(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20231215BHJP
H02K 5/167 20060101ALI20231215BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20231215BHJP
F16H 57/028 20120101ALI20231215BHJP
F16H 57/032 20120101ALI20231215BHJP
【FI】
H02K5/24 A
H02K5/24 B
H02K5/167 A
H02K7/116
F16H57/028
F16H57/032
(21)【出願番号】P 2020561264
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2019047090
(87)【国際公開番号】W WO2020129597
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2018235597
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 晃一郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 行真
(72)【発明者】
【氏名】藤本 征也
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-322967(JP,A)
【文献】実公平08-007802(JP,Y2)
【文献】実公昭55-000162(JP,Y2)
【文献】特開平06-189498(JP,A)
【文献】特開2004-153914(JP,A)
【文献】国際公開第2018/199023(WO,A1)
【文献】実開昭60-082945(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0342912(US,A1)
【文献】特開平08-103050(JP,A)
【文献】特開2006-014460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
H02K 5/167
H02K 7/116
F16H 57/028
F16H 57/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギアと、
フレームと、前記ギアと連結する回転軸とを有するモータと、
前記モータおよび前記ギアを収納する筐体と、
を備え、
前記モータは、
弾性を有する樹脂部材を介して前記筐体に形成された保持部に保持され、
前記弾性を有する樹脂部材は、前記モータと前記保持部を接着する接着剤であり、
前記フレームは、
筒状体と、前記回転軸の方向における端部を形成する外側面とを有し、
前記保持部は、前記回転軸の方向に対して交差する面を備え、
前記回転軸の方向において、前
記外側面と、当
該外側面に対向する前記保持部の面との間には、間隙が設けられており、
前記弾性を有する樹脂部材は、前記間隙に充填されており、当該間隙の形状に沿った形状を備え、
前記弾性を有する樹脂部材の形状には、前記フレームの形状および前記保持部の形状が転写されている、
回転装置。
【請求項2】
前記弾性を有する樹脂部材は、
前記回転軸の方向に対して交差する保持部の面と前記フレームの端部との間に介在する、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記回転軸の方向における端部を第1の端部とし、当該第1の端部を形成する外側面を第1外側面として、
前記フレームは、第2の端部を形成する第2外側面を備え、
前記保持部を第1の保持部として、第2の保持部を備え、
前記回転軸の方向に対して交差する面を、前記フレームの第1外側面側における前記回転軸の方向に対して交差する面として、
前記第2の保持部は、前記第2外側面側における前記回転軸の方向に対して交差する面を備え、
前記弾性を有する樹脂部材を第1の弾性を有する樹脂部材として、第2の弾性の樹脂部材を備え、
前記第2の弾性の樹脂部材は、前記第2外側面と当該第2外側面側における前記回転軸の方向に対して交差する面との間にある、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記モータは、第1軸受部と、第2軸受部を備え、
前記第1軸受部は、軸受と、前記フレームの端部を第1の端部として備え、
前記第2軸受部は、軸受と、前記フレームの第2の端部を備え、
前記第1の端部および前記第2の端部は、それぞれ前記回転軸の方向に対して交差する外側面を備え、
前記筐体には、前記第1軸受部を保持する第1の保持部と、前記第2軸受部を保持する第2の保持部とが設けられており、
前記弾性を有する樹脂部材は、
前記第1の保持部における前記回転軸の方向に対して交差する面と前記第1の端部の前記外側面との間、および前記第2の保持部における前記回転軸の方向に対して交差する面と前記第2軸受部との間に介在する、請求項3に記載の回転装置。
【請求項5】
前記筐体には、前記フレームの前記筒状体を保持する保持部が設けられ、
前記弾性を有する樹脂部材は、
前記筒状体と、前記フレームの前記筒状体を保持する保持部との間に介在する請求項3に記載の回転装置。
【請求項6】
前記回転軸は、前記第1の端部および前記第2の端部からそれぞれ突出し、
前記筐体には、前記回転軸の両端部を保持する第3の保持部および第4の保持部と、前記フレームの前記筒状体を保持する第5の保持部とが設けられ、
前記弾性を有する樹脂部材は、
前記フレームの前記筒状体と、前記第5の保持部との間に介在する請求項3に記載の回転装置。
【請求項7】
前記回転軸は、前記第1の端部および前記第2の端部からそれぞれ突出し、
前記筐体には、前記回転軸の両端部を保持する第3の保持部および第4の保持部と、前記フレームの前記筒状体を保持する第5の保持部および第6の保持部とが設けられ、
前記弾性を有する樹脂部材は、
前記フレームの前記第1外側面と前記第5の保持部との間、および前記第2外側面と前記第6の保持部との間に介在する、請求項3に記載の回転装置。
【請求項8】
前記弾性を有する樹脂部材は、ゴム系の樹脂部材、シリコン系の樹脂部材、変性シリコン系の樹脂部材、ウレタン系の樹脂部材、エポキシ系の樹脂部材のうち少なくとも一つである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転装置。
【請求項9】
前記弾性を有する樹脂部材は、前記モータと前記保持部との間に塗布された液状の接着剤が硬化した部材であり、
前記液状の接着剤は、硬化後に弾性を有する部材となる接着剤である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転装置。
【請求項10】
前記
筐体は、第1の
筐体および第2の
筐体を備え、
前記モータは、前記第1の
筐体および前記第2の
筐体のうち一方の筐体に直接接触して支持され、
前記モータは、前記第1の
筐体と前記第2の
筐体のうち他方の筐体の全体に対して非接触であり、
前記モータは、前記弾性を有する樹脂部材を介して、前記他方の筐体に対して支持されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回転装置。
【請求項11】
前記外側面は、前記筒状体の外周側面と交差する方向に延在する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと、このモータの回転を外部に伝達するギアと、モータおよびギアを収納する筐体とを備えるとともに、モータの軸受部を支持する支持部を備える回転装置が知られている。かかる回転装置において、振動を吸収するためゴムなどの弾性部材からなるOリングを設けたものがある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるようなOリングを用いるとコストアップになる上、Oリングは、所定の厚みがあるため、かかる筐体とモータとの間には、それなりのスペースが必要となる。モータの回転軸に対するギアの反力により、Oリングが変形し、モータの移動によってギアの噛み合いが変化してしまい、異音が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記を課題の一例とするものであり、異音の発生を抑制することのできる回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
本発明の回転装置は、ギアと、フレームと、前記ギアと連結する回転軸とを有するモータと、前記モータおよび前記ギアを収納する筐体とを備える。前記モータは、弾性を有する樹脂部材を介して前記筐体に形成された保持部に保持される。前記弾性を有する樹脂部材は、前記モータと前記保持部を接着する接着剤である。前記フレームは、筒状体と、前記回転軸の方向における端部を形成する外側面とを有する。前記保持部は、前記回転軸の方向に対して交差する面を備える。前記回転軸の方向において、前記外側面と、当該外側面に対向する前記保持部の面との間には、間隙が設けられている。前記弾性を有する樹脂部材は、前記間隙に充填されており、当該隙間の形状に沿った形状を備えている。前記弾性を有する樹脂部材の形状には、前記フレームの形状および前記保持部の形状が転写されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る回転装置の平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る回転装置の側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る回転装置の底面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係る回転装置から第1の筐体を取り外した斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係る回転装置から第1の筐体を取り外した平面図である。
【
図4D】
図4Dは、実施形態に係る回転装置の第2の筐体の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る回転装置の第1の筐体の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1のIII-III線における断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る回転装置を取付面へ取付けた状態の一例を示す模式的な説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る回転装置を取付面へ取付けた状態の一例を示す模式的な説明図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る回転装置が備える保持部の配置を平面視で示す説明図である。
【
図15A】
図15Aは、弾性を有する接着剤が用いられた第1の保持部の説明図である。
【
図16A】
図16Aは、弾性を有する接着剤が用いられた第2の保持部の説明図である。
【
図17A】
図17Aは、実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第1の変形例を示す模式的説明図である。
【
図17B】
図17Bは、実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第2の変形例を示す模式的説明図である。
【
図17C】
図17Cは、実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第3の変形例を示す模式的説明図である。
【
図17D】
図17Dは、実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第4の変形例を示す模式的説明図である。
【
図17E】
図17Eは、実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第5の変形例を示す模式的説明図である。
【
図18A】
図18Aは、他の実施形態に係る回転装置のモータの支持構造を示す模式的説明図である。
【
図18B】
図18Bは、他の実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第1の変形例を示す模式的説明図である。
【
図18C】
図18Cは、他の実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第2の変形例を示す模式的説明図である。
【
図18D】
図18Dは、他の実施形態に係る回転装置のモータの支持構造の第3の変形例を示す模式的説明図である。
【
図19】
図19は、他の実施形態に係る筐体を用いたモータの支持構造を説明するための図(1)である。
【
図20】
図20は、他の実施形態に係る筐体を用いたモータの支持構造を説明するための図(2)である。
【
図21】
図21は、他の実施形態に係る筐体を用いたモータの支持構造を説明するための図(3)である。
【
図22】
図22は、他の実施形態に係る筐体を用いたモータの支持構造を説明するための図(4)である。
【
図23】
図23は、他の実施形態に係る筐体を用いたモータの支持構造を説明するための図(5)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0009】
図1は、実施形態に係る回転装置の平面図、
図2は、実施形態に係る回転装置の側面図、
図3は、実施形態に係る回転装置の底面図である。
図4Aは、実施形態に係る回転装置から第1の筐体を取り外した斜視図、
図4Bは、実施形態に係る回転装置から第1の筐体を取り外した平面図である。
図4Cは、
図4BのV-V線における断面図、
図4Dは、実施形態に係る回転装置の第2の筐体の斜視図である。また、
図5は、実施形態に係る回転装置の第1の筐体の斜視図である。
【0010】
実施形態に係る回転装置1は、例えば、車両用の空調システムなどに用いられるアクチュエータとして好適に用いることができ、風量等を制御するためのルーバーの回動動作を制御することができる。
【0011】
図1~
図3に示すように、回転装置1は、内部に動力伝達機構部を収納した筐体2を備える。ここで動力伝達機構部とは、具体的には、
図4Aおよび
図4Bに示すモータ3や、このモータ3からの動力を伝達する複数のギア(以下、ギア群と呼称する)6や、このギア群6に含まれる出力ギア5の回転角を検出するセンサー7等により構成される。なお、センサー7が検出するのは、出力ギア5の回転角ではなく回転数であってもよいし、回転角と回転数の両方であってもよい。
【0012】
動力伝達機構部のギア群6には、モータ3の回転軸31(
図12参照)に装着されたウォームギア70と、第1伝達ギア61と、第2伝達ギア62と、出力ギア5とが含まれる。すなわち、
図4Aに示すように、ウォームギア70の回転は、第1伝達ギア61のヘリカルギア61aに伝達されるとともに、このヘリカルギア61aと同軸上に設けられた、ヘリカルギア61aよりも相対的に小径の小径ギア61bを介して第2伝達ギア62に伝達される。そして、第2伝達ギア62の回転は、出力ギア5に伝達される。また、出力ギア5には、出力軸51(
図3)が連接されており、第1伝達ギア61および第2伝達ギア62の回転軸は、出力軸51の方向となっており、ウォームギア70の回転軸に対して交差する方向になっている。
【0013】
こうして、モータ3の回転は、所定の減速比で減速されて、出力軸51から外部へ出力することができる。そして、この出力ギア5の回転角がセンサー7により検出される。センサー7で検出した出力ギア5の回転角の情報は、
図4Aおよび
図4Bに示す端子群40を介して外部に送信される。
【0014】
なお、本実施形態では、モータ3としてDCモータを採用しているが、ブラシレスモータやステッピングモータであってもよい。ブラシレスモータやステッピングモータを採用する場合、回転装置1としては、センサー7は不要となっても構わない。
【0015】
図2に示すように、筐体2は、対向する第1の筐体21および第2の筐体22を備えている。すなわち、筐体2は、開口部214を有する第1の筐体21(
図5)と、開口部226を有する第2の筐体22(
図4D)とを、開口部214,226同士を突き合わせた状態で連結して構成される。
【0016】
図5に示すように、第1の筐体21は、筐体2の天面部となる第1の面部210と、この第1の面部210の外周部に設けられた第1の側壁部211とを有し、開口部214は、第1の側壁部211で囲まれている。他方、第2の筐体22は、
図3および
図4Dに示すように、筐体2の底面部となる第2の面部220と、この第2の面部220の外周部に設けられた第2の側壁部222とを有し、開口部226は、第2の側壁部222で囲まれている。なお、筐体2は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS等の樹脂材料で形成される。
【0017】
また、
図5および
図4Dに示すように、第1の筐体21の開口部214の周縁部および第2の筐体22の開口部226の周縁部には、それぞれ互いに接触する第1の接触面271および第2の接触面272が形成されている(
図6~
図9参照)。
【0018】
また、
図5に示すように、第1の筐体21には、第2の筐体22側に延出する複数の係合部212が、第1の側壁部211の外周部に一体に形成されている。そして、かかる係合部212には係合凹部215が設けられている。一方、第2の筐体22には、
図4Dに示すように、第1の筐体21の複数の係合部212にそれぞれに対応する複数の突起(以下、係合突起と呼称する)224が第2の側壁部222に一体に形成されている。かかる係合突起224が係合部212の係合凹部215に係合する。
【0019】
こうして、第1の接触面271と第2の接触面272とが接触するように、第1の筐体21と第2の筐体22を突き合わせて筐体2が形成される(
図2参照)。すなわち、第1の筐体21の係合部212の孔部に第2の筐体22の係合突起224を係合させることで、第1の筐体21と第2の筐体22とが一体化され、前述したモータ3やギア群6などを有する動力伝達機構部を収容する筐体2が構成される。
【0020】
なお、本実施形態では、第1の筐体21に係合部212を設け、第2の筐体22に係合突起224を設けるようにしているが、第2の筐体22に係合部212を設け、第1の筐体21に係合突起224を設けるようにしてもよい。
【0021】
また、第1の筐体21には、
図5に示すように、位置決め用として複数の突起部91が設けられ、第2の筐体22には、
図4Dに示すように、第1の筐体21の複数の突起部91にそれぞれ対応する複数の嵌合孔92が設けられている。第1の筐体21と第2の筐体22とを突き合わせて一体に接合した状態では、突起部91は孔部(以下、嵌合孔と呼称する)92にそれぞれ嵌合する。
【0022】
また、
図5および
図4Dに示すように、第1の筐体21および第2の筐体22における一側辺の両端部には、それぞれ外方へ突出する片(以下、接合片と呼称する)93が形成されている。接合片93には所定の固定部材として緊締具(不図示)が挿通される連結孔94が設けられており、接合された第1の筐体21と第2の筐体22とは、4つの連結孔94を介して所定の緊締具により強固に連結され、一体の筐体2を構成する。
【0023】
上述してきた筐体2の構成において、本実施形態では、第1の筐体21の外周部をなす第1の側壁部211の角部に突出部28が設けられ、第2の筐体22の角部に第2の貫通孔282が設けられている。すなわち、第1の筐体21には、たとえばボルトやビスなどの締結具60(
図10および
図11参照)を挿通可能な第1の貫通孔281を有する円筒状の突出部28が第1の面部210から突出して形成されている。そして、第2の筐体22には、突出部28が嵌合する第2の貫通孔282が設けられる。
【0024】
突出部28は複数設けられており、それに応じて第2の貫通孔282も複数設けられている。複数の突出部28は、それぞれ第1の筐体21の複数(4つ)の角部に設けられており、複数の第2の貫通孔282についても、それぞれ第2の筐体22の複数(4つ)の角部に設けられている。本実施形態では、第1の筐体21の第1の面部210および第2の筐体22の第2の面部220は、平面視で略矩形形状をしており、それぞれ4隅の角部に突出部28および第2の貫通孔282が設けられる。
【0025】
第2の筐体22は、
図4Dに示すように、第2の側壁部222の4隅の角部に相当する部位を肉厚に形成し、かかる厚肉部29に、第2の接触面272から第2の面部220に至る第2の貫通孔282が形成されている。第2の側壁部222の4隅の角部の外側には、接合片93が設けられている。
【0026】
ここで、
図6~
図11を参照しながら、第1の筐体21に形成された突出部28と第2の筐体22に形成された第2の貫通孔282とが嵌合する態様について説明する。
図6は、
図1のI-I線における断面図、
図7は、
図1のII-II線における断面図、
図8は、
図1のIII-III線における断面図、そして、
図9は、
図1のIV-IV線における断面図である。
【0027】
図6~
図9に示すように、第1の筐体21と第2の筐体22とを突き合わせて接合した場合、4つの突出部28は4つの第2の貫通孔282にそれぞれ圧入された状態で嵌合する。すなわち、本実施形態では、突出部28の外径を、第2の貫通孔282の口径よりもわずかに大きくし、突出部28が第2の貫通孔282に圧入されるようにしている。
【0028】
また、本実施形態では、突出部28の長さ(以下、突出長と呼称する)L1(
図10参照)と第2の貫通孔282の長さ(全長)L2(
図10参照)とを等しくしており、嵌合状態において、突出部28の端部(先端)283の平面部と第2の貫通孔282の終端284の開口部とが略同一平面状に位置している。
【0029】
このように、実施形態に係る回転装置1では、第1の筐体21の第1の面部210の4隅から突出して形成した突出部28を、これら4つの突出部28に対応して第2の筐体22の4隅に形成した第2の貫通孔282に嵌合させて筐体2を構成している。
【0030】
したがって、第1の筐体21および第2の筐体22を樹脂で成形した際に、これら第1の筐体21や第2の筐体22にたとえば樹脂の収縮による反りが生じたとしても、筐体2を組み上げる際に突出部28が第2の貫通孔282に深く嵌合することで、反りが矯正される。そのため、筐体2の設計寸法からの誤差をできるだけ小さくすることができ、モータ3やギア群6の配置、ひいてはギア同士の噛合精度も向上するため、異音などの発生が抑制された回転装置1の提供が可能となる。
【0031】
図6~
図9に示した例では、突出部28の突出長L1と第2の貫通孔282の全長L2とを等しくしたが、突出部28の突出長L1と、第2の貫通孔282の全長L2とは、以下の式1の関係を満たせばよい。式1の関係を満たすことで、たとえば成型時に第1の筐体21や第2の筐体22に反りが生じたとしても、両者を組み合わせて筐体2を構成した際に、いずれかの筐体21(22)に生じた反りを矯正することが可能となる。
0.3≦L1/L2≦1.0・・・・・・(式1)
【0032】
なお、突出部28の突出長L1は、第1の筐体21の第1の接触面271から突出部28の先端283までの距離であり、第2の貫通孔282の全長L2は、第2の筐体22の第2の面部220から第2の接触面272までの距離である。また、上記式1から突出部28の突出長L1と第2の貫通孔282の全長L2とは、L1≦L2の関係にあることが分かる。
【0033】
また、突出部28が設けられている部位における筐体2の厚さH(
図10および
図11参照)と突出部28の突出長L1との関係については、以下の式2の関係を満たすことが好ましい。
0.3*H≦L1≦0.8*H・・・・・・(式2)
【0034】
式2の関係を満たすことで、たとえば、成型時において、第1の筐体21における必要な強度を保持しつつ、反りの発生を抑制することができる。
【0035】
図10および
図11は、実施形態に係る回転装置1を取付面へ取付けた状態の一例を示す模式的な説明図である。たとえば、
図10および
図11においては、突出部28の突出長L1を第2の貫通孔282の全長L2よりも短くしている。しかし、短くする場合であっても、少なくとも式1の範囲にすることが好ましい。より好ましくは、突出部28の突出長L1の下限を、第2の貫通孔282の全長L2の半分以上に設定するとよい。
【0036】
ところで、
図10に示した例では、取付面を板金200で形成しており、かかる板金200に、バーリング加工およびタップ加工を施して締結孔201を設けている。かかる締結孔201と、第1の筐体21の突出部28に設けられた第1の貫通孔281とを合わせ、締結具60によって回転装置1を板金200に取付けている。このとき、突出部28の突出長L1と第2の貫通孔282の全長L2とが、L1≦L2の関係を満たしていることから、締結具60を介して締結する際に、締結具60の締結力により、第1の接触面271と第2の接触面272とを、確実に当接させることができる。
【0037】
また、
図9および
図10に示すように、本実施形態に係る回転装置1は、第1の筐体21に設けた突出部28の根元の周りを囲むように、第1の接触面271に環状溝部23が形成されている(
図5参照)。
【0038】
すなわち、第1の筐体21の突出部28を、第2の筐体22の第2の貫通孔282に嵌合させる際に、わずかな位置ずれによって嵌合できないことがないように、
図9に示すように、突出部28の根元28aと第1の接触面271との間に空隙Dを形成して、樹脂により形成された突出部28の弾性を高めている。したがって、第2の貫通孔282に突出部28の先端が合致すれば、突出部28と第2の貫通孔282の軸心同士が僅かにずれていても、突出部28を第2の貫通孔282に圧入することは可能となる。
【0039】
また、
図11に示した例では、第1の筐体21の突出部28に設けた第1の貫通孔281の内周面に雌ネジ部281aを形成するとともに、取付面を所定の板体202としている。そして、かかる板体202に形成された孔部203と、第1の筐体21の突出部28に設けられた第1の貫通孔281とを合わせ、板体202の側からボルトなどの締結具60を第1の貫通孔281に挿通し、回転装置1を板体202にネジ止めしている。
【0040】
次に、
図4A、
図4B、
図4Dおよび
図12~
図16Cを参照しながら、本実施形態におけるモータ3の保持構造について説明する。
図12は、
図4BのVI-VI線における断面図、
図13は、
図4BのVII-VII線における断面図である。また、
図14は、実施形態に係る回転装置1が備える保持部の配置を平面視で示す説明図である。また、
図15Aは、弾性を有する樹脂部材(以下、弾性を有する接着剤と呼称する場合がある)が用いられた第1の保持部の説明図、
図16Aは、弾性を有する接着剤が用いられた第2の保持部の説明図である。また、
図15Bは、
図15Aに示す保持部の第1の変形例を示す図であり、
図15Cは、
図15Aに示す保持部の第2の変形例を示す図である。また、
図16Bは、
図16Aに示す保持部の第1の変形例を示す図であり、
図16Cは、
図16Aに示す保持部の第2の変形例を示す図である。
【0041】
先ず、モータ3の構成について簡単に説明する。本実施形態におけるモータ3は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、回転軸31と機能部3a(
図7、
図12、
図13および
図15A参照)を収納するフレーム30とを備える。なお、ここで機能部3aとは、マグネットやコイル等を有するステータやロータ等、回転軸31を除いてモータ3の駆動に必要な構成要素の集合である。すなわち、モータ3は、フレーム30と、ウォームギア70と連結する回転軸31とを備える。このフレーム30は、軸方向に延在する筒状体32と、軸方向における端部(第1の端部34、第2の端部35)とを備える。第1の端部34は、ウォームギア70側の端部であり、第2の端部35は、ウォームギア70とは反対側の端部である(
図14参照)。以下では、フレーム30の回転軸31に垂直な面をフレーム垂直面と定義し、フレーム30の回転軸31に平行な面をフレーム平行面と定義して説明する場合がある。なお、
図4Aに示すように、フレーム30は、底部と開口とを有する筒状のフレーム本体360と、フレーム本体370の開口を塞ぐプレート370とを有する。フレーム本体360およびプレート370により構成されるハウジング内に、機能部3aと、回転軸31の一部とが収納される。なお、
図4Aには、機能部3aの構成要素であるブラケット380の一部が示されている。ブラケット380は、回転軸31に取り付けられた整流子と接触するブラシ等を保持する。フレーム本体360とプレート370とは、ブラケット380の一部を挟み込んで、ブラケット380を収納する。モータ3の外表面には、フレーム30の外表面の他、フレーム本体360とプレート370とに挟み込まれたブラケット380の一部の外表面が含まれる。すなわち、第1の端部34は、フレーム本体360のウォームギア70側の端部で形成され、第2の端部35は、プレート370で形成され、筒状体32は、フレーム本体360、プレート370及びブラケット380を含んで形成される。
【0042】
また、フレーム30は、第1の端部34側にある第1外側面と、第2の端部側にある第2外側面とを備えている。言い換えれば、第1外側面は、第1の端部34を形成する外側面の一部分と、第1の端部34を囲む外側面の一部分を備えている。以下、第1の端部34を囲む外側面の部分を第3外側面342aと呼称する。同様に、第2外側面はフレーム30の第2の端部35を形成しており、つまり第2の端部35を形成する外側面の一部分と、第2の端部35を囲む外側面の一部分を備えている。以下、第2の端部35を囲む外側面の部分を第4外側面352aと呼称する。また、筒状体32が有する第1の端部34および第2の端部35はそれぞれ面を有し、回転軸31は第1の端部34の面から突出し、突出した部分に、第1伝達ギア61に噛合するウォームギア70が取付けられている。
【0043】
図12~
図14に示すように、第1の端部34は、ウォームギア70側の回転軸31を、軸受341aを介して回転自在に支持する第1軸受部341と、軸方向に交差する方向に延在する第1側部342とを備える。この第1側部342は、軸方向に交差する面(垂直な面)であり、第1軸受部341に連続して形成された第3外側面342aを有する。第3外側面342aは、フレーム垂直面の一例である。一方、第2の端部35は、ウォームギア70とは反対側の回転軸31の端部を、軸受351aを介して回転自在に支持する第2軸受部351と、軸方向に交差する方向に延在する第2側部352とを備える。第2側部352は、軸方向に交差する面(垂直な面)であり、第2軸受部351に連続して形成された第4外側面352aを有する。第4外側面352aは、フレーム垂直面の一例である。
【0044】
第1軸受部341は、軸受341a(
図12参照)と、フレーム30の第1の端部34とを備える。第2軸受部351は、軸受351a(
図12および
図16A参照)と、フレーム30の第2の端部35を備える。そして、第1の端部34は、軸方向に交差する第3外側面342aを備えており、第2の端部35は、軸方向に交差する第4外側面352aを有する。
【0045】
他方、
図4Dに示すように、第2の筐体22にはモータ配置部228が設けられており、かかるモータ配置部228にモータ3が配置される(
図4B参照)。モータ配置部228には、モータ3のフレーム30の第1の端部34および第2の端部35にそれぞれ対向する壁部としての第1保持壁26および壁部としての第2保持壁27が形成されている。これら第1保持壁26と第2保持壁27は、軸方向に交差する方向に延在する面261、262(軸方向に垂直な面)を備えている。かかる第1保持壁26および第2保持壁27は、本実施形態におけるモータ3の保持部として機能し、第1保持壁26が第1の保持部に相当し、第2保持壁27が第2の保持部に相当する。
【0046】
そして、第1保持壁26には第2の筐体22の内部に向かって凹む第1凹部26aが形成されており、この第1凹部26aにモータ3の第1軸受部341を係止するとともに、第2保持壁27に形成された第2凹部26bにモータ3の第2軸受部351を係止している。すなわち、第2の筐体22の第1凹部26aは、フレーム30の第1軸受部341を、モータ3の回転軸31に垂直な方向(モータ軸垂直方向と呼称する)で当接保持する。また、第2の筐体22の第2凹部26bは、フレーム30の第2軸受部351を、モータ軸垂直方向で当接保持する。
【0047】
なお、
図5に示すように、第1の筐体21には、モータ3が配置されるモータ配置部229が設けられている。モータ配置部229には、モータ3のフレーム30の第1の端部34および第2の端部35にそれぞれ対向する壁部としての第3保持壁21aおよび壁部としての第4保持壁21cが形成されている。そして、第3保持壁21aには第1の筐体21の内部に向かって凹む第3凹部21bが形成されており、この第3凹部21bにモータ3の第1軸受部341を係止している。また、第4保持壁21cには第1の筐体21の外側に向かって突出した凸部21dが形成されており、この凸部21dに第2軸受部351を係止している。すなわち、第1の筐体21の第3凹部21bは、フレーム30の第1軸受部341を、モータ3の回転軸31に垂直な方向(モータ軸垂直方向と呼称する)で当接して保持する。また、第1の筐体21の凸部21dは、フレーム30の第2軸受部351を、モータ軸垂直方向で当接して保持する。
【0048】
筐体2に収納された上述のモータ3の回転軸31が回転すると、ウォームギア70を介して反力が、モータ3の軸方向に加わる。その反力は、モータ3を軸方向へ瞬間的に移動させようとする。そして、この移動が生じると、ウォームギア70と第1伝達ギア61との噛合状態が変化してしまい、異音が発生するおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態に係る回転装置1におけるモータ3は、
図12~
図14に示すように、弾性を有する樹脂部材4(以下、弾性を有する接着剤4と呼称する場合がある)を介して筐体2に形成された保持部(第1保持壁26(第1の保持部とも呼称する)および第2保持壁27(第2の保持部とも呼称する))に保持される構成としている。
【0050】
また、弾性を有する接着剤4は、軸方向に交差する保持部(第1保持壁26および第2保持壁27)の面とフレーム30の端部34、35との間に介在している。軸方向における端部34を第1の端部34として、フレーム30は、第2の端部35を備え、第1保持壁26の軸方向に交差する面を、フレーム30の第1の端部34側における軸方向に交差する第1の保持面261として、保持部は、第2の端部35側における軸方向に交差する第2の保持面262を備える。そして、弾性を有する接着剤4を第1の弾性を有する接着剤4aとして、第2の弾性を有する接着剤4bは、第2の端部35と第2の端部35側における軸方向に交差する第2の保持面262との間にある。
【0051】
より具体的に説明すると、弾性を有する接着剤4は、公知のゴム系接着剤、シリコン系の接着剤、変性シリコン系の接着剤、ウレタン系の接着剤、エポキシ系の接着剤のうちの少なくとも一つを好適に用いることができ、固化しても所定の弾力を有する。すなわち、本実施形態において、樹脂部材4は、Oリングのような金型で成形された部材ではなく、モータ3と保持部(第1保持壁26および第2保持壁27)との間に塗布された液状の接着剤(接着剤4aおよび接着剤4b)が硬化した部材である。この液状の接着剤(接着剤4aおよび接着剤4b)は、硬化後に弾性を有する部材となる接着剤である。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(のフレーム30)の形状および保持部(第1保持壁26、第2保持壁27)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3(のフレーム30)および保持部(第1保持壁26、第2保持壁27)を接着する接着剤である。かかる弾性を有する接着剤4を、
図14~
図16Cに示すように、第1保持壁26における軸方向に垂直な第1保持面261と、フレーム30の第1の端部34との間と、第2保持壁27における軸方向に垂直な第2の保持面262と、フレーム30の第2の端部35との間に介在させている。
【0052】
このとき、第1保持壁26の第1の保持面261と対向する第1の端部34は第3外側面342aであり、第2保持壁27の第2の保持面262と対向する第2の端部35は、第2軸受部351の軸方向に交差する外面(垂直な外面)353である。外面353は、フレーム垂直面の一例である。
【0053】
すなわち、
図15Aに示すように、第1保持壁26の第1の保持面261に対向するフレーム30における第1の端部34の第3外側面342aとの間には、弾性を有する接着剤4を介在させるだけの間隙301が形成されている。このように、フレーム垂直面である第3外側面342aと第2の筐体22(第1の保持面261)とは当接せず、間隙301を有し、第3外側面342aと、第2の筐体22(第1の保持面261)との間に接着剤4aが塗布される。液状の接着剤4aは、間隙301に充填された後に硬化することで、間隙301を埋める弾性を有する樹脂部材4となる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の第3外側面342a)の形状および第2の筐体22(の第1の保持面261)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3(の第3外側面342a)および第2の筐体22(の第2の保持面262)を接着する接着剤である。この弾性を有する樹脂部材4により、第3外側面342aは、第2の筐体22(第1の保持面261)に保持される。同様に、
図16Aに示すように、第2保持壁27の第2の保持面262とフレーム30における第2軸受部351の外面353との間にも、弾性を有する接着剤4を介在させる間隙302が形成されている。このように、フレーム垂直面である外面353と第2の筐体22(第2の保持面262)とは当接せず、間隙302を有し、外面353と、第2の筐体22(第2の保持面262)との間に接着剤4bが塗布される。液状の接着剤4bは、間隙302に充填された後に硬化することで、間隙302を埋める弾性を有する樹脂部材4となる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の外面353)の形状および第2の筐体22(の第2の保持面262)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3(の外面353)および第2の筐体22(の第2の保持面262)を接着する接着剤である。この弾性を有する樹脂部材4により、外面353は、第2の筐体22(第2の保持面262)に保持される。なお、間隙301,302の寸法は、例えば0.2mmであり、軸方向における第1軸受部341の厚さより小さくても良く、軸方向における第1保持壁26の厚みよりも小さくても構わない。
【0054】
このように、本実施形態に係る回転装置1では、モータ3を、弾性を有する接着剤4を介して筐体2に形成された保持部に保持される構成とした。したがって、低コストでありながら、モータ3の軸方向に加わる反力を吸収してモータ3の軸方向への移動を抑制し、移動に伴う異音の発生も抑制することができる。また、間隙が設けられていることで、モータ3に対する筐体2の接触面積が低減され、モータ3の振動が筐体2に伝搬することを抑止することができる。
【0055】
同様に、本実施形態に係る回転装置1では、筐体2に形成された保持部である第2保持壁27の第2保持面262とフレーム30における第2軸受部351の外面353との間にも弾性を有する接着剤4を介在させてモータ3を保持させている。したがって、かかる構成においてもモータ3の軸方向に加わる反力が吸収されてモータ3の軸方向への移動が抑制されるため、モータ3の移動に伴う異音の発生を抑制することができる。また、間隙が設けられていることで、モータ3に対する筐体2の接触面積が低減され、モータ3の移動に伴う振動が筐体2に伝搬することを抑止することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、
図15B、
図15C、
図16B、
図16Cに示すように、フレーム垂直面に対向する第2の筐体22の面における接着剤(接着剤4aや接着剤4b)の塗布領域の外周に段差部を設けてもよい。
図15Bに示す一例では、第1の保持面261における塗布領域が、第3外側面342aと離れる方向に接着剤(接着剤4aや接着剤4b)の塗布領域の外周から凹んでいる凹部261aが形成されている。そして、接着剤4aは、凹部261aと第3外側面342aとの間を埋めるように塗布されて、弾性を有する樹脂部材4となる。また、
図15Cに示す一例では、第1の保持面261における塗布領域が、第3外側面342aに近づく方向に接着剤(接着剤4aや接着剤4b)の塗布領域の外周から突出している凸部261bが形成されている。そして、接着剤4aは、凸部261bと第3外側面342aとの間を埋めるように塗布されて、弾性を有する樹脂部材4となる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の第3外側面342a、第3外側面342a、第3外側面342a)の形状および第2の筐体22(の第1の保持面261、凹部261a、凸部261b)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0057】
また、
図16Bに示す一例では、第2の保持面262における塗布領域が、外面353と離れる方向に該塗布領域の外周から凹んでいる凹部262aが形成されている。そして、接着剤4bは、凹部262aと外面353との間を埋めるように塗布されて、弾性を有する樹脂部材4となる。また、
図16Cに示す一例では、第2の保持面262における塗布領域が、外面353に近づく方向に該塗布領域の外周から突出している凸部262bが形成されている。そして、接着剤4bは、凸部262bと外面353との間を埋めるように塗布されて、弾性を有する樹脂部材4となる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の外面353、外面353、外面353)の形状および第2の筐体22(の凹部262a、凸部261b、第2の保持面262)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0058】
ところで、本実施形態では、
図16A~Cに示すように、弾性を有する接着剤4を間隙302に容易に充填できるように、第2保持壁27の上部(第1の筐体21側)に、筐体2の筐体2の面部へ向かうにつれて間隙幅が広くなる傾斜面27aを形成している。かかる傾斜面27aは、第2保持壁27のみならず、第1保持壁26に形成することもできる。
【0059】
実施形態に係る回転装置1のモータ3の支持構造は、上述してきた例に限らず、たとえば、
図17A~
図17Eに示す構成とすることもできる。
図17Aは、実施形態に係る回転装置1のモータ3の支持構造の第1の変形例を示す模式的説明図、
図17Bは、同第2の変形例を示す模式的説明図、
図17Cは、同第3の変形例を示す模式的説明図、
図17Dは、同第4の変形例を示す模式的説明図、
図17Eは、同第5の変形例を示す模式的説明図である。
【0060】
図17Aに示すように、フレーム30の外周側面30aから第1の端部34の第3外側面342aに跨る領域と、筐体2の壁部2aの内側に形成された保持壁260との間に、弾性を有する接着剤4を介在させることで、モータ3を支持することもできる。
【0061】
あるいは、
図17Bに示すように、フレーム30の外周側面30aと、外周側面30aと対向する面、すなわち、保持部としての筐体2の壁部2aの内側の面である底面2bとの間であれば、いかなる位置であっても弾性を有する接着剤4を介在させることで、モータ3を支持することができる。すなわち、
図17Bに示す一例では、フレーム平行面である外周側面30aと、外周側面30に対向する筐体2(第2の筐体22)の底面2bとの間に、接着剤4が塗布される。
【0062】
なお、接着剤4をフレーム平行面に塗布する形態では、
図17C、
図17Dに示すように、フレーム平行面である外周側面30aに対向する第2の筐体22の面(底面2b)における接着剤4の塗布領域の外周に段差部を設けてもよい。
図17Cに示す一例では、底面2bにおける塗布領域が、外周側面30aと離れる方向に該塗布領域の外周から凹んでいる凹部20bが形成されている。そして、接着剤4は、外周側面30aと凹部20bとの間を埋めるように塗布されて、弾性を有する樹脂部材としての接着剤4となる。また、
図17Dに示す一例では、底面2bにおける塗布領域が、外周側面30aに近づく方向に該塗布領域の外周から突出している凸部21bが形成されている。そして、接着剤4は、外周側面30aと凸部21bとの間を埋めるよう塗布されて、弾性を有する樹脂部材4となる。なお、フレーム30の外表面であり、フレーム平行面である外周側面30aは、筒状体32の外表面であり、底面2bに対向する面以外の面が含まれる。
【0063】
また、
図17Eに示すように、筐体2の壁部2aの内側に形成した第1保持壁26とフレーム30の第1の端部34の第3外側面342aとの間に、第1の弾性を有する接着剤4aを介在させ、さらに、筐体2の壁部2aの内側に形成した第2保持壁27と第2の端部35の第4外側面352aとの間に、第2の弾性を有する接着剤4bを介在させてモータ3を支持することもできる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の外周側面30aから第1の端部34の第3外側面342aに跨る領域、外周側面30a、第3外側面342a、第4外側面352a)の形状および第2の筐体22(の保持壁260、底面2b、第1保持壁26、第2保持壁27)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0064】
このように、弾性を有する接着剤4を、フレーム30の外側面と軸方向に交差する保持部の面との間に介在させることでモータ3をしっかりと支持することができ、異音の発生を抑制することができる。
【0065】
次に、他の実施形態に係る回転装置1のモータ3の支持構造について説明する。
図18Aは、他の実施形態に係る回転装置1のモータ3の支持構造を示す模式的説明図である。他の実施形態におけるモータ3は、
図18Aに示すように、フレーム30の両側から回転軸31が突出するタイプとしている。なお、他の実施形態におけるモータ3の回転軸31のうち、
図18Aに示すように、第1の端部34から突出してウォームギア70が装着された部分を第1突出軸31aとし、第2の端部35から突出して部分を第2突出軸31bと呼ぶとする。
【0066】
第1突出軸31aの端部は、第3の保持部となる第1軸受355により筐体2の壁部2aにおいて支持されるとともに、第2突出軸31bの端部は、第4の保持部となる第2軸受356により筐体2の壁部2aにおいて支持されている。
【0067】
したがって、モータ3の回転軸31は、第1軸受355おおび第2軸受356を介して筐体2の壁部2aにより支持されているため、軸方向への移動は、構造上規制されている。他方、かかるタイプのモータ3では、回転軸31が回転すると、反力によって機能部3a(
図16A等参照)を収納するフレーム30が回転するおそれがある。
【0068】
そこで、ここでは、フレーム30の筒状体32を保持する第5の保持部として、モータ保持部101を筐体2の壁部2aに形成し、この筐体2の壁部2aとフレーム30の筒状体32の外周側面30aとの間に第3の弾性を有する接着剤4cを介在させている。筒状体32の外周側面とモータ保持部101の面となる筐体2の壁部2aとの間には、第3の弾性を有する接着剤4cを介在させるだけの間隙dが設けられている。接着剤4cは、上記の接着剤4aおよび接着剤4bと同様に、硬化後に弾性を有する部材となる接着剤である。言い換えると、
図18Aに示す一例では、フレーム平行面である外周側面30aと、保持部としての底面2bとの間に、接着剤4cが塗布されている。そして、
図18Aに示す一例では、底面2bにおける塗布領域が、外周側面30aに近づく方向に底面2bにおける塗布領域の外周から突出している凸部としての保持部101が形成されている。そして、接着剤4cは、外周側面30aと保持部101との間を埋めるよう塗布されて、弾性を有する樹脂部材4となる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の外周側面30a)の形状および第2の筐体22(の底面2b)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0069】
かかる構成により、筐体2の内部でモータ3のフレーム30が回動することを抑制し、それに伴う異音の発生も防止することができる。
【0070】
フレーム30の両側から回転軸31が突出するタイプとした他の実施形態に係る回転装置1のモータ3の支持構造は、
図18B、
図18Cおよび
図18Dの構成とすることもできる。
図18Bは、他の実施形態に係る回転装置1のモータ3の支持構造の第1の変形例を示す模式的説明図、
図18Cは、同第2の変形例を示す模式的説明図、
図18Dは、同第3の変形例を示す模式的説明図である。
【0071】
図18Bに示す一例では、底面2bにおける塗布領域が、外周側面30aと離れる方向に該塗布領域の外周から凹んでいる凹部102が形成されている。そして、接着剤4cは、外周側面30aと凹部102との間を埋めるように塗布されて、弾性を有する樹脂部材としての接着剤4となる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の外周側面30a)形状および第2の筐体22(の凹部102)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0072】
図18Cに示すように、フレーム30の外周側面30aから第1の端部34の第3外側面342aに跨る領域と、筐体2の壁部2aの内側に形成された壁状のモータ保持部101aとの間に、第3の弾性を有する接着剤4cを介在させることで、モータ3を支持することもできる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(フレーム30の外周側面30aから第1の端部34の第3外側面342aに跨る領域)の形状および第2の筐体22(のモータ保持部101a)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0073】
また、
図18Dに示すように、壁状のモータ保持部101aを、モータ3のフレーム30の第1の端部34側および第2の端部35側に設け、一方のモータ保持部101aと第1の端部34の第3外側面342aとの間、および他方のモータ保持部101aと第2の端部35の第3外側面352aとの間に第3の弾性を有する接着剤4cを介在させてモータ3を支持することもできる。また、硬化後の弾性を有する樹脂部材4の形状には、モータ3(の第3外側面342a、第3外側面352a)形状および第2の筐体22(の一方のモータ保持部101a、他方のモータ保持部101a)の形状が転写されており、硬化後の弾性を有する樹脂部材4は、モータ3および第2の筐体22を接着する接着剤である。
【0074】
このように、フレーム30の両側から回転軸31が突出したタイプのモータ3であっても、弾性を有する接着剤4を、フレーム30の外側面と軸方向に交差する保持部の面との間に介在させることにより、モータ3を支持して異音の発生を抑制することができる。
【0075】
なお、
図18A、
図18Cおよび
図18Dに示した例では、第3の保持部としてのモータ保持部101を、筐体2の壁部2aから内側に突出させて形成したが、モータ保持部101の大きさや形状は何ら限定されるものではない。筐体2の壁部2aにおいて、第3の弾性を有する接着剤4cを付着させる面をモータ保持部101としても構わない。
【0076】
また、本実施形態で示した第3の保持部は、先の実施形態で示した回転軸31が一側に突出したタイプのモータ3にも適用することができる。
【0077】
次に、他の実施形態に係る筐体2を用いたモータ3の支持構造について説明する。上記の実施形態では、モータ3(第1軸受部341および第2軸受部351)が、第1の筐体21および第2の筺体22の双方に直接接触して支持された状態で、弾性を有する樹脂部材4を、第2の筺体22とモータ3との間に形成された間隙の一部に充填することで、異音の発生を抑制している。ここで、異音は、駆動させたモータ3の振動が筐体2に伝搬することで、筐体2から生じる。かかる異音の発生は、モータ3の振動を筐体2に伝搬することを抑制することで、抑制することができる。
【0078】
そこで、以下の実施形態では、モータ3の振動を筐体2に伝搬することを抑制するため、回転装置1を以下のように構成する。まず、モータ3は、第1の筐体21および第2の筐体22のうち一方の筐体に直接接触して支持される。そして、モータ3は、第1の筐体21および第2の筐体22のうち他方の筐体の全体に対して非接触であり、弾性を有する樹脂部材4を介して、他方の筐体に対して支持されている。これにより、モータ3の振動を筐体2に伝搬することを抑制でき、異音の発生を抑制することができる。
【0079】
このように構成された回転装置1の一例について、
図19~
図23を用いて説明する。
図19~
図23は、他の実施形態に係る筐体2を用いたモータ3の支持構造を説明するための図である。なお、
図19~
図23に示す回転装置1は、基本的には、
図1~
図16Cを用いて説明した回転装置1と同様の構造を有するが、他方の筐体としての第2の筐体22の構造と、弾性を有する樹脂部材4が配置される位置等が異なる。
【0080】
図19は、モータ3の回転軸31を通り、モータ3の回転軸方向に切断された回転装置1の断面図である。
図19に示すように、モータ3は、一方の筐体としての第1の筐体21に直接接触して支持される。具体的には、出力軸51の回転軸方向(フレーム垂直方向でもある)において、第1の筐体21とモータ3のフレーム30とが直接接触している。より具体的には、第1の筐体21の第3保持壁21aに形成された第3凹部21bは、フレーム30の第1軸受部341を、モータ軸垂直方向で当接して保持する。また、第1の筐体21の第4保持壁21cに形成された凸部21dは、フレーム30の第2軸受部351を、モータ軸垂直方向で当接して保持する。
【0081】
一方、モータ3は、他方の筐体としての第2の筐体22の全体に対して非接触である。例えば、
図19に示すように、第2の筐体22の第1保持壁26に形成された第1凹部26aは、フレーム30の第1軸受部341とは接触していない。また、
図19に示すように、第2の筐体22の第2保持壁27に形成された第2凹部26bは、フレーム30の第2軸受部351とは接触していない。
【0082】
そして、モータ3は、弾性を有する樹脂部材4を介して、第2の筐体22に対して支持されている。言い換えれば、回転軸31の回転軸方向と直交する出力軸51の回転軸方向において、対向する第2の筐体22の全体とモータ3のフレーム30の全体との間には、所定の間隙が形成されている。そして、この間隙に、弾性を有する樹脂部材4が配置されている。
【0083】
図20は、
図19に示す第2の筐体22の全体斜視図である。例えば、
図19および
図20に示すように、底面2bと外周側面30aとの間に、樹脂部材4としての接着剤401と接着剤402が、回転軸方向に離間して配置される。接着剤401は、第1凹部26a側の底面2bに配置される。接着剤402は、第2凹部26b側の底面2bに配置される。なお、第2の筐体22とフレーム30との間に形成される間隙に点在して配置される樹脂部材の数は、3以上であっても良い、また、この間隙に配置される樹脂部材は、モータ3の径方向又は回転軸方向において線状に設けられるなど、任意の形状で設けられて良い。樹脂部材を線状に設ける場合には、線状の樹脂部材の幅(短手方向)はモータ3のシャフトの幅(径)と同じ又は小さくても構わない。線状の樹脂部材の幅(長手方向)はモータ3の回転軸方向における長さと同じ又は小さくても構わない。
【0084】
また、上述したように、第1の筐体21は、出力軸51の回転軸方向においてフレーム30と直接接触している。しかし、第1の筐体21は、モータ3の回転軸方向において、第1の筐体21とモータ3のフレーム垂直面との間には、所定の間隙が形成されている。本実施形態では、更に、この間隙に、弾性を有する樹脂部材4が配置されている。
【0085】
図21は、
図19に示す第1の筐体21の斜視図である。
図19および
図21に示すように、プレート370と第4保持壁21cとの間には、樹脂部材4としての接着剤403が、第4保持壁21cの一面を覆うように配置されている。また、
図19および
図21に示すように、第3外側面342aと第3保持壁21aとの間には、樹脂部材4としての接着剤404が、第3保持壁21aの一面を覆うように配置されている。なお、接着剤4040は第3保持壁21aの一部を覆うように配置されていても構わない。また、接着剤4040は第4保持壁21cの一部を覆うように配置されていても構わない。
【0086】
また、モータ3の回転軸方向に直交し、かつ、出力軸51の回転軸方向に直交する方向においても、第1の筐体21とモータ3の外周側面30aとの間に、所定の間隙が形成されている。この間隙に、弾性を有する樹脂部材4が配置されている。言い換えると、第1の筐体21は、第1軸受部341および第2軸受部351に直接接触して、モータ3を支持しているが、それ以外の箇所については、モータ3と非接触である。
図22は、接着剤402を通り、かつ、
図19に示す断面と直交し、かつ、モータ3の回転軸方向と直交する切断面による回転装置1の断面図である。また、
図22は、接着剤401を通り、かつ、
図19の断面と直交し、かつ、モータ3の回転軸方向と直交する切断面による回転装置1の断面図である。
【0087】
図21、
図22、
図23に示すように、第1の筐体21は、モータ3を囲む面として、底面2cと、底面2cの出力軸51側の端部から第2の筐体22に向かって立ち上がる側面2dと、底面2cの出力軸51側とは反対側の端部から第2の筐体22に向かって立ち上がる側面2eとを有する。例えば、
図21、
図22、
図23に示すように、樹脂部材4である接着剤405は、側面2dと外周側面30aとの間に、モータ3の回転軸方向に沿った線状に配置される。また、
図22、
図23に示すように、樹脂部材4である接着剤406は、側面2dと外周側面30aとの間に、モータ3の回転軸方向に沿った線状に配置される。なお、樹脂部材4である接着剤405や接着剤406は、モータ3の回転軸方向に沿って点在して配置されても構わない。
【0088】
なお、本実施形態においても、樹脂部材4は、上述したように、液状の接着剤が硬化した部材であり、液状の接着剤は、硬化後に弾性を有する部材となる接着剤である。かかる樹脂部材4は、上述したように、モータ3の形状および保持部としての筐体2の形状が転写された形状を備え、弾性を有する樹脂部材4は、モータ3と筐体2を接着する接着剤となる。
【0089】
このように、駆動させたモータ3の振動の主たる発生源である第1軸受部341および第2軸受部351は、一方の筐体である第1の筐体21の一部に直接接触して支持される。その一方で、第1軸受部341および第2軸受部351を含めたモータ3全体は、他方の筐体である第2の筐体21の全体に対して非接触であり、弾性を有する樹脂部材4を介して、支持されている。その結果、第1の筐体21により、モータ3の保持機能を確保してモータ3の移動を抑制しつつ、第2の筐体21との間に配置した樹脂部材4により、モータ3の振動を吸収して、振動が筐体2に伝搬することを抑制することができる。これにより、異音の発生を抑制することができる。
【0090】
また、第1軸受部341および第2軸受部351において第1の筐体21と接触している部分以外の大部分において、モータ3は、第1の筐体21に対して非接触である。そして、弾性を有する樹脂部材4は、第1の筐体21においてモータ3と非接触となっている部分と、モータ3との間にも、配置される。これにより、モータ3の振動が筐体2に伝搬することをより抑制することができる。なお、本実施形態は、第1の筐体21とモータ3との間に樹脂部材4を配置しない場合であっても良い。また、本実施形態は、一方の筐体が第2の筐体22であり、他方の筐体が第1の筐体21であっても良い。
【0091】
更に、本実施形態は、モータ3が、第1の筐体21の全体および第2の筐体22の全体の双方に対して非接触であり、モータ3が、弾性を有する樹脂部材4を介して、第1の筐体21および第2の筐体22の双方に支持されていても良い。かかる構成によっても、異音の発生を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態で示した形態は、先の実施形態で示した回転軸31が両側から突出したタイプのモータ3にも適用することができる。
【0093】
上述してきた実施形態によれば、以下に示す回転装置1が実現される。
【0094】
(1)対向する第1の筐体21および第2の筐体22を備える筐体2と、筐体2に収納されるモータ3およびこのモータ3の回転を外部に伝達する出力ギア5とを備え、第1の筐体21には、第1の貫通孔281を有する円筒状の突出部28が形成され、第2の筐体22には、突出部28が嵌合する第2の貫通孔282が設けられる回転装置1。
【0095】
かかる構成の回転装置1によれば、第1の筐体21や第2の筐体22の成型時に反りが生じたとしても、両者を組み付けて突出部28を第2の貫通孔282に嵌合させた際に、第1の筐体21や第2の筐体22の反りを矯正することができる。したがって、筐体2の寸法精度が向上し、収納するモータ3や出力ギア5を含むギア群6も精度良く噛み合うため、異音の発生を抑制することができる。
【0096】
(2)上記(1)において、円筒状の突出部28の外径は、第2の貫通孔282の口径よりも大きい回転装置1。
【0097】
かかる構成によれば、突出部28を第2の貫通孔282にしっかりと圧入することができ、上記(1)に記載の反りの矯正をより高めることができる。
【0098】
(3)上記(1)または(2)において、突出部28は第1の筐体21の外周部の角部に設けられており、第2の貫通孔282は第2の筐体22の角部に設けけられている回転装置1。
【0099】
かかる構成によれば、上記(2)に記載の反りの矯正力を高めるとともに、異音発生の抑制力を高めることができる。
【0100】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、突出部28を複数備え、第2の貫通孔282を複数備え、複数の突出部28はそれぞれ第1の筐体21の複数の角部に設けられており、複数の第2の貫通孔282はそれぞれ第2の筐体22の複数の角部に設けられている回転装置1。
【0101】
かかる構成によれば、上記(1)から(3)のいずれかにおける反りの矯正力をより高めるとともに、異音発生の抑制力を高めることができる。
【0102】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、第1の筐体21および第2の筐体22は、それぞれ互いに接触する第1の接触面271および第2の接触面272を有し、第1の筐体21は、筐体2の天面部となる第1の面部210を有するとともに、突出部28は第1の接触面271から突出し、第2の筐体22は、筐体2の底面部となる第2の面部220を有するとともに、第2の貫通孔282は、第2の接触面272から第2の面部220にかけて延在する回転装置1。
【0103】
かかる構成によれば、上記(1)から(4)のいずれかに記載の反りの矯正を奏しつつ、第1の筐体21と第2の筐体22とにより、所望する形状の筐体2を構成することができる。
【0104】
(6)上記(5)において、第1の面部210および第2の面部220は、それぞれ複数の角部を有し、突出部28および第2の貫通孔282は、複数の角部に形成されている回転装置1。
【0105】
かかる構成によれば、上記(5)に記載の反りの矯正を可能としつつ、十分な剛性を有する第1の筐体21および第2の筐体22を、樹脂成型により簡便に形成することができる。
【0106】
(7)上記(6)において、第2の筐体22は、第2の面部220の外周に設けられる第2の側壁部222を有し、この第2の側壁部222における角部に形成された厚肉部29に第2の貫通孔282が形成されている回転装置1。
【0107】
かかる構成によれば、第2の貫通孔282の口径にかかわらず、十分な剛性を有する第2の筐体22を形成することができる。
【0108】
(8)上記(5)から(7)のいずれかにおいて、突出部28の突出長L1と、この突出部28が設けられている部位における筐体2の厚さHとは、0.3*H≦L1≦0.8*Hの関係を満たす回転装置1。
【0109】
かかる構成によれば、筐体の厚みに拘わらず、異音発生の抑制力をより高めることができる。
【0110】
(9)上記(5)から(8)のいずれかにおいて、突出部28の突出長L1と、第2の貫通孔282の全長L2とは、L1≦L2の関係を満たす回転装置1。
【0111】
かかる構成によれば、締結具を介して締結する際に、締結具の締結力により、第1の接触面と第2の接触面とを、確実に当接させることができ、第1の筐体と第2の筐体とをより確実に組み付けることができる。
【0112】
(10)上記(5)から(9)のいずれかにおいて、突出部28の突出長L1と、第2の貫通孔282の全長L2とは、0.3≦L1/L2≦1.0の関係を満たす回転装置1。
【0113】
かかる構成によれば、上記(5)から(9)に記載されているような反りの矯正を可能としつつ、十分な剛性を有する第1の筐体21および第2の筐体22をより確実に形成することができる。
【0114】
(11)上記(5)から(10)のいずれかにおいて、第1の接触面271に、突出部28を囲む環状溝部23が形成されている回転装置1。
【0115】
かかる構成によれば、上記(5)から(10)に記載されているような反りの矯正を可能としつつ、十分な剛性を有する第1の筐体21および第2の筐体22をより確実に形成することができるうえに、突出部28を第2の貫通孔282に容易に嵌合させることができる。
【0116】
(12)上記(1)から(11)のいずれかにおいて、第1の貫通孔281に挿通される締結具60を介して所定の取付面(例えば板金200や板体202)に取付け可能な回転装置1。
【0117】
かかる構成によれば、回転装置1を、用途に応じた所望する位置に簡単に取付けることができる。
【0118】
(13)モータ3と、このモータ3の回転を外部に伝達する出力ギア5と、モータ3および出力ギア5を収納する筐体2とを備え、モータ3は、弾性を有する接着剤4を介して筐体2に形成された保持部(第1保持壁26および第2保持壁27)に保持される回転装置1。
【0119】
かかる構成の回転装置1によれば、コストアップを抑制しつつ、異音の発生を抑制することができる。
【0120】
(14)上記(13)において、モータ3は、フレーム30と、出力ギア5と連結する回転軸31とを備え、フレーム30は、筒状体32と、軸方向における第1の端部34を形成する第3外側面342aとを有し、第1保持壁26は、軸方向に交差する面261を備え、弾性を有する接着剤4は、軸方向に交差する第1保持壁26の面261とフレーム30の第3外側面342aとの間に介在する回転装置1。
【0121】
かかる構成によれば、モータ3が軸方向へ移動することを抑制でき、コストアップを抑制しつつ、より確実に異音の発生を抑制することができる。
【0122】
(15)上記(14)において、弾性を有する接着剤4は、軸方向に交差する第2保持壁27の面262とフレーム30の第2の端部35との間に介在する回転装置1。
【0123】
かかる構成においても、モータ3が軸方向へ移動することを抑制でき、コストアップを抑制しつつ、より確実に異音の発生を抑制することができる。
【0124】
(16)上記(14)または(15)において、軸方向における端部を第1の端部34とし、この第1の端部34を形成する外側面を第1外側面として、フレーム30は、第2の端部35を形成する第2外側面を備え、保持部を第1保持壁26として第2保持壁27を備え、軸方向に交差する面を、フレーム30の第1外側面側における軸方向に交差する面として、第2保持壁27は、第2外側面側における軸方向に交差する面を備え、弾性を有する接着剤4を第1の弾性を有する接着剤4aとして、第2の弾性を有する接着剤4bを備え、この第2の弾性を有する接着剤4bは、第2外側面側とこの第2外側面側における軸方向に交差する面との間にある回転装置1。換言すれば、フレーム30は、軸方向における端部としての第1の端部34を形成する第1外側面と、当該を形成する第1外側面と反対側の第2の端部35を形成する第2外側面とを備え、保持部(第1保持壁26および第2保持壁27)は、軸方向に交差する面として、第1外側面側における軸方向に交差する第1の保持面261と、第2外側面側における軸方向に交差する第2の保持面262とを備え、第1外側面と第1外側面側における軸方向に交差する第1の保持面261との間に第1の弾性を有する接着剤4aが有り、第2外側面と当該第2外側面側における軸方向に交差する第2の保持面262との間に第2の弾性を有する接着剤4bがある回転装置1。
【0125】
かかる構成によれば、上記(10)または(11)における異音の発生の抑制をより強めることができる。
【0126】
(17)上記(16)において、モータ3は、第1軸受部341と、第2軸受部351を備え、第1軸受部341は、軸受341aと、フレーム30の端部を第1の端部34として備え、第2軸受部351は、軸受351aと、フレーム30の第2の端部35を備え、第1の端部34および第2の端部35は、それぞれ軸方向に交差する外側面342a,352aを備え、筐体2には、第1軸受部341を保持する第1保持壁26と第2軸受部351を保持する第2保持壁27とが設けられており、第1の弾性を有する接着剤4aは、第1保持壁26における軸方向に交差する第1の保持面261と第1の端部34の第3外側面342aとの間、第2の弾性を有する接着剤4bは、第2保持壁27における軸方向に交差する第2の保持面262と第2の端部35の第2軸受部351との間に介在する回転装置1。
【0127】
かかる構成によれば、回転軸31がフレーム30の一方向に突出したタイプのモータ3に対して好適に用いることができ、コストアップを抑制しつつ、異音の発生を抑制することができる。
【0128】
(18)上記(16)において、筐体(2)には、フレーム30の筒状体32を保持するモータ保持部101が設けられ、弾性を有する接着剤4は、筒状体32と、フレーム30の筒状体32を保持するモータ保持部101との間に介在する回転装置1。
【0129】
かかる構成によれば、回転軸31がフレーム30の両方向に突出したタイプのモータ3に対して好適に用いることができ、コストアップを抑制しつつ、異音の発生を抑制することができる。
【0130】
(19)上記(16)から(18)のいずれかにおいて、筒状体32の外周側面と、この筒状体32の外周側面に対向するモータ保持部101の保持面となる壁部2aとの間には、弾性を有する接着剤4が介在した間隙dが設けられている回転装置1。
【0131】
かかる構成によれば、モータ3と保持面となる壁部2aとの間に弾性を有する接着剤4を確実に介在させることができる。
【0132】
(20)上記(16)において、回転軸31は、第1の端部34および第2の端部35からそれぞれ突出し、筐体2には、回転軸31の両端部を保持する第1軸受355および第2軸受356と、フレーム30の筒状体32を保持するモータ保持部101とが設けられ、第3の弾性を有する接着剤4cは、フレーム30の筒状体32と、モータ保持部101との間に介在する回転装置1。
【0133】
かかる構成によれば、回転軸31がフレーム30の両方向に突出したタイプのモータ3に対し、上記(16)の効果、すなわち異音の発生の抑制を十分に奏することができる。
【0134】
(21)上記(16)において、回転軸31は、第1の端部34および第2の端部35からそれぞれ突出し、筐体2には、回転軸31の両端部を保持する第1軸受355および第2軸受356と、フレーム30の筒状体32を保持する一方のモータ保持部101aおよび他方のモータ保持部101aとが設けられ、第3の弾性を有する接着剤4cは、フレーム30の第1外側面と一方のモータ保持部101aとの間、および第2外側面と他方のモータ保持部101aとの間に介在する回転装置1。
【0135】
かかる構成においても、回転軸31がフレーム30の両方向に突出したタイプのモータ3に対し、上記(16)の効果、すなわち異音の発生の抑制を十分に奏することができる。
【0136】
(22)上記(13)から(21)のいずれかにおいて、弾性を有する接着剤4は、ゴム系の樹脂部材、シリコン系の樹脂部材、変性シリコン系の樹脂部材、ウレタン系の樹脂部材、エポキシ系の樹脂部材のうち少なくとも一つである回転装置1。
【0137】
かかる構成によれば、特殊な材料を用いることなく簡便にコストアップを抑制しつつ、異音の発生を抑制することができる。
【0138】
(23)上記(13)から(22)のいずれかにおいて、弾性を有する樹脂部材4は、モータ3の形状および保持部の形状が転写された形状を備え、弾性を有する樹脂部材4は、モータ3と保持部を接着する接着剤である回転装置1。
【0139】
かかる構成によれば、接着対象の形状にならって接着剤が形成されるので、弾性を有する樹脂部材4を介してモータ3と保持部とを確実に接着させることができ、異音の発生を確実に抑制することができる。
【0140】
(24)上記(13)から(23)のいずれかにおいて、弾性を有する樹脂部材4は、モータ3と保持部との間に塗布された液状の接着剤4が硬化した部材であり、液状の接着剤4は、硬化後に弾性を有する部材となる接着剤である回転装置1。
【0141】
かかる構成によれば、金型で成形されたOリングのような成形品を隙間に入れてクッションとするのではなく、隙間の形状に沿った形状の樹脂部材4を形成してクッションとすることができるので、異音の発生を確実かつ容易に抑制することができる。
【0142】
(25)上記(13)において、筺体2は、第1の筺体21および第2の筺体22を備え、モータ3は、第1の筺体21および第2の筺体22のうち一方の筐体に直接接触して支持され、モータ3は、第1の筺体21と第2の筺体22のうち他方の筐体の全体に対して非接触であり、モータ3は、弾性を有する樹脂部材4を介して、他方の筐体に対して支持されている回転機器1。
【0143】
かかる構成によれば、モータ3の振動を筐体2に伝搬することを抑制でき、異音の発生を抑制することができる。
【0144】
(26)モータ3と、ギア6と、モータ3およびギア6を収納する筐体2とを備え、筺体2は、第1の筺体21および第2の筺体22を備え、モータ1は、第1の筺体21および第2の筺体22のうち一方の筐体に直接接触して支持され、モータ3は、第1の筺体21と第2の筺体22のうち他方の筐体の全体に対して非接触であり、モータ3は、弾性を有する樹脂部材4を介して、他方の筐体に対して支持されている回転機器1。
【0145】
かかる構成によれば、モータ3の振動を筐体2に伝搬することを抑制でき、異音の発生を抑制することができる。
【0146】
以上、本発明を各実施形態に基づき説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもなでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0147】
1 回転装置、2 筐体、2a 壁部、3 モータ、3a 機能部、4 弾性を有する接着剤、4a 第1の弾性を有する接着剤、4b 第2の弾性を有する接着剤、5 出力ギア、6 ギア群、7 センサー、21 第1の筐体、22 第2の筐体、23 環状溝部、26 第1保持壁、26a 第1凹部、26b 第2凹部、27 第2保持壁、27a 傾斜面、28 突出部、28a 根元、29 厚肉部、30 フレーム、31 回転軸、31a 第1突出軸、31b 第2突出軸、32 筒状体、34 第1の端部、35 第2の端部、40 端子群、51 出力軸、60 締結具、61 第1伝達ギア、61a ヘリカルギア、61b 小径ギア、62 第2伝達ギア、70 ウォームギア、91 突起部、92 嵌合孔、93 接合片、94 連結孔、101 モータ保持部、200 板金、201 締結孔、202 板体、203 孔部、210 第1の面部、211 第1の側壁部、212 係合部、214 開口部、215 係合凹部、220 第2の面部、222 第2の側壁部、224 係合突起、226 開口部、228 モータ配置部、261 第1の保持面、262 第2の保持面、271 第1の接触面、272 第2の接触面、281 第1の貫通孔、281a 雌ネジ部、282 第2の貫通孔、283 先端、284 終端、301,302 間隙、341 第1軸受部、342 第1側部、342a 第3外側面、351 第2軸受部、352 第2側部、352a 第4外側面、353 外面、356 第2軸受、d 間隙、D 空隙