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▶ メメド ダイアグノスティクス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】体液分析用カートリッジおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20231215BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20231215BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231215BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N33/543 541A
G01N33/543 501A
G01N33/543 545A
G01N33/53 D
G01N33/543 575
G01N33/483 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020524089
(86)(22)【出願日】2018-09-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 IL2018050972
(87)【国際公開番号】W WO2019087176
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/580,496
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/581,728
(32)【優先日】2017-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/694,083
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202169
【氏名又は名称】メメド ダイアグノスティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サロモン ノーガ
(72)【発明者】
【氏名】オヴド クフィル
(72)【発明者】
【氏名】カルフィン ヤナ
(72)【発明者】
【氏名】カツェネルソン オマー ナフム
(72)【発明者】
【氏名】ゲルマン アミール
(72)【発明者】
【氏名】ブルック ルディッチ モーラン
(72)【発明者】
【氏名】ナヴォン ロイ
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン-ドタン アサフ
(72)【発明者】
【氏名】エデン エラン
(72)【発明者】
【氏名】ツァバン サリット
(72)【発明者】
【氏名】ザンビル アーノン
(72)【発明者】
【氏名】ハルプライヒ オフェル
(72)【発明者】
【氏名】フェンウィック マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スコット-マーフィー エイドリアン チャールズ イアン
(72)【発明者】
【氏名】イェン マシュー ホウ-ポウ
(72)【発明者】
【氏名】ルーサー ジェイムス ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】トルナギ バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ベザーナ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】クラグネイル トーマス サネッリ
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-178328(JP,A)
【文献】特表2004-531725(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040504(WO,A1)
【文献】特開2014-211437(JP,A)
【文献】特表2014-528577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を分析するためのカートリッジ装置であって、
アッセイを実施するための複数のウェルを有する第1の部材と、
前記第1の部材に接続され、少なくとも1つの使い捨てピペットチップを保持するためのコンパートメントを有する第2の部材と、
を備え、
前記第1の部材が水平に保持され、前記第2の部材がヒンジの周りで下方に回転すると、前記第2の部材の前記コンパートメントが、前記少なくとも1つの使い捨てピペットチップをほぼ直立した向きに保持することができる仕方で、前記第2の部材が前記ヒンジによって前記第1の部材に接続される、
カートリッジ装置。
【請求項2】
前記ウェルを覆う開放可能または穿孔可能なカバー構造をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
廃棄物収集チャンバをさらに備える、請求項1および2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記廃棄物収集チャンバは、方向付け構造を使用して液体のこぼれを防止する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記廃棄物収集チャンバは、前記第2の部材に連結された、または前記第2の部材の延長部である蓋によって覆われ、前記第2の部材がほぼ直立した方向にヒンジ止めされたときに露出される、請求項3および4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記廃棄物収集チャンバは、前記ウェルの下まで延在する、請求項3から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の部材は、それぞれが1つのピペットチップを保持するように構成された複数の区画に仕切られている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のウェルは、固体磁性キャリアに固定化された第1の抗体を含む少なくとも1つのウェルと、標識物質で標識された第2の抗体を含む少なくとも1つのウェルとを備え、前記抗体が、体液中の標的物質に特異的に結合するように選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記コンパートメント内に前記少なくとも1つの使い捨てピペットチップをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの使い捨てピペットチップは、固体磁性キャリアに固定化された抗体を中に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の部材または第2の部材が、前記体液を収容する容器を受け入れ、かつ、ぴったりと保持するように構成された凹部を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
体液を分析するためのシステムであって、
請求項1から11のいずれか一項に記載のカートリッジ装置を受け入れるように適合されたカートリッジホルダと、
分析チャンバを有し、前記分析チャンバ内に封入されたときに体液を分析するように構成された内部分析器システムと、
ピペットを搬送するロボットアームシステムと、
前記ピペットが少なくともチップコンパートメントを訪れ、前記コンパートメントからチップを拾い上げ、カートリッジ装置、前記分析チャンバおよび前記コンパートメントを訪れ、前記ピペットのチップを前記コンパートメント内に解放して戻すように前記カートリッジ装置と前記ピペットとの間の相対運動を確立するように前記ロボットアームシステムを制御するように構成されたコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項13】
前記受け入れに応答して前記第2の部材を自動的にヒンジ止めするためのレバーシステムをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記分析チャンバは、暗チャンバであり、前記内部分析器システムは、前記ピペットチップが前記暗チャンバ内にあるときに前記ピペットチップからの化学発光信号を検出するように構成された光学分析器である、請求項12および13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記暗チャンバの内壁は、反射性コーティングによって少なくとも部分的にコーティングされる、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[連邦政府による資金提供を受けた研究または開発の記載]
本発明は、国防脅威削減局により授与された契約番号HDTRA1-17-C-0011および米国陸軍医学研究取得活動により授与された許可番号W81XWH-17-1-0694に基づく政府支援によりなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
[関連出願]
本出願は2017年11月2日に出願された米国仮特許出願第62/580,496号、2017年11月5日に出願された米国仮特許出願第62/581,728号、および2018年7月5日に出願された米国仮特許出願第62/694,083号の優先権の利益を主張し、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[発明の分野および背景]
本発明はそのいくつかの実施形態では医療装置に関し、限定するものではないが、より詳細には、体液、限定するものではないが、血液等のサンプルを分析するためのカートリッジおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
膨大な数の疾患バイオマーカーの発見および小型医療システムの確立は、ポイントオブケア(POC)環境における疾患の治療の予測、診断および/またはモニタリングを容易にする。ポイントオブケアシステムは、検査結果を医療者、他の医療専門家および患者に迅速に届けることができる。疾患または疾患進行の早期診断によって、医療従事者が時宜を得た方法で治療を開始または修正することが可能になる。
【0005】
多重バイオマーカー測定は、患者の状態のさらなる知識を提供することができる。例えば、薬物の効果をモニターする場合、3つ以上のバイオマーカーを並行して測定することができる。典型的には、マイクロタイタープレートおよび他の類似の装置が多重分離に基づくアッセイを実施するために使用されてきた。マイクロタイタープレートは、並行して多数のアッセイを実施することができる。
【0006】
特許文献1は、平行に配置されたウェル群の2つ以上のラインを有するカートリッジを開示しており、各ウェル群は、希釈ウェルと、サンプル中の成分が物質と反応する反応ウェルと、を含む。各ウェル群の希釈ウェルに希釈液を充填した後、カートリッジを密閉する。カートリッジシールを穿孔し、サンプルを各ウェル群の希釈ウェルに分配してサンプルを希釈する。希釈試料中の成分を物質と反応させ、反応生成物の量を測定する。
【0007】
追加の背景技術には、特許文献2~13が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第8,409,872号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0287651号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0017712号明細書
【文献】米国特許第7,157,047号明細書
【文献】米国特許第7,473,396号明細書
【文献】米国特許第8,142,737号明細書
【文献】米国特許第8,211,386号明細書
【文献】米国特許第8,333,930号明細書
【文献】米国特許第8,383,421号明細書
【文献】米国特許第8,476,080号明細書
【文献】米国特許第8,697,377号明細書
【文献】米国特許第9,335,339号明細書
【文献】米国特許第9,446,406号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、限定されるものではないが、体液などの液体を分析するためのカートリッジ装置が提供される。カートリッジは、アッセイを実施するための複数のウェルを有する第1の部材と、第1の部材に接続され、少なくとも1つの使い捨てピペットチップをほぼ直立した向きに保持するためのコンパートメントを有する第2の部材と、を備える。
【0010】
以下の実施形態は、体液に特に重点を置いて説明される。しかしながら、本明細書に記載される装置、キット、システム、および方法は、限定されないが、河川、下水、貯水池、食品などからの液体など、他のタイプの液体を分析するために、本発明のいくつかの実施形態で使用することもできることを理解されたい。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の部材は、第1の部材にヒンジ接続される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の部材は、第1の部材に摺動可能に接続される。
【0013】
第1の部材および第2の部材は、任意選択で、互いに接続されず、液体を分析するシステムに別々に装填される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の部材は、使い捨てピペットチップをほぼ直立した向きに保持するように配向される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、液体(例えば、体液)を分析するためのキットが提供される。キットはアッセイを実施するための複数のウェルを有する第1の部材と、第1の部材に接続可能であり、少なくとも1つの使い捨てピペットチップを保持するためのコンパートメントを有する第2の部材と、を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、液体(例えば、体液)を分析するためのカートリッジ装置が提供される。カートリッジ装置は、各々がテーパ状の底部を有する第1の複数のウェルと、第2の複数のウェルとを備える。2つの複数のウェルは、モノリシック構造に形成される。第1の複数のウェルのうちの少なくともいくつかのウェルは、その中に試薬を含む。本発明のいくつかの実施形態では、第1の複数のウェルのうちの1つまたは複数のウェルは空である。第2の複数のウェルのうちの1つ以上のウェルは空である。使用中、第2の複数のウェルの空のウェルのうちの1つ以上は、任意選択で、好ましくは、分析される液体(例えば、体液であるが、これに限定されない)で満たされる。任意選択で、第2の複数のウェルのうちの1つまたは複数のウェルは、その中に試薬を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、装置はウェルを覆うカバー構造を備え、カバー構造は穿孔可能なフォイル、非可撓性の開放可能な蓋、可撓性の開放可能な蓋、一方向弁、および迷路構造からなる群から選択される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ウェルのいくつかは開放されており、フォイルによって覆われていない。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくともいくつかのウェルの底部は、概ね円錐形状に成形される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくともいくつかのウェルの底部は、概ね球形の丸い形状に成形される。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、ウェルの底部形状は、いくつかのウェルについては球形であり、いくつかの他のウェルについては円錐形である。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、装置は、廃棄物収集チャンバを備える。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、穿孔可能なフォイル、非可撓性の開放可能な蓋、可撓性の開放可能な蓋、および一方向弁からなる群から選択される構造によって覆われる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは吸湿材を含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、第2の部材に連結された、または第2の部材の延長部である蓋によって覆われ、第2の部材が一般的に直立した方向にヒンジ止めされたときに露出される。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、フォイルによって覆われ、フォイルは、廃棄物収集チャンバに廃棄物を破棄する前に、廃棄物収集チャンバを露出させるように穿孔される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは複数のチャンバから構成され、各チャンバは廃棄物の単一回の破棄がある単一回使用チャンバである。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、いくつかの入口点を有する1つのチャンバ上に含まれる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバ密封フォイルは、同じ位置で数回穿孔することができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバ密封フォイルは、ラベルによって覆われる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバ被覆ラベルは、パターンに沿って刻み目を付けられて、パターンによって画定される壊れやすい穿孔位置を形成する。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、それぞれの複数の刻み目パターンによって画定される、複数の壊れやすい穿孔位置がある。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくとも2つの隣り合う刻み目パターンが互いに分離される。本発明のいくつかの実施形態によれば、任意の2つの隣り合う刻み目パターンは、互いに分離される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの刻み目パターンは、十字の形状を有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、十字は直角十字、例えば、プラス記号の形状である。本発明のいくつかの実施形態によれば、十字は鋭角十字、例えば、X記号の形状である。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくとも2つの隣り合う刻み目パターンは当該刻み目パターンが互いに分離されることを確実にするために、異なる向きの十字または異なる形状の十字の形状を有する。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、刻み目パターンは、交互に配置された、直角十字、例えば、プラス記号の形状、および鋭角十字、例えば、X記号の形状を含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、ウェルの下まで延在する。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、第1の部材の一部である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集チャンバは、第2の部材の一部である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、装置は、第1の部材の一部である第1の廃棄物収集チャンバと、第2の部材の一部である第2の廃棄物収集チャンバと、を備える。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の部材は、それぞれが1つのピペットチップを保持するように構成された複数の区画に仕切られている。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、区画は互いに分離されていない。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、区画は互いに分離されている。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、区画の数は、少なくともアッセイの数に等しい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ウェルは、固体磁性キャリア上に固定化された第1の抗体を含有する少なくとも1つのウェルと、標識物質で標識された第2の抗体を含有する少なくとも1つのウェルと、を含み、抗体は液体(例えば、体液)中の標的物質に特異的に結合するように選択される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、標識物質は酵素であり、抗体および酵素は、サンドイッチELISA試験によって標的物質を検出するために選択される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、抗体は、TRAILタンパク質、CRPタンパク質およびIP-10タンパク質からなる群より選択されるタンパク質に特異的に結合するように選択される。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、装置は、コンパートメント内に使い捨てピペットチップを備える。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の部材は、液体(例えば、体液)を収容する容器を受け入れ、それをぴったりと(fittedly)保持するように構成された凹部を備える。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ装置は、水平面に沿って多角形の断面によって画定される形状を有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ装置は直方体の形状を有する。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ装置は、水平面に沿って丸い断面によって画定される形状を有する。本発明のいくつかの実施態様によれば、カートリッジ装置は、円柱または扇柱の形状を有する。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ装置は、それぞれが異なるアッセイを実施するように構成された複数の接続可能なモジュール要素を有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、各モジュール要素は、第1の部材および第2の部材のそれぞれの部分を有し、異なるアッセイを実施するように構成される。本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのモジュール要素は、第1の部材のそれぞれの部分を有し、1つのモジュール要素は、第2の部材として機能する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、液体(例えば、体液)を分析するためのキットが提供され、このキットは、別個のパッケージでカートリッジ装置および容器を含む。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、容器は、約5μl~約500μl、または約50μl~約350μl、または約100μl~約300μlの体積を有する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、容器は、平坦な底部を有する。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、容器は、蓋を含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、蓋は、折り畳み可能な蓋である。本発明のいくつかの実施形態によれば、蓋は、穿孔可能である。本発明のいくつかの実施形態によれば、蓋は穿孔可能であり、折り畳み可能である。本発明のいくつかの実施形態によれば、蓋は、容器にヒンジ接続される。本発明のいくつかの実施形態によれば、蓋は穿孔可能であり、容器にヒンジ接続される。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によれば、容器は可視光に対して透明である。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によれば、容器の内壁は、抗凝固剤で少なくとも部分的にコーティングされる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、限定されるものではないが、体液などの液体を分析するためのシステムが提供される。システムは、カートリッジ装置を受け入れるように構成され、受け入れに応答して第2の部材を自動的にヒンジ止めするレバーシステムを有するカートリッジホルダを備える。システムは、分析チャンバを有し、分析チャンバ内に封入されたときに液体(例えば、体液)を分析するように構成された内部分析器システムをさらに備える。このシステムは、ピペットを運ぶロボットアームシステムと、ロボットアームシステムを制御して、ピペットが少なくともカートリッジ装置、分析チャンバ、およびコンパートメントを連続的に訪れ、ピペットのチップをコンパートメント内に解放するように、カートリッジ装置とピペットとの間の相対運動を確立するように構成されたコントローラと、をさらに備える。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、液体(例えば、体液)を分析するためのシステムが提供される。このシステムはアッセイを実施するための複数のウェルを有する第1のカートリッジ部材を受け入れるように適合された第1のカートリッジホルダと、少なくとも1つの使い捨てピペットチップを保持するためのコンパートメントを有する第2のカートリッジ部材を受け入れるように適合された第2のカートリッジホルダと、を備え、第1のカートリッジホルダおよび第2のカートリッジホルダは、任意選択で、好ましくは、互いに分離される。システムは分析チャンバを有し、分析チャンバ内に封入されたときに液体(例えば、体液)を分析するように構成された内部分析器システムと、ピペットを搬送するロボットアームシステムとをさらに備えることができる。システムはロボットアームシステムを制御して、ピペットが少なくともチップコンパートメントを訪れ、コンパートメントからチップを拾い上げ、ウェルおよび分析チャンバを訪れ、ピペットのチップをコンパートメントに解放して戻すように、カートリッジ部材とピペットとの間の相対運動を確立するように構成されたコントローラをさらに備えることができる。
【0061】
本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、X、YおよびZの各々は、約75~約125、例えば、約100である。本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、X、Y、およびZの各々は、約35~約65、例えば、約50である。本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、X、Y、およびZの各々は、約16から約30、例えば、約23である。本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、XおよびYの各々は、約20~約26、例えば、約23であり、Zは、約26~約34、例えば、約30である。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ装置は、ウェルを覆う穿孔可能なフィルムを備え、コントローラは、ロボットアームシステムを制御して、カートリッジ装置を訪れている間にフィルムを穿孔するように構成される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ装置は、廃棄物収集チャンバを備え、コントローラは、分析チャンバに訪れた後に廃棄物収集チャンバを訪れるようにロボットアームシステムを制御するように構成される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の部材は、複数の区画に分割され、コントローラは、ロボットアームシステムを制御して、異なるピペットチップを異なる区画に解放するように構成される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の部材は、液体(例えば、体液)を収容する容器を受け入れ、かつぴったりと保持するように構成された凹部を備え、コントローラは、容器を訪れるようにロボットアームシステムを制御するように構成される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ウェルは固体磁性キャリア上に固定化された第1の抗体を含有する少なくとも1つのウェルと、標識物質で標識された第2の抗体を含有する少なくとも1つのウェルと、を含み、抗体は、液体(例えば、体液)中の標的物質に特異的に結合するように選択され、コントローラは、ピペットが液体(例えば、体液)、固定化された第1の抗体、および標識された第2の抗体をチップ内に吸引するように相対運動を確立するように構成され、システムは、固体磁性キャリア、したがって、チップ内の他の構成要素からも標的物質を分離するように構成された磁気システムを含む。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは加熱システムを含む。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態によれば、加熱システムは、カートリッジ装置の受け入れに応答して下からカートリッジ装置に自動的に係合するように構成されたステージを備える。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、加熱システムは、伝導によってカートリッジを加熱するように構成される。
【0070】
本発明のある実施形態によれば、加熱システムは放射または対流によって、しかし伝導を伴わずに、カートリッジ装置を加熱するように構成される。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態によれば、分析チャンバは、暗チャンバであり、分析システムは、ピペットチップが暗チャンバ内にあるときにピペットチップからの化学発光信号を検出するように構成された光学分析器である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態によれば、暗チャンバの内壁は、反射性コーティングによって少なくとも部分的にコーティングされる。
【0073】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。矛盾する場合には、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0074】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組合せで実行または完了することを含むことができる。さらに、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の計装および機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、またはオペレーティングシステムを使用するそれらの組合せによって実施することができる。
【0075】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装することができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明する方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、および/または、命令および/またはデータを記憶するための、磁気ハードディスクおよび/またはリムーバブルメディアなどの不揮発性記憶装置を含む。任意選択で、ネットワーク接続も同様に提供される。ディスプレイおよび/またはキーボードやマウスなどのユーザ入力装置も、任意選択で提供される。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単に例として本明細書に記載される。ここで、特に図面への詳細な参照を伴い示される詳細な事項は、例として、および本発明の実施形態の例示的な議論の目的のためであることが強調される。この点において、図面を参照した説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1-1】図1A図1Cは、それぞれ本発明のいくつかの実施形態による、第1の部材および第2の部材を有するカートリッジ装置の上面図、側面図および斜視図の概略図である。
図1-2】図1Dは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の部材および第2の部材を有するカートリッジ装置の斜視図の概略図である。
図1-3】図1E図1Gは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の部材および第2の部材を有するカートリッジ装置の斜視図の概略図であり、図1Hおよび図1Iは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の部材および第2の部材を有するカートリッジ装置の側面図の概略図である。
図2図2A図2Iは、本発明のいくつかの実施形態による、図1A~1Dに示される装置の部材内の区画の配置についての非限定的な例の概略図である。
図3-1】図3A図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、図1A~1Iに示す装置の凹部に装填するのに適した容器の概略図である。
図3-2】図3D図3Kは、本発明のいくつかの実施形態による、図1A~1Iに示す装置の凹部に装填するのに適した容器の概略図である。
図4図4は本発明のいくつかの実施形態による、液体(例えば、体液)を分析するためのシステムの概略図である。
図5-1】図5Aおよび図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による、図4に示されるシステムの部分開放図を示す概略図である。
図5-2】図5Cおよび図5Dは、本発明のいくつかの実施形態による、図4に示されるシステムの部分開放図を示す概略図である。
図5-3】図5E図5Gは、図4に示すシステム内のカムの運動の前の加熱システムのステージの位置を示す概略図である。
図6A図6Aは、本発明のいくつかの実施形態によるロボットアームシステムの概略図である。
図6B図6Bは、本発明のいくつかの実施形態によるロボットアームシステムの概略図である。
図6C図6Cは、本発明のいくつかの実施形態によるロボットアームシステムの概略図である。
図7図7は、本発明のいくつかの実施形態による、内部分析器システムの分解図を示す概略図である。
図8図8A図8Cは、本発明のいくつかの実施形態による、内部分析器システムの水平面に沿った断面の概略図である。
図9図9は、本発明のいくつかの実施形態に従って実施された実験で得られた、ピペットチップが一定の水平位置で垂直に移動するときにピペットチップから検出される光信号を示すグラフである。
図10図10は、本発明のいくつかの実施形態に従って実施された実験中に得られた、ピペットチップの水平位置に対する強度減衰の依存性を示すグラフである。
図11図11A図11Cは、本発明のいくつかの実施形態による、図4に示されるシステムの動作手順の概略図である。
図12図12は、本発明のいくつかの実施形態による、壊れやすい穿孔位置を形成するために複数のパターンで刻み目をつけられた被覆ラベルの概略図である。
図13図13Aおよび図13Bは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の部材と、第1の部材に摺動可能に接続される第2の部材と、を有するカートリッジ装置の概略図である。
図14図14Aおよび図14Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ウェルが列状に配置され、各列においてウェルおよびチップが互いに同一直線上にある、カートリッジ装置の概略図である。
図15図15Aおよび図15Bは、装置が円柱の形状を有する本発明の実施形態におけるカートリッジ装置の概略図である。
図16図16A図16Dは、本発明のいくつかの実施形態による、ピペットチップ用のコンパートメントおよび廃棄物収集チャンバを含むカートリッジ装置の部材の概略図である。
図17図17A図17Fは、本発明のいくつかの実施形態による、液体(例えば、体液)を保持するための容器の概略図である。
図18図18A図18Cは、本発明のいくつかの実施形態による、図17A~17Fの容器を受け入れるのに適したカートリッジ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明は、そのいくつかの実施形態において医療装置に関し、限定するものではないが、より詳細には、体液、限定するものではないが、血液等のサンプルを分析するためのカートリッジおよびシステムに関する。
【0079】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、かつ/または図面および/または実施例に示される、構成要素および/または方法の構成および配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0080】
本実施形態の技術は被験者からの体液の分析のための有効な手段を、任意選択で、好ましくは、提供することができる。本実施形態の技術は、特定の生物学的プロセス、生理学的状態、障害、または障害の段階に関連する分析物の同定および定量化を含む、多種多様な状況において使用され得る。したがって、本実施形態の技術は例えば、細菌およびウイルス感染、疾患診断、薬物スクリーニング、系統発生分類、親および法医学的同定、疾患の発症および再発、処置対集団ベースに対する個々の応答、ならびに治療のモニタリングの間の区別において、広範な有用性スペクトルを有する。
【0081】
本実施形態の技術は、細菌感染症、ウイルス感染症、および非細菌性非ウイルス性疾患の診断のためのタンパク質の測定に特に有用である。本実施形態の技術は、任意選択で、好ましくは、被験体が罹患している感染の型の同定のためのパターン認識アルゴリズムを使用することができ、これは、次いで、適切な処置レジメンの選択を可能にする。本発明の様々な実施形態は、(i)広範囲の病原体についての正確な診断を可能にすること、(ii)迅速な診断を可能にすること(数分以内)、(iii)非病原性細菌およびウイルスの存在に対する非感受性(したがって、偽陽性の問題を低減する)、および(iv)病原体の直接サンプリングの必要性を排除すること、によって、現在の診断解決策の制限に対処し、これにより到達不能な感染の診断を可能にする。したがって、本発明のいくつかの方法は抗生物質治療が所望される被験者の選択を可能にし、ウイルス感染または非感染性疾患のみを有する被験者の不必要な抗生物質治療を予防する。本発明のいくつかの方法はまた、抗ウイルス治療が有利である被験者の選択を可能にする。
【0082】
本明細書に記載される実施形態のいくつかは細菌感染、ウイルス感染、および非細菌、非ウイルス疾患の区別の診断に向けられた用途に関するが、多くの他の用途が本実施形態の技術から利益を得ることができ、したがって、本開示の少なくともいくつかの実施形態によって包含されることを理解されたい。
【0083】
図1A~1Iは、本発明のいくつかの実施形態による、液体(例えば、体液)を分析するのに適したカートリッジ装置10の上面図(図1A)、側面図(図1B図1Hおよび図1I)、および斜視図(図1Cおよび図1D~G)の概略図である。カートリッジ装置10はこれに限定されないが、自動POCシステムのような、分析を自動的に実行するように構成されたシステムに装填するのに特に有用である。カートリッジ装置10を受け入れるのに適したシステムの代表的な例を、以下に示す。カートリッジ装置10は、任意のタイプの体液、特に哺乳動物の体液、例えばヒトの体液の分析中に使用することができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態に従って意図される体液の代表的な例としては全血、全血の画分、毛細血管血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、便、痰、脳脊髄液、涙、汗、間質液、粘液、鼻粘液、羊水、鼻腔綿棒によって収集されたサンプルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態では、カートリッジ装置10がヒトの全血の分析中に使用され、本発明のいくつかの実施形態では、カートリッジ装置10がヒトの全血の画分の分析中に使用され、本発明のいくつかの実施形態では、カートリッジ装置10がヒトの毛細血管血液の分析中に使用され、本発明のいくつかの実施形態では、カートリッジ装置10がヒトの血清の分析中に使用され、本発明のいくつかの実施形態では、カートリッジ装置10がヒトの血漿の分析中に使用される。カートリッジ装置10はまた、河川からの液体サンプル、下水からの液体サンプル、貯水池からの液体サンプル、食品からの液体サンプルなどの、体液以外の液体を分析するのにも適しているが、これらに限定されない。
【0085】
カートリッジ装置10は、任意選択で、好ましくは、アッセイを実施するための複数のウェル14を有する第1の部材12を備える。ウェル14は、矩形アレイに配列されて示されているが、他の配列(例えば、円形アレイ、ハニカムアレイ等)も考えられる。
【0086】
ウェル14の少なくとも一部はアッセイを実施することを可能にするために、液体(例えば、体液)と混合するための物質を含有する。典型的には、1つ以上のウェルは、それぞれのウェル中の反応性物質と体液との間の接触が確立されると、(例えば、免疫複合体を形成することによって)体液中の1つ以上の標的物質(例えば、抗原)と反応する反応性物質(例えば、抗体)を含むことができる。1つ以上のウェルはまた、体液を希釈するための希釈剤を含み得る。1つ以上のウェルはまた、洗浄工程を含むアッセイを実施することを可能にするための洗浄緩衝液を含み得る。限定とみなされるべきではない代表的な例として、ウェル14aは、反応性物質を含有することができ、ウェル14bは、希釈剤を含有することができ、ウェル14cは、洗浄緩衝液を含有することができるが、ウェル14のいずれかは、必要に応じて、上記のいずれか、または他の物質を潜在的に含むことができる。
【0087】
好ましくは、カートリッジ装置10がウェル14を密封し、ウェル14内のそれぞれの物質を維持するためにウェル14を覆う穿孔可能なフィルム22を備え、それによって、装置10の輸送中の蒸発、流出、落下、および/または汚染を防止し、任意選択で、好ましくはまた、装置10を、POCシステムなどの(ただし、これに限定されない)受け入れシステムに装填する間も防止する。穿孔可能なフィルム22はアルミニウム積層フォイル、プラスチックフィルム等のような任意のタイプのものであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0088】
ウェル14中の物質は、任意選択で、好ましくは、抗原-抗体反応を利用する免疫学的アッセイにおける使用のために選択される。本実施形態に適切な免疫学的アッセイの代表的な例としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、特に、必ずしもそうである必要はないが、サンドイッチELISA、化学発光イムノアッセイ、免疫蛍光アッセイ、ラジオイムノアッセイ、イムノクロマトグラフィーおよび免疫比濁法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
例えば、ウェル14は固体担体、任意選択で、好ましくは固体磁性担体上に固定化された第1の抗体を含む1つまたは複数のウェルと、標識物質で標識された第2の抗体を含む1つまたは複数のウェルとを含むことができ、第1の抗体および第2の抗体は、体液中の標的物質に特異的に結合するように選択される。標識酵素および抗体は、任意選択で、好ましくは、サンドイッチELISAによって標的物質を検出するために選択される。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態による使用に適した標識物質としては、酵素、フリーラジカル、放射性同位体、蛍光色素、バクテリオファージ、または補酵素が挙げられるが、これらに限定されない。適切な酵素の代表的な例としては西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。適切な蛍光標識の代表的な例としてはフルオレセイン、Alexa、緑色蛍光タンパク質およびローダミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、または前述の断片であってもよく、反応産物を検出するステップは任意の適切なイムノアッセイを用いて実施されてもよい。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態による使用に適した抗体の供給源としては、例えば、Abazyme、Abnova、AssayPro、Affinity Biologicals、AntibodyShop、Aviva bioscience、Biogenesis、Biotechne、Biosense Laboratories、Calbiochem、Cell Sciences、Chemicon International、Chemokine、Clontech、Cytolab、DAKO、Diagnostic BioSystems、eBioscience、Endocrine Technologies、Enzo Biochem、Eurogentec、Fusion Antibodies、Genesis Biotech、GloboZymes、Haematologic Technologies、Immunodetect、Immunodiagnostik、Immunometrics、Immunostar、Immunovision、Biogenex、Invitrogen、Jackson ImmunoResearch Laboratory、KMI Diagnostics、Koma Biotech、LabFrontier Life Science Institute、Lee Laboratories、Lifescreen、Maine Biotechnology Services、Mediclone、MicroPharm Ltd.、ModiQuest、Molecular Innovations、Molecular Probes、Neoclone、Neuromics、New England Biolabs、Novocastra、Novus Biologicals、Oncogene Research Products、Orbigen、Oxford Biotechnology、Panvera、PerkinElmer Life Sciences、Pharmingen、Phoenix Pharmaceuticals、Pierce Chemical Company、Polymun Scientific、Polysiences,Inc.、Promega Corporation、Proteogenix、Protos Immunoresearch、QED Biosciences, Inc.、R&D Systems、Repligen、Research Diagnostics、Roboscreen、Santa Cruz Biotechnology、Seikagaku America、Serological Corporation、Serotec、SigmaAldrich、StemCell Technologies、Synaptic Systems GmbH、Technopharm、Terra Nova Biotechnology、TiterMax、Trillium Diagnostics、Upstate Biotechnology、US Biological、Vector Laboratories、Wako Pure Chemical Industries、Zeptometrix、Thermo Fischer scientific、Invitrogen、ATCC、Novus Biologicals、Hytest、Medix、Biospacificといった商用使用可能な供給源が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、当業者は、本明細書中に記載される任意のタンパク質に対する抗体を日常的に作製し得る。
【0093】
たんぱく質測定用のポリクロン抗体には、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、アヒル、モルモット、ネズミ、ロバ、ラクダ、ラット、およびウマのいずれか1つ以上の活性免疫をもって血清から作製された抗体が含まれるが、これに限定されない。
【0094】
追加の反応性物質の例としては、scFv、dsFv、Fab、sVH、F(ab’)2、環状ペプチド、ハプタマー、A単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント、アフィボディ分子、アフィリン、ナノフィチン、アンチカリン、アビマー、DARPins、クニッツドメイン、フォイノマー、およびモノボディが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態では、体液中の標的物質は、TRAILである。TRAILを測定するのに適した抗体としては、マウス、モノクローナル(55B709-3)IgG(Thermo Fisher Scientific);マウス、モノクローナル(2E5)IgG1(Enzo Lifesciences);マウス、モノクローナル(2E05)IgG1;マウス、モノクローナル(M912292)IgG1κ(My BioSource);マウス、モノクローナル(IIIF6)IgG2b;マウス、モノクローナル(2E1-1B9)IgG1(EpiGentek);マウス、モノクローナル(RIK-2)IgG1、κ(BioLegend);マウス、モノクローナルM181 IgG1(Immunex Corporation);マウス、モノクローナルVI10E IgG2b(Novus Biologicals);マウス、モノクローナルMAB375 IgG1(R&D Systems);マウス、モノクローナルMAB687 IgG1(R&D Systems);マウス、モノクローナルHS501 IgG1(Enzo Lifesciences);マウス、モノクローナルクローン75411.11マウスIgG1(Abcam);マウス、モノクローナルT8175-50 IgG(X-Zell Biotech Co);マウス、モノクローナル2B2.108 IgG1;マウス、モノクローナルB-T24 IgG1(Cell Sciences);マウス、モノクローナル55B709.3 IgG1(Thermo Fisher Scientific);マウス、モノクローナルD3 IgG1(Thermo Fisher Scientific);ヤギ、ポリクローナルC19 IgG;ウサギ、ポリクローナルH257 IgG(Santa Cruz Biotechnology);マウス、モノクローナル500-M49 IgG;マウス、モノクローナル05-607 IgG;マウス、モノクローナルB-T24 IgG1(Thermo Fisher Scientific);ラット、モノクローナル(N2B2)、IgG2a,κ(Thermo Fisher Scientific);マウス、モノクローナル(1A7-2B7)、IgG1(Genxbio);マウス、モノクローナル(55B709.3)、IgG(Thermo Fisher Scientific);マウス、モノクローナルB-S23* IgG1(Cell Sciences)、ヒトTRAIL/TNFSF10 MAb(Clone 75411)、マウスIgG1(R&D Systems);ヒトTRAIL/TNFSF10 MAb(Clone 124723)、マウスIgG1(R&D Systems)およびヒトTRAIL/TNFSF10 MAb(Clone 75402)、マウスIgG1(R&D Systems)が挙げられるが、これらに限定されない。TRAILを測定するための抗体には、TRAILを測定するためのモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が含まれる。
【0096】
TRAILを測定するための抗体には、マウス骨髄腫細胞株NS0由来組換えヒトTRAIL(Thr95-Gly281受託番号P50591)、マウス骨髄腫細胞株NS0由来組換えヒトTRAIL(Thr95-Gly281、N末端Metおよび6-Hisタグ受託番号P50591を有する)、大腸菌由来(Val114-Gly281、N末端Met受託番号Q6IBA9を有するおよび有さない)、ヒト血漿由来TRAIL、ヒト血清由来TRAIL、組換えヒトTRAIL(ここで、最初のアミノ酸は位置85~151の間であり、最後のアミノ酸は位置249~281にある)を含むリストからのエピトープを標的とするために開発された抗体が含まれる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、体液中の標的物質はCRPである。CRPを測定するのに適したモノクローナル抗体の例には、マウス、モノクローナル(108-2A2);マウス、モノクローナル(108-7G41D2);マウス、モノクローナル(12D-2C-36)、IgG1;マウス、モノクローナル(1G1)、IgG1;マウス、モノクローナル(5A9)、IgG2a κ;マウス、モノクローナル(63F4)、IgG1;マウス、モノクローナル(67A1)、IgG1;マウス、モノクローナル(8B-5E)、IgG1;マウス、モノクローナル(B893M)、IgG2b,λ;マウス、モノクローナル(C1)、IgG2b;マウス、モノクローナル(C11F2)、IgG;マウス、モノクローナル(C2)、IgG1;マウス、モノクローナル(C3)、IgG1;マウス、モノクローナル(C4)、IgG1;マウス、モノクローナル(C5)、IgG2a;マウス、モノクローナル(C6)、IgG2a;マウス、モノクローナル(C7)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP103)、IgG2b;マウス、モノクローナル(CRP11)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP135)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP169)、IgG2a;マウス、モノクローナル(CRP30)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP36)、IgG2a;ウサギ、モノクローナル(EPR283Y)、IgG;マウス、モノクローナル(KT39)、IgG2b;マウス、モノクローナル(N-a)、IgG1;マウス、モノクローナル(N1G1)、IgG1;モノクローナル(P5A9AT);マウス、モノクローナル(S5G1)、IgG1;マウス、モノクローナル(SB78c)、IgG1;マウス、モノクローナル(SB78d)、IgG1およびウサギ、モノクローナル(Y284)、IgG、ヒトC反応性蛋白質/CRPバイオMAb(クラス232024)、マウスIgG2B、ヒトC反応性蛋白質/CRP MAb(クローン232007)、マウスIgG2B、ヒト/マウス/ブタC反応性蛋白質/CRP MAb(クラス232026)、マウスIgG2A、マウス、C反応性蛋白質(CRP)モノクローナル抗体(クローンA58014501);マウス、C反応性蛋白質(CRP)モノクローナル抗体(クローンA58015501)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
CRPを測定するための抗体には、CRPを測定するためのモノクローナル抗体およびCRPを測定するためのポリクローナル抗体が含まれる。
【0099】
CRPを測定するための抗体はまた、ヒト血漿由来CRP、ヒト血清由来CRP、マウス骨髄腫細胞株NS0由来組換えヒトC反応性タンパク質/CRP(Phe17-Pro224受託番号P02741)を含むリストからのエピトープを標的とするために開発された抗体を含む。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、体液中の標的物質はIP-10である。IP-10を測定するのに適したモノクローナル抗体の例には、IP-10/CXCL10マウス抗ヒトモノクローナル(4D5)抗体(LifeSpan BioSciences)、IP-10/CXCL10マウス抗ヒトモノクローナル(A00163.01)抗体(LifeSpan BioSciences)、MOUSE ANTI HUMAN IP-10(AbD Serotec)、RABBIT ANTI HUMAN IP-10(AbD Serotec)、IP-10ヒトmAb 6D4(Hycult Biotech)、マウス抗ヒトIP-10モノクローナル抗体クローンB-C50(Diaclone)、マウス抗ヒトIP-10モノクローナル抗体クローンB-C55(Diaclone)、ヒトCXCL10/IP-10モノクローナル抗体クローン33036(R&D Systems)、ヒトCXCL10/IP-10/CRG-2モノクローナル33021(R&D Systems)、ヒトCXCL10/IP-10/CRG-2モノクローナル33033(R&D Systems)、CXCL10/INP10抗体1E9(Novus Biologicals)、CXCL 10/INP10抗体2C1(Novus Biologicals)、CXCL10/INP10抗体6D4(Novus Biologicals)、CXCL10モノクローナル抗体M01Aクローン2C1(Abnova Corporation)、CXCL10モノクローナル抗体(M05)、クローン1E9(Abnova Corporation)、CXCL10モノクローナル抗体、クローン1(Abnova Corporation)、IP10抗体6D4(Abcam)、IP10抗体EPR7849(Abcam)、およびIP10抗体EPR7850(Abcam)が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
IP-10を測定するための抗体には、IP-10を測定するためのモノクローナル抗体と、IP-10を測定するためのポリクローナル抗体と、が含まれる。
【0102】
IP-10を測定するための抗体はまた、組換えヒトCXCL10/IP-10、77アミノ酸を含有する非グリコシル化タンパク質鎖(aa22-98)およびN末端Hisタグインターフェロンγ誘導性タンパク質10(125aa長)を含む非グリコシル化タンパク質鎖、77アミノ酸フラグメント(22-98)を含有し、アミノ末端ヘキサヒスチジンタグを有する8.5kDaの総分子量を有する大腸菌中で産生されるIP-10Hisタグヒト組換えIP-10、N末端Metを有する大腸菌由来ヒトIP-10(Val22-Pro98)、ヒト血漿由来IP-10、ヒト血清由来IP-10、組換えヒトIP-10(ここで、最初のアミノ酸は位置1-24の間であり、最後のアミノ酸は位置71-98にある)を含む、リストからのエピトープを標的とするために開発された抗体を含む。
【0103】
細菌感染とウイルス感染との間の識別を補助するために本発明のいくつかの実施形態において測定され得る、体液中のさらなる例示的な標的物質としては、IL1RA、Mac-2BP、B2M、BCA-1、CHI3L1、Eotaxin、IL1a、MCP、CD62L、VEGFR2、CHP、CMPK2、CORO1C、EIF2AK2、ISG15、RPL22L1、RTN3、CD112、CD134、CD182、CD231、CD235A、CD335、CD337、CD45、CD49D、CD66A/C/D/E、CD73、CD84、EGFR、GPR162、HLA-A/B/C、ITGAM、NRG1、RAP1B、SELI、SPINT2、SSEA1、IgG非特異的結合分子、IL1、I-TAC、TNFR1、L11、CD8A、IL7、SAA、TREM-1、PCT、IL-8、IL-6、ARG1、BCA-1、BRI3BP、CCL19/MIP3b、MCP-2、ABTB1、ADIPOR1、ARHGDIB、ARPC2、ATP6V0B、C1orf83、CD15、CES1、CORO1A、CRP、CSDA、EIF4B、EPSTI1、GAS7、HERC5、IFI6、KIAA0082、IFIT1、IFIT3、IFITM1、IFITM2、IFITM3、LIPT1、IL7R、ISG20、LOC26010、LY6E、LRDD、LTA4H、MAN1C1、MBOAT2、MX1、NPM1、OAS2、PARP12、PARP9、QARS、RAB13、RAB31、RAC2、RPL34、PDIA6、PTEN、RSAD2、SART3、SDCBP、SMAD9、SOCS3、TRIM 22、UBE2N、XAF1、およびZBP1が挙げられる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、体液中の標的物質が細菌、ウイルス、寄生虫(例えば、Toxoplasma gondii)または真菌を含む微生物に由来するか、またはそれによって分泌される。これらの標的タンパク質は、例えば、構造タンパク質、機能タンパク質および酵素(例えば、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼ)、分泌タンパク質、および微生物毒素(例えば、ボツリヌス菌によって産生されるボツリヌス毒素)を含む、細菌、ウイルスまたは真菌タンパク質の任意のタイプであり得る。ウイルスの例としては、A型インフルエンザウイルス(Flu A)、B型インフルエンザウイルス(Flu B)、RSウイルスA(RSV A)、RSウイルスB(RSV B)、Flu A-H1、Flu A-H1pdm09、Flu A-H3、アデノウイルス(AdV)、エンテロウイルス(HEV)、パラインフルエンザウイルス1(PIV 1)、パラインフルエンザウイルス2(PIV 2)、パラインフルエンザウイルス3(PIV3)、パラインフルエンザウイルス4(PIV4)、メタニューモウイルス(MPV)、Bocavirus(HBov)、Rhinovirus(HRV)、コロナウイルスNL63(CoV NL63)、コロナウイルスOC43(CoV OC43)、ロタウイルス、天然痘、エボラウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎、B型肝炎、風疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、麻疹、およびムンプスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
バクテリアの例には、マイコプラズマニューモニエ(MP)、クラミドフィラニューモニエ(CP)、レジオネラニューモフィラ(LP)、ヘモフィルスインフルエンザ(HI)、ストレプトコッカスニューモニエ(SP)、百日咳菌(BP)、ボルデテラパラパーツシス(BPP)、A群連鎖球菌、群連鎖球菌、B群連鎖球菌、大腸菌、炭疽菌、フランシセラツラレンシス、ブルコルデリアシュードマレイ、トレポネーマパリダム、ボレリアブルグドルフェリおよびヘリコバクターピロリが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態において、微生物標的物質の測定は、体液中の特定の病原性または非病原性微生物の存在を検出するために使用される。本発明のいくつかの実施形態において、微生物標的物質の測定は、ウイルスまたは細菌負荷を評価するために、体液中の特定の病原性または非病原性微生物のレベルを定量するために使用される。
【0107】
本実施形態の技術はまた、種々の疾患状態、処置に対する応答、損傷および生物脅威曝露を診断またはモニターするのに役立ち得る他のタイプの生理学的マーカー(例えば、炎症マーカー、心臓マーカー、代謝マーカー、内分泌マーカー、神経変性マーカー、ニューロンマーカーおよび癌マーカーを含む)を測定するために使用され得る。生理学的マーカーの例としては、トロポニン、トロポニンI、トロポニンT、高感度トロポニン、BNP、IGF-1、CK-MB、ミオグロビン、CPK、AP、PTH、ガレクチン-3、ガレクチン-1、高感度CRP、ユビキチンC末端ヒドロラーゼ-L1(UCH-L1)、グリア線維酸性蛋白質(GFAP)、CKB、ヘモグロビンAおよびヘモグロビンBが挙げられる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態において、ウェルの1つ以上は金属キレート剤(例えば、EDTAまたはEGTA)、または酵素阻害剤(例えば、テポヒリン、バナジン酸塩またはヒ酸塩)のような阻害溶液を含むが、これらに限定されない。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ウェルのうちの少なくとも1つは、テーパ状(例えば、円錐状)の底部を有する。テーパ状の底部の形状を有するウェルは、封入された液体の高い表面張力を確保し、それによって、例えば輸送中にウェルの上部に液体が蓄積するのを防止するという利点を有する。本発明者らは、試薬(例えば、抗体)を含有する1つ以上のウェルがテーパ状である場合、カートリッジ装置が典型的には試薬がウェル内に既に含有されている間に輸送されるため、特に有利であることを見出した。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ウェルのうちの少なくとも1つは、非テーパ状の底部を有する。このような形状は、テーパ状のウェルと比較して、液体が例えば、アッセイの間のピペッティングによってウェルに導入される場合、気泡形成の危険性がより低いという利点を有する。アッセイは、典型的には液体(例えば、体液)のサンプルをウェルに添加することによって実施されるので、液体を含有するように指定されたウェルが非テーパ状である場合に、これが特に有利であることが、本発明者らによって見出された。
【0111】
したがって、本実施形態は、各々がテーパ状の底部を有する第1の複数のウェルと、第2の複数のウェルと、を備えるカートリッジ装置を企図する。2つの複数のウェルは、モノリシック構造に形成される。第1の複数のウェルのうちの少なくともいくつかのウェルは、その中に試薬を含む。本発明のいくつかの実施形態では、第1の複数のウェルのうちの1つまたは複数のウェルは、空である。第2の複数のウェルのうちの1つ以上のウェルは、空である。使用中、第2の複数のウェルの空のウェルのうちの1つ以上は、任意選択で、好ましくは、分析される液体(例えば、体液であるが、これに限定されない)で満たされる。任意選択で、第2の複数のウェルのうちの1つまたは複数のウェルは、その中に試薬を含む。
【0112】
再び図1A~1Iを参照すると、カートリッジ装置10は、任意選択で、好ましくは、廃棄物収集チャンバ24を備える(図1D参照)。廃棄物収集チャンバ24は、吸湿性材料、スポンジ、セルロース繊維、木炭、活性炭、モレキュラーシーブ、および/または、塩、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、五酸化リン、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、活性アルミナ、および活性炭を含むがこれらに限定されない1つ以上の吸湿性物質などの吸湿材(図示せず)を、任意選択で、必ずしも必須ではないが、好ましくは、含むことができる。吸湿性材料の使用は、バイオハザードの可能性を減少させるのに役立つので、特に有利である。汚染された液体は、吸湿性材料内に閉じ込められるので、廃棄物チャンバから逃げにくい。本発明の幾つかの実施形態では、廃棄物収集チャンバ24が下部にまで及ぶが、物理的にはウェル14から分離されている。
【0113】
廃棄物収集チャンバは、任意選択で、好ましくは穿孔可能なフォイル、非可撓性の開放可能な蓋、可撓性の開放可能な蓋、および一方向弁などの構造(図示せず)によって覆われるが、これらに限定されない。例えば、廃棄物収集チャンバを覆う構造は、フォイルであってもよく、フォイルは、廃棄物収集チャンバに廃棄物を配置する前に、廃棄物収集チャンバを露出させるように穿孔される。シール用フォイルは、任意選択で、同じ位置で数回穿孔することができる。
【0114】
被覆構造は、任意選択で、好ましくは、迷路の形態であってもよく、その結果、廃棄物は装置が非常に特定された様式で回転され反転される場合にのみ、カートリッジから逃げることができる。これは、液体が不注意にカートリッジから逃げる確率を著しく減少させる。このような被覆構造は、廃棄物収集チャンバ24のみ、またはウェル24のみ、または廃棄物収集チャンバ24とウェル14の両方を覆うために使用することができる。
【0115】
図1Dは、廃棄物収集チャンバ24を単一のチャンバを有するものとして示しているが、本実施形態は、例えば、廃棄物を吸収するスポンジまたは吸湿性仕切りによって互いに分離され接続された複数の分離されたチャンバまたは部分チャンバを有する廃棄物収集チャンバも企図しているので、必ずしも単一のチャンバを有する必要はない。これらの実施形態は、同じ廃棄物収集チャンバに2回以上アクセスしないことが望まれる場合に特に有用であり、この場合、各チャンバは、廃棄物の単一回の堆積がある単一回使用チャンバである。代替的に又は追加的に、廃棄物収集チャンバは、いくつかの入口点を含むことができる。
【0116】
廃棄物収集チャンバ密封フォイルまたはウェル密封フォイルは、図12に示すように、ラベル200によって覆うことができる。被覆ラベル200は、任意選択で、好ましくは、パターン202に沿って刻み目をつけられるか、または部分的に切断されて、パターン202によって画定される壊れやすい穿孔位置が形成される。図12に示すように、任意選択で、好ましくは、それぞれがそれぞれの刻み目パターンによって画定される複数の壊れやすい穿孔位置がある。2つ以上の隣り合う刻み目パターン(例えば、隣り合う刻み目パターンの各対)を互いに分離することができる。刻み目パターンは、例えば十字や星のような形状を有する。十字は、直角十字、例えば、プラス記号の形状、または鋭角十字、例えば、X記号の形状とすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、2つ以上の隣り合う刻み目パターン(例えば、隣り合う刻み目パターンの各対)は、刻み目パターンが互いに分離されることを確実にするために、異なる向きの十字または異なる形状の十字の形状を有する。刻み目パターン間の分離は、チャンバまたは異なるウェルへの異なる入口位置間のクロストークを防止する観点から有利である。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態によれば、刻み目パターンは、交互に配置された、直角十字、例えば、プラス記号の形状、および鋭角十字、例えば、X記号の形状を含む。
【0118】
カートリッジ装置10は、任意選択で、好ましくは、第2の部材16を含む。本発明のいくつかの実施形態では、第2の部材16が第1の部材12に接続される。本発明の好ましい実施形態では、第2の部材16がヒンジ18(図1D)によって第1の部材12に接続され、ヒンジ18の周りで2つの部材12および16の一方が他方に対して回転することを可能にする。好ましくは、ヒンジ18は、部材12と16との間に少なくとも70°または少なくとも80°または少なくとも90°の角度を形成するように回転可能に構成される。
【0119】
第2の部材16は、本発明のいくつかの実施形態では、図13Aおよび図13Bに概略的に示すように、第1の部材12に摺動可能に接続することができる。これらの実施形態では、装置10は、第2の部材16が第1の部材12を覆うか、または部分的に覆う状態で、ユーザに配布され得る。使用中、第2の部材16は、第1の部材12上を摺動して、ウェル(または使用される場合、ウェルを覆う封止フォイルまたはラベルなどであるが、これらに限定されない構造)を露出させることができる。この摺動に続いて、第2の部材16は、第1の部材12から完全に分離することができるか、又は図1D図1Fに例示されている同様の方法で第1の部材12にヒンジ止めされたままにすることができる。第2の部材16が第1の部材12上を摺動する実施形態では、装置10の長さは、部材12および16がヒンジ18によって接続される実施形態における長さよりも短い。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のカートリッジ部材が接続されないように第1のカートリッジ部材から分離することができる。これらの実施形態は、2つのカートリッジ部材を、自動POCシステムなどであるがこれに限定されない分析を自動的に実行するように構成されたシステムに別々に装填することが望ましい場合に有用である。
【0121】
第2の部材16は、任意選択で、好ましくは、少なくとも1つの使い捨てピペットチップ111(図1A図1B、および図1Dに示す)を保持するためのコンパートメント20(図1Dおよび図1Eに示す)を備える。任意選択で、図1Dに示すように、第1の部材12が水平に保持され、第2の部材16がヒンジ18の周りで下方に回転すると、コンパートメント20はピペットチップをほぼ直立した向きに(例えば、重力方向に対して±20°の偏差で)保持する。1つ以上の使い捨てピペットチップ111は、種々の例示的な実施形態では、部材12および16のうちの1つの前述の回転の前に、好ましくは無菌状態で、すでにコンパートメント20内にある(図1Aおよび1Bを参照)。
【0122】
廃棄物収集チャンバ24は、第2の部材16に接続された、または第2の部材16の拡張部材である、蓋26によって覆われている。これらの実施形態では、第2の部材16が略直立方向にヒンジ止めされると、図1Dに示すように、蓋26は第2の部材16と共にヒンジ止めされ、収集チャンバ24が露出される。
【0123】
本実施形態はまた、廃棄物収集チャンバ24が第2の部材16の一部である構成を企図する。これらの実施形態の代表的な例を、図16A~16Dに示す。また、第1の部材12の一部である第1の廃棄物収集チャンバ24と第2の部材16の一部である第2の廃棄物収集チャンバとがある実施形態も考えられる。
【0124】
カートリッジ装置10は、任意選択で、好ましくは、その外壁の1つに配置された1つまたは複数の識別子34を含むことができる。図1Aおよび図1Cの図では、識別子34が部材16の上壁部上にあるが、識別子34を保持するために他の壁を使用することもできる。さらに、それぞれの2つ以上の壁上で、2つ以上の識別子を使用することができる。識別子34は、エンボス加工、デボス加工、または印刷することができ、機械可読記号のセット、例えば、1次元またはバーコード記号、2次元またはマトリックスまたはエリアコード記号、またはそれらの組合せなどの任意のタイプとすることができるが、これらに限定されない。また、磁気記録装置、RFIDチップなどの電子チップ(ただし、これらに限定されない)などを含む、他のタイプの識別子も考えられる。
【0125】
識別子34は、ウェル14の内容物および/または体液が分析される被験者の身元に関する情報を、任意選択で、好ましくは符号化することができる。識別子34は、本発明のいくつかの実施形態では、分析される標的物質のタイプに関する情報、試薬管理情報、および分析に使用するための較正曲線に関する情報など(ただし、これらに限定されない)、他のタイプの情報をコード化することができる。自動システム、例えばPOCシステムに識別子34から情報を読み取る装置が設けられている場合、システムのオペレータは、従来のPOC設定におけるエラーの主要な原因であるワークシートの手動操作を要することなく、単にカートリッジ装置10をそのシステムにロードすればよい。本発明のいくつかの実施形態では、識別子34上の情報の記録は、特定のカートリッジ装置品目が使用されたかまたは使用されていないかを判定することを可能にするように、カートリッジ装置10が一度使用されると破棄されるように構成される。これは例えば、アッセイを実施する前に穿孔または破壊する必要があるフィルム22などのフィルムのシール上に識別子34を提供することによって行うことができるが、これに限定されない。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の部材16のコンパートメント20がそれぞれは、1つのピペットチップを保持するように構成された複数の区画28によって仕切られている。区画は互いに隔離することができる(すなわち、区画の間の流体連通がない)。あるいは、仕切りは、部分的であってもよく、その場合、区画28は互いに分離されず、その間にある程度の流体連通を可能にする。
【0127】
区画28は、コンパートメント20内に任意の幾何学的配置で配置することができる。部材16における区画28の配置の非限定的な例が、図2A~2Iに示される。図2A図2D、および図2Gはコンパートメント20内の区画28の内部配置を示し、図2B図2E、および図2Hはそれぞれ、部材16がヒンジ止めされていないときのカートリッジ装置を示し、図2C図2F、および図2Iは、それぞれ、垂直方向にヒンジ止めされたときの部材16の斜視図を示す。図2A~2Cでは、区画28の断面は台形の辺に沿って配置され、図2D~2Fでは、区画28の断面は正方形の辺に沿って配置され、図2G~2Iでは、区画28の断面は直線に沿って配置される。他の幾何学的形状を形成する構成も考えられる。図2A-2Iでは、コンパートメント20に4つの区分を示しているが、一部の区分では、4つより多くの、または4つより少ない区分を用いることができるため、必ずしもそうである必要はない。区画の数は、好ましくは、少なくとも装置10が使用されるアッセイの数に等しい。
【0128】
ウェル14内の物質およびコンパートメント20内の使い捨てチップ111を保持することに加えて、装置10はまた、好ましくは、液体(例えば、体液)を保持するように構成される。これは、2つ以上の仕方で行うことができる。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態では、装置10は、液体(例えば、体液)を保持するためのサンプルチャンバ30を備える。チャンバ30は、望ましくは、ウェル14のうちの1つによって実現され得るか、または装置10の追加のチャンバであり得る。カートリッジ装置10が穿孔可能なフィルム22を含む実施形態において、フィルム22は、好ましくは図2B、2Eおよび2Hに示されるように、チャンバ30を除く全てのウェル14を覆う。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態では、液体(例えば、体液)は別個の容器内に提供される。これらの実施形態では、装置10の第1の部材12は、任意選択で、好ましくは、液体(例えば、体液)を収容する容器40(図1A~1Dには図示せず、図3A~3Kを参照)を受け入れ、かつぴったりと保持するように構成された凹部32を備える。
【0131】
液体(例えば、体液)を装置10に導入するための上記の構成のいずれも、任意のタイプの液体(例えば、体液)に使用することができる。容器40の使用が好ましいのは、排他的ではないが、体液が全血または毛細血管血液サンプルである場合であり、チャンバ30の使用が好ましいのは、排他的ではないが、他のタイプの体液(例えば、血清、鼻粘液サンプルなど)に対する場合である。体液を装置10に装填するための手順は必ずしも必要ではないが、任意選択で、手術の臨床設定に基づいて選択することもできる。例えば、容器40の使用は、POCクリニックで有利であり、チャンバ30の使用は、中央実験室を有する施設(例えば、病院または研究施設)で有利である。
【0132】
カートリッジ装置10は、本発明のいくつかの実施形態ではチャンバ30と凹部32の両方を含むことができる。これらの実施形態では、カートリッジ装置10がチャンバ30に収容された液体(例えば、体液)の分析(例えば、病院で収集された血清の分析)を目的とする場合、凹部32が、任意選択で、密閉され使用されず、カートリッジ装置10が容器40に収容された液体(例えば、体液)の分析(例えば、POC施設で収集された毛細管血液の分析)を目的とする場合、チャンバ30が、任意選択で、密閉され使用されない。本発明のいくつかの実施形態では、カートリッジ装置10は、使用のための指示を伴う。例えば、凹部32が密封されている場合、指示は液体(例えば、体液)がチャンバ30内に導入されるべきであり、凹部32が使用されるべきではないという指示を含むことができ、チャンバ30が密封されている場合、指示は液体(例えば、体液)が装置10の凹部32内に装填されるべき別個の容器(例えば、以下に記載される容器40)内に導入されるべきであり、チャンバ30が使用されるべきではないという指示を含むことができる。
【0133】
また、オペレータが容器40とチャンバ30の両方を使用することができる実施形態も考えられる。これらの実施形態では、容器40およびチャンバ30は、任意選択で、好ましくは、異なるタイプの液体(例えば、異なるタイプの体液)を収容する。異なるタイプの液体、例えば、限定されるものではないが、上記に列挙したタイプの体液の任意の組み合わせが考えられる。2つの異なるタイプの体液を同じカートリッジ装置に装填することは、2つ以上の標的物質の存在を検出するか、またはそのレベルを測定することが所望される場合に有用であり、ここで、少なくとも2つの標的物質が異なるタイプの体液中に潜在的に存在する。例えば、1つのタイプの体液は、潜在的な感染に対する被験体の応答を示す標的物質の存在を検出するために、またはそのレベルを測定するために使用され得、別のタイプの体液は、微生物(例えば、細菌、ウイルス、または真菌)のような疾患を引き起こす物質の存在またはレベルを示す標的物質の存在を検出するために、またはそのレベルを測定するために使用され得るが、これらに限定されない。代表的な例として、容器40は、毛細血管血液サンプルを含むことができ、チャンバ30は鼻粘液サンプルを含むことができるが、これに限定されない。容器40内の毛細血管血液サンプルは、例えば宿主タンパク質を検出するために分析することができ、鼻粘液サンプルは、例えば微生物関連タンパク質を検出するために分析することができる。
【0134】
本実施形態はまた、2つの部材12および16が互いに同一直線上にある構成を企図する。このような構成を図14Aおよび図14Bに示す。示されているのは、ウェルが列状に配置されている構成であり、各列において、ウェル14および区画28は互いに同一直線上にある。各列は、単一のアッセイで使用される物質およびチップを提供する。具体的には、特定の列のウェル14は、アッセイに使用される物質を含み、その特定の列の区画28は、以下に記載されるように、アッセイが実施されるチップ111を含む。容器40を収容するための凹部32および廃棄物収集チャンバ24を、別個の列に配置することができる。
【0135】
装置10は、いくつかの接続可能なモジュール要素を有することができ、各モジュール要素は、任意選択で、第1の部材および第2の部材のそれぞれの部分を有し、異なるアッセイを実施するように構成される。例えば、ウェル14及び区画28が互いに同一直線上にあり列状に配置されている場合、列はモジュール要素を実現することができる。この実施形態は、複数のウェル14を有する部材12と、チップを保持するためのコンパートメント20を有する部材16とを有する単一列の形態のモジュール要素11aを示す図14Bに示される。幾つかのそのようなモジュール要素11aを一緒に組み立てることができ、チップ111を各モジュール要素11aのコンパートメント20に導入することができる。モジュール要素11aは、さらに、容器40および廃棄物収集チャンバ24を受け入れるための凹部32を含む追加のモジュール要素11bとともに組み立てられ、図14Bの右側パネルに図示されたカートリッジ装置を形成することができる。モジュール式アプローチは、製造ラインおよび製品パイプラインに関する柔軟性をもたらすので、有利である。例えば、1つのモジュール要素11aは、タンパク質の1つのセット(例えば、CRP、IP10およびTRAIL)を検出するように作製され得、そして別のモジュラーエレメント11aは、タンパク質の別のセット(例えば、CRP、PCT、ILFLUENZA関連タンパク質およびMX1)を検出するように作製され得る。
【0136】
装置10は、任意の形状を有することができる。好ましくは、当該形状は、装置10を受け入れ、分析を実行するシステムのカートリッジホルダに対応する(図11A-11C参照)。図1A~2I、14A、および14Bは、装置10が一般に水平面に沿って多角断面で定義された形状を有する実施形態を示している。例えば、装置10は、直方体の形状、好ましくは、丸い縁部を有する形状、または、好ましくは、丸い縁部を有する幾つかの直方体の形状を有することができる(例えば、部材12及び16の各々は、丸い縁部を有する直方体として成形される)。しかし、本発明のいくつかの実施形態は、水平面に沿った丸い断面によって画定される形状を有するカートリッジ装置を企図するので、これは必ずしもそうである必要はない。これらの実施形態を図15Aおよび15Bに示す。図15Aに図示される実施形態では、装置10は、円柱の形状を有するが、装置10が扇柱の形状または他の丸い形状を有する実施形態も考えられる。
【0137】
(例えば、図15Aに図示されるように)装置10が水平面に沿った丸い断面によって規定される形状を有する実施形態では、装置10は、複数のモジュール要素から組み立てることもできる。例えば、各モジュール要素は図15Bに例示されるように、扇柱の形状を有することができる。図15Aに示す実施形態では、部材12が各々がチップ(図示せず)を保持するための複数のウェル14およびコンパートメント20を含むいくつかのモジュール要素11aから組み立てられるが、本発明のいくつかの実施形態によれば、他の配置も考えられる。
【0138】
図3A~3Kは、本発明のいくつかの実施形態による、装置10の凹部32に装填されるのに適した容器40の概略図である。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態では、容器40は平坦な底部46を有する。これらの実施形態の利点は、平坦な底部46が容器40を机などの表面上に安定して配置し得ることを確実にすることである。別の利点は、平坦な底部がラベルおよびステッカー(例えば、識別ラベルが挙げられるが、これらに限定されない)を取り付けるためのより多くの領域を提供することである。容器40は、任意選択で、好ましくは、液体(例えば、体液)を保持するための内部コンパートメント42を有する。コンパートメント42は、典型的には約5μl~約500μl、または約50μl~約350μl、または約100μl~約300μlの体積である。このような容積は、特に、被験者が子供である場合には心理的に脅威とならないと考えられるほど十分に小さいが、複数の標的物質の正確な測定を可能にするためには、依然として非常に大きい。コンパートメント42の内壁は、任意選択で、好ましくは、少なくとも部分的に抗凝固剤でコーティングされる。
【0140】
好ましくは、コンパートメント42は、液体(例えば、体液)の視界を医師に提供するために、可視光に対して透明である。コンパートメント42内の液体(例えば、体液)の推奨される最大および最小充填高さを示すために、コンパートメント42の壁に高さ基準マーク44を、任意選択で、好ましくは、設けることができる。
【0141】
容器40は好ましくは内部コンパートメント42を密封して、容器40の輸送中、および任意選択で、好ましくは、装置10の凹部32内への容器40の装填中にも、凝固、蒸発、流出、落下、および/または汚染を防止する蓋48を備える。蓋48は、必要に応じて、そして好ましくは、抗凝固剤が酸素に曝されるのを防止し、したがって、凝固の防止におけるその効力を温存する。蓋48はまた、生物学的危険への暴露を減少させるかまたは全くなしに、容器40をある場所から別の場所に運ぶことを可能にするので、有用である。蓋48はまた、遠隔地(例えば、小児病棟、老人ホーム)においていくつかのサンプルを収集することを可能にするために有用である。
【0142】
蓋48は、容器40の本体に折り畳み可能に接続またはヒンジ接続することができる。本発明のいくつかの実施形態では、蓋48は穿孔可能であり、分析のために区画42から液体(例えば、体液)のサンプルを抽出することができる。これは、例えば、コンパートメント42の上方にある蓋48の部分を穿孔可能なフィルム50の形態にすることによって達成することができる。フィルム50は、アルミニウムラミネートフォイル、プラスチックフィルム等のような任意のタイプのものであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態では、容器40がオペレータが容器40を快適に保持することを可能にする把持リブ52を備える。
【0144】
図17A~17Fは、本発明の他の実施形態における容器40の概略図である。これらの実施形態では、その上に封止要素172(例えば封止ゴム)を有する毛細管コレクタ170によって液体(この図では血液)が身体から引き出される(図17A)。容器40は、2つの凹部を有することができ、第1の凹部180は、毛細管コレクタ170を受け入れ、第2の凹部182は第1の凹部180と流体連通し、毛細管コレクタ170から引き出された液体186を第1の凹部180から受け入れるように構成される。
【0145】
液体が一度毛細管コレクタ170内に入ると、毛細管コレクタが容器40の開口174内に導入され(図17B)、密封要素172が容器の本体に係合し、開口174を密封する(図17C)。容器40は、任意選択で、好ましくは、封止フォイル178によって覆われた別の開口部176を有する。使用に際しては、チップ111を装置10の部材16から引っ張り(図17E)、要素172と接触させて要素172を穿孔する(図17D)。液体(例えば、体液)を毛細管コレクタ170から容器40の凹部に抽出するように、空気または希釈剤がチップ111から押し出される(図17D)。その後、チップ111をフォイル178と接触させてフォイル178を穿孔し、容器40から体液を吸引する(図17F)。この実施形態に適した装置10の構成の代表的な例を図18A~18Cに示す。これらの実施形態では、容器40を受け入れるための凹部32が第2の部材16に形成され、容器40が水平方向に凹部内に導入される。部材16がヒンジ止めされると、容器40はほぼ直立した配向をとり、図17D~17Fに記載される手順が実行される。
【0146】
装置10および容器40は液体(例えば、体液)を分析するためのキットとして提供され得る。キットは、装置10および容器40を同じパッケージで、またはより好ましくは別個のパッケージで含むことができる。
【0147】
キットの使用に際しては、容器40の蓋48を開き、液体(例えば、体液)を被験者から、好ましくは、直接コンパートメント42に移す。例えば、体液が血液である場合、被験者の指の血管を穿刺し、血液が血管を出てコンパートメント42に入るように、被験者の指がコンパートメント42を覆うように案内されてもよい。次に、蓋48を閉じてコンパートメント42を密封し、容器40を装置10の凹部32内に配置する。容器40が例えば、容器40上および/または凹部32内に取り付けられたスナップイン機構(図示せず)によって、その位置にぴったりと配置されたときに、好ましくは、音響指示(例えば、クリック)または機械的戻り止めが行われる。このように、容器40は、被験者から直接液体を収集し、次いで、カートリッジ装置10内にそのまま配置される。これは、最初に、例えば毛細管装置によって血液が収集され、次いで、毛細管装置から容器に移送される2段階操作を必要とする従来の血液収集装置よりも有利である。
【0148】
容器40をカートリッジ装置10とは別個の要素として有することの利点は、異なる試料タイプに対して同じカートリッジを使用することを可能にし、それによって製造上の問題を排除することである。例えば、同じタイプのカートリッジ装置10を、血清、血液、唾液などと共に使用することができる。別の利点は、液体サンプルを含まないカートリッジを冷蔵庫に保管することができ、カートリッジから液体をサンプリングするために容器40を使用することができることである。
【0149】
カートリッジ装置10および/または容器40は、使い捨て装置の技術分野で公知の任意の材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ装置10および/または容器40の構成要素のうちの少なくとも1つはポリマー材料から構築される。本実施形態に適した材料の非限定的な例としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリジメチシロキサン(PDMS)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、およびガラスが挙げられる。
【0150】
カートリッジ装置10および/または容器40またはその1つ以上のサブコンポーネントは、限定されないが、スタンピング、射出成形、エンボス加工、鋳造、ブロー成形、機械加工、溶接、超音波溶接、熱接着、および三次元印刷を含む様々な方法によって製造することができる。カートリッジ装置10および/または容器40のサブコンポーネントは、熱接着、超音波溶接、摩擦嵌合(圧入)、接着剤、または2つのコンポーネント間の自然な接着を含むが、これらに限定されない、任意の公知の技術によって互いに固定され得る
【0151】
図4~7は本発明のいくつかの実施形態による、液体(例えば、体液)を分析するためのシステム100の概略図である。システム100は、POCシステムとして使用することができる。システム100は、カートリッジ装置10などのカートリッジ装置を受け入れるように適合されたカートリッジホルダ102と、分析チャンバ106を有し、分析チャンバ106内に封入されたときに液体(例えば、体液)を分析するように構成された内部分析器システム104と、を備えるが、これに限定されない。部材12および16が互いに分離される実施形態では、システム100は、好ましくは、部材12および16の各々がシステム100に別々に装填されるように、2つのカートリッジホルダ102を備える。説明を明確にするために、図4~7は、1つのカートリッジホルダのみを示しているが、当業者には、本明細書に記載される詳細が提供されると、部材12および16の各々が別個のカートリッジホルダに装填される場合にシステム100をどのように調整するかが分かる。
【0152】
システム100はまた、使い捨てチップ111を有するピペット110を担持するロボットアームシステム108を備えてもよい。ピペット110は、当技術分野で知られているように、制御可能な空気置換ピペットとすることができ、チップ111は、ピペット110から取り外し可能とすることができる。システム100は、ロボットアームシステム108を制御して、ピペット110のチップ111が少なくともカートリッジ装置10および分析チャンバ106を連続的に訪れるように、装置10とピペット110との間の相対運動を確立するように構成されたコントローラ112をさらに備える。制御装置112は、任意選択で、好ましくは、ピペット110がウェル14および容器40またはチャンバ30を訪れる前に、装置10のコンパートメント20(図1D参照)内のチップ111の1つに接続し、ピックアップすることを確実にし、さらに、分析チャンバ106を訪れた後に、ピペット110がチップ111をコンパートメント20内に解放することを確実にする。コントローラ112はまた、任意選択で、(例えば、ピペット110内のピストン運動を制御することによって)ピペット110を制御して、チップ111内に液体を吸引し、かつ/またはチップ111から液体を分配するように構成される。コントローラ112は、任意選択で、好ましくは、データプロセッサ113から信号を受信する。必ずしもそうである必要はないが、コントローラ112とデータプロセッサ113の両方が、同じ制御ボード138上に取り付けられることが好ましい。
【0153】
システム100は、任意選択で、好ましくは、その上に情報を表示するためのディスプレイ114を備える。例えば、ディスプレイ114は、内部分析器システム104によって実行された分析の結果を表示するために、内部分析器システム104から表示命令を受信することができる。本発明のいくつかの実施形態では、システム100が例えば、識別子34(図示せず、例えば、図1Aを参照)によって、装置10上に記憶された情報を読み取るための読取装置136を備える。リーダ装置136は、装置10上の記憶装置のタイプと互換性がある。例えば、装置10がバーコードの形態の識別子を含む場合、読取装置136は光学バーコード読取装置として具現化することができ、装置10が電子チップ、例えば、RFIDチップの形態の識別子を含む場合、読取装置136は、RFID読取装置として具現化することができる。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態では、システム100は、例えば、データプロセッサ113によってアクセス可能なコンピュータ可読媒体上に記録されたプロトコルのリストからプロトコルを選択することによって、読取装置136によって読み取られた情報に基づく分析プロトコルを使用する。あるいは、プロトコルのリストが外部のコンピュータ可読媒体に記録することができ、その場合、読取り装置136によって読み取られた情報は、任意選択で、好ましくは、ネットワークを介して外部コンピュータ(図示せず)に転送され、外部コンピュータがプロトコルのリストからプロトコルを選択し、それをシステム100に転送する。システム100によって実行されるプロトコルは実施される特定のアッセイおよび実行される検出方法を含むが、これらに限定されないプロトコルを実行するためのコントローラ112への命令を含んでもよい。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態では、システム100は、磁場を印加するための磁石150を備える。磁石150は、必要に応じて永久磁石または電磁石とすることができる。磁石150は、装置10のウェル14が固体磁性キャリア上に固定化された抗体を含む1つ以上のウェルを備える場合に、特に有用である。磁石150によって生成された磁界は、次に、上でさらに詳述したように、ピペット110のチップ111内の他の構成要素から標的物質を分離するために使用することができる。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態では、チップ111内の他の構成要素から標的物質を分離するタスクの一部または全部を実行する2つ以上の磁石が存在する。
【0157】
本発明のいくつかの実施形態によるカートリッジホルダ102を示す、システム100の部分開放図が、図5Aに提供される。図示されるように、これらの実施形態では、カートリッジホルダ102が装置10を受け取ったときに、装置10の第2の部材16を自動的にヒンジ止めするためのレバーシステム116を備える。装置10の第1の部材と第2の部材とがスライド可能に接続される実施形態では、レバーシステム116は、第2の部材を第1の部材の上方に自動的にスライドさせ、第2の部材をヒンジ止めするように構成される。レバーシステム116は、好ましくは、ホルダ102による装置10の受け入れ時に自動的にコントローラ112によって制御される。本発明のある実施形態では、コントローラ112は、レバーシステム116を制御して、第2の部材16のヒンジ止めに先立って、方向118に沿って装置10を内方に引き出す。凹部120は、部材16がレベルシステム116によってヒンジ止めされた後に、その垂直位置に第2の部材16を固定するために、任意で、好ましくはまた設けられる。一旦、カートリッジ装置10がその位置にくると、制御装置112は、レバーシステム116を制御して、例えば、方向122に沿って上方および前方に装置10から離脱させることが好ましい。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態では、システム100は、加熱システム124を含む。加熱システム124は、任意のタイプのものとすることができる。加熱システムは、伝導、放射および/または対流によってカートリッジを加熱するように構成することができる。本発明のいくつかの実施形態では、加熱システムは、伝導によってカートリッジ装置を加熱する。あるいは、加熱システムは、放射または対流によって、しかし伝導なしに、カートリッジ装置を加熱する。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態では、システム124は、抵抗加熱素子128を備える。抵抗加熱が採用される場合、加熱システム124は、好ましくは装置10の下方で、それと熱的に接続する位置である。好ましくは、加熱システム124は、カートリッジ装置10がその場所に置かれると、下方からカートリッジ装置10に自動的に係合するように構成されたステージ126を備える。これは、2つ以上の仕方で行うことができる。
【0160】
例えば、一実施形態では、図5B-5Cに示され、加熱要素128を上昇させるために、カム130及びローラ132が採用される。これらの実施形態において、加熱システム124はまた、カートリッジ装置10の整列を容易にし得、この場合、カム130はまた、より良好な整列のために、基準特徴134を部材16に係合する。図5Cは、加熱システム124の分解図を示す。
【0161】
図5D~5Gに示す他の実施形態では、ステージ126は、ばね(図示せず)によって上方に付勢されるが、カム130によって下方位置に保持される。カートリッジ装置10が受け入れられると、カム130は、装置10によって押され、ステージ126を解放して上方に移動する。図5E~5Gは、カム130の運動の前(図5E)、中(図5F)、及び完了(図5G)後のステージ126の位置を図示する。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態によるロボットアームシステム108を示す、システム100の追加の部分開放図が、図6A~6Cに提供される。3つの直交するデカルト軸X、Y、およびZの動作が示されており、Zは鉛直方向に沿っている。本発明のいくつかの実施形態では、ロボットアームシステム108は、Y-Z平面内の平面経路に沿ってピペット110を移動させ、X軸に沿ってホルダ102を直線的に、任意選択で往復的に移動させるように構成される。これらの実施形態を図6Aおよび6Bに示す。本発明の代替実施形態では、ロボットアームシステム108は、ピペット110をX-Z平面内の平面経路に沿って移動させ、ホルダ102をY軸に沿って直線的に、任意選択で相互に移動させるように構成される。これらの実施形態を図6Cに図示する。いずれの場合も、ロボットアームシステム108の運動は、ピペット110のチップ111が装置10のウェル14の各々を訪れること、部材16のコンパートメント20を訪れること、分析チャンバ106を訪れること、および容器40(装置10の凹部32に装填される場合)およびチャンバ30(液体を含む場合)のうちの少なくとも1つを訪れることを可能にするように選択されることが好ましい。コンパートメント20が区画28に分割されるとき、コントローラ112は、好ましくは、ロボットアームシステム108を制御して、異なる区画から異なるピペットチップをピックアップし、それに対応して、異なる区画に異なるピペットチップを解放するように構成される。
【0163】
カートリッジ装置10が廃棄物収集チャンバ24を備える実施形態では、システム100のコントローラ112は、分析チャンバ106を訪れた後に廃棄物収集チャンバ24も訪れるようにロボットアームシステム108を制御するように構成されることが好ましい。容器40がカートリッジ装置10の凹部32内に配置される実施形態では、コントローラ112は、容器40を訪れるようにロボットアームシステム108を制御するように構成される。容器40および/またはカートリッジ装置10が穿孔可能なフィルムを含む場合、コントローラ112は、好ましくはピペット110のチップ111によってフィルムを穿孔するようにロボットアームシステム108を制御するように構成される。
【0164】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、内部分析器システム104の分解図を示す概略図である。分析チャンバ106は、好ましくは、暗チャンバであり、内部分析器システム104は、ピペットチップが暗チャンバ106内にあるときにピペットチップ111(図7には図示せず)からの化学発光信号を検出するように構成された光学分析器である。図示の実施形態では、暗チャンバ106は管状であり、管ホルダ140によって保持されている。これに限定されないが、光電子増倍管のような光検出器142は、光信号がチャンバ106から開口146を通って光検出器142に伝搬するための開口146を有する取り付け構造144によってキャンバ106の側壁に取り付けられる。シーリングリング148は、任意選択で、好ましくは、迷光が光検出器142に入るのを防止するために、開口146に導入される。
【0165】
検出感度はチャンバ106内のピペットのチップの位置の変化、特に、光学検出器142からのチップの距離の変化に伴って変化することが、本発明者らによって見出された。図8A~8Cは、いったん組み立てられた内部分析器システム104の水平面に沿った断面の概略図である。チャンバ106に導入されたピペット110のチップ111の3つの異なる水平位置も示されている。ピペット110のチップ111と光学検出器142との間の距離は、ΔXによって図8A~8Cにマークされている。図8A~8Cは、ΔXの3つの異なる値、例えば、図8Aでは約5mm、図8Bでは約10mm、図8Cでは約15mmに対応している。
【0166】
図9は、Hamamatsu Photonics K.K.から購入したPMTを使用して、本発明のいくつかの実施形態に従って行われた実験で得られた、ピペットチップが一定の水平位置で垂直に(Z方向に沿って)移動するときに検出された光信号を示すグラフである。図9の各曲線は、ΔXの異なる(一定の)値に対応し、ここで、光学検出器内のセンサからの実際の距離は、約8+ΔXmmである。約3.5の最大減衰が観察された。ET Enterprises Ltd.から購入したPMTでは、浜松PMTの検出窓がET PMTよりも小さいため、1.8というより小さい減衰が観察された。図9に示すように、チップの垂直位置は、水平位置よりも影響が小さい。また、本発明者らは、検出がY軸に沿った(光検出器142の光軸に垂直である)チップの水平位置の変動に対して感度が低いことを見出した。
【0167】
本発明者らは、チャンバ106の内部壁が少なくとも部分的に反射性コーティングによって被覆されると、チップと光検出器との間の水平距離の変動に対する感度が低下することを見出した。
【0168】
反射性コーティングは、例えば、アルミニウムフォイル(任意選択で、好ましくはその艶消し面)、紙反射性コーティング、金属反射性コーティングとすることができる。反射性コーティングは、熱配置または蒸気配置、めっきなどを含むが、これらに限定されない、当技術分野で知られている任意の技法によって、チャンバ106の内壁上に堆積させることができる。反射性コーティングは、フォイルまたはリーフの形態であってもよい。反射性コーティングは、任意選択で、好ましくは、塗布後に研磨されてもよく、または研磨を必要とせずに高度の反射を生じるように塗布されてもよい。保護層は、任意選択で、好ましくは、反射性コーティングを覆うように形成または堆積されてもよい。一例において、保護酸化物誘電体コーティングは、例えば、シリコン製造プロセスにおいて不動態化層を形成するために通常採用される技術を使用して形成されてもよい。酸化物は、下にある反射性コーティングに環境的保護を提供することができる。酸化物は、追加的または代替的に、フィルタとして機能し、他の波長または波長範囲の反射を低減または排除しながら、特定の規定された波長または波長範囲の反射を確実にすることができる。したがって、関心のない波長を有利に抑制することができる。
【0169】
図10は、アルミニウムフォイルの艶消し面(図10において「MattAllie」と示される)反射性コーティング、紙反射性コーティング、および反射性コーティングなし(基準)を用いて、本発明のいくつかの実施形態に従って実施される実験中に得られる、ΔXの関数としての強度減衰を示すグラフであり、光学検出器内のセンサからの実際の距離が約8+ΔXmmである。図示されるように、強度曲線は、反射性コーティングがない場合よりも、反射性コーティングがある場合の方が、かなり浅くなっている。感度はこれらの曲線の勾配に正比例するので、図10は、反射性コーティングの使用がロボットアームシステム108に要求される位置精度を低下させることを例証する。
【0170】
暗チャンバ106は、任意の形状または形態を有することができるが、光検出器142に向かって反射を増強する特定の形状が好ましい。好ましくは、暗チャンバ106の内部がピペットチップ内の反応によって生成された光子の少なくとも一部を光検出器142に向けて反射するか、さもなければ方向付けることができる物理的形態を有する。このような反射は、暗チャンバ106の内壁として1つ以上の凹状内面を使用して達成することができる。少なくともいくつかの例では、凹状内面は、例えば図7に示すように、ほぼ楕円形または円柱形とすることができる。暗チャンバ106の内壁がほぼ球形または半球形である実施形態も考えられる。
【0171】
次に、システム100の代表的な動作手順を、図11A-11Cを参照して説明する。アッセイを実施するための物質で満たされたウェルを有し、ヒンジ止めされた第2の部材16のコンパートメント20内に滅菌使い捨てチップが配置され、凹部32内に容器40が配置されたカートリッジ装置10は、オペレータ160によってホルダ102(図11A)に導入され、容器40は、液体(例えば、体液)を既に収容している。あるいは、凹部32内の容器40の代わりに、チャンバ30は、上記でさらに詳述したように、液体(例えば、体液)を含むことができる。さらに代替的に、装置10には、1つのタイプの液体を容器40内に、別のタイプの液体をチャンバ30内に、2つのタイプの液体を装填することができる。非限定的な例は、毛細管血液サンプルが容器40に導入され、次いで、これが装置10の凹部32に装填されて宿主(患者)タンパク質の測定を可能にし、鼻粘液サンプル(鼻腔スワブによって収集される)が同じ装置10のチャンバ30に導入されて、微生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌)関連タンパク質(例えば、インフルエンザウイルスの赤血球凝集素およびノイラミニダーゼ)の存在、非存在、またはレベルの測定を可能にするシナリオを含む。この特定の例示的な実施形態では、装置10は、潜在的な感染に対する宿主応答を監視するためおよび疾患を引き起こす物質の存在を検出または定量化するための両方に使用される。ウェルは、固体磁性キャリアに固定化された抗体、標識抗体、および洗浄緩衝液を含み得る。
【0172】
次に、カートリッジ装置10は、カートリッジ装置10が適切に挿入されたことを示すために音響表示(例えば、クリック)または機械的戻り止めが行われるまで、任意選択で、好ましくは、システム100(図11B)内に前方に押される。レバーシステム116(図示せず、図5A参照)は、カートリッジ装置10をさらに内側に引き込み、装置10の第2の部材16(図11A~11Cに図示せず、図5A~5B参照)をヒンジ止めする。加熱システム124は、上でさらに詳述したように、装置10の底部と係合する。
【0173】
任意選択で、ロボットアームは、ロボットアームマンドレルを容器内のチップの1つへと駆動することによって、チップの容器からチップの1つを拾い上げ、これによって、摩擦によってチップが膨張し、ロボットアームに取り付けられる。次いで、ロボットアームは、障害物なしで容器を離れるようにチップを操縦する。
【0174】
任意選択で、識別子34上の情報(図示せず)は、読取り装置136によって読み取られる。コントローラ112は、ピペット110がコンパートメント20を訪れ、コンパートメント20内の新しいチップの1つに接続するように、装置10とピペット110との間の相対運動を確立する(図11A~11Cには示さず、図1A、1B、1D、5A、および5Bを参照)。次いで、コントローラ112は、装置10とピペット110との間の相対運動を確立し、その結果、ピペット110は容器40またはチャンバ30およびそれぞれのウェルを訪れることによって、液体(容器40から、またはチャンバ30からのいずれか)、ならびに固体磁性キャリアに固定化された抗体を、チップ111内に吸引する。コントローラ112はまた、ピペット110がそれぞれのウェルから洗浄緩衝液をチップ111内に吸引することを確実にし、チップ111が磁石150(図示せず、図4参照)に近接するようにピペット110を移動させる。磁石150によって生成された磁界は、固体磁性キャリアを分離し、それによって、ピペット110のチップ111内の他の構成要素からも標的物質を分離し、固体磁性キャリアは、ピペット110のチップ111の側壁に集まる。固体磁性キャリアが側壁にある間、コントローラ112は、ピペット110に、磁性キャリアに固定化されていない任意の成分を含むチップ111から洗浄緩衝液を装置10の廃棄物収集チャンバ内に放出させる。
【0175】
本発明のいくつかの実施形態によれば、2つの磁石を使用して、他の材料からの標的物質の分離を達成することができる。1つの磁石が固体キャリアをチップの壁部に引きつけるために使用され得、次いで、別の磁石が、磁場を変化させるために使用され得、その結果、ピペットが廃棄材料を放出している場合、標的物質は固体キャリアを引きつけるために使用される磁場で達成可能な効果よりも大きい効果をもって保持される。
【0176】
次いで、コントローラ112は、ピペット110に、それぞれのウェルから標識された抗体をチップ111内に吸引させる。標識抗体は、磁性担体上の標的物質に結合する。次に、制御装置112は、任意選択で、好ましくは、阻害溶液によるチップ111の外壁への接触のために、阻害溶液を含むウェル内にピペット110のチップ111を移動させることができる。阻害溶液は、好ましくは、チップに入らない。これは、阻害溶液をチップ111内に吸引するようにピペット110を操作しないことによって確実にすることができる。
【0177】
コントローラ112は、ピペット110のチップ111を内部分析器システム104による分析用にチャンバ106に移動させ、内部分析器システム104は、任意選択で、好ましくは、分析にプロセッサ113を使用する。例えば、プロセッサ113はシステム104の光検出器から信号を受信し、信号の強度に基づいて、液体(例えば、体液)中の標的物質の存在、不在、またはレベルを決定することができる。
【0178】
チップ111の外壁が阻害溶液と接触すると、チップ111の外壁は、好ましくは当該接触の直後にチャンバ106に入る。驚くべきことに、本発明者らは、このような手順が非特異的酵素活性の可能性を有意に減少させることを見出した。
【0179】
分析が完了すると、制御装置112は、ピペット110のチップ111が装置10のヒンジ止めされた第2の部材16(図11A~11Cには図示せず、図1A図1D図5Aおよび図5B参照)のコンパートメント20に入るまで、装置10とピペット110との間の相対運動を確立する。コントローラ112は、ピペット110のチップ111をコンパートメント20内に解放する。
【0180】
任意選択で、本発明のいくつかの実施形態では、チップがコンパートメント20内の指定された位置に配置された後、チップは、ロボットによって解放され、次いで、チップの幅より狭いがロボットアームマンドレルの幅より広い、固定されたまたは移動する機械的フォーク状構造のいずれかを通って上方に移動する。次いで、チップをマンドレルから強制的に離し、次いで、ロボットアームが機械的フォーク状構造体を通して運動を続けるとき、チップを離す。
【0181】
コントローラ112は、任意選択で、好ましくは、ロボットアーム108に、コンパートメント20から別の新しいピペットチップをピックアップさせ、同じカートリッジの別の組のウェルを用いて上記の動作プロトコルを繰り返すことによって別のアッセイを実施させる。プロセッサ113は、実施されたアッセイのうちの1つまたは複数から得られた結果を表示するようにディスプレイ114に命令することができる。
【0182】
システムは、任意選択で、好ましくは、カートリッジをシステムに装填する必要があるときおよびカートリッジが装置から排出されるときに開かれるドア機構を有する。他の全ての時間において、ドアは閉じられ、これにより、オペレータが分析器の内部構成要素にアクセスすることを防止する。
【0183】
本発明のいくつかの実施形態では、装置10およびシステム100は、較正および試験手順を受ける。カートリッジ装置10およびシステム100を試験するための較正液および補助液は、ドロッパ内に保管され、ピペットの使用を回避するために、ドロップと共にカートリッジ装置10内に入れられる。較正液体を有するバイアルは、ノズルを有するバイアル内に貯蔵することができる。オペレータは、バイアルノズルをサンプルチャンバ30内に傾け、所定数の液滴をサンプルチャンバ30内に加えることができる。本発明者らは、これにより、較正流体をサンプルウェルに分配する際の気泡形成の可能性が減少することを見出した。
【0184】
システム100は、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、ここで、X、YおよびZの各々は約75~約125、例えば、約100である。本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、X、Y、およびZの各々は、約35~約65、例えば、約50である。本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、X、Y、およびZの各々は、約16から約30、例えば、約23である。本システムは、いくつかの実施形態によれば、Xcm×Ycm×Zcmの寸法を有し、XおよびYの各々は、約20~約26、例えば約23であり、Zは、約26~約34、例えば約30である。
【0185】
本明細書で使用される「約」という用語は、±10%を指す。
【0186】
本明細書において、用語「例示的」は、「例、一例、または例示として提供する」ことを意味する。「例示的」であるとして説明されるどの実施形態も、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、かつ/または他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものでもない。
【0187】
ここで、「任意選択で」という用語は「一部の実施形態で提供され、他の実施形態では提供されない」という意味で用いられる。本発明のどの特定の実施形態も、そのような特徴が相反しない限り、複数の「任意選択の」特徴を含んでもよい。
【0188】
用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、およびそれらの活用形は、「含むが、これに限定されない」を意味する。
【0189】
用語「からなる」は「含み、限定される」を意味する。
【0190】
「から本質的になる」という用語は組成物、方法または構造が追加の成分、工程および/または部品を含んでもよいが、追加の成分、工程および/または部品が特許請求される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0191】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数であることを含む。例えば、「化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含むことができる。
【0192】
本出願を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲の形式で提示されてもよい。範囲の形式での説明は単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能な部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6などを具体的に開示した部分範囲を有すると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0193】
数値範囲が本明細書で示されるときは、常にそれは、示された範囲内の任意の引用された数字(少数または整数)を含むことを意味する。語句、第1の指示数および第2の指示数の「間の範囲の/範囲に亘る」、第1の指示数「から」第2の指示数「まで」の「間の範囲の/範囲に亘る」、は、本明細書では互換的に使用され、第1の指示数および第2の指示数、ならびにそれらの間のすべての小数および整数を含むことを意味する。
【0194】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の適切な部分的な組み合わせで、または本発明の任意の他の説明された実施形態に適したものとして提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0195】
[付記]
本明細書中に提示されるタンパク質名は、例として与えられていることが理解される。多くの代替名、エイリアス、修飾、アイソフォームおよびバリエーションは、当業者に明らかである。従って、全ての代替的なタンパク質名、エイリアス、修飾アイソフォームおよびバリエーションを包含することが意図される。
【0196】
遺伝子産物は、国際ヒトゲノム機構命名委員会(HGNC)によって割り当てられ、Entrez Geneとしても知られる米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)ウェブサイトで、本願出願日に列挙された公式文字略号または遺伝子記号に基づいて同定される。
【0197】
TRAIL:この遺伝子によって符号化されるタンパク質、TNF Related Apoptosis Inducing Ligand(TRAIL)は、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドファミリーに属するサイトカインである。遺伝子のさらなる名称には、APO2L、TNF関連アポトーシス誘導リガンド、TNFSF10およびCD253が含まれるが、これらに限定されるものではない。TRAILは膜結合型および可溶型で存在し、その両方が、形質転換された腫瘍細胞のような異なる細胞においてアポトーシスを誘導し得る。このタンパク質は、TNFRSF10A/TRAILR1、NFRSF10B/TRAILR2、NFRSF10C/TRAILR3、TNFRSF10D/TRAILR4などのTNF受容体スーパーファミリーのいくつかのメンバーに結合し、おそらくNFRSF11B/OPGにも結合する。この蛋白質の活性は、アポトーシスを誘導できないNFRSF10C/TRAILR3、TNFRSF10D/TRAILR4、およびNFRSF11B/OPGなどのおとり受容体に結合することによって調節され得る。このタンパク質がその受容体に結合すると、MAPK8/JNK、カスパーゼ8、カスパーゼ3の活性化が引き起こされることが示されている。この遺伝子については、異なるアイソフォームを符号化する選択的スプライシングを受けた転写バリアントが見つかっている。TRAILは、細胞表面からタンパク質分解的に切断されて、ホモトリマー構造を有する可溶性形態を生成し得る。
【0198】
いくつかの実施形態によれば、ウェル14の少なくとも1つは、TRAILの可溶性(すなわち、分泌された)形態と結合する抗体を含む。
【0199】
いくつかの実施形態によれば、ウェル14の少なくとも1つは、TRAILの膜形態と結合する抗体を含む。
【0200】
いくつかの実施形態によれば、ウェル14のうちの少なくとも1つはTRAILの膜形態と結合する抗体を含み、ウェル14のうちの少なくとも1つはTRAILの分泌形態と結合する抗体を含む。
【0201】
IP10:この遺伝子は、CXCサブファミリーのケモカインと受容体CXCR3のリガンドを符号化している。このタンパク質がCXCR3に結合すると、単球の刺激、ナチュラルキラーおよびT細胞の遊走、接着分子発現の調節などの多面的作用が生じる。遺伝子のさらなる名称には、限定されるものではないが、IP-10、CXCL10、Gamma-IP10、INP10およびケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド10が含まれる。
【0202】
CRP:C反応性タンパク質;CRPのさらなるエイリアスにはRP11-419N10.4およびPTX1が含まれるが、これらに限定されない。この遺伝子によって符号化されるタンパク質はペンタキシンファミリーに属する。宿主の外来性病原体や損傷細胞を認識し、血液中の液性・細胞性エフェクター系と相互作用することによりその排除を開始する能力に基づいて、いくつかの宿主防御関連機能に関与している。その結果、血漿中のこのタンパク質のレベルは、組織損傷、感染、または他の炎症性刺激に対する急性期反応の間に大きく増加する。CRPは宿主防御に関連するいくつかの機能を示す:凝集、細菌の莢膜膨化、食作用およびホスホリルコリンへのカルシウム依存性結合を介した補体結合を促進する。
【0203】
IL1RA:この遺伝子によって符号化されるタンパク質は、インターロイキン1受容体ファミリーに属するサイトカイン受容体である。このタンパク質は、インターロイキンα(IL1A)、インターロイキンβ(IL1B)、およびインターロイキン1受容体であるI型(IL1R1/IL1RA)の受容体である。多くのサイトカイン誘導性の免疫・炎症反応に関与する重要なメディエーターである。遺伝子のさらなる名称にはCD121A、IL-1RT1、p80、CD121a抗原、CD121A、IL1RおよびIL1raが含まれるが、これらに限定されない。
【0204】
PCT:プロカルシトニン(PCT)は、ホルモンカルシトニンのペプチド前駆体であり、後者は、カルシウムホメオスタシスに関与する。プロカルシトニン(「pCT」)は、116アミノ酸からなり、分子量約13,000ダルトンを有するタンパク質であり、正常な代謝条件下で甲状腺のC細胞によって産生および分泌されるカルシトニンのプロホルモンである。pCTおよびカルシトニン合成は、141アミノ酸を含む前駆体ペプチドであるプレプロカルシトニン(「pre-pCT」)の翻訳によって開始される。ヒトpre-pCTのアミノ酸配列は、Moullec等による、FEBS Letters,167:93-97 in 1984に記載されている。pCTは、シグナルペプチド(pre-pCTの最初の25アミノ酸)の切断後に形成される。
【0205】
SAA:アポリポ蛋白質の血清アミロイドAファミリーのメンバーを符号化する。符号化されたタンパク質は、炎症や組織傷害に応答して高度に発現する主要な急性期タンパク質である。この蛋白質はHDL代謝やコレステロール恒常性においても重要な役割を果たしている。この蛋白質の高レベルは、アテローム性動脈硬化症、慢性関節リウマチ、アルツハイマー病およびクローン病を含む慢性炎症性疾患と関連している。この蛋白質は、ある種の腫瘍に対する潜在的なバイオマーカーである可能性もある。選択的スプライシングの結果、同じタンパク質をコードする複数の転写バリアントが生じる。
【0206】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内にある、そのような代替、修正、および変形のすべてを包含することが意図される。
【0207】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを自認するものとして解釈されるべきではない。節の見出しが使用される限りにおいて、それらは必ずしも限定するものと解釈されるべきではない。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3-1】
図3-2】
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