(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】開閉体制御装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/41 20150101AFI20231215BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20231215BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
E05F15/41
E05F15/611
B60J5/10 K
(21)【出願番号】P 2020129880
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2022-03-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健一
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-23867(JP,A)
【文献】特表2012-508336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
B60J 5/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる開閉体を開閉する複数の駆動部の挙動を示す信号を検出する検出部と、
前記
挙動を示す信号に基づいて前記複数の駆動部が同じ挙動を示すか否かを判定し、前記複数の駆動部が異なる挙動を示すと判定した場合、前記開閉体の開閉を許可せず、前記複数の駆動部が同じ挙動を示すと判定した場合、前記開閉体の開閉を許可する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記挙動を示す信号に基づいて、前記複数の駆動部の伸縮方向を判定し、前記
複数の駆動部の伸縮方向が異なる場合、前記複数の駆動部が異なる挙動を示すと判定する、開閉体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のテールゲートなどの開閉体を駆動する2つの駆動部の内の一方が異常状態のときに、他方の駆動部の動作を制限(制動)することで、開閉体が閉じることを防止する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の従来技術では、例えば複数の駆動部の内、何れかの駆動部の取り付けに不具合がある状態で、リモコンなどで開閉体の開閉操作が実施されると、正常に取り付けられた駆動部だけで開閉体の開閉が行われるため、当該駆動部が過負荷状態となり得る。
【0005】
本発明の目的は、駆動部の取り付けに不具合がある状態で開閉体の開閉操作が開始されることを防止できる開閉体制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開閉体制御装置は、車両に設けられる開閉体を開閉する複数の駆動部の挙動を示す信号を検出する検出部と、前記挙動を示す信号に基づいて前記複数の駆動部が同じ挙動を示すか否かを判定し、前記複数の駆動部が異なる挙動を示すと判定した場合、前記開閉体の開閉を許可せず、前記複数の駆動部が同じ挙動を示すと判定した場合、前記開閉体の開閉を許可する制御部と、を備え、前記制御部は、前記挙動を示す信号に基づいて、前記複数の駆動部の伸縮方向を判定し、前記複数の駆動部の伸縮方向が異なる場合、前記複数の駆動部が異なる挙動を示すと判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動部の取り付けに不具合がある状態で開閉体の開閉操作が開始されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る開閉体制御装置40を備えた車両100の斜視図
【
図2】本発明の実施の形態に係る開閉体制御装置40を備えた車両100の側面図
【
図4】開閉体20を閉めるときの開閉体制御装置40の動作を説明するためのフローチャート
【
図5】開閉体20を開くときの開閉体制御装置40の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る開閉体制御装置40を備えた車両100の斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る開閉体制御装置40を備えた車両100の側面図である。
【0011】
車両100には、開口部10を開状態又は閉状態にする開閉体20と、モータの回転運動を直線運動に変換することにより開閉体20を駆動する駆動部30A及び駆動部30Bとが設けられる。以下では、駆動部30A及び駆動部30Bを区別しない場合、駆動部30と称する。
【0012】
開閉体20は、例えば車両100のテールゲートである。開状態は、開口部10を介して、荷物などを車両100に出し入れできる状態である(
図2参照)。閉状態は、開口部10を閉塞した状態である(
図1参照)。なお開閉体20は、車両100のテールゲートに限定されず、車両100用のフロントフード、跳ね上げ式乗降用ドアなどでもよい。
【0013】
駆動部30は、駆動本体部30-1と駆動本体部30-1に収容される進退部30-2とを有する。
【0014】
駆動本体部30-1には第1接続部301が設けられ、第1接続部301は、車両本体の開口縁部101に接続される。
【0015】
進退部30-2には第2接続部302が設けられ、進退部30-2は、開閉体20の縁部201に接続される。
【0016】
第1接続部301及び第2接続部302は、ボールジョイント、ピンジョイント、ユニバーサルジョイントなどである。
【0017】
進退部30-2が進退動することによって、開閉体20は全閉位置(開口部10が閉塞される位置)から全開位置(開口部10が開放される位置)まで移動する。
【0018】
なお駆動部30は、開閉体20の開閉を可能とするものであればよく、その構造、形状などは特に限定されない。また駆動部30の数は、2つに限定されず、2つ以上であればよい。
【0019】
ここで、2つの駆動部30の内、一方の駆動部30の取り付けに不具合がある状態で、リモコンなどで開閉体の開閉操作が実施されると、正常に取り付けられた他方の駆動部30だけで開閉体20の開閉が行われるため、当該駆動部30が過負荷状態となり得る。
【0020】
不具合がある状態は、例えば、車両100の走行中の振動などで車両100から外れた駆動部30が、その後の作業で車両100に正常に取り付けられなかったことにより、作業ミスによって、第1接続部301及び第2接続部302の何れかが車両100に固定されていない状態である。
【0021】
なお、駆動部30の取り付けに不具合がある状態は、第1接続部301及び第2接続部302の何れかが車両100に固定されていない状態以外にも、例えば、駆動部30と開閉体制御装置40との間に配線される信号線が誤配線されている状態などを含む。
【0022】
本発明の実施の形態に係る開閉体制御装置40は、複数の駆動部30のそれぞれの挙動を示す信号に基づき、駆動部30が正常に取り付けられていると判断した場合のみ、開閉体20の開閉操作を許可するように構成されている。
【0023】
以下に
図3を参照して、開閉体制御装置40の構成例について説明する。
図3は、開閉体制御装置40の構成例を示す図である。
【0024】
開閉体制御装置40は、駆動部30を制御することによって、開閉体20を開状態から閉状態に遷移させ、又は開閉体20を閉状態から開状態に遷移させる装置である。開閉体制御装置40は、検出部41及び制御部42を備える。
【0025】
検出部41は、例えば、複数の駆動部30のそれぞれの挙動を示す信号を検出するエンコーダである。挙動を示す信号は、駆動部30に内蔵されるモータの回転角、回転量、回転方向などを示す信号であり、例えば、駆動部30に内蔵されるモータの回転状態を、ホール素子が検出することにより生成されて、制御部42に送信される。
【0026】
制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの挙動を示す信号に基づいて、複数の駆動部30が同じ挙動を示すか否かを判定し、複数の駆動部30が異なる挙動を示すと判定した場合、開閉体20の開閉を許可せず、複数の駆動部30が同じ挙動を示すと判定した場合、開閉体20の開閉操作を許可する。
【0027】
制御部42は、例えば、プロセッサ、メモリ、及び信号の伝送に利用される入出力インタフェースを備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置である。メモリは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される記憶装置である。
【0028】
プロセッサ、メモリ及び入出力インタフェースは、バスに接続され、バスを介して、各種信号の受け渡しを行う。プロセッサは、例えばROMに記憶されたプログラム、データなどを、RAM上に読み出し、処理を実行することで、開閉体制御装置40の機能を実現する。
【0029】
なお、制御部42は、車両100の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれても良く、また駆動部30に搭載されていても良い。
【0030】
制御部42は、検出部41からの挙動を示す信号に基づいて、開許可指令、開不許可指令、閉許可指令、又は閉不許可指令を出力する。
【0031】
開許可指令は、閉状態の開閉体20の開操作を有効にするための指令である。開不許可指令は、閉状態の開閉体20の開操作を無効にするための指令である。
【0032】
閉許可指令は、開状態の開閉体20の閉操作を有効にするための指令である。閉不許可指令は、開状態の開閉体20の閉操作を無効にするための指令である。
【0033】
これらの指令は制御装置50に送信される。制御装置50は、駆動部30の動作を制御する装置であり、例えばECUや車両情報管理装置などである。
【0034】
制御装置50には、操作装置51から出力される操作信号が入力される。操作装置51は、リモコンキー、車両100に搭載される操作スイッチなどである。操作信号は、開閉体20を開閉操作するための信号である。
【0035】
制御装置50は、制御部42からの指令と操作装置51からの操作信号とに基づき、駆動部30に開動作又は閉動作を実行させるための指令を生成し、駆動部30に対して送信する。これにより、開閉体20が開閉動作する。
【0036】
次に
図4を参照して、開閉体20を閉めるときの開閉体制御装置40の動作を説明する。
図4は、開閉体20を閉めるときの開閉体制御装置40の動作を説明するためのフローチャートである。
【0037】
図4に示す処理は、例えば制御装置50において、駆動部30の取り付けが完了したことを示すボタンの操作が行われた後、開状態の開閉体20を閉じるときに開始される。
【0038】
検出部41は、開閉体20が閉まるときに駆動部30から出力される信号(駆動部30の挙動を示す信号)を検出する(ステップS1)。
【0039】
制御部42は、検出部41で検出された信号に基づき、複数の駆動部30の駆動速度、縮み量などを算出し、また駆動部30が伸縮する方向を判定する。
【0040】
具体的には、駆動部30に内蔵されるモータの回転状態を検出するホール素子が、当該モータの回転軸の回転に伴って磁石の位置が変化したときの磁界分布の変化を捕捉し、挙動を示す信号であるパルスを発生する。制御部42は、このパルスを計数してカウント値を算出する。
【0041】
制御部42は、単位時間当たりのカウント値の変化量によって、開閉体20が閉まるときにおける、駆動部30の駆動速度を算出する。制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの駆動速度を比較することによって、開閉体20が閉まるときにおける駆動速度の差を算出する。
【0042】
また、例えば、2相タイプ(A相、B相)のエンコーダが利用される場合、モータが回転することで、A相とB相のそれぞれのパルスの立ち上がり位置のずれ量、又は、A相とB相のそれぞれのパルスの立ち下がり位置のずれ量が90°に設定されている。制御部42は、このように互いの位相が90°ずれている複数のパルスの立ち上がり位置又は立ち下がり位置の違いを検出することによって、開閉体20が閉まるときにおける駆動部30が伸縮する方向を判定する。
【0043】
また制御部42は、カウント値の変化量によって、開閉体20が閉まるときにおける、駆動部30の縮み量を算出する。
【0044】
その後、制御部42は、駆動速度の差が所定値よりも小さいか否かを判定する(ステップS2)。
【0045】
制御部42は、駆動速度の差が所定値よりも小さい場合(ステップS2,YES)、ステップS3の処理を実行し、駆動速度の差が所定値以上の場合(ステップS2,NO)、ステップS7の処理を実行する。
【0046】
ステップS3において、制御部42は、複数の駆動部30の伸縮方向が全て縮む方向であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0047】
制御部42は、複数の駆動部30の伸縮方向が全て縮む方向である場合(ステップS3,YES)、ステップS4の処理を実行する。
【0048】
また、制御部42は、複数の駆動部30の伸縮方向が異なる場合(ステップS3,NO)、ステップS7の処理を実行する。
【0049】
ステップS4において、制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの縮み量が等しいか否かを判定する(ステップS4)。
【0050】
そして、制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの縮み量が等しい場合(ステップS4,YES)、ステップS5の処理を実行する。縮み量が等しいとは、各駆動部30の製造公差などを加味した場合に等しい概念を含む。
【0051】
制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの縮み量が等しくない場合(ステップS4,NO)、ステップS7の処理を実行する。
【0052】
ステップS5において、制御部42は、閉動作が完了したか否かを判定する(ステップS5)。例えば、閉動作が完了したか否かを判定するための所定の値が制御部42に設定されており、閉動作時にカウントアップされるカウント値が、この所定の値よりも小さい場合、制御部42は、閉動作が完了していないと判断し(ステップS5,NO)、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0053】
前述したカウント値が所定の値以上の場合、制御部42は、閉動作が完了したと判断し(ステップS5,YES)、制御装置50に対して、開許可指令を出力する(ステップS6)。
【0054】
制御装置50は、開許可指令を受信し、かつ、操作装置51から送信された操作信号を受信した場合、駆動部30に開動作を実行させる指令を送信する。これにより、開閉体20が開動作する。
【0055】
なお、開閉体制御装置40は、例えばナビゲーション装置などに、開許可指令を送信することで、ナビゲーション装置の画面に開閉体20の開操作が可能であることを示すメッセージを表示させてもよいし、車両100に搭載されるスピーカから開操作が可能であることを示す音声ガイダンスを再生させてもよい。
【0056】
ステップS7において、制御部42はステップS5と同様の処理を行う。
【0057】
そして、前述したカウント値が所定の値よりも小さい場合、制御部42は、閉動作が完了していないと判断し(ステップS7,NO)、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0058】
前述したカウント値が所定の値以上の場合、制御部42は、閉動作が完了したと判断し(ステップS7,YES)、制御装置50に対して、開不許可指令を出力して(ステップS8)、一連の処理を終了する。
【0059】
制御装置50は、開不許可指令を受信し、かつ、操作装置51から送信された操作信号を受信した場合、駆動部30に開動作を実行させる指令の送信を停止する。従って、2つの駆動部30の内、一方の駆動部30に取り付けの不具合がある状態でリモコンによる開操作が行われても、他方の駆動部30が動作しないため、当該駆動部30が過負荷状態となることを防止できる。
【0060】
なお、開閉体制御装置40は、例えばナビゲーション装置などに、開不許可指令を送信することで、ナビゲーション装置の画面に開閉体20の開操作ができないことを示すメッセージを表示させてもよいし、車両100に搭載されるスピーカから開操作ができないことを示す音声ガイダンスを再生させてもよい。
【0061】
なお、ステップS2~ステップS4の処理の順序は、これらに限定されるものではなく、適宜変更してよい。また、本発明の実施の形態では、ステップS2~ステップS4までの3つの処理を全て実行しているが、適時選択して、少なくとも1つの処理を実行するものでもよい。ステップS2~ステップS4までの3つの処理の内、何れか2つの処理を実行することが好ましく、3つの処理の全てを実行することがより好ましい。
【0062】
また、本実施の形態では、複数の駆動部30のそれぞれの縮み量が等しくない場合に、制御部42は、複数の駆動部30が異なる挙動を示すと判定して、開不許可指令を出力する例を説明したが、制御部42を以下のように構成してもよい。例えば、複数の駆動部30のそれぞれの縮み量の差が所定値よりも大きい場合、制御部42は、複数の駆動部30が異なる挙動を示すと判定して、開不許可指令を出力するようにしてもよい。
【0063】
次に
図5を参照して、開閉体20を開くときの開閉体制御装置40の動作を説明する。
図5は、開閉体20を開くときの開閉体制御装置40の動作を説明するためのフローチャートである。
【0064】
図5に示す処理は、例えば制御装置50において、駆動部30の取り付けが完了したことを示すボタンの操作が行われた後、閉状態の開閉体20を開くときに開始される。
【0065】
検出部41は、開閉体20が開くときに駆動部30から出力される信号(駆動部30の挙動を示す信号)を検出する(ステップS11)。
【0066】
制御部42は、検出部41で検出された信号に基づき、複数の駆動部30の駆動速度、伸び量などを算出し、また駆動部30が伸縮する方向を判定する。
【0067】
具体的には、駆動部30に内蔵されるモータの回転状態を検出するホール素子が、当該モータの回転軸の回転に伴って磁石の位置が変化したときの磁界分布の変化を捕捉し、挙動を示す信号であるパルスを発生する。制御部42は、このパルスを計数してカウント値を算出する。
【0068】
制御部42は、単位時間当たりのカウント値の変化量によって、開閉体20が開くときにおける、駆動部30の駆動速度を算出する。制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの駆動速度を比較することによって、開閉体20が開くときにおける、駆動速度の差を算出する。
【0069】
また制御部42は、例えば互いの位相が90°ずれている複数のパルスの立ち上がり位置の違いを検出することによって、開閉体20が開くときにおける駆動部30の伸縮方向を判定する。
【0070】
また制御部42は、カウント値の変化量によって、開閉体20が開くときにおける、駆動部30の伸び量を算出する。
【0071】
その後、制御部42は、駆動速度の差が所定値よりも小さいか否かを判定する(ステップS12)。
【0072】
制御部42は、駆動速度の差が所定値よりも小さい場合(ステップS12,YES)、ステップS13の処理を実行し、駆動速度の差が所定値以上の場合(ステップS12,NO)、ステップS17の処理を実行する。
【0073】
ステップS13において、制御部42は、複数の駆動部30の伸縮方向が全て伸びる方向であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0074】
制御部42は、複数の駆動部30の伸縮方向が全て伸びる方向である場合(ステップS13,YES)、ステップS14の処理を実行する。
【0075】
また、制御部42は、複数の駆動部30の伸縮方向が異なる場合(ステップS13,NO)、ステップS17の処理を実行する。
【0076】
ステップS14において、制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの伸び量が等しいか否かを判定する(ステップS14)。
【0077】
そして、制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの伸び量が等しい場合(ステップS14,YES)、ステップS15の処理を実行する。伸び量が等しいとは、各駆動部30の製造公差などを加味した場合に等しい概念を含む。
【0078】
制御部42は、複数の駆動部30のそれぞれの伸び量が等しくない場合(ステップS14,NO)、ステップS17の処理を実行する。
【0079】
ステップS15において、制御部42は、開動作が完了したか否かを判定する(ステップS15)。例えば、開動作が完了したか否かを判定するための所定の値が制御部42に設定されており、開動作時にカウントアップされるカウント値が、この所定の値よりも小さい場合、制御部42は、開動作が完了していないと判断し(ステップS15,NO)、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0080】
前述したカウント値が所定の値以上の場合、制御部42は、開動作が完了したと判断し(ステップS15,YES)、制御装置50に対して、閉許可指令を出力する(ステップS16)。
【0081】
制御装置50は、閉許可指令を受信し、かつ、操作装置51から送信された操作信号を受信した場合、駆動部30に閉動作を実行させる指令を送信する。これにより、開閉体20が閉動作する。
【0082】
なお、開閉体制御装置40は、例えばナビゲーション装置などに、閉許可指令を送信することで、ナビゲーション装置の画面に開閉体20の閉操作が可能であることを示すメッセージを表示させてもよいし、車両100に搭載されるスピーカから閉操作が可能であることを示す音声ガイダンスを再生させてもよい。
【0083】
ステップS17において、制御部42は、ステップS15と同様の処理を行う。
【0084】
そして、前述したカウント値が所定の値よりも小さい場合、制御部42は、開動作が完了していないと判断し(ステップS17,NO)、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0085】
前述したカウント値が所定の値以上の場合、制御部42は、開動作が完了したと判断し(ステップS17,YES)、制御装置50に対して、閉不許可指令を出力して(ステップS18)、一連の処理を終了する。
【0086】
制御装置50は、閉不許可指令を受信し、かつ、操作装置51から送信された操作信号を受信した場合、駆動部30に閉動作を実行させる指令の送信を停止する。従って、2つの駆動部30の内、一方の駆動部30に取り付けの不具合がある状態でリモコンによる開操作が行われても、他方の駆動部30が動作しないため、当該駆動部30が過負荷状態となることを防止できる。
【0087】
なお、開閉体制御装置40は、例えばナビゲーション装置などに、閉不許可指令を送信することで、ナビゲーション装置の画面に開閉体20の閉操作ができないことを示すメッセージを表示させてもよいし、車両100に搭載されるスピーカから閉操作ができないことを示す音声ガイダンスを再生させてもよい。
【0088】
なお、ステップS12~ステップS14の処理の順序は、これらに限定されるものではなく、適宜変更してよい。また、本発明の実施の形態では、ステップS12~ステップS14までの3つの処理を全て実行しているが、適時選択して、少なくとも1つの処理を実行するものでもよい。ステップS12~ステップS14までの3つの処理の内、何れか2つの処理を実行することが好ましく、3つの処理の全てを実行することがより好ましい。
【0089】
また、本実施の形態では、複数の駆動部30のそれぞれの伸び量が等しくない場合に、制御部42は、複数の駆動部30が異なる挙動を示すと判定して、開不許可指令を出力する例を説明したが、制御部42を以下のように構成してもよい。例えば、複数の駆動部30のそれぞれの伸び量の差が所定値よりも大きい場合、制御部42は、複数の駆動部30が異なる挙動を示すと判定して、開不許可指令を出力するようにしてもよい。
【0090】
なお、本発明の実施の形態では、車両100に設けられる開閉体の駆動部30を制御する開閉体制御装置40の構成例について説明したが、開閉体制御装置40は、車両100に設けられる開閉体以外の開閉体の開閉を制御する装置にも利用可能である。例えば、開閉体制御装置40は、店舗やガレージなどの構造物に設置されるシャッター、引き戸、開き扉などに設けられる駆動部を制御する装置としても利用可能である。
【0091】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均などの意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る開閉体制御装置は、駆動部の取り付けに不具合がある状態で開閉体の開閉操作が開始されることを防止できる装置として有用である。
【符号の説明】
【0094】
10 開口部
20 開閉体
30 駆動部
30A 駆動部
30B 駆動部
30-1 駆動本体部
30-2 進退部
40 開閉体制御装置
41 検出部
42 制御部
50 制御装置
51 操作装置
100 車両
101 開口縁部
201 縁部
301 第1接続部
302 第2接続部