131…車両情報取得部、132…ユーザ特定部、133…経路問い合わせ部、134…出力制御部、135、262…通信制御部、136、254…経路生成部、137、256…導出部、138、258…提供情報生成部、139、260…管理部、220…入力部、230…出力部、252…取得部、M…車両