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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】足場板
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/08 20060101AFI20231215BHJP
   E04G 7/34 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
E04G5/08 B
E04G7/34 305C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020071113
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167531
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501415659
【氏名又は名称】JFE機材フォーミング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 潔
(72)【発明者】
【氏名】三宅 英徳
(72)【発明者】
【氏名】松岡 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】長岐 大三
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-282680(JP,A)
【文献】特開2020-016139(JP,A)
【文献】特開2007-175731(JP,A)
【文献】実開昭57-161583(JP,U)
【文献】特開2000-108952(JP,A)
【文献】実開昭57-176374(JP,U)
【文献】実開昭54-055109(JP,U)
【文献】米国特許第04951992(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0059791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G1/00-7/34
27/00
B62D33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の短辺縁部および一対の長辺縁部にて取り囲まれた区画領域を、歩行経路あるいは作業面とする床板材と、該床板材の長辺縁部にその全長にわたってそれぞれ垂下保持される一対の布材と、該床板材の短辺縁部につながる一対のはり材とを備えた足場板であって、
前記床板材は、長尺縁部を相互に突き合わせた少なくとも2枚の板材からなり、そのうちの1の板材は、突き合わせ部分に位置する長尺縁部において突出する凸部と、該凸部に近接して設けられた短尺垂下片とを有し、もう1の板材は、該凸部に適合可能な凹部が形成されたベースと、該ベースにつながり、該短尺垂下片の外側面に合致させるとともにその下端部を支持して床板材の脚部を形成する長尺垂下片とを有し、
前記短尺垂下片及び前記長尺垂下片は、前記長尺垂下片に支持された前記短尺垂下片の下端部において、当該短尺垂下片の前面部とは反対側の面と、前記長尺垂下片とに跨った溶接により接合されることを特徴とする足場板。
【請求項2】
前記足場板は、前記床板材の四隅において前記布材に取り付けられ、横架材に引っ掛けることにより前記床板材を、前記布材、前記はり材とともに水平姿勢に保持するつかみ金具を備えることを特徴とする請求項に記載した足場板。
【請求項3】
前記短尺垂下片は、その前面部が、前記長尺垂下片に合致した状態において前記脚部の軸芯に一致しており、前記凸部は、該前面部よりも外方に向けて突出したものであることを特徴とする請求項1または2に記載した足場板。
【請求項4】
前記長尺垂下片は、前記短尺垂下片の前面部を該長尺垂下片に合致させた状態において該短尺垂下片の背面部への屈曲、カシメ加工により該短尺垂下片を該長尺垂下片との間で挟持可能な少なくとも1つの挟持片を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載した足場板。
【請求項5】
一対の短辺縁部および一対の長辺縁部にて取り囲まれた区画領域を、歩行経路あるいは作業面とする床板材と、該床板材の長辺縁部にその全長にわたってそれぞれ垂下保持される一対の布材と、該床板材の短辺縁部につながる一対のはり材とを備えた足場板であって、
前記床板材は、長尺縁部を相互に突き合わせた少なくとも2枚の板材からなり、そのうちの1の板材は、突き合わせ部分に位置する長尺縁部において突出する凸部と、該凸部に近接して設けられた短尺垂下片とを有し、もう1の板材は、該凸部に適合可能な凹部が形成されたベースと、該ベースにつながり、該短尺垂下片の外側面に合致させるとともにその下端部を支持して床板材の脚部を形成する長尺垂下片とを有し、
前記長尺垂下片に、板材の長辺縁部に沿うガイドを設け、該ガイドに、それに沿う移動のみを許容するとともに前記短尺垂下片の前面部が該長尺垂下片に合致した状態において該短尺垂下片の背面部に前面を当接させて該短尺垂下片の、該長尺垂下片からの離反を回避するスライダーを配設してなることを特徴とする足場板。
【請求項6】
前記短尺垂下片は、その背面部に、前記スライダーの頂面もしくは該頂面から背面の少なくとも一部分に面して設けられ、前記ガイドと協同して該スライダーを挟み込む壁部を有することを特徴とする請求項に記載した足場板。
【請求項7】
前記スライダーは、はり材の背後にそれぞれ端部が突き当たってその移動が制限される長さを有することを特徴とする請求項またはに記載した足場板。
【請求項8】
前記短尺垂下片および前記長尺垂下片は、それらを相互に貫き、連結ボルトを挿通させてその両者を連結させる窓孔を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載した足場板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事現場等において構築される仮設足場の通路や作業床を形成するのに用いられる足場板に関するものである。なお、足場板には、横架材に番線やゴムバンドで固定する、つかみ金具のない足場板と、横架材につかみ金具を介して取り付ける足場板とがあるが、本発明の足場板とは、その両方を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
建設工事現場等の仮設足場の通路や作業床を形成するのに使用される足場板としては、特許文献1に見られるように、床板材と、布材と、該床板材の両端を取り付けられるはり材と、該はり材または布材に固定され、床板材の四隅から長手方向の外方へ向けて突出させたつかみ金具とで構成されたものが使用されている。
【0003】
かかる足場板は、床板材が1枚の板材からなるシングルタイプの足場板と、板材を2枚並列に配置してそれらを相互に連結したダブルタイプの足場板があり、構築すべき仮設足場に応じて使い分けられているのが一般的である。
【0004】
ところで、とくに、スチールで構成されたダブルタイプの足場板にあっては、中間板と呼ばれる連結金具を用い、溶接により板材同士をつなぎ合わせる煩雑な作業が必要であり、足場板を効率的に製造するのが困難であり、しかも、重量も嵩む不具合を有している。
【0005】
足場板の効率的な製造を実現するとともに、その軽量化を図る観点から、近年では、特許文献2に開示されているように、アルミニウムあるいはアルミニウム合金等を素材として、それを押し出し成形することによって足場板を製造する手法も提案されている。しかしながら、アルミあるいはアルミ合金等は、表面に酸化膜が形成されやすく、また、熱伝導率が高いため溶接のために加えた熱が逃げやすい等の理由から、単に溶接を施しただけでは十分な接合強度が得られず、未だ改善の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭60-1840号公報
【文献】特開2020-16139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、床板材を構成する板材同士を、煩雑な作業や重量増しを伴うことなしに高い強度のもとにつなぎ合わせることができる足場板を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一対の短辺縁部および一対の長辺縁部にて取り囲まれた区画領域を、歩行経路あるいは作業面とする床板材と、該床板材の長辺縁部にその全長にわたってそれぞれ垂下保持される一対の布材と、該床板材の短辺縁部につながる一対のはり材と備えた足場板であって、前記床板材は、長尺縁部を相互に突き合わせた少なくとも2枚の板材からなり、そのうちの1の板材は、突き合わせ部分に位置する長尺縁部において突出する凸部と、該凸部に近接して設けられた短尺垂下片とを有し、もう1の板材は、該凸部に適合可能な凹部が形成されたベースと、該ベースにつながり、該短尺垂下片の外側面に合致させるとともにその下端部を支持して床板材の脚部を形成する長尺垂下片とを有することを特徴とする足場板である。
【0009】
上記の構成からなる足場板において、
1)前記足場板は、前記床板材の四隅において前記布材に取り付けられ、横架材に引っ掛けることにより該床板材を、前記布材、前記はり材とともに水平姿勢に保持するつかみ金具とを備えるものであること、
2)前記凸部は、該凸部を前記凹部に臨ませ、該凸部を起点に板材を回動させることによって前記凹部に適合させるものであること、
3)前記凸部は、1の板材もしくはもう1の板材をその厚さ方向にスライドさせることにより凹部に適合させるものであること、
4)前記短尺垂下片は、その前面部が、前記長尺垂下片に合致した状態において前記脚部の軸芯に一致しており、前記凸部は、該前面部よりも外方に向けて突出したものであること、
5)前記長尺垂下片は、前記短尺垂下片の前面部を該長尺垂下片に合致させた状態において該短尺垂下片の背面部への屈曲、カシメ加工により該短尺垂下片を該長尺垂下片との間で挟持可能な少なくとも1つの挟持片を有すること、
6)前記長尺垂下片に、板材の長辺縁部に沿うガイドを設け、該ガイドに、それに沿う移動のみを許容するとともに前記短尺垂下片の前面部が該長尺垂下片に合致した状態において該短尺垂下片の背面部に前面を当接させて該短尺垂下片の、該長尺垂下片からの離反を回避するスライダーを配設してなること、
7)前記短尺垂下片は、その背面部に、前記スライダーの頂面もしくは該頂面から背面の少なくとも一部分に面して設けられ、前記ガイドと協同して該スライダーを挟み込む壁部を有すること、
8)前記スライダーは、はり材の背後にそれぞれ端部が突き当たってその移動が制限される長さを有すること、
9)前記短尺垂下片および前記長尺垂下片は、それらを相互に貫き、連結ボルトを挿通させてその両者を連結させる窓孔を有すること、
10)前記布材の下面および前記長尺垂下片の下端部のフランジ下面に、リブ状の突起を有すること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1の板材を、突き合わせ部分に位置する長辺縁部において突出する凸部と、該凸部に近接して設けられた短尺垂下片とを有するもので構成し、もう1の板材を、該凸部に適合可能な凹部が形成されたベースと、該ベースにつながり、該短尺垂下片の外側面に合致させるとともにその下端部を支持して床板材の脚部を形成する長尺垂下片とを有するもので構成したことにより、板材同士を簡単につなぎ合わせることができるとともに、脚部がその全長にわたって2枚重ねになることがないため、足場板の製造に使用する材料を削減することが可能となり、その分、重量の軽減を図ることができる。
【0011】
また、本発明によれば、凸部を、該凸部を前記凹部に臨ませ、該凸部を起点に板材を回動させることによって凹部に適合させるものとしたことにより、板材同士を確実につなぎ合わせることができる。
【0012】
また、本発明によれば、凸部を、1の板材もしくはもう一方の板材をその厚さ方向にスライドさせることにより凹部に適合させるものとしたことにより、板材同士を確実につなぎ合わせることができる。
【0013】
また、本発明によれば、短尺垂下片の前面部を、長尺垂下片に合致した状態において脚部の軸芯に一致するものとし、凸部を、該前面部よりも外方に向けて突出したものとしたことにより、板材のつなぎ合わせ部分に作用した荷重を、短尺垂下片を通して長尺垂下片に確実に伝達することができる。
【0014】
また、本発明によれば、長尺垂下片に、短尺垂下片の前面部を該長尺垂下片に合致させた状態において該短尺垂下片の背面部への屈曲、カシメ加工により該短尺垂下片を該長尺垂下片との間で挟持可能な少なくとも1つの挟持片を設けておくことにより、板材同士の連結強度を高めることができる。
【0015】
また、本発明によれば、長尺垂下片に、板材の長辺縁部に沿うガイドを設け、該ガイドに、それに沿う移動のみを許容するとともに前記短尺垂下片の前面部が該長尺垂下片に合致した状態において該短尺垂下片の背面部に前面を当接させて該短尺垂下片の、該長尺垂下片からの離反を回避するスライダーを配設することにより、簡単な構造で板材同士を確実に連結することができる。
【0016】
また、本発明によれば、短尺垂下片の背面部に、スライダーの頂面もしくは該頂面から背面の少なくとも一部分に面して設けられ、ガイドと協働して該スライダーを挟み込む壁部を設けることにより、板材同士の連結強度がより一層高まる。
【0017】
また、本発明によれば、スライダーを、はり材の背後にそれぞれ端部が突き当たる長さを有するものとすることにより、スライダーの移動が防止され、板材の連結が解除されることはない。
【0018】
さらに、本発明によれば、短尺垂下片および長尺垂下片に、それらを相互に貫く窓孔を設けておくことにより、該窓孔に連結ボルトを通して両者をつなぎ合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にしたがう足場板の実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。
図2図1に示した足場板において、床板材からつかみ金具およびはり材を取り外すとともに、はり材と床板材の一部分のみを分解状態を示した外観斜視図である。
図3図1に示した足場板において、床板材からつかみ金具およびはり材を取り外すとともに、はり材と床板材の一部分のみを分解状態を示した外観斜視図である。
図4】床板材の正面を示した図である。
図5】床板材の平面を示した図である。
図6】床板材の側面(右側側面、左側側面は、同一に表示される)を示した図である。
図7】床板材の底面を示した図である。
図8図4に示した床体材の連結前の状態を示した図である。
図9】(a)~(c)は、板材のつなぎ合わせ要領の説明図である。
図10】(a)~(c)は、板材のつなぎ合わせ要領の説明図である。
図11】(a)~(c)は、板材のつなぎ合わせ要領の説明図である。
図12】本発明にしたがう足場板の他の実施の形態を示した図である。
図13】(a)~(d)は、本発明にしたがう足場板の他の実施の形態を示した図である。
図14】スライダーの作製要領の説明図である。
図15】(a)~(c)は、本発明にしたがう足場板のさらに他の実施の形態を示した図である。
図16】はり材の別の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明にしたがう足場板は、スチール等の金属製部材で構成することができるものであり、仮設足場を構築するに当たっては、同じ構成からなる足場板が複数枚用いられる。なお、本発明にしたがう足場板においては、足場板の製造効率の改善、重量軽減を図る観点から、床板材を構成する板材およびはり材は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金等を素材として所定の形状に押出し成形したものを用いてもよい。
【0021】
図1は、本発明にしたがう足場板の実施の形態を模式的に示した外観斜視図であり、図2、3は、図1に示した足場板において、床板材からつかみ金具およびはり材を取り外すとともに、はり材と床板材の一部分のみを分解状態を示した外観斜視図である。また、図4は、床板材の正面を示した図であり、図5は、床板材の平面を示した図であり、図6は、床板材の側面(右側側面、左側側面は、同一に表示される)を示した図であり、図7は、床板材の底面を示した図であり、さらに、図8は、図4に示した床体材の連結前の状態を示した図である。
【0022】
図1~8における符号1は、一対の短辺縁部A、Bおよび一対の長辺縁部C、Dにて取り囲まれた区画領域を歩行経路あるいは作業面とする床板材、2は、床板材1の長辺縁部C、Dにその全長にわたってそれぞれ垂下保持される一対の布材である。布材2の上端部には、外方に向けて延出するとともに先端部に下向きに突出したリブ2aを有する上壁2bが設けられており、布材2の下端部には、外方に向けて上壁2bと平行に伸延するとともに先端部に上向きに突出したリブ2cを有する下壁2dが設けられている。
【0023】
また、符号3は、床板材1の短辺縁部A、Bに溶接等の接合手段によってつながる一対のはり材、4は、床板材1の四隅において布材2にボルト等によって取り付けられ、仮設足場を構成する横架材(図示せず)に引っ掛けることにより床板材1を、布材2、はり材3とともに水平姿勢に保持するつかみ金具である。
【0024】
上記の構成からなる足場板において、床板材1は、長尺縁部E、Fを相互に突き合わせた2枚の板材1a、1bからなっており、そのうちの1の板材1aは、突き合わせ部分に位置する長尺縁部Eにおいて突出する凸部5と、該凸部5の近接位置、例えばその下部に設けられた短尺垂下片6とを有している。
【0025】
また、もう1の板材1bは、長尺縁部Fに、凸部5に適合可能な凹部7が形成されたベース8と、該ベース8につながり、短尺垂下片6の前面部6aに合致させるとともに、その短尺垂下片6の下端部を支持して床板材1の脚部Tを形成する長尺垂下片9とを有している。
【0026】
短尺垂下片6は、その前面部6aが、長尺垂下片9に合致した状態において脚部Tの軸芯Pに一致しており、凸部5は、前面部6aよりも外方に向けて突出したものとなっており、これにより、板材1a、1bのつなぎ合わせ部分において入力された荷重を短尺垂下片6を通して長尺垂下片9に確実に伝達することができるようになっている。
【0027】
また、図における符号10は、1の板材1aの幅方向の中間位置に設けられた脚部、符号11は、もう1の板材1bの幅方向の中間位置に設けられた脚部、12は、長尺垂下片9の下端部に設けられ、はり材3の下端部を溶接等の接合手段により接合するフランジ、13、14は、脚部10、11の下端部に設けられ、はり材3の下端部を接合するフランジ、15は、フランジ12、13、14、下壁2dの下面に設けられたリブ状の突起である。突起15は、足場板を積層する際の高さ調整と、床板材1や布材2を押出し成形する際に、平滑面で傷が発生するのを防止するために設けられるものである。突起15は、布材2の下面および長尺垂下片9の下端部に設けられたフランジ12の下面に形成するのが好ましく、板材1a、1bの幅方向の中間位置に設けられた脚部10、11の下端部に位置するフランジ13、14の下面に形成することもできる。
【0028】
床板材1は、図9(a)~(c)に示すように、1の板材1aの凸部5を、もう1の板材1bの凹部7に臨ませ、該凸部5を起点に板材1aを回動させることによって凹部7に適合(嵌合)させ、その後に、短尺垂下片6と長尺垂下片9の相互間に跨って溶接を施し接合部Wを形成することによって構成されるものであって、これによれば、板材1a、1b同士を簡単かつ、確実につなぎ合わせることができ、足場板の効率的な製造が可能となる。なお、短尺垂下片6と長尺垂下片9との溶接は、板材1a、1bの長手方向の複数個所で行うのが好ましい。
【0029】
本発明では、2枚の板材1a、1bを用いて床板材1を構成した場合を例にして説明したが、3枚以上の板材をつなぎ合わせて床板材1を構成してもよく、この点については限定されない。
【0030】
図10(a)~(c)は、本発明にしたがう足場板の他の実施の形態を示した図である。かかる足場板は、凸部5を下向きに突出させる一方、凹部7の開放端を上向きにして、1の板材1a若しくはもう1の板材1bをその厚さ方向にスライドさせることにより該凸部5を凹部7適合させ、次いで、板材1a、1bの突き合わせ部分に溶接を施して接合部Wを形成することにより板材1a、1b同士をつなぎ合わせる構造のものであり、この場合にも、板材1a、1bを簡単かつ、確実につなぎ合わせることができる。なお、板材1a、1bをスライドさせて凸部5を凹部7に適合させるものにあっては、凸部5を凹部7に適合させた状態で短尺垂下片6の背面部6bに位置する起立片eを設けておくのが好ましく、これにより、板材1a、1bの突き合わせ部分に荷重が作用しても短尺垂下片6が長尺垂下片9から離反するのを回避することができる。
【0031】
さらに、長尺垂下片9には、板材1bの長尺縁部Fの全域あるいは複数個所に図11(a)~(c)に示すような挟持片9aを設けておくことができる。長尺垂下片9に挟持片9aを設け、短尺垂下片6の前面部6aを長尺垂下片9に合致させた状態において該挟持片9aを短尺垂下片6の背面部6bへ屈曲させてカシメ加工を施すことにより短尺垂下片6を長尺垂下片9との間で挟持、固定することが可能であり、この場合には、溶接作業を省略できる利点がある。
【0032】
挟持片9aは、図11(b)に示すように、90°程度屈曲させてカシメ加工を施してもよいし、カシメ加工の際に挟持片9aに亀裂が生じるのを回避する観点から図11(c)に示すように、45°程度に屈曲させてカシメ加工を施してもよい。
【0033】
図12は、長尺垂下片9に、板材1bの長辺縁部Fに沿うガイド16を設け、このガイド16にそれに沿う移動のみを許容するスライダー17を配置した例を示したものである。短尺垂下片6の前面部6aが長尺垂下片9に合致した状態において短尺垂下片6の背面部6bにスライダー17の前面17aを当接させることにより短尺垂下片6の、長尺垂下片9からの離反を回避する。
【0034】
かかる構造からなる足場板においては、図11(a)~(c)に示したものと同様、溶接等の接合手段を適用せずとも、板材1a、1b同士を確実につなぎ合わせることができるため、とくに、アルミニウムやアルミニウム合金等を素材としてそれを押し出し成形することによって足場板を製造する場合に有利である。
【0035】
ガイド16は、ここでは、L字断面をなすものを例とし、スライダー17を、C字状断面をなすものを例として示したが、スライダー17がガイド16に沿う移動のみを許容するもの、すなわち、スライダー17をガイド16に沿って移動させることができるが、それ以外は、スライダー17の、ガイド16からの取り外しを不可とするものであれば、その断面形状は図示のものに限定されない。
【0036】
スライダー17の長さ(板材1a、1bの長手方向に沿う長さ)は、はり材3を、床板材1の短辺縁部A、Bに組付けた際に、はり材3の背後に端部が突き当たってその移動が制限される長さとするのが好ましい。また、スライダー17にはアルマイト処理等により、その表面に酸化膜を形成しておいてもよく、これによりスライド性の改善を図ることができる。
【0037】
図13(a)~(d)は、短尺垂下片6の背面部6bに壁部18を設けた、本発明にしたがう足場板のさらに他の実施の形態を示した図である。壁部18は、スライダー17の頂面17bもしくは頂面17bから背面17cの少なくとも一部分に面して設けられており、ガイド16と協働してスライダー17を挟み込むものである。
【0038】
上掲図12図13(a)~(d)に示した構造からなる足場板は、とくに、凸部5を凹部7に臨ませ、該凸部5を起点に板材1aを回動させることによって凹部7に適合させる、嵌合タイプの床板材1に適用して好適であり、板材1a、1b同士の連結強度をより一層高めることができる。
【0039】
スライダー17の断面形状や壁部18の断面形状は、必要に応じて種々変更可能であり、図示のものに限定されることはない。
【0040】
とくに、図13(d)に示したような三角断面形状をなすスライダー17を使用して板材1a、1bをつなぎ合わせる場合にあっては、図14に示す如き断面を有する部材を作製し、これを中央部分でカットしたものを使用することができ、スライダー17の作製に手間がかからないため、足場板の製造効率の改善に寄与する。
【0041】
図15(a)~(c)は、短尺垂下片6および長尺垂下片9にそれぞれそれらを相互に貫く窓孔9b、6cを設け、この窓孔9b、6cに連結ボルト20を挿通させてその両者を連結させた構造のものである。
【0042】
かかる構造からなる足場板においても、溶接等の接合手段を適用せずとも、板材1a、1b同士を確実につなぎ合わせることができる。
【0043】
長尺垂下片9にガイド16を設け、このガイド16にスライダー17を配置して板材1a、1b同士をつなぎ合わせて上掲図1に示したような足場板を製造するには、まず、1の板材1aの長尺縁部Eと、もう1の板材1bの長尺縁部Fを、凸部5と凹部7が適合するように突き合わせたのち、ガイド16の端部からスライダー17を差し入れてガイド16の全域にスライダー17を位置させる。そして、はり材3を床板材1の短辺縁部A、Bにセットし、はり材3と床板材1との相互間を溶接により接合し、さらに、電蝕防止用のアルマイトプレートを介してつかみ金具4を布材2に連結ボルトを用いて固定すればよい。
【0044】
本発明にしたがう足場板は、床板材1(布材2を含む)、はり材3を、アルミニウム、アルミニウム合金等を素材として用い、これを押出し成形して作製されたものを適用することが可能なので足場板の効率的な製造ができるだけでなく、その軽量化により作業性の改善も図り得る。
【0045】
はり材3としては、踏み面がフラットになるものを用いることができるが、滑り止め機能を高めるために踏面に複数本のリブ19を設けた、図16に示すようなはり材3を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、床板材を構成する板材同士を、煩雑な作業や重量増しを伴うことなしに高い強度のもとにつなぎ合わせることが可能な足場板が提供できる。
【符号の説明】
【0047】
1 床板材
1a 1の板材
1b もう1の板材
2 布材
2a リブ
2b 上壁
2c リブ
2d 下壁
3 はり材
4 つかみ金具
5 凸部
6 短尺垂下片
6a 前面部
6b 背面部
6c 窓孔
7 凹部
8 ベース
9 長尺垂下片
9a 挟持片
9b 窓孔
10 脚部
11 脚部
12 フランジ
13 フランジ
14 フランジ
15 突起
16 ガイド
17 スライダー
17a 前面
17b 頂面
17c 背面
18 壁部
19 リブ
20 連結ボルト
A、B 短辺縁部
C、D 長辺縁部
E、F 長尺縁部
T 脚部
P 軸芯
W 接合部
e 起立片
図1
図2
図3
図4
図5
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図16