(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】入力デバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 23/30 20060101AFI20231215BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20231215BHJP
H01H 25/00 20060101ALI20231215BHJP
H01H 89/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01H23/30
G06F3/0338
H01H25/00 E
(21)【出願番号】P 2020094808
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】細野 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 貞幸
(72)【発明者】
【氏名】村中 哲夫
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-084915(JP,A)
【文献】特開2009-020632(JP,A)
【文献】特開2014-182669(JP,A)
【文献】特開2000-214985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/00 - 25/06
H01H 89/00
G06F 3/033- 3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体製のプレートと、
前記プレートに固定され長手方向を有する樹脂製の起歪体と、
前記起歪体に載置されるキートップと、
前記起歪体に取り付けられる歪センサと
を含み、
前記起歪体は、前記長手方向の中央部に設けられる厚板部の厚さよりも前記長手方向の両端部に設けられる薄板部の厚さの方が薄く、
前記歪センサは、前記薄板部に取り付けられており、
前記起歪体は、前記厚板部において前記プレートに固定される、入力デバイス。
【請求項2】
前記キートップの長手方向の中央部に形成される貫通孔内に配置され、前記キートップの天面から露出し、前記キートップに対して上下方向に移動可能な押圧部と、
前記起歪体の前記厚板部に設けられ前記押圧部が押圧されると押圧される押圧検知センサと
をさらに含み、
前記キートップの長手方向は、前記起歪体の長手方向に対応する、請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項3】
前記起歪体は、平坦な下面と、前記厚板部を上下方向に貫通する貫通孔とを有し、
前記歪センサ及び前記押圧検知センサが実装され、前記起歪体の前記下面に固定されるフレキシブル基板をさらに含み、
前記押圧部は、前記起歪体の貫通孔を通じて前記押圧検知センサを押圧する、請求項2に記載の入力デバイス。
【請求項4】
前記キートップは、前記キートップの長手方向における両端の下端から下方に突出し前記起歪体の上面に接触する凸部を有する、請求項2又は3に記載の入力デバイス。
【請求項5】
前記キートップと前記起歪体は、前記起歪体の前記薄板部において、ねじによって固定される、請求項4に記載の入力デバイス。
【請求項6】
前記起歪体の前記薄板部と前記キートップとの間に設けられるばねをさらに含み、
前記キートップは、矩形状の天面と、前記天面の四辺に連なる4つの側面とを有し、
前記4つの側面のうちの前記天面の長辺に連なる2つの側面は、長辺の中央部の下端から下方に延びる脚部を有し、前記脚部によって前記起歪体に対して回動可能に固定される、請求項2又は3に記載の入力デバイス。
【請求項7】
前記起歪体は、平坦な上面を有し、
前記歪センサ及び前記押圧検知センサが実装され、前記起歪体の前記上面に固定されるフレキシブル基板をさらに含む、請求項2に記載の入力デバイス。
【請求項8】
前記キートップは、矩形状の天面と、前記天面の四辺に連なる4つの側面とを有し、前記側面の前記起歪体と接触する接触部の前記天面からの距離は等しく、
前記起歪体は、前記キートップの四隅の前記接触部に接触する接触箇所以外は、前記キートップよりも狭い短手方向の幅を有する、請求項7に記載の入力デバイス。
【請求項9】
前記起歪体は、前記厚板部の前記長手方向における中央から幅方向に突出し、前記キートップの前記側面に当接する突起部を有する、請求項8に記載の入力デバイス。
【請求項10】
前記起歪体は、前記接触箇所を4つ有するとともに、前記幅方向の両側に1つずつ配置される2つの前記突起部を有する、請求項9に記載の入力デバイス。
【請求項11】
前記押圧検知センサは、ドーム状の第1金属片と、前記第1金属片の下に設けられる第2金属片とを有し、前記第1金属片が前記押圧部によって押圧されると変形して前記第2金属片と導通する押しボタンスイッチである、請求項2乃至10のいずれか1項に記載の入力デバイス。
【請求項12】
前記押圧検知センサは、歪センサである、請求項2乃至10のいずれか1項に記載の入力デバイス。
【請求項13】
前記プレートは金属製であり、前記起歪体が固定される基部と、前記基部に対して下方に向けて折り曲げられ電子機器に固定される固定部とを有する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の入力デバイス。
【請求項14】
前記プレートは、前記起歪体の前記厚板部と接触する部分に複数の孔部を有し、
前記起歪体は、熱可塑性を有する樹脂製であり、前記厚板部の下面から下方に突出する複数の脚部を有し、
前記起歪体は、前記複数の脚部を前記複数の孔部にそれぞれ挿通した状態で前記脚部を変形させることで、前記プレートに固定される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作部材と、前記操作部材の傾斜操作を検出する歪センサと、前記操作部材の押圧操作を検出する押圧センサとを備えたスティック式座標入力装置であって、前記傾斜操作と前記押圧操作との同時操作が可能なことを特徴とするスティック式座標入力装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-084972号公報
【文献】特開平10-097905号公報
【文献】特開平10-116709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のスティック式座標入力装置は、押圧操作に用いるプランジャ軸が傾斜操作にも用いられているため、押圧操作及び傾斜操作という操作方法の異なる2種類の操作を区別することが困難な場合があった。
【0005】
そこで、操作方法の異なる2種類の操作を容易に区別可能な入力デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の入力デバイスは、剛体製のプレートと、前記プレートに固定され長手方向を有する樹脂製の起歪体と、前記起歪体に載置されるキートップと、前記起歪体に取り付けられる歪センサとを含み、前記起歪体は、前記長手方向の中央部に設けられる厚板部の厚さよりも前記長手方向の両端部に設けられる薄板部の厚さの方が薄く、前記歪センサは、前記薄板部に取り付けられており、前記起歪体は、前記厚板部において前記プレートに固定される。
【発明の効果】
【0007】
操作方法の異なる2種類の操作を容易に区別可能な入力デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の入力デバイス100を含む電子機器10を示す図である。
【
図3】入力デバイス100の一部分を示す図である。
【
図4】入力デバイス100の一部分を示す図である。
【
図5】
図2におけるA-A矢視断面を示す図である。
【
図6】実施形態1の変形例の入力デバイス100Mを示す図である。
【
図7】実施形態1の変形例の入力デバイス100Mを示す図である。
【
図8】実施形態1の変形例の入力デバイス100Mを示す図である。
【
図9】実施形態2の入力デバイス200を示す図である。
【
図10】キートップ240及び押圧部150を取り外した状態を示す図である。
【
図11】入力デバイス200の構成と動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力デバイスを適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態1>
図1は、実施の形態1の入力デバイス100を含む電子機器10を示す図である。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、以下では、平面視とはXY面視のことであり、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0011】
電子機器10は、スマートフォンやゲームコントローラ等であり、筐体11を有する。電子機器10は、Y方向の厚さが薄い薄型の電子機器であり、筐体11の側面には開口部11Aが設けられている。開口部11Aからは、入力デバイス100のキートップ140及び押圧部150が露出している。
【0012】
図2は、入力デバイス100を示す図である。以下では
図2に加えて
図3乃至
図5を用いて説明する。
図3及び
図4は、入力デバイス100の一部の構成要素を取り除いた状態を示す図であり、
図5は、
図2におけるA-A矢視断面を示す図である。
【0013】
入力デバイス100は、金属プレート110、スペーサ115、FPC(Flexible Printed Circuit board:フレキシブル基板)120、歪検出素子125A、押しボタンスイッチ125B、起歪体130、キートップ140、及び押圧部150を含む。これらのうち、歪検出素子125A、押しボタンスイッチ125Bは、
図2及び
図3には示されておらず
図4に示す。入力デバイス100は、キートップ140の+X方向側又は-X方向側を押圧する操作が可能であるとともに、押圧部150を-Z方向に押圧する操作が可能な装置である。押圧部150はキートップ140に囲まれているため、キートップ140を操作するために利用者が触れる部分と、押圧部150を操作するために利用者が触れる部分とは非常に近いが、キートップ140の操作と押圧部150の操作とは操作する部位が異なり、操作方法の異なる2種類の操作である。なお、一例として、キートップ140の押圧操作による変位は、肉眼では分からない程度の微小なものであり、押圧部150の押圧操作による変位は、微小ではあるが肉眼で確認できる程度である。
【0014】
金属プレート110は、プレートの一例であり、例えばアルミニウム等の金属製である。このため、金属プレート110の剛性は、FPC120の剛性よりも高い。金属プレート110は、基部110Aと取付部110Bを有する。基部110Aは、XY平面に平行な平板状の部分であり、平面視でX方向に長手方向の有する矩形状の部分である。基部110Aは、X方向の中央部を挟んだ両側にそれぞれ設けられる2つの貫通孔111Aを有する。貫通孔111Aは、起歪体130を金属プレート110に固定するために設けられている。
【0015】
取付部110Bは、金属プレート110をスマートフォンやゲームコントローラ等の電子機器10(
図1参照)に取り付ける部分であり、貫通孔111Bを有する。貫通孔111Bにねじを挿通させることによって、金属プレート110は電子機器10の筐体11に取り付けられる。取付部110Bは、基部110Aの-Y方向側の端辺から-Z方向に折り曲げられている。なお、このような金属プレート110は、板金をパンチングすることによって作成可能である。
【0016】
スペーサ115は、X方向に長手方向を有する薄板状の部材であり、一例として樹脂製である。スペーサ115のX方向の長さは、起歪体130の厚板部130AのX方向の長さと等しく、金属プレート110の基部110AとFPC120の基部120Aとの間に挟まれた状態で、厚板部130AとX方向の位置を合わせた状態で配置される。スペーサ115は、X方向の中央部を挟んだ両側に貫通孔115Aを有する。貫通孔115Aの位置及び開口サイズは、金属プレート110の基部110Aの貫通孔111Aと合わせられている。スペーサ115は、FPC120の下面に設けられる配線等と金属プレート110とを絶縁している。
【0017】
FPC120は、基部120Aと配線部120Bを有するフレキシブル基板であり、一例としてポリイミド製のフィルム基板である。基部120Aの両端は、起歪体130の薄板部130Bの貫通孔131BよりもX方向における内側に位置する。
【0018】
基部120Aの下面には2つの歪検出素子125Aが実装されるとともに、上面には押しボタンスイッチ125Bが実装される。2つの歪検出素子125Aは、起歪体130の薄板部130Bと重なる位置において基部120Aの下面に実装される。基部120Aのうちの2つの歪検出素子125Aが実装される部分は、基部120Aのうちの基部110Aと厚板部130Aとの間に挟まれない部分であるため、薄板部130BのZ方向における変形に合わせて変形可能である。
【0019】
基部120Aの上面は、起歪体130の下面に接着剤によって接着されている。基部120Aの上面は、少なくとも2つの歪検出素子125Aが位置する部分において起歪体130の薄板部130Bの下面に接着されていればよいが、ここでは一例として基部120Aの上面の全体が起歪体130の下面と接着されていることとする。キートップ140の+X方向側又は-X方向側を下方向に押圧する操作が行われた際に、起歪体130の薄板部130Bに生じる歪み(変形)がFPC120の基部120Aの下面に実装された歪検出素子125Aに伝達され易くするためである。
【0020】
基部120AのX方向における中央部は、金属プレート110の基部110Aの上面にスペーサ115を介して配置された状態で、基部110Aと起歪体130の厚板部130Aとの間に挟まれた状態で固定される。基部120Aは、2つの貫通孔121Aを有する。2つの貫通孔121Aは、X方向に沿って設けられており、スペーサ115の貫通孔115Aに対応する位置に設けられている。貫通孔121Aの開口サイズは、貫通孔115Aの開口サイズに等しい。2つの貫通孔121Aは、X方向において2つの歪検出素子125Aよりも内側に位置する。
【0021】
FPC120の下面には、2つの歪検出素子125Aを直列に接続するハーフブリッジ回路を構成する配線と、押しボタンスイッチ125Bにビアを介して接続される配線とが設けられており、これらの配線は配線部120Bの端部の端子121Bに接続されている。配線は、一例として銀ペーストをFPC120の下面に印刷することによって作製される。配線自体にも柔軟性を持たせるためである。ただし、配線は銀ペーストをFPC120に印刷したものに限られるものではない。なお、
図2乃至
図4には、配線部120Bが基部120Aに対して-Z方向に折り曲げられている状態を示す。
【0022】
歪検出素子125Aは、一例として、ナノカーボンで実現される伸縮性導電層の積層体で構成される抵抗式の歪センサである。2つの歪検出素子125Aは、起歪体130の厚板部130AのX方向における両側に設けられる2つの薄板部130Bと重なる位置にそれぞれ設けられている。なお、歪検出素子125Aは、このような構成のものに限定されるものではなく、他の構成のものを用いてもよい。
【0023】
押しボタンスイッチ125Bは、押圧検知センサの一例である。押しボタンスイッチ125Bは、基部120AのX方向における中央部の上面に実装される。押しボタンスイッチ125Bは、X方向において2つの貫通孔121Aの間に位置する。押しボタンスイッチ125Bに、次のような構造のタクタイルスイッチを用いると、クリック感を得ることができる。押しボタンスイッチ125Bは、金属製のドーム125B1と、ドーム125B1の下に設けられる2つの金属片125B2とをカバーで覆った構成を有し、ドーム125B1が押圧部150によって下方向に押圧されると変形して金属片125B2と接触することで導通する。押しボタンスイッチ125Bの導通(オン)は、2つの金属片125B2が導通することによって実現される。ドーム125B1は第1金属片の一例であり、金属片125B2は第2金属片の一例である。なお、押しボタンスイッチ125Bは、このような構成のタクタイルスイッチに限らず、押圧することによって導通するものであればよい。
【0024】
起歪体130は、厚板部130Aと薄板部130Bを有し、一例として熱可塑性を有する樹脂製である。起歪体130は、外部からの力によって形状に歪みが生じる物体である。物体の形状に歪みが生じることは、物体が変形することである。起歪体130は、X方向に長手方向を有する板状の部材であり、長手方向の中央部に位置する厚板部130Aの方が、長手方向の両端部に位置する2つの薄板部130Bよりも厚さが厚い。また、厚板部130Aの下面と、薄板部130Bの下面とは同一面で平らであるため、厚板部130Aの上面の方が薄板部130Bの上面よりも上側に位置する。起歪体130が厚さの異なる厚板部130Aと薄板部130Bを有するのは、キートップ140の+X方向側又は-X方向側を下方向に押圧する操作が行われたときに、両端側に位置する薄板部130Bが中央側の厚板部130Aよりも変形し易くするためである。このように厚さが薄い薄板部130Bを起歪体130の長手方向の両端側に設けることにより、変形が薄板部130Bに集中させることができ、また、1つの起歪体130で実現することで部品点数を減らすことができる。また、起歪体130の下面を平坦面にすることにより、起歪体130の製造が容易になる。
【0025】
厚板部130Aは、スペーサ115のX方向の長さと等しいX方向の長さを有し、スペーサ115とX方向の位置が合わせられている。厚板部130AのX方向の中央には貫通孔131Aが設けられており、下面側の中央には上方向に凹んだ凹部133Aが設けられている。貫通孔131Aは、押圧部150のプランジャ部153を挿通させるために設けられており、凹部133Aは、押しボタンスイッチ125Bを収容するために設けられている。厚板部130Aは、十分な厚さがあるためキートップ140の操作が行われても変形しない。このような厚板部130Aがある部分に押しボタンスイッチ125Bを配置することで、押しボタンスイッチ125Bを薄板部130Bの変形から隔離するための剛体を設ける必要がなくなり、部品点数を削減できる。これは、Y方向の薄型化にも有利である。
【0026】
また、厚板部130Aの下面側の凹部133AのX方向における両側には、厚板部130Aの下面(下端)から下方に延びる2本の脚部132Aがそれぞれ設けられている。脚部132Aは、起歪体130の厚板部130Aの下面と、金属プレート110の基部110Aの上面との間にスペーサ115及びFPC120を挟んで密着させた状態で、基部110Aの貫通孔111A、スペーサ115の貫通孔115A、及びFPC120の貫通孔121Aに挿通され、基部110Aの下面側で加熱溶融によって変形させてから冷却して固化させることで、金属プレート110にかしめられる(固定される)。脚部132Aの下端を貫通孔111Aの開口サイズよりも大きくなるように変形させることで、起歪体130の厚板部130Aの下面と、金属プレート110の基部110Aの上面との間で、スペーサ115及びFPC120を固定することができる。
【0027】
薄板部130Bは、厚板部130AのX方向の両側に連続的に設けられており、厚板部130Aよりも厚さが薄い部分である。薄板部130Bには、厚さ方向に貫通する貫通孔131Bが1つずつ設けられている。貫通孔131Bに下側から挿通されるねじ135がキートップ140に固定されることによって、薄板部130Bはキートップ140の長手方向における両端側の凸部142と固定される。薄板部130Bは、厚板部130Aよりも薄いため、厚板部130AよりもZ方向に変形し易い。FPC120の基部120Aのうちの薄板部130Bの下面に接着される部分の下面には歪検出素子125Aが実装されるので、薄板部130BがZ方向に変形すると歪検出素子125Aの抵抗値が変化する。
【0028】
キートップ140は、基部141、凸部142、ネジ穴143、突起部144を有する樹脂製の部材である。キートップ140は、一例として電子機器10(
図1参照)の利用者が手等で直接触れて操作する部分である。
【0029】
基部141は、平面視で矩形状の上面(天面)141Aと、上面141Aの四辺に連なる4つの側面141Bとを有する直方体状の部材であり、X方向及びY方向の中央部においてZ方向に貫通する貫通孔141Cを有する。貫通孔141Cの内部には、押圧部150が収納される。
【0030】
凸部142は、基部141のX方向の両端側の下端から下方に突出している。キートップ140の下端は、X方向の両端の凸部142が最も下方に突出しており、2つの凸部142の間の部分は、凸部142よりも上側に位置する。
【0031】
ネジ穴143は、凸部142の下面側から上側に向かって延在しており、基部141の内部にまで達している。ネジ穴143には起歪体130の貫通孔131Bに挿通されるねじ135がねじ止めされる。
【0032】
突起部144は、基部141の下側から下方に向けて突出する円柱状の部材であり、X方向において、凸部142よりも内側で貫通孔141Cよりも外側に設けられている。突起部144のX方向における位置は、起歪体130との関係では厚板部130Aよりも外側で薄板部130Bと重なる位置である。突起部144の下端は、薄板部130Bには接触しておらず、薄板部130Bの上面との間には間隔が設けられている。突起部144は、押圧部150のガイドアーム152の貫通孔152Aに挿通され、キートップ140に対して押圧部150が上下方向に移動する際に押圧部150を上下方向に案内する。
【0033】
押圧部150は、基部151、ガイドアーム152、及びプランジャ部153を有する。基部151は、平面視で長円形の柱状の部材であり、X方向における両側の下端からはガイドアーム152が±X方向に延在している。ガイドアーム152は、平面視で略S字状のアームであり、先端に貫通孔152Aを有する。貫通孔152Aは、ガイドアーム152の先端でZ方向に貫通している。また、基部151の下面の中央からはプランジャ部153が下方に突出している。プランジャ部153は、起歪体130の貫通孔131Aに挿通され、押圧部150が下方に押圧されていない状態でプランジャ部153の下端は押しボタンスイッチ125Bの上面に当接している。押圧部150が電子機器10(
図1参照)の利用者によって下方に押圧されると、プランジャ部153は押しボタンスイッチ125Bを押圧する。これにより、ドーム125B1が押圧されて金属片125B2に接触することで押しボタンスイッチ125Bがオンになる。利用者が押圧部150を離すと、ドーム125B1が元の形状に復帰することにより、押圧部150は押圧前の位置に戻る。
【0034】
以上のような入力デバイス100において、キートップ140の押圧部150よりも+X方向側の上面が押圧されると、キートップ140の+X方向側の下端142Aによって起歪体130の+X方向側の薄板部130Bが下方に押圧される。このとき厚板部130Aは殆ど変形しないため、+X方向側の薄板部130Bは厚板部130Aを支点として+X方向側の先端が下方に押圧され、湾曲するように変形する。歪検出素子125Aは、FPC120の下面に設けられており、FPC120は起歪体130の下面に設けられているため、+X方向側の薄板部130Bが下方に押圧されると、+X方向側の歪検出素子125AはX方向に縮むように変形する。この結果、+X方向側の歪検出素子125Aの抵抗値が低下し、ハーフブリッジ回路における2つの歪検出素子125Aの中点における電位が変化する。このため、2つの歪検出素子125Aの中点における電位に基づいて、キートップ140の押圧部150よりも+X方向側の上面が押圧されたことを検知できる。
【0035】
また、このようにキートップ140の押圧部150よりも+X方向側の上面が押圧されるときに入力デバイス100の-X方向側で次のような動作が生じる場合がある。キートップ140の-X方向側の下端142Aが起歪体130の-X方向側の薄板部130Bを上側に引っ張ることによって、-X方向側の歪検出素子125AがX方向に引き延ばされるように変形して抵抗値が変化する場合がある。このような-X方向側の歪検出素子125Aの抵抗値の変化は、キートップ140の剛性が比較的高い場合、及び/又は、起歪体130の剛性が比較的低くてZ方向に変形し易い場合に生じ得る。-X方向側の歪検出素子125AがX方向に引き延ばされると、抵抗値は増大するため、+X方向側の歪検出素子125Aの抵抗値の変化とは逆であり、ハーフブリッジ回路における2つの歪検出素子125Aの中点における電位の変化の方向は同一であり、絶対値が大きくなる。このため、入力デバイス100の-X方向側で上述のような動作が生じない場合と同様に、2つの歪検出素子125Aの中点における電位に基づいて、キートップ140の押圧部150よりも+X方向側の上面が押圧されたことを検知できる。
【0036】
また、キートップ140の押圧部150よりも-X方向側の上面が押圧されると、キートップ140の押圧部150よりも+X方向側の上面が押圧される場合とはX方向において±が逆の動きが生じるため、2つの歪検出素子125Aの中点における電位に基づいて、キートップ140の押圧部150よりも-X方向側の上面が押圧されたことを検知できる。
【0037】
また、押圧部150が押圧されると、プランジャ部153の下端が押しボタンスイッチ125Bを直接押圧し、このときにはキートップ140には力は掛からず、2つの歪検出素子125Aの抵抗値は変化しないため、押しボタンスイッチ125Bの出力に基づいて押圧操作を確実に検知することができる。また、押圧部150がZ方向に対して斜めに押圧されても、押圧操作を押しボタンスイッチ125Bの出力に基づいて確実に検出することができる。
【0038】
したがって、操作方法の異なる2種類の操作を容易に区別可能な入力デバイス100を提供することができる。また、キートップ140の+X方向側又は-X方向側を下方向に押圧する操作と押圧部150を押圧する操作とが同時に行われた場合には、両方の操作が行われていることを確実に検知することができる。また、起歪体130がX方向(長手方向)においてZ方向に変位する構成としたため、Y方向(短手方向)の幅を狭くすることができ、金属プレート110の取付部110Bを基部110Aに対して折り曲げたため、Y方向の幅が非常に薄い入力デバイス100を提供することができる。このような入力デバイス100は、薄型の電子機器10(
図1参照)の幅の狭い側面への実装に好適である。
【0039】
なお、以上では、押しボタンスイッチ125Bを用いる形態について説明したが、押しボタンスイッチ125Bの代わりに歪検出素子を用いて押圧操作を検出するようにしてもよい。この場合には、押圧部150の操作のためのストロークをより短くすることができる。また、以上では、歪検出素子125Aと押しボタンスイッチ125BをFPC120に実装する形態について説明したが、入力デバイス100がFPC120を含まずに起歪体130に歪検出素子125Aと押しボタンスイッチ125Bを実装してもよい。
【0040】
また、
図6乃至
図8に示すような構成にしてもよい。
図6乃至
図8は、実施形態1の変形例の入力デバイス100Mを示す図である。入力デバイス100Mは、金属プレート110、スペーサ115、FPC120、歪検出素子125A、押しボタンスイッチ125B、起歪体130M、キートップ140M、押圧部150、及びばね160を含む。ここでは、
図1乃至
図5に示す入力デバイス100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、
図6乃至
図8では、歪検出素子125A、押しボタンスイッチ125Bを省略する。また、
図7及び
図8ではキートップ140Mを透過的に示す。また、
図6乃至
図7では、金属プレート110の取付部110BにX方向に2つ形成される貫通孔111Bのうちの一方にねじ113が挿通されている状態を示す。
【0041】
入力デバイス100Mは、入力デバイス100の起歪体130、キートップ140を起歪体130M、キートップ140Mに置き換え、ばね160を追加した構成を有する。
【0042】
起歪体130Mは、厚板部130MAと薄板部130MBを有する。厚板部130MAは、貫通孔131Aと、脚部132A(図示を省略、
図5を援用)と、軸部133MAとを有する。厚板部130MAは、厚板部130Aに軸部133MAを追加した構成を有する。軸部133MAは、厚板部130MAのX方向の中央における±Y方向側の側面から±Y方向に突出する円柱状の軸部である。
【0043】
薄板部130MBは、薄板部130Bの貫通孔131Bの代わりに凸部131MBを有する。凸部131MBは、薄板部130MBのX方向における端部の上面から突出した部分であり、ばね160を嵌め込むために設けられている。凸部131MBにはばね160の下端が嵌め込まれた状態で固定される。
【0044】
キートップ140Mは、基部141の代わりに基部141Mを有し、また、ネジ穴143を有しない代わりに、脚部143Mを有する。基部141Mは、
図7及び
図8に示すように、ばね160の上端を下面側で保持可能に構成されている。また、脚部143Mは、キートップ140Mの±Y方向側の側面141BのX方向の中央部から下方に延在する壁状の部分であり、Y方向に貫通する軸孔143MAを有する。軸孔143MAは、XZ面視で円形であり、中心はキートップ140MのX方向の長さの中心に一致している。軸孔143MAのZ方向の位置は、キートップ140Mの貫通孔141Cに押圧部150を挿通させた状態で起歪体130Mの軸部133MAを軸孔143MAに挿通させると、プランジャ部153の下端が押しボタンスイッチ125B(
図5参照)の上端に当接する位置に設定されている。
【0045】
キートップ140Mの貫通孔141Cに押圧部150を挿通させた状態で、基部141Mの下面側と起歪体130Mの凸部131MBとの間に2つのばね160を嵌め込み、キートップ140Mの軸孔143MAに起歪体130Mの軸部133MAを挿通させると、
図7に示すように入力デバイス100Mを組み立てることができる。この状態で、2つのばね160は、自然長よりも収縮された状態である。2つのばね160は同一構造を有するためばね定数は等しく、キートップ140Mの長手方向の中心に対して対称な位置に配置されているため、キートップ140Mが操作されていない状態では、キートップ140Mは、起歪体130Mに対して2つのばね160によって保持され、バランスが保たれている。
【0046】
キートップ140Mの押圧部150よりも-X方向側を押圧すると、
図8に示すようにキートップ140Mが軸孔143MAに挿通された軸部133MAを回転中心として回動する。キートップ140Mの回動は、凸部142の下端が起歪体130Mの上面に当接することで規制される。このときに、-X方向側の薄板部130MBは、キートップ140Mの凸部142の下端によって下方に押圧されるため、-X方向側の歪検出素子125Aの抵抗値が変化する。このため、キートップ140Mの-X方向側に押圧操作が行われたことを検知できる。また、凸部142の下端が起歪体130Mの薄板部130MBの上面に接触している状態で、さらにキートップ140Mを下方に押圧すれば、歪検出素子125Aの抵抗値がさらに変化するため、このことによってもキートップ140Mの操作を検知することができる。また、キートップ140Mの+X方向側に押圧操作が行われたことも同様に検知できる。また、押圧部150の押圧操作は、
図1乃至
図5に示す入力デバイス100と同様である。
【0047】
このため、2つの歪検出素子125Aの中点における電位と、押しボタンスイッチ125Bの出力とに基づいて、キートップ140Mの+X方向側又は-X方向側を下方向に押圧する操作と、押圧部150を押圧する操作とを別々に確実に検知することができる。したがって、操作方法の異なる2種類の操作を容易に区別可能な入力デバイス100Mを提供することができる。また、2種類の操作が同時に行われた場合には、2種類の操作が行われていることを別々に確実に検知することができる。また、キートップ140Mの押圧部150よりも-X方向側又は+X方向側を押圧すると、キートップ140Mが軸部133MAを回転中心として回動するため、回動による操作感を提供できる。
【0048】
<実施形態2>
図9は、実施形態2の入力デバイス200を示す図である。入力デバイス200は、金属プレート110、FPC220、歪検出素子125A、押しボタンスイッチ125B、起歪体230、キートップ240、及び押圧部150を含む。ここでは、実施形態1の入力デバイス100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、
図9に加えて
図10及び
図11を用いて説明する。
図10は、キートップ240及び押圧部150を取り外した状態を示す図である。
図11は、入力デバイス200の構成と動作を説明するための図である。
図11(A)、(B)は、キートップ240の-X方向の上面を押圧するときの動作を説明する図であり、
図11(C)は、
図9のB-B矢視断面を示し、押圧部150の押圧操作を行うときの動作を説明する図である。
【0049】
実施形態2の入力デバイス200は、スペーサ115を省略し、FPC120、起歪体130、キートップ140の代わりに、FPC220、起歪体230、キートップ240を含む点が実施形態1の入力デバイス100と異なる。FPC220は、基部220A及び配線部220Bを有し、基部220Aの上面に歪検出素子125A及び押しボタンスイッチ125Bの両方が実装されており、起歪体230の上面に配置される点が実施形態1のFPC120と異なる。
【0050】
起歪体230は、厚板部230Aと薄板部230Bを有し、一例として熱可塑性を有する樹脂製である。起歪体230は、スペーサ115(
図5参照)を介さずに、金属プレート110の基部110Aの上面に載置される。
【0051】
厚板部230Aは、薄板部230Bよりも厚さが厚く、2つの薄板部230BのX方向における間に位置する。厚板部230Aと薄板部230Bの上面は平坦であり、FPC220の基部220Aが接着される。厚板部230Aと薄板部230Bの上面を平坦にしたのは、FPC220の密着性を良くするためである。起歪体230は、厚板部230Aの下面の方が薄板部230Bの下面よりも下に位置する。また、厚板部230Aと薄板部230Bの上面を平坦にすることにより、起歪体230の製造が容易になる。
【0052】
厚板部230Aは、突起部231A(
図9、
図10参照)と脚部232A(
図11参照)を有するが、実施形態1の厚板部130Aのように貫通孔131A(
図5参照)を有しない。貫通孔131Aを有しないのは、起歪体230の上に配置されるFPC220の上面に押しボタンスイッチ125Bが配置されるからである。
【0053】
突起部231Aは、X方向(起歪体230の長手方向)の中心における±Y方向側の側面から±Y方向(起歪体230の短手方向)に突出している。脚部232Aは、実施形態1の脚部132Aと同様であり、厚板部230Aの下面から下方に延びている。
【0054】
薄板部230Bは、X方向における端部に、係合孔231Bと突起部232B(
図10参照)を有する。係合孔231Bは、±X方向側の薄板部230Bの±X方向側の端部において、Y方向の中央部に形成された平面視で矩形状の貫通孔である。係合孔231Bは、キートップ240を起歪体230に係合させるために用いられる。突起部232Bは、+X方向側の薄板部230Bの+X方向側の端部と、-X方向側の薄板部230Bの-X方向側の端部とにおいて、±Y方向側の両側の側面から外側に突出している。厚板部230Aの突起部231A以外の部分と、薄板部230Bの突起部232B以外の部分とのY方向の幅は等しく、突起部231Aと突起部232Bが±Y方向に突出する長さは等しい。
【0055】
キートップ240は、基部241、係合部242A、接触部242B、接触部242C、突起部244を有する樹脂製の部材である。キートップ240は、一例として電子機器10(
図1参照)の利用者が手等で直接触れて操作する部分である。
【0056】
基部241は、平面視で矩形状の上面(天面)241Aと、上面241Aの四辺に連なる4つの側面241Bとを有する直方体状の部材であり、X方向及びY方向の中央部においてZ方向に貫通する貫通孔241Cを有する。貫通孔241Cの内部には、押圧部150が収納される。
【0057】
係合部242Aは、基部241の長手方向の両端にある側面241BのY方向の幅の中央において、下方に延在する部分である。係合部242Aは、下端から長手方向の外側に突出する爪部242A1を有する。係合部242Aは、キートップ240が起歪体230に取り付けられる際に、起歪体230の係合孔231Bに挿入され、爪部242A1が係合孔231Bの下面側に係合する。
【0058】
接触部242Bは、基部241の四隅の下端に設けられており、側面241Bよりも下方に突出している。上面241Aから基部241の4つの接触部242Bの下端までの距離は等しく、キートップ240が起歪体230に取り付けられて爪部242A1が係合孔231Bの下面側に係合した状態で、4つの接触部242Bの下端は起歪体230の突起部232Bの上面に当接する。接触部242Bは、長手方向の両端側の側面241BのY方向の両端の下端が下方に延長された部分であり、側面241Bの一部分として捉えることができる。
【0059】
接触部242Cは、基部241の長手方向に沿った側面241Bの長手方向における中心の下端から下方に突出しており、キートップ240が起歪体230に取り付けられて爪部242A1が係合孔231Bの下面側に係合した状態で、2つの接触部242Cの下端は、起歪体230の突起部231Aの上面に当接する。上面241Aから基部241の2つの接触部242Cの下端までの距離は等しく、上面241Aから基部241の4つの接触部242Bの下端までの距離と等しい。接触部242Cは、長手方向に延在する側面241Bの長手方向における中央部の下端が下方に延長された部分であり、側面241Bの一部分として捉えることができる。
【0060】
突起部244は、実施形態1のキートップ140の突起部144と同様であり、押圧部150のガイドアーム152の貫通孔152Aに挿通され、キートップ240に対して押圧部150が上下方向に移動する際に押圧部150を上下方向に案内する。
【0061】
キートップ240が起歪体230に取り付けられて爪部242A1が係合孔231Bの下面側に係合した状態で、4つの接触部242Bの下端は起歪体230の突起部232Bの上面に当接するとともに、2つの接触部242Cの下端は起歪体230の突起部231Aの上面に当接する。起歪体230の厚板部230A及び薄板部230Bの突起部231A及び突起部232B以外の部分のY方向の幅は、キートップ240のY方向の幅よりも狭い。起歪体230とキートップ240が接触して操作による荷重が掛かる箇所を突起部232B及び接触部242B(4箇所)と、突起部231A及び接触部242C(2箇所)とに限ることにより、キートップ140に掛かる荷重を起歪体230に正確に伝達して確実に変形させることができる。また、上面241Aから4つの接触部242Bと2つの接触部242Cとの高さ方向の長さを揃えることにより、高さ方向の調整が不要になり、高い寸法精度が得られる。また、起歪体230とキートップ240との一体性をより向上させることができる。また、起歪体230とキートップ240との接触箇所が限られることにより、組み立てや加工が容易になる。
【0062】
以上のような構成の入力デバイス200において、
図11(A)、(B)の矢印(1)で示すようにキートップ240の押圧部150よりも-X方向側の上面241Aが下向きに押圧されると、
図11(B)の矢印(2)で示すように-X方向側の薄板部230Bの-X方向側の端部にある突起部232Bがキートップ240の接触部242Bによって下方に押圧される。このため、-X方向側の歪検出素子125AはX方向に引き延ばされて抵抗値が増大する。また、このときに+X方向側の歪検出素子125Aの抵抗値は変化しないか、又は変化が生じてもX方向に縮められて抵抗値が低下することになる。このため、ハーフブリッジ回路における2つの歪検出素子125Aの中点における電位が変化し、キートップ240の押圧部150よりも-X方向側の上面が押圧されたことを検知できる。
【0063】
また、
図11(C)に矢印(3)で示すように押圧部150が押圧されると、プランジャ部153の下端が押しボタンスイッチ125Bを直接押圧し、このときにはキートップ240には力は掛からず、2つの歪検出素子125Aの抵抗値は変化しないため、押しボタンスイッチ125Bの出力に基づいて押圧操作を確実に検知することができる。また、押圧部150が押圧される際にキートップ240の長手方向における中央が同時に下方に押圧されても、矢印(4)で示すように接触部242Bが突起部232Bの上面に当接するとともに、接触部242Cの下端が突起部231Aの上面に当接することで起歪体230に対してキートップ240がX方向において均等に支えられ、2つの薄板部230Bに歪みは生じない。また、押圧部150がZ方向に対して斜めに押圧されても、押圧操作を押しボタンスイッチ125Bの出力に基づいて確実に検出することができる。
【0064】
したがって、操作方法の異なる2種類の操作を容易に区別可能な入力デバイス200を提供することができる。また、キートップ140の+X方向側又は-X方向側を下方向に押圧する操作と、押圧部150とが同時に行われた場合には、2種類の操作が行われていることを別々に確実に検知することができる。また、起歪体230がX方向(長手方向)においてZ方向に変位する構成としたため、Y方向(短手方向)の幅を狭くすることができ、金属プレート110の取付部110Bを基部110Aに対して折り曲げたため、Y方向の幅が非常に薄い入力デバイス200を提供することができる。このような入力デバイス200は、薄型の電子機器10(
図1参照)の幅の狭い側面への実装に好適である。
【0065】
なお、以上では、起歪体230が突起部231Aを有し、キートップ240が突起部231Aに接触する接触部242Cを有する形態について説明したが、入力デバイス200は、起歪体230が突起部231Aを有さず、かつ、キートップ240が接触部242Cを有しない構成であってもよい。
【0066】
以上、本発明の例示的な実施形態の入力デバイスについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 入力デバイス
110 金属プレート
120 FPC
125A 歪検出素子
125B 押しボタンスイッチ
130、130M、230 起歪体
130A、130MA、230A 厚板部
130B、130MB、230B 薄板部
231A、232B 突起部
140、140M、240 キートップ
242B、242C 接触部
150 押圧部