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  • 特許-ケーブル保持具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】ケーブル保持具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20231215BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20231215BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H02G3/22
H05K7/00 P
F16L5/00 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020087589
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182823
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-58397(JP,U)
【文献】特開2002-369347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H05K 7/00
F16L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の設置面に設置され、前記設置面の表裏にわたり配線されるケーブルを保持するためのケーブル保持具であって、
前記ケーブル保持具は、合成樹脂製の保持部材と、前記保持部材を前記設置面に取り付けるための設置部材とを備えてなり、
前記設置部材は、差込孔が開設されてなる板状の設置基部と、前記設置基部の裏面から突出しているとともに前記差込孔を囲むように断続的に並設された複数の爪片からなる係止爪とを有する一方、
前記保持部材は、板状の保持基部と、前記差込孔に差し込み可能で、前記保持基部の裏面に突設された軸部と、前記ケーブルを挿通可能で、前記保持基部の表面から前記軸部の先端にわたり貫通する挿通孔と、前記保持基部の表面側に設けられ、前記挿通孔から延びる前記ケーブルを挟持可能なケーブル挟持部とを有しており、
さらに、前記設置部材に係止部を、前記保持部材に前記係止部が係止可能な被係止部を夫々設けており、
前記設置面に開設された取付孔に前記係止爪が差し込まれた状態にある前記設置部材に対し、前記保持部材の前記軸部を前記設置基部の表面側から前記差込孔に差し込み、当該軸部により前記係止爪を押し広げるとともに前記係止部を前記被係止部に係止させることによって、前記設置面に設置可能であることを特徴とするケーブル保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電気機器収納用箱体の側面等に設置され、設置面の表裏にわたって配線されるケーブルを保持するためのケーブル保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば電気機器収納用箱体に電気機器を収納するに際して、電気機器から延びるケーブルを箱体の内外にわたって配線する必要がある場合、電気機器収納用箱体の側面等にケーブルを保持するためのケーブル保持具を設置することがある。そして、そのようなケーブル保持具としては、設置面に開設された配線用開口を覆うように、設置面にネジ止めされるようなものがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-53886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなケーブル保持具では、設置面への設置に係る構造が複雑であり、製造コストが高くなる、設置面への設置作業が煩わしい等の問題があった。また、配線用開口との干渉によってケーブルが傷つかないように、配線用開口に加工を施す必要もあり、この点においてもコストがかかるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、設置面への設置が容易であるとともに、設置に係る構造が簡素で、且つ、配線用開口に特別な加工を施す必要もなく低コスト化を図ることができるケーブル保持具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の設置面に設置され、前記設置面の表裏にわたり配線されるケーブルを保持するためのケーブル保持具であって、前記ケーブル保持具は、合成樹脂製の保持部材と、前記保持部材を前記設置面に取り付けるための設置部材とを備えてなり、前記設置部材は、差込孔が開設されてなる板状の設置基部と、前記設置基部の裏面から突出しているとともに前記差込孔を囲むように断続的に並設された複数の爪片からなる係止爪とを有する一方、前記保持部材は、板状の保持基部と、前記差込孔に差し込み可能で、前記保持基部の裏面に突設された軸部と、前記ケーブルを挿通可能で、前記保持基部の表面から前記軸部の先端にわたり貫通する挿通孔と、前記保持基部の表面側に設けられ、前記挿通孔から延びる前記ケーブルを挟持可能なケーブル挟持部とを有しており、さらに、前記設置部材に係止部を、前記保持部材に前記係止部が係止可能な被係止部を夫々設けており、前記設置面に開設された取付孔に前記係止爪が差し込まれた状態にある前記設置部材に対し、前記保持部材の前記軸部を前記設置基部の表面側から前記差込孔に差し込み、当該軸部により前記係止爪を押し広げるとともに前記係止部を前記被係止部に係止させることによって、前記設置面に設置可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、合成樹脂製の保持部材と、保持部材を設置面に取り付けるための設置部材とを備え、設置面に開設された取付孔に係止爪が差し込まれた状態にある設置部材に対し、保持部材の軸部を設置基部の表面側から差込孔に差し込み、当該軸部により係止爪を押し広げるとともに係止部を被係止部に係止させることによって、ケーブル保持具を設置面に設置可能としている。したがって、ネジ等を利用することなく設置面に設置することができ、非常に簡易に設置することができる。また、ネジ止めする従来のケーブル保持具と比べると構造も簡素であり、製造コストの低減を図ることができる。さらに、設置部材に取り付けられる保持部材に挿通孔を穿設し、挿通孔に挿通させた状態でケーブルを保持可能としているため、取付孔に特別な加工を施さずとも、配線されたケーブルが取付孔の開口縁に干渉して傷ついてしまう事態を防止することができ、一層のコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ケーブル保持具を示した斜視説明図である。
図2】保持部材を示した斜視説明図である。
図3】設置部材を示した斜視説明図である。
図4】設置面にケーブル保持具を設置した状態を表側から示した説明図である。
図5】設置面にケーブル保持具を設置した状態を裏側から示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるケーブル保持具について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、ケーブル保持具1を示した斜視説明図である。図2は、保持部材2を示した斜視説明図である。図3は、設置部材3を示した斜視説明図である。図4は、設置面Wにケーブル保持具1を設置した状態を表側から示した説明図である。図5は、設置面Wにケーブル保持具1を設置した状態を裏側から示した説明図である。
【0011】
ケーブル保持具1は、合成樹脂製の部材であって、ケーブルLを保持可能な保持部材2と、保持部材2を設置面Wに設置するための設置部材3とからなる。保持部材2は、円板状の保持基部11と、保持基部11の表面に設けられたケーブル挟持部12と、保持基部11の裏面に設けられた軸部13とを備えてなる。軸部13は、保持基部11の裏面中央から突出しており、先端側は基端側よりも太くなっている。また、軸部13の先端際の表面には、拡径方向へ突き出る段差が形成されており、設置部材3の係止リブ25が係止可能な係止段部14とされている。さらに、保持基部11の表面中央には、ケーブルLを挿通可能な挿通孔15が穿設されており、該挿通孔15は、保持基部11の表面から軸部13の先端にかけて貫通している。
【0012】
ケーブル挟持部12は、保持基部11の表面側で挿通孔15に隣接して設けられた載置部16と、載置部16に対して回動するカバー部17とを有する。載置部16では、挿通孔15縁からケーブルLの挿通方向(保持基部11の表裏方向)へ延びる面が、ケーブルLを載置する凹状の載置面16Aとされている。また、載置部16には、カバー部17を後述する挟持姿勢でロックするための係合凸部18が設けられている。一方、カバー部17は、載置部16に対してケーブルLの挿通方向を軸として回動可能に設けられており、載置面16A上を被覆する挟持姿勢と、載置面16A上を開放する開放姿勢との間で姿勢変更するようになっている。そして、上記挟持姿勢とした際に、載置面16Aに対向する面が挟持面17A(挟持面17Aも凹面として形成されている)とされている。また、カバー部17には、係合凸部18に係合可能な被係合部19が設けられており、挟持姿勢において被係合部19に係合凸部18を係合させることによって、挟持姿勢のままロックすることができる。
【0013】
一方、設置部材3は、円板状の設置基部21と、該設置基部21の裏面に設けられた係止爪22とを備えてなる。設置基部21は、保持部材2の保持基部11よりも大径に成形されており、設置基部21の中心には、保持部材2の軸部13を差し込み可能な差込孔23が開設されている。また、設置基部21の表面には、軸部13を表面側から差し込んだ際に保持部材2の保持基部11を収納可能な収納凹部24が設けられている。係止爪22は、設置基部21の裏面において差込孔23を囲むように断続的に配された複数の爪片22a、22a・・からなり、設置基部21の表面側から差込孔23に差し込まれた保持部材2の軸部13によって押し広げられるようになっている。また、各爪片22aの先端際における内面には、係止段部14に係止可能な係止リブ25が突設されている。
【0014】
そして、上記保持部材2及び設置部材3からなるケーブル保持具1の設置面Wへの設置について説明すると、まずケーブルLを配線したい設置面Wにケーブル保持具1を取り付けるための取付孔30を穿設した後、当該取付孔30に設置部材3の係止爪22を挿通させ、設置部材3の設置基部21の裏面を設置面Wに当接させた状態とする。次に、保持部材2の軸部13を、設置部材3の差込孔23へ設置基部21の表面側から差し込み、保持部材2の保持基部11を設置部材3の収納凹部24に収納させる。すると、軸部13によって係止爪22が押し広げられた状態となるとともに、係止リブ25、25・・が係止段部14に係止することによって当該押し広げられた状態が維持され、係止爪22の取付孔30からの抜け止め、ひいてはケーブル保持具1の設置面Wへの設置が完了となる。
【0015】
また、上記ケーブル保持具1を用いてケーブルLを配線するにあたっては、すでに設置面Wに設置されているケーブル保持具1において、ケーブル挟持部12のカバー部17を開放姿勢とした後、挿通孔15にケーブルLを挿通させる。そして、保持部材2の保持基部11の表面側において、ケーブルLを載置部16上に載置した状態としてから、カバー部17を挟持姿勢とするとともに、係合凸部18を被係合部19に係合させてカバー部17を挟持姿勢のままロックすればよい。すると、載置面16Aと挟持面17AとによりケーブルLを挟持した状態で、ケーブルLの配線は完了となる。
【0016】
以上のような構成を有するケーブル保持具1によれば、合成樹脂製の保持部材2と、保持部材2を設置面Wに取り付けるための設置部材3とを備えており、設置部材3として、差込孔23が開設されてなる円板状の設置基部21と、設置基部21の裏面から突出しているとともに差込孔23を囲むように断続的に並設された複数の爪片22a、22a・・からなる係止爪22とを設ける一方、保持部材2として、円板状の保持基部11と、差込孔23に差し込み可能で、保持基部11の裏面に突設された軸部13と、ケーブルLを挿通可能で、保持基部11の表面から軸部13の先端にわたり貫通する挿通孔15と、保持基部11の表面側において挿通孔15に隣接した位置にあって、挿通孔15から延びるケーブルLを挟持可能なケーブル挟持部12とを設けており、さらに、設置部材3の係止爪22に係止リブ25を、保持部材2の軸部13に係止リブ25が係止可能な係止段部14を夫々設けている。そして、設置面Wに開設された取付孔30に係止爪22が差し込まれた状態にある設置部材3に対し、保持部材2の軸部13を設置基部21の表面側から差込孔23に差し込み、当該軸部13により係止爪22を押し広げるとともに、係止リブ25を係止段部14に係止させることによって、設置面Wに設置可能とした。したがって、ネジ等を利用することなく設置面Wに設置することができ、非常に簡易に設置することができる。また、ネジ止めする従来のケーブル保持具と比べると構造も簡素であり、製造コストの低減を図ることができる。さらに、合成樹脂製の保持部材2に設けられた挿通孔15に挿通させた状態でケーブルLを保持可能としているため、取付孔30に特別な加工を施さずとも、配線されたケーブルLが取付孔30の開口縁に干渉して傷ついてしまう事態を防止することができ、一層のコスト低減を図ることができる。
【0017】
なお、本発明のケーブル保持具に係る構成は、上記実施形態のものに何ら限定されることはなく、保持部材や設置部材に係る構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0018】
たとえば、上記実施形態では設置部材の係止爪に係止リブを、保持部材の軸部に係止段部を夫々設けているが、そのような構成に代えて、設置部材の設置基部に係止孔を、保持部材の保持基部に先端が矢尻状に形成された係止片を夫々設ける等してもよく、設置部材及び保持部材にどのような係止部/被係止部を夫々設けるかについては適宜設計変更可能である。
【0019】
また、上記実施形態では、設置部材及び保持部材において、差込孔や係止爪、軸部を夫々1つずつしか設けていないが、設置部材において、設置基部に複数の差込孔や係止爪を設ける一方、保持部材において、保持基部に、設置基部の差込孔に対応させて複数の軸部を設け、そのような設置部材と保持部材とを組み付けたケーブル保持具とすることで、複数のケーブルを配線可能としても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0020】
1・・ケーブル保持具、2・・保持部材、3・・設置部材、11・・保持基部、12・・ケーブル挟持部、13・・軸部、14・・係止段部(被係止部)、15・・挿通孔、16・・載置部、17・・カバー部、18・・係合凸部、19・・被係合部、21・・設置基部、22・・係止爪、22a・・爪片、23・・差込孔、24・・収納凹部、25・・係止リブ(係止部)、30・・取付孔、L・・ケーブル、W・・設置面。
図1
図2
図3
図4
図5