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特許7403378折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム、折り返し部を有する包装袋の製造方法および包装袋
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  • 特許-折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム、折り返し部を有する包装袋の製造方法および包装袋 図1
  • 特許-折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム、折り返し部を有する包装袋の製造方法および包装袋 図2
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  • 特許-折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム、折り返し部を有する包装袋の製造方法および包装袋 図4
  • 特許-折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム、折り返し部を有する包装袋の製造方法および包装袋 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム、折り返し部を有する包装袋の製造方法および包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/087 20120101AFI20231215BHJP
【FI】
B65B9/087
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020074721
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021172342
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000206233
【氏名又は名称】大成ラミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 恭彦
(72)【発明者】
【氏名】兼本 猛
(72)【発明者】
【氏名】八木沢 深雪
(72)【発明者】
【氏名】落合 昴
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/087
B65B 55/04
B65D 30/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともベースフィルム層とシーラント層とを具え、該シーラント層が相互に対向するように幅方向に折り返し、重なり合う側縁部どうしを縦シールすると共に、上下縁部をそれぞれ横シールして、少なくとも1の折り返し部を有する包装袋を形成するための製袋用フィルムであって、
前記折り返し部となる位置の、前記シーラント層以外の少なくとも1の層上の横シール予定領域内に、その折り返し部となる位置に沿って延在するハーフカット疵が設けられていることを特徴とする、折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム。
【請求項2】
前記ハーフカット疵は、前記シーラント層以外の層のトータル厚みの30~100%を切断したものであることを特徴とする、請求項1に記載の折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム。
【請求項3】
前記ハーフカット疵は、前記横シールの予定長さの30~100%の長さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の製袋用フィルムを、前記シーラント層が相互に対向するように幅方向に折り返して重ね合わせ、該重なり合う側縁どうしを長手方向に連続して縦シールして筒状にすると共に、
該筒状のフィルム内に被包装物を充填しながら、該縦シールと交差する方向に、該筒状のフィルムの全幅にわたって、長手方向の一定の間隔で横シールを施して包装袋を連続して形成する方法であって、
前記ハーフカット疵を、前記製袋用フィルムを、その幅方向に折り返すに先立ち、該折り返し位置の、前記シーラント層以外の少なくとも1の層に、横シール予定位置に合わせてハーフカット処理を行うことにより形成することを特徴とする、折り返し部を有する包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記ハーフカット処理は、レーザー加工またはカッターによって行うことを特徴とする、請求項4に記載の折り返し部を有する包装袋の製造方法。
【請求項6】
前記ハーフカット処理によって、前記折り返し位置のシーラント層以外の層を、そのトータル厚みの30~100%切断することを特徴とする、請求項4または5に記載の折り返し部を有する包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記ハーフカット処理によって、前記折り返し位置のシーラント層以外の少なくとも1の層を、前記横シールの予定長さの30~100%の長さで切断することを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の折り返し部を有する包装袋の製造方法。
【請求項8】
前記請求項4~7のいずれか1項に記載の方法によって製造される折り返し部を有する包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方シール形包装袋や背貼りシール形包装袋などのフィルムの折り返し部を有する包装袋の製袋に用いられるフィルムと、折り返し部を有する包装袋の製造方法および該製造方法によって形成される包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋内へ液状の被包装物、たとえば飲食物、調味料、医薬品、化粧品などの液体の他、粘稠物あるいはゼリー状等の流動性物質を自動的に充填包装する充填包装機については、特許文献1に記載されているような、いわゆる縦型の三方シール充填包装機が用いられている。
【0003】
この縦型の三方シール充填包装機は、例えば、二軸延伸したエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂等からなるベースフィルム層と、無延伸のエチレン-ビニルアセテート共重合体樹脂等からなるシーラント層とを、蒸着層、中間層等を介して、または介することなく積層した積層フィルムからなる一枚の長尺包装用フィルムを、その長手方向に上方から下方へ連続的に走行させながら、前記シーラント層が向かい合わせになるように幅方向に半折りし、その重なり合うフィルム両側縁どうしを縦方向に連続的にヒートシールして、縦シール部を形成して該フィルムを筒状にしつつ、横シール部の間欠的な形成の間に成形される包装袋内へ液状の被包装物を充填包装し、該横シール部の形成後に、包装袋を一袋ずつまたは複数袋ずつに切断分離することが一般的である。
【0004】
また、他の充填包装機としては、特許文献2に記載のような背貼りシール包装袋の充填包装機がある。この充填包装機は、上記三方シール充填包装機と同様に、積層フィルムからなる一枚の長尺包装用フィルムを、その長手方向に上方から下方へ連続的に走行させながら、前記シーラント層が向かい合わせになるように幅方向に半折りし、その重なり合うフィルム両側縁どうしを縦方向に連続的にヒートシールして、縦シール部を形成して該フィルムを筒状にした後、その筒状の包装用フィルムの幅方向中央部を、下部が次第に相互に拡開するように二つに分かれた形状(逆Y字形)の棒状のガイドロッドを用いて、該包装用フィルムの走行方向に対して垂直な方向に広げて、前記縦シール部を筒状の包装用フィルムの中央部分に位置させることで背貼りシール部とし、横シール部の間欠的な形成の間に成形される包装袋内へ液状の被包装物を充填包装することで背貼りシール包装袋を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-16870号公報
【文献】特開2016-68946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の充填包装機では、上記したように一枚の長尺の包装用フィルムを、連続的に走行させながら、シーラント層が向かい合わせになるように幅方向で半折し、また特許文献2ではさらに包装用フィルムを筒状とした後、該筒状の表側および裏側の包装用フィルムをそれぞれ幅方向中央部で折り曲げているが、図5に例示するように折返し辺部分101は、包装用フィルム100のスプリングバックによって膨らむため、ストロー状の開口102が生じ、これを横シールすると、横シール部内にトンネル状の未シール部分が発生し易く、該未シール部分から被包装物が漏れ出す可能性があった。
【0007】
そのため、従来は、生産速度を落として横シール装置によるシール時間を長くしたり、シール温度や圧力を高める等して、折り返し部分を完全に接合させて上記トンネル状の未シール部分の発生を防止しているが、この方法では、シール条件の調整に手間がかかり、また包装袋の生産性が低下するため、改善が求められていた。
【0008】
そこで、本発明は、折り返し部を有する包装袋の生産性を向上させ、製袋に際して折り返し(折り畳み)が容易であり、また横シール時に折り返し部にトンネル状の未シール部分が発生することのない製袋用フィルムと、折り返し部を有する包装袋の製造方法および該製造方法によって形成される包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくともベースフィルム層とシーラント層とを具え、該シーラント層が相互に対向するように幅方向に折り返し、重なり合う側縁部どうしを縦シールすると共に、上下縁部をそれぞれ横シールして、少なくとも1の折り返し部を有する包装袋を形成するための製袋用フィルムであって、前記折り返し部となる位置の、前記シーラント層以外の少なくとも1の層上の横シール予定領域内に、その折り返し部となる位置に沿って延在するハーフカット疵が設けられていることを特徴とする、折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルムを提案するものである。
【0010】
なお、本発明の製袋用フィルムにおいては、さらに下記のような構成にすることがより好ましい解決手段となる。即ち、
(1)前記ハーフカット疵は、前記シーラント層以外の層のトータル厚みの30~100%を切断したものであること、
(2)前記ハーフカット疵は、前記横シールの予定長さの30~100%の長さを有すること、
である。
【0011】
また、本発明は、上記製袋用フィルムを、前記シーラント層が相互に対向するように幅方向に折り返して重ね合わせ、該重なり合う側縁どうしを長手方向に連続して縦シールして筒状にすると共に、
該筒状のフィルム内に被包装物を充填しながら、該縦シールと交差する方向に、該筒状のフィルムの全幅にわたって、長手方向の一定の間隔で横シールを施して包装袋を連続して形成する方法であって、前記ハーフカット疵を、前記製袋用フィルムを、その幅方向に折り返すに先立ち、該折り返し位置の、前記シーラント層以外の少なくとも1の層に、横シール予定位置に合わせてハーフカット処理を行うことにより形成することを特徴とする、折り返し部を有する包装袋の製造方法を提案する。
【0012】
なお、本発明の折り返し部を有する包装袋の製造方法においては、さらに下記のような構成にすることがより好ましい解決手段となる。即ち、
(1)前記ハーフカット処理は、レーザー加工またはカッターによって行うこと、
(2)前記ハーフカット処理によって、前記折り返し位置のシーラント層以外の層を、そのトータル厚みの30~100%切断すること、
(3)前記ハーフカット処理によって、前記折り返し位置のシーラント層以外の少なくとも1の層を、前記横シールの予定長さの30~100%の長さで切断すること、
である。
【0013】
さらに本発明は、上記の包装袋の製造方法によって製造される折り返し部を有する包装袋を提案する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくともベースフィルム層とシーラント層とを具える製袋用フィルムの、折り返し位置のシーラント層以外の少なくとも1の層上にハーフカット疵を設けることで、製袋用フィルムを該ハーフカット疵に沿って容易に折り返すことができ、また折り返し部分がフィルムのスプリングバックによって膨らむのを抑制することができるため、横シール部にトンネル状の未シール部分が発生することがなく、液漏れが発生するおそれがない。また、ハーフカット疵は、折り返し位置において、横シール予定領域内に限定して設けられるため、該ハーフカット疵は、横シール時に融着して完全に封止することになるので、シール不良を招くことがない。
【0015】
また、本発明によれば、折り返し部がフィルムのスプリングバックによって膨らむことがなく、他の部分と同様に平坦な状態で折り重ねることができるため、折り返し部分に合わせてシール条件を決定する必要がなく、高速での製袋充填を行うことができるので、包装袋の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の折り返し部を有する包装袋の一実施形態を示す図であり、(a)は三方シール形包装袋、(b)は背貼り接合部を有する包装袋である。
図2】本発明の折り返し部を有する包装袋の製袋用フィルムの一実施形態を示す図である。
図3】本発明の製袋用フィルムの拡大断面図である。
図4】本発明の折り返し部を有する包装袋を製造するための充填包装機の一例を示す図である。
図5】従来の包装用フィルムを折り畳んだ際の端面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、本発明の折り返し部を有する包装袋1の一実施形態を示す図であり、(a)は一辺が折り返し部2からなり、他の外周縁部が縦シール部3と上下横シール部4、5によってシールされた三方シール形の包装袋を示し、(b)は両側部が折り返し部2からなり、合掌状の縦シール部3が包装袋の幅方向略中央部に位置する背貼りシール形の包装袋を示す。なお、本発明は、上記包装袋に限定されるものでなく、折り返し部を有する各種の包装袋に適用することができる。
【0018】
以下、図1(a)に示す三方シール形の包装袋1を一実施形態として説明する。
図2は、図1(a)の包装袋1の製袋用フィルム6を示し、この製袋用フィルム6は、図3にその断面を示すように少なくともベースフィルム層7とシーラント層8とからなる。なお、ベースフィルム層7としては、一軸もしくは二軸延伸のエチレンビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、塩化ビニリデン等の合成樹脂フィルムにて構成することが好ましく、また紙や不織布を用いることもできる。前記シーラント層8としては、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、エチレンメチルメタクリル酸共重合体、アイオノマーなどを用いることが好ましい。
【0019】
また、製袋用フィルム6は、包装袋1として必要とする性質に応じて、ベースフィルム層7とシーラント層8との間に中間層を設けてもよく、該中間層としては、たとえばアルミニウム箔や合金箔、エチレンビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層などの各種コーティング層、Al蒸着層やSiO蒸着層などの蒸着層あるいはSiOやAl、Alなどのスパッタリング層などを用いることにより、水蒸気不透過性やガスバリア性、腰度などを向上させることができる。
【0020】
三方シール形の包装袋1は、製袋用フィルム6を、シーラント層8どうしが相互に対向するように幅方向中央位置Cで折り畳み、外周縁部をシールする(縦シール部3、上下横シール部4、5)ことで形成される。
【0021】
なお、製袋用フィルム6には、包装袋1に保形性と強度を付与するため、コシ(剛性)のあるフィルムが好適に利用されているが、このようなコシ(剛性)のある製袋用フィルム6を幅方向中央位置Cで折り返すと、スプリングバック(復元力)によって折り返し部2がストロー状(楕円状)に開口した状態になってしまう。このような開口は、上下横シール部4、5を形成することで封止することができるが、シール条件が適正でないと、封止することができずトンネル状の未シール部分となって被包装物が漏れ出す場合があった。
【0022】
そこで、本実施形態では、図2に示すように、製袋用フィルム6の幅方向中央位置C(折り返し位置)の、上下横シール部4、5の横シール予定領域10内にハーフカット疵11を設けており、この点に特徴がある。ハーフカット疵11によって、製袋用フィルム6の幅方向中央位置C(折り返し位置)におけるスプリングバックが抑制されるため、折り畳みが容易になると共に、上下横シール部4、5にトンネル状の未シール部分が発生することがなく、液漏れの発生を防止することができる。
【0023】
なお、ハーフカット疵11は、横シール予定領域10内のベースフィルム層7上に設けることが好ましく、これによれば剛性の高いベースフィルム層7のスプリングバックを抑制することができ、上下横シール部4,5からの液漏れの発生を効果的に防止することができる。本実施形態では、ハーフカット疵11を、製装用フィルム6の基材となるベースフィルム層7に設けているが、ハーフカット疵11は、シーラント層8以外の構成層に設けることができ、例えば、上記したようにベースフィルム層7とシーラント層8との間に設けたアルミニウム箔等の中間層上にハーフカット疵11を設けてもよい。また、ハーフカット疵11は、横シール予定領域10内のみに設けられているため、該ハーフカット疵11の形成部分は、上下横シール部4、5の形成によって補強されることになり、包装袋の破袋強度が低下するおそれがない。
【0024】
ハーフカット疵11は、図3に示すようにベースフィルム層7の表面から厚みdの30~100%を切断して形成することが好ましく、より好ましくは80~100%とする。これは、30%未満では、ハーフカット疵11による上記折り返しの効果が十分ではないためである。
【0025】
また、ハーフカット疵11の長さは、図2に示すように横シール予定領域10の長さLの30~100%とすることが好ましく、より好ましくは50~80%とする。これは、30%未満では、ハーフカット疵11による上記折り返しの効果が十分ではなく、また横シール予定領域10を超えて(100%超)切断すると、取り扱い時等に誤って破断されるおそれがあるためである。
【0026】
次に、この発明の折り返し部を有する包装袋の製造方法について説明する。以下は、充填包装機内において、製袋用フィルムにハーフカット疵を形成し、包装袋を製造する方法について説明するが、本発明は、この方法に限定されるものではなく、例えば製袋用フィルムの製造工程において所要の位置にハーフカット疵形成しておき、該製袋用フィルムを用いて包装袋を製造してもよい。
【0027】
図4は、充填包装機の一例として縦型充填包装機の構成を示す模式図である。
この縦型充填包装機は、例えば、2軸延伸したエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂等からなるベースフィルム層と、例えば無延伸のエチレン-ビニルアセテート共重合体樹脂等からなるシーラント層とを積層した積層フィルムからなる1枚の長尺の製袋用フィルム6を、その長手方向に走行させながら、フィルム折返し部20において、シーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返してその両側縁部同士を重ね合わせ、該両側縁部同士を一対の縦シールロールからなる縦シール部形成部21によって長手方向に連続して縦シールして縦シール部3を形成した後、これによって筒状となった製袋用フィルム内に被包装物供給部22から連続して被包装物Mを充填すると共に、横シール部形成部23によって被包装物Mを絞り出しながら筒状の製袋用フィルムの全幅にわたって横シール部4、5を形成した後、一対の横シールロールからなる冷却部24により横シール部4、5を冷却して接合を定着させることで、多数の包装袋1を製袋しつつ、各包装袋1内に飲食物、調味料、医薬品、化粧品その他の液状ないし粘稠状あるいはゼリー状等の流動性物質からなる被包装物Mを自動的に充填するものである。なお、上記のようにして製造された包装袋1は、切断部25によって単包または複数包ずつに切断されて出荷されることになる。
【0028】
このような縦型充填包装機において、図4に示すようにフィルム折返し部20の上流位置にハーフカット処理装置26を設け、該ハーフカット処理装置26によって図2に示すように、フィルムロールRから連続して、または間欠的に繰出される1枚の長尺の製袋用フィルム6の幅方向中央位置のベースフィルム層7に、横シール部4、5の形成予定位置に合わせて所定の間隔でハーフカット疵11を設ける。
【0029】
ハーフカット処理装置26は、レーザー加工装置、カッター等の各種の加工装置を利用することができるが、とくにレーザー加工装置は、ハーフカット疵11の形成位置やサイズ(深さ、長さ)の調整が容易であると共に、消耗品がなく、ランニングコストが安いという利点があり、また該装置によって包装袋Wの注出口に開封用の誘導疵を形成することもできるため好適である。なお、レーザー加工装置は、炭酸ガスレーザやYAGレーザー、UVレーザーであることが好ましく、レーザー波長は、製袋用フィルム6の構成や厚み等の各種の条件に合わせて適宜選択することが好ましい。
【0030】
フィルム折返し部20では、フィルムロールRから連続的あるいは間欠的に繰出される1枚の長尺の製袋用フィルム6を上方から下方へ走行させながら、その走行中に逆L字状の1本のガイドロッド12で案内しつつ製袋用フィルム6をそのシーラント層8が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返して、図4では製袋用フィルム6の左端部に位置するその両側縁部同士を重ね合わせている。従来、製袋用フィルム6は、耳ズレ防止ガイドの調整や原反フィルム位置を調整することで、その幅方向中央位置で正確に半折りされているが、製袋用フィルム6の厚みの違いや左右の長さの差等により、フィルムが蛇行することがあり、両側縁同士を正確に重ね合わせることができず、耳ずれが発生してしまうことがあった。
【0031】
これに対し、上記したようにフィルム折返し部20の上流位置で、ハーフカット処理装置26によって製袋用フィルム6の幅方向中央位置にハーフカット疵11を設けると、製袋用フィルム6を、フィルム折返し部20においてハーフカット疵11に沿って幅方向の中央位置で正確に折り返すことができるようになり、上記のような耳ずれの発生を効果的に抑制することができる。
【0032】
また、製袋用フィルム6が剛性(コシ)の高いフィルムからなる場合であっても、図2に示すように折り返し位置のベースフィルム層7の、横シール予定領域10内にハーフカット疵11が設けられているため、折り返し部2のスプリングバックが抑制され、該折り返し部2にストロー状(楕円状)の開口が形成されることがなく、横シール部形成部23によって製袋用フィルム6の全幅にわたって横シール部5を形成した際に、トンネル状の未シール部分が発生することがなく、被包装物の液漏れが発生するおそれもない。
【0033】
なお、製袋用フィルム6のベースフィルム層7上に形成されたハーフカット疵11は、横シール予定領域10内に設けられているため、該ハーフカット疵11の形成部分は、横シール部形成部23によって横シールすることで補強されるので、該ハーフカット疵11によって包装袋1の破袋強度が低下したり、液漏れを発生させることがない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、三方シール形包装袋のみならず、背貼りシール袋やスタンディングパウチ、ガゼット袋など折り返し部を有する各種の包装袋に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 包装袋
2 折り返し部
3 縦シール部
4、5 横シール部
6 製袋用フィルム
7 ベースフィルム層
8 シーラント層
10 横シール予定領域
11 ハーフカット疵
20 フィルム折返し部
21 縦シール部形成部
22 被包装物供給部
23 横シール部形成部
24 冷却部
25 切断部
26 ハーフカット処理装置
100 包装用フィルム
101 折返し辺部分
102 開口
C 幅方向中央位置
M 被包装物
R フィルムロール
図1
図2
図3
図4
図5