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特許7403466ボックスガーダ、特にクレーンガーダ、およびこれを備えたクレーンならびにその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】ボックスガーダ、特にクレーンガーダ、およびこれを備えたクレーンならびにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 6/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
B66C6/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020556754
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019060012
(87)【国際公開番号】W WO2019202043
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】20185367
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】518004082
【氏名又は名称】コネクレーンズ グローバル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100220696
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ペイッポ ユハ
(72)【発明者】
【氏名】カリオコスキ キルシ
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1289835(KR,B1)
【文献】実開昭49-125466(JP,U)
【文献】独国特許発明第00897750(DE,C)
【文献】特表2015-511567(JP,A)
【文献】仏国特許発明第01046827(FR,A)
【文献】実開平03-009385(JP,U)
【文献】特公昭32-008136(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を置いて配置された2つの側板(2a、2b)と、前記2つの側板(2a、2b)を互いに接続し、クレーントロリの車輪(6)のための走行面を提供する少なくとも1つの弦板(2c、2d)と、前記側板(2a、2b)の間に配置され、前記側板(2a、2b)を相互に接続する少なくとも1つの横板(5)とを有し、前記少なくとも1つの弦板(2c、2d)と前記側板(2a、2b)との間に溶接接合部が設けられているボックスガーダ(1)形のクレーンガーダにおいて、
少なくとも1つの形状適合接続が、前記横板(5)と前記2つの側板(2a、2b)のそれぞれとの間に設けられ、
前記少なくとも1つの形状適合接続を形成するために、前記横板(5)の差込部分(5ab、5ac)が、前記側板(2a,2b)の対応する受容開口部(2e、2f)によって受けられ、各受容開口部(2e、2f)が、それぞれの前記差込部分(5ab、5ac)に対して実質的に相補的な形状を有し、
前記横板(5)は、
前記2つの側板(2a、2b)のそれぞれとの間に設けられ、前記2つの側板(2a、2b)に差し込まれる第1の差込部分(5ab)と、
前記2つの側板(2a、2b)のそれぞれとの間に設けられ、前記2つの側板(2a、2b)に差し込まれる第2の差込部分(5ab)を含み、
前記第2の差込部分(5ab)は、前記第1の差込部分(5ab)よりも横方向に延伸し、前記2つの側板(2a、2b)を貫通して突出していることを特徴とする
クレーンガーダ。
【請求項2】
少なくとも1つの形状適合接続が、前記横板(5)と前記弦板(2c)との間にも設けられていることを特徴とする
請求項1に記載のクレーンガーダ。
【請求項3】
前記横板(5)と前記弦板(2c)との間に設けられた前記少なくとも1つの形状適合接続が、差込接続であることを特徴とする
請求項2に記載のクレーンガーダ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの形状適合接続を形成するために、前記横板(5)の差込部分(5ab、5ac)が、前記側板(2a,2b)および/または前記少なくとも1つの弦板(2c)のそれぞれの対応する受容開口部(2e、2f)によって受けられ、各受容開口部(2e、2f)が、それぞれの前記差込部分(5ab、5ac)に対して実質的に相補的な形状を有する
請求項1~3のいずれか一項に記載のクレーンガーダ。
【請求項5】
前記差込部分(5ab、5ac)が、前記横板(5)の外縁部の突出部として形成されることを特徴とする
請求項1~4のいずれか一項に記載のクレーンガーダ。
【請求項6】
前記差込部分(5ab)の少なくとも1つが、前記対応する受容開口部(2e)を通って延伸する支持要素(5b)を形成するように設計されており、クレーン機器要素が、前記支持要素(5b)に取り付け可能であるように構成されていることを特徴とする
請求項1~5のいずれか一項に記載のクレーンガーダ。
【請求項7】
前記クレーン機器要素が、電力供給線および/または職員用のプラットフォームであることを特徴とする
請求項6に記載のクレーンガーダ。
【請求項8】
前記形状適合接続に加えて、さらなる力伝達接続が、前記横板(5)と前記側板(2a、2b)のそれぞれとの間、および/または、前記横板(5)と前記少なくとも1つの弦板(2c)との間に提供されることを特徴とする
請求項1~7のいずれか一項に記載のクレーンガーダ。
【請求項9】
前記さらなる力伝達接続が、隅肉溶接またはプラグ溶接タイプの溶接接合部であることを特徴とする
請求項8に記載のクレーンガーダ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のボックスガーダ(1)形のクレーンガーダと、前記ボックスガーダ(1)に配置された吊り上げ装置とを有する
クレーン。
【請求項11】
前記吊り上げ装置が、前記ボックスガーダ(1)に沿って、その上弦(3)または下弦(4)をクレーントロリにより移動可能であることを特徴とする
請求項10に記載のクレーン。
【請求項12】
互いに間隔を置いて配置された2つの側板(2a、2b)と、前記2つの側板(2a、2b)を互いに接続し、クレーントロリの車輪(6)のための走行面を提供する少なくとも1つの弦板(2c、2d)と、前記側板(2a、2b)の間に配置され、前記側板(2a、2b)を相互に接続する少なくとも1つの横板(5)とを有し、前記少なくとも1つの弦板(2c、2d)と前記側板(2a、2b)との間に溶接接合部が形成されているボックスガーダ(1)形のクレーンガーダの製造方法において、
前記少なくとも1つの弦板(2c、2d)と前記側板(2a、2b)との間の前記溶接接合部が形成される前に、少なくとも1つの形状適合接続が、前記横板(5)と前記2つの側板(2a、2b)のそれぞれとの間に形成され、
前記横板(5)の差込部分(5ab、5ac)を前記側板(2a,2b)の対応する受容開口部(2e、2f)に差し込むことによって前記少なくとも1つの形状適合接続が形成され、各受容開口部(2e、2f)が、それぞれの前記差込部分(5ab、5ac)に対して実質的に相補的な形状を有し、
前記横板(5)は、
前記2つの側板(2a、2b)のそれぞれとの間に設けられ、前記2つの側板(2a、2b)に差し込まれる第1の差込部分(5ab)と、
前記2つの側板(2a、2b)のそれぞれとの間に設けられ、前記2つの側板(2a、2b)に差し込まれる第2の差込部分(5ab)を含み、
前記第2の差込部分(5ab)は、前記第1の差込部分(5ab)よりも横方向に延伸し、前記2つの側板(2a、2b)を貫通して突出していることを特徴とする
製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの弦板(2c、2d)と前記側板(2a、2b)との間に前記溶接接合部が形成される前に、少なくとも1つの形状適合接続が、前記横板(5)と前記弦板(2c)との間にも形成される
請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの形状適合接続が、前記横板(5)の差込部分(5ab、5ac)を前記側板(2a、2b)および/または前記少なくとも1つの弦板(2c、2d)の対応する受容開口部(2e、2f)に差し込むことによって形成され、各受容開口部(2e、2f)が、前記差込部分(5ab、5ac)に対して実質的に相補的な形状を有することを特徴とする
請求項12または13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記形状適合接続に加えて、さらなる力伝達接続が、前記横板(5)と前記側板(2a、2b)との間、および/または、前記横板(5)と前記少なくとも1つの弦板(2c)との間に形成されることを特徴とする
請求項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記さらなる力伝達接続が、隅肉溶接またはプラグ溶接タイプの溶接接合部であることを特徴とする
請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部によるボックスガーダ、特にクレーンガーダ、これを備えたクレーン、ならびに請求項9の前提部による製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、そのようなボックスガーダは、中空空間を囲むボックス形の断面形状を有する。断面とは、ガーダの長手方向延伸を横切る断面を指す。断面形状は通常、互いに溶接されている3つまたは4つのプレートにより画定され、これにより3つのプレートから中空空間の三角形の断面形状が、そして4つのプレートから四角形、特に長方形または台形の中空空間の断面形状が得られる。
【0003】
中空空間の長方形の断面形状の場合、4つのプレートは、例えば次の通りとなる。水平面に延在し上弦(上弦板)として機能する1つの第1弦板、互いに平行に延在し、上弦板に対して長方形である2つの側板、ならびに上弦板の下方の水平面で延在し、下弦(下弦板)として機能する第2弦板である。また、すべてのプレートは、ボックスガーダの長手方向延伸と平行に延伸している。
【0004】
いわゆる溶接ビームタイプのそのようなボックスガーダは、特にクレーン用のメインガーダ(クレーンガーダ)として使用され、ガーダは、吊り上げ装置を有するクレーントロリを支持するように構成される。クレーントロリは、ガーダの長手方向延伸に沿って吊り上げ装置と共に移動可能である。この目的のために、クレーントロリの車輪のための走行面がそのようなガーダ、特に少なくとも1つの弦の1つに設けられている。
【0005】
このようなボックスガーダを製造する場合、隣接する弦板と側板は、例えば隅肉溶接を使用して対で溶接する必要がある。ドイツ特許第10036366号明細書に記載されているように、これは溶接工程の前にプレートの正確な位置決めおよび位置合わせを必要とする。多くの場合は数メートルの長さを有する側板および弦の位置合わせの目的で、横板が使用されている。横隔壁またはダイアフラムとも呼ばれ得る前記横板は、横方向に、ボックスガーダの長手方向延伸に対して直角に延伸する。横板の縁部は、弦と側板の内側に配置され、それらに溶接される。通常、複数の横板が、ボックスガーダの長手方向延伸に沿って互いに間隔を置いて配置される。特に、横板はボックスガーダを補強する役割も果たす。
【0006】
位置決めと位置合わせの間、プレートは通常、隅肉溶接による最終溶接の前に仮付けまたはスポット溶接される。仮付けまたはスポット溶接されることにより、プレートは、細長い溶接シームを形成することなく、スポット的におよび表面的に互いに接続される。位置決めおよび位置合わせ、ならびに仮付け/スポット溶接の準備のために、横板の位置のマーキングが行われる。すなわち、弦および側板の内側面にマーキング線が作成される。マーキングは、例えばプレートの切断時に、手動または自動で行うことができる。ただし、いずれの場合も、位置決めおよび位置合わせ、特にマーキングと仮付け/スポット溶接は、ボックスガーダ全体の製造時間のかなりの部分を占めるため、非常に時間がかかり、コストがかかる。さらに、最終溶接時には、プレートが内側で溶接されるため、最終溶接シームが仮付け/スポット溶接を覆う。これにより、溶接シームの品質が低下し得る。さらに、ボックスガーダの内側での溶接時の到達可能性は、ボックスガーダの中空スペース内で困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ドイツ特許第10036366号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑み本発明の目的は、ボックスガーダ、特にクレーンガーダの製造を容易にし、したがって、そのようなクレーンガーダを有するクレーンの製造も容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を含むボックスガーダおよび請求項9の特徴を含む製造方法によって達成される。従属請求項および以下の明細書は、本発明の有利な実施形態を説明している。
【0010】
本発明によれば、ボックスガーダ、特にクレーンガーダは、互いに間隔を置いて配置された2つの側板と、2つの側板を互いに接続する少なくとも1つの弦板と、側板間に配置された側板を相互に接続し、横隔壁またはダイアフラムとして機能する少なくとも1つの横板とを有することができ、それぞれの弦板と側板との間に溶接接合部が設けられている。特に、溶接接合部の溶接シームは隅肉溶接として設計されることができる。本発明により、少なくとも1つの形状適合接続、特に差込接続が、横板と2つの側板のそれぞれとの間に設けられるという点で、そのようなボックスガーダの製造を改善および容易にすることが提案される。
【0011】
これにより、実際のボックスガーダの製造に使用される最終溶接工程に関して、ボックスガーダのそれぞれのプレートを事前に組み立てることが特に容易になる。好ましくは、プレートは、平坦な形状を有し、好ましくは曲がった縁のない金属板プレートである。換言すると、横板は、湾曲した縁部のない平坦な形状のために、この平面を超えて延伸することなく、プレートの厚さによって画定される平面内で延伸する。事前組み立て時のプレートの相互の位置合わせは、形状適合接続の非常に正確な位置によって決定される。したがって、プレートの位置合わせおよび/または位置決めは、直接行われ、形状適合接続が行われる。したがって、上述の従来技術と比較して、所望の位置合わせおよび対応する位置決めのための時間のかかるプレートのマーキングがもはや不要になることが、有利に達成される。このためのツールも省略されることが可能である。さらに、最終的な溶接工程が完了するまで、一度位置合わせされたプレートを目的の位置に維持するための補助的な仮付けまたはスポット溶接が不要になる。
【0012】
好ましくは、互いに離間し、それぞれが横方向にボックスガーダの長手方向延伸に対して直角に延びる複数の横板が、所定の位置に、ボックスガーダの長手方向延伸に沿って高精度で設けられる。1つのガーダに使用される横板は、それぞれ異なっていてもよいが、同一の設計で、同じ方法で両方の側板に取り付けられてもよい。少なくとも1つの横板について以下の例で全体として説明される他の詳細も、複数の横板が提供される場合、ボックスガーダのいくつかの、またはすべての横板で実現されることが好ましい。
【0013】
それぞれの側板とそれぞれの弦板との間に溶接接合部を設けるためには、対をなして隣接するプレートの外側、すなわちそれぞれの側板の外側とそれぞれの弦板の外側だけが、溶接シームによって溶接され、接続されることで十分であり得る。2つの弦板、すなわち1つの上弦板と1つの下弦板が設けられる場合、側板は上弦板と下弦板の両方に対応して溶接される。ボックスガーダの外側、特にその弦および側板の外側にあるこのような溶接シームの配置により、溶接される領域の良好で製造に適した到達可能性が有利な方法でもたらされ、これにより、特にロボットによる自動化された方法で溶接を行うことができる。さらに、ボックスガーダの外側にのみこのような溶接シームを配置することで、側板を互いに近づけて配置でき、これにより各側板の横に、および横方向に突出する弦板の上方に、より多くのスペースを確保でき、このスペースは、クレーントロリの車輪およびボックスガーダの中空空間の外側に配置する必要があるその他のクレーン構成部品のために使用され得る。
【0014】
形状適合接続のもう1つの利点は、ボックスガーダの事前組み立て時と最終生産/溶接時の両方で、ボックスガーダ内の溶接工程と溶接シームの数を削減または排除できることである。これは特に、それぞれの横板と側板または弦板の内側との間に以前は必要であった溶接接合部に該当する。
【0015】
当然、ボックスガーダの外側の前述の溶接シームに加えて、さらなる溶接シームを設けることもできる。基本的に、この場合、隣接するすべてのプレート、特に側板および/または弦板と横板を共に溶接できる。
【0016】
少なくとも1つの弦板は、側板の機械的接続のためだけでなく、特にクレーントロリのための走行面を提供するために提供される。走行面は、弦板自体が走行面を形成している場合は直接的に、または追加のレールがそれぞれの弦板に取り付けられている場合は間接的に設けられることができる。ボックスガーダの囲まれた中空空間が三角形の断面を有するように1つの弦板のみを設けることも可能であり、ここで側板は、水平方向に延伸する上弦板または下弦板に対して斜めに位置合わせされる。上弦および下弦を形成するために2つの弦板が提供されている場合、ボックスガーダ、特にボックスガーダによって囲まれる中空空間は、通常は四角形、特に長方形の断面を有し、弦板は水平に延伸し、側板はそれに対して直角に延伸する。しかしながら、断面は台形であってもよい。
【0017】
加えて、少なくとも1つの形状適合接続、特に差込接続が、横板と弦板との間に設けられることも可能である。1つの上弦と1つの下弦を形成するために2つの弦板が提供されている場合、両方の弦板とそれぞれの横板との間に少なくとも1つの形状適合接続が提供されているか、または少なくとも1つの形状適合接続は、2つの弦板の1つとそれぞれの横板との間でのみ提供されることが可能である。引張応力にさらされるガーダのプレート、特に弦板の疲労強度および耐久性を向上させるために、対応する溶接対象のプレート間の形状適合接続を省略することができる。これは例えば、吊り下げクレーントロリ用途の場合に横板と下弦板との間の接続に該当する。これにクレーントロリが吊り下げられて、ボックスガーダの長手方向延伸に沿って下弦またはそこに形成された走行面を移動する。
【0018】
構造的に単純な方法で、それぞれの形状適合接続を形成するために、横板の差込部分が、それぞれの側板および/またはそれぞれの弦板の対応する受容開口部によって受け入れられるようにすることができ、各受容開口部は、それぞれの差込部分に対して、特に差込部分の断面に対して実質的に相補的な形状を有する。したがって、弦板または側板のそれぞれの受容開口部は、差込部分と共に、同時に位置決め補助および固定補助として機能し、最終的な溶接工程のために、それぞれのプレートを所望の位置に形状適合させる方法で維持する。そのため、受容開口部は、組立溝または調整凹部として指定されることもでき、差込部分は、組立要素としても指定され得る。
【0019】
横板とそれぞれの側板または弦板との間に複数の形状適合接続を実施する場合は、各側板または弦板に複数の受容開口部が設けられる。その場合、横板はこれに対応して多数の対応する差込部分を有する。
【0020】
好ましくは、受容開口部は貫通孔として設計されるが、止まり孔として設計されることもできる。貫通孔として設計された受容開口部は、打抜き、または例えばレーザ切断などの工程によって、特に有利な方法で製造されることができる。これは、例えば、受容開口部の製造をプレート全体の製造に適切に組み込むことができるため、例えば、プレートの外側輪郭もそのような工程を使用して製造される場合に特に有利である。
貫通孔および止まり孔の両方について、受容開口部は、好ましくは長孔形状、特に、平行な長手方向側面と対応する縁部と、それぞれの受容開口部の丸い端部および対応する縁部を形成し得る狭い側面とを有する。これは、各受容開口部に該当することが好ましいが、各形状適合接続に異なる構成も、特に、止まり孔形状の受容開口部も可能である。例えば、横板を側板に取り付けるための受容開口部は、横板を弦板に取り付けるための受容開口部と異なってもよい。
【0021】
貫通孔の場合、それぞれの差込部分には、それぞれのプレートから、またはその外側から到達できる。この場合、それぞれの差込部分は、対応する受容開口部の中に挿入されるだけでなく、この中を貫通することもでき、これにより部分的にそれぞれのプレートの外側を越えて延伸する。その結果、横板は、少なくとも部分的に、つまりそれぞれの差込部分が、ボックスガーダの長手方向延伸に対して横方向に、側板および弦板で囲まれたボックスガーダの内部中空空間から突出する。この場合、前記横板、特にその差込部分を対応する側板に接続する上述のさらなる溶接シームは、隅肉溶接タイプであることが考えられる。これらの溶接シームは、ボックスガーダの外側にも配置され得る。したがって、溶接される領域の上述の製造に適した到達可能性も達成され、それにより、溶接は自動化されて、特にロボットによって実行することもできる。
【0022】
当然、それぞれの差込部分が、対応する受容開口部を貫通して突出するのではなく、受容開口部内および最大でも対応するプレートの外側にのみ突出する貫通孔が提供されることも可能である。この場合、前記横板、特にその差込部分を対応する側板に接続する上述のさらなる溶接シームは、プラグ溶接タイプであることが考えられる。次に、対応する差込部分が突出するそれぞれの受容開口部内にプラグ溶接が提供され、プラグ溶接は好ましくは、差込部分を受容開口部の縁部に接続する。これらのプラグ溶接の領域には、ボックスガーダの外側からも到達できるため、プラグ溶接に関しても上記の製造上の配慮が適用され、溶接は自動化されて、特にロボットによって実行することもできる。
【0023】
製造をさらに容易にするために、差込部分が、横板の外縁部の突出部として、特に横板の長方形の主表面に対して、形成され、突出部が長方形の形状を有することが提供され得る。これは好ましくは、各差込部分に適用され、特に、対応する受容開口部が止まり孔であるか貫通孔であるかに関係なく適用される。言い換えれば、突出した外縁部によって形成される差込部分は、横板の一体部分である。外縁部の突出部は、好ましくは、専ら上記の平面内に延在し、この平面は、横板の厚さによって画定される。その結果、差込部分の製造は、横板自体の製造中、例えば横板の外側輪郭および縁部の切断時に容易に達成されることができる。
【0024】
さらに、有利には、差込部分の少なくとも1つが、対応する受容開口部を通って延伸する支持要素を形成するように設計され、クレーン機器要素、特にクレーンの駆動モータの花綱/電力供給線、および/またはプロファイル、例えばそのような花綱/電力供給線、および/または職員用のプラットフォームを受けるためのU字管が、支持要素に取り付け可能である。したがって、少なくともそれぞれの支持要素の対応する受容開口部は、上記の意味で貫通孔として設計され、これは、残りの受容開口部に関しても好ましいが、絶対的に必要というわけではない。支持要素を形成するそれぞれの差込部分は、好ましくは、それぞれの受容開口部に対して残っている可能性のある通常の差込部分よりも、側板の対応する受容開口部を通ってさらに突出する。続いて、支持要素を形成する差込部分は、溶接接合部、特に隅肉溶接、またはテーピング、接着または付着接合、ボルト接続、またはこれらの組み合わせによって、対応する側板に接続される。上述のように、支持要素を形成しない残りの通常の差込部分が、それぞれのプレートの外側を超えて延在することなく、対応する受容開口部内に突出することも考えられる。次に、上述のようなプラグ溶接タイプの溶接接合部が、残りの差込部分と対応する側板との間に設けられ得る。溶接領域の製造に適した配置や、関連する自動溶接の可能性などの上記の長所は、ここでも該当する。それぞれのクレーン機器要素の取り付けは、テーピング、別の形状適合接続、接着または付着接合、またはこれらの組み合わせによって行われ得る。上述のように、ボックスガーダの長手方向延伸に沿っていくつかの横板が提供される場合、これは、支持要素および対応する受容開口部にも該当し、これによりそれぞれのクレーン構成要素の取り付けのためにいくつかの支持要素を提供できる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、形状適合接続に加えて、さらなる力伝達接続が、横板とそれぞれの側板との間、および/または横板とそれぞれの弦板との間に提供され、さらなる圧入接続は、特に隅肉溶接またはプラグ溶接タイプの溶接接合部であることが好ましい。このような溶接接合部の上記の利点は、ここでも該当する。溶接接合部の代わりに、追加の力伝達接続は、接着または付着接合、または拘束力と力伝達の要件を満たすことができるその他の接続であってもよい。溶接または接着または付着接合部のような材料接続の場合、接続は好ましくは、差込部分および対応する受容開口部の領域に設けられ、これにより差込部分がそれぞれの受容開口部の縁部に接続される。
【0026】
ボックスガーダの有利で特に柔軟な使用は、各弦板がボックスガーダの第1の向きで上弦を、またはボックスガーダの第2の向きで下弦を選択的に形成できるように構成されているという事実から生じ、ボックスガーダの向きとは無関係に、クレーントロリの車輪用の走行面がこの弦板、特に弦板の対向する面に設けられている。この結果、同じボックスガーダを使用して、トップランニングクレーントロリ用途または吊り下げクレーントロリ用途のクレーンガーダを製造できる。
【0027】
第1の向きを第2の向きに、またはその逆に変更するには、ボックスガーダを180度回転するだけでよい。回転は、例えば、ボックスガーダの長手方向軸を中心に行われることができる。それぞれの弦板は両方向に水平に延伸する。
【0028】
また、本発明による少なくとも1つのボックスガーダと、ボックスガーダに配置された吊り上げ装置とを有するクレーン、特に、吊り上げ装置が、ボックスガーダに沿ってその上弦または下弦上でクレーントロリによって移動可能であるクレーンは、上記の長所をもたらし、したがって、従来より製造が容易になる。クレーンがダブルガーダクレーンとして設計されている場合、クレーンは、互いに平行に配置され、互いに間隔を置いて配置された2つの対応するボックスガーダを備えている。シングルボックスガーダとその製造方法に関して説明されている機能は、ダブルガーダクレーンの場合、両方のボックスガーダに適用される。
【0029】
本発明によりボックスガーダ、特にクレーンガーダの製造方法を改善および促進することも提案される。このボックスガーダは、互いに間隔を置いて配置された2つの側板と、2つの側板を互いに接続する少なくとも1つの弦板と、側板間に配置され、側板を互いに接続する少なくとも1つの横板とを有し、それぞれの弦板と側板との間に溶接接合部が形成されている。本発明により、そのような製造方法は、それぞれの弦板と側板との間の溶接接合部が形成される前に、少なくとも1つの形状適合接続、特に差込接続が、横板と2つの側板のそれぞれとの間に生成されるという点で改良され得る。言い換えれば、本発明による製造方法は、対応するボックスガーダを製造するための事前組立方法として指定することもできる。上記の利点は、特に溶接接合部の単純化された製造または削減の可能性に関して、ここでも該当する。
【0030】
加えて、それぞれの弦板と側板との間の溶接接合部が形成される前に、横板と弦板との間にも少なくとも1つの形状適合接続、特に差込接続が形成されるようにすることができる。
【0031】
有利には、それぞれの形状適合接続が、横板の差込部分を、それぞれの側板および/またはそれぞれの弦板の対応する受容開口部に差し込むこと、すなわち挿入することによって形成されてもよく、各受容開口部は、それぞれの差込部分、特に差込部分の断面に対して実質的に相補的な形状を有する。
【0032】
製造方法のさらに別のステップにより、形状適合接続に加えて、これを形成した後に、横板とそれぞれの側板との間に、および/または横板とそれぞれの弦板との間にさらなる力伝達接続が形成され、このさらなる力伝達接続は、特に隅肉溶接またはプラグ溶接タイプの溶接接合部であることが好ましい。このような溶接接合部の上記の利点は、ここでも該当する。溶接接合部の代わりに、追加の力伝達接続は、接着または付着接合、または拘束力と力伝達の要件を満たすことができるその他の接続であってもよい。溶接または接着または付着接合のような材料接続の場合、追加の力伝達接続は、好ましくは、差込部分および対応する受容開口部の領域に設けられ、それにより、差込部分はそれぞれの受容開口部の縁部に接続される。
【0033】
本発明によるボックスガーダに関して説明したように、側板の外側に設置されるクレーン機器要素のための上記の支持要素の少なくとも1つの設置は、上記の側板と弦板との間の溶接接合またはその他の圧入接続が行われる前に、製造方法のさらなるステップとして実行することができる。
【0034】
本発明の前述のおよびさらなる課題、利点、目的、および特徴は、図面と併せて以下の明細書を検討すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a】本発明によるボックスガーダ、特にクレーンガーダの一部分の斜視図を示す。
図1b図1aのボックスガーダの側面図を示す。
図2a図1a、1bのボックスガーダの第1の向きの正面図を示し、ガーダの長手方向延伸の方向から見た図である。
図2b図1a、1bのボックスガーダの第2の向きの正面図を示し、ガーダの長手方向延伸の方向から見た図である。
図3a図1a、1b、2aおよび2bのボックスガーダの横板の第1の実施形態の平面図を示す。
図3b図1a、1b、2aおよび2bのボックスガーダの横板の第2の実施形態の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1aは、例えば、シングルガーダクレーンまたはダブルガーダクレーン用のクレーンガーダとして使用されるように構成されたボックスガーダ1の一部分の斜視図を示す。クレーンがダブルガーダクレーンとして設計されている場合、クレーンは単一のボックスガーダ1のみでなく、相互に平行に配置された本発明による2つの対応するボックスガーダ1を備えている。ボックスガーダ1に関して説明されている特徴は、ダブルガーダクレーンの場合、両方のガーダに該当する。
【0037】
ガーダ1は、その長手方向延伸Lで水平に向けられる。クレーンガーダとして使用されるとき、ガーダ1は、例えばケーブルウインチまたはチェーンホイストなどの吊り上げ装置を有するクレーントロリを支持するように構成される。クレーントロリ、特にその移動機構および吊り上げ装置は、例えば少なくとも1つの電気駆動モータによる電動式である。したがって、電動クレーントロリは、ガーダの長手方向延伸Lに沿って吊り上げ装置と共に移動可能である。この目的のために、クレーントロリの車輪6(図2aおよび2bを参照)のための走行面7が、ガーダ1に設けられている。さらに、図示されていない移動機構がガーダ1の両端に固定されて、クレーンブリッジが形成されるようにしてもよい。ガーダ1の移動機構により、ガーダ1は、図示されていないレール上を水平方向に、ガーダ1の長手方向延伸Lに対して直角におよび横方向に移動が可能である。レールは、通常、地面より上の位置に配置され、この目的のために、例えば、適切な支持構造によって上昇されている、または建物の対向する壁部で固定されていることができる。ガーダ1を動かすため、ガーダ1の移動機構はそれぞれ駆動モータ、特に電気モータによって駆動される。クレーン制御により、ガーダ1および/またはクレーントロリと吊り上げ装置の組み合わせの水平方向の動き、および吊り上げ装置の垂直方向の動きが制御され、別々に操作され、三次元の移動方向で異なる場所間で積荷を引き上げ移動することができる。
【0038】
いわゆるトップランニングクレーントロリへの応用例では、クレーントロリの走行面7は、ガーダ1の上部、特に上弦3に設けられることが考えられ、これは上部フランジまたは上弦3上に配置されるレール1aによって指定され得る(図2bを参照)。クレーントロリがガーダ1から吊り下げられる、いわゆる吊り下げ式の応用例では、走行面7は、ガーダ1の下弦4に配置される(図2aを参照)。下弦4は、底部フランジとしても指定され得る。この目的のために、図2aでは、弦板2dが下弦4を形成し、2つの側板2a、2bから水平および横方向に、ガーダ1の長手方向延伸Lに対して横方向におよびこれに沿って突出する。したがって、走行面7は、2つの側板2a、2bによって分割されている。図2aおよび2bを見ると、各弦板2c、2dがボックスガーダ1の第1の向きに上弦3を、またはボックスガーダ1の第2の向きに下弦4を選択的に形成できるように、ガーダ1が構成されていることが明らかになる。その結果、ボックスガーダ1の向きとは無関係に、クレーントロリの車輪6の走行面7が同じ弦板2d上に設けられる。また、図2aおよび2bには、弦板2dの厚さt2が弦板2cの厚さt1よりも大きいことが示されており、これは弦板2dがトップランニングクレーントロリ用および吊り下げ用の両方の走行面7を提供しているという事実による。
【0039】
図1aに示すボックスガーダ1は、4つの板金プレート2a、2b、2c、2dが溶接されて中空空間が囲まれている上記の意味でのボックス形断面形状を有している。この場合、中空空間の四角形の断面形状は、すべてが平坦な形状を有する4つのプレート2a~2dの配置から得られる。特に、ガーダ1は、第1の側板2aと、第2の側板2bと、第1の弦板2cと、第2の弦板2dとを備える。両側板2a、2bは、ウェブ板としても指定され得る。側板2a、2bは、互いに水平方向に離間しており、ガーダ1の垂直側壁を形成する。上弦3は、水平方向の第1弦板2cにより形成され、下弦4は、水平方向の第2弦板2dにより形成されている。
【0040】
両弦板2c、2dは、2つの側板2a、2bを互いに接続しており、これにより中空空間が囲まれている。さらに、それぞれの弦板2c、2dおよび側板2a、2bの外側の間に溶接接合部が設けられ、各側板2a、2bはそれぞれの外側で各弦板2c、2dに、隅肉溶接タイプの溶接シームS1(図2aおよび図2bも参照のこと)により接続され、これによりプレート2a~2dは対で溶接される。したがって、ガーダ1は、溶接ビームとしても指定され得る。
【0041】
図1aおよび1bには、例示的に4つの横板5が、側板2a、2bを互いに接続する側板2a、2bの間に配置され、各横板5は、横方向に、かつガーダ1の長手方向延伸Lに対して垂直に延伸することも示されている。図1bの側面図では、第1側板2aは図示されている第2側板2bの後ろに隠れており、図1aに見ることができる受容開口部2fおよび対応する差込部分5abは弦板2cによって隠れている。横板5は、長手方向延伸Lに沿って位置P1、P2、P3、P4に互いに離間され、横隔壁部またはダイアフラムとして機能する。図1aでは、第1の外側横板5および内側横板5は、位置P1、P2およびP3に破線で例示されている。
【0042】
各横板5と側板2a、2bとの間には、それぞれ形状適合接続、特に差込接続が設けられている。さらに、各横板5と第1弦板2cとの間にも、形状適合接続、特に差込接続が設けられている。形状適合接続は、以下に説明するように、ガーダ1の事前組み立て時、およびプレート2a、2b、2c、5を共に溶接する前に行われる。ガーダ1の第1端部E1から見た、長手方向延伸Lに対する横板5の位置P1、P2、P3、P4は、組立溝として機能するそれぞれの受容開口部2e、2fによって画定される(図1bも参照のこと)。この目的のために、受容開口部2e、2fは、貫通孔として設計され、長手方向延伸Lに沿ってプレート2a、2b、2cに設けられている。その結果、対応する形状適合接続の実施は、横板5の差込部分5ab、5acを、それぞれの受容開口部2eまたは2fに差し込むことにより可能である。対応する横板5の位置P1、P2、P3、またはP4の1つを画定するすべての受容開口部2e、2fは、それぞれの位置P1、P2、P3、またはP4の仮想平面内に配置され、平面は横方向に、長手方向延伸Lに対して直角に延伸する。この例では、各側板2a、2bに1つの横方向受容開口部2eがあり、位置P1およびP4で第1弦板2cに1つの受容開口部2fがある。位置P2およびP3では、各側板2a、2bに3つの横方向受容開口部2eがあり、第1の弦板2cにも1つの受容開口部2fがある。
【0043】
当然、各プレート2a、2b、2c内の、および位置P1、P2、P3、P4ごとの対応する受容開口部2e、2fの数、ならびに対応する差込部分5ab、5acの数は変更され得る。しかしながら、各側板2a、2bにおける少なくとも1つの横方向受容開口部2e、および任意選択で、弦板2c、2dのうちの1つの少なくとも1つの受容開口部2fおよび対応する差込部分5ab、5acが、各位置P1、P2、P3、P4において好ましい。
【0044】
さらに、図1aおよび図1bには、図示される実施例では横板5の2つの異なる実施形態が使用されていることが示されている。ガーダ1の第1端部E1から、第1の実施形態による第1外側横板5は、長手方向延伸Lに対して第1端部E1に近い第1位置P1に設けられる。第1の実施形態によるこのような横板5は、図1aに破線で例示され、図3aにも示されており、以下で詳細に説明される。
【0045】
さらに第1端部E1および第1横板5から離れて、それぞれ第2の実施形態によるさらなる2つの横板5が、それぞれ位置P2およびP3に破線で図1aに示されている。図1aから分かるように、第2の実施形態による横板5は、対向する2つの差込部分5abを有し、対向する側板2a、2bの対応する受容開口部2eを通って延びる支持要素5bを形成するように設計されている。支持要素5bは、上記のクレーンの駆動モータ用の電力供給線を受けるためのU字管の形態のプロファイル1bのようなクレーン機器要素が、図1aに示すように、ガーダ1の中空空間の外側および対応する側板2aまたは2bの隣で、支持要素5bに取り付け可能であるように構成される。あるいは、取り付け可能なクレーン機器要素は、職員用のプラットフォームであってもよい。本実施例では、支持要素5bおよび対応する受容開口部2eは、弦板2dの最も近くに位置する3つの差込部分5abおよび受容開口部2eのものである。しかしながら、図1aおよび2aに見られるように、図示された吊り下げ用途の場合、支持要素5bと走行面7との間に車輪6のための十分なスペースがまだ存在する。第2の実施形態による対応する横板5も図3bに示され、以下で詳細に説明される。
【0046】
ガーダ1の第1端部E1に対向する第2端部E2(図1bを参照)の領域において、第1実施形態による別の横板5が位置P4に設けられる。したがって、端部E1、E2のそれぞれの近くに配置される2つの外側横板5は、第1の実施形態に従って設計される。前述の外側横板5の間に配置される内側横板5は、第2の実施形態に従って設計される。
【0047】
当然、横板5の数は変更されてもよく、ガーダ1の所望の長さに応じて、2つより多くの内側横板5、または1つのみの内側横板5があってもよい。さらに、横板5の2つの実施形態の他の配置および組み合わせが可能であり、同じ実施形態による同一の横板5のみ、例えば、第2の実施形態に従ってそれぞれが少なくとも1つの支持要素5bを有する横板5のみを使用する、または支持要素5bが形成されていない横板5のみを使用することも可能である。後者は、プロファイル1bまたは他のクレーン機器要素をガーダ1に取り付ける必要がない場合に該当する。
【0048】
横板5の対応する差込部分5ab、5acとのそれぞれの形状適合接続を形成するためにプレート2a、2b、2cに設けられた受容開口部2e、2fは、それぞれの差込部分5ab、5acの断面に対して実質的に相補的な形状を有する。図1a、1b、特に図1bの詳細Aから分かるように、横方向の受容開口部2eは長孔形状であり、平行な長手方向側面が平行と、対応する縁部と、丸みを帯びた縁部を形成する狭い側面と、それぞれの受容開口部2eの対応する縁部と有する。弦板2cの受容開口部2fの形状も同様である。受容開口部2e、2fの長手方向側面の距離は、横板5およびその差込部分5ab、5acの厚さよりわずかに広く、それにより差込部分5ab、5acの受容開口部2e、2fへのおよび/またはこれを貫通する挿入が可能になる。さらに、開口部2e、2fの長手方向側面は、上記の、特にそれぞれの位置P1、P2、P3、P4で対応する仮想平面を画定する仮想平面に対して平行である。
【0049】
上述の特徴に関連して、上述のガーダ1を製造するための事前組立方法を提供することは、本発明の範囲内である。事前組立方法の主な態様は、それぞれの弦板2c、2dと側板2a、2bとの間の溶接接合部が形成される前に、それぞれの横板5と2つの対向する側板2a、2bとの間に少なくとも1つの形状適合接続、特に差込接続が形成されることである。これに加えて、それぞれの弦板2c、2dと側板2a、2bとの間の溶接接合部が形成される前に、横板5と弦板2c、2dの1つとの間にも少なくとも1つの形状適合接続、特に差込接続が形成され得る。本実施例では、第1弦板2cのみが、そのような形状適合接続によって横板5に接続される。対照的に、本発明による形状適合差込接続は、プレート2dの疲労強度および耐久性を向上させるために、第2弦板2dと横板5との間では省略される。
【0050】
差込部分5ab、5acを横板(5)に、および対応する受容開口部2e、2fをプレート2a、2b、2cに正確に設けることにより、形状適合接続、特に差込接続の形成が可能になる。こうした構造的特徴により、プレート2a、2b、2cと5の間の形状適合接続の形成は、完成したガーダ1の最終位置にそれらを位置合わせすることにより行われる。このようにして、最終溶接工程が形状適合接続によってのみ完了するまで、最終位置が維持され、最終溶接工程前の簡単な事前組立が可能になる。これは、横板5、差込部分5ab、5ac、および対応する受容開口部2e、2fの数に関係なく、本発明によるガーダ1のすべての変更に該当する。
【0051】
上記の形状適合接続を形成した後、横板5とそれぞれの側板2a、2bとの間、および/または横板5とそれぞれの弦板2cとの間に、さらなる力伝達接続が形成される。本実施例では、さらなる圧入接続は、特に隅肉溶接タイプの溶接シームS1およびプラグ溶接タイプの溶接シームS2を含む溶接接合部である。これらの溶接シームS1、S2の位置は、図1a、1b、2aおよび2bに概略的に示されている。図1a、2aおよび2bには、支持要素5bを形成しない通常の差込部分5ab、5acが、対応する受容開口部2e、2fを貫通してではなく、受容開口部2e、2f内にのみ突出することも示されている。図2aおよび2bでは、隠れている通常の差込部分5ab、5acおよび対応する受容開口部2e、2fの位置が示されている。これらの場合、差込部分5ab、5acは、プラグ溶接タイプの溶接シームS2によって、対応するプレート2a、2b、2cに溶接される。対照的に、支持要素5bを形成する差込部分5abは、対応する受容開口部2eを貫通して、それぞれのプレートの外側を越えて、したがって、ガーダ1およびその中空空間の外側に突出する。これらの場合、差込部分5ab、すなわち支持要素5bは、隅肉溶接タイプの溶接シームS1によって、対応するプレート2a、2bに溶接される。すべての溶接シームS1、S2は、対応する差込部分5ab、5acをそれぞれの受容開口部2e、2fの縁部に接続する。図1bに示すように、各支持要素5bの対向する側に2つの溶接シームS1を設けて、支持要素5bが対応する受容開口部2eの対向する長手方向側面/縁部の両方に溶接されるようにすることができる。
【0052】
図3a、3bは、横板5の2つの実施形態の平面図である。両実施形態による横板5は、それぞれの長手方向軸LAに対して対称に形成される。結果として、同じ設計の側板2a、2bを使用することができ、これにより図2aおよび2bに示されるように、横方向受容開口部2eが各位置P1、P2、P3、P4で相互に対向するようになる。さらに、両方実施形態による横板5は、長手方向軸LAの方向に細長い形状を備え、長方形で平坦な主表面5eを有する。差込部分5ab、5acは、主表面5eに対する横板5の外縁部の突出部として形成されている。換言すれば、側板2a、2b用の差込部分5abまたは弦板2c用の差込部分5acを形成するために、外縁部が主表面5eの長方形の形状から突出している。本実施形態では、すべての差込部分5ab、5acは長方形の形状を有するが、当然ながら他の形状も可能である。
【0053】
側板2a、2cの差込部分5ab、ひいては支持要素5bを形成するために、長手方向軸LAに平行に延在する横板5の長手方向縁部は、主表面5eを画定する残りの長手方向縁部と比較すると、長手方向軸LAから離れてオフセットされている。したがって、差込部分5abの長手方向縁部は、差込部分5abの外側の主表面5eの長手方向縁部よりも長手方向軸LAからの距離が大きい。主表面5eの長手方向縁部に対する差込部分5abの長手方向縁部のオフセットは、支持要素5bを形成するように設計されている差込部分5abのみに関して、差込部分5abが横方向受容開口部2eを貫通して突出するような寸法とされている。したがって、支持要素5bは、通常の差込部分5abよりも長手方向軸LAに対してさらに横方向に延伸する。したがって、支持要素5bを形成しない残りの通常の差込部分5abのオフセットはより小さく、差込部分5abは側板2a、2bの外側を超えて突出しないようになっている。したがって、通常の差込部分5abの最大オフセットは、側板2a、2bの厚さに依存する。弦板2cの通常の差込部分5acのオフセット寸法も同様である。差込部分5abとは異なり、差込部分5acは、横板5の第1端部5cに形成されている。この目的のために、横板5の対応する狭い側面の縁部は、狭い側面の主表面5eを画定する残りの縁部から離れてオフセットされる。差込部分5acの最大オフセットは、弦板2cの厚さに依存する。
【0054】
また、図3aおよび3bから両実施形態の横板5は異なっていることが分かり、図3aの横板5は2つの対向する通常の差込部分5abのみを有し、支持要素5bを形成する差込部分5abを有さない一方で、図3bの横板5は、支持要素5bを形成する2つの対向する差込部分5abと、対向するさらなる2つの対の通常の差込部分5abとを有する。これらの違いを除けば、両実施形態における高さh、幅w1および幅w2は同じである。
【符号の説明】
【0055】
1 ボックスガーダ
1a レール
1b 電力供給線用のプロファイル
2a 第1側板
2b 第2側板
2c 第1弦板
2d 第2弦板
2e 側板2a、2bにおける受容開口部
2f 弦板2cにおける受容開口部
3 上弦
4 下弦
5 横板
5ab 側板2a、2b用の差込部分
5ac 弦板2c用の差込部分
5b 支持要素
5c 横板5の第1端部
5d 横板5の第2端部
5e 主表面
6 クレーントロリの車輪
7 走行面
E1 ガーダの第1端部
E2 ガーダの第2端部
L 長手方向延伸
LA 長手方向軸
P1 横板5の第1位置
P2 横板5の第2位置
P3 横板5の第3位置
P4 横板5の第4位置
S1 隅肉溶接タイプの溶接シーム
S2 プラグ溶接タイプの溶接シーム
t1 第1弦板2cの厚さ
t2 第2弦板2dの厚さ
h 横板5の高さ
w1 主表面5eの幅
w2 対向する2つの通常の差込部分5abの長手方向縁部間の横板5の幅

図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b