IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-光学ホウアルミン酸塩ガラス 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】光学ホウアルミン酸塩ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/064 20060101AFI20231215BHJP
   C03C 3/145 20060101ALI20231215BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
C03C3/064
C03C3/145
G02B1/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020560108
(86)(22)【出願日】2019-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2019013426
(87)【国際公開番号】W WO2019143547
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/617,767
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】エイトケン,ブルース ガーディナー
(72)【発明者】
【氏名】マー,リーナー
(72)【発明者】
【氏名】マウロ,ジョン クリストファー
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0132282(US,A1)
【文献】特開2001-072432(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003719(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ホウアルミン酸塩ガラス物品であって、
10.0モル%以上30.0モル%以下のAl
10.0モル%以上55.0モル%以下のCaO;
10.0モル%以上25.0モル%以下のB
0.0モル%以上30.0モル%以下のSiO;及び
La Nb ZnO、TiO 、ZrO 、Ta 、及びHfO の合計が20.0モル%を超えない範囲で、(a)3.0モル%以上のLa 又は(b)4.0モル%以上のNbのうち少なくとも一方
を含み、
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.62以上の屈折率を有し、かつ
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、4.00g/cm以下の密度を有する、
光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項2】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、3.0モル%以上8.0モル%以下のLaを含む、請求項1に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項3】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、4.0モル%以上20.0モル%以下のNbを含む、請求項1又は2に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項4】
CaO+BaO+SrO/Alの比が、モル%で、1.10以上2.40以下であり、かつ
/(CaO+BaO+SrO+Al)の比が、モル%で、0.15以上である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項5】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.69以上の屈折率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項6】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、2.25g/cm以上4.00g/cm以下の密度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項7】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、1000℃以上1350℃以下の液相温度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項8】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.040mg/mm以下のAO損失を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項9】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.015mg/mm以下のナノストリップ2X試験損失を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【請求項10】
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、80℃以上250℃以下のT-T値を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年1月16日出願の米国仮特許出願第62/617,767号に対する優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、例えば拡張現実デバイス又は仮想現実デバイス用のディスプレイなどの光学ディスプレイ、光ファイバ、及び光学レンズでの使用に適したガラス組成物に関する。より詳細には、本明細書は、拡張現実デバイス又は仮想現実デバイス用のディスプレイに使用することができるホウアルミン酸塩ガラスを対象とする。
【背景技術】
【0003】
この10年で、高屈折率(すなわち、屈折率(RI)>1.60)の光学ガラスの需要は、拡張現実及び仮想現実デバイスの市場の成長に伴い、増加している。拡張現実又は仮想現実デバイスに用いられるこれらの光学ガラスの他の要件は、可視範囲での良好な透過率、良好なガラス成形性、化学的耐久性、及び比較的低い製造コストである。高屈折率のガラスの製造は、このような高屈折率を必要としないディスプレイガラスの製造とは、かなり異なっている。成形は、高RIガラスで作られた光学物体を調製するために用いられる典型的な方法であり、通常、ディスプレイガラスでは必要とされないであろう、このような光学物体の所望される表面特性を達成するには、研削及び研磨が必要となる。したがって、高RI光学ガラスの要求は、ディスプレイガラスの要求と同じではなく、光学高RIガラスには、ディスプレイガラスとは異なるガラス組成物が必要になりうる。
【0004】
拡張現実又は仮想現実デバイスで使用するための光学ガラスの別の要件は、低密度(すなわち、4.00g/cm未満の密度)である。多くの拡張現実又は仮想現実デバイスはウェアラブルデバイスとして作られるため、デバイスの重量をユーザが保持することとなる。長期間にわたると、比較的軽量のデバイスでさえも、着用が面倒になる可能性がある。したがって、拡張現実又は仮想現実デバイスでの光学ガラスとしての使用には、軽量で低密度のガラスが望ましい。
【0005】
高屈折率及び低密度に加えて、拡張現実又は仮想現実デバイスで使用する光学ガラスは、洗浄及びさまざまな環境条件に耐えることができるような良好な化学的耐久性、成形中のガラスの反りを制限するための低熱膨張、並びに、拡張現実又は仮想現実デバイスでの使用中に光学ガラスが損傷するのを防ぐことができる他の機械的特性も有しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記の属性を有し、拡張現実又は仮想現実デバイスにおける使用に適しているガラスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施形態によれば、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品は、10.0モル%以上30.0モル%以下のAl;10.0モル%以上55.0モル%以下のCaO;10.0モル%以上25.0モル%以下のB;0.0モル%以上30.0モル%以下のSiO;及び、1.0モル%以上20.0モル%以下の屈折率上昇成分を含む。光学ホウアルミン酸塩ガラス物品は、589.3nmで測定して、1.62以上のガラス物品の屈折率、及び4.00g/cm以下の密度を有する。
【0008】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0009】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、さまざまな実施形態を説明しており、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図していることが理解されるべきである。添付の図面は、さまざまな実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態を例証しており、その説明とともに、特許請求の範囲の主題の原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に開示及び説明される実施形態による、ガラス転移温度における、及び再加熱に対する熱安定性における、Bの影響を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより、さまざまな実施形態による光学ホウアルミン酸塩ガラスを詳細に参照する。ホウアルミン酸塩ガラスは、例えば、アルカリ金属による攻撃(腐食)に対する良好な耐性、例えば約800cm-1などの比較的低い最大フォノンエネルギー(MOPE)、非常に低い散乱損失(例えば、レイリー散乱値)、良好な赤外線透過、例えば約6μmなどの長波長カットオフ、及び優れた機械的特性、例えば約90MPaの引張強度など、従来のケイ酸塩ガラスと比べて、多くの利点を有している。さらには、ホウアルミン酸塩ガラスは、紫外線(UV)放射に対して感光性であり、測光装置として開発される可能性がある。
【0012】
ホウアルミン酸塩ガラスの構造及び高い脆弱性指数(m)、例えば60を超えるmもまた、基本的に重要である。CaO-Al二元状態図の共晶点(モル%で64CaO-36Al、CaO/Al比は約1.78である)では、平均Al配位数は約4.2であり、したがって、AlO四面体がホウアルミン酸カルシウムガラスの構造内の主要なネットワーク形成剤である。一部のホウアルミン酸カルシウムガラスでは、Alに富む組成物中に5倍及び6倍に配位したAl3+イオンが存在すると、ガラス形成能が低下すると予想される。
【0013】
さまざまな用途におけるホウアルミン酸塩ガラスの主な制限は、例えば1300℃を超える高い液相線温度、例えば15ポアズ(約1.5Pa・s)未満などの低い液相線粘度であり、したがって、失透傾向が強いことである。従来のケイ酸塩ガラスと比較して、非ケイ酸塩ホウアルミン酸塩ガラスの粘度が低いことにより、光学材料への適用が制限される。アルカリ酸化物、アルカリ土類、SiO、及びBを少量添加すると、ホウアルミン酸塩ガラスのガラス形成能と熱安定性が大幅に向上しうるが、最適な光学特性が犠牲となる。ホウアルミン酸カルシウムガラスへのB及びSiOの添加により、ガラス構造を安定させ、ガラスの熱安定性を向上させることができる。例えば15モル%未満などの少量のSiOをホウアルミン酸カルシウムガラスに導入すると、Tが増加し、ガラス状ネットワークの接続性が改善され、したがって、ガラスの形成及び安定性が改善されると考えられる。しかしながら、例えば30モル%を超える、あるいは、幾つかの実施形態では15モル%を超える、大量のSiOは、主な失透相を12CaO・7Alから2CaO・Al・SiOに変化させ、SiOを大量に添加するとガラスの熱安定性が低下するであろう。二価カチオンの種もまた、ホウアルミン酸塩ガラスの結晶化挙動及び熱安定性に影響を与える。CaO-Al共晶組成物と比較して、さまざまな改質剤酸化物(MgO、SrO、BaO、及びZnO)をCaOで部分置換することにより、示差走査熱量測定(DSC)及びX線回折(XRD)で示されるガラスの熱安定性が改善された。
【0014】
本明細書に記載されるガラス組成物の実施形態では、構成成分(例えば、Al、SiO、Bなど)の濃度は、特に明記しない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で与えられる。実施形態による光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の成分は、以下に個別に論じられる。一の構成成分のさまざまに記載された範囲のいずれかは、他の任意の構成成分についてさまざまに記載された範囲のいずれかと個別に組み合わせることができるものと理解されたい。
【0015】
本明細書に記載される光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の実施形態では、Alは最大の構成成分であり、したがって、Alは、ガラス組成物から形成されるガラスネットワークの主な構成成分である。Alは、ガラス組成物から形成されたガラス溶融物中のそのAlO四面体及び/又はAlO八面体配位に起因して、ガラス組成物の粘度を増加させることができ、Alの量が多すぎるとガラス組成物の成形性を低下させる。しかしながら、Alの濃度が他のガラスネットワーク形成剤の濃度及びガラス組成物中のアルカリ酸化物の濃度に対してバランスをとっている場合、Alは液相粘度を高めることができ、ある特定の成形プロセスとのガラス組成物の相容性を改善することができる。実施形態では、ガラス組成物は、概して、Alを、10.0モル%以上30.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Alを、12.0モル%以上、14.0モル%以上、16.0モル%以上、18.0モル%以上、20.0モル%以上、22.0モル%以上、24.0モル%以上、26.0モル%以上、又は28.0モル%以上の量で含む。実施形態では、ガラス組成物は、Alを、28.0モル%以下、26.0モル%以下、24.0モル%以下、22.0モル%以下、20.0モル%以下、18.0モル%以下、16.0モル%以下、14.0モル%以下、又は12.0モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、Alを、12.0モル%以上28.0モル%以下、例えば、14.0モル%以上26.0モル%以下、16.0モル%以上24.0モル%以下、又は18.0モル%以上22.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0016】
Alと同様に、Bをガラスネットワーク形成剤としてガラス組成物に添加し、それによって、ガラス組成物の溶融性及び成形性を増加又は増強させることができる。Alと同様に、ホウ素は、主に、BO四面体形態で存在しうる。したがって、Bは、これらの特性を過度に低下させずに、ガラスの熱安定性を高めることができる量で添加することができる。実施形態では、ガラス組成物は、Bを、10.0モル%以上25.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含みうる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Bを、12.0モル%以上、14.0モル%以上、16.0モル%以上、18.0モル%以上、20.0モル%以上、22.0モル%以上、又は24.0モル%以上の量で含む。実施形態では、ガラス組成物は、Bを、24.0モル%以下、22.0モル%以下、20.0モル%以下、18.0モル%以下、16.0モル%以下、14.0モル%以下、又は12.0モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Bを、12.0モル%以上24.0モル%以下、14.0モル%以上22.0モル%以下、又は16.0モル%以上20.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0017】
本明細書に記載される光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の実施形態では、SiOを追加のガラスネットワーク形成剤として添加することができる。純粋なSiOは比較的低いCTEを有する。しかしながら、純粋なSiOは高い融点を有する。よって、SiOの添加はガラスの熱安定性を高めることができる。したがって、高濃度のSiOはガラスの溶融の困難さを増大させ、これが次にガラスの成形性に悪影響を与えることから、ガラス組成物中のSiOの濃度が高すぎると、ガラス組成物の成形性は低下しうる。実施形態では、ガラス組成物は、概して、SiOを、0.0モル%以上30.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。好ましくは、SiOの量は、0より大きく、例えば0.1モル%より大きい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、SiOを、0.6モル%以上、1.0モル%以上、2.0モル%以上、4.0モル%以上、6.0モル%以上、8.0モル%以上、10.0モル%以上、12.0モル%以上、14.0モル%以上、16.0モル%以上、18.0モル%以上、20.0モル%以上、22.0モル%以上、24.0モル%以上、26.0モル%以上、又は28.0モル%以上の量で含む。実施形態では、ガラス組成物は、SiOを、28.0モル%以下、26.0モル%以下、24.0モル%以下、22.0モル%以下、20.0モル%以下、18.0モル%以下、16.0モル%以下、14.0モル%以下、12.0モル%以下、10.0モル%以下、8.0モル%以下、6.0モル%以下、4.0モル%以下、2.0モル%以下、1.0モル%以下、又は0.5モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、SiOを、0.5モル%以上28.0モル%以下、1.0モル%以上26.0モル%以下、2.0モル%以上24.0モル%以下、4.0モル%以上22.0モル%以下、6.0モル%以上20.0モル%以下、8.0モル%以上18.0モル%以下、10.0モル%以上16.0モル%以下、又は14.0モル%以上16.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0018】
ガラスネットワーク形成剤に加えて、CaOの添加によりガラスの粘度が低下し、成形性、歪み点、及びヤング率が向上する。しかしながら、ガラス組成物に添加するCaOが多すぎると、ガラス溶融物は冷却時に結晶化し、失透する可能性がある。ガラス中のCaOの他の影響については、上で論じている。実施形態では、ガラス組成物は、概して、CaOを、10.0モル%以上55.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、CaOを、12.0モル%以上、14.0モル%以上、16.0モル%以上、18.0モル%以上、20.0モル%以上、22.0モル%以上、24.0モル%以上、26.0モル%以上、28.0モル%以上、30.0モル%以上、32.0モル%以上、34.0モル%以上、36.0モル%以上、38.0モル%以上、40.0モル%以上、42.0モル%以上、44.0モル%以上、46.0モル%以上、又は48.0モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、CaOを、48.0モル%以下、46.0モル%以下、44.0モル%以下、42.0モル%以下、40.0モル%以下、38.0モル%以下、36.0モル%以下、34.0モル%以下、32.0モル%以下、30.0モル%以下、28.0モル%以下、26.0モル%以下、24.0モル%以下、22.0モル%以下、20.0モル%以下、18.0モル%以下、16.0モル%以下、14.0モル%以下、又は12.0モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、CaOを、12.0モル%以上48.0モル%以下、例えば、14.0モル%以上46.0モル%以下、16.0モル%以上44.0モル%以下、18.0モル%以上42.0モル%以下、20.0モル%以上40.0モル%以下、22.0モル%以上38.0モル%以下、24.0モル%以上38.0モル%以下、26.0モル%以上36.0モル%以下、28.0モル%以上34.0モル%以下、又は30.0モル%以上32.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0019】
BaOは、ガラスの粘度を下げ、成形性、歪み点、及びヤング率を高め、ガラスのRIを改善することができる。しかしながら、ガラス組成物に過剰のBaOを添加すると、ガラス組成物の密度と結晶化傾向が増加する。実施形態では、ガラス組成物は、概して、BaOを、0.0モル%以上25.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、BaOを、0.5モル%以上、1.0モル%以上、2.0モル%以上、4.0モル%以上、6.0モル%以上、8.0モル%以上、10.0モル%以上、12.0モル%以上、14.0モル%以上、16.0モル%以上、18.0モル%以上、20.0モル%以上、22.0モル%以上、又は24.0モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、BaOを、24.0モル%以下、22.0モル%以下、20.0モル%以下、18.0モル%以下、16.0モル%以下、14.0モル%以下 12.0モル%以下、10.0モル%以下、8.0モル%以下、6.0モル%以下、4.0モル%以下、2.0モル%以下、1.0モル%以下、又は0.5モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、BaOを、0.5モル%以上24.0モル%以下、例えば、1.0モル%以上22.0モル%以下、2.0モル%以上20.0モル%以下、4.0モル%以上18.0モル%以下、6.0モル%以上16.0モル%以下、8.0モル%以上14.0モル%以下、又は10.0モル%以上12.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0020】
SrOは、ガラスの粘度を下げ、成形性、歪み点、及びヤング率を高め、ガラスのRIを改善することができる。しかしながら、ガラス組成物に過剰のSrOを添加すると、ガラス組成物の密度が増加する。実施形態では、ガラス組成物は、概して、SrOを、0.0モル%以上1.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、SrOを、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.3モル%以上、0.4モル%以上、0.5モル%以上、0.6モル%以上、0.7モル%以上、0.8モル%以上、又は0.9モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、SrOを、0.9モル%以下、0.8モル%以下、0.7モル%以下、0.6モル%以下、0.5モル%以下、0.4モル%以下 0.3モル%以下、0.2モル%以下、又は0.1モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、SrOを、0.1モル%以上0.9モル%以下、例えば、0.2モル%以上0.8モル%以下、0.3モル%以上0.7モル%以下、又は0.4モル%以上0.6モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0021】
Laを光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加して、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを増加させることができる。しかしながら、ガラス組成物に添加するLaが多すぎると、ガラス組成物の密度が増加し、ガラス溶融物は冷却時に失透しやすくなる。実施形態では、ガラス組成物は、概して、Laを、0.0モル%以上8.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Laを、0.2モル%以上、0.5モル%以上、1.0モル%以上、1.5モル%以上、2.0モル%以上、2.5モル%以上、3.0モル%以上、3.5モル%以上、4.0モル%以上、4.5モル%以上、5.0モル%以上、5.5モル%以上、6.0モル%以上、6.5モル%以上、7.0モル%以上、又は7.5モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Laを、7.5モル%以下、7.0モル%以下、6.5モル%以下、6.0モル%以下、5.5モル%以下、5.0モル%以下、4.5モル%以下、4.0モル%以下、3.5モル%以下、3.0モル%以下、2.5モル%以下、2.0モル%以下、1.5モル%以下、1.0モル%以下、0.5モル%以下、又は0.2モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、Laを、0.2モル%以上7.5モル%以下、例えば0.5モル%以上7.0モル%以下、1.0モル%以上6.5モル%以下、1.5モル%以上6.0モル%以下、2.0モル%以上5.5モル%以下、2.5モル%以上5.0モル%以下、又は3.0モル%以上4.5モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0022】
Nbを光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加して、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを増加させることができる。実施形態では、ガラス組成物は、概して、Nbを、0.0モル%以上20.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Nbを、2.0モル%以上、4.0モル%以上、6.0モル%以上、8.0モル%以上、10.0モル%以上、12.0モル%以上、14.0モル%以上、16.0モル%以上、又は18.0モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Nbを、18.0モル%以下、16.0モル%以下、14.0モル%以下、12.0モル%以下、10.0モル%以下、8.0モル%以下、6.0モル%以下、4.0モル%以下、又は2.0モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、Nbを、2.0モル%以上20.0モル%以下、例えば4.0モル%以上18.0モル%以下、6.0モル%以上16.0モル%以下、8.0モル%以上14.0モル%以下、又は10.0モル%以上12.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0023】
Nbと同様に、ZrOを光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加して、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを増加させることができる。実施形態では、ZrOは、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物中に、0.0モル%以上5.0モル%以下、例えば、0.1モル%以上2.0モル%以下、又は0.2モル%以上1.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で存在しうる。
【0024】
同様に、TiOを光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加して、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを増加させることができる。実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物は、0.0モル%以上15.0モル%以下、例えば、0.5モル%以上14.5モル%以下、1.0モル%以上14.0モル%以下、1.5モル%以上13.5モル%以下、2.0モル%以上13.0モル%以下、2.5モル%以上12.5モル%以下、3.0モル%以上12.0モル%以下、3.5モル%以上11.5モル%以下、4.0モル%以上11.0モル%以下、4.5モル%以上10.5モル%以下、5.0モル%以上10.0モル%以下、5.5モル%以上9.5モル%以下、6.0モル%以上9.0モル%以下、6.5モル%以上8.5モル%以下、又は7.0モル%以上8.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で存在しうる。
【0025】
SnOは、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを改善することができ、必要に応じて、光学ホウアルミン酸塩ガラス中に清澄剤として存在することができる。実施形態では、ガラス組成物は、概して、SnOを、0.0モル%以上1.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、SnOを、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.3モル%以上、0.4モル%以上、0.5モル%以上、0.6モル%以上、0.7モル%以上、0.8モル%以上、又は0.9モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、SnOを、0.9モル%以下、0.8モル%以下、0.7モル%以下、0.6モル%以下、0.5モル%以下、0.4モル%以下、0.3モル%以下、0.2モル%以下、又は0.1モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、SnOを、0.1モル%以上0.9モル%以下、例えば0.2モル%以上0.8モル%以下、0.3モル%以上0.7モル%以下、又は0.4モル%以上0.6モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0026】
Sbは、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを改善することができ、必要に応じて、光学ホウアルミン酸塩ガラス中に清澄剤として存在することができる。実施形態では、ガラス組成物は、概して、Sbを、0.0モル%以上1.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の濃度で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Sbを、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.3モル%以上、0.4モル%以上、0.5モル%以上、0.6モル%以上、0.7モル%以上、0.8モル%以上、又は0.9モル%以上の量で含む。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Sbを、0.9モル%以下、0.8モル%以下、0.7モル%以下、0.6モル%以下、0.5モル%以下、0.4モル%以下、0.3モル%以下、0.2モル%以下、又は0.1モル%以下の量で含む。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、ガラス組成物は、Sbを、0.1モル%以上0.9モル%以下、例えば、0.2モル%以上0.8モル%以下、0.3モル%以上0.7モル%以下、又は0.4モル%以上0.6モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含む。
【0027】
上記成分に加えて、光学ホウアルミン酸塩ガラスは、1つ以上の実施形態によれば、例えば、LiO、NaO、及びKOなどのアルカリ金属酸化物を含みうる。アルカリ金属酸化物を添加して、例えば、溶融温度、粘度、機械的強度、及び化学的耐久性など、ガラス組成物のさまざまな特性を変更することができる。実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物のすべての合計は、0.0モル%以上10.0モル%以下、例えば、2.0モル%以上8.0モル%以下、又は4.0モル%以上6.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
【0028】
上述のCaO及びBaOに加えて、例えばMgO及びSrOなどのアルカリ土類金属酸化物を1つ以上の実施形態による光学ホウアルミン酸塩ガラスに添加して、ガラスの物理的特性及びガラス成形性を変更し、屈折率を増加させることができる。実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物中のCaO及びBaOを除くアルカリ土類金属酸化物のすべての合計は、0.0モル%以上5.0モル%以下、例えば、0.1モル%以上2.0モル%以下、又は0.2モル%以上1.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
【0029】
屈折率上昇成分は、上述のLa及びNbに加えて、ZnO、TiO、ZrO、Ta、及びHfO 遷移金属酸化物を含む。これらの遷移金属酸化物を実施形態による光学ホウアルミン酸塩ガラスに添加して、屈折率を増加させることができる。実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物中のLa及びNbを含めたすべての屈折率上昇成分の合計は、1.0モル%以上20.0モル%以下、例えば、8.0モル%以上18.0モル%以下、10.0モル%以上16.0モル%以下、又は12.0モル%以上14.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。

【0030】
実施形態では、他の成分を少量、清澄剤として光学ボロアルミネートガラスに添加することができる。このような清澄剤には、CeO、F、Cl、硫酸塩、及び硫化物が含まれる。実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物中のすべての清澄剤の合計は、0.0モル%以上2.0モル%以下、例えば0.2モル%以上1.0モル%以下でありうる。他の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスは、清澄剤を、1.0モル%以下、0.7モル%以下、0.5モル%以下、0.2モル%以下、又は0.1モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲の量で含みうる。
【0031】
幾つかの実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスは、鉛、ヒ素、及びタリウムのうちの1つ以上を含まなくてよい。
【0032】
特定の理論に縛られるわけではないが、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の幾つかの実施形態は、約1.78のCaO/Al比を有するCaO-Al二成分系の共晶点付近で形成された。このCaO/Al比では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の融点は、CaO-Al二成分系の最小値又はその近くになる。CaO/Alの共晶比を使用して、例えばBaO及びSrOなどの他のアルカリ土類金属を光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加して、ガラス組成物の物理的特性を変更することができる。したがって、実施形態では、CaO+BaO+SrOの合計のAlに対する比は、CaO/Alの共晶比に近い。実施形態では、(CaO+BaO+SrO)/Alの比は、モル%で、1.10以上2.40以下、例えば、1.15以上2.35以下、1.20以上2.30以下、1.25以上2.25以下、1.30以上2.20以下、1.35以上2.15以下、1.40以上2.10以下、1.45以上2.05以下、1.50以上2.00以下、1.55以上1.95以下、1.60以上1.90以下、1.65以上1.85以下、又は1.70以上1.80以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲である。
【0033】
加えて、CaO+BaO+SrO+Alの合計は、幾つかの実施形態では、43.0モル%以上、例えば、45.0モル%以上、50.0モル%以上、55.0モル%以上、60.0モル%以上、65.0モル%以上、70.0モル%以上、又は75.0モル%以上である。幾つかの実施形態では、CaO+BaO+SrO+Alの合計は、78.0モル%以下、例えば、75.0モル%以下、70.0モル%以下、65.0モル%以下、60.0モル%以下、55.0モル%以下、50.0モル%以下、又は45.0モル%以下である。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、CaO+BaO+SrO+Alの合計は、43.0モル%以上78.0モル%以下、例えば、45.0モル%以上75.0モル%以下、50.0モル%以上70.0モル%以下、又は55.0モル%以上65.0モル%以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲である。
【0034】
本明細書に開示及び説明される光学ホウアルミン酸塩ガラスなどのホウアルミン酸塩ガラスは、ケイ酸塩ガラスとは、又はアルミノケイ酸塩ガラスとでさえ、かなり異なっている。例えば、ケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩ガラスとは異なり、ホウアルミン酸塩ガラスは溶融が困難な場合があり、一部には、SiOの量が少なく、Alの量が多いために、ホウアルミン酸塩ガラスは、化学的安定性及び耐久性が低下する場合がある。加えて、ホウアルミン酸塩ガラスは、ベースのCaO-Al系に成分が添加されたときに、溶融しにくく、形成しにくく、あるいは、ガラス物品への成形に適さないことがありうる。したがって、CaO-Al二成分系への成分の添加、例えばBを光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加しても、ガラス転移温度の低下、並びに、光学ホウアルミン酸塩ガラスの化学的耐久性及び化学的安定性の向上は保証されていなかった。しかしながら、本明細書に開示及び説明される量のBをCaO-Al二成分系に加えると、成形可能で、良好な化学的耐久性及び化学的安定性を有し、加熱時により良好な熱安定性を有するガラスをもたらすことを見出した。
【0035】
(CaO+BaO+SrO)/Alの比がこの系の共晶点又はその近くである実施形態でさえも、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の融点は依然として許容できないほど高くなる場合があり、光学ホウアルミン酸塩ガラスの化学的安定性は十分でない可能性がある。したがって、幾つかの実施形態では、ガラスの成形性及び化学的安定性を改善するために、その系にBが添加される。下記表1は、BをCaO-Al二成分系に添加した効果を示している。
【0036】
【表1】
【0037】
表1及び図1(表1の結果をグラフの形態で示している)に示されるように、Bを光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加すると、ガラス転移温度(T)が低下し、ガラスを再加熱したときの結晶化の開始温度(T)も低下する。しかしながら、Bをガラス組成物に添加すると、TとTの差が増加する。また、Bを添加すると、ホウアルミン酸塩ガラスの液相温度が低下する。
【0038】
1つ以上の実施形態では、B/(CaO+BaO+SrO+Al)の比は、モル%で、0.15以上、例えば、0.20以上、0.25以上、0.30以上、0.35以上、0.45以上、又は0.50以上である。(比率が高いほど、ガラス成形性は良好になる。しかしながら、比率が高すぎると、化学的耐久性(例えば、水に対する耐性など)が悪影響を受ける可能性がある)。幾つかの実施形態では、B/(CaO+BaO+SrO+Al)の比は、モル%で、0.55以下、例えば、0.50以下、0.45以下、0.40以下、0.35以下、0.30以下、0.25以下、又は0.20以下である。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、B/(CaO+BaO+SrO+Al)の比は、モル%で、0.15以上0.55以下、例えば、0.20以上0.50以下、0.25以上0.45以下、又は0.30以上0.40以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲である。
【0039】
このCaO-Al-Bの三成分系から、他の成分を光学アルミノケイ酸塩ガラスに加えて、例えば光学ホウアルミン酸塩ガラスの屈折率などのガラスのさまざまな光学特性を改善することができることが判明した。特に、遷移金属元素とLaとをホウアルミン酸塩ガラス組成物に添加して、光学ホウアルミン酸塩ガラスのRIを向上させることができた。T、透過率、液相温度、及び液相粘度などのガラス組成物の他の特性を妨げることもなく、遷移金属元素及びLaを、ガラス組成物のRIを大幅に増加させることができる量でホウアルミン酸塩ガラスに添加することができるということは、事前に想定していなかった。しかしながら、十分な量の遷移金属元素及びLaをガラス組成物に添加して、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の他の特性を過度に妨げることなく、RIを著しく増加させることができることが分かった。本明細書の実施形態に開示及び説明される光学ホウアルミン酸塩ガラスのさまざまな特性について、以下に論じる。
【0040】
実施形態に開示される光学ホウアルミン酸塩ガラスの屈折率は、ガラス組成物への遷移金属元素及びLaの添加による影響を受ける可能性がある。特に、ガラス組成物に酸化ランタン及び酸化ニオブを添加すると、ガラス組成物のRIが増加する。1つ以上の実施形態では、RIは、Metriconモデル2010プリズムカプラーで測定した。RI測定は、さまざまなレーザ光源を使用して、406nm、473nm、532nm、633nm、790nm、及び981nmの波長で、Metriconモデル2010プリズムカプラーで行った。Metriconモデル2010プリズムカプラーは、完全に自動化された屈折計として動作し、バルク材料及び/又膜の屈折率を測定することができる。提供されているガラス試料(表2及び3に記載)などのバルク材料の屈折率は、Metriconモデル2010プリズムカプラーで測定する。測定した屈折率の結果をコーシー又はセルマイヤーの分散方程式に適合させて、定数を決定した。光学ガラスの屈折率は、589.3nmの波長で指定されている。適合させた屈折率分散値を使用して、各ガラス組成物についてVアッベ数を計算する。1つ以上の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスは、589.3nmで測定して、1.62以上、1.63以上、1.64以上、1.65以上、1.66以上、1.67以上、1.68以上、1.69以上、1.70以上、1.71以上、1.72以上、1.73以上、1.74以上、1.75以上、1.76以上、1.77以上、1.78以上、又は1.79以上のRIを有しうる。幾つかの実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスは、589.3nmで測定して、1.80以下、1.79以下、1.78以下、1.77以下、1.76以下、1.75以下、1.74以下、1.73以下、1.72以下、1.71以下、1.70以下、1.69以下、1.68以下、1.67以下、1.66以下、1.65以下、又は1.64以下のRIを有しうる。実施形態では、上記の範囲のいずれかを他の任意の範囲と組み合わせることができるものと理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスは、589.3nmで測定して、1.62以上1.80以下、例えば、1.63以上1.79以下、1.64以上1.78以下、1.65以上1.78以下、1.66以上1.77以下、1.67以上1.76以下、1.68以上1.75以下、1.69以上1.74以下、又は1.70以上1.73以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲のRIを有しうる。
【0041】
上で開示したように、光学ホウアルミン酸塩ガラスの密度は、1つ以上の実施形態では、比較的低くなりうる。幾つかの実施形態では、ASTM C693に準拠して密度を測定し、光学ホウアルミン酸塩ガラスの密度は、4.00g/cm以下、例えば、3.75g/cm以下、3.50g/cm以下、3.25g/cm以下、3.00g/cm以下、又は2.75g/cm以下でありうる。1つ以上の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の密度は、2.25g/cm以上4.00g/cm以下、例えば、2.25g/cm以上3.75g/cm以下、2.25g/cm以上3.50g/cm以下、2.25g/cm以上3.25g/cm以下、2.25g/cm以上3.00g/cm以下、又は2.25g/cm以上2.75g/cm以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
【0042】
本明細書で用いられる液相温度は勾配炉法によって測定される。この方法は、ガラスの液相温度の測定に関するASTM C829-81規格に準拠している。1つ以上の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスの液相温度は、1000℃以上1350℃以下、例えば、1010℃以上1340℃以下、1020℃以上1330℃以下、1030℃以上1320℃以下、1040℃以上1310℃以下、1050℃以上1300℃以下、1060℃以上1290℃以下、1070℃以上1280℃以下、1080℃以上1270℃以下、1090℃以上1260℃以下、1100℃以上1250℃以下、1110℃以上1240℃以下、1120℃以上1230℃以下、1130℃以上1220℃以下、1140℃以上1210℃以下、1150℃以上1200℃以下、1160℃以上1190℃以下、又は1170℃以上1180℃以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
【0043】
本明細書で用いられる場合、本明細書に開示される光学ホウアルミン酸塩ガラスの「化学的耐久性」は、以下により詳細に説明する、アドバンストオプティクス(AO)損失試験及びナノストリップ2X試験で測定される。
【0044】
AO損失試験では、表面積の体積に対する比が0.33cm-1の乾燥ガラス試料を、25℃で10分間、10質量%のHClでエッチングする。10分間のエッチング後、試料を脱イオン(DI)水で急冷し、18MΩの水ですすぐ。次に、試料高純度窒素ガスで乾燥させ、デシケータに一晩入れる。その後、表面積(mg/mm)に正規化された重量損失及び重量損失パーセンテージ(質量%)を計算する。実施形態では、AO損失は、0.040mg/mm以下、例えば、0.035mg/mm以下、0.030mg/mm以下、0.025mg/mm以下、0.020mg/mm以下、0.015mg/mm以下、0.010mg/mm以下、0.005mg/mm以下、0.004mg/mm以下、0.003mg/mm以下、0.003mg/mm以下、0.002mg/mm以下、又は0.001mg/mm以下である。
【0045】
ナノストリップ2X試験では、表面積に対する体積の比が0.08cm-1の乾燥試料を、600mLのナノストリップ2X溶液(Capitol Scientific社、85%HSO及び<1%H)中に70℃で50分間、400rpmの速度で攪拌しつつ、沈漬させる。50分後、試料をDI水で急冷し、18MΩの水ですすいだ。次に、試料を高純度窒素ガスで乾燥させ、デシケータに一晩入れる。表面積(mg/mm)に正規化された重量損失及び重量損失パーセンテージ(質量%)を計算する。実施形態では、ナノストリップ2X試験は、0.015mg/mm以下、例えば、0.014mg/mm以下、0.013mg/mm以下、0.012mg/mm以下、0.011mg/mm以下、0.010mg/mm以下、0.009mg/mm以下、0.008mg/mm以下、0.007mg/mm以下、0.006mg/mm以下、0.005mg/mm以下、0.004mg/mm以下、0.003mg/mm以下、0.002mg/mm以下、又は0.001mg/mm以下の損失をもたらした。
【0046】
本明細書に記載されるように、「ヤング率」は、Magnaflux社製造のQuasar RUSpec 4000を使用して、共鳴超音波分光法によって測定される。光学ホウアルミン酸塩ガラスのヤング率は、75.0GPa以上110.0GPa以下、例えば、80.0GPa以上105.0GPa以下、85.0GPa以上100.0GPa以下、又は90.0GPa以上95.0GPa以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲である。
【0047】
光学ホウアルミン酸塩ガラス組成物の熱安定性は、TとTとの差(すなわち、T-T)を測定することによって決定することができる。T-T値は上述のように測定される。1つ以上の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスのT-Tは、100℃以上250℃以下、例えば、110℃以上240℃以下、120℃以上230℃以下、130℃以上220℃以下、140℃以上210℃以下、150℃以上200℃以下、160℃以上190℃以下、又は170℃以上180℃以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。他の実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスのT-Tは、130℃以上170℃以下、例えば、140℃以上165℃以下でありうる。
【0048】
1つ以上の実施形態では、ホウアルミン酸塩ガラス組成物の軟化点は、700.0℃以上810.0℃以下、例えば、710.0℃以上790.0℃以下、720.0℃以上780.0℃、以下730.0℃以上770.0℃以下、740.0℃以上760.0℃以下、又は745.0℃以上755.0℃以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。軟化点は、ASTM C1351M-96(2012)の平行プレート粘度法を使用して決定した。
【0049】
実施形態では、光学ホウアルミン酸塩ガラスのアニーリング温度は、550℃以上680℃以下、例えば560℃以上670℃以下、570℃以上660℃以下、580℃以上650℃以下、590℃以上~以下640℃、600℃以上630℃以下、又は610℃以上620℃以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。アニーリング温度は、ASTM C598-93(2013)のビーム曲げ粘度法を使用して決定した。本明細書で用いられる場合、「アニーリング温度」と「アニーリング点」は同義であるものと理解されたい。
【0050】
実施形態では、ホウアルミン酸塩ガラス組成物の熱膨張係数は、5.50ppm/℃以上13.50ppm/℃以下、例えば、5.75ppm/℃以上13.25ppm/℃以下、6.00ppm/℃以上13.00ppm/℃以下、6.25ppm/℃以上12.75ppm/℃以下、6.50ppm/℃以上12.50ppm/℃以下、6.75ppm/℃以上12.25ppm/℃以下、7.00ppm/℃以上12.00ppm/℃以下、7.25ppm/℃以上11.75ppm/℃以下、7.50ppm/以上℃11.50ppm/℃以下、7.75ppm/℃以上11.25ppm/℃以下、8.00ppm/℃以上11.00ppm/℃以下、8.25ppm/℃以上10.75ppm/℃以下、8.50ppm/℃以上10.50ppm/℃以下、8.75ppm/℃以上10.25ppm/℃以下、又は9.00ppm/℃以上10.00ppm/℃以下、及び前述の値の間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。熱膨張係数(CTE)は、ASTM E228-11に準拠してプッシュロッド膨脹計を使用して決定した。
【0051】
上で開示したように、本明細書に開示及び説明される実施形態による光学ホウアルミン酸塩ガラスは、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、光ファイバ、又は光学レンズに使用することができる。
【0052】
第1項によれば、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品は、10.0モル%以上30.0モル%以下のAl;10.0モル%以上55.0モル%以下のCaO;10.0モル%以上25.0モル%以下のB;0.0モル%以上30.0モル%以下のSiO;1.0モル%以上20.0モル%以下の屈折率上昇成分を含み、ここで、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品は、589.3nmで測定して、1.62以上のガラス物品の屈折率を有し、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品は、4.00g/cm以下の密度を有する。
【0053】
第2項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が0.0モル%以上8.0モル%以下のLaを含む、第1項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0054】
第3項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が0.0モル%以上20.0モル%以下のNbを含む、第1項又は第2項に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0055】
第4項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が6.0モル%以上16.0モル%以下のNbを含む、第1項~第3項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0056】
第5項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.0モル%以上25.0モル%以下のBaO;0.0モル%以上1.0モル%以下のSrO;0.0モル%以上1.0モル%以下のSnO;及び、0.0モル%以上1.0モル%以下のSbを含む、第1項~第4項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0057】
第6項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.0モル%以上10.0モル%以下のアルカリ金属酸化物;0.0モル%以上5.0モル%以下のMgO及びSrO;及び、0.0モル%以上1.0モル%以下の清澄剤を含む、第1項~第5項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0058】
第7項は、CaO+BaO+SrO/Alの比が、モル%で、1.10以上2.40以下である、第1項~第6項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0059】
第8項は、B/(CaO+BaO+SrO+Al)の比が、モル%で、0.15以上である、第1項~第7項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0060】
第9項は、B/(CaO+BaO+SrO+Al)の比が、モル%で、0.20以上0.50以下である、第1項~第8項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0061】
第10項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.69以上の屈折率を有する、第1項~第9項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0062】
第11項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.69以上1.80以下の屈折率を有する、第1項~第10項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0063】
第12項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、2.25g/cm以上4.00g/cm以下の密度を有する、第1項~第11項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0064】
第13項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、2.25g/cm以上3.00g/cm以下の密度を有する、第1項~第12項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0065】
第14項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、1000℃以上1350℃以下でありうる光学ホウアルミン酸塩ガラスの液相温度を有する、第1項~第13項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0066】
第15項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.040mg/mm以下のAO損失を有する、第1項~第14項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0067】
第16項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.005mg/mm以下のAO損失を有する、第1項~第15項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0068】
第17項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.015mg/mm以下のナノストリップ2X試験損失を有する、第1項~第16項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0069】
第18項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が550℃以上680℃以下のガラスアニーリング温度を有する、第1項~第17項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0070】
第19項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が80℃以上250℃以下のT-T値を有する、第1項~第18項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【0071】
第20項は、光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が130℃以上170℃以下のT-T値を有する、第1項~第19項のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラスを含む。
【実施例
【0072】
実施形態は、以下の実施例によってさらに明らかになるであろう。これらの実施例は、上記の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0073】
以下の表2に列挙される成分を有するガラス組成物を従来のガラス成形方法で調製した。表2では、すべての成分はモル%である。
【0074】
代表的なガラス組成物及び特性が、それぞれ、表2及び表3にまとめられている。表2には、ガラス組成物の開示された実施例が示されている。ガラスは、例えば、アルミニウムカバーをして、空気中、1350℃から1500℃で、Ptるつぼ内で溶融された、B(Chemical Distributors Inc.社、98.69%)、Al(Almatis社、99.78%)、SiO(MinTec、99.999%)、LiCO(ChemPoint(FMC)社)、NaCO(Fisher Scientific社99.99%)、CaCO(Fisher Scientific、99.9%)、BaCO(AMREX Chemical社)、ZnO(Zochem Inc. Distributor: Meyers Chemical Inc.社)、ZrO(MEL Chemicals PRC社)、TiO(Harry W Gaffney社、99.68%)、La(MolyCorp社)、Nb(Alfa Aesar社)、SnO(Endeka Ceramics社)、及びSb(Alfa Aesar社)などを含む、原料又は出発材料のバッチから作られる(例えば、1000gのガラス溶融物、理論収量100%;典型的な収量は、例えば、機械的損失に起因して、約900g又は90質量%であった)。
【0075】
【表2】
【0076】
表2に従って形成されたガラスのさまざまな特性が下記表3に提供されている。AO損失及びナノストリップ2X試験を、本明細書に記載されるように実施した。表3のVはアッベ数であり、次式を使用して計算される:
【0077】
【数1】
【0078】
上記式において、n、n、及びnはそれぞれ、589.3nm、486.1nm、及び565.3nmで測定した屈折率である。表3に列挙されている残りの特性は、従来の方法で測定した。
【0079】
【表3-1】
【0080】
【表3-2】
【0081】
とTとの差は、ホウアルミン酸塩ガラスにBを導入すると増加する。また、Bを添加すると、ホウアルミン酸塩ガラスの液相温度が低下する。試料4~8では、(CaO+BaO+SrO)/Alの比は約1.93であり、B含有量は14.7モル%から23.6モル%へと増加し、液相温度は>1310℃から1155℃へと低下する。SiOを添加すると、ホウアルミン酸塩ガラスの液相温度が低下する。実施例6、7、及び8では、SiO含有量が3.7モル%から9.6モル%に増加すると、液相温度は1240℃から1160℃に低下する。
【0082】
Nbは、RIの増加に大きな効果を有する。実施例10~12に示されるように、Nb含有量が4.9モル%から15.2モル%に増加すると、589.3nmにおけるRIは1.6622から1.7616に増加する。しかしながら、SiOの添加は、RIの低下には少しの効果しかない。実施例6~8及び15~17では、SiO含有量が3.7モル%から9.6モル%に、及び12.0モル%から14.9モル%に増加すると、RIは0.0093及び0.022だけ低下する。
【0083】
本明細書に記載されるすべての組成成分、関係、及び比率は、特に明記しない限り、モル%で提供される。本明細書に開示されるすべての範囲は、範囲が開示される前又は後に明示的に述べられているかどうかにかかわらず、広く開示されている範囲によって包含されるありとあらゆる範囲及び部分範囲を含む。
【0084】
特許請求の範囲に記載の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態にさまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本明細書は、このような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る限り、本明細書に記載されるさまざまな実施形態の修正及び変更に及ぶことが意図されている。
【0085】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0086】
実施形態1
光学ホウアルミン酸塩ガラス物品であって、
10.0モル%以上30.0モル%以下のAl
10.0モル%以上55.0モル%以下のCaO;
10.0モル%以上25.0モル%以下のB
0.0モル%以上30.0モル%以下のSiO;及び
1.0モル%以上20.0モル%以下の屈折率上昇成分
を含み、
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.62以上の屈折率を有し、かつ
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が4.00g/cm以下の密度を有する、
光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0087】
実施形態2
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.0モル%以上8.0モル%以下のLaを含む、実施形態1に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0088】
実施形態3
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.0モル%以上20.0モル%以下のNbを含む、実施形態1又は2に記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0089】
実施形態4
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、6.0モル%以上16.0モル%以下のNbを含む、実施形態1~3のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0090】
実施形態5
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、
0.0モル%以上25.0モル%以下のBaO;
0.0モル%以上1.0モル%以下のSrO;
0.0モル%以上1.0モル%以下のSnO;及び
0.0モル%以上1.0モル%以下のSb
を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0091】
実施形態6
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、
0.0モル%以上10.0モル%以下のアルカリ金属酸化物;
0.0モル%以上5.0モル%以下のMgOとSrOの合計;及び
0.0モル%以上1.0モル%以下の清澄剤
を含む、実施形態1~5のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0092】
実施形態7
CaO+BaO+SrO/Alの比が、モル%で、1.10以上2.40以下である、実施形態1~6のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0093】
実施形態8
/(CaO+BaO+SrO+Al)の比が、モル%で、0.15以上である、実施形態1~7いずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0094】
実施形態9
/(CaO+BaO+SrO+Al)の比が、モル%で、0.20以上0.50以下である、実施形態1~8のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0095】
実施形態10
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.69以上の屈折率を有する、実施形態1~9のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0096】
実施形態11
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、589.3nmで測定して、1.69以上1.80以下の屈折率を有する、実施形態1~10のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0097】
実施形態12
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、2.25g/cm以上4.00g/cm以下の密度を有する、実施形態1~11のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0098】
実施形態13
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、2.25g/cm以上3.00g/cm以下の密度を有する、実施形態1~12のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0099】
実施形態14
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、1000℃以上1350℃以下の液相温度を有する、実施形態1~13のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0100】
実施形態15
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.040mg/mm以下のAO損失を有する、実施形態1~14のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0101】
実施形態16
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.005mg/mm以下のAO損失を有する、実施形態1~15のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0102】
実施形態17
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、0.015mg/mm以下のナノストリップ2X試験損失を有する、実施形態1~16のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0103】
実施形態18
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、550℃以上680℃以下のガラスアニーリング温度を有する、実施形態1~17のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0104】
実施形態19
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、80℃以上250℃以下のT-T値を有する、実施形態1~18のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
【0105】
実施形態20
前記光学ホウアルミン酸塩ガラス物品が、130℃以上170℃以下のT-T値を有する、実施形態1~19のいずれかに記載の光学ホウアルミン酸塩ガラス物品。
図1