IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電気掃除機 図1
  • 特許-電気掃除機 図2
  • 特許-電気掃除機 図3
  • 特許-電気掃除機 図4
  • 特許-電気掃除機 図5
  • 特許-電気掃除機 図6
  • 特許-電気掃除機 図7
  • 特許-電気掃除機 図8
  • 特許-電気掃除機 図9
  • 特許-電気掃除機 図10
  • 特許-電気掃除機 図11
  • 特許-電気掃除機 図12
  • 特許-電気掃除機 図13
  • 特許-電気掃除機 図14
  • 特許-電気掃除機 図15
  • 特許-電気掃除機 図16
  • 特許-電気掃除機 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20231215BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
A47L9/28 V
A47L9/28 U
A47L5/24 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021052590
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150130
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 一輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大場 崇道
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0040883(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111481100(CN,A)
【文献】特開2018-094681(JP,A)
【文献】特表2007-536098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055324(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/24
A47L 9/00~ 9/32
H01M 50/20~50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生させる電動送風機と、前記電動送風機の吸引力により吸口体から流入した塵埃を収容する集塵部と、前記電動送風機に電力を供給する蓄電池を有する蓄電池ユニットと、を備える電気掃除機であって、
前記蓄電池ユニットは、前記電気掃除機の本体から着脱可能であると共に、前記蓄電池の上方に制御基板を配置し、
前記制御基板は、一部が前記蓄電池ユニットの周囲から露出していると共に、前記蓄電池ユニットを前記電気掃除機の本体に装着すると前記電気掃除機の本体によって覆われ、
前記制御基板によって、前記電動送風機および前記蓄電池の制御を行うことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1記載の電気掃除機であって、
前記制御基板は、前記電動送風機への電力供給及び充電時における前記蓄電池への電力供給を行うための電源端子と、前記電動送風機と電気的に接続される入出力端子が備えられていることを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機として例えば以下に示す特許文献1に記載のような構成が知られている。特許文献1では、電気掃除機は本体から着脱可能な蓄電池ユニットと、本体の制御を行う基板及び電動送風機等の駆動部を含んだハンディユニットから構成されている。これにより、故障時に修理者は蓄電池ユニットのみの交換が可能なため、メンテナンス性を向上することができる。
【0003】
また、特許文献2のようにハンディユニットの内部に電動送風機等の駆動部と、着脱不可能な蓄電池と、蓄電池および本体の制御を行う基板と、を含む構成が知られている。これにより、蓄電池の制御基板と本体の制御基板を一体化することが可能で、特許文献1の構成よりも省スペースかつ低コスト化を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6572352号公報
【文献】特開2015-134131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2においては、蓄電池の制御基板と本体の制御基板を一体化することで省スペース化、低コスト化を図っている。しかし、メンテナンス性を考慮した場合は、特許文献1のように蓄電池の制御基板は蓄電池ユニットに内包し、着脱可能にすることが望ましい。また、蓄電池ユニットを交換するだけで、様々な仕様の製品を開発することができ、汎用性が高くなる。
【0006】
本発明の目的は、蓄電池の制御基板と本体の制御基板を一体化した蓄電池ユニットを提供し、前記蓄電池ユニットを着脱可能な電気掃除機内部に掃除機本体の制御機能を有した基板を備えないことで電気掃除機のメンテナンス性の向上、小型化および低コスト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、吸引力を発生させる電動送風機と、前記電動送風機の吸引力により吸口体から流入した塵埃を収容する集塵部と、前記電動送風機に電力を供給する蓄電池を有する蓄電池ユニットと、を備える電気掃除機であって、前記蓄電池ユニットは、前記電気掃除機の本体から着脱可能であると共に、前記蓄電池の上方に制御基板を配置し、前記制御基板は、一部が前記蓄電池ユニットの周囲から露出していると共に、前記蓄電池ユニットを前記電気掃除機の本体に装着すると前記電気掃除機によって覆われ、前記制御基板によって、前記電動送風機および前記蓄電池の制御を行うことを特徴とす
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電池を用いて駆動する電気掃除機において、メンテナンス性を向上させ、低コスト化かつ小型化を図った電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る電気掃除機の外観斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る電気掃除機の背面図である。
図3】本発明の実施例に係る電気掃除機の分解斜視図である。
図4】本発明の実施例に係る電気掃除機の断面図である。
図5】本発明の実施例に係るスティックハンドルを外した状態における電気掃除機の背面外観斜視図である。
図6】本発明の実施例に係るハンディ本体の外観斜視図である。
図7】本発明の実施例に係るハンディ本体の外観斜視図である。
図8】本発明の実施例に係るハンディ本体の前後方向に切断した断面図である。
図9】本発明の実施例に係る刷毛部材を示す外観斜視図である。
図10】本発明の実施例に係るハンディ本体から集塵部を取外した状態を示す外観斜視図である。
図11】本発明の実施例に係るハンディ本体を下方斜めから見た外観斜視図である。
図12】本発明の実施例に係る集塵部の分解斜視図である。
図13】本発明の実施例に係る集塵部を前方から見た外観斜視図である。
図14】本発明の実施例に係る集塵部を左側から見た断面図である。
図15】本発明の実施例に係る集塵部を後方から見た図である。
図16】本発明の実施例に係る蓄電池ユニットの外観斜視図である。
図17】本発明の実施例に係る蓄電池ユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0011】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0012】
以下、図1等に示すように電気掃除機100におけるスティックハンドル102の位置する方向を上方向、吸口体103の位置する方向を下方向とする。また、電気掃除機100においてハンディ本体201の位置する側を前方向、スティック本体101の位置する方向を後方向とする。さらに、スティック掃除機或いはハンディ掃除機として使用している使用者の視点から右方向、左方向とする。
【0013】
なお、図6等に示すように、ハンディ本体201のみを説明する際は、ハンディ本体201の吸込パイプ202が位置する側を前方、蓄電池208が位置する側を後方として説明する場合もある。
【0014】
図1は本発明の実施例に係る電気掃除機の外観斜視図であり、図2は本発明の実施例に係る電気掃除機の背面図であり、図3は本発明の実施例に係る電気掃除機の分解斜視図である。図4は本発明の実施例に係る電気掃除機の断面図であり、図5は本発明の実施例に係るスティックハンドルを外した状態における電気掃除機の背面外観斜視図である。図5では充電台104,支持部105を表示していない。
【0015】
スティック本体101の上方にはスティックハンドル102が着脱可能に接続され、スティック本体101の下方には吸口体103が着脱可能に接続されている。吸口体103は充電台104に載置されている。充電台104の後方には上方に延びた支持部105を備え、支持部105によってスティック本体101の後方を支持する。また、充電台104には隙間用吸口等のアタッチメント器具106が載置されている。
【0016】
スティック本体101の前方には開放部110が形成されており、この開放部110には、ハンディ本体201が着脱可能に収容されている。ハンディ本体201には後述するように集塵部206、電動送風機207、蓄電池208を備えており、ハンディ本体201をスティック本体101に装着した状態においてはスティック掃除機として機能し、ハンディ本体201をスティック本体101から取り外した状態においては、ハンディ掃除機として機能する。すなわち、スティック掃除機とハンディ掃除機は、集塵部206、電動送風機207、蓄電池208を共用している。
【0017】
スティックハンドル102には、電源スイッチ115が備えられており、この電源スイッチ115を押下することにより、電動送風機207及び吸口体103の回転清掃体109が駆動する。
【0018】
スティックハンドル102の下部後方には、下方に向かって貫通した接続孔102aが形成されている。スティック本体101の上部後方には、接続孔102aに挿入される接続ピン111が備えられている。接続ピン111は後方に向かって付勢されており、この接続ピン111をスティックハンドル102の接続孔102aに挿入することにより、スティックハンドル102をスティック本体101に固定する。スティックハンドル102をスティック本体101から外す際は、接続ピン111を押し込み、接続孔102aと重なる位置から退避させた後、スティックハンドル102を引き抜く(図5参照)。
【0019】
ハンディ本体201の下部(前部)には、吸込パイプ202が備えられている。スティック本体101の下部には、吸込パイプ202が挿入される吸込パイプ受け部112が形成されており、吸込パイプ202を吸込パイプ受け部112に挿入することにより、開放部110内においてハンディ本体201の下部(前部)の動きが規制される。吸込パイプ受け部112は吸口体103と連通しており、吸込パイプ202と吸口体103が連通する。
【0020】
また、スティック本体101の上部前方には、ハンディ取り外しボタン113が備えられている。ハンディ本体201の上部(後部)には、ハンディ本体受け部203が形成されている。ハンディ取り外しボタン113はバネによって下方向に付勢されており、ハンディ取り外しボタン113の下方先端がハンディ本体受け部203に係合することにより、開放部110に装着されたハンディ本体201をスティック本体101に固定する。
【0021】
ハンディ本体201をスティック本体101から取外す場合には、バネ力に抗してハンディ取り外しボタン113を上方向に移動させ、ハンディ取り外しボタン113の下方先端をハンディ本体受け部203から退避させる。このようにして、ハンディ本体201をスティック本体101から取外すことができる。
【0022】
スティック本体101の下部前方には、吸口体取り外しボタン114が備えられている。吸口体103の接続管107には、接続フック107aが備えられている。吸口体取り外しボタン114はバネによって前方向に付勢されており、吸口体取り外しボタン114の一部が接続フック107aに嵌合することにより、吸口体103をスティック本体101に固定する。吸口体103には、図示しない電動機によって回転駆動される回転清掃体109が備えられている。回転清掃体109は、清掃面となる床面等の塵埃を掻き込むように作用する。なお、回転清掃体109は必須の構成ではなく、回転清掃体109を備えず、電動送風機207の吸引力のみによって塵埃を吸引してもよい。また、回転清掃体109は電動機ではなく、電動送風機207が発生する吸引力によって回転させるようにしてもよい。
【0023】
支持部105の前方には、上方に向かって突出した突起105aが備えられている。スティック本体101の後方には、突起受け部108が形成されており、この突起受け部108を突起105aに挿入することにより、電気掃除機100(スティック本体101)が充電台104上に起立した状態で支持される。
【0024】
次にハンディ本体201の構成について説明する。図6及び図7は本発明の実施例に係るハンディ本体201の外観斜視図であり、図8は本発明の実施例に係るハンディ本体201の前後方向に切断した断面図であり、図9は本発明の実施例に係る刷毛部材を示す外観斜視図である。
【0025】
ハンディ本体201はハンディ掃除機として機能する。ハンディ本体201は後部上方にハンディハンドル204と、ハンディハンドル204の前方に設置された電源スイッチ205と、ハンディ本体201の前部に着脱可能に取り付けられた集塵部206と、集塵部206と連通した吸込パイプ202とを備えている。
【0026】
ハンディ本体201の内部には、吸引力を発生させる電動送風機207と、電動送風機207に電力を供給する蓄電池208と、蓄電池208、電動送風機207を制御する制御装置209を備えている。
【0027】
吸込パイプ202の前方には刷毛部材210が備えられている。刷毛部材210は、掃除面に接触させる刷毛210aと、刷毛210aを取付ける土台となる刷毛支持部210bと、刷毛支持部210bから反刷毛側に延び、吸込パイプ202を両側から挟むように形成された一対の腕部210cと、刷毛支持部210bに取付けられ刷毛支持部210bの回転を規制する回転規制部210dを備えている。
【0028】
刷毛部材210は吸込パイプ202に対して回転可能に支持されている。一対の腕部210cには、回転軸210c1が備えられており、この回転軸210c1が吸込パイプ202に形成された小孔(図示せず)に挿入され、刷毛部材210が吸込パイプ202に対して回転する。
【0029】
ハンディ掃除機として刷毛部材210を使用する場合には、刷毛部材210が吸込パイプ202の延長上に位置する状態を取り得るように刷毛部材210を回転させる。刷毛部材210を回転させると、回転規制部210dが吸込パイプ202の前方先端部に接触し、刷毛部材210の回転が規制される。刷毛部材210は吸込パイプ202の前方延長方向に対して下方を向くように傾斜した状態となる。刷毛部材210が傾斜した状態において、刷毛部材210の下方は開放されているので、吸込パイプ202の流路を塞ぐことがない。
【0030】
刷毛部材210を収容する場合には、刷毛部材210が吸込パイプ202の後方に向くように刷毛部材210を回転させる。すなわち、刷毛部材210は吸込パイプ202の延長上から退避する状態を取り得るように回転する。刷毛部材210を回転させると、刷毛部材210の腕部210cが吸込パイプ202の側面に形成された回転規制突起202aに接触し、刷毛部材210の回転が規制される。このようにして、刷毛部材210が吸込パイプ202の前方先端部から退避する。
【0031】
刷毛部材210が吸込パイプ202の前方先端部から退避した状態において、吸込パイプ202の前方先端部には、隙間用吸口等のアタッチメント器具106が装着可能である。隙間用吸口以外では、例えば図示しない延長管等が接続可能である。吸込パイプ202には周知のクランプフック211が備えられており、延長管を接続し固定することができる。さらに、延長管の前方先端に吸口体103もしくは他の吸口体(第二の吸口体)が接続可能である。
つまり、本実施例のハンディ本体201に、延長管および第二の吸口体を接続すると、ハンディ本体201がユーザの手元にある形状のスティック掃除機(図示しない)として利用することも可能である。また、吸込パイプ202の先端に給電を行うことで、電気的に駆動するモータやLEDを内蔵した付属品を使用することができたり、延長管内部の導通部品を介して、第二の吸口体に内蔵されているモータを駆動させることで、第二の吸口体の回転ブラシを駆動することも可能である。
【0032】
本実施例によれば、ハンディ本体201に吸込パイプ202を備え、この吸込パイプ202に延長管等を接続することができるので、電気掃除機の使い勝手を向上することができる。
【0033】
ハンディ本体201をスティック本体101の装着する場合には、刷毛部材210は吸込パイプ202の前方先端部から退避した状態で行う。ハンディ本体201をスティック本体101の装着するにあたっては、まず、吸込パイプ202を吸込パイプ受け部112に挿入し、その後ハンディハンドル204側をスティック本体101に押し込む。そして、ハンディ取り外しボタン113の下方先端がハンディ本体受け部203に嵌合し、スティック本体101にハンディ本体201が装着される。
【0034】
刷毛部材210は、吸込パイプ202の前方先端部から退避した状態において吸込パイプ202の表面から後方(下方)に突出した状態となる。この状態でスティック本体101に装着すると、刷毛部材210とスティック本体101が接触することになる。そこで本実施例では以下のようにして、刷毛部材210とスティック本体101の接触を回避している。
【0035】
図5に示すように、スティック本体101の後方には、スティック本体101を貫通した開口部116が形成されている。ハンディ本体201がスティック本体101に装着された状態において、刷毛部材210はその一部が開口部116から突出している。すなわち、本実施例では、ハンディ本体201がスティック本体101に装着した際、開口部116を設けて刷毛部材210とスティック本体101の接触を回避している。このように構成することにより、本実施例では、ハンディ本体201のスティック本体101への装着をスムーズに行うことができる。
【0036】
次にハンディ本体201と集塵部206の着脱構成について図8図10図11を用いて説明する。図10は本発明の実施例に係るハンディ本体から集塵部を取外した状態を示す外観斜視図であり、図11は本発明の実施例に係るハンディ本体を下方斜めから見た外観斜視図である。図11はシールパッキンを外した状態を示している。
【0037】
集塵部206の上部後方には、ハンディ本体201から集塵部206を取外す着脱ボタン212が備えられている。着脱ボタン212はバネによって後方側(ハンディ本体201側)に付勢されており、着脱ボタン212の爪部212aがハンディ本体201に入り込むことにより、集塵部206の後方側を保持する。また、集塵部206の下部前方には引掛け部213(図8)が形成されている。吸込パイプ202の上方には、引掛け部213を受ける受け部214が形成されている。引掛け部213を受け部214に引掛けることにより、集塵部206の前方がハンディ本体201に保持され、集塵部206の後方が着脱ボタン212によってハンディ本体201に保持される。
【0038】
さらに、吸込パイプ202の上方には、集塵部206と連通する吐出口215が形成されている。吸込パイプ202から流入した塵埃を含んだ空気は、吐出口215から吐出され、集塵部206に流入する。スティック掃除機として使用する場合には、吸口体103、接続管107、吸込パイプ202を通過した塵埃を含んだ空気が吐出口215から吐出され、集塵部206に流入する。
【0039】
吐出口215は、吸込パイプ202の中心線C1から左右の何れかにずらして形成されている。本実施例において吐出口215は、ハンディ掃除機として使用している使用者の視点から見て右側にずらしている。吐出口215には、集塵部206との間の気密を確保するためにシールパッキン216が装着されている。シールパッキン216は、吐出口215の開口周辺部の気密を保持するリップ部216aと、吐出口215を開閉する弁体216bを備えている。リップ部216aと弁体216bは回動部216cによって回動可能に接続されており、この回動部216cを軸として弁体216bが吐出口215を開閉する。
【0040】
弁体216bは、電動送風機207の吸引力が発生すると吸込パイプ202から集塵部206側に向かって回動する。また、弁体216bの上流側(吸込パイプ202側)には、弁体216bの表面から突出した複数のリブ216dが形成されている。複数のリブ216dは、回動部216cから反回動部に向けて延びるように形成されている。すなわち、複数のリブ216dは空気の流れに沿うように形成されている。
【0041】
本実施例では、弁体216bの上流側に複数のリブ216dを形成しているので、弁体216bの剛性が確保され、回動部216cを回動軸として弁体216bが開き易くなる。また、複数のリブ216dを空気の流れに沿うように配置しているので、弁体216bに衝突する塵埃を含んだ空気をスムーズに集塵部206側に流すことができる。また、電動送風機207が停止し、吸引力が発生していない状態においては、複数のリブ216dに重みにより、弁体216bが吐出口215を閉じるように動作するので、集塵部206から塵埃が零れるのを抑制することができる。
【0042】
次に集塵部206の構成について図12図15を用いて説明する。図12図15の説明では、スティック掃除機として使用した場合を基準とする。この場合、集塵ケース220側を下方、フィルタ収容部223側を上方、着脱ボタン212側を前方、流入口227側を後方とする。ハンディ掃除機として使用する場合には、集塵ケース220側を前方、フィルタ収容部223側を後方、着脱ボタン212側を上方、流入口227側を下方となる。
【0043】
図12は本発明の実施例に係る集塵部の分解斜視図であり、図13は本発明の実施例に係る集塵部を前方から見た外観斜視図であり、図14は本発明の実施例に係る集塵部を左側から見た断面図であり、図15は本発明の実施例に係る集塵部を後方から見た図である。
【0044】
集塵部206は、塵埃を集塵する有底円筒状の集塵ケース220と、集塵ケース220内に装着される傘部221と、傘部221と接続され、集塵ケース220内に装着される内筒222と、下方に内筒222を備え、フィルタを収容する筒状のフィルタ収容部223と、フィルタ収容部223に収容される第1捕塵フィルタ224と、フィルタ収容部223に収容され、第1捕塵フィルタ224の下流側に配置された第2捕塵フィルタ225を備えている。第1捕塵フィルタ224はスポンジで構成されており、水洗いが可能である。第2捕塵フィルタ225は、通気面積を拡大するためにプリーツ状(ひだ折り状)に折られており、円状の枠体225aに接着されている。本実施例では第1捕塵フィルタ224と第2捕塵フィルタ225の2つの捕塵フィルタを備えているが、捕塵フィルタは1つであっても良い。
【0045】
第2捕塵フィルタ225の上方(下流側)は、電動送風機207の吸込口と対向する。集塵ケース220の外周には、第2捕塵フィルタ225を清掃する清掃ブラシ226が着脱可能に装着されている。清掃ブラシ226には刷毛226aが備えられており、この刷毛226aを用いて例えば第2捕塵フィルタ225に付着した塵埃を清掃する。
【0046】
フィルタ収容部223には第1捕塵フィルタ224を支持する区画壁223aと、区画壁223aの中央部に形成された開口223bを備えている。開口223bの周囲には複数の支柱222aを備えた内筒222が固定されている。内筒222の隣り合う支柱222aの間には、通気性を有するメッシュフィルタ222bが備えられている。また、内筒222には複数の支柱222aを接続する円状の内筒枠体222cを備えている。内筒枠体222cの外周には、外周に向かって突出し、一部が切欠かれた複数の切欠き部222d1を有するレール突起222dが備えられている。
【0047】
傘部221の上方側(内筒222側)には、円状の円環壁221aが形成されており、この円環壁221aの内周には、内側に突出した複数の突起221bが形成されている。傘部221と内筒222とを接続するにあたっては、傘部221側の複数の突起221bを内筒222側における複数の切欠き部222d1の位置にそれぞれ合わせ、複数の突起221bを複数の切欠き部222d1に挿入する。その後、傘部221を右側若しくは左側に回転させる。複数の突起221bはレール突起222dの位置よりも上方側(内筒222側)に位置することになり、傘部221と内筒222とが接続される。傘部221を内筒222から外す際は、傘部221を右側若しくは左側に回転させ、複数の突起221bを複数の切欠き部222d1の位置に合わせ、傘部221を引き抜くようにする。
【0048】
傘部221には、傘部221の内部を横断するように配置された十字状のブリッジ部221cが形成され、さらにこのブリッジ部221cから集塵ケース220の底部に向かって延びた十字状の十字リブ221dが備えられている。十字リブ221dの先端は集塵ケース220の底側に沿うように直線状に形成され、直線状の両終端が円弧状に形成されている。後述するように、十字リブ221dは、集塵ケース220内で旋回した塵埃が十字リブ221dに衝突し、衝突の力で塵埃を圧縮する。また、隣り合う十字状のブリッジ部221cの間には、メッシュフィルタ221eが備えられている。また、傘部221の外周には、集塵ケース220に向かって突出した円環状の突起部221fが形成されている。突起部221fの形状は、集塵ケース220の内周形状と同一形状としている。また、突起部221fは、流入口227よりも下方に位置しており、さらに集塵ケース220の上下方向の半分位置よりも下方に位置している。
【0049】
フィルタ収容部223と集塵ケース220は着脱可能に構成されている。フィルタ収容部223の外周には、外周に向かって突出した複数の突起223cが形成されている。一方、集塵ケース220の内周には、内周に向かって突出した複数の上突起220a及び下突起220bが形成されている。上突起220aは一部が切欠かれた複数の切欠き部220cを有しており、下突起220bに比べ、周方向の長さが短く形成されている。上突起220aと下突起220bは、集塵ケース220の開放側において一部が重なるように形成されている。
【0050】
フィルタ収容部223と集塵ケース220とを接続するにあたっては、集塵ケース220側の複数の切欠き部220cをフィルタ収容部223側における複数の突起223cの位置にそれぞれ合わせ、複数の切欠き部220cに複数の突起223cを挿入する。その後、集塵ケース220を右側若しくは左側に回転させる。複数の突起223cは、上突起220a及び下突起220bの間に挿入されることになり、フィルタ収容部223と集塵ケース220とが接続される。集塵ケース220をフィルタ収容部223から外す際は、集塵ケース220を右側若しくは左側に回転させ、複数の突起223cを複数の切欠き部220cの位置に合わせ、集塵ケース220を引き抜くようにする。
【0051】
集塵ケース220には、塵埃を含んだ空気が流入する流入口227が形成されている。流入口227はシールパッキン216を介して、吸込パイプ202の吐出口215と連通している。流入口227は集塵部206の中心線C2からずらした位置に配置している(図15)。本実施例において流入口227は、スティック掃除機或いはハンディ掃除機として使用している使用者の視点から見た状態において右方向にずらして配置している。
【0052】
スティック掃除機或いはハンディ掃除機として使用する状態において、使用者が電源スイッチ115若しくは電源スイッチ205を押下すると、電動送風機207が駆動し、吸引力を発生する。塵埃を含んだ空気は、吸口体103から吸込パイプ202、或いは吸込パイプを通過し、吐出口215から集塵部206側に吐出される。吐出口215から吐出された塵埃を含んだ空気は、流入口227を通過し集塵ケース220内に流入する。流入口227は集塵部206の中心線C2からずれた位置に配置されているので、流入口227から流入した塵埃を含んだ空気は、集塵ケース220の内面に沿って流れ、内筒222の位置で旋回流となる(図14の破線)。塵埃が除去された一部の空気は、内筒222のメッシュフィルタ222bを通過し、さらに第1捕塵フィルタ224、第2捕塵フィルタ225で微細な塵埃が除去され、電動送風機207に吸引される。
【0053】
旋回流として流れる塵埃は、遠心作用により集塵ケース220の内壁に衝突し、突起部221fと集塵ケース220との隙間を通り、集塵ケース220の底部に移動する。集塵ケース220の底部に移動した塵埃は、十字リブ221dに衝突して旋回流が抑制され、吸引力によって塵埃が圧縮される。塵埃を分離した空気は、ブリッジ部221cの間に配置されたメッシュフィルタ221eを通過し、このメッシュフィルタ221eで綿埃等の比重の軽い塵埃、微細な塵埃が捕捉される。メッシュフィルタ221eで濾過された塵埃は、吸引力により圧縮される。メッシュフィルタ221eを通過した空気は、さらに第1捕塵フィルタ224、第2捕塵フィルタ225で微細な塵埃が除去され、電動送風機207に吸引される。
【0054】
本実施例では、突起部221fの形状を集塵ケース220の内周形状と同一形状としている。このため、突起部221fと集塵ケース220との隙間が均一となり、旋回流の損失を抑止し、塵埃分離作用を向上することができる。また、突起部221fは、流入口227よりも下方(集塵ケース220の底側)に位置しており、さらに集塵ケース220の上下方向の半分位置よりも下方に位置しているので、突起部221fと集塵ケース220との隙間を通った塵埃が隙間を逆流し、内筒222側に舞い上がるのを抑制することができる。
【0055】
次に、蓄電池208について説明する。図16は本発明の実施例に係る蓄電池ユニットの外観斜視図であり、図17は本発明の実施例に係る蓄電池ユニットの上面図である。
【0056】
蓄電池ユニット230は、電動送風機207に電力を供給する蓄電池208を有している。蓄電池ユニット230は、ハンディ本体201にネジによって着脱可能に取り付けられている。本実施例では蓄電池ユニット230は、ネジによって着脱可能としているが、ボタンなどにより着脱可能としてもよい。蓄電池ユニット230は、蓄電池208の周囲を覆う下ケース231と、下ケース231の上方に配置された上ケース232と、上ケース232の上方に配置された制御基板233を備えている。すなわち、本実施例では、制御基板233は蓄電池208の上方に配置され、蓄電池ユニット230の周囲から露出している。制御基板233は制御装置209を構成している。
【0057】
制御基板には、電動送風機207への電力供給、及び充電時における蓄電池208への電力供給を行うための電源端子234と、電動送風機207の入り切り等を行う電源スイッチ115,205と電気的に接続される入出力端子235が備えられている。
【0058】
本実施例では、制御基板233が蓄電池ユニット230の周囲から露出しているので、制御基板233とハンディ本体201との接続性を向上することができる。蓄電池ユニット230がハンディ本体201に装着されると、制御基板233はハンディ本体201によって覆われるので、電源コードの断線や制御基板233の端子部の破損を抑制することができる。さらに本実施例によれば、着脱可能な蓄電池ユニット230の制御基板233を配置しているので、制御基板233のメンテナンス性を向上することができる。
【0059】
また、蓄電池ユニット230の下ケース231の前方には第1開口236が形成され、上ケース232の上方には第2開口237が形成されている。第1開口236と第2開口237は蓄電池ユニット230の内部において連通している。蓄電池208は蓄電池ユニット230内において、第1開口236と第2開口237と繋ぐ通路に配置している。また、第1開口236は電動送風機207の排気通路238(図8)と連通している。
【0060】
電動送風機207が運転を開始すると、その排気風は排気通路238に流入し、さらに排気通路238の下流側に配置された第1開口236に流入する。第1開口236に流入した排気風は蓄電池208の外周面を流れ、第2開口237から吐出される。
【0061】
本実施例によれば、蓄電池ユニット230に第1開口236と第2開口237とを設け、電動送風機207の排気風を流すようにしているので、蓄電池208の温度上昇を抑制することができる。
【0062】
蓄電池208への充電にあたっては、図1及び図4に示すようにスティック掃除機を充電台104に載置した状態で行う。
【0063】
本実施例では、制御基板233に本体と電池を制御する機能を搭載しているが、本体を制御する基板は蓄電池ユニット230の外付けとして別部品を設け、ハンディ本体201などに搭載しても良い。
【0064】
充電台104は図示しない商用電源に接続されている。充電台104には、図3に示すように給電端子120が備えられている。スティック本体101には、図5に示すように給電端子120と接触する受電端子121が備えられている。さらにスティック本体101の開放部110には、給電端子122が備えられている。受電端子121と給電端子122とは、図示しない電源コードで接続されている。ハンディ本体201には、図11に示すように給電端子122と接触する受電端子240が備えられている。受電端子240は蓄電池208と接続されている。
【0065】
そして、スティック本体101の開放部110にハンディ本体201を装着し、スティック本体101を充電台に載置すると、受電端子240と給電端子122、受電端子121と給電端子120が接続され、蓄電池208と給電端子120とが電気的に接続され、蓄電池208が充電される。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0067】
100…電気掃除機、101…スティック本体、102…スティックハンドル、102a…接続孔、103…吸口体、104…充電台、105…支持部、106…アタッチメント器具、107…接続管、107a…接続フック、108…突起受け部、109…回転清掃体、110…開放部、111…接続ピン、112…吸込パイプ受け部、113…ハンディ取り外しボタン、114…吸口体取り外しボタン、115…電源スイッチ、116…開口部、120…給電端子、121…充電端子、122…給電端子、201…ハンディ本体、202…吸込パイプ、203…ハンディ本体受け部、204…ハンディハンドル、205…電源スイッチ、206…集塵部、207…電動送風機、208…蓄電池、209…制御装置、210…刷毛部材、210a…刷毛、210b…刷毛支持部、210c…腕部、210d…回転規制部、211…クランプフック、212…着脱ボタン、212a…爪部、213…引掛け部、214…受け部、215…吐出口、216…シールパッキン、216a…リップ部、216b…弁体、216c…回動部、216d…リブ、220…集塵ケース、221…傘部、221a…円環壁、221b…突起、221c…ブリッジ部、221d…十字リブ、221e…メッシュフィルタ、221f…突起部、222…内筒、222a…支柱、222b…メッシュフィルタ、222c…内筒枠体、222d…レール突起、222d1…切欠き部、223…フィルタ収容部、223a…区画壁、223b…開口、223c…突起、224…第1捕塵フィルタ、225…第2捕塵フィルタ、226…清掃ブラシ、230…蓄電池ユニット、231…下ケース、232…上ケース、233…制御基板、234…電源端子、235…入出力端子、236…第1開口、237…第2開口、240…受電端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17