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特許7403437沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造
(51)【国際特許分類】
   G21C 5/06 20060101AFI20231215BHJP
   G21C 5/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
G21C5/06
G21C5/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020210477
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097095
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒板 翔
(72)【発明者】
【氏名】内山 好司
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-287955(JP,A)
【文献】特開昭52-100092(JP,A)
【文献】特開平08-254589(JP,A)
【文献】実開昭52-138194(JP,U)
【文献】実開平06-062398(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 5/00
G21C 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の燃料棒、その複数本の前記燃料棒間を保持するスペーサ、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレート、前記燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートから少なくとも成る燃料集合体と、前記下部タイプレートの下部を挿入し前記燃料集合体と取り合う燃料支持金具と、該燃料支持金具を支持する制御棒案内管及び炉心支持板とを備え、
前記燃料集合体の下部が、前記下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を前記燃料支持金具に挿入する構造となっている沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記下部タイプレートの前記テーパ部に対応した傾斜が形成された穴が設けられていると共に、この傾斜穴に沿って前記下部タイプレートの前記テーパ部が挿入されるサポートを、前記下部タイプレートと前記燃料支持金具との間に設けるか、或いは前記燃料集合体と前記燃料支持金具とを溶接又は機械的な手段により一体化し、
前記サポートが、平面から見て四角形で、かつ、前記燃料支持金具の受け口に対応した傾斜穴が形成され、中央部に十字形の穴が形成されており、
前記サポートと前記燃料支持金具が、溶接により固定されていることを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【請求項2】
複数本の燃料棒、その複数本の前記燃料棒間を保持するスペーサ、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレート、前記燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートから少なくとも成る燃料集合体と、前記下部タイプレートの下部を挿入し前記燃料集合体と取り合う燃料支持金具と、該燃料支持金具を支持する制御棒案内管及び炉心支持板とを備え、
前記燃料集合体の下部が、前記下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を前記燃料支持金具に挿入する構造となっている沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記下部タイプレートの前記テーパ部に対応した傾斜が形成された穴が設けられていると共に、この傾斜穴に沿って前記下部タイプレートの前記テーパ部が挿入されるサポートを、前記下部タイプレートと前記燃料支持金具との間に設けるか、或いは前記燃料集合体と前記燃料支持金具とを溶接又は機械的な手段により一体化し、
前記サポートが、平面から見て四角形で、かつ、前記燃料支持金具の受け口に対応した傾斜穴が形成され、中央部に十字形の穴が形成されており、
前記サポートの断面が逆U字状に形成され、その断面が逆U字状に形成されている前記サポートのU字状に曲がった部分を前記燃料支持金具に嵌め込み、前記燃料支持金具と前記サポートとの熱膨張差を用いて、前記サポートを前記燃料支持金具に固定することを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【請求項3】
複数本の燃料棒、その複数本の前記燃料棒間を保持するスペーサ、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレート、前記燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートから少なくとも成る燃料集合体と、前記下部タイプレートの下部を挿入し前記燃料集合体と取り合う燃料支持金具と、該燃料支持金具を支持する制御棒案内管及び炉心支持板とを備え、
前記燃料集合体の下部が、前記下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を前記燃料支持金具に挿入する構造となっている沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記下部タイプレートの前記テーパ部に対応した傾斜が形成された穴が設けられていると共に、この傾斜穴に沿って前記下部タイプレートの前記テーパ部が挿入されるサポートを、前記下部タイプレートと前記燃料支持金具との間に設けるか、或いは前記燃料集合体と前記燃料支持金具とを溶接又は機械的な手段により一体化し、
前記サポートが、平面から見て四角形で、かつ、前記燃料支持金具の受け口に対応した傾斜穴が形成され、中央部に十字形の穴が形成されており、
前記サポートの断面が逆U字状に形成され、その断面が逆U字状に形成されている前記サポートの先端が前記炉心支持板まで延び、前記炉心支持板まで延びている断面が逆U字状に形成されている前記サポートの先端を更に外側に突出させ、この突出部を介して前記サポートが前記炉心支持板にボルトで固定されていることを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記サポートに形成されている前記傾斜穴は、下方から上方に向かうに従い広くなるように形成されていることを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記サポートに形成されている前記傾斜穴に、前記下部タイプレートに設けられたテーパ部と前記サポートとが固着することを防止するために、複数本の溝が形成されていることを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【請求項6】
複数本の燃料棒、その複数本の前記燃料棒間を保持するスペーサ、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレート、前記燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートから少なくとも成る燃料集合体と、前記下部タイプレートの下部を挿入し前記燃料集合体と取り合う燃料支持金具と、該燃料支持金具を支持する制御棒案内管及び炉心支持板とを備え、
前記燃料集合体の下部が、前記下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を前記燃料支持金具に挿入する構造となっている沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記下部タイプレートの前記テーパ部に対応した傾斜が形成された穴が設けられていると共に、この傾斜穴に沿って前記下部タイプレートの前記テーパ部が挿入されるサポートを、前記下部タイプレートと前記燃料支持金具との間に設けるか、或いは前記燃料集合体と前記燃料支持金具とを溶接又は機械的な手段により一体化し、かつ、
前記燃料集合体の前記下部タイプレートと前記燃料支持金具とを一体化し、前記下部タイプレートと一体化された前記燃料支持金具を、原子炉圧力容器内の原子炉炉心の下方に設置されている制御棒案内管に挿入することを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【請求項7】
複数本の燃料棒、その複数本の前記燃料棒間を保持するスペーサ、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレート、前記燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートから少なくとも成る燃料集合体と、前記下部タイプレートの下部を挿入し前記燃料集合体と取り合う燃料支持金具と、該燃料支持金具を支持する制御棒案内管及び炉心支持板とを備え、
前記燃料集合体の下部が、前記下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を前記燃料支持金具に挿入する構造となっている沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、
前記下部タイプレートの前記テーパ部に対応した傾斜が形成された穴が設けられていると共に、この傾斜穴に沿って前記下部タイプレートの前記テーパ部が挿入されるサポートを、前記下部タイプレートと前記燃料支持金具との間に設けるか、或いは前記燃料集合体と前記燃料支持金具とを溶接又は機械的な手段により一体化し、かつ、
前記燃料集合体の前記下部タイプレートと前記燃料支持金具とを溶接により一体化し、前記下部タイプレートと溶接により一体化された前記燃料支持金具を、原子炉圧力容器内の原子炉炉心の下方に設置されている制御棒案内管に挿入することを特徴とする沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造に係り、特に、燃料集合体の下部が、燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を燃料支持金具に挿入しているものに好適な沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、沸騰水型原子炉では、原子炉圧力容器の中央部に配置された複数の燃料集合体から成る原子炉炉心での核反応により加熱された原子炉冷却水の一部が蒸気になる。この核反応により加熱された原子炉冷却水及び蒸気を含む気液二相流が、炉心の上方に設置された気水分離器により原子炉冷却水と蒸気に分離される。
【0003】
上記した燃料集合体は、複数本の燃料棒と、その複数本の燃料棒間を保持するスペーサと、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレートと、燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートと、下部タイプレートにより支持されて結束された燃料棒の周囲を包囲するチャンネルボックス等で概略構成されている。
【0004】
具体的には、燃料集合体の下部は、燃料支持金具に設けた受け口に、それぞれの燃料集合体の一部である下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部が挿入されており、燃料支持金具は制御棒案内管及び炉心支持板により支持されている。一方、それぞれの燃料集合体の上部は、上部タイプレートを介して原子炉炉心の上部に設置されている上部格子板で横方向が支持されている。
【0005】
なお、上記した沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造に関しては、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-114438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の燃料集合体は、下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部のテーパ面を燃料支持金具の受け口に挿入する構造となっているが、燃料支持金具の受け口の口径は小さく、燃料集合体を据え付ける際に、燃料集合体の揺れにより下部タイプレートの下方のテーパ部の下部を、口径の小さい燃料支持金具の受け口に精度よく挿入するには高度な技術が要求され、据え付け作業時間も長くなってしまうという課題があった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、燃料集合体に多少の揺れがあったとしても、燃料集合体の下部と燃料支持金具の受け口との位置設定が容易に行え、高度な技術を要することなく据え付け作業時間の短縮を図ることができる沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造は、上記目的を達成するために、複数本の燃料棒、その複数本の前記燃料棒間を保持するスペーサ、燃料集合体の上部を支持する上部タイプレート、前記燃料集合体の下部を支持する下部タイプレートから少なくとも成る燃料集合体と、前記下部タイプレートの下部を挿入し前記燃料集合体と取り合う燃料支持金具と、該燃料支持金具を支持する制御棒案内管及び炉心支持板とを備え、前記燃料集合体の下部が、前記下部タイプレートの下方に形成されているテーパ部を前記燃料支持金具に挿入する構造となっている沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造であって、前記下部タイプレートの前記テーパ部に対応した傾斜が形成された穴が設けられていると共に、この傾斜穴に沿って前記下部タイプレートの前記テーパ部が挿入されるサポートを、前記下部タイプレートと前記燃料支持金具との間に設けるか、或いは前記燃料集合体と前記燃料支持金具とを溶接又は機械的な手段により一体化し、前記サポートが、平面から見て四角形で、かつ、前記燃料支持金具の受け口に対応した傾斜穴が形成され、中央部に十字形の穴が形成されており、前記サポートと前記燃料支持金具が、溶接により固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃料集合体に多少の揺れがあったとしても、燃料集合体の下部と燃料支持金具の受け口との位置設定が容易に行え、高度な技術を要することなく据え付け作業時間の短縮を図ることができる沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の燃料集合体の下部取り合い構造が採用される沸騰水型原子炉の構成を示す図である。
図2】一般的な燃料集合体と燃料支持金具との取り合い構造を示す断面図である。
図3図2の燃料集合体の水平断面図である。
図4】本発明の燃料集合体の下部取り合い構造の実施例1であり、下部タイプレートの下方をサポートを介して燃料支持金具に挿入している状態を示す図である。
図5図4の平面図である。
図6】実施例1で採用されるサポートの単品図である。
図7】実施例1の燃料集合体の下部取り合い構造の他の例を示す図4に相当する図である。
図8】本発明の燃料集合体の下部取り合い構造の実施例2を示す図4に相当する図である。
図9】本発明の燃料集合体の下部取り合い構造の実施例3を示す図4に相当する図である。
図10】本発明の燃料集合体の下部取り合い構造の実施例4を示す図4に相当する図である。
図11】実施例4の燃料集合体の下部取り合い構造の他の例を示す図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の沸騰水型原子炉における燃料集合体の下部取り合い構造を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。また、下記はあくまでも実施の例であり、発明の内容を下記具体的態様に限定することを意図する趣旨ではない。
【実施例1】
【0013】
図1に、本発明の燃料集合体4の下部取り合い構造が採用される沸騰水型原子炉の構成を示す。
【0014】
図1に示すように、沸騰水型原子炉1は、原子炉圧力容器2内にシュラウドヘッド11、上部格子板7、炉心シュラウド5、制御棒案内管9及び炉心支持板6が少なくとも配置されて概略構成されている。
【0015】
上記した炉心シュラウド5は、複数の燃料集合体4が装荷された原子炉炉心3を取り囲んでおり、炉心支持板6が原子炉炉心3の下端部において炉心シュラウド5に取り付けられて配置されている。
【0016】
また、原子炉炉心3の上端部には、炉心シュラウド5に取り付けられた上部格子板7が配置されており、この上部格子板7によってそれぞれの燃料集合体4の上端が支持されている。燃料集合体4の相互間に出し入れされる複数の制御棒8は、各制御棒駆動機構ハウジング10内に設置された制御棒駆動機構(図示せず)にそれぞれ連結されている。
【0017】
また、原子炉圧力容器2内の原子炉炉心3の下方には複数の制御棒案内管9が設置されており、原子炉炉心3から引き抜かれた制御棒8が制御棒案内管9にガイドされる。
【0018】
一方、上部格子板7の上端にはシュラウドヘッド11が取り付けられており、シュラウドヘッド11の上方には気水分離器12が取り付けられ、気水分離器12の上方には蒸気乾燥器13が配置されている。
【0019】
次に、図2及び図3を用いて燃料集合体4の下部取り合い構造について説明する。
【0020】
図2に示すように、燃料集合体4は、複数本の燃料棒4aと、この複数本の燃料棒4a間を保持するスペーサ4bと、燃料集合体4の上部を支持する上部タイプレート4cと、燃料集合体4の下部を支持する下部タイプレート4dと、下部タイプレート4dにより支持されて結束された燃料棒4aの周囲を包囲するチャンネルボックス4e等で該略構成されている。
【0021】
そして、燃料集合体4の下部は、燃料支持金具14に設けた受け口14aにそれぞれの燃料集合体4の一部である下部タイプレート4dの下方に形成されているテーパ部4d1を挿入することで燃料支持金具14と取り合う構造となっており、燃料支持金具14は制御棒案内管9及び炉心支持板6により支持されている。一方、それぞれの燃料集合体4の上部は、上部タイプレート4cを介して原子炉炉心3の上部に設置されている上部格子板7で横方向が支持されている。また、燃料支持金具14の中央には、制御棒8を上下に移動できるように開口部14bが設けられており、制御棒8は、図3に示すように、4つの燃料集合体4の中心に配置されている。
【0022】
このような構成における本実施例の燃料集合体4の下部取り合い構造の詳細を、図4図5及び図6を用いて説明する。図4は、燃料集合体4が下部タイプレート4dの下方をサポート15を介して燃料支持金具14に挿入されている状態の図、図5図4の平面図、図6は本実施例で採用されるサポート15の単品図である。
【0023】
図4に示すように、本実施例の燃料集合体4の下部取り合い構造においては、燃料集合体4の下部タイプレート4dと燃料支持金具14との間にサポート15を設けている。このサポート15は、下部タイプレート4dのテーパ部4d1に対応した傾斜、即ち、下方から上方に向かうに従い広くなるように形成された傾斜穴15aが設けられており、この傾斜穴15aに沿って下部タイプレート4dのテーパ部4d1が挿入される。
【0024】
上記したサポート15は、図6に示すように、平面から見て四角形で、かつ、燃料支持金具14の受け口14aに対応した傾斜穴15aが形成され、中央部に十字形の穴15bが形成されており、しかも、断面が逆U字状(下部に開口部を設けた立方体のような形状)に形成され、更に、断面が逆U字状に形成されているサポート15の先端15cは、炉心支持板6まで延びている。
【0025】
なお、サポート15に設けている傾斜穴15aの表面に、燃料集合体4の下部タイプレート4dのテーパ部4d1と上記した傾斜穴15aとが固着することを防止するために、複数本の溝15dを設けられる構造も実施例の1つとして含まれる。
【0026】
また、図7に示すように、サポート15が燃料支持金具14に、溶接16aにより固定されることにより、サポート15が、より強固に固定される構造も実施例の1つとして含まれる。
【0027】
このような燃料集合体4の下部取り合い構造とすることにより、燃料集合体4(下部タイプレート4d)に多少の揺れがあったとしても、燃料集合体4の下部タイプレート4dの下方(テーパ部4d1)を、サポート15を介して燃料支持金具14の受け口14aに挿入する際には、下部タイプレート4dのテーパ部4d1をサポート15に形成されている下方から上方に向かうに従い広くなるように形成された傾斜穴15aに沿って挿入するだけで良く、燃料集合体4の下部タイプレート4dの下部と燃料支持金具14の受け口との位置設定が容易に行え、高度な技術を要することなく据え付け作業時間の短縮を図ることができる。
【実施例2】
【0028】
図8に燃料集合体4の下部取り合い構造の実施例2を示す。
【0029】
図8に示す実施例2では、炉心支持板6まで延びている断面が逆U字状に形成されているサポート15の先端15cを更に外側に突出させ、この突出部15eを介してサポート15を炉心支持板6にボルト17で固定している。
【0030】
このような本実施例の構成であっても実施例1と同様な効果が得られることは勿論、サポート15が炉心支持板6に、より強固に固定されるため信頼性が向上する。
【実施例3】
【0031】
図9に燃料集合体4の下部取り合い構造の実施例3を示す。
【0032】
図9に示す実施例3では、断面が逆U字状に形成されているサポート15のU字状に曲がった部分を燃料支持金具14に嵌め込み、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼から成る燃料支持金具14と、例えば、高ニッケル合金から成るサポート15との熱膨張差を用いることで、サポート15を燃料支持金具14に固定するようにしている。
【0033】
このような本実施例の構成であっても実施例1と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0034】
図10に燃料集合体4の下部取り合い構造の実施例4を示す。
【0035】
図10に示す実施例4では、燃料集合体4の下部タイプレート4dのテーパ部4d1と燃料支持金具14とを溶接16bにより一体化し、この下部タイプレート4dのテーパ部4d1と溶接により一体化された燃料支持金具14を、原子炉圧力容器2内の原子炉炉心3の下方に設置されている制御棒案内管9に挿入するようにしている。
【0036】
なお、図11に示すように、燃料集合体4の下部タイプレート4dのテーパ部4d1と燃料支持金具14とは、溶接を用いることなく一体化しても良い。
【0037】
このような本実施例の構成とすることにより、燃料集合体4の下部タイプレート4dと燃料支持金具14が溶接16bで、又は溶接16bを用いることなく一体化されているため、一体化された燃料集合体4と燃料支持金具14は、大きな穴となっている制御棒案内管9に挿入することができ、燃料集合体4を据え付ける際に高度な技術を要することなく容易に挿入できるので、据え付け作業時間の短縮を図ることができる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれている。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…沸騰水型原子炉、2…原子炉圧力容器、3…原子炉炉心、4…燃料集合体、4a…燃料棒、4b…スペーサ、4c…上部タイプレート、4d…下部タイプレート、4d1…下部タイプレートのテーパ部、4e…チャンネルボックス、5…炉心シュラウド、6…炉心支持板、7…上部格子板、8…制御棒、9…制御棒案内管、10…制御棒駆動機構ハウジング、11…シュラウドヘッド、12…気水分離器、13…蒸気乾燥器、14…燃料支持金具、14a…燃料支持金具の受け口、14b…燃料支持金具の開口部、15…サポート、15a…サポートの傾斜穴、15b…サポートの十字形の穴、15c…サポートの先端、15d…サポートの溝、15e…サポートの突出部、16a、16b…溶接、17…ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11