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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A01D61/00 301G
A01D61/00 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020112945
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011657
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福田 功貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋也
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲治
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-233927(JP,A)
【文献】特開2004-337048(JP,A)
【文献】特開2011-155847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00
A01D 57/00
A01D 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立穀稈の株元を切断して植立穀稈を刈り取る刈取部、および、前記刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、
前記供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられ、
前記供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部と、が備えられ、
前記株元搬送ガイド杆に、前記株元搬送ガイド杆を支持フレームに脱着可能に連結する第1連結部が備えられ、
前記第1連結部は、前記支持フレームに対して脱着可能であり、
前記第1連結部に、前記無端回動株元搬送体に対する前記株元搬送ガイド杆の位置決めを行う第1位置決め機構と、前記支持フレームに対する前記株元搬送ガイド杆の固定を行う第1ロック機構と、が備えられ、
前記穂先搬送ガイド杆に、前記穂先搬送ガイド杆を前記支持フレームに脱着可能に連結する第2連結部が備えられ、
前記第2連結部に、前記無端回動穂先搬送体に対する前記穂先搬送ガイド杆の位置決めを行う第2位置決め機構と、前記支持フレームに対する前記穂先搬送ガイド杆の固定を行う第2ロック機構と、が備えられ、
前記株元搬送ガイド杆は、前記支持フレームに支持され、
前記穂先搬送ガイド杆に備えられた前記第2連結部が前記株元搬送ガイド杆に備えられた前記第1連結部に連結されることにより、前記穂先搬送ガイド杆は、前記株元搬送ガイド杆に支持されることによって前記支持フレームに支持されるコンバイン。
【請求項2】
前記第1位置決め機構は、3次元方向のうちの2次元方向における前記株元搬送ガイド杆の位置決めを行い、
前記第1ロック機構は、前記3次元方向のうちの残りの1次元方向における前記株元搬送ガイド杆の固定を行い、
前記第2位置決め機構は、3次元方向のうちの2次元方向における前記穂先搬送ガイド杆の位置決めを行い、
前記第2ロック機構は、前記3次元方向のうちの残りの1次元方向における前記穂先搬送ガイド杆の固定を行う請求項1に記載されたコンバイン。
【請求項3】
前記第1位置決め機構および前記第2位置決め機構は、ピン孔部と、前記ピン孔部に係入される位置決めピンと、を有している請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方は、手動による締め付け操作可能な締結具を有している請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方に、受け部と、前記受け部から延出された頭付きピンと、前記頭付きピンの頭部よりも大きなピン孔部を有し、前記ピン孔部に前記頭付きピンを通した状態で前記受け部に面当りする当接部と、前記当接部を前記受け部に当接させた状態で、前記頭付きピンの頭部と前記当接部との間の隙間に嵌め込まれるクサビ部材と、が備えられ、
前記クサビ部材は、前記隙間に嵌入する状態と、前記隙間から外される状態とに姿勢可能に備えられている請求項1から4のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記頭付きピンは、前記受け部から機体横外側向きに延出され、
前記当接部は、前記受け部に対して機体横外側から当接されるように構成されている請求項5に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインには、植立穀稈の株元を切断して植立穀稈を刈り取る刈取部、および、刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられたものがある。
この種のコンバインとしは、たとえば特許文献1に示されるものがある。特許文献1に示されるコンバインでは、植立穀稈を株元側で刈り取る刈取装置、刈取装置からの刈取穀稈を後方向きに搬送する供給装置を有する刈取前処理部が備えられ、供給装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有する脱穀装置が備えられている。
この種のコンバインにおいては、供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部と、を備えられたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-263852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば供給搬送装置に穀稈が詰まった際、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の支持部に対する連結を解除して株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置から取り出して詰まりを解消し、詰まりを解消できると、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置に付け戻すのであるが、従来では、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を支持部に連結する複数の連結ボルトを付け戻す必要があり、また工具を準備する必要があるなど、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置に付け戻すのに手間が掛かるので、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置に対して手早く付け戻すことができるコンバインを要望されている。
【0005】
本発明は、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置に手早く付け戻すことができるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、
植立穀稈の株元を切断して植立穀稈を刈り取る刈取部、および、前記刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、前記供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられ、前記供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部と、が備えられ、前記株元搬送ガイド杆に、前記株元搬送ガイド杆を支持フレームに脱着可能に連結する第1連結部が備えられ、前記第1連結部は、前記支持フレームに対して脱着可能であり、前記第1連結部に、前記無端回動株元搬送体に対する前記株元搬送ガイド杆の位置決めを行う第1位置決め機構と、前記支持フレームに対する前記株元搬送ガイド杆の固定を行う第1ロック機構と、が備えられ、前記穂先搬送ガイド杆に、前記穂先搬送ガイド杆を前記支持フレームに脱着可能に連結する第2連結部が備えられ、前記第2連結部に、前記無端回動穂先搬送体に対する前記穂先搬送ガイド杆の位置決めを行う第2位置決め機構と、前記支持フレームに対する前記穂先搬送ガイド杆の固定を行う第2ロック機構と、が備えられ、前記株元搬送ガイド杆は、前記支持フレームに支持され、前記穂先搬送ガイド杆に備えられた前記第2連結部が前記株元搬送ガイド杆に備えられた前記第1連結部に連結されることにより、前記穂先搬送ガイド杆は、前記株元搬送ガイド杆に支持されることによって前記支持フレームに支持される。
【0007】
本構成によると、無端回動株元搬送体に対する株元搬送ガイド杆の位置合わせを第1位置決め機構によって行わせた状態で株元搬送ガイド杆を第1ロック機構によって支持フレームに固定でき、無端回動穂先搬送体に対する穂先搬送ガイド杆の位置合わせを第2位置決め機構によって行わせた状態で穂先搬送ガイド杆を第2ロック機構によって支持フレームに固定できるので、株元搬送ガイド杆の無端回動株元搬送体に対する位置合わせができた状態で株元搬送ガイド杆を供給搬送装置に付け戻し、穂先搬送ガイド杆の無端回動穂先搬送体に対する位置合わせができた状態で穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置に付け戻すのに、株元搬送ガイド杆を無端回動株元搬送体に対して位置合わせする特別な手間を掛けずに、かつ、穂先搬送ガイド杆を無端回動穂先搬送体に対して位置合わせする特別手間を掛けずに操作簡単かつ手早くできる。
【0008】
【0009】
本構成によると、株元搬送ガイド杆を支持フレームから分離させると、穂先搬送ガイド杆が株元搬送ガイド杆と共に支持フレームから分離するので、株元搬送ガイド杆と穂先搬送ガイド杆を一挙に供給搬送装置から取り出すことができる。
【0010】
本発明においては、
前記第1位置決め機構は、3次元方向のうちの2次元方向における前記株元搬送ガイド杆の位置決めを行い、前記第1ロック機構は、前記3次元方向のうちの残りの1次元方向における前記株元搬送ガイド杆の固定を行い、前記第2位置決め機構は、3次元方向のうちの2次元方向における前記穂先搬送ガイド杆の位置決めを行い、前記第2ロック機構は、前記3次元方向のうちの残りの1次元方向における前記穂先搬送ガイド杆の固定を行うと好適である。
【0011】
本構成によると、第1ロック機構による株元搬送ガイド杆の固定によって3次元方向のうちの残りの1次元方向における株元搬送ガイド杆の位置決めを行わせられるので、3次元方向すべてにおける株元搬送ガイド杆の位置決めを位置決め機構に行わせるのに比べ、第1位置決め機構の構造を2次元方向における位置決めを行うだけの簡素な構造に済ませられる。第2ロック機構による穂先搬送ガイド杆の固定によって3次元方向のうちの残りの1次元方向における穂先搬送ガイド杆の位置決めを行わせられるので、3次元方向すべてにおける穂先搬送ガイド杆の位置決めを位置決め機構に行わせるのに比べ、第2位置決め機構の構造を2次元方向における位置決めを行うだけの簡素な構造に済ませられる。
【0012】
本発明においては、前記第1位置決め機構および前記第2位置決め機構は、ピン孔部と、前記ピン孔部に係入される位置決めピンと、を有していると好適である。
【0013】
本構成によると、第1位置決め機構および第2位置決め機構を作用状態にするのに位置決めピンをピン孔部に係入させるだけの簡単な操作で行える。
【0014】
本発明においては、
前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方は、手動による締め付け操作可能な締結具を有していると好適である。
【0015】
本構成によると、第1ロック機構及び第2ロック機構の少なくとも一方は、工具を準備しなくても、手動操作で作用状態にできる。
【0016】
本発明においては、
前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方に、受け部と、前記受け部から延出された頭付きピンと、前記頭付きピンの頭部よりも大きなピン孔部を有し、前記ピン孔部に前記頭付きピンを通した状態で前記受け部に面当りする当接部と、前記当接部を前記受け部に当接させた状態で、前記頭付きピンの頭部と前記当接部との間の隙間に嵌め込まれるクサビ部材と、が備えられ、前記クサビ部材は、前記隙間に嵌入する状態と、前記隙間から外される状態とに姿勢可能に備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構の少なくとも一方は、クサビ部材を頭付きピンの頭部と当接部との間の隙間に嵌入させるだけの簡単な操作で作用状態にできる。
【0018】
本発明においては、
前記頭付きピンは、前記受け部から機体横外側向きに延出され、前記当接部は、前記受け部に対して機体横外側から当接されるように構成されていると好適である。
【0019】
本構成によると、頭付きピンをピン孔部に対して係脱させる操作、および、クサビ部材の姿勢切換操作を機体横外側から行い易いので、ロック機構を操作し易い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コンバインの全体を示す左側面図である。
図2】刈取部および供給搬送装置を示す平面図である。
図3】株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の支持構造を示す平面図である。
図4】株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の支持構造を示す前面図である。
図5】第1支持部を示す平面図である。
図6】第1位置決め機構、第1ロック機構、第2位置決め機構および第2ロック機構を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、図1に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、紙面表側の方向を「機体左方」、紙面裏側の方向を「機体右方」とする。
【0022】
〔コンバインの全体〕
コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1、機体フレーム1の下部に設けられた左右一対のクローラ式走行装置2を有する走行機体を備えている。走行機体の前部における横一側部に、運転座席3を有する運転部4が設けられている。走行機体の前部における運転部側とは反対側の横側部に、稲や麦の植立穀稈を刈取り、刈取穀稈を後方に搬送する刈取前処理部5が設けられている。刈取前処理部5は、下降作業状態と上昇非作業状態とに昇降操作可能に設けられている。走行機体の後部に、脱穀装置6が設けられている。脱穀装置6は、刈取前処理部5によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーン7を有し、刈取穀稈の株元側部が脱穀フィードチェーン7によって挟持搬送されて刈取穀稈の穂先側が扱室(図示せず)に挿入され、穂先側を回転する扱胴(図示せず)によって脱穀処理し、脱穀処理によって得られた穀粒と切れワラなどの塵埃とを選別する選別処理を行う。走行機体の後部における脱穀装置側とは反対側の横側部に、脱穀装置6によって得られた穀粒を回収して貯留する穀粒タンク8が設けられている。穀粒タンク8の後部に、穀粒タンク8から穀粒を排出する穀粒排出装置9が接続されている。
【0023】
〔刈取前処理部の構成〕
図1に示されるように、刈取前処理部5は、刈取前処理部5の前部に設けられた刈取部5Aと、刈取前処理部5の後部に設けられた供給搬送装置5Bと、を備えている。
【0024】
刈取部5Aは、図1,2に示されるように、3条の植え付け条の植立穀稈を機体走行によって各別に導入する3つの引起経路10と、各引起経路10に設けられ、引起経路10に導入した植立穀稈の引起しを行う引起装置11と、引起装置11の後方に設けられ、3条分の植立穀稈の株元を切断するバリカン形の刈取装置12と、を備えている。各引起装置11の後方に、引起し処理される植立穀稈の株元側部を刈取装置12に掻き込み供給する無端回動掻込体13が設けられている。
【0025】
供給搬送装置5Bは、図1,2に示されるように、刈取装置12の上方において各無端回動掻込体13の終端部に対応させて回転可能に設けられ、刈取穀稈の株元側部を刈取装置12の後方に掻き込む回転輪体15、3つの回転輪体15のうちの左端の回転輪体15からの1条分の刈取穀稈を合流箇所14に搬送する左の中継搬送部23と、3つの回転輪体15のうちの右端の回転輪体15からの刈取穀稈および3つの回転輪体15のうちの中央の回転輪体15から刈取穀稈を合流箇所14に搬送する右の中継搬送部24と、合流箇所14に搬送された3条分の刈取穀稈を後方に搬送して脱穀フィードチェーン7の始端部に供給する合流搬送部16と、を備えている。
【0026】
合流搬送部16は、図2に示されるように、合流箇所14に搬送された刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体17と株元搬送ガイド杆18とによって後方に挟持搬送して脱穀フィードチェーン7の始端部に供給する株元挟持搬送部16Aと、合流箇所1419搬送された刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体19と穂先搬送ガイド杆20とによって脱穀フィードチェーン7に向けて係止搬送する穂先係止搬送部16Bと、を備えている。穂先係止搬送部16Bは、株元挟持搬送部16Aが刈取穀稈の株元側部を脱穀フィードチェーン7に供給するとき、刈取穀稈の穂先側部を脱穀フィードチェーン7よりも機体内側に引き寄せ、脱穀フィードチェーン7に供給される刈取穀稈を横倒れ姿勢に姿勢変更する。本実施形態では、合流搬送部16の無端回動穂先搬送体19と、右の中継搬送部24の穂先係止搬送部を構成する無端回動穂先搬送体とは、同一の無端回動穂先搬送体によって構成されている。合流搬送部16の無端回動穂先搬送体19と、右の中継搬送部24の無端回動穂先搬送体とを別々の無端回動穂先搬送体によって構成したものであってもよい。本実施形態では、無端回動株元搬送体17は、突起付きリンクを有する無端回動チェーンによって構成されている。無端回動穂先搬送体19は、リンクから延ばされた係止アームを有する無端回動チェーンによって構成されている。
【0027】
〔株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の構成〕
図1、2に示されるように、供給搬送装置5Bに、株元搬送ガイド杆18および穂先搬送ガイド杆20を支持する支持フレーム21が備えられている。支持フレーム21は、前処理部フレーム22(図1参照)から合流搬送部16における搬送経路16R(図4参照)の上方を機体横幅方向に通って搬送経路16Rの横外側に向けて延ばされている。支持フレーム21は、円形の管部材によって構成されている。
【0028】
図3,4に示されるように、株元搬送ガイド杆18および穂先搬送ガイド杆20は、支持フレーム21に脱着可能に支持される。合流搬送部16の穀稈詰まりを解消する際、株元搬送ガイド杆18および穂先搬送ガイド杆20を支持フレーム21から分離させることにより、株元搬送ガイド杆18および穂先搬送ガイド杆20を合流搬送部16(供給搬送装置5B)から取り出せる。株元搬送ガイド杆18および穂先搬送ガイド杆20を支持フレーム21に連結することにより、株元搬送ガイド杆18および穂先搬送ガイド杆20を合流搬送部16(供給搬送装置5B)に付け戻せる。
【0029】
具体的には、図3,5に示されるように、支持フレーム21の延伸端部に、株元搬送ガイド杆18を支持する第1支持部25が備えられている。第1支持部25は、図5に示されるように、支持フレーム21に連結されたベース部26と、ベース部26から後向きに延ばされた延長部27とによって構成されている。ベース部26は、支持フレーム21にボルト連結されている。ベース部26と延長部27は、溶接によって連結されている。
【0030】
図3,4に示されるように、株元搬送ガイド杆18に、株元搬送ガイド杆18を支持フレーム21に支持させる第1連結部28が備えられている。第1連結部28は、株元搬送ガイド杆18の前後方向(長手方向)での中間部に連結部材29を介して連結されている。第1連結部28は、図4に示されるように、横板部28aと、横板部28aの端部から下向きに延びる縦板部28bと、を備えている。第1連結部28の横板部28aが延長部27に備えられている載置面27aに載置され、第1連結部28の縦板部28bが延長部27に備えられている縦辺部27bに沿わされると、第1連結部28が第1支持部25に係合する。詳述すると、第1連結部28は、延長部27に係合する。
【0031】
図3,4に示されるように、第1連結部28に、無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の位置決めを行う第1位置決め機構40と、支持フレーム21に対する株元搬送ガイド杆18の固定を行う第1ロック機構50が備えられている。
【0032】
図3,4に示されるように、第1連結部28が第1支持部25に係合され、第1ロック機構50が作用状態にされると、株元搬送ガイド杆18が第1ロック機構50によって支持フレーム21に固定される。株元搬送ガイド杆18が支持フレーム21に固定されると、無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の位置決めが第1位置決め機構40によって行われ、株元搬送ガイド杆18は、株元搬送ガイド杆18の無端回動株元搬送体17に対する位置決めが行われた状態で合流搬送部16(供給搬送装置5B)に設置される。
【0033】
図3,4に示されるように、穂先搬送ガイド杆20の前後方向(長手方向)での中間部に、穂先搬送ガイド杆20を支持フレーム21に支持させる第2連結部30が備えられている。第2連結部30は、第1連結部28の上部に載置された状態で第1連結部28に支持されるように構成されている。穂先搬送ガイド杆20は、第1連結部28を介して株元搬送ガイド杆18に支持されることによって支持フレーム21に支持される。第2連結部30に、無端回動穂先搬送体19に対する穂先搬送ガイド杆20の位置決めを行う第2位置決め機構60と、支持フレーム21に対する穂先搬送ガイド杆20の固定を行う第2ロック機構70が備えられている。
【0034】
第2連結部30が第1連結部28に載置され、第2ロック機構70が作用状態にされ、かつ、第2位置決め機構60が作用状態にされると、無端回動穂先搬送体19に対する穂先搬送ガイド杆20の位置決めが第2位置決め機構60によって行われる状態で穂先搬送ガイド杆20が支持フレーム21に固定され、穂先搬送ガイド杆20は、穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する位置合わせが行われた状態で合流搬送部16(供給搬送装置5B)に設置される。
【0035】
〔第1位置決め機構〕
第1位置決め機構40は、図6に示されるように、第1支持部25に設けられた2本の位置決めピン41、第1連結部28に設けられた2つのピン孔部42と、を備えている。
【0036】
以下の説明において、図3,4に示されるように、第1支持部25の載置面27aに沿うと共に位置決めピン41の軸芯方向に沿う方向を第1方向[X]、2本の位置決めピン41が並ぶ方向を第2方向[Y]、第1支持部25の載置面27aに対して直交する方向を第3方向[Z]とする。
【0037】
第1位置決め機構40においては、第1連結部28が第1支持部25に係合されると、2本の位置決めピン41と第1連結部28とが係合して作用状態になり、第2方向[Y]における第1連結部28の第1支持部25に対する位置ずれが位置決めピン41によって抑制され、かつ、第3方向[Z]における第1連結部28の第1支持部25に対する位置ずれが位置決めピン41によって抑制される。第1位置決め機構40は、3次元方向[X、Y,Z]のうちの2次元方向[Y,Z]における株元搬送ガイド杆18の無端回動株元搬送体17に対する位置決めを行う。
【0038】
〔第1ロック機構〕
第1ロック機構50は、図6に示されるように、第1支持部25の延長部27における縦辺部27bによって構成される受け部51と、第1連結部28の縦板部28bによって構成され、受け部51に面当りする当接部52と、2本の位置決めピン41を構成している2本の頭付きピン41と、当接部52に設けられた2つのピン孔部42と、当接部52に対して受け部側とは反対側に設けられたクサビ部材53と、を備えている。
【0039】
2本の頭付きピン41は、受け部51から当接部52に向けて延出されている。2つのピン孔部42の大きさは、頭付きピン41の頭部41aよりも大きくされ、頭部41aのピン孔部42への挿通が可能になっている。
【0040】
クサビ部材53は、図4,6に示されるように、受け部51に当接された当接部52とピン孔部42に挿通された頭付きピン41の頭部41aとの間の隙間に嵌入する状態(作用状態)と、当接部52と頭部41Aとの間の隙間から外される状態(作用解除)と、に姿勢変更可能である。図6に示されるように、クサビ部材53の一端部が支持ピン54を介して当接部52に支持されている。クサビ部材53は、支持ピン54を揺動支点にして揺動操作されることによって作用状態と作用解除状態とに姿勢変更される。
【0041】
図2,3に示されるように、頭付きピン41は、受け部51から機体横外側向きに延出され、当接部52は、受け部51に対して機体横外側から当接されるように構成されている。頭付きピン41をピン孔部42に係脱させる操作、クサビ部材53の姿勢切換操作を機体横外側から行い易い。
【0042】
図4,6に示されるように、クサビ部材53を作用状態にすると、クサビ部材53が当接部52と頭部41aとの間の隙間に嵌入して頭部41aを反力点にして当接部52を押圧操作し、当接部52が受け部51に押圧されて第1連結部28が第1支持部25に圧接される。これにより、第1ロック機構50が作用状態になって支持フレーム21に対する株元搬送ガイド杆18の第1方向〔X〕での固定を行う。図6に示されるように、作用状態になったクサビ部材53と第1連結部28とに脱着可能な保持ピン55を装着することにより、クサビ部材53が保持ピン55によって作用状態の姿勢に保持される。第1ロック機構50は、3次元方向[X,Y,Z]のうち、第1位置決め機構40が行う位置決めの2次元方向[Y,Z]を除いた残りの1次元方向[X]における株元搬送ガイド杆18の支持フレーム21に対する固定を行う。
【0043】
第1ロック機構50が作用状態になって当接部52が受け部51に固定されるに伴い、第1連結部28が2本の位置決めピン41にきっちり係合して第1位置決め機構40が作用状態になる。第1ロック機構50による株元搬送ガイド杆18の支持フレーム21に対する固定が行われると同時に第1位置決め機構40による株元搬送ガイド杆18の無端回動株元搬送体17に対する位置決めが行われる。
【0044】
クサビ部材53が解除状態に姿勢変更されると、クサビ部材53による当接部52の受け部51に対する圧接が解除される。これにより、第1ロック機構50が解除状態になって株元搬送ガイド杆18の支持フレーム21に対する固定を解除し、かつ、頭付きピン41のピン孔部42からの抜け出しが可能になる。
【0045】
第1ロック機構50を解除状態にして第1連結部28を第1支持部25から分離させると、株元搬送ガイド杆18を支持フレーム21から分離させて株元搬送ガイド杆18を合流搬送部16(供給搬送装置5B)から取り出すことができる。
【0046】
第1ロック機構50を作用状態にすると、無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の2次元方向[Y,Z]での位置決めが第1位置決め機構40によって行われ、残りの1次元方向[X]における株元搬送ガイド杆18の支持フレーム21に対する固定が第1ロック機構50によって行われ、3次元方向[X,Y,Z]における無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の位置決めが行われる状態で株元搬送ガイド杆18を合流搬送部16(供給搬送装置5B)に設置できる。
【0047】
〔第2位置決機構〕
第2位置決め機構60は、図3,4に示されるように、第1の位置決めピン61と、第2の位置決めピン62と、第1のピン孔部63と、第2のピン孔部64と、を有している。
【0048】
第1のピン孔部63は、第2連結部30と第1連結部28とにわたって設けられている。第2のピン孔部64は、図3に示されるように、第1のピン孔部63に対して前後方向に離れた箇所において穂先搬送ガイド杆20に設けられている。本実施形態では、第2のピン孔部64は、第1のピン孔部63に対して前方に離れている。第1の位置決めピン61は、第1のピン孔部63に係脱可能に係入するように構成されている。第2の位置決めピン62は、支持フレーム21に備えられた第2支持部65に立設され、第2のピン孔部64に係脱可能に係入するように構成されている。第2支持部65は、支持フレーム21に支持された左の中継搬送部23が有する搬送ケースによって構成されている。
【0049】
第2位置決め機構60においては、第1方向[X]における穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する位置ずれが第1の位置決めピン61および第2の位置決めピン62によって抑制され、第2方向[Y]における穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する位置ずれが第1の位置決めピン61および第2の位置決めピン62によって抑制される。
【0050】
第2位置決め機構60は、第1の位置決めピン61が第1のピン孔部63に係入され、第2の位置決めピン62が第2のピン孔部64に係入されると、作用状態になり、穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する第1方向[X]での位置決めと、穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する第2方向[Y]での位置決めとを行う。第2位置決め機構60は、3次元方向[X,Y,Z]のうちの2次元方向[X,Y]における穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する位置決めを行う。
【0051】
第2ロック機構70は、図3,4に示されるように、手動による締め付け操作可能な締結具71を有している。締結具71は、図3,4に示されるように、第2連結部30および第1連結部28に上方から挿入し、第1連結部28の裏側に備えられている係止部72に係合させて第2連結部30を第1連結部28に締め付け連結するように構成されている。本実施形態では、締結具71は、ノブ付きボルトによって構成されている。
【0052】
第2ロック機構70は、第2連結部30が締結具71によって第1連結部28に締め付け固定されることにより、作用状態になり、穂先搬送ガイド杆20が株元搬送ガイド杆18に固定され、支持フレーム21に対する穂先搬送ガイド杆20の第3方向[Z]での固定を行う。第2ロック機構70は、3次元方向[X,Y,Z]のうち、第2位置決め機構60が行う位置決めの2次元方向[X,Y]を除いた残りの1次元方向[Z]における穂先搬送ガイド杆20の支持フレーム21に対する固定を行う。
【0053】
第2ロック機構70を解除状態にして第2連結部30を第1連結部28から分離させるか、あるいは、第2ロック機構70を作用させたままにし、第1ロック機構50を解除状態にして株元搬送ガイド杆18を支持フレーム21から分離させる。すると、穂先搬送ガイド杆20が支持フレーム21から分離し、穂先搬送ガイド杆20を合流搬送部16(供給搬送装置5B)から取り出すことができる。
【0054】
第2位置決め機構60を作用状態にし、第2ロック機構70を作用状態にすると、2次元方向[X,Y]における穂先搬送ガイド杆20の無端回動穂先搬送体19に対する位置決めが第2位置決め機構60によって行われ、3次元方向[X,Y,Z]の残りの1次元方向[Z]における穂先搬送ガイド杆20の支持フレーム21に対する固定が第2ロック機構70によって行われ、3次元方向[X,Y,Z]における無端回動穂先搬送体19に対する穂先搬送ガイド杆20の位置決めが行われる状態で穂先搬送ガイド杆20を合流搬送部16(供給搬送装置5B)に設置できる。
【0055】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、穂先搬送ガイド杆20が株元搬送ガイド杆18を介して支持フレーム21に支持される例を示したが、これに限らない。穂先搬送ガイド杆20を支持フレーム21に支持し、株元搬送ガイド杆18を穂先搬送ガイド杆20に支持することによって支持フレーム21に支持するもの、あるいは、穂先搬送ガイド杆20および株元搬送ガイド杆18を別々に支持フレーム21に支持するものであってもよい。
【0056】
(2)上記した実施形態では、第1ロック機構50にクサビ部材53が備えられ、第2ロック機構70に締結具71が備えられた例を示したがこれに限らない。たとえば、第1ロック機構50に締結具が備えられ、第2ロック機構70にクサビ部材が備えられたもの、あるいは、第1ロック機構50および第2ロック機構70の両方にクサビ部材が備えられたもの、あるいは、第1ロック機構50および第2ロック機構70の両方に締結具が備えられたものであってもよい。また、第1ロック機構50および第2ロック機構70は、たとえばパッチン錠、カム体など、クサビ部材および締結具以外の各種の固定手段を備えるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、2条、3条以外の刈取り条数を備えるコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0058】
5 刈取前処理部
5A 刈取部
5B 供給搬送装置
6 脱穀装置
7 脱穀フィードチェーン
16A 株元挟持搬送部
16B 穂先係止搬送部
17 無端回動株元搬送体
18 株元搬送ガイド杆
19 無端回動穂先搬送体
20 穂先搬送ガイド杆
21 支持フレーム
28 第1連結部
30 第2連結部
40 第1位置決め機構
41 位置決めピン、頭付きピン
41a 頭部
42 ピン孔部
50 第1ロック機構
51 受け部
52 当接部
53 クサビ部材
60 第2位置決め機構
61 位置決めピン(第1の位置決めピン)
62 位置決めピン(第2の位置決めピン)
63 ピン孔部(第1のピン孔部)
64 ピン孔部(第2のピン孔部)
70 第2ロック機構
71 締結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6