(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】抗TAU抗体及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231215BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20231215BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231215BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231215BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231215BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231215BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231215BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231215BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231215BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/18
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P25/28
G01N33/53 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020186282
(22)【出願日】2020-11-09
(62)【分割の表示】P 2017562681の分割
【原出願日】2016-06-02
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2015-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】513022966
【氏名又は名称】エーシー イミューン エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アドルフソン, オスカル
(72)【発明者】
【氏名】アヤロン, ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ディ カラ, ダニエル マリー
(72)【発明者】
【氏名】ホッツェル, イシドロ
【審査官】大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523742(JP,A)
【文献】国際公開第2014/200921(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトTauに結合する単離モノクローナル抗体であって、
a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
または
b)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L
3
を含む、単離抗体。
【請求項2】
抗体が、
a)配列番号140と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
b)配列番号141と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
c)(a)に記載のVH及び(b)に記載のVL;
d)配列番号160と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
e)配列番号161と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
または
f)(d)に記載のVH及び(e)に記載のV
L
を含む、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項3】
抗体が、
a)配列番号140の配列を含む重鎖可変領域(VH);
b)配列番号141の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
c)(a)に記載のVH及び(b)に記載のVL;
d)配列番号160の配列を含む重鎖可変領域(VH);
e)配列番号161の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
または
f)(d)に記載のVH及び(e)に記載のV
L
を含む、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項4】
モノクローナル抗体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離抗体。
【請求項5】
ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離抗体。
【請求項6】
IgG1抗体またはIgG4抗体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離抗体。
【請求項7】
IgG4抗体である、請求項6に記載の単離抗体。
【請求項8】
M252Y、S254T、及びT256E変異を含む、請求項7に記載の単離抗体。
【請求項9】
S228P変異を含む、請求項7または請求項8に記載の単離抗体。
【請求項10】
抗体断片である、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離抗体。
【請求項11】
成熟ヒトTauのアミノ酸19~42内のエピトープに結合する、請求項1から10のいずれか一項に記載の単離抗体。
【請求項12】
完全長ヒトTauに5nM未満のK
D
で結合する、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離抗体。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離核酸。
【請求項14】
請求項
13に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項15】
抗体の産生に好適な条件下で、請求項
14に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体の産生方法。
【請求項16】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の単離抗体と、第2の治療剤と、を含む、免疫複合体。
【請求項17】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の単離抗体と、検出可能な標識と、を含む、標識された抗体。
【請求項18】
神経原線維変化、好中球糸、または変性神経突起のインビトロ検出方法であって、試料を請求項1から
12のいずれか一項に記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項19】
前記試料が、脳試料、脳脊髄液試料、または血液試料である、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月5日に出願された米国仮出願第62/171,693号の優先権の利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗Tau抗体及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
神経原線維変化及び神経絨毛糸(NT)は、アルツハイマー病(AD)の主要な神経病理学的特徴である。NTは、リン酸化を含む翻訳後修飾を受けた微小管関連Tauタンパク質から構成され、高リン酸化Tauコンフォマーの凝集によって発達する。ADは、多くの神経変性タウオパチーと、特に特定の種類の前頭側頭型認知症(FTD)とこの病理を共有する。Tauタンパク質は、AD及び関連する神経変性タウオパチーにおける認知崩御における主要な役者であるようである。
【0004】
Tauタンパク質を標的とする治療アプローチはほとんどなく、主にTauのリン酸化を病理学的レベルまで増加させると考えられるキナーゼの阻害剤、及び高リン酸化Tauタンパク質の細胞質凝集を遮断する化合物を含む。これらのアプローチは、特異性及び有効性についての様々な欠点に悩まされる。神経変性障害を引き起こすことが知られる、または推定される、病理学的タンパク質コンフォマーを標的とする追加の治療剤に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、抗Tau抗体及びその使用方法を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tauに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、成熟ヒトTauのアミノ酸2~24内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトTauに結合する抗体断片である。いくつかの実施形態において、ヒトTauは、配列番号2の配列を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号12、22、282、292、及び342から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号13、23、283、293、及び343から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号14、24、284、294、及び344から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;または
b)配列番号72及び302から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号73及び303から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2;ならびに配列番号74及び304から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;
c)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
d)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
e)配列番号212のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号213のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号214のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
f)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H3;または
g)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号15、25、285、295、345、及び468~556から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号16、26、286、296、及び346から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号17、27、287、297、及び347から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3;
b)配列番号75及び305から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号76及び306から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号77及び307から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3;
c)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
d)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
e)配列番号215のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号216のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号217のアミノ酸配列を含むHVR-L3
f)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
g)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号12、22、282、292、及び342から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号13、23、283、293、及び343から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号14、24、284、294、及び344から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号15、25、285、295、345、及び468~556から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号16、26、286、296、及び346から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号17、27、287、297、及び347から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3;
b)配列番号72及び302から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号73及び303から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号74及び304から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号75及び305から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号76及び306から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号77及び307から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3;
c)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
d)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
e)配列番号212のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号213のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号214のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号215のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号216のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号217のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
f)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
g)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号10、20、280、290、及び340から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
b)配列番号11、21、281、291、及び341から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
c)(a)にあるようなVH及び(b)にあるようなVL;
d)配列番号70、300、及び452~459から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
e)配列番号71、301、及び460~467から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
f)(d)にあるようなVH及び(e)にあるようなVL;
g)配列番号40と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
h)配列番号41と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
i)(g)にあるようなVH及び(h)にあるようなVL;
j)配列番号60と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
k)配列番号61と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
l)(j)にあるようなVH及び(k)にあるようなVL;
m)配列番号210と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
n)配列番号211と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
o)(m)にあるようなVH及び(n)にあるようなVL;
p)配列番号30と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
q)配列番号31と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
r)(p)にあるようなVH及び(q)にあるようなVL;
s)配列番号50と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
t)配列番号51と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
u)(s)にあるようなVH及び(t)にあるようなVLを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号10、20、280、290、及び340から選択される配列を含む重鎖可変領域(VH);
b)配列番号11、21、281、291、及び341から選択される配列を含む軽鎖可変領域(VL);
c)(a)にあるようなVH及び(b)にあるようなVL;
d)配列番号70、300、及び452~459から選択される配列を含む重鎖可変領域(VH);
e)配列番号71、301、及び460~467から選択される配列を含む軽鎖可変領域(VL);
f)(d)にあるようなVH及び(e)にあるようなVL;
g)配列番号40の配列を含む重鎖可変領域(VH);
h)配列番号41の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
i)(g)にあるようなVH及び(h)にあるようなVL;
j)配列番号60の配列を含む重鎖可変領域(VH);
k)配列番号61の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
l)(j)にあるようなVH及び(k)にあるようなVL;
m)配列番号210の配列を含む重鎖可変領域(VH);
n)配列番号211の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
o)(m)にあるようなVH及び(n)にあるようなVL;
p)配列番号30の配列を含む重鎖可変領域(VH);
q)配列番号31の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
r)(p)にあるようなVH及び(q)にあるようなVL;
s)配列番号50の配列を含む重鎖可変領域(VH);
t)配列番号51の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
u)(s)にあるようなVH及び(t)にあるようなVLを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号342のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号343のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号344のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号345のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号346のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号347のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号340のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号341のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号348もしくは配列番号602のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、配列番号348または配列番号602のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、配列番号348のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、配列番号602のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、配列番号348または配列番号602のアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、配列番号348のアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、配列番号602のアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、抗体が提供される。
【0016】
いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、成熟ヒトTauのアミノ酸19~33、19~42、28~44、37~51、100~114、109~123、118~132、154~168、172~177、217~231、または397~411内のエピトープに結合する、抗体が提供される。
【0017】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
b)配列番号132のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号133のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号134のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
c)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
d)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号153のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号154のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
e)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
f)配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
g)配列番号272のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号273のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号274のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
h)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
i)配列番号172のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号173のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号174のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
j)配列番号192のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号193のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
k)配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
l)配列番号82、312、322、及び332から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号83、313、323、及び333から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2;ならびに配列番号84、314、324、及び334から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;
m)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
n)配列番号122のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号123のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号124のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
o)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号183のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号184のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
p)配列番号202のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号203のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
q)配列番号222のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号224のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
r)配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3;または
s)配列番号262のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号263のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
b)配列番号135のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号137のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
c)配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
d)配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号156のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
e)配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
f)配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
g)配列番号275のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号276のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号277のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
h)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号106のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号107のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
i)配列番号175のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号176のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号177のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
j)配列番号195のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号197のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
k)配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
l)配列番号85、315、325、及び335から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号86、316、326、及び336から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号87、317、327、及び337から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3;
m)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
n)配列番号125のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
o)配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号186のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号187のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
p)配列番号205のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号206のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号207のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
q)配列番号225のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号226のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号227のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
r)配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
s)配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号266のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号267のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
b)配列番号132のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号133のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号134のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号135のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号137のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
c)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
d)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号153のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号154のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号156のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
e)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
f)配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
g)配列番号272のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号273のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び配列番号274のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号275のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号276のアミノ酸配列を含むHVR-L2;配列番号277のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
h)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号106のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号107のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
i)配列番号172のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号173のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号174のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号175のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号176のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号177のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
j)配列番号192のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号193のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号195のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号197のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
k)配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
l)配列番号82、312、322、及び332から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号83、313、323、及び333から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号84、314、324、及び334から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号85、315、325、及び335から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号86、316、326、及び336から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号87、317、327、及び337から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3;
m)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
n)配列番号122のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号123のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号124のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号125のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
o)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号183のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号184のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号186のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号187のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
p)配列番号202のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号203のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号205のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号206のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号207のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
q)配列番号222のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号224のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号225のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号226のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号227のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
r)配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
s)配列番号262のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号263のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号266のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び配列番号267のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号110と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
b)配列番号111と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
c)(a)にあるようなVH及び(b)にあるようなVL;
d)配列番号130と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
e)配列番号131と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
f)(d)にあるようなVH及び(e)にあるようなVL;
g)配列番号140と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
h)配列番号141と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
i)(g)にあるようなVH及び(h)にあるようなVL;
j)配列番号150と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
k)配列番号151と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
l)(j)にあるようなVH及び(k)にあるようなVL;
m)配列番号160と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
n)配列番号161と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
o)(m)にあるようなVH及び(n)にあるようなVL;
p)配列番号250と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
q)配列番号251と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
r)(p)にあるようなVH及び(q)にあるようなVL;
s)配列番号270と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
t)配列番号271と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
u)(s)にあるようなVH及び(t)にあるようなVL;
v)配列番号100と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
w)配列番号101と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
x)(v)にあるようなVH及び(w)にあるようなVL;
y)配列番号170と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
z)配列番号171と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
aa)(y)にあるようなVH及び(z)にあるようなVL;
bb)配列番号190と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
cc)配列番号191と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
dd)(bb)にあるようなVH及び(cc)にあるようなVL;
ee)配列番号240と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ff)配列番号241と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
gg)(ee)にあるようなVH及び(ff)にあるようなVL;
hh)配列番号80、310、320、330、及び446~451から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ii)配列番号81、311、321、331、及び442~445から選択される配列と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
jj)(hh)にあるようなVH及び(ii)にあるようなVL;
kk)配列番号90と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ll)配列番号91と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
mm)(kk)にあるようなVH及び(ll)にあるようなVL;
nn)配列番号120と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
oo)配列番号121と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
pp)(nn)にあるようなVH及び(oo)にあるようなVL;
qq)配列番号180と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
rr)配列番号181と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
ss)(qq)にあるようなVH及び(rr)にあるようなVL;
tt)配列番号200と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
uu)配列番号201と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
vv)(tt)にあるようなVH及び(uu)にあるようなVL;
ww)配列番号220と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
xx)配列番号221と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
yy)(ww)にあるようなVH及び(xx)にあるようなVL;
zz)配列番号230と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
aaa)配列番号231と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
bbb)(zz)にあるようなVH及び(aaa)にあるようなVL;
ccc)配列番号260と少なくとも95%同一の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ddd)配列番号261と少なくとも95%同一の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
eee)(ccc)にあるようなVH及び(ddd)にあるようなVLを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、抗体は、
a)配列番号110の配列を含む重鎖可変領域(VH);
b)配列番号111の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
c)(a)にあるようなVH及び(b)にあるようなVL;
d)配列番号130の配列を含む重鎖可変領域(VH);
e)配列番号131の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
f)(d)にあるようなVH及び(e)にあるようなVL;
g)配列番号140の配列を含む重鎖可変領域(VH);
h)配列番号141の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
i)(g)にあるようなVH及び(h)にあるようなVL;
j)配列番号150の配列を含む重鎖可変領域(VH);
k)配列番号151の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
l)(j)にあるようなVH及び(k)にあるようなVL;
m)配列番号160の配列を含む重鎖可変領域(VH);
n)配列番号161の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
o)(m)にあるようなVH及び(n)にあるようなVL;
p)配列番号250の配列を含む重鎖可変領域(VH);
q)配列番号251の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
r)(p)にあるようなVH及び(q)にあるようなVL;
s)配列番号270の配列を含む重鎖可変領域(VH);
t)配列番号271の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
u)(s)にあるようなVH及び(t)にあるようなVL
v)配列番号100の配列を含む重鎖可変領域(VH);
w)配列番号101の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
x)(v)にあるようなVH及び(w)にあるようなVL;
y)配列番号170の配列を含む重鎖可変領域(VH);
z)配列番号171の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
aa)(y)にあるようなVH及び(z)にあるようなVL;
bb)配列番号190の配列を含む重鎖可変領域(VH);
cc)配列番号191の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
dd)(bb)にあるようなVH及び(cc)にあるようなVL;
ee)配列番号240の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ff)配列番号241の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
gg)(ee)にあるようなVH及び(ff)にあるようなVL;
hh)配列番号80、310、320、330、及び446~451から選択される配列を含む重鎖可変領域(VH);
ii)配列番号81、311、321、331、及び442~445から選択される配列を含む軽鎖可変領域(VL);
jj)(hh)にあるようなVH及び(ii)にあるようなVL;
kk)配列番号90の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ll)配列番号91の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
mm)(kk)にあるようなVH及び(ll)にあるようなVL;
nn)配列番号120の配列を含む重鎖可変領域(VH);
oo)配列番号121の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
pp)(nn)にあるようなVH及び(oo)にあるようなVL;
qq)配列番号180の配列を含む重鎖可変領域(VH);
rr)配列番号181の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
ss)(qq)にあるようなVH及び(rr)にあるようなVL;
tt)配列番号200の配列を含む重鎖可変領域(VH);
uu)配列番号201の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
vv)(tt)にあるようなVH及び(uu)にあるようなVL;
ww)配列番号220の配列を含む重鎖可変領域(VH);
xx)配列番号221の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
yy)(ww)にあるようなVH及び(xx)にあるようなVL;
zz)配列番号230の配列を含む重鎖可変領域(VH);
aaa)配列番号231の配列を含む軽鎖可変領域(VL);
bbb)(zz)にあるようなVH及び(aaa)にあるようなVL;
ccc)配列番号260の配列を含む重鎖可変領域(VH);
ddd)配列番号261の配列を含む軽鎖可変領域(VL);または
eee)(ccc)にあるようなVH及び(ddd)にあるようなVLを含む。
【0022】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗体は、IgG1またはIgG4抗体であってもよい。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗体は、IgG4抗体であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、抗体は、M252Y、S254T、及びT256E変異を含む。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗体は、S228P変異を含んでもよい。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗体は、S228P、M252Y、S254T、及びT256E変異を含んでもよい。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗体は、S228P、M252Y、S254T、及びT256E変異を含むIgG4抗体であってもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、抗体断片である。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗体は、S228P、M252Y、S254T、及びT256E変異を含み、重鎖定常領域のC末端リジン(des-K)を欠くIgG4抗体であってもよい。重鎖定常領域のC末端リジンは、C末端リジンがコードされないように、例えば、抗体の精製中に、または抗体をコードする核酸の組み換え操作によって、除去されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、ヒトTauに結合する単離抗体であって、モノマーTau、リン酸化Tau、非リン酸化Tau、及びオリゴマーTauのそれぞれに、100nM未満、75nM未満、または50nM未満のKDで結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、カニクイザルTau(配列番号4)に結合する。
【0024】
いくつかの実施形態において、単離核酸であって、本明細書に記載される抗体をコードする、単離核酸が提供される。いくつかの実施形態において、宿主細胞であって、本明細書に記載される抗体をコードする単離核酸を含む、宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態において、抗体の産生に好適な条件下で、宿主細胞を培養することを含む、抗体の産生方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単離抗体と、治療剤とを含む、免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体と、検出可能な標識とを含む、標識された抗体が提供される。
【0026】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単離抗体と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体、または本明細書に記載される抗体を含む薬学的組成物を、Tauタンパク質関連疾患を有する個体に投与することを含む、Tauタンパク質関連疾患の治療方法が提供される。いくつかの実施形態において、Tauタンパク質関連疾患は、タウオパチーである。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、神経変性タウオパチーである。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症(frontotetemporal dementia)、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病(Hallevorden-Spatz disease)、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症(Pallido-ponto-nigral degeneration)、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーから選択される。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、アルツハイマー病または進行性核上性麻痺である。
【0028】
いくつかの実施形態において、個体における認知記憶容量の保持もしくは増加方法、または記憶喪失の減速方法であって、本明細書に記載される抗体、または本明細書に記載される抗体を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態において、個体におけるTauタンパク質、非リン酸化Tauタンパク質、リン酸化Tauタンパク質、または高リン酸化Tauタンパク質のレベルの低減方法であって、本明細書に記載される抗体、または本明細書に記載される抗体を含む薬学的組成物を投与すること含む、方法が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単離抗体は、医薬品として使用するために提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単離抗体は、個体におけるタウオパチーの治療に使用するために提供される。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、神経変性タウオパチーである。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症ク病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーから選択される。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、アルツハイマー病または進行性核上性麻痺である。
【0031】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単離抗体は、個体における認知記憶容量の保持もしくは増加、または記憶喪失の減速に使用するために提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単離抗体は、個体におけるTauタンパク質、リン酸化Tauタンパク質、非リン酸化Tauタンパク質、または高リン酸化Tauタンパク質のレベルの低減に使用するために提供される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体の使用は、個体におけるTauタンパク質関連疾患の治療のための医薬品を製造するために提供される。いくつかの実施形態において、Tauタンパク質関連疾患は、タウオパチーである。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、神経変性タウオパチーである。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーから選択される。いくつかの実施形態において、タウオパチーは、アルツハイマー病または進行性核上性麻痺である。
【0033】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体の使用は、個体における認知記憶容量の保持もしくは増加、または記憶喪失の減速のための医薬品を製造するために提供される。
【0034】
いくつかの実施形態において、神経原線維変化、好中球糸、または変性神経突起の検出方法であって、試料を本明細書に記載される抗体と接触させることを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、試料は、脳試料、脳脊髄液試料、または血液試料である。
【0035】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、方法または使用は、少なくとも1つの追加の療法と組み合わせて本明細書に記載される抗体を投与することを含んでもよい。追加の療法の非限定的な例としては、神経薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス剤、及び他の治療剤が挙げられる。そのような他の治療剤としては、他の抗Tau抗体、アミロイド-ベータに対する抗体、ベータ-セクレターゼ1に対する抗体(「BACE1」)、及びベータ-セクレターゼ1の阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】高リン酸化Tau(pTau)に対する抗体の結合を、ELISAを使用して非リン酸化Tauと比較した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図1B】高リン酸化Tau(pTau)に対する抗体の結合を、ELISAを使用して非リン酸化Tauと比較した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図1C】高リン酸化Tau(pTau)に対する抗体の結合を、ELISAを使用して非リン酸化Tauと比較した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図1D】高リン酸化Tau(pTau)に対する抗体の結合を、ELISAを使用して非リン酸化Tauと比較した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図1E】高リン酸化Tau(pTau)に対する抗体の結合を、ELISAを使用して非リン酸化Tauと比較した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図1F】高リン酸化Tau(pTau)に対する抗体の結合を、ELISAを使用して非リン酸化Tauと比較した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図2A】オリゴマーTauに対する抗体の結合を、オリゴ及びモノTau捕捉ELISAを使用して評価した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図2B】オリゴマーTauに対する抗体の結合を、オリゴ及びモノTau捕捉ELISAを使用して評価した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図2C】オリゴマーTauに対する抗体の結合を、オリゴ及びモノTau捕捉ELISAを使用して評価した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図2D】オリゴマーTauに対する抗体の結合を、オリゴ及びモノTau捕捉ELISAを使用して評価した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図2E】オリゴマーTauに対する抗体の結合を、オリゴ及びモノTau捕捉ELISAを使用して評価した。結果を光学濃度(O.D.)で表す。
【
図3】試験された3つのpanTau抗体は、ウェスタンブロット(WB)アッセイを使用すると、アルツハイマー病(AD)及び適合対照ドナーからの脳ライセート中で可溶性Tauに対する結合を示す。AD及び対照脳ライセートからのタンパク質抽出物、ならびに組み換えヒトTauの6つのアイソフォームをSDS-PAGE上で泳動させ、膜を3つのpanTau抗体(37D3-H9、94B2-C1、及び125B11-H3)でブロットした。AD試料を有するレーンをAD18、AD24、及びAD27として標識し、対照試料を有するレーンをC25及びC21として標識する。組み換えヒトTauの6つのアイソフォームを泳動させたレーンをhTauラダーとして標識する。
【
図4A】PanTau抗体は、Tau捕捉ELISAを使用すると、AD及び適合対照ドナーからの脳ライセート中で可溶性Tauに対する結合を示す。3つのpanTau抗体、37D3-H9、94B2-C1、及び125B11-H3について、データを示す。結果を、平均値±標準偏差、N=2で、光学濃度(O.D.)で表す。
【
図4B】PanTau抗体は、Tau捕捉ELISAを使用すると、AD及び適合対照ドナーからの脳ライセート中で可溶性Tauに対する結合を示す。3つのpanTau抗体、37D3-H9、94B2-C1、及び125B11-H3について、データを示す。結果を、平均値±標準偏差、N=2で、光学濃度(O.D.)で表す。
【
図4C】PanTau抗体は、Tau捕捉ELISAを使用すると、AD及び適合対照ドナーからの脳ライセート中で可溶性Tauに対する結合を示す。3つのpanTau抗体、37D3-H9、94B2-C1、及び125B11-H3について、データを示す。結果を、平均値±標準偏差、N=2で、光学濃度(O.D.)で表す。
【
図5】Fab(左パネル)として及びIgG(右パネル)として、Biacoreチップ表面に共有結合的にカップリングされたヒトTauモノマーに結合する37D3-H9を示す、センサグラム。1:1の結合モデルが適用されており、上重ねとして示されている。x軸は、時間(単位=秒)を示す。y軸は、共鳴単位(RU)を示す。
【
図6】3.1、6.3、12.5、25、25、50及び100nMのヒトTauモノマーに対する、hu37D3-H9.v5試料(t=0(左パネル)及びt=2週間(右パネル))の結合を示す、上重ねセンサグラム。1:1の結合モデルが適用されており、この図においても示されている。x軸は、時間(単位=秒)を示す。y軸は、共鳴単位(RU)を示す。
【
図7】個々での(左パネルはhu37D3-H9.v5を示し、中間パネルはhu37D3-H9.v5 N28Dを示す)、かつ1:1の比率で混合した(右パネル)、モノマーTauに対するhu37D3-H9.v5及びhu37D3-H9.v5 N28Dの結合。x軸は、時間(単位=秒)を示す。y軸は、共鳴単位(RU)を示す。
【
図8】安定性の改善の潜在性についてスクリーニングした、90個の37D3-H9変異形の親和性、安定性指数及び配列。明瞭さのため、各実験の開始時、中間時及び終了時に泳動させた、応力をかけていない対照抗体(hu37D3-H9.v5 hIgG1)について得られる値を、表の両方のセクションにおいて示す。
【
図8A】安定性の改善の潜在性についてスクリーニングした、90個の37D3-H9変異形の親和性、安定性指数及び配列。明瞭さのため、各実験の開始時、中間時及び終了時に泳動させた、応力をかけていない対照抗体(hu37D3-H9.v5 hIgG1)について得られる値を、表の両方のセクションにおいて示す。
【
図8B】安定性の改善の潜在性についてスクリーニングした、90個の37D3-H9変異形の親和性、安定性指数及び配列。明瞭さのため、各実験の開始時、中間時及び終了時に泳動させた、応力をかけていない対照抗体(hu37D3-H9.v5 hIgG1)について得られる値を、表の両方のセクションにおいて示す。
【
図8C】安定性の改善の潜在性についてスクリーニングした、90個の37D3-H9変異形の親和性、安定性指数及び配列。明瞭さのため、各実験の開始時、中間時及び終了時に泳動させた、応力をかけていない対照抗体(hu37D3-H9.v5 hIgG1)について得られる値を、表の両方のセクションにおいて示す。
【
図8D】安定性の改善の潜在性についてスクリーニングした、90個の37D3-H9変異形の親和性、安定性指数及び配列。明瞭さのため、各実験の開始時、中間時及び終了時に泳動させた、応力をかけていない対照抗体(hu37D3-H9.v5 hIgG1)について得られる値を、表の両方のセクションにおいて示す。
【
図9】軽鎖の残基28~33(NGNTYFモチーフ)の位置、及び残基28及び33の相対位置を示す、37D3-H9 Fv領域の構造モデル。残基33がhu37D3.v28において変異したことに留意されたい。A4~Leuは、不安定なAsn-28残基の近くにはない。点線は、残基Asn-28と残基Tyr-32との間の水素結合を示す。MOEソフトウェアパッケージ(Chemical Computing Group)を使用して生成された図。
【
図10】単回の10mg/kg静脈内または腹腔内注射後の、マウスにおける抗Tau抗体37D3-H9の薬物動態を示す。
【
図11】1mg/kgの用量の単回静脈内ボーラス注入後の、カニクイザルにおけるhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの薬物動態を示す。
【
図12A】Tau断片に対する特定の抗Tau抗体の結合。Tau断片1~15、10~24、19~33、28~42、37~51、及び46~60に対する特定の抗Tau抗体の結合を示す。
【
図12B】Tau断片に対する特定の抗Tau抗体の結合。Tau断片10~44、10~24、2~24、2~34、及び完全長Tauに対する抗体37D3-H9 mIgG2aの結合を示す。
【
図12C】Tau断片に対する特定の抗Tau抗体の結合。Tau断片10~44、10~24、2~24、2~34、及び完全長Tauに対する抗体hu37D3-H9.v5 hIgG1の結合を示す。
【
図13A】ニューロン-ミクログリア共培養物中でのTau毒性に対するエフェクター機能の影響。様々な抗体及びオリゴマーTauと接触させた、共培養物中のMAP2断片化パーセント。
【
図13B】ニューロン-ミクログリア共培養物中でのTau毒性に対するエフェクター機能の影響。様々な抗体及びオリゴマーTauと接触させた、ニューロン(上部パネル)及びニューロン-ミクログリア共培養物(下部パネル)の画像。
【
図14】抗tau37D3-H9 WT IgG2aまたは抗tau37D3-H9 DANG IgG2を投与したマウスの海馬内のpTau212/214レベル。
【
図15】ヒトTau配列とカニクイザルTau配列との比較。抗体37D3-H9のエピトープを示す。
【
図16】単回の10mg/kgの静脈内または腹腔内注射後の、マウスにおける抗Tau抗体94B2-C1の薬物動態を示す。
【
図17】単回の10mg/kgの静脈内または腹腔内注射後の、マウスにおける抗Tau抗体125B11-H3の薬物動態を示す。
【
図18】hu37D3-H9.v1、hu37D3-H9.v39、hu37D3-H9.v40、及びhu37D3-H9.v41のカッパ1軽鎖可変領域の整列を示す。
【
図19A】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の、カニクイザルにおける血漿抗体濃度(A)を示す。
【
図19B】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の、カニクイザルにおけるCSF抗体濃度(B)を示す。
【
図20】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の、カニクイザルにおける血漿総Tau濃度及び血漿抗体濃度を示す。
【
図21A】50mg/kgのhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P(A)及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE(B)の単回静脈内注射の2日後及び10日後の、カニクイザル脳の様々な領域における抗体濃度、脳内の平均抗体濃度(C)、脳:血漿抗体濃度%(D)を示す。
【
図21B】50mg/kgのhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P(A)及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE(B)の単回静脈内注射の2日後及び10日後の、カニクイザル脳の様々な領域における抗体濃度、脳内の平均抗体濃度(C)、脳:血漿抗体濃度%(D)を示す。
【
図21C】50mg/kgのhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P(A)及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE(B)の単回静脈内注射の2日後及び10日後の、カニクイザル脳の様々な領域における抗体濃度、脳内の平均抗体濃度(C)、脳:血漿抗体濃度%(D)を示す。
【
図21D】50mg/kgのhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P(A)及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE(B)の単回静脈内注射の2日後及び10日後の、カニクイザル脳の様々な領域における抗体濃度、脳内の平均抗体濃度(C)、脳:血漿抗体濃度%(D)を示す。
【
図22A】対数スケールでプロットした、50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザル脳内の抗体の濃度を示す。
【
図22B】直線スケールでプロットした、50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザル脳内の抗体の濃度を示す。
【
図23A】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザルの海馬における抗体の濃度を示す。
【
図23B】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザルの小脳における抗体の濃度を示す。
【
図23C】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザルの前頭皮質における抗体の濃度を示す。
【
図23D】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザルのCSFにおける抗体の濃度を示す。
【
図23E】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の様々な時点での、カニクイザルの血漿における抗体の濃度を示す。
【
図24A】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の、カニクイザルにおける経時的な血漿総Tau濃度の平均を示す。
【
図24B】50mg/kgの示される抗体の単回静脈内注射後の、カニクイザルにおける経時的な個々の血漿総Tau濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
I.定義
本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義される、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれは、アミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの実施形態において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態において、VLアクセプターヒトフレームワークの配列は、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0038】
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む当該技術分野において既知である一般的な方法によって測定され得る。結合親和性を測定するための具体的な例証的かつ例示的実施形態が、以下に記載される。
【0039】
「親和性成熟」抗体とは、変化を持たない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)内で1つ以上のそのような変化を有し、そのような変化によって抗原に対する抗体の親和性を改善する、抗体を指す。
【0040】
「抗Tau抗体」及び「Tauに結合する抗体」という用語は、抗体がTauを標的とする際に診断剤及び/または治療剤として有用になるように十分な親和性でTauに結合することができる抗体を指す。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体が非関連非Tauタンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、抗体のTauへの結合の約10%未満である。特定の実施形態において、Tauに結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態において、抗Tau抗体は、異なる種由来のTau間で保存されるTauのエピトープに結合する。本明細書で使用される場合、「抗Tau抗体」及び「Tauに結合する抗体」という用語は、別段具体的に示されない限り、モノマーTau、オリゴマーTau、及び/またはリン酸化Tauに結合する抗体を指す。いくつかのそのような実施形態において、抗Tau抗体は、体外に50倍以下だけ異なる親和性などの同等の親和性で、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tauに結合する。いくつかの実施形態において、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tauに結合する抗体は、「pan-Tau抗体」と呼ばれる。
【0041】
「抗体」という用語は、本明細書で最も広義に使用され、それらが所望される抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
【0042】
「抗体断片」とは、無傷抗体が結合する抗原に結合する、無傷抗体の一部分を含む無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
基準抗体としての「同一のエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、基準抗体がその抗原に結合するのを50%以上遮断する抗体、及び逆に、競合アッセイにおいて、抗体がその抗原に結合するのを50%以上遮断する基準抗体を指す。例示的な競合アッセイが本明細書に提供される。
【0044】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が特定の源または種に由来する一方で、重鎖及び/または軽鎖の残りの部分が異なる源または種に由来する抗体を指す。
【0045】
抗体の「クラス」とは、その重鎖が持つ定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性薬剤」という用語は、細胞機能を阻害もしくは阻止する、かつ/または細胞死もしくは破壊を引き起こす物質を指す。細胞傷害性薬剤としては、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤もしくは化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤);成長阻害剤;核酸分解酵素などの酵素及びそれらの断片;抗生物質;細菌、真菌、植物または動物起源の小分子毒素または酵素活性毒素(それらの断片及び/もしくは変異形を含む)などの毒素;ならびに下に記載される様々な抗腫瘍剤または抗癌剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより異なる抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
【0048】
ある薬剤、例えば、ある薬学的製剤の「有効量」は、必要な投薬量で一定期間にわたる、所望される治療的または予防的結果を達成するために有効な量を指す。
【0049】
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するように使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異形Fc領域を含む。いくつかの実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば、しない場合もある。別段本明細書で指定されない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されている、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付け方式に従う。
【0050】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は一般に、VH(またはVL)において以下の配列:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4で出現する。
【0051】
「完全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書において、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように互換的に使用される。
【0052】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は互換的に使用され、外因性核酸が中に導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含み、これらは、初代形質転換細胞及び継代の数に関わらずそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸含有量の点で完全に同一ではないが、変異を含み得る。元来形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同一の機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0053】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された、またはヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、あるいは他のヒト抗体コード配列に対応するアミノ酸配列を持つものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。
【0054】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれ、VH及びVL)の可変ドメインは一般に、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む同様の構造を有する。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page91(2007)を参照されたい。)単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、抗原に結合する抗体のVHドメインまたはVLドメインを使用して、特定の抗原に結合する抗体を単離して、それぞれ相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol. 150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature352:624-628(1991)を参照されたい。
【0055】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3にあるようなサブグループである。いくつかの実施形態において、VLについて、サブグループは、Kabatら(上記)にあるようなサブグループカッパIである。いくつかの実施形態において、VHについて、サブグループは、Kabatら(上記)にあるようなサブグループIIIである。
【0056】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含む、キメラ抗体を指す。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのHVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化形態」とは、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列中で超可変(「相補性決定領域」もしくは「CDR」)であり、かつ/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/または抗原接触残基(「抗原接触体」)を含有する、抗体可変ドメインの領域のそれぞれを指す。一般に、抗体は6つのHVRを含み、3つがVH(H1、H2、H3)にあり、3つがVL(L1、L2、L3)にある。本明細書の例示的なHVRとしては、
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)で生じるCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、及び93~101(H3)で生じる抗原接触体(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996));ならびに
(d)HVRアミノ酸残基46~56(L2)、47~56(L2)、48~56(L2)、49~56(L2)、26~35(H1)、26~35b(H1)、49~65(H2)、93~102(H3)、及び94~102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/または(c)の組み合わせが挙げられる。
【0058】
別段示されない限り、可変ドメイン(例えば、FR残基)内のHVR残基及び他の残基は、本明細書においてKabatら(上記)に従って番号付けされる。
【0059】
「免疫複合体」は、細胞傷害性薬剤を含むが、これに限定されない、1つ以上の異種性分子(複数可)に複合体化される抗体である。
【0060】
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
【0061】
「単離」抗体は、その自然環境の構成成分から分離されているものである。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、電気泳動法(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)、またはクロマトグラフ法(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B848:79-87(2007)を参照されたい。
【0062】
「単離」核酸とは、その自然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離核酸は、通常は核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子が染色体外に、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0063】
「抗Tau抗体をコードする単離核酸」とは、抗体重鎖及び軽鎖(またはそれらの断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、単一のベクターまたは別個のベクター内のそのような核酸分子(複数可)を含み、そのような核酸分子(複数可)は、宿主細胞内の1つ以上の位置に存在する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一である、かつ/または同一のエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する変異を含有する、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、想定される変異形抗体を除いて、そのような変異形は一般に少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体の特徴を示しており、いかなる特定の方法による抗体の産生も必要とするものとして解釈されるものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージ提示法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない、様々な技法によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載されている。
【0065】
「裸の抗体」とは、異種性部分(例えば、細胞傷害性部分)または放射標識に複合体化されていない抗体を指す。裸の抗体は、薬学的製剤中に存在してもよい。
【0066】
「天然抗体」は、様々な構造を有する、天然に存在する免役グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)と、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)とを有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)と、その後に定常軽(CL)ドメインとを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの型うちの1つに割り当てられ得る。
【0067】
「添付文書」という用語は、そのような治療製品の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症についての情報、及び/またはその使用に関する警告を含有する、治療製品のパッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
【0068】
基準ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、かつ必要に応じてギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを達成した後の、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない、基準ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一の候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当該技術分野の技術範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたる最大整列を達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、配列の整列に適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって執筆され、ソースコードは、ユーザ文書とともに米国著作権局(U.S.Copyright Office)、Washington D.C.,20559に提出されており、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムで使用するためには、コンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変動しない。
【0069】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況において、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下のように計算される。
100×画分X/Y
式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によって、そのプログラムのA及びBの整列において完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくはならないことが理解されるだろう。別段具体的に述べられない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
【0070】
「薬学的製剤」という用語は、調製物の中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を何ら含有しない調製物を指す。
【0071】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用される場合、「Tau」という用語は、別段示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然Tauタンパク質を指す。この用語は、「完全長」未処理のTau、ならびに細胞内の処理から生じるTauの任意の形態を包含する。この用語はまた、Tauの天然に存在する変異形、例えば、スプライス変異形または対立遺伝子変異形も包含する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「pTau」という用語は、セリン、スレオニンまたはチロシン残基が、共有結合したリン酸基の添加によって、タンパク質キナーゼによりリン酸化される、Tauを指す。いくつかの実施形態において、pTauは、セリン残基上またはスレオニン残基上でリン酸化される。いくつかの実施形態において、pTauは、セリン409位及び/またはセリン404位上でリン酸化される。いくつかの実施形態において、pTauは、セリン409位上でリン酸化される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「可溶性Tau」または「可溶性Tauタンパク質」という用語は、完全に可溶化したTauタンパク質/ペプチドモノマー、またはTau様ペプチド/タンパク質、または修飾もしくは切断されたTauペプチド/タンパク質、またはTauペプチド/タンパク質モノマーの他の誘導体と、Tauタンパク質オリゴマーとの両方からなるタンパク質を指す。「可溶性Tau」は、神経原線維変化(NFT)を具体的に除外する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「不溶性Tau」という用語は、Tauペプチドもしくはタンパク質、Tau様ペプチド/タンパク質、または修飾もしくは切断されたTauペプチド/タンパク質、または水性培地中インビトロ及び哺乳動物もしくはヒト体内(より具体的には脳内)インビボの両方において不溶性であるオリゴマーもしくはポリマー構造を形成するTauペプチド/タンパク質の他の誘導体の、複数の凝集したモノマーを指すが、特に、それぞれ、哺乳動物もしくはヒト体内(より具体的には脳内)で不溶性である、Tauまたは修飾もしくは切断されたTauペプチド/タンパク質、あるいはそれらの誘導体の、複数の凝集したモノマーを指す。「不溶性Tau」は特に、神経原線維変化(NFT)を含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「モノマーTau」または「Tauモノマー」という用語は、水性培地中に凝集した複合体を有しない、完全に可溶化したTauタンパク質を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「凝集したTau」、「オリゴマーTau」及び「Tauオリゴマー」という用語は、Tauペプチドもしくはタンパク質、またはTau様ペプチド/タンパク質、または修飾もしくは切断されたTauペプチド/タンパク質、または水性培地中インビトロ及び哺乳動物もしくはヒト体内(より具体的には脳内)インビボの両方において不溶性または可溶性であるオリゴマーもしくはポリマー構造を形成するTauペプチド/タンパク質の他の誘導体の、複数の凝集したモノマーを指すが、特に、それぞれ、哺乳動物もしくはヒト体内(より具体的には脳内)で不溶性または可溶性である、Tauまたは修飾もしくは切断されたTauペプチド/タンパク質、あるいはそれらの誘導体の、複数の凝集したモノマーを指す。
【0078】
「pTau PHF」、「PHF」、及び「対らせん状細線維」という用語は、本明細書で同義に使用され、電子顕微鏡上で可視である160nmの周期性でらせん内へと巻きつけられた線維の対を指す。幅は、10~22nmの間で変動する。PHFは、アルツハイマー病(AD)の神経原線維変化及び神経絨毛糸における主構造である。PHFはまた、老人斑に関連する変性神経突起の全てではないがいくつかにも見られることがある。PHFの主要構成成分は、微小管関連タンパク質tauの高リン酸化形態である。PHFは一部には、ジスルフィド結合された逆平行高リン酸化Tauタンパク質から構成され得る。PHF Tauは、そのC末端の20個のアミノ酸残基が切断され得る。PHF形成の根底にある機序は不明であるが、Tauの高リン酸化は、それを微小管から開放し、ニューロン内でPHFが形成され得るTauの可溶性プールを増加させ得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法上の変化形)とは、治療されている個体の自然経過を変更することを目的とした臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理過程中に実行され得る。治療の望ましい効果としては、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の減少、病状の回復または寛解、及び緩解または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を使用して、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の進行を減速させる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「初期アルツハイマー病」または「初期AD」という用語(例えば、「初期ADを有すると診断された患者」または「初期ADを患う患者」)は、記憶欠損などのADによる軽度の認知障害を有する患者、及びADバイオマーカーを有する患者、例えば、アミロイド陽性患者を含む。
【0081】
本明細書で使用される場合、「軽度のアルツハイマー病」または「軽度のAD」という用語(例えば、「軽度のADを有すると診断された患者」)は、20~26のMMSEスコアを特徴とするADの段階を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「軽度~中程度のアルツハイマー病」または「軽度~中程度のAD」という用語(例えば、「軽度のADを有すると診断された患者」)は、軽度及び中程度の両方のADを包含し、18~26のMMSEスコアを特徴とする。
【0083】
本明細書で使用される場合、「中程度のアルツハイマー病」または「中程度のAD」という用語(例えば、「中程度のADを有すると診断された患者」)は、18~19のMMSEスコアを特徴とするADの段階を指す。
【0084】
「MMSE」という用語は、1~30の間のスコアを提供する簡易知能評価スケールを指す。Folstein,et al.,1975,J.Psychiatr.Res.12:189-98を参照されたい。26以下のスコアは一般に、欠損を示すと見なされる。MMSE上の数的スコアがより低ければ低いほど、より低いスコアを有する別の個体に対する試験患者の欠損または障害はより大きい。MMSEスコアの増加は患者の病態の改善を示し得る一方で、MMSEスコアの減少は患者の病態の悪化を意味し得る。
【0085】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及び中に導入される宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが作動可能に結合している核酸の発現を指向することができる。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と呼ばれる。
【0086】
II.組成物及び方法
Tauに結合する抗体が提供される。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、Tauに結合するは、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tauに結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、成熟ヒトTauのアミノ酸2~24内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、Tauアミノ酸2~24内のエピトープに結合し、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tauに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列AEPRQEFEVMEDHAGTYGLGDRK(配列番号2)を有するか、またはそれからなる、ヒトTauのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列AEPRQEFDVMEDHAGTYGLGDRK(配列番号4)を有するか、またはそれからなる、カニクイザルTauのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列AEPRQEFEVMEDHAGTYGLGDRK(配列番号2)を有するか、またはそれからなる、ヒトTauのエピトープ、及び配列AEPRQEFDVMEDHAGTYGLGDRK(配列番号4)を有するか、またはそれからなる、カニクイザルTauのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、成熟ヒトTauのアミノ酸19~33、19~42、37~51、100~114、118~132、または172~177内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、成熟ヒトTauのアミノ酸19~33、19~42、37~51、100~114、118~132、または172~177内のエピトープに結合し、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tauに結合する。
【0087】
本発明の抗体は、例えば、神経変性疾患の診断または治療に有用である。
【0088】
A.例示的な抗Tau抗体
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号12、22、282、292、及び342から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号13、23、283、293、及び343から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号14、24、284、294、及び344から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号15、25、285、295、345、及び468~556から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号16、26、286、296、及び346から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(f)配列番号17、27、287、297、及び347から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号342のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号343のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号344のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号345のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号346のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号347のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72及び302から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73及び303から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号74及び304から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号75及び305から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号76及び306から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(f)配列番号77及び307から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82、312、322、及び332から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83、313、323、及び333から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号84、314、324、及び334から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号85、315、325、及び335から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号86、316、326、及び336から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(f)配列番号87、317、327、及び337から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号84のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号85のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号86のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号87のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号106のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号107のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号122のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号123のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号124のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号125のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号132のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号133のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号134のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号135のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号137のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号153のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号154のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号156のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号172のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号173のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号174のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号175のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号176のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号177のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号183のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号184のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号186のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号187のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号192のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号193のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号195のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号197のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号202のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号203のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号205のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号206のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号207のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号212のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号213のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号214のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号215のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号216のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号217のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号222のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号224のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号225のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号226のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号227のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号262のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号263のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号266のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号267のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号272のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号273のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号274のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号275のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号276のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号277のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号282のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号283のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号284のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号285のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号286のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号293のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号294のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号295のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号296のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号297のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号304のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号305のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号306のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号307のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号312のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号313のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号314のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号315のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号316のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号317のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号322のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号323のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号324のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号325のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号326のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号327のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号332のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号333のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号334のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号335のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号336のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号337のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号12、22、282、292、及び342から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)13、23、283、293、及び343から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2配列番号、ならびに(c)配列番号14、24、284、294、及び344から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号12、22、282、292、及び342から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号13、23、283、293、及び343から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(c)配列番号14、24、284、294、及び344から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号342のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号343のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号344のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号342のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号343のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号344のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72及び302から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73及び303から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(c)配列番号74及び304から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72及び302から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73及び303から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(c)配列番号74及び304から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82、312、322、及び332から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83、313、323、及び333から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(c)配列番号84、314、324、及び334から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82、312、322、及び332から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83、313、323、及び333から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(c)配列番号84、314、324、及び334から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号84のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号84のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号122のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号123のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号124のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号122のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号123のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号124のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号132のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号133のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号134のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号132のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号133のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号134のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号153のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号154のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号153のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号154のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号172のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号173のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号174のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号172のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号173のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号174のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号183のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号184のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号183のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号184のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号192のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号193のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号192アミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号193のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号202のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号203のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号202のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号203のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号212のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号213のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号214のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号212のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号213のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号214のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号222のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号224のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号222のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号224のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号262のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号263のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号262のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号263のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号272のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号273のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号274のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号272のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号273のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号274のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号282のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号283のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号284のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号282のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号283のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号284のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号293のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号294のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号293のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号294のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号304のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号304のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号312のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号313のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号314のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号312のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号313のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号314のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号322のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号323のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号324のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号322のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号323のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号324のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号332のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号333のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号334のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号332のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号333のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号334のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号15、25、285、295、345、及び468~556から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号16、26、286、296、及び346から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号17、27、287、297、及び347から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号15、25、285、295、345、及び468~556から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号16、26、286、296、及び346から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号17、27、287、297、及び347から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号345のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号346のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号347のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号345のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号346のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号347のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号75及び305から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号76及び306から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号77及び307から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号75及び305から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号76及び306から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号77及び307から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号85、315、325、及び335から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号86、316、326、及び336から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号87、317、327、及び337から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号85、315、325、及び335から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号86、316、326、及び336から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号87、317、327、及び337から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0163】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0164】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0167】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号85のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号86のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号87のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号85のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号86のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号87のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR-L2及び(c)配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号106のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号107のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号106のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号107のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0171】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号125のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号125のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号135のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号137のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号135のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号137のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号156のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号156のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号175のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号176のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号177のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号175のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号176のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号177のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号186のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号187のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号186のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号187のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号195のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号197のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号195のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号197のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号205のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号206のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号207のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号205のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号206のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号207のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号215のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号216のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号217のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号215のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号216のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号217のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号225のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号226のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号227のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号225のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号226のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号227のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号266のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号267のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号266のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号267のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0186】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号275のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号276のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号277のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号275のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号276のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号277のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号285のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号286のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号285のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号286のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号295のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号296のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号297のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号295のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号296のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号297のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号305のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号306のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号307のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号305のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号306のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号307のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号315のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号316のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号317のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号315のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号316のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号317のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号325のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号326のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号327のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号325のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号326のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号327のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号335のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号336のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号337のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号335のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号336のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号337のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号12、22、282、292、及び342から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号13、23、283、293、及び343から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号14、24、284、294、及び344から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号15、25、285、295、345、及び468~556から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号16、26、286、296、及び346から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(f)配列番号17、27、287、297、及び347から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号342のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号343のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号344のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号345のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号346のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号347のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72及び302から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73及び303から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号74及び304から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号75及び305から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号76及び306から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(f)配列番号77及び307から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82、312、322、及び332から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83、313、323、及び333から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号84、314、324、及び334から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号85、315、325、及び335から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号86、316、326、及び336から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(f)配列番号87、317、327、及び337から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0200】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号67のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号76のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0202】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号82のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号83のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号84のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号85のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号86のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号87のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0203】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0204】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号106のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号107のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0205】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号112のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号113のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号115のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号116のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号117のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号122のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号123のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号124のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号125のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号132のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号133のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号134のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号135のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号137のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号145のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号146のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号153のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号154のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号156のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号162のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号164のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号165のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号167のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0211】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号172のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号173のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号174のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号175のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号176のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号177のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0212】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号183のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号184のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号186のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号187のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0213】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号192のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号193のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号195のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号197のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号202のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号203のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号205のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号206のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号207のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号212のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号213のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号214のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号215のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号216のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号217のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号222のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号224のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号225のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号226のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号227のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号232のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号234のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号235のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号237のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号242のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号243のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号244のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号245のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号246のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号247のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号252のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号253のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号254のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号255のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号256のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号257のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号262のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号263のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号264のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号265のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号266のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号267のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0221】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号272のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号273のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号274のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号275のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号276のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号277のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0222】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号282のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号283のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号284のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号285のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号286のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号293のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号294のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号295のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号296のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号297のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0224】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号304のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号305のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号306のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号307のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0225】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号312のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号313のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号314のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号315のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号316のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号317のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0226】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号322のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号323のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号324のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号325のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号326のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号327のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0227】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、(a)配列番号332のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号333のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号334のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号335のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号336のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号337のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0228】
上記の実施形態のいずれにおいても、抗Tau抗体は、ヒト化されている。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体は、上記の実施形態のいずれかにあるようにHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを更に含む。
【0229】
別の態様において、抗Tau抗体は、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、または340のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗Tau抗体は、Tauに結合する能力を保持する。特定の実施形態において、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、または340内で置換、挿入及び/または欠失されている。特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。任意で、抗Tau抗体は、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、または340内のVH配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて含む。特定の一実施形態において、VHは、(a)配列番号12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、122、132、142、152、162、172、182、192、202、212、222、232、242、252、262、272、282、292、302、312、322、332、または342のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号13、23、33、43、53、63、73、83、93、100、113、123、133、143、153、163、173、183、193、203、213、223、233、243、253、263、273、283、293、303、313、323、333、または343のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、144、154、164、174、184、194、204、214、224、234、244、254、264、274、284、294、304、314、324、334、または344のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0230】
別の態様において、抗Tau抗体は、配列番号11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、181、191、201、211、221、231、241、251、261、271、281、291、301、311、321、331、または341のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗Tau抗体は、Tauに結合する能力を保持する。特定の実施形態において、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、181、191、201、211、221、231、241、251、261、271、281、291、301、311、321、331、または341内で置換、挿入及び/または欠失されている。特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。任意で、抗Tau抗体は、配列番号11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、181、191、201、211、221、231、241、251、261、271、281、291、301、311、321、331、または341内のVL配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて含む。特定の一実施形態において、VLは、(a)配列番号15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、145、155、165、175、185、195、205、215、225、235、245、255、265、275、285、295、305、315、325、335、または345のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号16、26、36、46、56、66、76、86、96、106、116、126、136、146、156、166、176、186、196、206、216、226、236、246、266、266、276、286、296、306、316、326、336、または346のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、267、277、277、287、297、307、317、327、337、または347のアミノ酸配列を含むHVR-L3のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
【0231】
別の態様において、抗Tau抗体であって、上記に提供される実施形態のいずれかにあるようなVH、及び上記に提供される実施形態のいずれかにあるようなVLを含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号280及び配列番号281内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。いくつかの実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号290及び配列番号291内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。いくつかの実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号300及び配列番号301内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。いくつかの実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号310及び配列番号311内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。いくつかの実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号320及び配列番号321内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。いくつかの実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号330及び配列番号331内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。いくつかの実施形態において、抗体は、抗体は、それぞれ配列番号340及び配列番号341内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。
【0232】
いくつかの実施形態において、抗Tau抗体であって、配列番号348または配列番号602のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体が提供される。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体であって、配列番号348または配列番号602のアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号349のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、抗体が提供される。
【0233】
更なる一態様において、本発明は、本明細書に提供される抗Tau抗体と同一のエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、特定の実施形態において、94B2-C1、125B11-H3、37D3-H9、及びhu37D3-H9.v28.A4から選択される抗体と同一のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸2~24からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸7~24からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸7~20からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸10~24からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸7~21からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸8~22からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸11~25からなるTauの断片内のエピトープに結合する抗体が提供される。特定の実施形態において、以下のTau断片、2~24、7~24、7~20、10~24、7~21、8~22、及び11~25のうちの1つ以上または全てに結合する抗体が提供される。いくつかの実施形態において、配列番号593の配列を有するペプチドには結合するが、配列番号596または配列番号597の配列を有するペプチドには結合しない抗体が提供される。
【0234】
本発明の更なる一態様において、上記の実施形態のいずれかに従う抗Tau抗体は、キメラ、ヒト化またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一実施形態において、抗Tau抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片である。別の実施形態において、抗体は、完全長抗体、例えば、無傷IgG1もしくはIgG4抗体、または本明細書において定義される他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0235】
更なる一態様において、上記の実施形態のいずれかに従う抗Tau抗体は、以下の節1~7に記載される特徴のいずれかを、単独または組み合わせで組み込み得る。
【0236】
1.抗体親和性
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0237】
いくつかの実施形態において、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。いくつかの実施形態において、RIAは、目的とされる抗体のFabバージョン及びその抗原で実行される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の一連の滴定の存在下で、Fabを最小濃度の(125I)標識抗原と平衡化し、その後、抗Fab抗体でコーティングされたプレートで結合した抗原を捕捉することによって、測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、室温(約23℃)でPBS中2重量体積%(w/v)のウシ血清アルブミンで2~5時間遮断する。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pMまたは26pMの[125I]-抗原を、目的とされるFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。その後、目的とされるFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡への到達を確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。その後、溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%ポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間計数する。20%以下の最大結合をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイに使用するために選択する。
【0238】
別の実施形態に従うと、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイを、約10の共鳴単位(RU)で、固定化された抗原CM5チップで25℃で実行する。いくつかの実施形態において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示書に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)になるまで希釈した後に、5μL/分の流量で注入して、約10共鳴単位(RU)のカップリングしたタンパク質を得る。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、25℃の0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中約25μL/分の流量で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1のラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合センサグラムと解離センサグラムとを同時にフィットさせることによって計算する。平衡解離定数(KD)を、比率koff/konとして計算する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記表面プラズモン共鳴アッセイによるオン速度が106M-1s-1を超える場合、オン速度は、ストップトフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを有する8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される、増加する抗原濃度の存在下で、25℃で、PBS中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する蛍光消光技法を使用することによって決定することができる。
【0239】
2.抗体断片
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、ならびに以下に記載される他の断片が挙げられるが、これらに限定されない。特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、また、WO93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有する、Fab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0240】
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディもまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載される。
【0241】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部分を含む、抗体断片である。特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA、例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。
【0242】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、無傷抗体のタンパク質消化及び組み換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない様々な技法によって作製することができる。
【0243】
3.キメラ抗体及びヒト抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えば、サルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる一例において、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、それらの抗原結合断片を含む。
【0244】
特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減する一方で、親非ヒト抗体の特異性及び親和性は保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、1つ以上の可変ドメインを含み、そのHVR、例えば、CDR(またはそれらの部分)は非ヒト抗体に由来し、そのFR(またはそれらの部分)はヒト抗体配列に由来する。任意で、ヒト化抗体はまた、ヒト定常領域の少なくとも一部分も含むであろう。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体内のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元または改善するように、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0245】
ヒト化抗体及びそれらの作製方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で概説され、例えば、Riechmann et al.,Nature332:323-329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci. USA86:10029-10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)移植を記載)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「リサーフェイシング」を記載)、Dall’Acqua et al.,Methods36:43-60(2005)(「FRシャフリング」を記載)、ならびにOsbourn et al.,Methods36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャフリングへの「誘導選択」アプローチを記載)に更に記載される。
【0246】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993))、ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞株フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008))、ならびにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
4.ヒト抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野において既知である様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は一般に、van Dijk and van de Winkel,Curr. Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載される。
【0248】
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、無傷ヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷抗体を産生するように修飾されているトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体にランダムに統合されるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含有する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号、HUMAB(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号、K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)を記載する米国特許出願公開第US2007/0061900号もまた、参照されたい。そのような動物によって生成された無傷抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって更に修飾され得る。
【0249】
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が、記載されている(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されるヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載される。追加の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載)に記載されるものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)に記載されている。
【0250】
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージ提示ライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望されるヒト定常ドメインと組み合わされ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法を、以下に記載する。
【0251】
5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望される活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることにより単離することができる。例えば、ファージ提示ライブラリを生成し、所望される結合特性を持つ抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が、当該技術分野において既知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説され、例えば、McCafferty et al.,Nature348:552-554、Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc. Natl.Acad.Sci.USA101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods284(1-2):119-132(2004)に更に記載される。
【0252】
特定のファージ提示法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに組み換えられ、それはその後、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、抗体断片を一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして提示する。免疫化源由来のライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、免疫原に高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されるように、ナイーブレパートリーは、クローニングされて(例えば、ヒトから)、いかなる免疫化もなく、幅広い非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一源を提供することができる。最後に、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)によって記載されるように、ナイーブライブラリはまた、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、かつインビトロで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリを記載している特許公開としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0253】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
【0254】
6.多重特異性抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施形態において、結合特異性の一方はTauに対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。特定の実施形態において、結合特異性の一方はTauに対するものであり、他方はアミロイドベータに対するものである。特定の実施形態において、二重特異性抗体は、Tauの2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体はまた、Tauを発現する細胞に細胞傷害性薬剤を局所化させるために使用することができる。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。
【0255】
多重特異性抗体を作製するための技法としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組み換え同時発現(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983))、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、ならびに「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電的ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993))、ならびに一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによっても作製することができる。
【0256】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
【0257】
本明細書における抗体または断片はまた、Tau及び別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」または「DAF」も含む(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
【0258】
7.抗体変異形
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異形が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましくあり得る。抗体のアミノ酸配列変異形は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそこへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特性、例えば、抗原結合を持つことを条件とする。
【0259】
a)置換、挿入、及び欠失変異形
特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異形が提供される。置換型変異誘発の目的とされる部位としては、HVR及びFRが挙げられる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、アミノ酸側鎖クラスに関連して以下に更に記載される通りである。アミノ酸置換が目的とされる抗体に導入され、産生物が所望される活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、またはADCCもしくはCDCの改善についてスクリーニングされ得る。
表1
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従ってグループ化され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0260】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーと別のクラスのメンバーとの交換を伴う。
【0261】
ある種類の置換型変異形は、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、更なる研究のために選択される結果として生じる変異形(複数可)は、親抗体と比較した特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、かつ/または実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換型変異形は、例えば、本明細書に記載されるものなどのファージ提示に基づく親和性成熟技法を使用して、好都合に生成され得る親和性成熟抗体である。簡潔には、1つ以上のHVR残基が変異され、変異形抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0262】
変化(例えば、置換)がHVRに行われて、例えば、抗体親和性を改善することができる。そのような変化は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/または抗原に接触する残基に行われてもよく、結果として生じる変異形VHまたはVLが、結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築し、そこから再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology178:1-37に記載されている(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))。親和性成熟のいくつかの実施形態において、多様性が、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向変異誘発)のいずれかによって、成熟させるために選択された可変遺伝子に導入される。その後、二次ライブラリが作製される。その後、このライブラリがスクリーニングされて、所望される親和性を有する任意の抗体変異形が特定される。多様性を導入する別の方法は、数個のHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)がランダム化されるHVR指向アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデル化を使用して、特異的に特定され得る。特に、CDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0263】
特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、そのような変化が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減しない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的変化(例えば、本明細書に提供される保存的置換)がHVRで行われ得る。そのような変化は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であってもよい。上記に提供される変異形VH配列及びVL配列の特定の実施形態において、各HVRは、変化しないか、または1つ以下、2つ以下もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
【0264】
変異誘発のために標的とされ得る抗体の残基または領域の特定に有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085によって記載される「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法において、残基または標的残基群(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)が特定され、中性または負荷電アミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置換されて、抗体と抗原との相互作用に影響が及ぼされたかが決定される。更なる置換が、最初の置換に対する機能感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、または加えて、抗体と抗原との間の接触点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的とされ得るか、または排除され得る。変異形がスクリーニングされて、それらが所望される特性を含有するかを決定することができる。
【0265】
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基から100以上の残基の範囲を含有するポリペプチドの範囲であるアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異形としては、酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドへの抗体のN末端もしくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増加させる。
【0266】
b)グリコシル化変異形
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように変化する。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を変化させることによって好都合に達成され得る。
【0267】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が変化し得る。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、一般にN結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖としては、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースを挙げることができる。いくつかの実施形態において、特定の特性が改善された抗体変異形を作製するために、本発明の抗体内のオリゴ糖の修飾が行われ得る。
【0268】
いくつかの実施形態において、Fc領域に(直接的または間接的に)結合されたフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異形が提供される。例えば、そのような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、WO2008/077546に記載されるMALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体内のわずかな配列変異のため、297位から約±3アミノ酸上流または下流に、すなわち、294位と300位との間に位置し得る。そのようなフコシル化変異形は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第US2003/0157108号(Presta,L.)、同第US2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコース化」または「フコース欠損」抗体変異形に関する公開の例としては、US2003/0157108、WO2000/61739、WO2001/29246、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、WO2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願第US2003/0157108A1号、Presta,L;及びWO2004/056312A1、Adamsら、特に実施例11)、ならびにアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、及びWO2003/085107)が挙げられる。
【0269】
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分される、二分されたオリゴ糖を有する抗体変異形が更に提供される。そのような抗体変異形は、低減されたフコシル化及び/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体変異体の例は、例えば、WO2003/011878(Jean-Mairet et al.)、米国特許第6,602,684号(Umana et al.)、及びUS2005/0123546(Umana et al.)に記載される。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異形もまた、提供される。そのような抗体変異形は、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体変異体は、例えば、WO1997/30087(Patel et al.)、WO1998/58964(Raju,S.)、及びWO1999/22764(Raju,S.)に記載される。
【0270】
c)Fc領域変異形
特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それにより、Fc領域変異形が生成され得る。Fc領域変異形は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0271】
特定の実施形態において、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を持つことにより、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不要または有害である用途に望ましい候補となる抗体変異形を企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(故にADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3にまとめられている。目的とされる分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al. Proc.Nat’l Acad.Sci.USA83:7059-7063(1986)を参照されたい)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499-1502(1985)、5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載される。あるいは、非放射性アッセイ方法が用いられてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、または加えて、目的とされる分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA95:652-656(1998)に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価することができる。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができず、故にCDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイが実行されてもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定もまた、当該技術分野において既知である方法を使用して実行することができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照されたい)。
【0272】
低減したエフェクター機能を有する抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ以上の置換を有するものを含む(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体は、アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位及び327位のうちの2つ以上において置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0273】
FcRへの結合が改善または縮小された特定の抗体変異形が記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0274】
特定の実施形態において、抗体変異形は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/または334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
【0275】
いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されるように、変化は、変化した(すなわち、改善または縮小した)C1q結合及び/または補体依存症細胞傷害性(CDC)をもたらすFc領域において行われる。
【0276】
母体IgGの胎児への移入に関与する、半減期が増加し、かつ新生児型Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al.,J.Immunol. 117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))が、US2005/0014934A1(Hintonら)に記載される。それらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ以上の置換を有するFc領域をそこに含む。そのようなFc変異形は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424または434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7,371,826号)。
【0277】
Fc領域変異形の他の例に関して、Duncan&Winter,Nature322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
【0278】
d)システイン操作された抗体変異形
特定の実施形態において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作された抗体、例えば、「thioMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態において、置換残基は、抗体の接触可能部位において生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基がそれにより抗体の接触可能部位に位置付けられ、それを使用して、薬物部分またはリンカー-薬物部分などの他の部分に抗体を複合体化して、本明細書で更に記載される免疫複合体を作製することができる。特定の実施形態において、以下の残基のいずれか1つ以上が、システインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成され得る。
【0279】
e)抗体誘導体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野において既知であり、かつ容易に入手可能な、追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾され得る。抗体の誘導体化に好適な部分としては、水溶性ポリマーを含むが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量のものであり得、分岐状または非分岐状であり得る。抗体に結合したポリマーの数は異なり得、2つ以上のポリマーが結合している場合、それらは、同一の分子または異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、改善される抗体の特定の特性または機能、抗体の誘導体が定義される条件下で療法において使用されるかどうかなどを含むが、これらに限定されない考慮に基づいて決定することができる。
【0280】
別の実施形態において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る、抗体と非タンパク質性部分との複合体が提供される。いくつかの実施形態において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl. Acad.Sci.USA102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長のものであってもよく、通常の細胞を傷つけないが、非タンパク質性部分を、抗体-非タンパク質性部分に近位の細胞を死滅させる温度まで加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0281】
B.組み換え方法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される組み換え方法及び組成物を使用して産生され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗Tau抗体をコードする単離核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。更なる一実施形態において、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる一実施形態において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真核生物のもの、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体を作製する方法であって、上記に提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、その抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意で、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む、方法が提供される。
【0282】
抗Tau抗体の組み換え産生のために、例えば、上記のものなどの、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/または発現のために、1つ以上のベクター中に挿入される。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
【0283】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現のための好適な宿主細胞は、本明細書に記載される原核細胞または真核細胞を含む。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌内で産生され得る。細菌内での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(E.coli中での抗体断片の発現を記載する、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254もまた参照されたい。)発現後、抗体は、可溶性画分中で細菌細胞ペーストから単離されてもよく、更に精製されてもよい。
【0284】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターに好適なクローニングまたは発現宿主であり、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株を含む。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0285】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。昆虫細胞と併せて、特にヨトウガ細胞のトランスフェクションのために使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
【0286】
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
【0287】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するように適合される哺乳動物細胞株が、有用である場合がある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頚部癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝臓細胞(BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍(MMT060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるTRI細胞、MRC5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad. Sci.USA77:4216(1980))、ならびにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0288】
C.アッセイ
本明細書に提供される抗Tau抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、当該技術分野において既知である様々なアッセイによって、特定され、スクリーニングされ、または特性評価されてもよい。
【0289】
1.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様において、本発明の抗体は、例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどの既知の方法によってその抗原結合活性について試験される。
【0290】
別の態様において、競合アッセイを使用して、Tauへの結合について本明細書に記載される抗体と競合する抗体を特定することができる。特定の実施形態において、そのような競合抗体は、94B2-C1、125B11-H3、37D3-H9、またはhu37D3-H9.v28.A4によって結合される、同一のエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供される。
【0291】
一例示的な競合アッセイにおいて、固定化されたTau(モノマーTauなど)は、Tauに結合する第1の標識された抗体(例えば、hu37D3-H9.v28.A4などの本明細書に記載される任意の抗体)と、第1の抗体とTauへの結合について競合するその能力について試験される第2の非標識抗体とを含む溶液中で、インキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたTauを、第1の標識された抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体のTauへの結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、過剰な未結合抗体を除去し、固定化されたTauに関連する標識の量を測定する。固定化されたTauに関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に低減される場合、それは、第2の抗体がTauへの結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0292】
2.活性アッセイ
一態様において、生物学的活性を有するその抗Tau(例えば、pan-Tau)抗体を特定するためのアッセイが提供される。生物学的活性としては、例えば、複数の形態のTau(例えば、モノマーTau、オリゴマーTau、非リン酸化Tau、及びリン酸化Tau)へのそのような抗体の結合、ならびにTauタンパク質(例えば、脳内、例えば、脳皮質及び/または海馬内の、総Tau、総可溶性Tau、可溶性非リン酸化Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性非リン酸化Tau、不溶性リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減を挙げることができる。インビボ及び/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体もまた、提供される。
【0293】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。例えば、Tauトランスジェニックマウス(例えば、P301L)などのタウオパチーの動物モデルを使用して、脳切片への、例えば、トランスジェニックマウスの脳内の神経原線維変化への、抗Tau抗体の結合を検出することができる。更に、Tauトランスジェニックマウス(例えば、P301L)などのタウオパチーの動物モデルを抗Tau抗体で治療することができ、当該技術分野において既知である実験的技法を使用して、そのような治療が、マウス脳内(例えば、脳皮質及び/または海馬内の)のTauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性リン酸化Tau、可溶性非リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、不溶性非リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルを低減するかどうかを評価することができる。
【0294】
D.免疫複合体
本発明はまた、1つ以上の他の治療剤または放射性同位体に複合体化される本明細書の抗Tau抗体を含む免疫複合体も提供する。
【0295】
別の実施形態において、免疫複合体は、放射性原子に複合体化されて放射性複合体を形成する、本明細書に記載される抗体を含む。様々な放射性同位体が、放射性複合体の産生のために利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体が挙げられる。放射性複合体が検出に使用される場合、それは、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えば、tc99mもしくはI123、または再びヨード-123、ヨード-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄などの核磁気共鳴(NMR)撮像法(磁気共鳴撮像法、mriとしても知られる)のためのスピン標識を含み得る。
【0296】
抗体の複合体は、N-サクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)、サクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジサクシニミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.,Science238:1098(1987)に記載されるように調製することができる。炭素-14-標識化1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体に複合体化するための一例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992)、米国特許第5,208,020号)が使用されてもよい。
【0297】
本明細書の免疫複合体またはADCは、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、ならびに(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)市販されているSVSB(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)を含むが、これらに限定されない架橋剤試薬で調製されるそのような複合体を明示的に企図するが、これらに限定されない。
【0298】
E.診断及び検出のための方法及び組成物
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗Tau抗体のいずれも、生体試料中のTauの存在の検出に有用である。本明細書で使用される場合、「検出すること」という用語は、定量的または定性的検出を包含する。特定の実施形態において、生体試料は、脳脊髄液、脳細胞もしくは脳組織(例えば、脳皮質もしくは海馬)、または血液などの細胞もしくは組織を含む。いくつかの実施形態において、生体試料は、脳脊髄液である。
【0299】
いくつかの実施形態において、診断または検出方法に使用するための抗Tau抗体が提供される。更なる一態様において、生体試料中のTauの存在の検出方法が提供される。特定の実施形態において、本方法は、Tauへの抗Tau抗体の結合を許容する条件下で、生体試料を本明細書に記載される抗Tau抗体と接触させることと、複合体が抗Tau抗体とTauとの間で形成されるかどうかを検出することとを含む。そのような方法は、インビトロ方法またはインビボ方法であり得る。更に、試験生体試料中で抗Tau抗体とTauとの間に形成される複合体は、対照生体試料(例えば、健康な対象(複数可)由来の生体試料)中で形成される複合体と比較され得る。試験生体試料中で抗Tau抗体とTauとの間に形成される複合体の量はまた、定量化され、対照生体試料(例えば、健康な対象(複数可)由来の生体試料)中で形成される複合体の量と、または健康な対象において形成されることが知られる複合体の平均量と比較され得る。
【0300】
いくつかの実施形態において、例えば、Tauが患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗Tau抗体を使用して、抗Tau抗体での療法に適格な対象を選択する。例えば、いくつかの実施形態において、抗Tau(例えば、pan-Tau)抗体を使用して、対象がTauタンパク質疾患もしくは障害を有するかどうか、または対象がTauタンパク質疾患もしくは障害の高いリスクにある(素因がある)かどうかを検出する。
【0301】
本発明の抗体を使用して診断され得る例示的な疾患または障害としては、Tauタンパク質関連疾患もしくは障害、及び神経原線維変化もしくは神経絨毛糸によって引き起こされるか、またはそれに関連付けられる疾患もしくは障害が挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を使用して診断され得る疾患または障害としては、推理力、状況判断力、認知記憶、学習、及び/または空間進路決定を含む、認知機能の障害または喪失において顕在化されるTauタンパク質関連疾患または障害が挙げられる。特に、本発明の抗体を使用して診断され得る疾患または障害としては、神経変性タウオパチーなどのタウオパチーが挙げられる。本発明の抗体を使用して診断され得る例示的な疾患または障害としては、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を使用して診断され得る障害は、アルツハイマー病(AD)である。
【0302】
特定の実施形態において、標識された抗Tau抗体が提供される。標識としては、直接検出される標識または部分(蛍光標識、発色団標識、電子密度の高い標識、化学発光標識、及び放射性標識など)、ならびに間接的に、例えば、酵素反応または分子相互作用により検出される酵素またはリガンドなどの部分が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、希土類キレートまたはフルオレセイン及びその誘導体などのフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferase)、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸塩デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされたウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、ならびに安定した遊離ラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0303】
F.薬学的製剤
本明細書に記載される抗Tau抗体の薬学的製剤は、所望される程度の純度を有するそのような抗体と、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/または賦形剤とを混合すること(Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980))によって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体、希釈剤、及び賦形剤は一般に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、それらには、無菌水、緩衝剤(リン酸、クエン酸、及び他の有機酸など);アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール;ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性(insterstitial)薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
【0304】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤は、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載されるものを含み、後者の製剤は、ヒスチジン-アセテート緩衝液を含む。
【0305】
本明細書の製剤はまた、治療されている特定の適応症の必要に応じて、2つ以上の活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有する成分を含有してもよい。そのような活性成分は、好適には、意図される目的に有効な量で、組み合わせで存在する。
【0306】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン-マイクロカプセル、及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中に封入され得る。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0307】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。
【0308】
インビボ投与に使用される製剤は一般に、無菌のものである。無菌性は、例えば、無菌濾過膜を介した濾過によって容易に達成することができる。
【0309】
G.治療方法及び組成物
本明細書に提供される抗Tau抗体または免疫複合体のいずれも、治療方法において使用することができる。
【0310】
一態様において、医薬品として使用するための抗Tau抗体が提供される。更なる態様において、Tauタンパク質関連疾患または障害の治療に使用するための抗Tau抗体が提供される。いくつかの実施形態において、神経原線維変化または神経絨毛糸の形成によって引き起こされるか、またはそれに関連付けられる疾患または障害の治療に使用するための抗Tau抗体が提供される。特定の実施形態において、神経変性タウオパチーなどのタウオパチーの治療に使用するための抗Tau抗体が提供される。抗Tau抗体で治療され得る治療され得る例示的なTauタンパク質関連疾患または障害としては、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーが非限定的に挙げられる。いくつかの実施形態において、アルツハイマー病(AD)の治療に使用するための抗Tau抗体が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、中程度のAD、軽度~中程度のAD、軽度のAD、初期AD、または前駆ADの治療に使用するための抗Tau抗体が本明細書に提供される。更に、抗Tau抗体で治療され得るTauタンパク質関連疾患または障害としては、推理力、状況判断力、認知記憶、学習、及び/または空間進路決定を含む、認知機能の障害または喪失において顕在化される疾患または障害が挙げられる。特定の実施形態において、治療方法に使用するための抗Tau抗体が提供される。特定の実施形態において、本発明は、上記のTau関連疾患または障害のいずれか1つを有する個体の治療方法に使用するための抗Tau抗体を提供し、本方法は、有効量の抗Tau抗体を個体に投与することを含む。そのような一実施形態において、本方法は、例えば以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。
【0311】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、20~30の間、20~26の間、24~30の間、21~26の間、22~26の間、22~28の間、23~26の間、24~26の間、または25~26の間のMMSEスコアを有する個体を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、患者は、22~26の間のMMSEスコアを有する。本明細書で使用される場合、2つの数字間のMMSEスコアは、その範囲の両端の数字を含む。例えば、22~26の間のMMSEスコアは、22及び26のMMSEスコアを含む。
【0312】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、『tau陽性』である個体、例えば、Tauタンパク質関連障害に典型的である脳tau沈着物を有する患者、例えば、陽性のTau PETスキャンを有する患者を治療するために使用される。
【0313】
更なる実施形態において、本発明は、個体におけるTauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減に使用するための抗Tau抗体を提供する。例えば、そのような低減は、脳内(例えば、脳皮質及び/または海馬内)で生じ得る。いくつかの実施形態において、本発明は、リン酸化Tauのレベルの低減に使用するための抗Tau抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、不溶性Tau(例えば、不溶性リン酸化Tau)のレベルの低減に使用するための抗Tau抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、高リン酸化Tauのレベルの低減に使用するための抗Tau抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、脳組織内(例えば、脳皮質及び/または海馬内)の対らせん状細線維(例えば、高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減に使用するための抗Tau抗体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、個体における脳内(例えば、脳皮質及び/または海馬内)のTauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減方法であって、有効量の抗Tau抗体を個体に投与して、Tauタンパク質のレベルを低減させることを含む、方法に使用するための抗Tau抗体を提供する。上記の実施形態のいずれに従う「個体」も、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0314】
いくつかの実施形態において、本発明は、例えば、個体の脳内(例えば、脳皮質及び/または海馬内)のTauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの調節に使用するための抗Tau抗体を提供する。
【0315】
更なる一態様において、本発明は、医薬品の製造または調製における抗Tau抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態において、医薬品は、Tauタンパク質関連疾患または障害の治療のためのものである。Tauタンパク質関連疾患または障害は、神経原線維変化または神経絨毛糸の形成によって引き起こされるか、またはそれに関連付けられる疾患または障害であり得る。特定の実施形態において、医薬品は、神経変性タウオパチーなどのタウオパチーの治療のためのものである。特定の実施形態において、医薬品は、アルツハイマー病(AD)、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーからなる群から選択される疾患または障害の治療のためのものである。いくつかの実施形態において、医薬品は、ADの治療のためのものである。特定の実施形態において、医薬品は、推理力、状況判断力、認知記憶、学習、または空間進路決定を含む、認知機能の障害または喪失において顕在化されるTau関連疾患または障害の治療のためのものである。更なる一実施形態において、医薬品は、上記に列挙される疾患(例えば、ADなどのタウオパチー)の治療方法であって、そのような疾患を有する個体に有効量の医薬品を投与することを含む、方法に使用するためのものである。そのような一実施形態において、本方法は、例えば以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。
【0316】
更なる一実施形態において、医薬品は、Tauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性非リン酸化Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、不溶性非リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減のためのものである。例えば、Tauタンパク質のそのような低減は、個体の脳内(例えば、脳皮質及び/もしくは海馬内)または脳脊髄液中で観察され得る。いくつかの実施形態において、医薬品は、対らせん状細線維のレベルの低減のためのものである。更なる一実施形態において、医薬品は、個体におけるTauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減方法であって、有効量の医薬品を個体に投与して、Tauタンパク質のレベルを低減させることを含む、方法に使用するためのものである。上記の実施形態のいずれに従う「個体」も、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0317】
更なる一態様において、本発明は、Tauタンパク質関連疾患または障害の治療方法を提供する。本明細書に提供される方法に従って治療され得るTauタンパク質関連疾患または障害としては、神経原線維変化または神経絨毛糸の形成によって引き起こされるか、またはそれに関連付けられる疾患または障害が挙げられる。特定の実施形態において、本発明は、神経変性タウオパチーなどのタウオパチーの治療方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーからなる群から選択される疾患または障害の治療方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、アルツハイマー病(AD)の治療方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、推理力、状況判断力、認知記憶、学習、または空間進路決定を含む、認知機能の障害または喪失において顕在化されるTau関連疾患または障害の治療方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、有効量の抗Tau抗体を、上記の疾患または障害を有する個体に投与することを含む。そのような一実施形態において、本方法は、例えば以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、本方法は、有効量の抗Tau抗体を、本明細書に記載される疾患のうちの1つを有する個体に投与することを含む。そのような一実施形態において、本方法は、以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。上記の実施形態のいずれに従う「個体」も、ヒトであり得る。
【0318】
更なる一態様において、本発明は、個体におけるTauタンパク質(例えば、総Tau、総可溶性Tau、可溶性リン酸化Tau、総不溶性Tau、不溶性リン酸化Tau、高リン酸化Tau、または高リン酸化Tauを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減方法を提供する。例えば、Tauタンパク質のレベルのそのような低減は、個体の脳内(例えば、脳皮質及び/もしくは海馬)または脳脊髄液中で観察され得る。いくつかの実施形態において、本発明は、対らせん状細線維のレベルの低減方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、有効量の抗Tau抗体を個体に投与して、Tauタンパク質のレベルを低減させることを含む。いくつかの実施形態において、「個体」はヒトである。
【0319】
いくつかの態様において、本発明は、Tauタンパク質関連疾患もしくは障害の1つ以上の症状の緩和方法、またはTauタンパク質関連疾患もしくは障害(本明細書に記載される疾患もしくは障害のいずれか、例えば、ADなど)の1つ以上の症状を緩和するための、抗Tau抗体もしくは抗Tau抗体を含む医薬品を提供する。いくつかの態様において、本発明は、Tauタンパク質関連疾患もしくは障害の症状の数または1つ以上の症状の重症度の低減方法、あるいはTauタンパク質関連疾患もしくは障害(本明細書に記載される疾患もしくは障害のいずれか、例えば、ADなど)の症状の数または1つ以上の症状の重症度を低減するための、抗Tau抗体または抗Tau抗体を含む医薬品を提供する。特定の一実施形態において、Tauタンパク質関連疾患または障害の症状は、認知障害である。特定の一実施形態において、Tauタンパク質関連疾患または障害の症状は、学習及び/または記憶障害である。特定の一実施形態において、Tauタンパク質関連疾患または障害の症状は、長期記憶喪失である。特定の一実施形態において、Tauタンパク質関連疾患または障害の症状は、認知症である。いくつかの実施形態において、Tauタンパク質関連疾患または障害の症状は、錯乱、易刺激性、攻撃性、気分変動、または言語障害である。いくつかの実施形態において、Tauタンパク質関連疾患または障害の症状は、推理力、状況判断力、認知記憶、及び/または学習などの1つ以上の認知機能の障害または喪失である。本明細書に提供される方法は、ある量(例えば、治療有効量)の抗Tau抗体を、(例えば、Tauタンパク質関連疾患または障害の1つ以上の症状を提示する)個体に投与することを含む。
【0320】
特定の態様において、本発明は、認知記憶容量の保持もしくは増加方法、またはTauタンパク質関連疾患もしくは障害に関連付けられる記憶喪失の減速方法、あるいは認知記憶容量の保持もしくは増加、またはTauタンパク質関連疾患もしくは障害(本明細書に記載される疾患もしくは障害のいずれか、例えば、ADなど)に関連付けられる記憶喪失の減速のための、抗Tau抗体または抗Tau抗体を含む医薬品を提供する。本明細書に提供される方法は、ある量(例えば、治療有効量)の抗Tau抗体を、(例えば、記憶喪失または記憶容量の減少の1つ以上の症状を提示する)個体に投与することを含む。
【0321】
いくつかの態様において、本発明は、Tauタンパク質関連疾患もしくは障害の進行速度の減少方法、またはTauタンパク質関連疾患もしくは障害(本明細書に記載される疾患もしくは障害のいずれか、例えば、ADなど)の進行速度の減少のための、抗Tau抗体もしくは抗Tau抗体を含む医薬品を提供する。本明細書に提供される方法は、ある量(例えば、治療有効量)の抗Tau抗体を、(例えば、Tauタンパク質関連疾患または障害の1つ以上の症状を提示する)個体に投与することを含む。
【0322】
いくつかの態様において、本発明は、Tauタンパク質関連疾患もしくは障害の発症の予防方法、またはTauタンパク質関連疾患もしくは障害(本明細書に記載される疾患もしくは障害のいずれか、例えば、ADなど)の発症を予防するための、抗Tau抗体もしくは抗Tau抗体を含む医薬品を提供する。本明細書に提供される方法は、ある量(例えば、治療有効量)の抗Tau抗体を、(例えば、Tauタンパク質関連疾患または障害のリスクにある)個体に投与することを含む。
【0323】
いくつかの態様において、本発明は、Tauタンパク質関連疾患もしくは障害の発症の遅延方法、またはTauタンパク質関連疾患もしくは障害(本明細書に記載される疾患もしくは障害のいずれか、例えば、ADなど)の発症を遅延させるための、抗Tau抗体もしくは抗Tau抗体を含む医薬品を提供する。本明細書に提供される方法は、ある量(例えば、治療有効量)の抗Tau抗体を、(例えば、Tauタンパク質関連疾患または障害の1つ以上の症状を提示する)個体に投与することを含む。
【0324】
更なる一態様において、本発明は、例えば、上記の治療方法のいずれかに使用するための、本明細書に提供される抗Tau抗体のいずれかを含む、薬学的製剤を提供する。いくつかの実施形態において、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗Tau抗体のいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。別の実施形態において、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗Tau抗体のいずれかと、例えば、以下に記載される少なくとも1つの追加の治療剤とを含む。
【0325】
本発明の抗体は、療法において、単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。
【0326】
例えば、本発明に従う組成物は、例えば、タウオパチー及び/またはアミロイドーシスの薬物療法、アミロイド及びアミロイド様タンパク質(アルツハイマー病に関与するアミロイドβタンパク質など)に関連する疾患及び障害の群において使用される既知の化合物などの生物活性物質または化合物などの追加の治療剤を含む、他の組成物と組み合わせて投与されてもよい。
【0327】
一般に、他の生物活性化合物は、ニューロン-伝達エンハンサー、心理療法薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、生体アミン、ベンゾジアゼピン精神安定剤、アセチルコリン合成、貯蔵もしくは放出エンハンサー、アセチルコリンシナプス後受容体アゴニスト、モノアミン酸化酵素AもしくはB阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸グルタミン酸受容体アンタゴニスト、非ステロイド性抗炎症薬、酸化防止剤、セロトニン受容体アンタゴニスト、または他の治療剤を含み得る。特に、生物活性剤化合物は、酸化ストレスに対する化合物、抗アポトーシス性化合物、金属キレート剤、DNA修復の阻害剤(ピレンゼピン及び代謝物など)、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホン酸(1,3PDS)、セクレターゼ活性化剤、ベータ-及びガンマ-セクレターゼ阻害剤、Tauタンパク質、抗Tau抗体(WO2012049570、WO2014028777、WO2014165271、WO2014100600、WO2015200806、US8980270、及びUS8980271に開示される抗体を含むが、これらに限定されない)、神経伝達物質、ベータ-シートブレーカー、抗炎症性分子、「非定型抗精神病薬」(例えば、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾールもしくはオランザピンなど)、またはコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)(タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、及び/もしくはガランタミンなど)、ならびに他の薬物及び栄養素補助剤(例えば、ビタミンB12、システイン、アセチルコリンの前駆体、レシチン、コリン、イチョウ、アシエチル(acyetyl)-L-カルニチン、イデベノン、プロペントフィリン、もしくはキサンチン誘導体など)、ならびに本発明に従う結合ペプチド(抗体、特にモノクローナル抗体及びそれらの活性断片を含む)、ならびに任意で薬学的に許容される担体及び/または希釈剤及び/または賦形剤から選択される少なくとも1つの化合物と、疾患の治療の指示書とを含み得る。
【0328】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、神経薬と組み合わせて投与されてもよい。そのような神経薬としては、ベータセクレターゼ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質またはその部分、アミロイドベータペプチドまたはそれらのオリゴマーもしくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、最終糖化産物の受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチン;NMDA受容体アンタゴニスト(すなわち、メマンチン)、モノアミン枯渇剤(すなわち、テトラベナジン);メシル酸エルゴロイド;抗コリン抗パーキンソン症候群剤(すなわち、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジル);ドパミン系抗パーキンソン症候群剤(すなわち、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジン);テトラベナジン;抗炎症剤(非ステロイド性抗炎症薬(すなわち、インドメチシン(indomethicin)及び上記に列挙される他の化合物)を含むが、これらに限定されない);ホルモン(すなわち、エストロゲン、プロゲステロン及びリュープロリド);ビタミン(すなわち、葉酸及びニコチンアミド);ディメボリン(dimebolin);ホモタウリン(すなわち、3-アミノプロパンスルホン酸、3APS);セロトニン受容体活性調節剤(すなわち、キサリプロデン);インターフェロン、ならびにグルココルチコイドまたはコルチコステロイドから選択される標的に特異的に結合する、抗体または他の結合分子(小分子、ペプチド、アプタマー、もしくは他のタンパク質結合剤を含むが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。「コルチコステロイド」という用語は、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン(FP)を含む)、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン、フルニソリド、ベータメサゾン及びトリアムシノロンを含むが、これらに限定されない。「吸入可能コルチコステロイド」とは、吸入による送達に好適なコルチコステロイドを意味する。例示的な吸入可能コルチコステロイドは、フルチカゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデノシド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニドである。
【0329】
いくつかの実施形態において、1つ以上の抗アミロイドベータ(抗Abeta)抗体が、本明細書に提供される抗Tau抗体とともに投与されてもよい。そのような抗Abeta抗体の非限定的な例としては、クレネズマブ、ソラネズマブ、バピネオズマブ、アデュカヌマブ、ガンテネルマブ、及びBAN-2401(Biogen,Eisai Co.,Ltd.)が挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ以上のベータ-アミロイド凝集阻害剤が、本明細書に提供される抗Tau抗体とともに投与されてもよい。非限定的な例示的ベータ-アミロイド凝集阻害剤としては、ELND-005(AZD-103またはシロ-イノシトールとも呼ばれる)、トラミプロセート、及びPTI-80(Exebryl-1(登録商標)、ProteoTech)が挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ以上のBACE阻害剤が、本明細書に提供される抗Tau抗体とともに投与されてもよい。そのようなBACE阻害剤の非限定的な例としては、E-2609(Biogen,Eisai Co.,Ltd.)、AZD3293(LY3314814、AstraZeneca,Eli Lilly&Co.としても知られる)、MK-8931(Verubecestat)、及びJNJ-54861911(Janssen,Shionogi Pharma)が挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTau阻害剤が、本明細書に提供される抗Tau抗体とともに投与されてもよい。そのようなTau阻害剤の非限定的な例としては、メチルチオニニウム、LMTX(ロイコ-メチルチオニニウムまたはTrx-0237、TauRx Therapeutics Ltd.としても知られる)、Rember(商標)(メチレンブルーまたは塩化メチルチオニニウム[MTC]、Trx-0014、TauRx Therapeutics Ltd)、PBT2(Prana Biotechnology)、及びPTI-51-CH3(TauPro(商標)、ProteoTech)が挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ以上の他の抗Tau抗体が、本明細書に提供される抗Tau抗体とともに投与されてもよい。そのような他の抗Tau抗体の非限定的な例としては、BMS-986168(Bristol-Myers Squibb)及びC2N-8E12(AbbVie,C2N Diagnostics,LLC)が挙げられる。いくつかの実施形態において、NPT088(NeuroPhage Pharmaceuticals)などの一般的なミスフォールディング阻害剤、本明細書に提供される抗Tau抗体とともに投与されてもよい。
【0330】
いくつかの実施形態において、本発明に従う組成物は、抗体、特にモノクローナル抗体及びそれらの活性断片を含む、本発明に従うキメラ抗体またはヒト化抗体とともに、ナイアシンまたはメマンチンと、任意で薬学的に許容される担体及び/または希釈剤及び/または賦形剤とを含み得る。
【0331】
いくつかの実施形態において、本発明に従うキメラ抗体もしくはヒト化抗体、またはそれらの活性断片とともに、例えば、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾールもしくはオランザピンなどの、陽性及び陰性精神病症状(幻覚、妄想、思考障害(著しい思考散乱、脱線、脱線思考によって顕在化される)、ならびに奇異挙動または混乱挙動、ならびに快感消失、平坦化情動、感情鈍麻、及び引きこもりを含む)の治療のための「非定型抗精神病薬」と、任意で薬学的に許容される担体及び/または希釈剤及び/または賦形剤とを含む、組成物が提供される。
【0332】
本発明に従うキメラ抗体またはヒト化抗体に加えて、組成物中で好適に使用され得る他の化合物は、治療薬標的(36~39頁)、アルカンスルホン酸及びアルカノール硫酸(39~51頁)、コリンエステラーゼ阻害剤(51~56頁)、NMDA受容体アンタゴニスト(56~58頁)、エストロゲン(58~59頁)、非ステロイド性抗炎症薬(60~61頁)、酸化防止剤(61~62頁)、ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体(PPAR)アゴニスト(63~67頁)、コレステロール低下剤(68~75頁);アミロイド阻害剤(75~77頁)、アミロイド形成阻害剤(77~78頁)、金属キレート剤(78~79頁)、抗精神病剤及び抗鬱剤(80~82頁)、栄養補助剤(83~89頁)及び脳内で生物活性物質の利用能を増加させる化合物(89~93頁を参照されたい)ならびにプロドラッグ(93及び94頁)を含む、例えば、WO2004/058258(特に16及び17頁を参照されたい)に開示されるものであり、この文書は、特に上記に示される頁に言及される化合物が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0333】
上記に述べられるそのような併用療法は、組み合わせ投与(2つ以上の治療剤が同一または別個の製剤中に含まれる)及び別個の投与を包含し、別個の投与の場合、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤(複数可)の投与の前、それと同時、及び/またはその後に生じ得る。いくつかの実施形態において、抗Tau抗体の投与及び追加の治療剤の投与は、互いの約1ヶ月以内、または約1週間、2週間もしくは3週間以内、または約1、2、3、4、5、もしくは6日以内に生じる。
【0334】
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、ならびに局所治療で所望される場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。投薬は、任意の好適な経路によるもの、例えば、一部には、投与が短時間であるか、または慢性的であるかによって、静脈内注射または皮下注射などの注射によるものであり得る。単回投与または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むが、これらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
【0335】
本発明の抗体は、良好な医療行為と一貫する様式で、製剤化され、投薬され、かつ投与されるだろう。この文脈において考慮する要因としては、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床病態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、及び医師に既知である他の要因が挙げられる。抗体は必然的にではなく任意で、問題の障害を予防または治療するために現在使用される1つ以上の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び上で考察される他の要因に依存する。これらは一般に、本明細書に記載されるものと同一投薬量及び投与経路で、または本明細書に記載される投薬量の約1~99%で、または適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0336】
疾患の予防または治療について、本発明の抗体の適切な投薬量は(単独で、または1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴及び抗体への応答、ならびに主治医の裁量に依存するだろう。抗体は、1回で、または一連の治療にわたって患者に好適に投与される。疾患の種類及び重症度によって、例えば、1回以上の別個の投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者への投与のための初回候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日用量は、上記に言及される要因によって、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲であり得る。病態によって数日間以上にわたる反復投与について、治療は一般に、疾患症状の所望される抑制が生じるまで持続されるだろう。抗体の一例示的な投薬量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲内であるだろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgもしくは10mg/kg(またはこれらの任意の組み合わせ)の1回以上の用量が、患者に投与され得る。そのような用量は、断続的に、例えば毎週または3週間毎(例えば、患者が約2~約20回、または例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。より高い初回負荷用量、続いて1回以上のより低い用量が、投与されてもよい。しかしながら、他の投与量レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技法及びアッセイによって容易に監視される。
【0337】
上記の製剤または治療方法のいずれも、抗Tau抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫複合体を使用して実行され得ることが理解される。
【0338】
H.製造品
本発明の別の態様において、上記の障害の治療、予防及び/または診断に有用な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器と、容器上のまたは容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈注射溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体によって、または別の組成物と組み合わせて、病態の治療、予防及び/または診断に有効である組成物を保持し、無菌アクセス口を有してもよい(例えば、容器は、静脈注射溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明の抗体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が、選定した病態を治療するために使用されることを示す。更に、製造品は、(a)本発明の抗体を含む組成物をその中に収容した第1の容器、及び(b)更なる細胞傷害性薬剤、またはさもなければ治療剤を含む組成物をその中に収容した第2の容器を含み得る。本発明のこの実施形態の製造品は、組成物を使用して特定の病態を治療することができることを示す添付文書を更に含み得る。あるいは、または加えて、製造品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む、第2の(または第3の)容器を更に含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料を更に含み得る。
【0339】
上記の製造品のいずれも、抗Tau抗体の代わりに、またはそれに加えて本発明の免疫複合体を含み得ることが理解される。
【0340】
III.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上記に提供される概要を仮定して、様々な他の実施形態が実践され得ることが理解される。
【0341】
実施例1:免疫化のためのTauの生成
モノマー組み換えTauの生成
組み換えヒトTau構築物、2N4Rアイソフォーム(アミノ酸2-441)をN末端Hisタグに融合させて、精製及び特性評価を容易にした。例えば、
図15を参照されたい。融合構築物をpET52bベクター(Novagen)へとクローニングし、E.coli中で発現させた。細胞を採取し、7Mの塩化グアニジウムを使用して、4℃で撹拌しながら、変性条件下で一晩溶解させた。細胞細片を40,000rpmで1時間ペレット化した。組み換えHisタグタンパク質を、ニッケル親和性クロマトグラフィー(Ni Sepharose優良親和性樹脂、GE Healthcare Life Sciences)によって、その後、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200樹脂、GE Healthcare Life Sciences)によって変性条件下で単離した。回収されたタンパク質を、20mMのMES、50mMのNaCl、及び1mMのTCEP(pH6.8)へと透析することによって、塩化グアニジウムを除去した。その後、TEVプロテアーゼを使用してHisタグを除去し、その後、カチオン交換クロマトグラフィー(Mono Sカラム、GE Healthcare Life Sciences)を使用して最終精製して、切断されたHisタグを除去した。精製緩衝液は、エンドトキシンを除去するための0.1体積%のTriton x-114(v/v)を含有した。精製されたタンパク質を、1mMのTCEPを有するPBSへと交換した。SDS-PAGE及びSEC-MALLSによって、純度及びモノマー状態を分析した。質量分析法によって、同一性を確認した。280nmのUV吸収によって、タンパク質濃度を決定した。最終産生物は、動態学的リムルスアメボサイトライセート(LAL)アッセイによって決定される、エンドトキシンを含まなかった(<0.5EU/mg)。
【0342】
リン酸化Tauの生成
上記の方法を使用して調製したTau2-441構築物を使用して、リン酸化Tauを生成した。他の残基の中でも特に、セリン409をリン酸化する、0.5μMのPKAキナーゼ(Life Technologies)を使用して、タンパク質構築物をリン酸化した。反応混合物を、1mMのATP、5mMのMgCl2とともに室温で72時間インキュベートした。質量分析法によって、リン酸化を確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex75、GE Healthcare Life Sciences)を使用して、キナーゼを除去した。上記のように、リン酸化タンパク質調製物の純度、モノマー状態、及びエンドトキシンレベルを実質的に分析した。
【0343】
モノマーTauのインビトロオリゴマー化
モノマーTau2-441構築物を使用して、オリゴマーTauを生成した。まず、モノマータンパク質を、20mMのN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、25mMのNaCl(pH7.4)へと交換し、その後、タンパク質と等モル濃度で、75μMのアラキドン酸(Cayman Chemicals)及び18kDaのヘパリン(Sigma Aldrich)を使用して、37℃で3日間オリゴマー化した。チオフラビンT蛍光アッセイ、動的光散乱法(DLS)、及び分析的サイズ排除クロマトグラフィーによって、オリゴマー化を確認した。場合によっては、オリゴマーTauは、「オリゴTau」とも呼ばれる。
【0344】
実施例2:抗Tau抗体の生成
方法
ハイブリドーマの生成
生後9週間のメスC57BL/6JOlaHsd(C57BL/6)及びBALB/c OlaHsd(Balb/c)野生型マウス(Harlan,USA)を受容した。生後6及び9週間のTauノックアウトマウス(B6.129-Mapttm1Hnd/J、The Jackson Laboratory,USA)を受容した。生後12~15週間でワクチン接種を開始した。マウスに、オリゴマー化ヒトTauをワクチン接種した。ワクチン接種前に、オリゴTauを、本研究において使用される2つのアジュバント(50体積%のRibi Adjuvant System(Ribi、Sigma-Aldrich,Switzerland)、またはCpG一本鎖合成DNAオリゴデオキシヌクレオチド(CpG、Microsynth,Switzerland)と水酸化アルミニウム(Al、Brenntag,Switzerland)との組み合わせ)のうちの一方と混合した。Ribiは、スクアレン油中にモノホスホリルリピドA(Salmonella minnesotaから単離)及び合成トレハロースジコリノミコラート(Tubercle bacillusのコードファクターから単離)と、0.2%のTween-80と、水とを含有する、2%のスクアレン水中油エマルジョンである。
【0345】
腹腔内(i.p.)及び踵関節投与の組み合わせを受容したD及びG群を除いて、マウスを皮下注射(s.c.)によってワクチン接種した。D群のマウスには、50μgのオリゴTauを腹腔内、及び10μgのオリゴTauを踵関節注射として投与した。G群のマウスには、8μgのオリゴTauを腹腔内、及び2μgのオリゴTauを踵関節注射として投与した。表2を参照されたい。
CpG及びAl(CpG/Al)をアジュバントとして含有するワクチン接種について、200μLの各注射は、60μg(30nmol)のCpG、1mgのAl、及び50μgのオリゴTauを含有した。全ての研究群について、マウスは、0、14、35、及び56日目に注射した。骨髄腫融合に使用したマウス(Nanotools,Germany)には、アジュバントを有しない、1日3回のオリゴTauのブースター注射(1回の腹腔内注射当たり50μg)を追加でワクチン接種した。
表2。マウス及びワクチン接種プロトコル
【0346】
3回のブースター注射の最終注射の1日後に、マウスを失血させて屠殺し、脾細胞を骨髄腫細胞と融合させて、抗体産生ハイブリドーマを生成した。
【0347】
サブクローニングのためのハイブリドーマの選択
融合について、合計10回の融合(1つの群は2回の融合、第2の群は4回の融合、及び第3の群は4回の融合)のためにマウスを3つの群に分け、299個のハイブリドーマを生成した。血清含有選択培地を使用して、生存可能なハイブリドーマを成長させ、その後、以下に記載される完全長ヒトTau及びオリゴTau結合のためのELISAアッセイを使用して、最良のハイブリドーマをサブクローニングのために選択した。限界希釈の後、最終ハイブリドーマを無血清培地中で成長させ、抗体スクリーニング及び選択のために、安定したコロニーから培地を収集した。
【0348】
ELISAスクリーニングアッセイ
安定したハイブリドーマから無血清上清を採取した。その後、目的とされる抗体を含有する上清をELISAアッセイによってスクリーニングして、抗体特性を特性評価し、更なる発達のために抗体を選択した。ELISAアッセイを使用して、以下、完全長ヒトTau(flTau、SignalChem,Canada)への結合、高リン酸化flTau(Genentech,USA)への結合、flTauのオリゴマー対モノマー調製物への結合、及び特定の抗体Tauエピトープ(複数可)への結合を決定した。簡潔には、96ウェルのMaxiSorp ELISAプレート(Nunc,Denmark)を、表3に示される標的のうちの1つでコーティングした。
表3。ELISAスクリーニングアッセイに使用した標的。
【0349】
コーティングを、4℃のリン酸緩衝食塩水(PBS)中で一晩行った。プレートを0.05%のTween-20/PBSで徹底的に洗浄し、その後、37℃で、0.05%のTween-20/PBS中1%のウシ血清アルブミン(BSA)で1時間遮断した。その後、ハイブリドーマ上清中に含有された抗体を示された希釈度で添加し、37℃で2時間インキュベートしてから、プレートを既に記載したように洗浄した。
【0350】
直接ELISAのために、AP複合体化抗マウスIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,United Kingdom)を、0.05%のTween-20/PBS中、1/6000の希釈度で、37℃で2時間添加した。最終洗浄の後、プレートをp-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム六水和物(pNPP、Sigma-Aldrich,Switzerland)ホスファターゼ基質溶液とともにインキュベートし、ELISAプレートリーダー(Tecan,Switzerland)を使用して405nmで読み取った。結果を光学濃度(O.D.)として表す。
【0351】
オリゴTau及びモノTau捕捉ELISAのために、無血清無菌ハイブリドーマ上清中に含有される抗体を、500倍の希釈度で抗IgGコーティングしたプレート上で固定化し、その後、オリゴTauまたはモノTauを、ともにAVIタグによる部位特異的ビオチン標識とともにインキュベートした。標的インキュベーションを5μg/mLで開始し、その後、8倍または16倍に希釈した。プレートリーダー(Tecan,Switzerland)のシグナル定量化のために、ストレプトアビジン-HRP及びABTS基質を使用した。結果をO.D.として表す。
【0352】
親和性推定
無血清ハイブリドーマ上清中の非精製抗体の親和性を、Biacore T-100機器(GE Healthcare,United Kingdom)を使用して、表面プラズモン共鳴によって推定した。抗体を抗IgGバイオセンサチップ上に固定化し、flTau(SignalChem,Canada)を標的分析物として使用した。1:1のラングミュアフィットモデルを使用して、動態分析を行った。
【0353】
SDS-PAGEアッセイ及びウェスタンブロットアッセイ
ヒトの脳内での、選択したpanTau抗体のTauへの結合を、3人のADドナー及び2人の同年齢の非AD対照ドナーに由来する脳ライセート(Tissue Solutions,United Kingdom)を使用して、ウェスタンブロット(WB)で試験した。ライセートを処理して、無洗剤可溶性Tau画分を得た。処理したライセートを4~12%のビス-トリスゲル(Novex,Life Technologies,Switzerland)に充填し、Immobilon PVDF膜上に移し、それとともに試験される抗体及びIRDye800CWヤギ抗マウス二次抗体(Li-Cor,USA)でブロットした。
【0354】
ヒト脳ライセートを使用するELISAアッセイ
AD及び対照脳ライセート中での、選択された抗体の非変性ヒトTauへの結合を評価するために、ハイブリドーマ上清に由来する抗体、または陰性及び陽性対照抗体を、上記の96ウェルプレート上で固定化した。その後、AD対象または同年齢対照対象に由来する可溶性ヒト脳ライセート(400μg/mLのタンパク質、全てTissue Solutions,United Kingdomに由来)中のTauを捕捉し、ポリクローナルウサギpanTau抗体(AbCam,United Kingdom)、その後、Fc-γ断片特異的抗ウサギIgG-AP(Jackson ImmunoResearch,USA)を使用して、検出を実行した。Tauノックアウトマウスに由来する脳ライセートを、陰性試料対照として使用した。プレートをpNPP(Sigma-Aldrich)ホスファターゼ基質溶液とともにインキュベートし、ELISAプレートリーダー(Tecan,Switzerland)を使用して405nmで読み取った。結果を光学濃度(O.D.)として表す。
【0355】
抗体ハイブリドーマの配列決定
可変領域遺伝子配列決定のために、ハイブリドーマ細胞ライセートをAntitope(Antitope,United Kingdom)に供給した。簡潔には、IgG可変重鎖(VH)、IgM VH、Igカッパ可変軽鎖(KVL)及びIg λ VLのそれぞれの定常領域プライマーとともに、マウスシグナル配列の縮重プライマープールを使用して、RT-PCRを実行した。IgMまたはIgG特異的定常領域プライマーのいずれかとともに、VHシグナル配列に特異的な6つの縮重プライマープール(HA~HF)の組を使用して、重鎖V領域mRNAを増幅した。κまたはλ定常領域プライマーのいずれかとともに、8つのシグナル配列特異的縮重プライマープール(7つはκクラスター(KA~KG)のもの、1つはλクラスター(LA)のもの)の組を使用して、軽鎖V領域mRNAを増幅した。成功した増幅から得られたPCR産生物を精製し、『TA』クローニングベクター(pGEM-T Easy、Promega)へとクローニングし、E.coliへと形質転換し、個体コロニーを配列決定した。抗体VH及びVL領域のヌクレオチド及びアミノ酸配列を、27個の抗体ハイブリドーマの配列によって決定した。
【0356】
結果
サブクローニングのためのハイブリドーマの選択
3巡の融合のそれぞれから生成されたハイブリドーマ(10の融合に由来する合計299個のハイブリドーマ)を、まずflTauへの結合についてアッセイし、選択されたハイブリドーマをpTau及びオリゴマー化Tauへの結合について追加でアッセイした。この目的は、Tau及び翻訳後修飾されたTau(リン酸化またはオリゴマーTauなど)に同等に良好に結合する抗体を選択することであった。このために、ハイブリドーマ上でアッセイを実行して、最良のpanTau特性を選択した。抗体結合領域及び特異的Tauエピトープを決定するために、まず異なるTau断片、その後、最長のヒトTauアイソフォームの全441個のアミノ酸(aa)配列に及ぶ、15アミノ酸長の重複Tauペプチドのライブラリを使用して、結合領域を決定した。異なる翻訳後修飾形態のTau、及びヒトに存在する6つ全ての異なるヒトTauアイソフォームへの結合を最大化する目的で、Tauの所定の領域に結合する抗体の群を意図的に回避した。
【0357】
3連の融合は、133個のサブクローニング安定ハイブリドーマの生成をもたらし、それらを最良のpanTau特性についてスクリーニングした。異なるスクリーニングアッセイの組み合わせを使用して、panTau抗体に好ましい特性を有する抗体ハイブリドーマの数を狭めた。flTau及びpTau結合を比較するために、90個のハイブリドーマをアッセイし、24個のハイブリドーマの結果を
図1A~Fに示す。最初のスクリーニングは、アルツハイマー病(AD)及び他のタウオパチーにおいて高密度のリン酸化されている残基を有することが知られるTauの領域に結合する抗体の選択を回避するために、Tau断片を使用して実行されたため、試験されたほとんどの抗体は、このELISAによって決定されるものと同様の結合特性で、flTau及びpTauの両方に結合した。
【0358】
いくつかの実施形態において、panTau抗体が、一方または他方に対する強い優先度なく、Tauのモノマー形態及びオリゴマー形態の両方に結合することが望ましい。捕捉ELISAを設定して、抗体がflTauのモノマー形態及びオリゴマー形態の両方に結合したかどうかを決定した。捕捉モードで実行したELISAは、予備オリゴマー化Tauのオリゴマー立体構造、及びモノTauのモノマー状態を、標的がELISAプレート上に固定化される直接ELISAとして実行した場合よりも、良好に保存する。
【0359】
2つの形態のTauの結合を、試験される90個全ての抗体と直接比較することによって、各アッセイを実行した。いずれかのオリゴTauへの好ましい結合を有することが知られる抗体、またはTauの2つの形態を区別しない抗体を、各アッセイにおいて対照として使用した。18個のハイブリドーマの結果を、
図2A~Eに示す。
【0360】
高密度の潜在的なpTau残基(Ser、Thr、及びTyr)を有する領域に結合する抗体が回避され得るため、エピトープのマッピングは、良好なpanTau特性を有する抗体の選択にとって重要である。ヒトTauの6つ全てのアイソフォームへの結合もまた、panTau抗体の選択基準として使用した。最初に選択された抗体のpanTauエピトープを、それぞれが完全長のヒトTauに及ぶ15個のアミノ酸(aa)(6aa残基の重複及び9aaのオフセットを有する)を有する、49個のペプチドのライブラリを使用して、改善された精度で検証し、決定した。残基数は、ヒトTauの最長のアイソフォーム(441aa)に基づく。1/10の高い希釈度で非精製抗体を使用して、全てのペプチドに対する結合対非結合を検証した。既にELISAによって選択した112個のハイブリドーマからの抗体のスクリーニングは、20個の異なるTauエピトープへの結合を示した(表4)。
表4:抗体のTauエピトープ
【0361】
flTauへの親和性測定のために、Biacore機器上でSPRを使用して46個の抗体を測定し、K
Dを決定した。抗IgGチップ上に抗体を固定化し、flTauを標的分析物として使用することによって、Biacore親和性測定を行った。32個の抗体の結果を表5に示し、抗体はflTauへの親和性に基づいて順位付けした。flTauへの親和性について測定された抗体のうち、22個の抗体が20nMよりも良好な親和性を有し、そのうち14個の抗体が5nM未満のK
Dを有し、抗体37D3-H9が1nMのK
D(親和性)を有した。
表5:flTauへの親和性
【0362】
6つ全てのヒトTauのアイソフォームへの、選択された抗体の結合を検証するために、SDS-PAGEに6つ全てのアイソフォームを含有する組み換えTauラダーを泳動させ、3つの選択されたTau抗体を使用してウェスタンブロット(WB)を行った。3つ全てのpanTau抗体が、6つ全てのTauアイソフォームに結合する(
図3)。更に、3人のAD及び2人の同年齢対照に由来する脳ホモジネートを、比較のために同時に泳動させた。予想通り、マッピングされたエピトープに基づいて、このアッセイにおいて試験された3つ全ての抗体が、6つ全てのTauアイソフォームへの結合を示した。ヒトADドナーと対照ドナーとの間の帯域パターンにおいて観察される差は、AD対象において存在することが予想される、より大きなリン酸化及び/またはSDS安定凝集を表し得る。
【0363】
ヒトアルツハイマー病(AD)試料及び対照試料を、非変性ELISA捕捉アッセイにおいて更に泳動させて、ヒト脳内におけるTauへの結合を検証した。2人のAD対象及び2人の非AD同年齢対照対象に由来する、可溶性Tauについて処理した試料ライセートを、8つの希釈度で泳動させ、3つの抗体を試験した(
図4A~C)。
【0364】
27個のハイブリドーマ(Antitope,United Kingdom)について、抗体可変鎖配列を決定した。特定の重鎖及び軽鎖可変ドメインならびに超可変領域(HVR)のタンパク質配列を、配列表に示す。
【0365】
実施例3:特性評価抗Tau抗体
遺伝子合成、及び結果として生じるDNAの、マウスIgG2a(重鎖)及びマウスカッパ(軽鎖)哺乳動物発現ベクターへのサブクローニングによって、抗体重鎖及び軽鎖を構築した。重鎖及び軽鎖プラスミドの一過性同時トランスフェクションによって、抗体をCHO細胞及び293T細胞中で発現させ、親和性樹脂MabSelectSure(GE Healthcare Life Sciences)で精製した。マウスIgG捕捉キット及びSeries S CM5チップを使用するBiacore T200表面プラズモン共鳴機器上で、精製された組み換え抗体を、Tauモノマータンパク質への結合についてスクリーニングした。10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中に希釈したmIgG2a形式の抗体を、10μl/分の流量を使用して、1μg/mlの濃度で30もしくは45秒間(抗体26C1、94B2-C1、52F6-F11.v1、52F6-F11.v2、11E10-B8、55E7-F11、125B11-H3、123E9-A1、30G1-B2、66F5-A1、89F4-A1、93A8-D2及び126F11-G11)、または0.1μg/mlの濃度で70もしくは150秒間(抗体19H6-F7、3A4-H4、54C1-H11及び37D3-H9)捕捉した。30μl/分の流量と、抗体26C1及び94B2では16、31、63、125、125、250及び500nM、抗体52F6-F11.v1及び52F6-F11.v2では16、31、63、125、125、250、500及び1000nM、抗体11E10-B8、55E7-F11及び125B11-H3では6、19、56、56、167及び500nM、抗体123E9-A1、30G1-B2、66F5-A1、89F4-A1、93A8-D2及び126F11-G11では5、16、49、148、148、444、1333及び4000nM、19H6-F7では0.4、1.6、6.3、2.5、100及び400nM、ならびに3A4-H4、54C1-H11及び37D3-H9では0.2、0.8、4、4、20及び100nMの濃度を使用して、HBSP中のTauモノマーの結合を25℃で監視した。会合及び解離時間を、それぞれ180~480秒間及び300~600秒間監視した。高い親和性(表6)及びCDR中のNXS/Tグリコシル化モチーフの不在のため、抗体37D3-H9を更なる分析のために選択した。
表6:ヒトTauモノマーへのマウス抗体のK
D(nM)。示されるデータは、1:1の結合モデルの結果を表す。
【0366】
37D3-H9は、Tauタンパク質に結合する際の結合活性を示す。
Biacore Amine Coupling Kit(GE Life Sciences)を使用して、ヒトモノマーTauタンパク質をBiacore Series S CM5チップに共有結合的にカップリングし、約128RUのレベルの固定化をもたらした。それぞれ300秒間の会合期間を有する単一サイクル動態実験形式、ならびに1、2、4、8及び16nM(IgG)または5、10、20、40及び80nM(Fab)の抗体濃度を使用して、Fab形式及びIgG形式の両方における37D3-H9の直接結合を監視した。解離を7200秒間(Fab)または14400秒間(IgG)監視した。解離速度の値を、1:1の結合モデルをデータにフィットさせることによって計算した。計算された解離速度は、37D3-H9 Fabでは5.0×10
-4、及び37D3-H9 IgGでは1.1×10
-5であり、45倍の差異であった。
図5は、Fab(左パネル)及びIgG(右パネル)の解離速度の差異を図示し、37D3-H9 IgGが結合活性を示すことを示す。
【0367】
実施例4:抗Tau抗体のヒト化
抗体CDR及び選択された可変領域フレームワーク残基を、ヒト抗体コンセンサスフレームワーク上に移植することによって、抗体37D3-H9をヒト化した(Dennis,M.S.(2010).CDR repair:A novel approach to antibody humanization.In Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing,S.J.Shire,W.Gombotz,K.Bechtold-Peters and J.Andya,eds.(Springer,New York),pp.9-28)。コンセンサスVH3、Vκ2及びVκ1フレームワーク上への移植を評価した。重鎖移植片は、49位(Kabat番号付け方式)のマウス残基を含んだ。Vκ2移植片は、フレームワーク2位及び4位のマウス残基を含んだ。Vκ1移植片は、フレームワーク2位、4位及び43位のマウス残基を含んだ。遺伝子合成、及びヒトIgG1またはIgG4及びカッパ鎖哺乳動物発現ベクターへのサブクローニングによって、ヒト化変異形を構築した。CHO細胞への、重鎖及び軽鎖プラスミドの同時トランスフェクションによって、抗体を発現させ、親和性樹脂MabSelect Sureで精製した。BiacoreヒトIgG捕捉キット、Series S CM5チップ及びBiacore T200機器を使用して、ヒト化変異形をヒトTauモノマーへの親和性についてスクリーニングした。抗体を2μg/mlまで希釈し、10μl/分で15秒間捕捉した。30μl/分の流量で、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中の100、33、11及び3.7nMのヒトTauモノマーの会合及び解離を、それぞれ180秒間及び600秒間監視した。結果に、1:1の結合モデルを適用した(表7)。
表7:モノマーヒトTauのヒト化変異形の親和性スクリーニング
【0368】
表面プラズモン共鳴によって、追加の抗体濃度及びより長い会合/解離時間で、抗体変異形hu37D3-H9.v1、hu37D3-H9.v2、hu37D3-H9.v5及びhu37D3-H9.v6を更に特性評価した。これらの変異形を、より広い範囲のヒトTauモノマー濃度(1.2、3.7、11.1、11.1、33.3、100nM)ならびに増加した会合(300秒間)及び解離(1200秒間)期間で分析した。結果に、1:1の結合モデルを適用した(表8)。
表8:表面プラズモン共鳴による、ヒトTauへの、選択された変異形の結合動態の詳細な分析
【0369】
YTE(M252Y/S254T/T256E)変異を、特定のIgG4抗体に組み込んだ。M252Y、S254T及びT256E(YTE)などのFc受容体新生児(FcRn)結合ドメイン変異が、FcRn結合を増加させ、したがって、抗体の半減期を増加させるために説明されている。米国公開特許出願第2003/0190311号及びDall’Acqua et al.,J.Biol.Chem.281:23514-23524(2006)を参照されたい。
【0370】
抗体125B11-H3を、VH3及びVκ1コンセンサスフレームワーク上にヒト化した。重鎖移植片は、78位(Kabat番号付け方式)のマウス残基を含んだ。Vκ1移植片は、フレームワーク43位及び87位のマウス残基を含んだ。113F5-F7の軽鎖もまた、フレームワーク43位及び87位の追加のマウス残基を有して、Vκ1フレームワーク上にヒト化した。ヒト化変異形重鎖(125B11)及び軽鎖(125B11及び113F5-F7)を、複数の組み合わせで同時トランスフェクトし、上記の96ウェル形式で精製した。その後、BiacoreヒトIgG捕捉キット、Series S CM5チップ及びBiacore T200機器を使用して、ヒト化変異形をヒトTauモノマーへの親和性についてスクリーニングした。抗体を2μg/mlまで希釈し、10μl/分で15秒間捕捉した。40μl/分の流量で、HBSP中の0、100及び500nMのヒトTauモノマーの会合及び解離を、それぞれ180秒間及び300秒間監視した。結果に、1:1の結合モデルを適用した(表9)。
表9:表面プラズモン共鳴による、125B11-H3及び113F5-F7ヒト化変異形のスクリーニング
*Tauモノマーへの最小結合。
NT、試験せず。
【0371】
親和性スクリーニングに基づいて、高解像度動態分析のために、変異形hu125B11.v17(HC3+LC1)、hu125B11.v26(HC4+LC2)及びhu125B11.v28(HC4+LC4)を選択した(表10)。抗体94B2-C1を、VH1及びVκ2フレームワーク上にヒト化した。重鎖移植片はまた、28、29、67、69、71、及び73位(Kabat番号付け方式)のマウス残基も含んだ。Vκ2移植はまた、フレームワーク2、36、及び46位のマウス残基も含んだ。8つの重鎖と8つの軽鎖との組み合わせを発現させ、精製し、上記の125B11について記載される表面プラズモン共鳴(SPR)によってスクリーニングした。SPRスクリーニングの結果を、表11に示す。変異形hu94B2.v105(重鎖変異形94B2.HC1、軽鎖変異形94B2.LC13)を、詳細なSPR特性評価のために選択した(表11)。
表10:選択されたヒト化抗Tau抗体変異形の動態データ
表11:表面プラズモン共鳴による、94B2ヒト化変異形のスクリーニング
*n=3回の反復の平均。
¶hu94B2.v105。
§観察されたTauモノマーへの最小結合。
NT、試験せず。
【0372】
実施例5:ヒト化抗Tau抗体の安定性分析
化学的不安定性の特定
抗体試料に熱応力をかけて、産生物の保存期間にわたる安定性を模倣した。試料を、20mMのアセテート緩衝液(pH5.5)またはリン酸緩衝液(pH7.4)へと緩衝液交換し、1mg/mlの濃度に希釈した。1mlの試料に40℃で2週間応力をかけ、2番目を対照として-70℃で保管した。その後、トリプシンを使用して両方の試料を消化して、液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析法(MS)分析を使用して分析され得るペプチドを作製した。試料中の各ペプチドについて、LCからの保持時間、ならびに高解像度精密質量及びペプチドイオン断片化情報(アミノ酸配列情報)を、MSにおいて取得した。抽出イオンクロマトグラム(XIC)を、±10ppmのウィンドウにおけるデータ組から目的とされるペプチド(天然及び修飾ペプチドイオン)について行い、ピークを統合して、面積を決定した。(修飾ペプチドの面積)を(修飾ペプチドの面積+天然ペプチドの面積)で除し、100を乗ずることによって、各試料に対する修飾の相対的パーセンテージを計算した。その後、対照(t=0)試料と応力をかけた(t=2週間)試料との間のこれらの相対的パーセンテージを比較した。示されるパーセンテージは、応力をかけた(t=2週間)値から対照(t=0)値を引いたものを表す。抗体hu37D3-H9.v1及びhu37D3-H9.v5の脱アミド化分析は、軽鎖CDR-1内の配列N28G29N30(Kabat番号付け)が脱アミド化を受けやすいという観察をもたらした。脱アミド化N28G29N30の増加は、hu37D3-H9.v1では16.5%、及びhu37D3-H9.v5では11%であることが見出された。
【0373】
抗原に結合する抗体に対する、脱アミド化の影響
ヒトTauへの親和性に対する、N
28脱アミド化の影響を評価するために、広く分離されたN
28脱アミド化状態を有する2つの試料を得ることが望ましかった。Hu37D3-H9.v5 hIgG4.S228Pを、リン酸緩衝食塩水(pH7.4)中1mg/mlの濃度で、40℃で2週間インキュベートした。LC-MS/MSを使用して、N
28G
29モチーフの脱アミド化を測定した。t=2週間の応力をかけた試料は、t=0の応力をかけていない試料と比較して、43.1%の増加脱アミド化を有した。GE BiacoreヒトIgG捕捉キット及びSeries S CM5チップを使用する表面プラズモン共鳴(Biacore)によって、応力をかけた抗体及び応力をかけていない抗体を、Tau結合について分析した。hIgGを、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中、2μg/mlまで希釈し、10μl/分の流量で15秒間(t0試料)または17秒間(t2試料)捕捉した。30μl/分の流量、300秒間の会合相及び1800秒間の解離相を使用して、HBSP中、0、3.1、6.3、12.5、25、25、50及び100nMの濃度で注入されたヒトTauモノマーの動態データを収集した。サイクル間に、10μl/分での3Mの塩化マグネシウムの30秒間の注入を使用して、表面を再生させた。「RI」パラメータの局所フィッティングを含む機器初期設定を使用して、1:1の結合モデルをデータにフィットさせた。
図6及び表12に示す結果は、この実験では、応力をかけた抗体が応力をかけていない抗体よりも大きなレベルで固定化したものの、(パラメータRmaxの大きさによって表される)Tau結合シグナルの大きさは著しくより低かったことを示す。捕捉レベルの差異のRmax値を正規化した後、応力をかけた(t=2週間)試料は、応力をかけていない試料の約半分の総Tau結合能力を示すようであった(正規化Rmaxの56%の低減によって示される)。計算された親和性は、変化しないようであった。つまり、この分析では、t=0の試料とt=2週間の試料との間のK
Dの差異は、2%未満であった(t=0及びt=2週間について、K
D=0.7nM)。この結果は、有意に低減した高親和性抗体の集団を含有するt=2週間の試料と一貫する。
表12:表9:表面プラズモン共鳴による、モノマーTauへの、応力をかけた及び応力をかけていないhu37D3-H9.v5試料の相対的結合
【0374】
抗原に結合する抗体に対する、脱アミド化の影響及び「正規化Rmax」の計算
アスパラギン脱アミド化が、アスパラギン酸及びイソアスパラギン酸産生物をもたらすことが予想されることを仮定して(Bischoff R.&Kolbe H.V.J.(1994).J.Chromat.5,662,p261-278)、ヒトTauモノマーの親和性に対する、N
28をD
28(変異形hu37D3-H9.v5 N28D)で置換する影響を分析した。Biacore T200機器、GE BiacoreヒトIgG捕捉キット及びCM5 Series Sチップを使用して、親和性を25℃で評価した。hIgGを、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中、2μg/mlまで希釈し、10μl/分の流量で22秒間捕捉した。30μl/分の流量、300秒間の会合相及び600秒間の解離相を使用して、HBSP中、0、6.3、12.5、25、25、50、100、200、及び400nMの濃度で注入されたヒトTauモノマーの動態データを収集した。サイクル間に、10μl/分での3Mの塩化マグネシウムの30秒間の注入を使用して、表面を再生させた。1:1の結合モデルをデータにフィットさせ、動態分析を使用して、hu37D3-H9.v5及びhu37D3-H9.v5.3(本明細書においてhu37D3-H9.v5 N28Dとも呼ばれる)の親和性を計算した。1:1のフィッティングに使用されるパラメータは、「RI」パラメータの局所フィッティングの機器初期設定を含んだ。結果を、
図7および表13に示す。
【0375】
計算されたhu37D3-H9.v5 N28D変異形のK
Dは、同一の条件下で分析したhu37D3-H9.v5の1.5×10
-9M(平均、n=4の実験内決定)と比較して、160×10
-9Mであった。したがって、N
28のD
28への転換は、親和性の100倍超の低減を引き起こした。hu37D3-H9.v5 N28D変異形の比較的低い親和性、及び比較的急速な動態を仮定して、本発明者らは、N
28変異形とD
28変異形との混合物の動態分析は、より高い親和性集団によって支配されると、及びより低い親和性の変異形の存在は、正規化Rmaxの低減によって反映される可能性があると判断した。この判断を検証するために、抗体変異形hu37D3-H9.v5及びhu37D3-H9.v5 N28DのTau結合プロファイルを、等しい量でともに混合した2つの抗体のTau結合プロファイルと比較した。hu37D3-H9.v5単独と比較して、hu37D3-H9.v5とhu37D3-H9.v5 N28Dとの1:1の混合物は、正規化Rmaxの45%の低減をもたらした(表13)。本発明者らは、熱応力時の正規化Rmaxの変化は、応力をかけた試料中での高親和性抗体の集団の低減を示す可能性があると結論付けた。したがって、本発明者らは、正規化Rmaxの変化を使用して、hu37D3-H9の変異形を安定性の改善についてスクリーニングすることができると判断した。
表13:hu37D3-H9.v5の熱応力時、及びhu37D3-H9.v5と期待される脱アミド化産生物hu37D3-H9.v5 N28Dとの混合時に観察される正規化Rmaxの変化
*正規化Rmax=Rmax(RU)/リガンドレベル(RU)。基準抗体の正規化Rmax=0.33(4つの実験内決定の平均、標準偏差<0.01)。
【0376】
抗体の最適化及び選択
90個の37D3-H9変異形をBiacoreによって評価して、2週間、40℃での熱応力期間のありまたはなしでの、それらの機能的安定性を比較した。変異形は、N28G29N30T31モチーフのほとんどの単一変異形、G29A変異を含有する二重変異、それらを水素結合残基に機能的に置換し得るAsn-28及びTyr-32の二重変異、ならびに元の37D3-H9抗体中に存在する残基または対応する生殖細胞株残基変異形のいずれかとしての残基2、4、33、及び93の全ての可能な並べ替えを含んだ。更に、Asn-28残基の親和性または安定性に影響を与えない、残基1がAspまたはGluである文脈において変異を試験した。
【0377】
96ウェル形式で、Expi293細胞の一過性トランスフェクションによって抗体を発現させ、500μLのMCA96ヘッドを有するTecan freedom EVO200液体ハンドリングシステム上で自動化精製を実行した。簡潔には、20μLのMabSelect SuRe樹脂(Glygen Corp&GE Healthcare)でカスタム充填された先端カラムを使用して、1mLの培養物中のIgGを捕捉した。1×PBS(pH7.4)で洗浄した後、IgGを160μLの50mMリン酸(pH3)中に溶出させ、12μLの20×PBS(pH11)で中和した。MabSelect SuRe先端カラムを0.1MのNaOH中で取り除き、1×PBS(pH7.4)で再生させて、最大15回連続使用した。Hamilton Star液体ハンドリングロボットを使用して、96ウェル形式の精製された抗体を0.1mg/mlに正規化した。「応力前」試料を約4℃で維持し、「応力後」試料をPCR機械内、40℃で2週間インキュベートした。表面プラズモン共鳴動態実験を実行することによって、「応力前」及び「応力後」抗体調製物と変異形の機能的安定性を比較した。GE BiacoreヒトIgG捕捉キット及びBiacore T200機器を使用して生成された、ヒト抗体捕捉CM5 Series Sチップを使用して、抗体を評価した。15秒間の注入時間及び10μl/分の流量を使用して、2μg/mlまで希釈した抗体を固定化した。40μl/分の流量使用時、25℃での、0nM、26.5nM及び265nMでのTauモノマーへの結合を、180秒間の会合相の間、その後、300秒間の解離相の間監視した。複数サイクル動態形式を使用して、試料を、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(HBSP)中に泳動させた。BIAevaluationソフトウェアを使用して、データを分析し、1:1の結合モデルにフィットさせた。結果として生じる親和性(K
D)値を、
図8A~Dに示す。(例えば、重要な残基の脱アミド化のために)親和性が損なわれた抗体が、IgG捕捉レベル(「リガンドレベル」)には等しく寄与するが、測定されるTau結合にはより少ない寄与をすることが予想されるという理論的根拠、及びこれが実験的に導き出されるRmaxの値に反映される理論的根拠を使用して、安定性指数もまた計算した。捕捉される各抗体の量の変化を説明するために、Rmaxを(「リガンドレベル」、つまり抗体捕捉中に固定化される応答単位によって測定される)抗体捕捉レベルについて正規化した。したがって、正規化Rmaxは、「リガンドレベル」(hIgG捕捉ステップ中に捕捉されたRUを表す評価結果、単位=RU)によって導き出される実験的Rmax(単位=RU)として計算され、安定性指数は、本明細書において、正規化Rmax(応力後)を正規化Rmax(応力前)で割ったものとして計算される。
【0378】
選択された抗体を、CHO細胞の一過性トランスフェクションによって発現させ、精製した。その後、抗体に1mg/mlで2週間応力をかけ、DTT還元によるRCMトリプシンペプチドマッピング、IAAキャッピング、及びpH8.2消化を使用して、LC-MS/MSによって脱アミド化分析した。結果(表14)は、変異形hu37D3-H9.v28.A4が、N
28G
29N
30モチーフ上、脱アミド化に対する感受性の低減を有したことを示した。残基はAsn-28残基のすぐ近くに位置しておらず(
図9)、F33L変異がいかにAsn-28を安定化し得るのかが明らかではないため、hu37D3-H9.v28.A4の脱アミド化の低減は予想外であった。
表14:脱アミド化の応力試験におけるhu37D3-H9.v28.A4変異形
の安定性
【0379】
実施例6:ヒト化抗Tau抗体選択及び特性評価
抗体選択及び特性評価:ヒトTauタンパク質への結合
Biacore T200機器、GE BiacoreヒトIgG捕捉キット及びCM5 Series Sチップを使用して、選択された抗体の親和性を25℃で評価した。hIgGを、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中、0.25μg/mlまで希釈し、10μl/分の流量で150秒間捕捉した。30μl/分の流量、300秒間の会合相及び600秒間の解離相を使用して、HBSP中、0、0.4、1.2、3.7、11、11、33及び100nMの濃度で注入されたヒトTauモノマーの動態データを収集した。サイクル間に、10μl/分での3MのMgClの2回連続の30秒間の注入を使用して、表面を再生させた。データを1:1の結合モデルにフィットさせた(表15)。
表15:選択されたヒト化抗Tau抗体変異形の動態データ
【0380】
抗体特性評価:hIgG4.S228P.YTE形式のヒトTauタンパク質への結合
Biacore T200機器、GE BiacoreヒトFAb捕捉キット及びCM5 Series Sチップを使用して、親和性を25℃で評価した。hIgGを、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中、0.5μg/mlまで希釈し、10μl/分の流量で180秒間捕捉した。30μl/分の流量、300秒間の会合相及び600秒間の解離相を使用して、HBSP中、0、0.4、1.2、3.7、11、11、33及び100nMの濃度で注入されたヒトTauモノマーの動態データを収集した。サイクル間に、10mMのグリシン(pH2.1)の2回連続の60秒間の注入を使用して、表面を再生させた。データを1:1の結合モデルにフィットさせた。動態データを表16に示す。
表16:表面プラズモン共鳴による、モノマーヒトTauへのhu37D3-H9.v28.A4 hIgG4.S228P.YTEの結合動態
【0381】
抗体特性評価:カニクイザルTauタンパク質への結合
Biacore T200機器、GE BiacoreヒトIgG捕捉キット及びCM5 Series Sチップを使用して、親和性を25℃で評価した。hIgGを、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20(泳動緩衝液、HBSP)中、2μg/mlまで希釈し、10μl/分の流量で15秒間捕捉した。1.2~100nMの間の最低5つの異なる非ゼロ濃度(1つの反復濃度)で注入されたヒトTauモノマーの動態データを収集した。30μl/分の流量、300秒間の会合相及び600秒間の解離相を使用して、動態を評価した。サイクル間に、10μl/分の流量で、3Mの塩化マグネシウムの30秒間の再生注入を実行した。結果を1:1の結合モデルにフィットさせた。動態データを表17に示す。
表17:モノマーカニクイザルTauのヒト化抗Tau抗体の親和性
【0382】
ヒト化抗体hu37D3.v28.A4及びhu37D3.v28.F1もまた、リン酸化Tau(pTau)に結合する。
【0383】
実施例7:抗Tau抗体の薬物動態
インビボでの抗Tau37D3-H9 mIgG2a抗体の薬物動態を評価するために、C57BL/6マウス(意識のあるマウス)に、10mg/kgの用量で単回静脈内(IV)または腹腔内(IP)ボーラス注入を投与した。用量後最大28日目までの様々な時点で、血漿試料を収集して、抗Tau抗体濃度を決定した。
【0384】
マウス血漿中の投薬された抗体の濃度を、マウス抗muIgG2a抗体コートを使用して一般的ELISAで測定し、その後、1:100の希釈度で開始して血漿試料を添加し、マウス抗muIgG2a-ビオチン複合体、及びその後、検出のために西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化されたストレプトアビジンを添加することによって終了した。アッセイは、1.56~200ng/mLの標準的曲線範囲、及び0.16μg/mLの検出限界を有した。この検出限界未満の結果を、報告可能未満(LTR)として報告した。
【0385】
図10は、抗Tau37D3-H9 mIgG2aの薬物動態分析の結果を示す。抗Tau37D3-H9 mIgG2aは、野生型C57BL/6マウスにおいてアイソタイプ対照抗体と同様の曝露及びクリアランスを有し、クリアランスは6.31mL/日/kgであった。
【0386】
インビボでの抗Tau94B2-C1 mIgG2a及び抗tau125B11-H3 mIgG2aの薬物動態を評価するために、意識のあるC57BL/6マウスに、10mg/kgの用量で抗体の単回腹腔内ボーラス注入を投与した。用量後最大28日目までの様々な時点で、血漿試料を収集して、抗Tau抗体濃度を決定した。
【0387】
マウス血漿中の投薬された抗体の濃度及びを、マウス抗muIgG2a抗体コートを使用して一般的ELISAで測定し、その後、1:100の希釈度で開始して血漿試料を添加し、マウス抗muIgG2a-ビオチン複合体、及びその後、検出のために西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化されたストレプトアビジンを添加することによって終了した。アッセイは、0.78~100ng/mLの標準的曲線範囲、及び0.078μg/mLの検出限界を有した。濃度はまた、組み換えTauをコートとして使用して特異的ELISAでも測定し、その後、1:10の希釈度で開始して血漿試料を添加し、検出のために西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化されたヤギ抗mIgG2aを添加することによって終了した。アッセイは、0.078~10ng/mLの標準的曲線範囲、及び0.0008μg/mLの検出限界を有した。この検出限界未満の結果を、報告可能未満(LTR)として報告した。
【0388】
これらの実験の結果を
図16及び17に示す。一般的アッセイを使用して濃度を分析した場合、抗Tau94B2 mIgG2aは、野生型C57BL/6マウスにおいてアイソタイプ対照抗体と同様の曝露及びクリアランスを有したが、特異的アッセイを使用して濃度を分析した場合、より低い曝露及びより速いクリアランスを有した。
図16を参照されたい。一般的アッセイによって決定されるクリアランスは4.06mL/日/kgであり、特異的アッセイによって決定されるクリアランスは7.53mL/日/kgであった。これらの結果は、抗体が、その標的を認識するその能力を損なうインビボ変化を経時的に受ける可能性があることを示唆する。抗Tau125B11-H3 mIgG2aは、どのアッセイが濃度を生成したかに関わらず、野生型C57BL/6マウスにおいてアイソタイプ対照抗体と同様の曝露及びクリアランスを有した。
図17を参照されたい。一般的アッセイによって決定されるクリアランスは4.96mL/日/kgであり、特異的アッセイによって決定されるクリアランスは4.90mL/日/kgである。
【0389】
表18は、マウスにおける抗Tau抗体37D3-H9、94B2-C1、及び125B11-H3の薬物動態パラメータを示す。
表18:抗Tau抗体の薬物動態パラメータ
【0390】
インビボでのhu37D3.v28.A4 hIgG4.S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE抗体の薬物動態を評価するために、カニクイザル(Macaca fascicularis)(意識のあるサル)に、1mg/kgの用量で単回静脈内ボーラス注入を投与した。用量後最大49日目までの様々な時点で、血漿試料を収集して、抗Tau抗体濃度を決定した。
【0391】
サル血漿中の投薬された抗体の濃度及びを、ヒツジ抗ヒトIgG抗体コートを使用して一般的ELISAで測定し、その後、1:100の希釈度で開始して血漿試料を添加し、検出のために西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化されたヤギ抗ヒトIgGを添加することによって終了した。アッセイは、0.156~20ng/mLの標準的曲線範囲、及び0.02μg/mLの検出限界を有した。この検出限界未満の結果を、報告可能未満(LTR)として報告した。
【0392】
図11は、hu37D3.v28.A4 hIgG4.S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの薬物動態分析の結果を示す。
図11において、各組のデータ点は1匹の動物を表し、線は抗体及びアッセイ群内の全ての動物の平均を表す。表19は、カニクイザルにおけるhu37D3.v28.A4 hIgG4.S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの薬物動態パラメータを示す。
表19:カニクイザルにおけるhu37D3.v28.A4 hIgG4.S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの薬物動態パラメータ
【0393】
実施例8:抗Tau抗体の更なるエピトープ特性評価
ビオチン標識されたTauモノマー及びビオチン標識されたペプチド(MAPT_10-24)への37D3-H9結合の比較後、追加のビオチン標識されたペプチドへの37D3-H9の結合もまた、評価した。Nunc maxisorpの96ウェルマイクロプレートを、4℃で12時間超、50mMの炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中2μg/mlに希釈したNeutravidinでコーティングした。その後の全てのインキュベーションは、室温で実行した。コーティング後、プレートをSuperblock(商標)(PBS)遮断緩衝液(Thermo Fisher Scientific)で2時間遮断し、その後、PBS、0.05%のポリソルベート20で徹底的に洗浄した。その後、1μg/mlのビオチン標識されたTauペプチド(表20)またはAviタグでビオチン標識されたTauモノマーにウェルを1時間暴露し、既にあるように洗浄した。標準的固相Fmoc化学(例えば、Fmoc solid phase peptide synthesis:A practical approach;Chan,W.C.,White,P.D.,Eds.;Oxford University Press:New York,2000を参照されたい)を使用してペプチドを合成した。90%のSuperblock(商標)(PBS)遮断緩衝液中、500nMから50pMまで段階希釈した抗体37D3-H9 mIgG2a及びhu37D3-H9.v5 hIgG1を、ビオチン標識されたTauでコーティングされたウェルに90分間結合させた。ウェルを既にあるように洗浄し、Superblock(商標)遮断緩衝液(それぞれ、ウサギ抗マウスIgGまたはヤギ抗ヒトIgG(H+L))中1/1000に希釈したペルオキシダーゼ複合体化二次抗体(Invitrogen/Life Technologies)で結合した抗体を検出した。20分後、ウェルを既にあるように洗浄し、TMB Microwell2-Component Substrate(KPL)でシグナルを発生させた。1Mのリン酸を添加することによって反応を停止させ、SpectraMax M2プレートリーダーで450nMでの吸光度を測定した。
表20:ペプチド配列
【0394】
その実験の結果を
図12に示す。
図12Aは、示されるペプチドへの、示される抗体のそれぞれの結合を示す。その実験において、抗体37D3-H9及び94B2-C1はともに断片10~24に強い結合を示し、抗体94B2-C1もまた断片1~15に強い結合を示した。抗体19F8-C11及び123E9-A1は断片19~33に強い結合を示した一方で、抗体89F4-A1は断片28~42及び37~51に強い結合を示した。
図12Aを参照されたい。抗体37D3-H9 mIgG2a及びhu37D3-H9.v5 hIgG1はともにTau断片2~24及び2~34に強い結合を示し、断片10~24に弱い結合を示した。
図12B及び12Cを参照されたい。これらの結果は、抗体37D3-H9 mIgG2a及びhu37D3-H9.v5 hIgG1が、成熟タンパク質のアミノ酸2~24内のTauのエピトープに結合することを示唆する。
【0395】
アラニンスキャニング置換実験において、変異Y18A及びL20Aは、マウス抗体37D3-H9によるTau断片(断片2-21)への結合を抑止することが見出され、これは、抗体がこれらのTau残基に接触することを示唆した。一連の15アミノ酸長のオフセットペプチドを使用すると、マウス抗体37D3-H9が、断片10-24と同様の断片9-23への結合を示すことが見出され、断片7-21、8-22、及び11-25への中程度の結合もまた示された。
【0396】
実施例9:37D3-H9ヒト化抗体の細胞に基づく特性評価
方法
一次海馬及びミクログリア培養物ならびに海馬-ミクログリア共培養物
胎生期(16~17日)の野生型C57BL/6Nマウスから、解離した一次海馬ニューロンを調製した。細胞を、PDL/ラミニンでコーティングされた8ウェルのChamber Slide(Biocoat、354688Corning)上に25,000個の細胞/ウェルでプレーティングした。細胞をプレーティングし、NbActiv4(BrainBits)中で維持し、半分の培地を1週間に2回交換した。組み換えtau及び抗体を、18細胞分裂で培養物に適用した。
【0397】
ミクログリア培養物について、出生後1~2日のC57BL/6Nマウスに由来する皮質及び海馬を解離させ、225mm2の培養フラスコ内、DMEM中10%のFBS中で10~12日間成長させた。培養フラスコを穏やかに振盪してミクログリア解離させ、DMEM中10%のFBS中の細胞を、撮像のために、30,000個の細胞/ウェルでPDL/ラミニンでコーティングされた8ウェルのChamber Slide上に、またはサイトカインアッセイのために、100,000個の細胞/ウェルでコーティングされていない48ウェルプレート(3548、Corning)上にのいずれかに再プレーティングした。プレーティングの4~5時間後、細胞を無血清低グルコースDMEMに交換し、一晩維持してから、組み換えtau及び抗体で処理した。
【0398】
225mm2の培養フラスコから解離させたミクログリアを、8ウェルのSlide Chamber(1ウェル当たり12,500個のミクログリア及び25,000個のニューロン)中、インビトロでの培養日数が18日の一次海馬ニューロン上に再プレーティングすることによって、海馬-ミクログリア共培養物を調製した。ミクログリアプレーティングの4時間後、共培養物を組み換えtau及び抗体で処理した。
【0399】
組み換えtau及び抗体のインビトロ処理
インビトロでの培養日数が18日の海馬培養物または海馬-ミクログリア共培養物について、組み換えヒトオリゴマーtau及び抗体(1:1比率で各500nM)または対照を、37℃で、ニューロン培養培地(インビトロでの培養日数が18日の海馬培養物:新鮮なNbActiv4(1:1)に由来する馴化培地)中で1時間プレインキュベートしてから、それらを細胞に添加した。細胞を、培地中、tau抗体混合物または対照とともに72時間(海馬培養物)または48時間(海馬-ミクログリア共培養物)インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄してから、固定した。
【0400】
ミクログリア培養物について、組み換えヒトオリゴマーtau及び抗体または対照を、血清の不在下、37℃で、低グルコースDMEM中、各125nM(免疫細胞化学/撮像法)または各250nM(サイトカインアッセイ)で1時間プレインキュベートしてから、細胞に添加した。免疫細胞化学/撮像法について、細胞をtau抗体混合物または対照とともに10分間インキュベートし、PBSで3回洗浄してから、固定した。サイトカインアッセイについて、細胞をtau抗体混合物または対照とともに24時間インキュベートし、各ウェルの培地をサイトカインアッセイのために収集した。
【0401】
免疫細胞化学、撮像法、及び定量化
細胞をPBS中4%のパラホルムアルデヒドで15分間固定、PBS中0.1%のTriton X-100で10分間透過処理した。遮断に10%のロバ血清を使用し、細胞を、4℃、PBS中で一次抗体とともに一晩インキュベートし、その後、ロバにおいて発達される適切な種(Invitrogen)に対して、Alexa-フルオロフォアで標識された二次抗体とともにインキュベートした。使用した一次抗体は、抗tau(DAKO)(アミノ酸11-24に及ぶヒトTau N末端領域に対して発達した、ウサギ抗ヒトTau)、抗MAP2(ab5392、Abcam)、及び抗Iba-1(ab5076、Abcam)であった。スライドをProlong Gold DAPI(P36935、Invitrogen)及び1番カバースリップとともにマウントした。
【0402】
Zen2010ソフトウェア(Carl Zeiss,Inc.)を使用するLSM780(Carl Zeiss,Inc.)によって、共焦点蛍光撮像法を実行した。海馬培養物及び海馬-ミクログリア共培養物の撮像のために、Plan Apochromat20×/0.8M27対物レンズを使用して、0.98μm間隔の5つのzスタック画像を収集した。MAP2断片化アッセイのために、画像スタックの最大強度のz投射を作製し、Metamorph(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して分析した。メジアンフィルタ及び最近傍逆重畳を使用して、ノイズを低減した。神経突起成長モジュール、その後、形態学的処理を使用して、神経突起及び細胞体長を分析した。15ピクセル(6.225μm)未満の断片を、総シグナル長に対して正規化して、MAP2断片化の基準を得た。
【0403】
α-Plan Apochromat100×/1.46M27対物レンズで、ミクログリアを撮像した。Image J(1.43u、64ビット、National Institute of Health)で、細胞内での組み換えtauの取り込みの定量化を実行した。Iba-1シグナルを基準として使用して、細胞面積の関心領域を手作業で描いた。関心領域のtau免疫活性の面積及び統合強度を測定して、面積に対して正規化されたtau免疫活性を得た。全ての分析は、実験条件に対して盲検方式で実行した。
【0404】
結果
この実験の結果を
図13に示す。
図13Aに示すように、完全なエフェクター機能を有する抗体は、ニューロン-ミクログリア共培養物中、Tau毒性に対して保護されなかった。
図13Bは、オリゴマーTau及び抗体と接触したニューロン-ミクログリア共培養物の画像(下部パネル)を示す。エフェクター機能を欠く抗体37D3-H9 hIgG4及びhu37D3-H9 hIgG1(N297G)はTau毒性に対して保護されていた一方で、37D3-H9 hIgG1は保護されていなかった。
【0405】
実施例10:37D3-H9 IgG2aまたは37D3-H9 IgG2a DANGを投与したTau Tgマウスにおける、Tau病理の用量依存性低減
Thy1プロモーター下、ヒトTau P301Lを発現するトランスジェニックマウス(Tau P301L-Tg)を、C57BL/6N(Charles River)バックグラウンド上で維持した。Tau P301L-Tg及び野生型のマウスの同腹仔を治療群に割り当て、1週間に1回、30mg/kgのIgG2a対照(抗gp120)、3、10または30mg/kgの抗tau37D3-H9 WT IgG2a、3、10または30mg/kgの抗tau37D3-H9 DANG IgG2aのいずれかを、腹腔内(i.p.)に投薬した。DANGとはIgG2aにおけるD265A/N297G変異を指し、これはエフェクター機能を抑止する。全ての抗体投薬溶液は、10mMのヒスチジン(pH5.8)、6%のスクロース、0.02%のTween20中に10mg/mlの濃度で調製した。治療は、生後13週間で開始した。インビボ研究のマウス群はオスであり、3つのコホートへとずらした。更に、いかなる治療も受けさせることなく、3匹のTauP301L-Tgマウスを生後3ヶ月で採取して、治療開始時の病理のベースラインレベルを決定した。
【0406】
組織を採取するために、2.5%のトリブロモエタノール(25gの体重当たり0.5ml)でマウスを麻酔し、PBSで経心灌流した。脳を採取し、二分した。右半球を4%のパラホルムアルデヒド中に4℃で一晩固定し、その後、リン酸緩衝食塩水に移してから、免疫組織化学的検査のために処理した。左半球を氷上で解剖分割し、その後、生化学的分析のために-80℃で凍結させた。全てのマウスから尾クリップを取って、遺伝子型を確認した。
【0407】
MultiBrain(登録商標)ブロック(NeuroScience Associates,Knoxville,TN)を使用して、ゼラチンマトリックスに半脳を多重包埋処理し、25μmの厚さで冠状に切開した。各ブロック内で、遺伝子型及び治療に対して脳の位置をランダム化した。個々のマウスの半脳またはMultiBrain(登録商標)ブロックの浮遊切片を既に記載されるように染色(Le Pichon et al.,2013,PLoS One,8(4):e62342)したが、Tris緩衝食塩水の代わりにPBSで洗浄し、室温の代わりに4℃で一次抗体インキュベーションした。一次抗体は、ウサギ抗pTau212/214(自家生成、0.01μg/ml)であった。高バックグラウンド染色を回避するために、サブタイプ特異的なマウス一次抗体の場合、本発明者らは、対応するサブタイプ特異的二次抗体(例えば、ビオチン標識された抗マウスIgG3、Bethyl A90-111B)を使用した。
【0408】
200×の拡大率のスライドスキャニングシステム及び0.5μm/ピクセルの解像度である、Leica SCN400(Leica Microsystems;Buffalo Grove,IL)を使用して、免疫組織化学染色したスライドを撮像した。1匹の動物当たり4つの一致した海馬レベル上に、関心領域(ROI)を手作業で描き、それらのROI内の染色の量を、以下に記載される2つのエンドポイントを使用して自動化した様式で定量化した。全ての画像分析は、遺伝子型及び治療群に対して盲検方式で実行した。IHC染色の定量化のための正ピクセル面積分析のために、抗体標識された脳切片のデジタル画像を既に記載されるように分析した(Le Pichon et al.,2013)。総正ピクセルをROIの総ピクセル面積に対して正規化することによって、染色された面積パーセントを計算した。正ピクセル面積にのみ、ランベルト・ベールの法則、吸光度=-log(伝達された光強度/入射光強度)を使用して、統合強度を計算した。
【0409】
その実験の結果を
図14に示す。抗tau37D3-H9 WT IgG2aまたは抗tau37D3-H9 DANG IgG2aの投与は、海馬内でpTau212/214の用量依存性の低減をもたらした。
【0410】
実施例11:ヒト化37D3-H9カッパ1変異形
カッパ1軽鎖を有するhu37D3-H9.v1に基づくヒト化抗体変異形を作製し、N
28安定性について試験した。hu37D3-H9.v1で試験した3つの変異形の軽鎖可変領域の整列を、
図18に示す。3つの変異形の軽鎖可変領域は互いに異なり、hu37D3.v39は変異F33Lを含有し、hu37D3.v40は変異G29Tを含有し、hu37D3.v41は変異N30Qを含有する。
【0411】
抗体試料に以下のように熱応力をかけた。試料を、20mMの酢酸ヒスチジン、240mMのスクロース、(pH5.5)へと緩衝液交換し、1mg/mlの濃度に希釈した。1mlの試料に40℃で2週間応力をかけ、2番目を対照として-70℃で保管した。その後、トリプシンを使用して両方の試料を消化して、液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析法(MS)分析を使用して分析され得るペプチドを作製した。試料中の各ペプチドについて、LCからの保持時間、ならびに高解像度精密質量及びペプチドイオン断片化情報(アミノ酸配列情報)を、MSにおいて取得した。抽出イオンクロマトグラム(XIC)を、±10ppmのウィンドウにおけるデータ組から目的とされるペプチド(天然及び修飾ペプチドイオン)について行い、ピークを統合して、面積を決定した。(修飾ペプチドの面積)を(修飾ペプチドの面積+天然ペプチドの面積)で除し、100を乗ずることによって、各試料に対する修飾の相対的パーセンテージを計算した。その後、対照(t=0)試料と応力をかけた(t=2週間)試料との間のこれらの相対的パーセンテージを比較した。示されるパーセンテージは、応力をかけた(t=2週間)値から対照(t=0)値を引いたものを表す。結果を表21に示す。結果は、F33L変異がカッパ1ヒト化軽鎖内の脱アミド化の低減に有効であることを示す。
表21-脱アミド化への応力試験におけるhu37D3-H9.v1変異形の安定性
【0412】
Biacore T200機器、GE BiacoreヒトFAb捕捉キット、及びCM5 Series Sチップを使用して、ヒト化抗体変異形の親和性を25℃で測定した。抗体を、HBSP(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.05%のTween20)中、1μg/mlまで希釈し、10μl/分の流量で180秒間捕捉した。単一サイクル動態方法論及び30μl/分の流量を使用して、HBSP中、1.2、3.7、11、33及び100nMで注入されたヒトTauモノマーの動態データを収集した。各濃度のTauモノマーを3分間の間注入し、解離を10分間監視した。サイクル間に、10mMのグリシン(pH2.1)の2回連続の1分間の注入で、表面を再生させた。BIAEvaluationソフトウェアを使用して、データを1:1の結合モデルにフィットさせた。各抗体を実験内で2回分析し、表22のデータは平均±範囲として示す。
表22:モノマーTauへのhu37D3-H9.v1変異形の親和性
【0413】
実施例12:カニクイザルにおけるhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの薬物動態及び薬力学
インビボでのhu37D3.v28.A4 hIgG4.S228P及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE抗体の薬物動態及び薬力学を評価するために、1群当たり5匹の意識のあるカニクイザル(Macaca fascicularis)に、第1相において50mg/kgの用量で単回静脈内ボーラス注入を投与した。同様に50mg/kgの用量で、抗gD hIgG4を対照として使用した。用量後最大35日目までの様々な時点で、血漿及びCSF試料を収集して、抗Tau抗体濃度を決定した。最終試料収集後、第2相の開始前に動物を63~64日間回復させた。第2相において、第1相の15匹の動物+追加の3匹の動物を2つの群に分け、第1の群(n=9)に抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4.S228Pを投与し、第2の群(n=9)にhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE抗体を、ともに50mg/kgで投与した。用量後2日目及び10日目に、1群当たり4または5匹の動物の脳を採取した。
【0414】
カニクイザル血漿、CSF、及び脳ホモジネート(以下に記載)内のヒトIgG4抗体を、ヒツジ抗ヒトIgGサル吸着抗体コートを使用してELISAで測定し、その後、1:100の希釈度で開始して血漿試料を添加、1:20の希釈度で開始してCSF試料を添加、または1:10の希釈度で開始してホモジネート試料を添加し、検出のためにサル吸着した西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化されたヤギ抗ヒトIgG抗体を添加することによって終了した。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを使用して色を発生させ、1Mのリン酸を使用して中和した。450/620nmで試料を読み取った。アッセイは、0.156~20ng/mLの標準的曲線範囲、ならびに血漿では0.02μg/mL、CSFでは0.003μg/mL、及びホモジネートでは0.002μg/mLの検出限界を有する。この濃度未満の結果を、報告可能未満(LTR)として報告した。
【0415】
薬物動態分析の結果を、
図19A(血漿)及び19B(CSF)、ならびに表23及び24に示す。抗治療抗体陽性(ATA+)であると疑われた動物は、分析から除外した。これらのデータは、hu37D3.v28.A4 hIgG4.S228PのFc領域へのYTE変異の導入が、約2倍だけ、抗体の末梢及びCSFクリアランス率を減速させたことを示す。
表23:単回静脈内ボーラス用量後の平均(±標準偏差)血漿クリアランス及びC
max推定
表24:単回静脈内ボーラス用量後の平均(±標準偏差)CSF C
max推定
【0416】
注射後2及び10日目の抗体の脳濃度を、以下のように決定した。脳組織を秤量し、その後、cOmplete(商標)、Mini、無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤を含有するリン酸緩衝食塩水中1%のNP-40中でホモジナイズした。その後、ホモジナイズした脳試料を4℃で1時間回転させてから、14,000rpmで20分間スピンした。上記のELISAによる脳抗体測定のために上清を単離させた。その実験の結果を
図21A~Dに示す。脳内の抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの濃度、及びhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE抗体の脳:血漿濃度の比率は、抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4.S228Pよりも高い傾向にあった。
【0417】
血漿中での薬力学的応答もまた、決定した。電気化学ルミネセンス(ECL)イムノアッセイ(Roche Professional Diagnostics(RPD),Penzberg,Germany)を使用して、K2EDTA血漿中の総Tauの濃度を決定した。Elecsys(登録商標)イムノアッセイをヒトCSF中の総Tauの定量化について検証し、ヒトTauとカニクイザルTauとの間の類似性のために、CSF及び血漿中のカニクイザルTauの測定に許容されると見なされた。アッセイは、ヒトTau及びカニクイザルTauのアミノ酸159-224(リン酸化状態とは独立して、全ての既知のアイソフォームに存在する領域)を捕捉し、検出する。アッセイの検出下限(LDL)は、1.01pg/mLである。アッセイは、15.0mg/mLのhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEを許容する。
【0418】
薬力学的分析の結果を
図20に示す。ATA+であると疑われた動物、及びベースライン値を欠いた別の動物を除外した後、1群当たり3匹の動物が存在した。驚くべきことに、投薬の第1日目の間に、血漿Tauレベルは、非YTE変異形で治療した動物に対して、YTE変異形で治療した動物において、より大きな程度まで上昇する。更に、初期時点では変異形間でPKは同様であるため、その結果は薬物動態応答(
図20)からは予想されていない。試料採取の期間全体にわたってYTE変異形で治療した動物では、より頑強な応答が持続される。
【0419】
実施例13:カニクイザル脳内のhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの薬物動態及び薬力学
脳内の抗体薬物動態を評価するために、1群当たり12匹の意識のあるカニクイザル(Macaca fascicularis)に、50mg/kgの用量でhu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの単回静脈内ボーラス注入を投与した。同様に50mg/kgの用量で、抗gD hIgG4を対照として使用した。用量後最大42日目までの様々な時点で、血漿試料を収集して、抗Tau抗体濃度を決定した。更に、最大42日目までの様々な時点で、2匹のサルを屠殺し、抗体の脳及びCSF濃度を決定した。
【0420】
抗体濃度は、実質的に実施例12に記載されるように決定した。
【0421】
図22A~Bは、対数(A)及び直線(B)スケールでプロットした、用量後の様々な時点でのカニクイザル脳内の抗体の濃度を示す。表25は、脳濃度パラメータを示す。
表25:単回静脈内ボーラス用量後の、平均(±標準偏差)脳PKパラメータ推定
hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE抗体は、抗gDと比較して、終了時点で脳濃度の増加を示した。
【0422】
海馬、小脳、及び前頭皮質を含む、脳の様々な領域内の抗体の濃度もまた決定した。
図23A~C及び表26~28は、その分析の結果を示す。
表26:単回静脈内ボーラス用量後の、平均海馬PKパラメータ推定
表27:単回静脈内ボーラス用量後の、平均小脳PKパラメータ推定
表28:単回静脈内ボーラス用量後の、平均前頭皮質PKパラメータ推定
【0423】
その実験の結果は、単回静脈内注射後の、抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEへの、脳の様々な領域の曝露を示す。脳内の全体的曝露は2つの群にわたって同等であったが、血漿中での観察と同様に、抗gDを投薬した動物と比較して、抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEを投薬した動物において、終了時点で、脳内の抗体濃度の約2倍の増加が存在した。
図23を参照されたい。これらの結果は、YTE抗体の投薬後、脳内でのより高いトラフ(終了時)濃度の維持を示唆する。
【0424】
経時的なCSF及び血漿中での抗体の濃度もまた、決定した。
図23D(CSF)及び23E(血漿)ならびに以下の表29及び30は、その分析の結果を示す。
表29:単回静脈内ボーラス用量後の、平均CSF PKパラメータ推定
表30:単回静脈内ボーラス用量後の、平均血漿PKパラメータ推定
【0425】
再び、血漿及び脳薬物動態と同様に、抗gDを投薬した動物と比較して、抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEを投薬した動物において、終了時点で、CSF及び血漿中、約2倍の抗体濃度の増加が存在した。
図23を参照されたい。
【0426】
カニクイザルから収集された血漿試料を使用して、単回静脈内50mg/kg用量後の、抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTE及び対照抗体の血漿薬力学を評価した。実施例12において考察したElecsys(登録商標)イムノアッセイを使用して、血漿Tauを定量化した。
【0427】
薬力学的分析の結果を
図24A~Bに示す。
図24Aは、ベースラインに対して正規化された平均総血漿Tau濃度を示す。
図24Bは、本研究の個々のサルにおける、ベースラインに対して正規化された総血漿Tau濃度を示す。実施例12において観察された結果と同様に、抗体hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEの投与は、有意な血漿Tauレベルの増加をもたらした。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、これらのデータは、hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEが脳内でTauに結合し、結果としてTauが脳から末梢へと除去されることを示唆する。これらの結果は、hu37D3.v28.A4 hIgG4-S228P.YTEによる脳内の標的結合と一貫する。
【0428】
前述の発明が明瞭な理解のために例証及び実施例によって多少詳細に説明されているが、これらの説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【配列表】