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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】燃焼炉及びボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23C 99/00 20060101AFI20231215BHJP
   F23C 1/12 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
F23C99/00 311
F23C1/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021112260
(22)【出願日】2021-07-06
(62)【分割の表示】P 2017105319の分割
【原出願日】2017-05-29
(65)【公開番号】P2021165629
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】大野 恵美
(72)【発明者】
【氏名】小崎 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 大樹
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】槙原 進
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-89614(JP,U)
【文献】特開2002-243108(JP,A)
【文献】特開昭62-87709(JP,A)
【文献】特開2013-217579(JP,A)
【文献】特開2016-191533(JP,A)
【文献】実開昭53-79782(JP,U)
【文献】実公昭51-35004(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
理論空気量よりも低い空気雰囲気に設定される火炉と、
噴射孔が円形であり、炭素燃料と窒素含有燃料とを前記火炉に噴射して燃焼させる複数の複合バーナとを備え、
前記複合バーナは、軸中心に同心円状に設けられた二重筒から前記炭素燃料を噴射し、前記二重筒の外側に軸中心周りに所定角度で複数設けられた単筒から前記窒素含有燃料を噴射し、
前記火炉内において空気量が前記理論空気量よりも低い領域である空気不足領域における空気量は、空気過剰率という指標で示した場合に0.8~0.9程度である、
ことを特徴とする燃焼炉。
【請求項2】
理論空気量よりも低い空気雰囲気に設定される火炉と、
炭素燃料と窒素含有燃料とを前記火炉に噴射して燃焼させる複数の複合バーナとを備え、
前記複合バーナは、軸中心又は軸中心周りに設けられた少なくとも一つの単筒から前記窒素含有燃料を噴射し、前記単筒よりも軸中心から遠く同心円状に設けられた二重筒から前記炭素燃料を噴射し、
前記火炉内において空気量が前記理論空気量よりも低い領域である空気不足領域における空気量は、空気過剰率という指標で示した場合に0.8~0.9程度であり、
前記単筒は、軸中心周りに所定角度で複数設けられている、
ことを特徴とする燃焼炉。
【請求項3】
前記炭素燃料は微粉炭であり、前記窒素含有燃料はアンモニアであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼炉。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の燃焼炉を備えることを特徴とするボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼炉及びボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、アンモニアを含む燃料を燃焼させる複合エネルギーシステムが開示されている。この複合エネルギーシステムは、二酸化炭素の排出量を削減することを目的として、主燃料である天然ガスにアンモニアを添加して燃焼させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-032391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンモニアを燃料の一部として燃焼させた場合には燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の増加が懸念される。上記背景技術は、専ら二酸化炭素の排出量の削減を目的としており、窒素酸化物(NOx)を低減さることについて何ら解決策を提示するものではない。天然ガスのような炭素燃料とアンモニアのような窒素含有燃料とを一緒に燃焼させる場合には、実用性の観点から窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することが必要不可欠である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、炭素燃料と窒素含有燃料とを一緒に燃焼させる場合における窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、燃焼炉に係る第1の解決手段として、理論空気量よりも低い空気雰囲気に設定される火炉と、炭素燃料と窒素含有燃料とを前記火炉に噴射して燃焼させる複数の複合バーナとを備え、前記複合バーナは、軸中心に同心円状に設けられた二重筒から前記炭素燃料を噴射し、前記二重筒の外側に軸中心周りに所定角度で複数設けられた単筒から前記窒素含有燃料を噴射する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、燃焼炉に係る第2の解決手段として、理論空気量よりも低い空気雰囲気に設定される火炉と、炭素燃料と窒素含有燃料とを前記火炉に噴射して燃焼させる複数の複合バーナとを備え、前記複合バーナは、軸中心周りに所定角度で複数設けられた単筒から前記窒素含有燃料を噴射し、前記単筒よりも軸中心から遠く同心円状に設けられた二重筒から前記炭素燃料を噴射する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、燃焼炉に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記複合バーナは、予混合された前記炭素燃料及び前記窒素含有燃料を噴射する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、燃焼炉に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記炭素燃料は微粉炭であり、前記窒素含有燃料はアンモニアである、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、ボイラに係る解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段に係る燃焼炉を備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、炭素燃料と窒素含有燃料とを一緒に燃焼させる場合における窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る燃焼炉A及び当該燃焼炉Aを備えるボイラの要部構成を示す正面図である。
図2図1のX-X線における矢視図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る燃焼炉B及び当該燃焼炉Bを備えるボイラの要部構成を示す断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る燃焼炉C及び当該燃焼炉Cを備えるボイラの要部構成を示す断面図である。
図5】本発明の第3実施形態におけるバーナの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、本発明の第1実施形態に係る燃焼炉A及び当該燃焼炉Aを備えるボイラについて、図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
この第1実施形態に係るボイラは、火炉1、熱交換機器2、複数(合計24個)のバーナM11~M34、N11~N34、微粉炭供給装置3及びアンモニア供給装置4を要部として備えている。なお、これら複数の構成要素のうち、火炉1の一部(下部)及び複数のバーナM11~M34、N11~N34は、第1実施形態に係る燃焼炉Aを構成している。
【0015】
火炉1は、垂直かつ筒状に設けられた炉壁によって構成され、燃料を燃焼させて燃焼熱を発生させる炉体である。この火炉1では、燃料が燃焼することによって高温の燃焼ガスが発生する。このような火炉1の後段には、図示しない煙道が設けられている。上記燃焼ガスは、上記煙道を介して大気中に放出されるが、煙道を通過する間に窒素酸化物(NOx)や硫化物(SOx)が除去される。なお、このような火炉1の底部には、燃料の燃焼によって発生する灰分を外部に排出する排出口1aが設けられている。
【0016】
熱交換機器2は、上記火炉1の上部や炉壁に設けられた複数の伝熱管から構成されており、内部に水が流通している。この熱交換機器2は、過熱器や再熱器等、ボイラに設けられる熱交換機器を総称するものであり、燃焼ガスが有する燃焼熱を伝熱管内の水と熱交換させることにより水蒸気を発生させる。
【0017】
複数(合計24個)のバーナM11~M34、N11~N34は、火炉1の下部に二次元状かつ対向配置されており、火炉1内に燃料を噴射して燃焼させる。すなわち、12個のバーナM11~M34は、火炉1において対向する一対の炉壁の一方に直交配置され、残りの12個のバーナN11~N34は、上記一対の炉壁の他方に直交配置されている。より詳細には、12個のバーナM11~M34及びバーナN11~N34は、上下方向に3段かつ水平方向に4つ所定間隔を空けて直交配置されている。
【0018】
これら合計24個のバーナM11~M34、N11~N34のうち、20個のバーナM11~M24、N11~N34は、何れも微粉炭(炭素燃料)のみを燃料として火炉1内に噴射する微粉炭専用バーナ(炭素燃料専用バーナ)であり、本発明における第1のバーナに相当する。また、残り(4個)のバーナM31~M34は、何れもアンモニア(窒素含有燃料)のみを燃料として火炉1内に噴射するアンモニア専用バーナ(窒素含有燃料専用バーナ)であり、本発明における第2のバーナに相当する。
【0019】
なお、図示しないが、火炉1には複数のバーナM11~M34、N11~N34から噴射された燃料(アンモニアあるいは微粉炭)を着火させる着火装置が設けられている。各バーナM11~M34、N11~N34から火炉1内に噴射された燃料(アンモニアあるいは微粉炭)は、上記着火装置の働きによって着火して燃焼する。
【0020】
微粉炭供給装置3は、上述した20個のバーナM11~M24、N11~N34(微粉炭専用バーナ)に微粉炭を供給する燃料供給装置である。この微粉炭供給装置3は、20個のバーナM11~M24、N11~N34のうち各段毎に石炭ミルを備えており、当該石炭ミルを介して20個のバーナM11~M24、N11~N34に微粉炭を供給する。すなわち、この微粉炭供給装置3は、合計5個の石炭ミルを備えており、各石炭ミルによって石炭を粉砕して微粉炭を生成する。
【0021】
このような5個の石炭ミルのうち、第1の石炭ミルは1つの段を構成する4個のバーナM11~M14に微粉炭を供給し、第2の石炭ミルは同じく1つの段を構成する4個のバーナM21~M24に微粉炭を供給し、第3の石炭ミルは同じく1つの段を構成する4個のバーナN11~N14に微粉炭を供給し、第4の石炭ミルは同じく1つの段を構成する4個のバーナN21~N24に微粉炭を供給し、第5の石炭ミルは同じく1つの段を構成する4個のバーナN31~N34に微粉炭を供給する。
【0022】
アンモニア供給装置4は、上述した4個のバーナM31~M34(アンモニア炭専用バーナ)にアンモニアを供給する燃料供給装置である。なお、アンモニアは、分子式(NH3)によって示されるように水素(H)と窒素(N)との化合物であり、構成原子として炭素(C)を含まない。また、このアンモニアは、難燃性の物質として知られるものの、メタン(CH)と同様に3つの水素原子を有する水素キャリア物質であり、所定の高温環境下では比較的良好に燃焼する窒素含有燃料である。
【0023】
続いて、本第1実施形態に係る燃焼炉A及びボイラの動作について詳しく説明する。 この燃焼炉A及びボイラでは、20個のバーナM11~M24、N11~N34(微粉炭専用バーナ)に微粉炭供給装置3から微粉炭が供給され、4個のバーナM31~M34(アンモニア炭専用バーナ)にアンモニア供給装置4からアンモニアが供給される。
【0024】
そして、20個のバーナM11~M24、N11~N34(微粉炭専用バーナ)から火炉1内に微粉炭が噴射されて燃焼すると共に、4個のバーナM31~M34(アンモニア炭専用バーナ)から火炉1内にアンモニアが噴射されて燃焼する。この結果、火炉1内には、図1及び図2に示すように、微粉炭が燃焼することによって微粉炭火炎Saが形成され、またアンモニアが燃焼することによってアンモニア火炎Sbが形成される。
【0025】
ここで、火炉1内における空気雰囲気は、理論空気量よりも低い状態に維持される。すなわち、各バーナM11~M34、N11~N34は、火炉1内に微粉炭あるいはアンモニアを噴射するが、同時に一定量の燃焼用空気を火炉1内に供給する。この燃焼用空気の供給量は、火炉1内において微粉炭火炎Sa及びアンモニア火炎Sbを包含する空間の空気量が理論空気量よりも低くなるように設定される。図1及び図2では、火炉1内において空気量が理論空気量よりも低い領域を空気不足領域Skとしている。
【0026】
火炉1内では、微粉炭及びアンモニアが燃焼することによって燃焼熱を伴った燃焼ガスが発生する。そして、この燃焼ガスが火炉1内を上昇して熱交換機器2に作用することにより、燃焼ガスの燃焼熱によって水が気化して水蒸気が発生する。ボイラは、このようにして発生させた水蒸気を発電機等の外部機器に供給する。なお、熱交換機器2と熱交換された後の燃焼ガスは、火炉1から煙道を経由して外気に放出される。
【0027】
ここで、本第1実施形態に係る燃焼炉A及びボイラでは、上述した空気不足領域Sk内で微粉炭及びアンモニアが燃焼するので、アンモニア(NH)の熱分解によって発生するアンモニア原子(N)は、空気中の酸素(O)の熱分解によって発生する酸素原子(O)と結合して一酸化窒素(NO)になることが抑制され、他のアンモニア原子(N)と結合してアンモニア分子(N)となる。
【0028】
すなわち、空気不足領域Skでは、下式(1)の反応は抑制され、下式(2)の反応が活発になる。例えば、空気不足領域Skにおける空気量は、空気過剰率という指標で示した場合に0.8~0.9程度である。
NH+5/4O→NO+3/2HO (1)
NH+3/4O→1/2N+3/2HO (2)
【0029】
このような第1実施形態によれば、空気量が理論空気量よりも低い空気不足領域Sk内で微粉炭(炭素燃料)及びアンモニア(窒素含有燃料)を燃焼させるので、微粉炭(炭素燃料)及びアンモニア(窒素含有燃料)を一緒に燃焼させる場合における一酸化窒素(NO)等の窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することが可能である。
【0030】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る燃焼炉B及び当該燃焼炉Bを備えるボイラについて、図3を参照して説明する。なお、図3では、上述した図1及び図2に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付している。
【0031】
この燃焼炉Bは、上述した燃焼炉Aと同一の構成要素を備えているが、微粉炭(炭素燃料)とアンモニア(窒素含有燃料)とが予混合された混合燃料を複数(24個)のバーナM11~M34、N11~N34から火炉1内に噴射する。すなわち、この燃焼炉Bにおける微粉炭供給装置3及びアンモニア供給装置4は、微粉炭(炭素燃料)とアンモニア(窒素含有燃料)とを混合した混合燃料を全てのバーナM11~M34、N11~N34に供給する。
【0032】
このような第2実施形態によれば、混合燃料が燃焼することによって混合火炎Scが火炉1内に形成される。この混合火炎Scは、上述した燃焼炉Aと同様に空気不足領域Sk内に形成されるので、上式(1)の反応は抑制され、上式(2)の反応が活発になる。したがって、この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、一酸化窒素(NO)等の窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することが可能である。
【0033】
〔第3実施形態〕
最後に、本発明の第3実施形態に係る燃焼炉C及び当該燃焼炉Cを備えるボイラについて、図4及び図5を参照して説明する。なお、図3では、上述した図1及び図2に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付している。
【0034】
この燃焼炉Cにおける複数(24個)のバーナP11~P34、Q11~Q34は、個別に受け入れた微粉炭とアンモニアとを火炉1内に個別に噴射する複合バーナである。すなわち、この燃焼炉Cにおける微粉炭供給装置3は、全てのバーナP11~P34、Q11~Q34に微粉炭を供給し、アンモニア供給装置4は、全てのバーナP11~P34、Q11~Q34にアンモニアを供給する。
【0035】
このような燃焼炉Cでは、火炉1内において微粉炭とアンモニアとが個別にあるいは混合して燃焼することによって複合火炎Sdが形成される。この複合火炎Sdは、上述した燃焼炉A,Bと同様に空気不足領域Sk内に形成されるので、上式(1)の反応は抑制され、上式(2)の反応が活発になる。したがって、この第3実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、一酸化窒素(NO)等の窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することが可能である。
【0036】
ここで、第3実施形態における各バーナP11~P34、Q11~Q34(複合バーナ)として、図5に示す構造のものが例示できる。例えば、図5(a)に示す複合バーナRaは、全体として略円筒状に形成されており、軸中心に同心円状に設けられた二重筒r1から微粉炭を噴射し、この二重筒r1の外側に軸中心周りに60°毎の角度で6個設けられた単筒r2からアンモニアを噴射する。すなわち、この複合バーナRaは、軸中心に比較的近い内側から微粉炭を噴射し、軸心から比較的遠い外側からアンモニアを噴射する。
【0037】
一方、図5(b)に示す複合バーナRbは、全体として略円筒状に形成されており、上記二重筒r1に代えて、単筒r2よりも軸心から遠い二重筒r3を備え、この二重筒r3から微粉炭を噴射する。すなわち、この複合バーナRbは、軸中心に比較的近い内側からアンモニアを噴射し、軸心から比較的遠い外側から微粉炭を噴射する。
【0038】
一方、図5(c)に示す複合バーナRcは、全体として略円筒状に形成されており、軸心を含む単筒r4からアンモニアを噴射し、この単筒r4の外側に同心状に設けられた二重筒r5から微粉炭を噴射する。すなわち、この複合バーナRcは、軸中心に比較的近い内側から軸心からアンモニアを噴射し、比較的遠い外側から微粉炭を噴射する。なお、この複合バーナRcにおける単筒r4の先端は、単純な開口ではなく、複数の噴射孔が形成された円板を備える。
【0039】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記各実施形態では、炭素燃料の一種である微粉炭を燃料として採用し、また窒素含有燃料の一種であるアンモニアを燃料として採用したが、本発明はこれに限定されない。微粉炭以外の低炭素燃料を採用してもよいし、アンモニア以外の窒素含有燃料を採用してもよい。例えば、炭素燃料として天然ガスを採用してもよい。
【0040】
(2)上記各実施形態では、ボイラの燃焼炉A~Cに本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、1あるいは複数のバーナを備える燃焼炉であれば、ボイラ以外にも適用可能である。
【0041】
(3)上記各実施形態では、火炉1の下部において合計24個のバーナM11~M34、N11~N34、P11~P34、Q11~Q34を設けたが、本発明はこれに限定されない。本発明における複数のバーナの個数は24個以外でもよく、また配置は直交配置でなくてもよい。例えば各バーナを同心円状に設けてもよい。
【0042】
(4)上記第3実施形態では、複合バーナの構成を例示したが、本発明における複合バーナはこれに限定されない。
【符号の説明】
【0043】
A、B、C 燃焼炉
M11~M34、N11~N34 バーナ(専用バーナ)
P11~P34、Q11~Q34 バーナ(複合バーナ)
Sa 微粉炭火炎
Sb アンモニア火炎
Sc 混合火炎
Sd 複合火炎
1 火炉
2 熱交換機器
3 微粉炭供給装置
4 アンモニア供給装置
図1
図2
図3
図4
図5