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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】ETC制御装置及びETC制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20231215BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G07B15/00 510
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021066673
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161674
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 裕一郎
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETC(Electronic Toll Collection)レーンを走行する車両を検知する車両検知器の異常が検出された場合に、動作モードが、通常動作モードから、前記ETCレーンを閉鎖する縮退動作モードに切り替わるETCシステム、を制御するETC制御装置であって、
前記ETCシステムが前記通常動作モードで動作している際に、前記ETCシステムの管理者から、前記ETCシステムの動作モードの切替えを指示する動作モード切替え指示を取得する指示取得部と、
前記指示取得部により前記動作モード切替え指示が取得された場合に、前記ETCシステムの動作モードを、前記通常動作モードから、前記車両検知器の異常が検出された後も前記ETCレーンへの車両の進入を維持する動作モードである維持動作モードに切り替える制御部とを有するETC制御装置。
【請求項2】
前記ETCシステムは、
前記ETCレーン外に配置され、前記ETCレーンに向かう車両へのメッセージを表示するレーン外表示器を含み、
前記通常動作モードでは、前記レーン外表示器に前記ETCレーンへの進入が可能であることを通知する進入可能メッセージを表示させ、
前記縮退動作モードでは、前記レーン外表示器に前記ETCレーンが閉鎖されていることを通知する閉鎖メッセージを表示させ、
前記制御部は、
前記指示取得部により前記動作モード切替え指示が取得された場合に、前記ETCシステムの動作モードを、前記維持動作モードとして、前記車両検知器の異常が検知された後も前記レーン外表示器に前記進入可能メッセージを表示させ続ける動作モードに切り替える請求項1に記載のETC制御装置。
【請求項3】
前記ETCシステムは、
料金収受のための料金収受電波を送出するアンテナと、前記ETCレーンからの車両の退出を制御する発進制御バーとを含み、
前記通常動作モードでは、前記車両検知器が車両を検知するまでは前記アンテナに前記料金収受電波の送出を停止させておき、前記車両検知器が車両を検知した際に前記アンテナに前記料金収受電波の送出を開始させ、前記料金収受電波を用いた料金収受が完了するまでは前記発進制御バーが閉じている状態を継続し、前記料金収受が完了した際に前記発進制御バーを開いた状態にし、
前記制御部は、
前記指示取得部により前記動作モード切替え指示が取得された場合に、前記ETCシステムの動作モードを、前記維持動作モードとして、前記車両検知器による車両の検知の有無にかかわらず前記アンテナから前記料金収受電波の送出を続けさせ、前記発進制御バーが開いている状態を継続する動作モードに切り替える請求項1に記載のETC制御装置。
【請求項4】
前記ETCシステムは、
前記ETCレーン内に配置され、前記ETCレーンを走行する車両へのメッセージを表示するレーン内表示器を含み、
前記通常動作モードでは、前記料金収受電波を用いた料金収受が完了するまでは、前記レーン内表示器に前記料金収受の完了前のメッセージである完了前メッセージを表示させ、前記料金収受が完了した際に前記レーン内表示器に前記完了前メッセージから前記料金収受の完了後のメッセージである完了後メッセージに表示を切り替えさせ、
前記制御部は、
前記指示取得部により前記動作モード切替え指示が取得された場合に、前記ETCシステムの動作モードを、前記維持動作モードとして、前記料金収受の完了有無にかかわらず前記レーン内表示器に前記完了前メッセージを表示させ続ける動作モードに切り替える請求項3に記載のETC制御装置。
【請求項5】
前記ETC制御装置は、
複数のETCシステムを制御しており、
前記指示取得部は、
前記複数のETCシステムの管理者から、複数のETCシステムのうちの、動作モードの切替え対象のETCシステムが指定された、動作モード切替え指示を取得し、
前記制御部は、
前記動作モード切替え指示で指定されたETCシステムの動作モードを前記維持動作モードに切り替える請求項1に記載のETC制御装置。
【請求項6】
前記ETC制御装置は、
複数のETCシステムを制御しており、
前記指示取得部は、
前記複数のETCシステムの管理者から、前記複数のETCシステムが動作モードの切替え対象として指定された、動作モード切替え指示を取得し、
前記制御部は、
前記複数のETCシステムの動作モードを一括で前記維持動作モードに切り替える請求項1に記載のETC制御装置。
【請求項7】
ETC(Electronic Toll Collection)レーンを走行する車両を検知する車両検知器の異常が検出された場合に、動作モードが、通常動作モードから、前記ETCレーンを閉鎖する縮退動作モードに切り替わるETCシステム、を制御するETC制御方法であって、
前記ETCシステムが前記通常動作モードで動作している際に、コンピュータが、前記ETCシステムの管理者から、前記ETCシステムの動作モードの切替えを指示する動作モード切替え指示を取得する指示取得処理と、
前記指示取得処理により前記動作モード切替え指示が取得された場合に、前記コンピュータが、前記ETCシステムの動作モードを、前記通常動作モードから、前記車両検知器の異常が検出された後も前記ETCレーンへの車両の進入を維持する動作モードである維持動作モードに切り替える制御処理とを有するETC制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ETC(Electronic Toll Collection)(登録商標)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のETCシステムでは、車両検知器がETCレーンを走行する車両を検知し、車両の検知をトリガーとしてアンテナから料金収受電波を送出させることで、車両の車載器との間で料金収受のための通信が行われる。そして、当該車両に対する料金収受が完了する前は発進制御バーを閉じた状態にしておき、当該車両に対する料金収受が正常に完了した場合に発進制御バーを開いて、進入した車両を退出させる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-103128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の異常気象の影響もあり、首都圏においても降雪により積雪するケースが増えてきた。積雪により車両検知器のセンサーが雪で遮られると、車両検知器が常時ONの状態となり、正しい車両管理ができなくなる。つまり、車両がETCレーンを通過したにも関わらず、車両検知器は車両がETCレーンに残っていると誤って判定してしまう。このような車両検知器がONの状態が一定時間継続した場合には、車両検知器から異常が発報される。
車両検知器の異常が発報されると、ETCシステムは縮退動作モードに自動で切り替わる。異常からの復旧を速やかに行うためには、異常が発報されたETCレーンに後続車が進入しないようにすることが必要である。このため、縮退動作モードでは、ETCレーンが自動で閉鎖される。ETCレーンが閉鎖されると後続車はETCレーンに入ることができないので、ETCレーンの入口付近で渋滞が発生する。
【0005】
積雪の状況によっては、このような積雪が原因の異常発報が複数のETCレーンで発生し得る。そして、このような場合には、複数のETCレーンが自動で閉鎖されるため、料金所で渋滞が発生する。更に、積雪が広範囲にわたっていれば、同様の事象が複数の料金所でほぼ同時に発生する。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みて、車両検知器の異常が検出された場合の渋滞の発生を回避することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るETC制御装置は。
ETCレーンを走行する車両を検知する車両検知器の異常が検出された場合に、動作モードが、通常動作モードから、前記ETCレーンを閉鎖する縮退動作モードに切り替わるETCシステム、を制御するETC制御装置であって、
前記ETCシステムが前記通常動作モードで動作している際に、前記ETCシステムの管理者から、前記ETCシステムの動作モードの切替えを指示する動作モード切替え指示を取得する指示取得部と、
前記指示取得部により前記動作モード切替え指示が取得された場合に、前記ETCシステムの動作モードを、前記通常動作モードから、前記車両検知器の異常が検出された後も前記ETCレーンへの車両の進入を維持する動作モードである維持動作モードに切り替える制御部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両検知器の異常が検出された場合でも渋滞の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るETCシステムの構成例を示す図。
図2】実施の形態1に係るETC制御装置の機能構成例を示す図。
図3】実施の形態1に係るETC制御装置のハードウェア構成例を示す図。
図4】実施の形態1に係る維持動作モードを説明する図。
図5】実施の形態1に係る維持動作モードを説明する図。
図6】実施の形態1に係る制御装置の動作例を示すフローチャート。
図7】実施の形態1に係る通常動作モードを説明する図。
図8】実施の形態1に係る通常動作モードを説明する図。
図9】実施の形態1に係る通常動作モードを説明する図。
図10】実施の形態1に係る通常動作モードを説明する図。
図11】実施の形態1に係る縮退動作モードを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図を用いて説明する。以下の実施の形態の説明及び図面において、同一の符号を付したものは、同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るETCシステム10の構成例を示す。
【0012】
図1に示すように、ETCシステム10は、ETCレーン11の近傍に配置された、車両検知器S1、車両検知器S2、レーン内表示器31、アンテナA1、発進制御バー20、発進制御機21及び車両検知器S4と、ETCレーン11の外部に配置されたレーン外表示器32とで構成される。
なお、図1に示す構成は一例であり、ETCシステム10に図1に示す要素以外の要素が含まれていてもよい。
【0013】
車両検知器S1、車両検知器S2及び車両検知器S4は、それぞれ、ETCレーン11を走行する車両80を検知する。
車両検知器S1は、アンテナA1の通信領域への車両80の進入を検知する。車両検知器S1が車両80の進入を検知するとアンテナA1から料金収受電波が送出される。
車両検知器S2は、アンテナA1の通信領域よりも先の領域への車両80の進入を検知する。車両検知器S2が車両の進入を検知すると、アンテナA1からの料金収受電波の送出が停止される。
車両検知器S4は、車両80のETCレーン11からの退出を検知する。
【0014】
アンテナA1は、ETCレーン11の上方に設置されている。
アンテナA1は、車両検知器S1により進入を検知された車両80に対して料金収受のための料金収受電波を送出する。
アンテナA1は、車両検知器S1及び車両検知器S2の間の領域内で車両80の車載器と無線通信を行う。
【0015】
レーン内表示器31はETCレーン11内に配置された表示器である。
レーン内表示器31は、ETCレーン11を走行する車両80に対するメッセージを表示する。
【0016】
発進制御バー20と発進制御機21は、車両80のETCレーン11からの退出を制御する。
発進制御機21は、発進制御バー20の開閉を行う。発進制御バー20は、ETCレーン11の両側に設置された発進制御機21に開閉自在に取り付けられている。
発進制御バー20は、車両80に対する料金収受が正常に完了するまでは閉じた状態を継続する。そして、車両80に対する料金収受が正常に完了した際に、発進制御バー20が開いた状態になる。一方、車両80に対する料金収受が正常に完了しなかった場合は閉じた状態を継続して、車両80のETCレーン11からの退出を阻止する。
図1では、発進制御バー20と発進制御機21はETCレーン11の両側に設置されているが、発進制御バー20と発進制御機21がETCレーン11の片側のみに設置されていてもよい。
【0017】
レーン外表示器32は、ETCレーン11外に配置された表示器である。例えば、レーン外表示器32は、ETCレーン11の入口付近に配置されている。
レーン外表示器32は、ETCレーン11に向かう車両へのメッセージを表示する。
【0018】
図2は、本実施の形態に係るETC制御装置100の機能構成例を示す。
また、図3は、本実施の形態に係るETC制御装置100のハードウェア構成例を示す。
なお、ETC制御装置100はETCレーン11の外部に配置されていてもよいし、ETC制御装置100がETCレーン11の近傍に配置されていてもよい。
また、ETC制御装置100の動作手順は、ETC制御方法に相当する。
以下では、ETC制御装置100の機能構成例及びハードウェア構成例の詳細を説明する前に、まず、ETC制御装置100の概要を説明する。
なお、以下では、説明の簡明化のために車両検知器S1に異常が発生する場合を想定して説明を行うが、車両検知器S2及び車両検知器S4のいずれかに異常が発生する場合も、ETC制御装置100は同様の動作を行う。つまり、以下の説明における「車両検知器S1」を「車両検知器S2」又は「車両検知器S4」と読み替えることで、ETC制御装置100の動作を説明することができる。
【0019】
ETC制御装置100は、ETCシステム10を制御する。より具体的には、ETC制御装置100は、車両検知器S1、車両検知器S2、レーン内表示器31、アンテナA1、発進制御機21、車両検知器S4及びレーン外表示器32に有線又は無線により接続されており、これらの要素を制御する。
また、ETC制御装置100は、ETCシステム10の動作モードを管理する。つまり、ETC制御装置100は、車両検知器S1、車両検知器S2、レーン内表示器31、アンテナA1、発進制御バー20、発進制御機21、車両検知器S4及びレーン外表示器32の動作モードを管理する。
【0020】
ETC制御装置100は、平時では、ETCシステム10を通常動作モードで動作させている。
しかし、例えば積雪により車両検知器S1に異常が発生して車両80を検知できない事態が発生すると、ETC制御装置100は自動でETCシステム10の動作モードを縮退動作モードに切り替える。
前述したように、縮退動作モードは、ETCレーン11を閉鎖させる動作モードである。
【0021】
本実施の形態では、ETCシステム10の動作モードとして、通常動作モード及び縮退動作モードに加え、維持動作モードが設けられている。
維持動作モードは、車両検知器S1の異常が検出された後もETCレーン11への車両の進入を維持する動作モードである。
ETC制御装置100は、ETCシステム10の管理者から、動作モードの切替えを指示する動作モード切替え指示を取得した場合に、ETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替える。
なお、通常動作モード、縮退動作モード及び維持動作モードの詳細は後述する。
【0022】
次に、図3を参照してETC制御装置100のハードウェア構成例を説明する。
【0023】
本実施の形態に係るETC制御装置100は、コンピュータである。
ETC制御装置100は、ハードウェアとして、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、通信装置904及び入出力装置905を備える。
補助記憶装置903には、図2に示す通信部101、指示取得部102及び制御部103の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置903から主記憶装置902にロードされる。そして、プロセッサ901がこれらプログラムを実行して、後述する通信部101、指示取得部102及び制御部103の動作を行う。
図3では、プロセッサ901が通信部101、指示取得部102及び制御部103の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
通信装置904は、データの通信処理を実行する電子回路である。
通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
入出力装置905は、ETCシステム10の管理者とのインタフェースとなる機器である。入出力装置905は、例えば、キーボード、マウス、表示ディスプレイ等である。
【0024】
次に、図2を参照してETC制御装置100の機能構成例を説明する。
【0025】
通信部101は、通信装置904を用いて、車両検知器S1、発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に有線又は無線により接続されおり、これらと通信を行う。図2では、作図上の理由により、図示を省略しているが、通信部101は、車両検知器S2及び車両検知器S4とも接続されているものとする。
例えば、通信部101は、車両検知器S1から、車両検知器S1の異常の検出を発報する異常発報通知を受信する。
また、通信部101は、ETCシステム10の動作モードが切り替わる際に、切替後の動作モードに対応する動作を行わせるための制御コマンドを発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に送信する。
【0026】
指示取得部102は、ETCシステム10の管理者からの指示を取得する。より具体的には、指示取得部102は、ETCシステム10が通常動作モードで動作している際に、入出力装置905を介して、ETCシステム10の管理者から、動作モード切替え指示を取得する。
また、動作モード切替え指示は、ETCシステム10の動作モードの切替えを指示するコマンドである。
なお、指示取得部102により行われる処理は、指示取得処理に相当する。
【0027】
制御部103は、車両検知器S1の異常が検出された場合に、ETCシステム10の動作モードを、通常動作モードから、縮退動作モードに切り替える。前述したように、縮退動作モードは、ETCレーン11を閉鎖する動作モードである。
また、制御部103は、指示取得部102により動作モード切替え指示が取得された場合に、ETCシステム10の動作モードを、通常動作モードから、維持動作モードに切り替える。前述したように、維持動作モードは、車両検知器S1の異常が検出された後もETCレーン11への車両80の進入を維持する動作モードである。
また、制御部103は、切替後の動作モードに対応する動作を行わせるための制御コマンドを、通信部101を介して、発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に送信する。
制御部103により行われる処理は、制御処理に相当する。
【0028】
現在モード情報記憶部104は、現在モード情報を記憶している。現在モード情報は、現在のETCシステム10の動作モードを示す情報である。
現在モード情報記憶部104は、例えば、補助記憶装置903により実現される。
【0029】
動作モード定義情報記憶部105は、動作モード定義情報を記憶する。動作モード定義情報には、動作モードごとに、発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に行わせる動作が定義されている。つまり、動作モード定義情報には、ETCシステム10の動作モードが通常動作モードであるときに発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に行わせる動作が定義されている。また、動作モード定義情報には、ETCシステム10の動作モードが縮退動作モードであるときに発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に行わせる動作が定義されている。また、動作モード定義情報には、ETCシステム10の動作モードが維持動作モードであるときに発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に行わせる動作が定義されている。
制御部103は、動作モード定義情報を参照して、発進制御機21、アンテナA1、レーン内表示器31及びレーン外表示器32に送信する制御コマンドを生成する。
動作モード定義情報記憶部105は、例えば補助記憶装置903により実現される。
【0030】
***動作の説明***
以下、本実施の形態に係るETCシステム10の動作を説明する。
先ず、ETCシステム10の各動作モード、つまり、通常動作モード、縮退動作モード及び維持動作モードの各々を説明する。
【0031】
図7図10は、通常動作モードでのETCレーン11の状態を示す。
図11は、縮退動作モードでのETCレーン11の状態を示す。
図4及び図5は、維持動作モードでのETCレーン11の状態を示す。
以下、通常動作モード、縮退動作モード、維持動作モードの順に説明を行う。
【0032】
図7は、ETCレーン11に車両80が進入する前の状態、つまり、車両検知器S1が車両80を未検知の状態を示す。
図7の段階では、レーン外表示器32は、ETCレーン11への進入が可能であることを通知するメッセージ「ETC専用」を表示する。以下では、図7に示す「ETC専用」とのメッセージを進入可能メッセージともいう。
また、レーン内表示器31はメッセージ「減速20km/h以下」を表示する。この「減速20km/h以下」は、料金収受が完了する前に表示されるメッセージであり、以下では、完了前メッセージともいう。
また、アンテナA1は、料金収受電波の送出を停止している。
更に、発進制御機21は発進制御バー20を閉じた状態にしている。
【0033】
図8は、ETCレーン11に車両80が進入した後の状態、つまり、車両検知器S1が車両80を検知した後の状態を示す。
車両検知器S1が車両80を検知したことにより、アンテナA1が車両80に向けて料金収受電波を送出する。
図8の段階でも、レーン外表示器32は進入可能メッセージを表示しており、レーン内表示器31は完了前メッセージを表示している。更に、発進制御機21は発進制御バー20を閉じた状態のままにしている。
【0034】
図9は、車両検知器S2が車両80を検知した後の状態、つまり、料金収受が正常に完了した後の状態を示す。
車両検知器S2が車両80を検知したことによりアンテナA1は料金収受電波の送出を停止する。
図9の段階では、レーン内表示器31はメッセージ「通行可」を表示する。この「通行可」は、料金収受の完了後に表示されるメッセージであり、以下では、完了後メッセージともいう。更に、図9の段階では、発進制御機21は、発進制御バー20を開いた状態にする。一方、レーン外表示器32は、継続して進入可能メッセージを表示している。
【0035】
図10は、車両80が発進制御バー20を通過した後の状態、つまり、車両80がETCレーン11から退出する際の状態を示している。
図10の段階では、レーン外表示器32、車両検知器S1、車両検知器S2、アンテナA1、発進制御バー20の状態は図7に示す状態と同じ状態にある。
また、レーン外表示器32が進入可能メッセージを表示し続けているので、後続の車両81がETCレーン11に進入することができる。
【0036】
図11は、ETCシステム10の動作モードが縮退動作モードである場合のETCレーン11の状態を示す。
【0037】
図11では、例えば積雪により車両検知器S1が常時ON状態になり、車両検知器S1から異常発報通知がETC制御装置100に送信されること示されている。
異常発報通知を受信したETC制御装置100はETCシステム10の動作モードを縮退動作モードに切り替える。
縮退動作モードでは、異常発報通知が送信された時点で既にETCレーン11内を走行している車両82と車両83をETCレーン11から退出させるために、アンテナA1は料金収受電波を送出し続け、発進制御機21は発進制御バー20が開いた状態を継続する。また、レーン内表示器31は、縮退動作モードの際のメッセージである「4輪STOP停車、2輪ETC退避」を表示する。更に、レーン外表示器32は、ETCレーン11へ未進入の車両84のETCレーン11への進入を回避するためにメッセージ「閉鎖中」を表示する。この「閉歳中」は、ETCレーン11が閉鎖されていることを通知するメッセージであり、以下、閉鎖メッセージともいう。
レーン外表示器32により閉鎖メッセージが表示されているため、車両84は、ETCレーン11に入ることができない。この結果、ETCレーン11の入口付近で渋滞が発生する。
【0038】
図4及び図5は、ETCシステム10の動作モードが維持動作モードである場合のETCレーン11の状態を示す。
ETCシステム10の管理者がETC制御装置100に動作モード切替え指示を入力することで、ETC制御装置100がETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替える。
ETCシステム10の管理者は、例えば積雪により車両検知器S1に異常が発生することが予見されるときに、事前に動作モード切替指示を入力して、予防的にETCシステム10の動作モードを維持動作モードにする。
【0039】
維持動作モードでは、動作モード切替指示が入力された時点で既にETCレーン11内を走行している車両85と車両86をETCレーン11から退出させるために、図4に示すように、アンテナA1は料金収受電波を送出し続け、発進制御機21は発進制御バー20が開いた状態を継続する。また、レーン内表示器31は、完了前メッセージである「減速20km/h以下」を表示し続ける。一方で、レーン外表示器32は、縮退動作モードのときとは異なり、進入可能メッセージである「ETC専用」を表示し続ける。
【0040】
そして、後に降雪が進行して、積雪により車両検知器S1で異常が発生して異常発報通知が送信されても、ETCシステム10の動作モードは維持動作モードであるため、図5に示すように、ETCレーン11への車両の進入が維持される。
具体的には、レーン外表示器32は閉鎖メッセージである「閉鎖中」を表示するのではなく、進入可能メッセージである「ETC専用」を表示し続けるため、後続の車両87及び車両88はETCレーン11に入ることができ、渋滞の発生を回避することができる。
また、前述のように、アンテナA1は料金収受電波を送出し続け、発進制御機21は発進制御バー20が開いた状態を継続するため、車両87及び車両88はETCレーン11を正常に退去することができる。
このように、例えば積雪により車両検知器S1に異常が発生した場合でも、ETCレーン11の入口付近で渋滞が発生することがない。
【0041】
次に、本実施の形態に係るETC制御装置100の動作例を図6のフローチャートを参照して説明する。
なお、図6に示すフローは、規定の制御周期(例えば、1分)ごとに開始されるものとする。
【0042】
先ず、ステップS601において、制御部103が、通信部101により車両検知器S1からの異常発報通知が受信されたか否かを判定する。
通信部101は車両検知器S1からの異常発報通知を受信した場合は、異常発報通知を制御部103に出力する。このため、制御部103は、通信部101から異常発報通知を取得した場合には、車両検知器S1からの異常発報通知が受信されたと判定する。
車両検知器S1からの異常発報通知が受信されている場合は、処理がステップS602に進む。一方、異常発報通知が受信されていない場合は、処理がステップS604に進む。
【0043】
ステップS602では、制御部103は、ETCシステム10の現在の動作モードを判定する。具体的には、制御部103は現在モード情報記憶部104の現在モード情報を参照して、ETCシステム10の現在の動作モードを判定する。
ETCシステム10の現在の動作モードが通常動作モードであれば、処理がステップS603に進む。
一方、ETCシステム10の現在の動作モードが縮退動作モード又は維持動作モードであれば、処理が終了する。
【0044】
ステップS603では、制御部103は、ETCシステム10の動作モードを通常動作モードから縮退動作モードに切り替える。
具体的には、制御部103は、アンテナA1、発進制御バー20、レーン内表示器31及びレーン外表示器32の各々に、縮退動作モードに対応する動作を行うように指示する制御コマンドを通信部101を介して送信する。
制御部103は、動作モード定義情報記憶部105の動作モード定義情報の記載に従って、アンテナA1、発進制御バー20、レーン内表示器31及びレーン外表示器32の各々への制御コマンドを生成する。
この結果、アンテナA1、発進制御バー20、レーン内表示器31及びレーン外表示器32が、図11を参照して説明した動作を行う。
【0045】
ステップS601で異常発報通知が受信されていないと判定した場合は、制御部103は、ステップS604において、ETCシステム10の管理者から動作モード切替指示が入力されたか否かを判定する。
指示取得部102はETCシステム10の管理者から動作モード切替指示を取得した場合は、動作モード切替指示を制御部103に出力する。このため、制御部103は、指示取得部102から動作モード切替指示を取得した場合には、ETCシステム10の管理者から動作モード切替指示が入力されたと判定する。
ETCシステム10の管理者から動作モード切替指示が入力されている場合は、処理がステップS605に進む。一方、ETCシステム10の管理者から動作モード切替指示が入力されていない場合は、処理が終了する。
【0046】
ステップS605では、制御部103は、ETCシステム10の現在の動作モードを判定する。具体的には、制御部103は現在モード情報記憶部104の現在モード情報を参照して、ETCシステム10の現在の動作モードを判定する。
ETCシステム10の現在の動作モードが通常動作モードであれば、処理がステップS606に進む。
一方、ETCシステム10の現在の動作モードが縮退動作モード又は維持動作モードであれば、処理が終了する。
【0047】
ステップS606では、制御部103は、ETCシステム10の動作モードを通常動作モードから維持動作モードに切り替える。
具体的には、制御部103は、アンテナA1、発進制御バー20、レーン内表示器31及びレーン外表示器32の各々に、維持動作モードに対応する動作を行うように指示する制御コマンドを通信部101を介して送信する。
制御部103は、動作モード定義情報記憶部105の動作モード定義情報の記載に従って、アンテナA1、発進制御バー20、レーン内表示器31及びレーン外表示器32の各々への制御コマンドを生成する。
この結果、アンテナA1、発進制御バー20、レーン内表示器31及びレーン外表示器32が、図4及び図5を参照して説明した動作を行う。
【0048】
***実施の形態の効果の説明***
このように、本実施の形態では、ETC制御装置100が、ETCシステム10の管理者の指示に従って、ETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替える。維持動作モードへの切替え後に、例えば、積雪により車両検知器S1で異常が発生して異常発報通知が送信されても、ETCシステム10の動作モードは縮退動作モードであるためETCレーン11への車両の進入が維持される。
この結果、本実施の形態によれば、車両検知器S1の異常が検出された場合でも渋滞の発生を回避することができる。
【0049】
以上の説明では、1つのETC制御装置100が、1つのETCシステム10を管理している例を示した。以上で説明した処理を、複数のETC制御装置100が、各々が管理するETCシステム10に対して行うことで、複数のETCレーン11での渋滞の発生を回避することができる。
【0050】
また、以上の説明は、1つのETC制御装置100が、複数のETCレーン11の複数のETCシステム10をまとめて管理している場合にも適用可能である。
この場合に、1つのETC制御装置100がETCシステム10の単位で個別に動作モードを維持動作モードに切り替えてもよいし、複数のETCシステム10の動作モードを一括で維持動作モードに切り替えてもよい。
つまり、指示取得部102が、動作モードの切替え対象のETCシステム10が指定された動作モード切替え指示を、複数のETCシステム10の管理者から取得した場合は、制御部103は、動作モード切替え指示で指定されたETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替える。
一方、指示取得部102が、複数のETCシステムが動作モードの切替え対象として指定された動作モード切替え指示を、複数のETCシステム10の管理者から取得した場合は、制御部103は、複数のETCシステム10の動作モードを一括で維持動作モードに切り替える。
【0051】
また、以上では、ETC制御装置100が、管理者の指示に従って、ETCシステム10の動作モードを通常動作モードから維持動作モードに切り替える例を説明した。同様の手順で、ETC制御装置100が、管理者の指示に従って、ETCシステム10の動作モードを維持動作モードから通常動作モードに切り替えることも可能である。
このため、例えばETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替えた後に積雪の可能性がなくなった場合に、ETCシステム10の動作モードを通常動作モードに戻すことが可能である。
【0052】
また、ETC制御装置100が、管理者の指示に従って、ETCシステム100の動作モードを縮退動作モードから維持動作モードに切り替えるようにしてもよい。つまり、ETCシステム100の動作モードが縮退動作モードであるときに、ETC制御装置100は、管理者からの指示に基づき、ETCシステム100の動作モードを縮退動作モードから維持動作モードに切り替えてもよい。
【0053】
また、以上では、積雪により車両検知器S1で異常が発生する恐れがある場合に予防的に手動でETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替える例を主に説明した。
しかし、他の理由により、手動でETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替えてもよい。例えば、VIP対応でETCレーン11内に車両を停止させることなく通過させる必要がある場合に、手動でETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替えてもよい。また、感染症予防のために車両の停止による有人対応を避けたいときに、手動でETCシステム10の動作モードを維持動作モードに切り替えてもよい。
【0054】
なお、本実施の形態で説明した手順の一部のみを実施しても構わない。
また、本実施の形態で説明した手順の少なくとも一部と、本実施の形態で説明していない手順とを組み合わせて実施しても構わない。
また、本実施の形態に記載された構成及び手順を必要に応じて変更してもよい。
【0055】
***ハードウェア構成の補足説明***
最後に、ETC制御装置100のハードウェア構成の補足説明を行う。
図3に示すプロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。
プロセッサ901は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
図3に示す主記憶装置902は、RAM(Random Access Memory)である。
図3に示す補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0056】
また、補助記憶装置903には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ901により実行される。
プロセッサ901はOSの少なくとも一部を実行しながら、通信部101、指示取得部102及び制御部103の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ901がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
また、通信部101、指示取得部102及び制御部103の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、通信部101、指示取得部102及び制御部103の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、通信部101、指示取得部102及び制御部103の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
【0057】
また、通信部101、指示取得部102及び制御部103の「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」又は「サーキットリー」に読み替えてもよい。
また、ETC制御装置100は、処理回路により実現されてもよい。処理回路は、例えば、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)である。
この場合は、通信部101、指示取得部102及び制御部103は、それぞれ処理回路の一部として実現される。
【符号の説明】
【0058】
A1 アンテナ、S1 車両検知器、S2 車両検知器、S4 車両検知器、10 ETCシステム、11 ETCレーン、20 発進制御バー、21 発進制御機、31 レーン内表示器、32 レーン外表示器、80 車両、81 車両、82 車両、83 車両、84 車両、85 車両、86 車両、87 車両、88 車両、100 ETC制御装置、101 通信部、102 指示取得部、103 制御部、104 現在モード情報記憶部、105 動作モード定義情報記憶部、901 プロセッサ、902 主記憶装置、903 補助記憶装置、904 通信装置、905 入出力装置。
図1
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図11