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特許7403383物品検索支援システム、及び物品検索支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】物品検索支援システム、及び物品検索支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20231215BHJP
   G06F 16/90 20190101ALI20231215BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06F16/90
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020083590
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021179700
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古家 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 学
(72)【発明者】
【氏名】小坂 忠義
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-206352(JP,A)
【文献】特開2006-285545(JP,A)
【文献】特開2003-146436(JP,A)
【文献】特開2011-154461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G16H 10/00 -80/00
G06F 16/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品の処理の履歴、及び、前記複数の物品のうち少なくともいずれかを包含する包含物の処理であって前記少なくともいずれかの物品の処理を伴う処理の履歴の情報を作成する履歴情報作成処理と、
前記作成した各処理の履歴の情報に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで、前記物品及び前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理を時系列的に記憶した情報である関連情報を作成する関連情報作成処理と、
前記作成した各処理の履歴の情報と前記作成した関連情報とに基づき、前記各処理による前記物品及び前記包含物の所有権の移転の履歴の情報である所有権情報を作成する所有権登録処理と、
主体の情報が付帯した物品又は包含物の入力をユーザから受け付ける検索要求取得処理と、
前記作成した関連情報から、前記入力された物品又は包含物に関連づけられている、前記物品又は前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理の情報を検索する関連情報検索処理と、
前記主体の情報と、前記所有権情報とに基づき、前記主体が、前記検索した物品又は包含物の所有権を有したことがあるか否かを判定し、前記検索した処理の情報を、前記所有権の判定結果によって異なる表示の方法で出力する検索結果表示処理と、
を実行する演算装置を備える物品検索支援システム。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記関連情報作成処理において、前記履歴情報作成処理で作成した物品及び包含物の処理と、既に作成されている前記関連情報における物品又は包含物の最新の処理とを対応づけることで、前記関連情報を更新する、
請求項1に記載の物品検索支援システム。
【請求項3】
前記履歴情報作成処理、前記所有権登録処理、前記検索要求取得処理、及び前記検索結果表示処理を実行する演算装置を備える複数のクライアント端末と、前記関連情報作成処理を実行する演算装置を備える検索支援装置とを含んで構成され、
前記クライアント端末は、前記履歴情報作成処理において、前記作成した各処理の履歴の情報の識別子をそれぞれ前記検索支援装置に送信し、
前記検索支援装置は、前記関連情報作成処理において、受信した前記各識別子に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで前記関連情報を作成する、
請求項1に記載の物品検索支援システム。
【請求項4】
情報処理装置が、
複数の物品の処理の履歴、及び、前記複数の物品のうち少なくともいずれかを包含する包含物の処理であって前記少なくともいずれかの物品の処理を伴う処理の履歴の情報を作成する履歴情報作成処理と、
前記作成した各処理の履歴の情報に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで、前記物品及び前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理を時系列的に記憶した情報である関連情報を作成する関連情報作成処理と、
前記作成した各処理の履歴の情報と前記作成した関連情報とに基づき、前記各処理による前記物品及び前記包含物の所有権の移転の履歴の情報である所有権情報を作成する所有権登録処理と、
主体の情報が付帯した物品又は包含物の入力をユーザから受け付ける検索要求取得処理と、
前記作成した関連情報から、前記入力された物品又は包含物に関連づけられている、前記物品又は前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理の情報を検索する関連情報検索処理と、
前記主体の情報と、前記所有権情報とに基づき、前記主体が、前記検索した物品又は包含物の所有権を有したことがあるか否かを判定し、前記検索した処理の情報を、前記所有権の判定結果によって異なる表示の方法で出力する検索結果表示処理と、
を実行する物品検索支援方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
前記関連情報作成処理において、前記履歴情報作成処理で作成した物品及び包含物の処理と、既に作成されている前記関連情報における物品又は包含物の最新の処理とを対応づけることで、前記関連情報を更新する、
請求項に記載の物品検索支援方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、
前記履歴情報作成処理、前記所有権登録処理、前記検索要求取得処理、及び前記検索結果表示処理を実行する演算装置を備える複数のクライアント端末と、前記関連情報作成処理を実行する演算装置を備える検索支援装置とを含んで構成され、
前記クライアント端末は、前記履歴情報作成処理において、前記作成した各処理の履歴の情報の識別子をそれぞれ前記検索支援装置に送信し、
前記検索支援装置は、前記関連情報作成処理において、受信した前記各識別子に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで前記関連情報を作成する、
請求項に記載の物品検索支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検索支援システム、及び物品検索支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、労働人口の減少などを背景として、サプライチェーン(Supply Chain。以下、SCと称する)の効率化のニーズが高まり、SCの各工程における処理(例えば、製造、物流、流通、販売)における製品及び商品(以下、これらを物品と称する)の履歴を一貫して管理しておき、リコールの発生時等に迅速にその原因を特定するサービスが広まりつつある。このサービスでは、例えば、個々の物品に、個体を識別するIDを割り当てると共にRFID(radio frequency identifier)、QRコード(登録商標)、又はバーコード等のタグを取り付けておき、SCにおける各工程で梱包や入出荷等の処理があるたびに、作業者がそれらのタグをリーダ(Reader)等のデバイスを用いて読み取ることで、物品の履歴管理を行うことが多い。
【0003】
このようなタグを使用して物品の検索サービスを構築する場合、取り扱う物品が増えるほど物品の履歴データが大量となるため、これらの履歴データを高速に検索できることが求められる。例えば、特許文献1には、同一物品の複数の履歴データを予めグループ化しておくことで、履歴データの検索処理の高速化を図ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-123078号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、物流及び流通の過程(例えば、物流倉庫)では、販売店舗からの注文に応じて複数の物品をまとめて1つの梱包箱(例えば、ケース又は折りたたみコンテナ。以下、折りたたみコンテナをオリコンと称する。)に梱包(混載)したり、物品を詰め替えたりするなどの作業が発生することがあるので、このような場合は、上記特許文献1の方法では、複数の物品が同一の梱包箱に混合若しくは混載され、又は物品の詰め替え等がなされると、その前後の工程における履歴データは別のグループとして扱われるため、検索対象の物品の全履歴データを検索する処理に時間を要することになる。
【0006】
さらに、例えばある製造メーカが、自身の商品に関するリコールが発生した際に、検索サービスを用いて物流倉庫における自身の商品を検索する場合、その物流倉庫で複数の製造メーカの商品を同一の梱包箱等に混載して店舗等に出荷するといった業務が行われているとすると、当該検索によって、他のメーカの商品の情報(仕入れ量や金額など)が開示され、その結果、店舗の販売戦略等が他のメーカに漏洩するおそれがある。すなわち、検索システムとしては、検索を行った製造メーカに対して、同一の梱包箱に梱包されている他のメーカの物品の情報を開示しないようにする必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、複数メーカの商品が混載された状態を示す履歴データがある場合に、商品の情報の開示要求元のメーカに対して、当該メーカ以外のメーカの商品の履歴データを秘匿する仕組みとなっていない。
【0008】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品の処理の情報を簡単にかつ適切な範囲で検索することが可能な、検索方法及び検索システムを提供する
ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一つは、複数の物品の処理の履歴、及び、前記複数の物品のうち少なくともいずれかを包含する包含物の処理であって前記少なくともいずれかの物品の処理を伴う処理の履歴の情報を作成する履歴情報作成処理と、前記作成した各処理の履歴の情報に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで、前記物品及び前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理を時系列的に記憶した情報である関連情報を作成する関連情報作成処理と、前記作成した各処理の履歴の情報と前記作成した関連情報とに基づき、前記各処理による前記物品及び前記包含物の所有権の移転の履歴の情報である所有権情報を作成する所有権登録処理と、主体の情報が付帯した物品又は包含物の入力をユーザから受け付ける検索要求取得処理と、前記作成した関連情報から、前記入力された物品又は包含物に関連づけられている、前記物品又は前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理の情報を検索する関連情報検索処理と、前記主体の情報と、前記所有権情報とに基づき、前記主体が、前記検索した物品又は包含物の所有権を有したことがあるか否かを判定し、前記検索した処理の情報を、前記所有権の判定結果によって異なる表示の方法で出力する検索結果表示処理と、を実行する演算装置を備える物品検索支援システム、とする。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の他の一つは、情報処理装置が、複数の物品の処理の履歴、及び、前記複数の物品のうち少なくともいずれかを包含する包含物の処理であって前記少なくともいずれかの物品の処理を伴う処理の履歴の情報を作成する履歴情報作成処理と、前記作成した各処理の履歴の情報に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで、前記物品及び前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理を時系列的に記憶した情報である関連情報を作成する関連情報作成処理と、前記作成した各処理の履歴の情報と前記作成した関連情報とに基づき、前記各処理による前記物品及び前記包含物の所有権の移転の履歴の情報である所有権情報を作成する所有権登録処理と、主体の情報が付帯した物品又は包含物の入力をユーザから受け付ける検索要求取得処理と、前記作成した関連情報から、前記入力された物品又は包含物に関連づけられている、前記物品又は前記包含物が対象となり又は対象として含まれている処理の情報を検索する関連情報検索処理と、前記主体の情報と、前記所有権情報とに基づき、前記主体が、前記検索した物品又は包含物の所有権を有したことがあるか否かを判定し、前記検索した処理の情報を、前記所有権の判定結果によって異なる表示の方法で出力する検索結果表示処理と、を実行する物品検索支援方法、とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物品の処理の情報を簡単にかつ適切な範囲で検索することができる。
【0012】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る物品検索支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態のサプライチェーンの一例を説明する図である。
図3】検索支援装置及びクライアント端末が備えるハードウェアの一例を示す図である。
図4】物品検索支援システムが備える機能の一例を説明する図である。
図5】本実施形態の履歴情報の一例を説明する図である。
図6】本実施形態の履歴情報の一例を説明する図である。
図7】本実施形態の履歴情報の一例を説明する図である。
図8】本実施形態の履歴情報の一例を説明する図である。
図9】本実施形態の履歴情報の一例を説明する図である。
図10】所有権情報DBのデータ構造の一例を示す図である。
図11】インデックス情報の一例を示す図である。
図12】履歴管理情報の一例を示す図である。
図13】関連情報の例を示す図である。
図14】物品検索支援システムにおいて行われる荷物の検索に関する処理(検索処理)の典型的な手順を説明するフロー図である。
図15】履歴情報作成処理の一例を説明するフロー図である。
図16】所有権更新処理の詳細を説明するフロー図である。
図17】関連情報作成処理の詳細を説明するフロー図である。
図18】履歴情報検索処理の一例を説明するフロー図である。
図19】結果表示処理の一例を説明するフロー図である。
図20】工程表示画面の一例である。
図21】工程表示画面の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、本明細書の説明において同一又は同様の機能を有する要素が複数存在する場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0015】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る物品検索支援システム1の構成の一例を示す図である。物品検索支援システム1は、例えば、物品の製造、流通、又は販売といった工程における各処理を実施する各拠点(「工場A」、「工場B」、「倉庫C」、「店舗D」)により構成されるサプライチェーンに導入される情報処理システムである。
【0016】
物品検索支援システム1は、サプライチェーンを対象とした物品の検索サービスを提供するサービス提供者が管理する検索支援装置100と、各拠点に設置されているクライアント端末200とを含んで構成されている。
【0017】
すなわち、クライアント端末200は、拠点「工場A」及び「工場B」でそれぞれの物品210を製造する製造メーカがそれぞれ管理するメーカ端末200aと、拠点「倉庫C」にて1又は複数の物品210を梱包する物流業者が管理する流通業者端末200bと、拠点「店舗D」にて梱包された物品210を開封して各物品210を販売する販売業者が管理する販売業者端末200cとを含む。
【0018】
「工場A」及び「工場B」では、それぞれ物品210の製造、製造された物品210の第1梱包箱220への梱包、又は第1梱包箱220の第2梱包箱230への梱包の各工程が行われる。また、「工場A」及び「工場B」では、例えば、物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230の出荷の各工程が行われる。なお、「工場A」で処理される物品210の種類と「工場B」で処理される物品210の種類とは異なる。
【0019】
「倉庫C」では、例えば、「工場A」及び「工場B」からの、物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230の入荷が行われる。また、「倉庫C」では、例えば、第2梱包箱230からの第1梱包箱220の開封、第1梱包箱220からの物品210の開封、物品210の新たな第1梱包箱220への梱包、及び、新たな第1梱包箱220の新たな第2梱包箱230への梱包の各工程が行われる。また、「倉庫C」では、例えば、新たな第1梱包箱220、及び新たな第2梱包箱230の出荷の各工程が行われる。なお、物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230は、複数の製造メーカから入荷されてくる場合がある。
【0020】
「店舗D」では、例えば、「倉庫C」からの、新たな第1梱包箱220、及び新たな第2梱包箱230の入荷が行われる。また、「店舗D」では、例えば、新たな第2梱包箱230からの新たな第1梱包箱220の開封、及び、新たな第1梱包箱220からの物品210の開封、及び、物品210の開封等の各工程が行われる。また、「店舗D」では、例えば、物品210、新たな第1梱包箱220の開封、及び新たな第2梱包箱230の販売の各工程が行われる。
【0021】
なお、本実施形態では、物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230を「荷物」と総称する。なお、第1梱包箱220及び第2梱包箱230は、例えば、ボール、ケース、若しくはオリコン等の、物品を収納可能な収容物、又は、パレット及びカゴ車等の、複数の物品210又は収容物を載置可能な物である。
【0022】
このように、本実施形態の物品検索支援システム1では、物品210を包含する第1梱包箱220、第1梱包箱220を包含する第2梱包箱230を用いた物品の流通が行われている。そして、この場合、第1梱包箱220を対象とする処理(梱包及び開封)は、第1梱包箱220に包含される物品210に対する処理を含むものであり、第2梱包箱230を対象とする処理(梱包及び開封)は、第2梱包箱230に包含される第1梱包箱220及び物品210に対する処理を含むものである。
【0023】
なお、物品検索支援システム1における検索支援装置100及び各クライアント端末200の間は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インター
ネット、専用線等の有線又は無線のネットワーク900によって通信可能に接続される。
【0024】
各製造メーカのメーカ端末200aには、読み取り装置250が接続されている。読み取り装置250は、当該製造メーカが自身の拠点で製造し又は管理する物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230のそれぞれに取り付けられたタグ(例えば、RFID、QRコード(登録商標))に記録されている情報(以下、工程情報と称する)を読み取り、読み取った情報をメーカ端末200aに送信する。なお、タグには、当該製造メーカの所有権を示す、自身の拠点の情報(「工場A」、「工場B」)が記録されている。
【0025】
流通業者が管理する流通業者端末200bには、読み取り装置250が接続されている。読み取り装置250は、当該流通業者が自身の拠点で管理する物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230のそれぞれに取り付けられたタグ(例えば、RFID、QRコード(登録商標))に記録されている情報(工程情報)を読み取り、読み取った情報を流通業者端末200bに送信する。なお、タグには、当該流通業者の所有権を示す、自身の拠点の情報(「倉庫C」)が記録されている。
【0026】
販売業者が管理する販売業者端末200cには、読み取り装置250が接続されている。読み取り装置250は、当該販売業者が自身の拠点で管理する物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230のそれぞれに取り付けられたタグ(例えば、RFID、QRコード(登録商標))に記録されている情報(工程情報)を読み取り、読み取った情報を販売業者端末200cに送信する。なお、タグには、当該販売業者の所有権を示す、自身の拠点の情報(「店舗D」)が記録されている。
【0027】
検索支援装置100は、各クライアント端末200から、物品に関する検索要求を受け付けている。検索支援装置100は、検索要求を受信すると、受信した検索要求に対応した各物品の履歴データを、所有権に基づく所定の秘匿化処理等を行いつつ、検索要求の送信元のクライアント端末200に返信する。
【0028】
ここで、本実施形態が前提とするサプライチェーンの各工程の処理の詳細を説明する。
【0029】
(サプライチェーンの詳細)
図2は、本実施形態のサプライチェーンの一例を説明する図である。
【0030】
本実施形態では、各製造メーカが管理する「工場A」及び「工場B」が存在し、「工場A」にて物品210としてビールが製造され、「工場B」にて物品210としてワインが
製造されている。また、流通業者は、「倉庫C」にて、「工場A」から送られてきたワイン及び「工場B」から送られてきたワインを処理(ビール又はワインに関する梱包又は開封)している。また、販売業者が、「店舗D」にて、「倉庫C」から送られてきたビール及びワインを販売している。
【0031】
まず、「工場A」において製造メーカは、商品名が「ビールa」である24本のビール(荷物ID:ビールa001~ビールa024)を、各ボール(第1梱包箱220)に6本ずつ、合計4つのボール(「ボール1~4」)に梱包する(工程V101)。次に、この製造メーカは、「ケース1」(第2梱包箱230)にこれらの4つのボール(「ボール1~4」)を詰める(工程V102)。次に、この製造メーカは、「ケース1」を「倉庫C」に出荷する(工程V103)。
【0032】
他方、「工場B」において製造メーカは、商品名が「ワインb」である3本のワイン(荷物ID:ワインb001~ワインb003)を「ケース2」(第2梱包箱230)に梱包する(工程V201)。次に、この製造メーカは、この「ケース2」を倉庫Cに出荷する(工程V202)。
【0033】
次に、「倉庫C」において倉庫業者は、工場Aからケース1、工場Bからケース2を入荷する(工程V301a、工程V301b)。この倉庫業者は、ケース1を開封し、ボール1(第2梱包箱230)を取り出す(工程V302a)。また、この倉庫業者は、ケース2を開封し、ワインb001(物品210)を取り出す(工程V302b)。次に、この倉庫業者は、取り出したボール1と、取り出したワインb001とを、オリコン1(第2梱包箱230)に梱包(混載)する(工程V303)。倉庫業者Cは、小売業者Dに対してオリコン1を出荷する(工程V304)。
【0034】
「店舗D」において小売業者は、「倉庫C」からオリコン1を入荷する(工程V401)。この小売業者はオリコン1を開封し、ボール1(第1梱包箱220)とワインb001(物品210)とを店舗に陳列する(工程V402)。この小売業者は、陳列されたワインb001を顧客に販売する(工程V403)。
【0035】
ここで、本実施形態では、工場Aに存在している、メーカ出荷前のビールaの所有権は、その工場Aを管理している製造メーカにある。また、工場Bの工場に存在している、メーカ出荷前のビールbの所有権はその工場Bを管理している製造メーカにある。
【0036】
そして、本実施形態では、梱包物たるケース1及びケース2の倉庫Cへの出荷処理は、それらに包含されるビールa及びワインbの処理を伴う。そのため、ビールa及びワインbの所有権は、それらが倉庫Cに入荷された時点で、倉庫業者から販売業者に移転する。
【0037】
次に、本実施形態では、販売業者(例えば、コンビニエンスストアの管理者)が倉庫C及び店舗Dを所有しているものとする。そのため、梱包物たるオリコン1の店舗Dへの出荷処理は、それらに包含されるビールa及びワインbの処理を伴う。その結果、ビールa及びワインbの所有権は、それらが店舗Dに入荷されても、販売業者のままである。
【0038】
次に、物品検索支援システム1における機能について説明する。
【0039】
<機能>
図3は、物品検索支援システム1が備える機能の一例を説明する図である。
【0040】
--クライアント端末--
まず、クライアント端末200は、工程情報取得部201、履歴情報作成部202、履
歴情報保持部203、検索要求取得部204、及び結果表示部205の各機能部を備える。
【0041】
工程情報取得部201は、読み取り装置250から工程情報を取得する。
【0042】
履歴情報作成部202は、工程情報取得部201が取得した工程情報に基づき、工程情報が示す各荷物の処理の履歴の情報である履歴情報を作成し、作成した履歴情報を、履歴情報保持部203に送信する。
【0043】
すなわち、履歴情報作成部202は、複数の物品210の処理の履歴、及び、複数210の物品のうち少なくともいずれかを包含する包含物(第1梱包箱220及び第2梱包箱230)の処理であって少なくともいずれかの物品の処理を伴う処理の履歴の情報(すなわち、各荷物の履歴情報)を作成する。
【0044】
また、履歴情報作成部202は、各荷物の処理の権限を有する権利者(本実施形態では、所有権者)の情報をそれぞれ記憶する。
【0045】
また、履歴情報作成部202は、作成した各処理の履歴の情報(履歴情報10)の識別子(本実施形態では、ファイル名)をそれぞれ検索支援装置100に送信する。
【0046】
ここで、履歴情報10の具体例について説明する。
【0047】
(履歴情報)
図4-8は、本実施形態の履歴情報10(10a~10n)の一例を説明する図である(紙面の都合上、複数の図面に分けている)。
【0048】
履歴情報10aは工程V101に対応し、履歴情報10bは工程V102に対応し、履歴情報10cは工程V103に対応し、履歴情報10dは工程V201に対応し、履歴情報10eは工程V202に対応し、履歴情報10fは工程V301aに対応し、履歴情報10gは工程V301bに対応し、履歴情報10hは工程V302aに対応し、履歴情報10iは工程V302bに対応し、履歴情報10jは工程V303に対応し、履歴情報10kは工程V304に対応し、履歴情報10lは工程V401に対応し、履歴情報10mは工程V402に対応し、履歴情報10nは工程V403に対応する。なお、履歴情報10(10a~10n)は、物品210たるビールa001~ビールa006を6本ずつボール1に梱包する場合の履歴情報10の例のみを示しているが、残りの物品210の梱包、すなわち、ビールa007~ビールa0024をそれぞれ6本ずつボール2~4へ梱包する場合も同様で
ある。
【0049】
履歴情報10は、工程のカテゴリを示すイベント部1001を備える。イベント部1001には、梱包又は開梱を示す「AggregationEvent」、又は、入出荷若しくは販売を示す「ObjectEvent」が設定される。
【0050】
また、イベント部1001は、その構成要素として、工程が行われた日時が設定されるイベント発生日時1003(eventTime)と、工程における作業対象の荷物(梱包箱又は
物品)のIDのリストが設定される荷物特定部1005(epcList)と、工程の種類の情
報(梱包を示すPacking、出荷を示すShipping、又は開梱を示すUnpacking)が設定されるイベント種別部1007(bizStep)と、工程が行われた拠点の情報が設定される場所特
定部1009(readPoint)とのうち少なくともいずれかを有する。
【0051】
また、荷物特定部1005(epcList)は、さらにその構成要素として、物品210に
対する包含物(第1梱包箱220又は第2梱包箱230。以下、親物品と称する)のIDである親ID1011(parentID)と、親ID1011に係る包含物に対する構成物品(物品210又は第1梱包箱220。以下、子物品と称する)のIDである子ID1013(childEPCs)との少なくともいずれかを含む。
【0052】
親ID1011(parentID)及び子ID1013にはそれぞれ、複数の荷物の情報が設定されてもよい。例えば、イベント部1001に「AggregationEvent」が設定されている場合は、親ID1011に、複数の第1梱包箱220又は第2梱包箱230のIDが、子ID1013には、複数の第1梱包箱220又は物品210のIDがそれぞれ設定されてもよい。
【0053】
なお、本実施形態では、履歴情報10のデータ構造をEPCIS(Electronic Product Code
Information Services)とするが、その他の任意の構造に基づいてもよい。また、本実
施形態では、履歴情報10の形式はXML(Extensible Markup Language)形式であるもの
とするが、例えばJSON(JavaScript Object Notation)形式等の他の任意のフォーマットでもよい。
【0054】
次に、図3に示すように、履歴情報保持部203は、履歴情報作成部202が作成しした履歴情報10を、履歴情報DB20に記憶する。また、履歴情報保持部203は、履歴情報作成部202が作成した履歴情報10に基づき、物品210、第1梱包箱220、及び第2梱包箱230に関する所有権の情報を抽出し、抽出した情報を所有権情報DB11に記憶する。
【0055】
(所有権情報DB)
図9は、所有権情報DB11のデータ構造の一例を示す図である。所有権情報DB11は、各荷物の荷物IDが設定される荷物ID11aと、荷物ID11aに係る荷物の権利者(本実施形態では所有権者であり、拠点の情報であるものとする。)を示す情報である所有権者11bとを含む各項目を有する少なくとも1以上のレコードで構成される。
【0056】
次に、図3に示すように、検索要求取得部204は、物品210又は包含物の入力(検索要求)をユーザから受け付ける。
【0057】
結果表示部205は、所有権判定部205a及び履歴情報検索部205bを備える。結果表示部205は、検索要求に基づき作成された検索結果の情報を表示する。
【0058】
すなわち、結果表示部205は、後述する検索支援装置100の関連情報検索部103が検索した物品210又は包含物(第1梱包箱220、第2梱包箱230)の処理の情報(荷物の情報)を出力する。具体的には、結果表示部205は、この処理の情報を、後述する工程情報表示画面23に出力する。
【0059】
所有権判定部205aは、検索要求取得部204により入力された物品210又は包含物の情報に付帯する主体(事業者や拠点)の情報と、履歴情報作成部202が記憶した権利者の情報とに基づき、その主体が、後述する検索支援装置100が検索した物品210又は包含物に対する権限を有したことがあるか否かを判定し、当該主体が、検索した物品210又は包含物に対する権限を有したことがあるか否かによって、検索した、物品又は包含物が対象となっている処理の情報の表示の方法を異ならせる(例えば、表示を実線又は点線とする)。
【0060】
--検索支援装置--
次に、検索支援装置100は、関連情報作成部101、関連情報保持部102、及び関
連情報検索部103の各機能部を備える。
【0061】
まず、関連情報作成部101は、クライアント端末200の履歴情報作成部202が作成した各処理の履歴の情報(履歴情報10)に基づき、物品210の処理と、当該物品210を包含する包含物(第1梱包箱220、第2梱包箱230)の処理とを関連づけることで、物品210及び包含物が対象となり又は対象として含まれている処理を時系列的に記憶した情報である関連情報14を作成する。
【0062】
具体的には、関連情報作成部101は、クライアント端末200から受信した各識別子(ファイル名等)に基づき、物品210の処理と、当該物品210を包含する包含物の処理とを関連づけることで関連情報14を作成する。
【0063】
また、関連情報作成部101は、履歴情報作成部202で作成した物品210及び包含物の処理と、既に作成されている関連情報14における物品210又は包含物の最新の処理とを対応づけることで、関連情報14を更新する。
【0064】
次に、関連情報検索部103は、関連情報作成部101が作成した関連情報14から、検索要求取得部204で入力された物品210又は包含物に関連づけられている、物品210又は包含物が対象となり又は対象として含まれている処理の情報(履歴情報10)を検索する。
【0065】
次に、関連情報保持部102は、インデックス情報12、履歴管理情報13、及び関連情報14を記憶する。
【0066】
ここで、インデックス情報12、履歴管理情報13、及び関連情報14の詳細を説明する。
【0067】
(インデックス情報)
図10は、インデックス情報12の一例を示す図である。インデックス情報12は、履歴情報10が登録されているファイル名である履歴情報ファイル名12a、履歴情報ファイル名12aに係る履歴情報10に対して割り当てられた番号であるインデックス12b、及び、履歴情報ファイル名12aに係る履歴情報10を表す名称である表示名12cを項目として有する少なくとも1以上のレコードで構成される。
【0068】
次に、履歴管理情報13の具体例を説明する。
【0069】
(履歴管理情報)
図11は、履歴管理情報13の一例を示す図である。履歴管理情報13は、各荷物と、各荷物の処理に関する情報を含んでいる履歴情報10との対応関係を記憶した情報である。
【0070】
履歴管理情報13は、各荷物を特定する荷物ID13aと、荷物ID13aに係る荷物の情報が設定されている履歴情報10のうち、クライアント端末200が最初に受信した履歴情報10(すなわち、最も上流の工程の履歴情報10)のファイル名が設定される初回履歴ファイル名13bと、荷物ID13aに係る荷物の情報が設定されている履歴情報10のうち、クライアント端末200が最後に受信した履歴情報10(すなわち、最も下流の工程の履歴情報10)のファイル名が設定される最新履歴ファイル名13cとを各項目として有する少なくとも1以上のレコードで構成される。
【0071】
なお、履歴管理情報13は、例えば、関連情報14の作成又は処理、所有権情報DB1
1の作成又は更新、及び、荷物の検索のために用いられる。
【0072】
ここで、関連情報14の具体例を説明する。
【0073】
(関連情報)
図12は、関連情報14の例を示す図である。関連情報14は履歴情報10間の関連性を示す情報であり、各荷物の工程の履歴情報10を漏れなく検索するための情報である。関連情報14は、処理対象の荷物が共通している履歴情報10間を関連づけた情報である。
【0074】
関連情報14の一例である関連情報14aは、隣接行列によって表される情報であり、履歴情報10の行141(履歴情報10のインデックスによって表される)、及び履歴情報10の列142(履歴情報10のインデックスによって表される)を含む。ある行141及びある列142における値が「1」である場合、その行141に係る履歴情報10が示す工程で処理される荷物と同一の荷物が処理される工程であって、その行141に係る履歴情報10が示す工程の直後の工程が、その列142に係る履歴情報10が示す工程である。
【0075】
関連情報14の他の一例である関連情報14bは、エッジリストであり、ある工程を表す履歴情報10のインデックスが設定されるFrom項目143と、From項目143に係る工程で処理される荷物と同一の荷物が処理される工程であって、From項目143に係る履歴情報10が示す工程の直後の工程に係る履歴情報10のインデックスが設定されるTo項目144とを含む。
【0076】
このように、関連情報14は、工程の日時が工程単位で連続する履歴情報10間の情報であって、それらの履歴情報10が互いに同一の処理対象の荷物の情報を含んでいる履歴情報10の情報である。
【0077】
次に、図13は、検索支援装置100及びクライアント端末200が備えるハードウェアの一例を示す図である。検索支援装置100及びクライアント端末200は、CPU等のプロセッサ91(演算装置)、ソフトウェア及びデータ等が展開されるRAM(Random
Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等のメモリ92と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の記憶装置93と、キーボード若しくはタッチパネル等の入力装置94と、モニタ若しくはディスプレイ等の出力装置95と、他の情報処理装置と通信する、ネットワークインターフェイスカード等の通信装置96とを備え、これらはバス等で互いに接続されている。
【0078】
以上に説明した、物品検索支援システム1における各情報処理装置の各機能は、専用ハードウェアにより、又は、プロセッサ91がメモリ92又は記憶装置93に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、各プログラムは、各情報処理装置が読み取り可能な記録媒体にあらかじめ記録されていてもよいし、記憶媒体又は所定の通信ネットワークを介して、必要なときに導入されてもよい。
【0079】
<処理>
次に、物品検索支援システム1において行われる処理の一例を説明する。なお、本明細書では便宜的に各ステップの処理の主体は前記のいずれかの機能部(プログラムモジュール)であるものとして説明する。
【0080】
-物品検索処理-
図14は、物品検索支援システム1において行われる、物品及び梱包物の検索に関する
処理(物品検索処理)の典型的な手順を説明するフロー図である。物品検索処理は、例えば、検索支援装置100が起動した際に開始される。
【0081】
まず、物品検索支援システム1は、各荷物の工程情報から履歴情報10を作成し、作成した履歴情報10に基づき、各荷物に関する履歴情報10間の関連性を示す関連情報14を作成する関連情報作成処理を実行する(S001)。
【0082】
物品検索支援システム1は、業者によるクライアント端末200への入力に基づく検索要求に対応した履歴情報10を検索する履歴情報検索処理を実行する(S002)。そして、物品検索支援システム1は、履歴情報検索処理の結果を、検索を要求してきた業者のクライアント端末200に表示する結果表示処理を実行する(S003)。
【0083】
以下、物品検索処理におけるこれらの各処理の詳細を説明する。
【0084】
-履歴情報作成処理-
図15は、履歴情報作成処理の一例を説明するフロー図である。履歴情報作成処理は、例えば、クライアント端末200が起動した後に、所定のタイミング(例えば、所定の時間間隔、所定の時刻)にて開始される。
【0085】
まず、クライアント端末200の工程情報取得部201は、読み取り装置250から工程情報を受信する(S1)。
【0086】
履歴情報作成部202は、S1で受信した工程情報に基づき、履歴情報10を作成する(S2)。
【0087】
具体的には、例えば、履歴情報作成部202は、ブランクの履歴情報10のファイルを作成した上で、S1で受信した工程情報を解析することにより、物品210(ビール、ワイン)及び当該物品210を梱包する第1梱包箱220(ボール)の対応関係を特定し、その物品210のIDを、作成したファイルにおける子ID1013に設定し、その第1梱包箱220のIDを、作成したファイルにおける親ID1011に設定する。第1梱包箱220及び第2梱包箱230(ケース)の対応関係についても同様である。また、第2梱包箱230から第1梱包箱220を開封する場合の対応関係、第1梱包箱220から物品210を開封する場合の対応関係についても同様である。
【0088】
なお、これらの対応関係は、クライアント端末200が予め記憶しておいてもよいし、読み取り装置250により読み取られるタグに対応関係を特定する情報が記憶されていてもよい。
【0089】
履歴情報作成部202は、検索支援装置100から履歴管理情報13及び関連情報14を取得し、取得した履歴管理情報13及び関連情報14と、S2で作成した履歴情報10とに基づき、S2で作成した履歴情報10に登録されている荷物の所有権の情報(所有権情報DB11)を更新する所有権更新処理を実行する。所有権更新処理の詳細は後述する。
【0090】
次に、履歴情報作成部202は、S2で作成した履歴情報10を、履歴情報DB20に記憶する(S4)。また、履歴情報作成部202は、S2で作成した履歴情報10のファイル名、及びS2で作成した履歴情報10に登録されている各荷物の荷物IDを、検索支援装置100の関連情報作成部101に送信する(S4)。
【0091】
他方、検索支援装置100の関連情報作成部101は、クライアント端末200から受
信した履歴情報10のファイル名及び各荷物IDに基づき、関連情報14を、インデックス情報12及び履歴管理情報13と共に作成する関連情報作成処理を実行する(S5)。関連情報作成処理の詳細は後述する。以上で履歴情報作成処理は終了する。
【0092】
以下、履歴情報作成処理における各処理の詳細を説明する。
【0093】
--所有権更新処理--
図16は、所有権更新処理の詳細を説明するフロー図である。
【0094】
まず、履歴情報作成部202は、受信した履歴情報10が示す全荷物のうち一つを選択し、選択した荷物(以下、本処理で選択荷物と称する)の情報が記録されている最新の履歴情報10を検索する(S31)。
【0095】
具体的には、例えば、履歴情報作成部202は、履歴管理情報13のレコードのうち選択荷物の荷物IDが荷物ID13aに設定されているレコードの最新履歴ファイル名13cを検索する。
【0096】
次に、履歴情報作成部202は、S31で検索した最新の履歴情報10が示す工程より前の工程の履歴情報10を、工程の上流の方向に向かって全て検索する(S32)。
【0097】
例えば、履歴情報作成部202は、S31で取得した最新の履歴情報10のインデックスをインデックス情報12から取得し、取得したインデックスに係る工程の前の全ての工程のインデックスを、関連情報14を参照して時間を遡りつつ特定し、特定したインデックスに対応する履歴情報10のファイル名を、インデックス情報12を参照することで取得する。
【0098】
次に、履歴情報作成部202は、S32で検索した各履歴情報10のうち、荷物に対する最初の処理の情報が登録されている履歴情報10を検索する(S33)。
【0099】
具体的には、例えば、履歴情報作成部202は、S32で検索した各履歴情報10のファイル名について、その履歴情報10のファイル名が初回履歴ファイル名13bに設定されている、履歴管理情報13のレコードを取得する。
【0100】
そして、履歴情報作成部202は、S33で検索した各履歴情報10に対応する荷物の情報を取得する(S34)。
【0101】
具体的には、例えば、履歴情報作成部202は、S33で取得した各レコードの荷物ID13aの内容を取得する。
【0102】
履歴情報作成部202は、S34で取得した荷物IDの所有権を保持したことを所有権情報DB11に登録する(S35)。
【0103】
具体的には、例えば、履歴情報作成部202は、当該履歴情報作成部202に係るクライアント端末200の主体の情報(例えば、業者の情報、拠点の情報)と、S34で取得した各荷物IDとを対応づけて所有権情報DB11に登録する。
【0104】
その後は、その他の荷物を選択荷物として選択すべく、履歴情報作成部202は、S31以降の処理を繰り返す。履歴情報作成部202は、これを、全ての荷物について繰り返した後、所有権更新処理を終了する。
【0105】
以上のように、物品210及び梱包箱を含む概念である荷物の情報の履歴を登録している履歴情報10を、時間的に遡って検索することにより、現在受信した履歴情報10に登録されている各荷物が、以前の工程で他の拠点にあった場合、特に物品210が以前の工程で梱包箱により梱包されており物品210の内容を視認できない場合でも、その物品210を特定し、その物品210に対する所有権を設定することができる。
【0106】
--関連情報作成処理--
図17は、関連情報作成処理の詳細を説明するフロー図である。
【0107】
まず、関連情報作成部101は、クライアント端末200から受信した履歴情報10のファイル名を、インデックス情報12に登録する(s51)。
【0108】
具体的には、例えば、関連情報作成部101は、S4で受信した履歴情報10のファイル名を、インデックス情報12の履歴情報ファイル名12aに登録し、所定の規則により算出された番号(履歴情報10固有の番号)を、インデックス情報12のインデックス番号12bに登録し、所定の規則により決定された文字列(履歴情報10固有の文字列)を、表示名12cに登録する。なお、表示名12cに登録される文字列は、例えば、履歴情報10のファイル名から拡張子を除いた文字列である。
【0109】
次に、関連情報作成部101は、S4で受信した荷物IDから一つを選択し(以下、本処理において選択荷物IDと称する)、選択荷物IDに係る荷物の情報が履歴管理情報13に登録されていない場合は、その選択荷物に係る新たなレコードを履歴管理情報13に作成する(s52)。
【0110】
具体的には、例えば、関連情報作成部101は、履歴管理情報13の荷物ID13aに選択荷物IDを、初回履歴ファイル名13bにS4で受信した履歴情報10のファイル名を、最新履歴ファイル名13cにS4で受信した履歴情報10のファイル名を、それぞれ設定する。
【0111】
次に、関連情報作成部101は、履歴管理情報13から、選択荷物IDに係る、最新の履歴情報10のファイル名を取得する(S53)。
【0112】
具体的には、例えば、関連情報作成部101は、荷物ID13aに選択荷物IDが設定されている、履歴管理情報13のレコードを特定し、特定したレコードの最新履歴ファイル名13cを取得する。
【0113】
関連情報作成部101は、S53で取得した最新の履歴情報10のファイル名に基づき、関連情報14を更新する(S54)。
【0114】
具体的には、例えば、関連情報作成部101は、関連情報14bに新たなレコードを作成した上で、そのレコードのFrom項目143に、インデックス情報12を参照してs4で受信した履歴情報10のファイルのインデックスを設定し、そのレコードのTo項目144に、インデックス情報12を参照してS53で取得した最新の履歴情報10のファイルのインデックスを設定することで、最新の履歴情報10と今回S4で受信した履歴情報10とを対応づける。
【0115】
最後に、関連情報作成部101は、S4で受信した履歴情報10のファイル名で履歴管理情報13を更新する(S55)。
【0116】
具体的には、例えば、関連情報作成部101は、選択荷物IDが荷物ID13aに登録
されている履歴管理情報13のレコードを特定し、特定したレコードの最新履歴ファイル名13cに、S4で受信した履歴情報10のファイル名を上書きする。
【0117】
その後は、その他の荷物を選択荷物として選択すべく、関連情報作成部101は、S52以降の処理を繰り返す。関連情報作成部101はこの処理を、S4で受信した履歴情報10に登録されている全ての荷物について繰り返す。
【0118】
<履歴情報検索処理>
図18は、履歴情報検索処理の一例を説明するフロー図である。履歴情報検索処理は、例えば、ある拠点(以下、検索拠点と称する)のクライアント端末200のユーザから所定の入力がなされた場合に開始される。
【0119】
まず、クライアント端末200の検索要求取得部204は、荷物に関する検索を受け付けるための検索画面(不図示)を表示することで、ユーザからの検索要求の入力を受け付ける。検索要求は、例えば、履歴を検索する荷物(物品210、第1梱包箱220、第2梱包箱230)の荷物IDである。
【0120】
なお、検索要求取得部204は、検索要求の入力を、入力装置94を介して受け付けてもよいし、各荷物に添付されているタグ(例えば、QRコード(登録商標)、RFIDタグ)を、読み取り装置250を介して読み込むことで検索要求の入力を受け付けてもよい。
【0121】
続いて、検検索要求取得部204は、入力された検索要求を、検索支援装置100の関連情報検索部103に送信する(S102)。なお、検索要求には、ユーザの情報(例えば、ユーザが所属する拠点の情報、ユーザが使用しているクライアント端末200の情報、ユーザが属する事業者の情報等の主体を表す情報。以下、主体情報と称する。)が付帯している。
【0122】
関連情報検索部103は、検索要求が示す荷物(以下、検索対象荷物と称する)が登録されている履歴情報10のうち最新の履歴情報10を特定する(S103)。
【0123】
具体的には、例えば、関連情報検索部103は、履歴管理情報13のうち、荷物ID13aに検索対象荷物の荷物IDが設定されているレコードの最新履歴ファイル名13cが示す、履歴情報10のファイル名を特定する。
【0124】
関連情報検索部103は、S103で特定した最新の履歴情報10に対応づけられている履歴情報10を、関連情報14を参照することにより時系列的に遡りつつ全て抽出する(S104)。
【0125】
具体的には、例えば、関連情報検索部103は、S103で抽出した各履歴情報10のファイルに対応する各インデックスを、インデックス情報13から取得する。関連情報検索部103は、関連情報14bのレコードのうち、取得したインデックスがTo項目144に設定されているレコードにおけるFrom項目143の内容たるインデックスを取得し、このインデックスに係る履歴情報10を、時系列的に1つ前の履歴情報10として抽出する。関連情報検索部103は、以上の処理を、From項目143からインデックスを取得できなくなるまで繰り返す。
【0126】
関連情報検索部103は、S104で抽出した各履歴情報10のファイル名(履歴情報10のインデックスと、インデックス情報12の履歴情報ファイル名12aとから取得)を、検索拠点のクライアント端末200の結果表示部205に送信する(S105)。以
上で履歴情報検索処理は終了する(S106)。
【0127】
<結果表示処理>
図19は、結果表示処理の一例を説明するフロー図である。結果表示部205は、各荷物に関する工程の履歴を示した画面である工程表示画面23を表示する。
【0128】
まず、検索拠点のクライアント端末200の履歴情報検索部205bは、検索支援装置100の履歴情報検索処理に基づき各履歴情報10のファイル名を受信し、受信した各履歴情報10のファイル名に対応する履歴情報10の内容を検索する(S202)。
【0129】
なお、履歴情報検索部205bは、受信した履歴情報10の中に、他の拠点のクライアント端末200の履歴情報10(工程情報)がある場合は、その履歴情報10の取得を要求する情報を当該他の拠点のクライアント端末200に送信し、当該他の拠点のクライアント端末200から、その履歴情報10の内容を取得してもよい(ただし、当該履歴情報10の内容が取得可能な場合)。
【0130】
所有権判定部205aは、S202で検索した履歴情報10のうち一つを選択し(以下、本処理において選択工程と称する)、所有権情報DB11に基づき、主体情報に係る主体による、選択工程における各荷物の所有権の保持の有無を特定する(S203)。
【0131】
具体的には、例えば、所有権判定部205aは、選択工程における各荷物について、荷物ID11aにその荷物の荷物IDが設定され、所有権者11bに主体情報(例えば、検索拠点の情報)が設定されているレコードが所有権情報DB11にあるか否かを判定する。
【0132】
なお、検索拠点の業者(主体情報に係る主体)が他の拠点も管理している場合は(例えば、コンビニエンスストアの業者が倉庫C及び店舗Dを管理する場合)、所有権判定部205aは、当該業者がそれらの複数の拠点のいずれかにおいて当該荷物の所有権者であれば、当該荷物の所有権者であると判定する。
【0133】
主体情報に係る主体による、選択工程における全荷物について所有権の保持履歴がない場合は(S204:所有なし)、結果表示部205は後述するS206の処理を行う。他方、主体情報に係る主体による、選択工程におけるいずれかの荷物について所有権の保持履歴がある場合は(S204:所有あり)、結果表示部205は後述するS205の処理を行う。
【0134】
S205において結果表示部205は、工程表示画面23に選択工程の情報を表示すると共に、検索拠点の事業者(主体情報に係る主体)が、選択工程の処理対象である各荷物のいずれかの所有権を有したことがある旨を示す情報を表示する。
【0135】
具体的には、例えば、結果表示部205は、選択工程の情報を実線で表示する。
【0136】
その後は、結果表示部205は、他の履歴情報10を選択工程として選択すべく、S203以降の処理を繰り返す。結果表示部205は、以上の処理を、検索支援装置100から受信した全履歴情報10について繰り返し、全ての履歴情報10について繰り返した後は、結果表示部205は、後述するS207の処理を実行する。
【0137】
S206において結果表示部205は、工程表示画面23に選択工程の情報を表示すると共に、検索拠点の事業者(主体情報に係る主体)が、選択工程の処理対象である荷物のいずれの所有権も有したことがない旨を示す情報を表示する。
【0138】
具体的には、例えば、結果表示部205は、選択工程の情報を点線で表示する。
【0139】
その後は、結果表示部205は、他の荷物を選択工程として選択すべく、S203以降の処理を繰り返す。結果表示部205は、以上の処理を、検索支援装置100から受信した履歴情報10に登録されている全ての荷物について繰り返し、全ての荷物について繰り返した後は、結果表示部205は、後述するS207の処理を実行する。
【0140】
ここで、工程表示画面の具体例について説明する。
【0141】
(工程表示画面)
図20は、工程表示画面23の一例である。この工程表示画面23aは、販売業者の拠点たる店舗Dのクライアント端末200が表示する画面である。そして、この工程表示画面23aは、店舗Dを管理する販売業者が、店舗Dに入荷したオリコン1が開封される直前(すなわち、工程V402の直前)に、クライアント端末200に、検索対象荷物をオリコン1として履歴情報検索処理を実行させた場合の一例である。
【0142】
同図に示すように、この工程表示画面23aには、オリコン1を構成する荷物がこれまでに流通した拠点231の情報と、この拠点231において行われた工程232の情報とが実線233で表示される。
【0143】
例えば、販売業者は、店舗D及び倉庫Cを管理しており、上流工程たる工場A及び工場Bにおける全ての荷物(ビール、ワイン、及び梱包箱)は倉庫Cに入荷される。したがって、販売業者は、全ての荷物の所有権を取得する。よって、工程表示画面23aには、全ての工程232(工程V101~工程V401)が実線233で表示される。
【0144】
図21は、工程表示画面23の他の一例を示す図である。この工程表示画面23bは、工場Bを管理する製造メーカのクライアント端末200が表示する画面である。そして、この工程表示画面23bには、工場Bを管理する製造メーカが、店舗Dにてワインb001が販売された後(すなわち、工程V403の実施後)に、クライアント端末200に対して、検索対象荷物をワインb001として履歴情報検索処理を実行させた場合の一例である。
【0145】
なお、このような場合としては、例えば、ワインb001の製造メーカが、ワインb001の購入者から、当該ワインの色や味がおかしいというクレームを受け取ったため、当該ワインの流通過程を知りたい場合がある。
【0146】
ここで、工場Bを管理する製造メーカは、工場Aで製造される物品210(ビール)の所有権を保持したことがない。
【0147】
そこで、この工程表示画面23bには、所有権を取得したことがない物品210に関する工程の情報、具体的にはこの工程が行われた拠点235の情報(工場A)は表示されない。他方、この工程表示画面23bには、所有権を取得したことがある物品210に関する工程の情報、具体的にはこの工程が行われた拠点231の情報(工場B、倉庫C、店舗D)は実線233で表示される。
【0148】
また、工程表示画面23bには、工場Aで行われた、ビールaに関連するがワインに関連しない全ての工程232(工程V101、工程V102、及び工程V103)の情報が、点線234で表示される。また、工程表示画面23bには、倉庫Cで行われた、ビールaのみに関連しワインに関連しない全ての工程236(工程V301a、及び工程V30
2a)の情報も点線234で表示される。
【0149】
他方、工程表示画面23bには、倉庫Cで行われ、ワインb001に関連すする全ての工程237(工程V301b、及び工程V302b)、及び、倉庫Cで行われた、ワインb001に関する全ての工程238(ビールaに関する工程を含んでいてもよい。工程V303、及び工程V304)が実線233で表示される。また、工程表示画面23bには、店舗Dにおける、ワインb001に関連する全ての工程239(ビールaに関する工程を含んでいてもよい。工程V401、工程V402、及び工程V403)が実線233で表示される。
【0150】
以上の工程表示画面23bにより、ワインb001の製造メーカに対して、ワインb001の情報を、他社であるビールの製造メーカの情報を秘匿しつつ、提示することができる。これにより、例えば、ビールの製造メーカによる仕入れ戦略等を、ワインの製造メーカに対して秘匿させることができる。
【0151】
なお、工程表示画面23に表示する履歴情報10の数が多くなる場合は、表示する情報量を減らすようにしてもよい。これにより、検索業者に対する視認性が高まる。例えば、工程表示画面23には各工程231、237、238、239の情報のみを表示し(例えば、図形を表示し)、検索業者がこの工程231、237、238、239の表示部分を選択すると、その拠点における履歴情報10を表示するようにしてもよい。また、例えば、各工程に予め優先順位を設定し、優先度が高い工程の履歴情報10のみを工程表示画面23に表示するようにしてもよい(例えば、入出荷、梱包、開梱は優先度を高く設定し、同一の拠点内の荷物の移動等のその他の工程は優先度を低く設定する)。
【0152】
次に、図19のS207に示すように、結果表示部205は、検索拠点のクライアント端末200から、工程表示画面23に表示されている工程231、237、238、239のいずれかに対して、閲覧の要求を受け付けたか否かを確認する。
【0153】
閲覧の要求を受け付けている場合は(S207:YES)、結果表示部205は、次述するS208の処理を実行し、閲覧の要求が受け付けていない場合は(S207:NO)、結果表示部205は、次述するS210の処理を実行する。
【0154】
S208において結果表示部205は、閲覧の要求を受け付けた工程(以下、閲覧工程と称する)が、工程表示画面23において実線233で表示されている工程であるか否かを判定する。
【0155】
閲覧工程が実線233で表示されている工程である場合は(S208:YES)、結果表示部205は、次述するS209の処理を実行し、閲覧工程が実線233で表示されている工程でない場合(点線234で表示されている工程である場合)は(S208:YES)、結果表示部205は、後述するS210の処理を実行する。
【0156】
S209において結果表示部205は、閲覧工程の履歴情報10の内容を、工程表示画面23に表示させる。
【0157】
この際、結果表示部205は、履歴情報10に登録されている各荷物の情報のうち、検索拠点の業者が所有権を保持したことがない荷物の情報を表示させない、又は、荷物の内容を隠蔽した状態(例えば、物品210の名称を「xxxx」という文字列に置換した状態)で表示させるようにしてもよい。
【0158】
S210において結果表示部205は、検索業者のクライアント端末200から、所定
の表示終了の指示の入力があったか否かを判定する。
【0159】
所定の表示終了の指示の入力があった場合は(S210:YES)、結果表示部205は、結果表示処理を終了し(S211)、所定の表示終了の指示の入力がなかった場合は(S210:NO)、結果表示部205は、S207以降の処理を繰り返す。
【0160】
<効果>
以上のように、本実施形態の物品検索支援システム1は、複数の物品210とその複数の物品210の梱包箱の処理の履歴の情報(各荷物の履歴情報10)に基づき、物品210の処理と、その物品210を包含する梱包物の処理とを関連づけることで物品210及び梱包物の各処理を時系列的に記憶した関連情報14を作成しておき、他方、荷物の入力をユーザから受け付け、関連情報14に基づき、入力された荷物に関連づけられている荷物の情報を検索してこれらの処理の情報を出力する。
【0161】
これにより、各荷物の履歴情報10に基づき、個々の物品210と梱包箱との間の関係を記憶した関連情報14を作成することで、ユーザは、検索したい荷物(物品210)が梱包箱に包含されており当該荷物を直接確認できない場合であっても、その検索したい荷物に関する処理の内容を確認することができる。
【0162】
また、本実施形態の物品検索支援システム1によれば、物品210の処理の情報を簡単にかつ適切な範囲で検索することができる。
【0163】
例えば、SCの各業者は、自身の拠点に存在する梱包箱のID(荷物ID)を検索すれば、その梱包箱を解かずに、在中の物品210の履歴情報10を検索することができる。梱包箱の中の物品210の荷物IDはその物品210の製造メーカの履歴情報10にしか存在しないところ、履歴情報10に例えばEPCISのデータを使用している場合、業者がその梱包箱の中身を把握するには通常、WMS(倉庫管理システム:warehouse management system)等の他のシステムに登録されている物品210の入荷実績や在庫データを
参照する必要がある。これに対して、本実施形態の物品検索支援システム1によれば、そのような参照をすることなく、物品210の検索が可能となる。
【0164】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。
【0165】
例えば、本実施形態では、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0166】
また、本実施形態では、検索支援装置100の利用者はSCにおける製造メーカ、物流業者、及び販売業者としたが、利用者はこれらの者に限られない。
【0167】
例えば、拠点間で物品210を配送する配送業者がサービス利用者として考えられる。さらに、利用者は必ずしも物品の製造又は流通の過程を直接的に扱う者に限られない。例えば、店舗で物品を購入する一般消費者が物品210の温度管理の履歴等を参照する場合には、一般消費者が保持するスマートフォンに、クライアント端末200と同様の機能(例えば、検索要求取得部204及び結果表示部205)を備えるアプリケーション(ネイティブアプリケーションもしくはwebアプリケーション)を搭載させ、このスマートフォ
ンから送信された検索要求に基づき、物品210の履歴を検索するようにしてもよい。
【0168】
また、本実施形態では、工程表示画面23に実線233で表示される物品210は、業者がその所有権を有している場合としたが、他の権利を有しているものとしてもよい。例えば、所有権ではなく管理権限等、他の権利としてもよい。例えば、一般消費者が物品210の購入前にその物品210の履歴を検索する場合は、一般消費者に対してその物品210に関する権利を付与してもよい。具体的には、一般消費者用に検索権を設定する機能を検索支援装置100に設け、一般消費者による検索時に一時的に所有権を設定するようにしてもよい。
【0169】
また、業者が扱う物品210が多いほど、参照される関連情報14及び履歴管理情報13の情報量が大きくなり、検索支援装置10に対する負荷が増大するおそれがある。そのような場合は、関連情報14及び履歴管理情報13を、拠点ごと又は日付ごとに分散して検索支援装置100に記憶させてもよい。また、関連情報14については、複数の情報処理装置に分散して記憶させてもよい(例えば、各拠点に情報処理装置を設ける)。これにより、検索支援装置100の処理負荷を低減させることができる。
【0170】
また、本実施形態では、物品210及びこれを包含する包含物の例として、倉庫における物品210とこれにより梱包される梱包箱の例を説明したが、他の種類の物品としてもよい。例えば、製品の製造現場における製造工程の履歴管理にも適用できる(例えば、複数の部品を組み立てて製品を製造する場合、同一の部品又は材料から複数の製品を製造する場合)。
【0171】
また、関連情報14の作成方法は、本実施形態で説明したものに限られず、其の他の任意のアルゴリズムに基づいてもよい。すなわち、検索支援装置100が、物品210及びそれを梱包する梱包物の関係、すなわち一方が他方を包括するという関係を、各物品210及び各梱包物について特定し、また、梱包物を対象とする処理(物品210の梱包及び開封)は当該梱包物のみならず物品210に対する処理でもあるという前提の下、各物品210及び各梱包物を対象とする処理を時系列的に特定した情報を関連情報14として作成すればよい。
【0172】
また、本実施形態の物品検索支援システム1は、より広い範囲における物流、例えば貿易、国際物流に対しても適用することができる。
【0173】
また、本実施形態の物品検索支援システム1は、ブロックチェーンシステムを用いて実現することができる。例えば、履歴情報10及び関連情報14を、ブロックチェーン(BC: Block Chain)におけるデータベース(DB: Data Base)に記憶することができる
BCを用いることで、履歴情報10の耐改ざん性及びDBの耐障害性を高めることができる。なお、履歴情報10をBCに保存する方法としては、例えば、複数の履歴情報10のハッシュ値をまとめたルートハッシュのみをkey-value型のBCのDBに保存することが
できる。この場合、例えば、keyは履歴情報10のファイル名を所定の文字列で結合した
値(例:V101_V102_V103)とし、かつ、ルートハッシュは梱包及び開封の対象となる物品210ごとに設定するものとする。これと同様に、関連情報14も、BCのDBのkeyによって表現することができる。
【0174】
また、本実施形態では、各クライアント端末200が履歴情報10の実体を記憶するものとしたが、検索支援装置100が履歴情報10の実体を記憶するようにしてもよい。この場合、各業者が他の業者の荷物に係る履歴情報10の内容を参照することができてしまうおそれがあるため、各履歴情報10に対して他の業者からの閲覧を制限するためのアクセス制限を設けてもよい。
【0175】
また、ある業者が検索を行う場合に、その業者が所有する物品210と共に梱包されて
いる他の業者の物品210を検索できるようにしてもよい。例えば、あるメーカが、ホームセンターで販売されている自社製の衣類などの布製品に匂いが付着しているというクレームを受け付けてリコールを行うため、自社の物品210の流通の過程で、他の業者が製造した食品又はやペットフードなど匂いの強い物品と混載されていなかったかを調べたい場合である。このような場合、検索支援装置100は、例えば、この製造メーカのクライアント端末200から梱包箱に対する検索要求を受信した場合に、その梱包箱に包含されている他の業者の物品210に係る工程情報を送信してきたクライアント端末200に、当該他の業者の物品210の情報の開示を許可するか否かの問い合わせ情報を送信するようにしてもよい。検索支援装置100は、情報の開示を許可する返信を受信した場合に、当該他の業者の物品210に係る履歴情報10の内容を、工程表示画面23に表示する。これにより、リコール実行時やクレーム対応時におけるそれらの原因の迅速な特定が可能となる。
【0176】
また、履歴情報10に、各荷物に関する付加的な情報(例えば、温度履歴)を登録してもよい。これにより、例えば、検索業者は、自身が製造する物品210に不具合が生じた(例えば、ワインの色や味に変化が生じた)ことを発見した場合に、その付加的な情報を検索時に参照することで、その物品210の不具合の原因を推知することができる。
【0177】
また、本実施形態では、履歴情報10がEPCISに基づくため、梱包処理は二階層(第1
梱包箱220及び第2梱包箱230)で行われるものとしたが、その他のデータ形式を用いることにより、三階層以上の梱包処理に対応させるようにしてもよい。
【0178】
また、本実施形態では、検索支援装置100は、各クライアント端末200の履歴情報10を特定するための情報としてファイル名を用いたが、その他の任意の識別子を用いてもよい。
【0179】
また、本実施形態では、工程表示画面23における表示の方法として実線233及び点線234を採用したが、所有権の有無の区別ができれば、その他の任意の表示方法を採用してもよい。
【0180】
以上の本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の物品検索支援システム1においては、前記演算装置は、前記関連情報作成処理において、前記履歴情報作成処理で作成した物品及び包含物の処理と、既に作成されている前記関連情報における物品又は包含物の最新の処理とを対応づけることで、前記関連情報を更新する、としてもよい。
【0181】
このように、作成した履歴情報10を、既に作成された関連情報14における荷物の最新の処理の情報に関連づけることで、関連情報14に各荷物の処理の履歴の実績を蓄積し、この関連情報14に基づきユーザは、荷物の流通が多数の工程を経ている場合であっても、その荷物の検索を行うことができる。
【0182】
また、物品検索支援システム1においては、前記演算装置は、前記履歴情報作成処理において、前記各処理の権限を有する権利者の情報をそれぞれ記憶する、としてもよい。
【0183】
このように、履歴情報10が示す各荷物の権利者の情報を記憶しておくことで、検索の便宜とすることができる。
【0184】
また、物品検索支援システム1においては、前記演算装置は、前記検索結果表示処理において、前記入力された物品又は包含物の情報に付帯する主体の情報と、前記記憶した権利者の情報とに基づき、前記主体が、前記検索した物品又は包含物に対する権限を有した
ことがあるか否かを判定し、当該主体が、前記検索した物品又は包含物に対する権限を有したことがあるか否かによって、前記検索した、物品又は包含物が対象となっている処理の情報の表示の方法を異ならせる、としてもよい。
【0185】
このように、物品210又は包含物の検索を行うユーザが、その物品210又は包含物に対する権限を有したことがあるか否かによって、その物品210又は包含物の処理の情報の表示の方法を異ならせることで、そのユーザに、適切な範囲の情報のみを提供することができる。
【0186】
これにより、例えば、複数メーカ(ステークホルダ)の物品210が梱包物に混載されているような場合でも、物品210の検索を行ったユーザに対して秘匿すべき、他のユーザがその権利を有している物品210の情報を提示しないようにすることができる。
【0187】
また、物品検索支援システム1においては、前記履歴情報作成処理、前記検索要求取得処理、及び前記検索結果表示処理を実行する演算装置を備える複数のクライアント端末と、前記関連情報作成処理を実行する演算装置を備える検索支援装置とを含んで構成され、前記クライアント端末は、前記履歴情報作成処理において、前記作成した各処理の履歴の情報の識別子をそれぞれ前記検索支援装置に送信し、前記検索支援装置は、前記関連情報作成処理において、受信した前記各識別子に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで前記関連情報を作成する、としてもよい。
【0188】
このように、各クライアント端末200が履歴情報10を検索支援装置100に送信し、検索支援装置100が、この識別子に基づき関連情報14を作成するので、検索支援装置100は、各クライアント端末200から履歴情報10の内容を取得しなくても、関連情報14を作成することができる。すなわち、各荷物を取り扱う業者は、自身の荷物に関する履歴情報10の実体をそのまま保持でき、検索支援装置100に提供する必要がない。これにより、各業者の、各拠点における荷物の情報の秘匿性が保たれ、また、検索支援装置100に対しても、管理対象の情報の肥大化も抑えることができる。
【0189】
さらに、本実施形態では、情報処理装置が、複数の物品の処理の履歴、及び、前記複数の物品のうち少なくともいずれかを包含する包含物の処理であって前記少なくともいずれかの物品の処理を伴う処理の履歴の情報を作成する履歴情報作成処理と、前記作成した各処理の履歴の情報に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで前記物品及び前記包含物が対象となっている各処理を時系列的に記憶した情報である関連情報を作成する関連情報作成処理と、物品又は包含物の入力をユーザから受け付ける検索要求取得処理と、前記作成した関連情報から、前記入力された物品又は包含物に関連づけられている、前記物品又は前記包含物が対象となっている処理の情報を検索する関連情報検索処理と、前記検索した処理の情報を出力する検索結果表示処理と、を実行する物品検索支援方法、としてもよい。
【0190】
また、前記物品検索支援方法において、前記情報処理装置が、前記関連情報作成処理において、前記履歴情報作成処理で作成した物品及び包含物の処理と、既に作成されている前記関連情報における物品又は包含物の最新の処理とを対応づけることで、前記関連情報を更新する、としてもよい。
【0191】
また、前記物品検索支援方法において、前記情報処理装置が、前記履歴情報作成処理において、前記各処理の権限を有する権利者の情報をそれぞれ記憶する、としてもよい。
【0192】
また、前記物品検索支援方法において、前記情報処理装置が、前記検索結果表示処理において、前記入力された物品又は包含物の情報に付帯する主体の情報と、前記記憶した権
利者の情報とに基づき、前記主体が、前記検索した物品又は包含物に対する権限を有したことがあるか否かを判定し、当該主体が、前記検索した物品又は包含物に対する権限を有したことがあるか否かによって、前記検索した、物品又は包含物が対象となっている処理の情報の表示の方法を異ならせる、としてもよい。
【0193】
また、前記物品検索支援方法において、前記情報処理装置が、前記履歴情報作成処理、前記検索要求取得処理、及び前記検索結果表示処理を実行する演算装置を備える複数のクライアント端末と、前記関連情報作成処理を実行する演算装置を備える検索支援装置とを含んで構成され、前記クライアント端末は、前記履歴情報作成処理において、前記作成した各処理の履歴の情報の識別子をそれぞれ前記検索支援装置に送信し、前記検索支援装置は、前記関連情報作成処理において、受信した前記各識別子に基づき、前記物品の処理と、当該物品を包含する前記包含物の処理とを関連づけることで前記関連情報を作成する、としてもよい。
【符号の説明】
【0194】
1 物品検索支援システム、100 検索支援装置、200 クライアント端末、210
物品、14 関連情報
図1
図2
図3
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