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特許7403477プリント回路基板伝送線路および電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】プリント回路基板伝送線路および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231215BHJP
   H01P 3/08 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H01P3/08 100
H01P3/08 200
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020566715
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2019087571
(87)【国際公開番号】W WO2019228208
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】201810535150.0
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 宜耀
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 新波
(72)【発明者】
【氏名】廖 志▲強▼
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】山内 裕史
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-112707(JP,A)
【文献】実開昭54-020347(JP,U)
【文献】特開平7-336006(JP,A)
【文献】特開2014-154842(JP,A)
【文献】実開平1-146569(JP,U)
【文献】実開平7-43554(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層、金属線路、少なくとも1つの第1の溶接ポイント、少なくとも1つの第1の伝送媒体、および接地機能を実施するように構成された金属部品を備えるプリント回路基板伝送線路であって、
前記金属線路が前記基板層の表面にめっきされており、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、前記金属線路が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される溶接ポイントであり、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントが前記金属線路に溶接されるとともに、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されており、前記金属部品が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されており、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に少なくとも1つの溝が与えられており、
前記少なくとも1つの溝が、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントに近接する前記基板層の端部から前記金属線路に沿って延在しており、
前記プリント回路基板伝送線路が、少なくとも1つの第2の溶接ポイントおよび少なくとも1つの第2の伝送媒体をさらに備え、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントと前記溝との間に前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが配設されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが前記少なくとも1つの第2の伝送媒体に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の伝送媒体が前記金属部品に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される前記金属線路とも、他の金属線路とも接続されていない、プリント回路基板伝送線路。
【請求項2】
前記少なくとも1つの溝と前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントとの間の距離が前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さ未満である、請求項1に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項3】
前記少なくとも1つの溝が逆L字形であり、前記少なくとも1つの溝の縦方向の垂直の長さが前記基板層の幅の2分の1未満である、請求項1または2に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントと前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントとの間の距離が前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さ未満である、請求項に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの材料が前記金属線路の材料と同一であり、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントの材料が前記金属線路の前記材料と同一である、請求項1から4のいずれか一項に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントの長さが前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの前記長さと一致しており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントの幅が前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの幅と一致している、請求項1から5のいずれか一項に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項7】
前記金属部品が金属キャビティを備え、前記金属キャビティが前記基板層の周囲に配設されて前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されている、請求項1からのいずれか一項に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項8】
前記金属部品が金属板を備え、前記金属板が前記基板層の底面に配設されて前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されている、請求項1からのいずれか一項に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の伝送媒体がケーブルまたはプローブを備え、前記少なくとも1つの第2の伝送媒体がケーブルまたはプローブを備える、請求項1からのいずれか一項に記載のプリント回路基板伝送線路。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のプリント回路基板伝送線路を備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年5月29日に中国特許庁に出願された「PRINTED CIRCUIT BOARD TRANSMISSION LINE AND ELECTRONIC DEVICE」という名称の中国特許出願第201810535150.0号の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本出願は回路技術の分野に関し、詳細にはプリント回路基板伝送線路および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴って、電子デバイスはますます広範に適用されている。電子デバイスを生成するプロセスでは、電子デバイスに対して高温/低温信頼性試験を実行する必要がある。プリント回路基板伝送線路は電子デバイスの主要な要素である。高温/低温信頼性試験のプロセスでは、プリント回路基板伝送線路において、基板層の膨張係数が、接地用に使用される金属キャビティまたは金属板の膨張係数とは異なるために、高温試験プロセスでは、プリント回路基板伝送線路における基板層の表面の溶接ポイントであって、プリント回路基板伝送線路において伝送媒体を基板層の表面の金属線路に接続するために使用される溶接ポイントの亀裂または変形の問題がある。それゆえ、電子デバイスに対して信頼性試験を実行するのが困難である。
【0004】
現在、プリント回路基板伝送線路の表面にモールド樹脂が追加され、モールド樹脂は充填物として金属酸化物を含み、その結果、モールド樹脂は十分な硬度を有する。プリント回路基板伝送線路において伝送媒体を基板層の表面の金属線路に接続するために使用される、プリント回路基板伝送線路における基板層の表面の溶接ポイントの、プリント回路基板伝送線路において基板層と金属部品の膨張係数が異なることに起因する亀裂または変形の問題を避けるために、このモールド樹脂がプリント回路基板伝送線路の表面を覆う。
【0005】
しかしながら、プリント回路基板伝送線路における伝送媒体を基板層の表面の金属線路に接続するために使用される、プリント回路基板伝送線路における基板層の表面の溶接ポイントの変形または亀裂の問題を解決するために、モールド樹脂を添加するとき、さらなる材料層を追加する必要があり、プリント回路基板伝送線路のコストが増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施形態が提供するプリント回路基板伝送線路および電子デバイスでは、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するように、プリント回路基板伝送線路の少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に少なくとも1つの溝が与えられ、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決される。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【0007】
本出願の実施形態の第1の態様は、プリント回路基板伝送線路の構造を提供するものである。プリント回路基板伝送線路は、基板層、金属線路、少なくとも1つの第1の溶接ポイント、少なくとも1つの第1の伝送媒体、および接地機能を実施するように構成された金属部品を含む。金属線路は基板層の表面にめっきされる。少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、金属線路が少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される溶接ポイントである。少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、金属線路に溶接されるとともに、少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接される。金属部品は少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接される。少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するように構成された少なくとも1つの溝が与えられる。第1の態様から、この実施形態では、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するために、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に少なくとも1つの溝が与えられ、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決されることが分かり得る。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【0008】
可能な実装形態では、少なくとも1つの溝と少なくとも1つの第1の溶接ポイントとの間の距離は、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さ未満である。この可能な実装形態では、少なくとも1つの溝と少なくとも1つの第1の溶接ポイントとの間の距離は、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さ範囲に制限され、少なくとも1つの溝は、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を効果的に軽減するように構成されており、それによって、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力に起因する第1の溶接ポイントの亀裂の問題を解決する。
【0009】
別の可能な実装形態では、少なくとも1つの溝は逆L字形であり、少なくとも1つの溝の縦方向の垂直の長さは基板層の幅の2分の1未満である。この可能な実装形態では、溝の特定の構造が与えられ、溝の縦方向の垂直の長さは基板層の幅の2分の1未満である。プリント回路基板伝送線路のスペースが比較的制限されているとき、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を、逆L字形の溝を使用することによって軽減するように、少なくとも1つの第1の溶接ポイントに対して逆L字形の溝が与えられてよい。
【0010】
別の可能な実装形態では、プリント回路基板伝送線路は少なくとも1つの第2の溶接ポイントおよび少なくとも1つの第2の伝送媒体をさらに含み、少なくとも1つの第2の溶接ポイントは、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に配設されて少なくとも1つの第2の伝送媒体に溶接され、少なくとも1つの第2の伝送媒体は金属部品に溶接され、少なくとも1つの第2の溶接ポイントは、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するように構成される。この可能な実装形態では、プリント回路基板伝送線路は少なくとも1つの第2の溶接ポイントおよび少なくとも1つの第2の伝送媒体をさらに含み得る。少なくとも1つの第2の溶接ポイントは、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に配設され、次いで少なくとも1つの第2の伝送媒体に溶接される。したがって、第2の溶接ポイントは、第1の溶接ポイントの応力環境を完全に複製するものである。したがって、少なくとも1つの第2の溶接ポイントは、熱膨張中に、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するように構成され得る。少なくとも1つの溝は、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するようにも構成されており、特に、プリント回路基板伝送線路のスペースが比較的制限されているとき、第2の溶接ポイントは、金属部品によって第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を分担するように配設されてよい。
【0011】
別の可能な実装形態では、少なくとも1つの第2の溶接ポイントと少なくとも1つの第1の溶接ポイントとの間の距離は、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さ未満である。この可能な実装形態では、少なくとも1つの第2の溶接ポイントと少なくとも1つの第1の溶接ポイントとの間の距離は、少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さ範囲に制限され、少なくとも1つの第2の溶接ポイントは、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を効果的に軽減するように構成されており、それによって、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力に起因する第1の溶接ポイントの亀裂の問題を解決する。
【0012】
別の可能な実装形態では、少なくとも1つの溶接ポイントの材料は金属線路の材料と同一であり、少なくとも1つの第2の溶接ポイントの材料は金属線路の材料と同一である。実際の応用プロセスにおける解決策の実現可能性を改善するために、溶接ポイントの特定の材料が用意される。
【0013】
別の可能な実装形態では、少なくとも1つの第2の溶接ポイントの長さは少なくとも1つの第1の溶接ポイントの長さと一致しており、少なくとも1つの第2の溶接ポイントの幅は少なくとも1つの第1の溶接ポイントの幅と一致している。この可能な実装形態では、第2の溶接ポイントの長さおよび幅は、第1の溶接ポイントのものと一致するように設定されている。この場合、第2の溶接ポイントは、熱膨張中に金属部品が膨張するとき、第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力のほぼ2分の1を分担し得、それによって、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力に起因する第1の溶接ポイントの亀裂の問題を解決する。
【0014】
別の可能な実装形態では、金属部品は金属キャビティでよく、金属キャビティは基板層の周囲に配設されて少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接され得る。この可能な実装形態では、金属部品の特定の構造は解決策の実現性を改善するために与えられる。
【0015】
別の可能な実装形態では、金属部品は金属板でよく、金属板は基板層の底面に配設されて少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接され得る。この可能な実装形態では、金属部品の別の特定の構造は解決策の多様性を改善するために与えられる。
【0016】
別の可能な実装形態では、少なくとも1つの第1の伝送媒体はケーブルまたはプローブを含み得、少なくとも1つの第2の伝送媒体はケーブルまたはプローブでよい。この可能な実装形態では、第1の伝送媒体および第2の伝送媒体の2つの可能な構造は、実際の実装形態における解決策の実現性を改善するために与えられる。
【0017】
本出願の実施形態の第2の態様は電子デバイスを提供するものである。電子デバイスは、第1の態様の任意の可能な実装形態のプリント回路基板伝送線路を含む。
【0018】
前述の技術的解決策によれば、本出願の実施形態には以下の利点があることが分かり得る。
【0019】
前述の技術的解決策から、プリント回路基板伝送線路は、基板層、金属線路、少なくとも1つの第1の溶接ポイント、少なくとも1つの第1の伝送媒体、および接地用に使用される金属部品を含むことが分かり得る。金属線路は基板層の表面にめっきされる。少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、金属線路が少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される溶接ポイントである。少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、金属線路に溶接されるとともに、少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接される。金属部品は少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接される。少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するように構成された少なくとも1つの溝が与えられる。したがって、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するために、第1の溶接ポイントの片側に溝が与えられ、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決される。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の概略構造図である。
図2】本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の別の概略構造図である。
図3】本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の別の概略構造図である。
図4】本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の別の概略構造図である。
図5】本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の別の概略構造図である。
図6】本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の別の概略構造図である。
図7】本出願の一実施形態による電子デバイスの概略構造図である。
図8】本出願の一実施形態による電子デバイスの別の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願の実施形態が提供するプリント回路基板伝送線路および電子デバイスでは、金属部品が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するように、プリント回路基板伝送線路の少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に少なくとも1つの溝が与えられ、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決される。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【0022】
当業者による、本発明の解決策のより優れた理解のために、以下は、本発明の実施形態における添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の技術的解決策を明瞭かつ完全に説明するものである。説明される実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく単なる一部分であることが明らかである。当業者によって、創造的な努力をすることなく、本発明の実施形態に基づいて達成されるすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に入るものとする。
【0023】
本出願の明細書、特許請求の範囲、および添付図面では、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等の用語は、(使用される場合には)類似の対象物を区別するように意図されているが、必ずしも特定の順番や連続を指示するわけではない。そのようなやり方で使用されるデータは適切な環境では交換可能であり、その結果、本明細書で説明される実施形態は、本明細書で例証または説明された順番以外の順番で実施され得ることを理解されたい。
【0024】
以下は、本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路を、添付図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0025】
図1は、本出願の一実施形態によるプリント回路基板伝送線路の一実施形態の概略図である。図1に示されるように、プリント回路基板伝送線路は、基板層101、金属線路102、少なくとも1つの第1の溶接ポイント103、少なくとも1つの第1の伝送媒体104、および接地用に使用される金属部品105を含む。
【0026】
可能な実装形態では、金属部品105は図1に示された金属キャビティである。金属キャビティ105は第1の伝送媒体104に溶接される。金属キャビティは、基板層101の周囲に配設されて第1の伝送媒体104に溶接され、接地機能を実施する。
【0027】
別の可能な実装形態では、金属部品105は図2に示された金属板105であり得る。金属板105は、基板層101の底面に配設されて第1の伝送媒体104に溶接され、接地機能を実施する。
【0028】
金属板105は、基板層101の底面に配設されてリベット止めのやり方で基板層101に接続され得ることに留意されたい。あるいは、金属板105は基板層101の底面に配設されるのみでよく、言い換えれば、金属板105は基板層101に接続される必要はない。これは、本出願では特に限定されない。
【0029】
図3は、図1のプリント回路基板伝送線路の左側部分の拡大概略図である。図1におけるプリント回路基板伝送線路の接続関係および構造は、図3を使用することによって以下で詳細に説明される。基板層101の表面に金属線路102がめっきされ、第1の溶接ポイント103は金属線路103が第1の伝送媒体104に接続される溶接ポイントであり、第1の溶接ポイント103は金属線路102および第1の伝送媒体104に溶接される。第1の伝送媒体104は接地機能を実施するように構成された金属部品105に溶接される。金属板105は、基板層101の底面に配設されて基板層101と結合される。第1の溶接ポイント103の片側に溝106が与えられ、溝は、金属部品105が膨張するとき第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を軽減するように構成される。
【0030】
任意選択で、溝106は図3に示された縦方向の溝または図4に示された逆L字形の溝でよく、溝の縦方向の垂直の長さは、基板層101の幅の2分の1以下である。
【0031】
任意選択で、図1のプリント回路基板伝送線路は、少なくとも1つまたは複数の溝106を含み得る。これは、本出願では限定されない。加えて、溝106と第1の溶接ポイント103との間の距離は、第1の溶接ポイント103の長さ未満でよく、または別の長さでもよい。これは、本出願では限定されない。溝106と第1の溶接ポイント103との間の距離が第1の溶接ポイント103の長さ範囲にあるとき、溝106は、溝106によって第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を効果的に軽減することができる。
【0032】
本出願は、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題を解決するための解決策を提供するものであることに留意されたい。したがって、信頼性試験プロセスでは温度が変化し続け、温度が変化するので材料の熱膨張量は一貫しない。以下は、基板層101と金属部品105とで熱膨張係数が異なることに起因して金属線路の歪み問題が特に容易に生じる場合を、図5を使用して説明するものである。図6に示されるように、第1の溶接ポイント103と基板層101の中間点との間の距離はLである。熱膨張係数の式によれば、Lは式(1.1)を満たす必要があることが分かり得る。
L=α/(ΔT*ΔL) (1.1)
αは材料の熱膨張係数であり、ΔTは環境の最高温度と最低気温との間の差であって、ΔLは、溶接ポイントにおいて変形、亀裂等の問題がないとき、材料の許容され得る最大の長さ膨張変化である。したがって、図6に示されるように、第1の溶接ポイント103と基板層101の中間点との間の距離はL(ミリメートルmmの単位)であり、基板層101の既知の熱膨張係数はα1であって、金属部品の熱膨張係数はα2である。α1およびα2が固定値であるとき、金属部品105と基板層101との間に生じる膨張差は式(1.2)となる。
ΔL=ΔL1-ΔL2=L*ΔT*(α1-α2) (1.2)。
【0033】
したがって、より大きいLの値は、金属部品105と基板層101との間に、より大きい膨張差ΔLが生じることを指示する。第1の溶接ポイント103の応力は以下の式(1.3)を使用して計算される。
δ=E*ΔL (1.3)
δは第1の溶接ポイント103に及ぼされる応力であり、Eは第1の溶接ポイントの材料の弾性係数である。より大きいLの値は、第1の溶接ポイント103の、より大きい応力δを指示する。δが第1の溶接ポイント103の材料の許容され得る応力の限界値に到達すると、第1の溶接ポイント103は、特に容易に亀裂が入ったり変形したりする。たとえば、基板層101がRF30で作製されているとき、基板層101の熱膨張係数は固定値であり、金属部品105の熱膨張係数は固定値である。第1の溶接ポイント103が金属銅線路で作製されているとき、第1の溶接ポイント103によって許容され得る最大の応力値、第1の溶接ポイント103の弾性係数、および高温/低温信頼性試験規格で[-40℃, +125℃]と想定されている温度範囲などのパラメータの値が、前述の式2に代入される。値Lが180mmであるとき、第1の溶接ポイント103の変形または亀裂といった現象がより顕著であることが認められ得る。
【0034】
任意選択で、プリント回路基板伝送線路は、図6に示された第2の溶接ポイント107および第2の伝送媒体108をさらに含み得る。第2の溶接ポイントは、基板層101の表面に配設されて第2の伝送媒体108に溶接される。第2の伝送媒体108は金属部品105に溶接される。第2の溶接ポイント107は、金属部品105が比較的高温で膨張するとき第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を軽減するように構成される。図6から、金属部品105が熱膨張するとき、第2の溶接ポイント107が第1の溶接ポイント103の応力を分担し得ることが分かり得る。
【0035】
1つまたは複数の第2の溶接ポイント107が配設されてよいことに留意されたい。これは、本出願では限定されない。
【0036】
この実施形態では、第2の溶接ポイント107の長さは第1の溶接ポイント103の長さと一致してよく、第2の溶接ポイント107の幅は第1の溶接ポイント103の幅と一致する。もちろん、第2の溶接ポイント107の長さおよび第2の溶接ポイント107の幅は他のサイズでもよい。たとえば、第2の溶接ポイント107の長さおよび幅は、それぞれ第1の溶接ポイント103の長さおよび幅の2分の1である。望ましくは、第2の溶接ポイント107の長さは第1の溶接ポイント103の長さと一致しており、第2の溶接ポイント107の幅を第1の溶接ポイント103の幅と一致させるのは望ましい解決策である。第2の溶接ポイント107のサイズが第1の溶接ポイント103のサイズと一致しているので、第2の溶接ポイント107は、金属部品が膨張するとき金属部品から第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力の2分の1を分担し得る。しかしながら、第2の溶接ポイント107のサイズが第1の溶接ポイント103のサイズよりも小さいとき、第2の溶接ポイント103が分担する作用力は2分の1未満である。しかしながら、第2の溶接ポイント107のサイズが第1の溶接ポイント103のサイズよりも大きいとき、第2の溶接ポイント107は、第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力の2分の1以上を分担し、金属部品から及ぶ過度の作用力によって容易に亀裂が入るかまたは変形する。この場合、温度信頼性試験プロセスでは、第2の溶接ポイント107に被害があるため、後続の温度試験プロセスにおいて、第2の溶接ポイント107は、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を軽減するように構成され得ない。
【0037】
任意選択で、第1の伝送媒体104はケーブルもしくはプローブでよく、または別のタイプの伝送媒体でもよい。これは、本出願では限定されない。第2の伝送媒体108はケーブルまたはプローブでよい。
【0038】
任意選択で、基板層101はRF30で作製されてよく、または別のタイプの材料で作製されてもよい。これは、本出願では限定されない。
【0039】
任意選択で、金属線路102は銅線路でよく、または別のタイプの金属線路でもよい。これは、本出願では限定されない。
【0040】
任意選択で、少なくとも1つの第1の溶接ポイント103の材料は金属線路の材料と同一でよく、少なくとも1つの第2の溶接ポイント107の材料は金属線路の材料と同一でよい。
【0041】
この実施形態では、プリント回路基板伝送線路は、基板層101、金属線路102、少なくとも1つの第1の溶接ポイント103、少なくとも1つの第1の伝送媒体104、および接地用に使用される金属部品105を含む。金属線路105は基板層101の表面にめっきされる。少なくとも1つの第1の溶接ポイント103は、金属線路102が少なくとも1つの第1の伝送媒体104に接続される溶接ポイントである。少なくとも1つの第1の溶接ポイント103は、金属線路102および少なくとも1つの第1の伝送媒体104に溶接される。金属部品105は少なくとも1つの第1の伝送媒体104に溶接される。少なくとも1つの第1の溶接ポイント103の片側に、金属部品105が膨張するとき少なくとも1つの第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を軽減するように構成された少なくとも1つの溝106が与えられる。したがって、金属部品105が膨張するとき第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を軽減するために、第1の溶接ポイントの片側に溝が与えられ、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決される。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【0042】
本出願の実施形態の第2の態様は、電子デバイスをさらに提供するものである。電子デバイスには前述のプリント回路基板伝送線路が備わっている。電子デバイスは位相調整器でよい。以下では、前述のプリント回路基板伝送線路を含む構造が、図7に示される位相調整器を使用して説明され、プリント回路基板伝送線路は銅線路を使用して信号を伝送し、基板層はRF30で作製されている。プリント回路基板伝送線路の基板層の長さがある長さを上回る場合は、プリント回路基板伝送線路の構造の前述の説明から、プリント回路基板伝送線路において、第1の溶接ポイント103と基板層101の中間点との間の距離が事前設定の長さを上回ることが分かり得る。この場合、第1の溶接ポイント103は特に容易に変形するかまたは亀裂が入る。
【0043】
図8は、図7のプリント回路基板伝送線路の左側構造の概略図である。少なくとも1つの第1の溶接ポイント103の片側に少なくとも1つの溝106が与えられ、少なくとも1つの第1の溶接ポイント103の片側に第2の溶接ポイント107および第2の伝送媒体108が配設される。温度変化に伴ってプリント回路基板伝送線路の全体が膨張するとき、プリント回路基板伝送線路において基板層と金属部品では熱膨張係数が異なるため、温度変化につれて金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイント103に作用力が及ぶ。したがって、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイント103に及ぼされる作用力を軽減するために、第1の溶接ポイント103の片側に少なくとも1つの溝106が与えられる。
【0044】
任意選択で、プリント回路基板伝送線路は、第2の溶接ポイント107および第2の伝送媒体108をさらに含み得る。第2の溶接ポイント107は基板層101の表面に配設されて第2の伝送媒体108に溶接され、第2の伝送媒体108は金属部品105に溶接される。第2の溶接ポイント107は、金属部品105が膨張するとき第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を分担するように追加され、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決される。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【0045】
したがって、金属部品が膨張するとき第1の溶接ポイント上の金属部品の応力を軽減するように、第1の溶接ポイント103の片側に、少なくとも1つの溝106、第2の溶接ポイント107、および第2の伝送媒体108が配設され、高低/低温信頼性試験条件の長期的な温度サイクル検査において、位相調整器のプリント回路基板伝送線路の溶接ポイントに亀裂や変形の問題が生じないようにする。したがって、本出願の実施形態のプリント回路基板伝送線路によれば、金属部品105が膨張するとき第1の溶接ポイントに及ぼされる作用力を軽減するために、第1の溶接ポイント103の片側に溝が配設され、それによって、プリント回路基板伝送線路における各材料の別々の熱膨張係数に起因する第1の溶接ポイントの変形、亀裂等の問題が解決される。いかなる付加的な材料層も追加する必要性はなく、それによってプリント回路基板伝送線路のコストが低下する。
【0046】
前述の実施形態は、本出願を限定するためではなく、単に本出願の技術的解決策を説明するためのものである。本出願は、前述の実施形態を参照しながら詳細に説明されているが、当業者なら、本出願の実施形態の技術的解決策の趣旨および範囲から逸脱することなく、前述の実施形態において説明された技術的解決策に対する修正形態またはそのいくつかの技術的特徴に対する等価な置換をさらに作成し得ることを理解するはずである。
【符号の説明】
【0047】
101 基板層
102 金属線路
103 第1の溶接ポイント
104 第1の伝送媒体
105 金属部品
106 溝
107 第2の溶接ポイント
108 第2の伝送媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8